JP2006312126A - 積層膜形成方法及び光メモリの製造方法 - Google Patents

積層膜形成方法及び光メモリの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 安定して均一な膜厚で積層膜を形成することが可能な積層膜形成方法、及び光メモリの製造方法を提供する。
【解決手段】 ガラス基板21上にフイルム15aを接着させた後、コア層用の塗布ヘッド42を塗布ステージ41に対して相対的に移動させて、フイルム15a上に塗布膜13aを形成する。その後、紫外線を塗布膜13aに照射して硬化させることにより、コア層13aを形成する。このコア層13a上に塗布膜14を形成する時に、厚塗り部23a,23bよりも内側に塗布膜14が形成されるように、クラッド層用の塗布ヘッド43を移動させて塗布を行う。このため、厚塗り部23a,23bによって、塗布ヘッド43の先端とコア層13aとのギャップが変化しないので、塗布を安定して行うことができる。このため、塗布膜14は、厚塗り部24a,24bよりも内側が均一な膜厚となる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、スリットコータを用いて積層膜を形成する積層膜形成方法、及びこれを用いた光メモリの製造方法に関する。
近年、樹脂製のコア層と、このコア層の上下に積層された樹脂製のクラッド層とからなり、コア層とクラッド層との一方の界面に再生像を得るための情報を含む情報用凹凸部を形成したスラブ型の光導波路を、1個又は複数個積層させた光メモリ(情報記録媒体)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような光メモリは、例えば、図7に示すように、コア層101とクラッド層102とが交互に積層されており、光メモリに記録された情報を読み出す際には、光メモリ100の側部に形成された光導入面103に対して、シリンドリカルレンズ104によって縦幅約5μmに絞った光(例えばレーザ光)を入射させ、所望のコア層101に光を導入する。コア層101に導入された光は、コア層101とクラッド層102との界面に形成された情報用凹凸部で散乱しながら伝播する。この時、情報用凹凸部で回折された回折光(再生光)は導波面に対して直交方向(上下方向)に伝播し、光メモリ100内の積層体上部を透過し、最終的に同位相の回折光は干渉し合い、イメージセンサ105の表面に再生像を形成する。
イメージセンサ105は、この再生像を受光し、この再生像を画像補正してデジタル信号化することで、凹凸パターンによって光メモリ100に記録された元の情報が復元される。
また、前述のような光メモリを製造する場合、コア層またはクラッド層を形成する時に、塗布装置によって、塗布液である紫外線硬化樹脂を基板上に塗布して塗布膜を形成して、紫外線照射によって塗布膜を硬化させる。その後、これらの工程を繰り返して行うことによって、コア層及びクラッド層を交互に積層して、光メモリを製造する。このようなコア層やクラッド層を積層する場合、塗布装置としてスリットコータを用いる。スリットコータは、基板が固定されるステージに対して、塗布液を吐出させる塗布ヘッドを相対的に移動させながら、塗布液を基板上に吐出させて塗布膜を形成する。
このようなスリットコータで塗布膜を形成する場合、塗布開始位置において、塗布ヘッドから塗布液を吐出させてビードを形成した後、ステージに対して塗布ヘッドを相対的に移動させながら基板上に塗布液を吐出させる。また、塗布ヘッドが塗布終了位置に移動した時に、ステージの移動を停止するとともに、塗布ヘッドからの塗布液の吐出を停止して、塗布ヘッドを上方に移動させる。このため、塗布膜の塗布開始端及び塗布終了端位置には、塗布開始端と塗布終了端との間の膜厚よりも厚い厚塗り部が形成される。
このような厚塗り部は、特に、塗布液として、粘度が高い液体や、濡れ性が悪く濡れ広がりにくい液体や、紫外線照射によって短時間で硬化される液体等の場合に形成されやすい。また、均一な膜厚の薄膜を高精度に形成する必要がある場合、塗布面と塗布ヘッドの先端とのギャップを小さく、且つ高精度に保つ必要がある。このため、塗布膜上に繰り返し塗布膜を形成して積層膜を形成する場合、塗布膜形成時に前述のギャップが厚塗り部によって大きく変化すると、塗布が不安定になって膜厚が不均一になるという問題があった。
このような問題を解決するために、塗布開始時及び終了時に塗布ヘッド内の液圧を減圧して流量調整して、厚塗り部の発生を抑制する塗布装置(例えば、特許文献2参照)や、塗布開始位置にて、塗布ヘッドから塗布液を基板上に吐出させ、塗布幅全幅にわたるビードを形成した後、基板を低速で移動させて塗布膜を形成し、塗布終了位置で塗布液を供給せずに、スキージ塗工や、余分な塗布液の吸引によって、厚塗り部の発生を抑制する塗布装置(例えば、特許文献3参照)や、塗布用のスリットとは別に、希釈液を吐出させる希釈用スリットを塗布ヘッドに設け、塗布開始位置及び終了位置において、希釈液を塗布液に混合することによって塗布液の固形分濃度を低くして、厚塗り部の発生を抑制する塗布装置(例えば、特許文献4参照)が知られている。
特開2002−120286号公報 特開平6−339656号公報 特開平8−229497号公報 特開2000−157906号公報
しかしながら、上記特許文献2〜4に記載の塗布装置では、塗布装置が複雑化するという問題や、塗布工程が複雑になって、塗布工程に要する時間が長くなるという問題があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、塗布装置や塗布工程を複雑化することなく、安定して均一な膜厚で積層膜を形成することが可能な積層膜形成方法、及びこれを用いた光メモリの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の積層膜形成方法は、基板が固定されるステージに対して、塗布液を吐出させるスリットを有する塗布ヘッドを相対的に移動させながら、前記塗布液を吐出させて前記基板上に塗布膜を形成するスリットコータを用いて、前記塗布膜を形成して硬化させた後、この塗布膜上に塗布膜を繰り返し形成することによって、前記基板上に積層膜を形成する積層膜形成方法であり、第1塗布膜を形成して硬化させた後、この第1塗布膜上に第2塗布膜を形成する時に、前記第1塗布膜の塗布開始端及び塗布終了端に形成され、前記塗布開始端と前記塗布終了端との間の膜厚よりも厚い厚塗り部よりも内側に前記第2塗布膜が形成されるように、前記塗布ヘッドを移動させて塗布することを特徴とするものである。
また、前記塗布膜を形成した後、前記基板が前記ステージに固定されたままの状態で、前記塗布膜を硬化させることが好ましい。さらに、前記スリットコータは、種類の異なる塗布液を吐出させる塗布ヘッドを複数備え、前記塗布膜を形成する時に、これらの塗布ヘッドを切り替えることにより、複数種類の塗布膜を積層することが好ましい。
また、前記塗布膜毎に、前記厚塗り部よりも内側になるように前記塗布ヘッドの塗布開始位置及び塗布終了位置を予め設定しておき、これらの位置に基づいて、前記塗布ヘッドを前記ステージに対して相対的に移動させることが好ましい。
本発明の光メモリの製造方法は、樹脂製のコア層と、前記コア層の上下に積層された樹脂製のクラッド層とからなり、前記コア層と前記クラッド層との界面に情報再生用の凹凸部が形成されたスラブ型の光導波路を1個または複数個積層させた光メモリの製造方法であり、前記積層膜形成方法を用いて、前記コア層と前記クラッド層とを交互に積層するとともに、前記コア層または前記クラッド層を形成する時に、前記凹凸部に対応する凹凸パターンが形成されたスタンパを塗布膜上にラミネートして硬化させた後、前記スタンパを剥離することによって前記凹凸部を形成することを特徴とするものである。
本発明の積層膜形成方法によれば、第1塗布膜を形成して硬化させた後、この第1塗布膜の塗布開始端及び塗布終了端に形成された厚塗り部よりも内側で塗布ヘッドを移動させて、第1塗布膜上に第2塗布膜を形成するので、第2塗布膜を形成する時に、厚塗り部によって、塗布面と塗布ヘッドの先端とのギャップが変化することがない。このため、塗布が安定して、均一な膜厚の積層膜を形成することができる。
また、塗布膜を形成した後、基板をステージ上に固定したままの状態で塗布膜を硬化させるので、ステージ上から基板を移動させて塗布膜を硬化させる場合と比べて、塗布膜に乱れが生じることが少ないので、膜厚を均一に保ったまま硬化させることができる。さらに、基板をステージから移動させないで塗布膜を硬化させるため、次の塗布膜を迅速に形成することができる。
また、スリットコータが、種類の異なる複数の塗布液を吐出させる塗布ヘッドを複数備えており、塗布膜を形成する時に、これらの塗布ヘッドを切り替えることにより、複数種類の塗布膜を積層できるので、複数種類の塗布膜で形成される積層膜を迅速に積層することができる。
さらに、塗布ヘッドの塗布開始位置及び塗布終了位置を塗布膜毎に予め設定しておき、これらの位置に基づいて、塗布ヘッドをステージに対して相対的に移動させるので、塗布開始位置及び塗布終了位置を塗布膜毎に調整する必要がなくなり、積層膜を自動的に手間を省略できるため、積層膜を迅速に積層することができる。
また、本発明の光メモリの製造方法によれば、コア層及びクラッド層の膜厚を均一にすることができるため、光メモリに記録された情報を再生する時のビットエラーレートが低減されて、情報再現性を向上させることができる。
図1に示す積層導波路型の光メモリ(以下、光メモリと称する)10は、2つのユニット11が接着層12を介して上下に貼り合わされた構成となっている。ユニット11は、コア層13とクラッド層14とがフイルム15a上に交互に積層されており、最上層には、フイルム15bが貼着されている。
コア層13及びクラッド層14は、紫外線硬化樹脂で形成されており、この紫外線硬化樹脂としては、アクリル系、エポキシ系などの樹脂が適当である。コア層13の厚さは、1.0〜1.6μm程度が適当であり、例えば、1.4μmにされている。また、クラッド層14の厚さは、7〜9μm程度が適当であり、例えば、8μmにされている。なお、コア層13の屈折率は1.52、クラッド層14の屈折率は1.51にされている。
また、コア層13とクラッド層14との一方の界面には、情報再生用の凹凸部である情報用凹凸部16が形成されている。この情報用凹凸部16は、光メモリ10に記録すべき情報を2次元符号化し、その符号化された情報を元に計算機によって合成されたパターン(計算機ホログラムと称される)が転写されたものである。
さらに、コア層13は、前述したように、上下に積層されたクラッド層14よりも屈折率が高くされており、1つのコア層13と、その上下に積層された2つのクラッド層14とにより、1つの情報再生用の光導波路17が構成される。ただし、ユニット11の最下層のコア層13aには、情報用凹凸部16が形成されていないので、情報再生用の光導波路としては機能しない。一方、各ユニット11の最上層に形成されたコア層13bの上にはクラッド層14が形成されていないが、その上に形成されたフイルム15bがクラッド層14と略同一の屈折率(1.51)で形成されているため、最上層のコア層13bは情報再生用の光導波路として機能する。
また、ユニット11は、光導波路17が一定数積層された積層体の上下をフイルム15a,15bで支持して構成されているが、これは、積層体のみではカール(反り)が発生するため、フイルム15a,15bによって積層体を保持してカールを防止するためである。
このフイルム15a,15bは樹脂フイルムであり、アートン(登録商標)等の非晶質ポリオレフィン、ポリカーボネート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)などによって形成されている。また、前述したように、フイルム15a,15bの屈折率は、クラッド層14と略同一であり、その厚さは100〜200μm程度にされている。
また、各ユニット11を接着する接着層12としては、コア層13やクラッド層14に使用する紫外線硬化樹脂が用いられる。また、接着層12の屈折率が、フイルム15a,15bの屈折率と大きく異なると、接着層12とフイルム15a,15bとの界面で再生光の再生角や、回折効率が変化するため、光量やS/N比が低下する。このため、接着層12とフイルム15a,15bとの屈折率は略等しくされている。なお、接着層12としては、紫外線硬化樹脂材などの光硬化型のものには限らず、熱硬化性型、熱可塑性型を用いることが可能であり、材質としては、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、オレフィン系などが挙げられる。
各ユニット11の端部に形成された光導入面18からコア層13に導入されると、導入光は、クラッド層14との界面で反射されながらコア層13を伝播するとともに、一部が情報用凹凸部16によって散乱される。また、光メモリ10を構成するコア層13、クラッド層14、フイルム15a,15b、及び接着層12は、情報用凹凸部16で散乱された散乱光(再生光)の波長に対して透明である。
このため、各光導波路17から上下に放出される再生光は、光メモリ10内の各層を透過し、光メモリ10の上面及び下面から外部へ放出される。なお、光導波路17から上下に放出された再生光は、別の光導波路17を横切ることになるが、コア層13とクラッド層14との屈折率の差、及び情報用凹凸部16の厚みが極めて小さいので、この再生光が別の光導波路17に形成された情報用凹凸部16で再度散乱されることは殆どなく、外部に結像される再生像に対する影響は無視できる。
以下に、上記構成の光メモリ10の製造方法について説明する。光メモリ10は、前処理工程と、積層工程と、後処理工程との3つの工程で製造される。
前処理工程では、最初に、基板としてガラス基板21を用意する。このガラス基板21は、厚さが約0.5mm〜3mm程度、好ましくは約1mm程度のものを用い、その上面及び下面は凹凸がなく平坦である。なお、基板としては、ガラス基板に限らず、例えば、シリコンウェハや、金属板や、厚みのあるポリカーボネート等の硬質の基板を用いても良い。
このガラス基板21は、スリットコータ30に搬送される。図2(A)に示すように、スリットコータ30は、ガラス基板21を保持する塗布ステージ31と、塗布液を吐出させる塗布ヘッド32とを備えている。塗布ヘッド32は、スリット32aが設けられており、塗布液である紫外線硬化樹脂(硬化後の屈折率1.51)をスリット32aから吐出させる。なお、塗布ヘッド32には、塗布液供給装置(図示せず)によって紫外線硬化樹脂が供給される。
ガラス基板21は、図2(A)に示すように、塗布ステージ31上に固定される。この塗布ステージ31は、矢印A及び矢印Bで示す方向に移動自在にされている。塗布膜を形成する場合、最初に、塗布ヘッド32が実線で示す塗布開始位置に移動される。この時、塗布ヘッド32の先端とガラス基板21とのギャップは、10μm程度にされる。塗布ヘッド32は、この塗布開始位置にてスリット32aから紫外線硬化樹脂を吐出させてビードを形成する。その後、塗布ステージ31を矢印A方向に移動させながら、塗布ヘッド32によって一定流量で紫外線硬化樹脂を吐出させる。
塗布ステージ31の移動によって、塗布ヘッド32が、塗布ステージ31に対して相対的に移動し、2点鎖線で示す塗布終了位置に移動した時に、塗布ステージ31が停止され、塗布ヘッド32からの紫外線硬化樹脂の吐出を停止する。その後、塗布ヘッド32が上方に移動される。これにより、図2(A)に示す接着層12aがガラス基板21上に形成される。
前述したように、塗布開始位置にて、塗布ヘッド32から紫外線硬化樹脂を吐出させてビードを形成した後、塗布ステージ31を移動させて塗布を行い、塗布終了位置にて、塗布ヘッド32が上方に移動される。このため、接着層12aの塗布開始端及び塗布終了端には、他の部分よりも膜厚が厚い厚塗り部22a,22bが形成される。また、これらの厚塗り部22a,22bよりも内側は、膜厚が均一であり、3μm程度にされている。
その後、塗布ヘッド32がガラス基板21から退避し、図2(B)に示すように、ガラス基板21を塗布ステージ31上に固定した状態で、接着層12a上にフイルム15aがラミネートされる。この時、接着層12aとフイルム15aとの間に気泡が入らないように、ローラ33によって一定の圧力でフイルム15aを加圧しながら接着層12a上にフイルム15aをラミネートする。また、このフイルム15aは、厚塗り部22a,22bよりも内側の膜厚が均一な部分にラミネートされる。
フイルム15aを接着層12a上にラミネートした後、図2(C)に示すように、紫外線照射装置34がガラス基板21上に移動する。この紫外線照射装置34によって、ガラス基板21が塗布ステージ31上に固定された状態で、フイルム15aに向けて紫外線が照射される。この時、紫外線照射装置34に対して、塗布ステージ31を矢印A,B方向に往復移動させながら、フイルム15aに紫外線を照射する。これにより、紫外線がフイルム15aに向けて均一に照射される。この紫外線照射装置34としては、例えば、紫外線ランプを用いる。なお、接着層12aは、フイルム15aによって覆われており、酸素の影響を受けないので、紫外線を照射する時に窒素パージ等によって酸素を遮断しなくても良い。
このフイルム15aは、紫外線に対して透過性を有しており、フイルム15aを透過した紫外線が接着層12aに照射されて硬化する。このため、フイルム15aが、接着層12aによってガラス基板21上に接着される。
次に、積層工程について説明する。この積層工程では、ガラス基板21がスリットコータ40に搬送される。図3(A)に示すように、このスリットコータ40は、塗布ステージ41と、2個の塗布ヘッド42,43とを備えている。
ガラス基板21は、塗布ステージ41上に固定され、2個の塗布ヘッド42,43のうち塗布ヘッド42が、実線で示す塗布開始位置に配置される。この塗布ヘッド42は、スリット42aを備えており、硬化後の屈折率が1.52の紫外線硬化樹脂であるコア材(液体コア樹脂)をスリット42aから吐出するコア層用の塗布ヘッドである。この塗布ヘッド42には、塗布液供給装置(図示せず)によってコア材が供給される。また、塗布ヘッド42の先端とフイルム15aとのギャップは、10μm程度にされる。
ガラス基板21は、塗布ステージ41上に固定される。その後、前述のスリットコータ30の場合と同様に、塗布ステージ41を矢印A方向に移動させながら、塗布ヘッド42によって、コア材をフイルム15a上に吐出させ、塗布ヘッド42が、塗布ステージ41に対して相対的に、2点鎖線で示す塗布終了位置に移動された時に、塗布ステージ41の移動を停止し、塗布ヘッド42からのコア材の吐出を終了させる。これにより、図3(A)に示す塗布膜(コア層)13aが形成される。なお、この塗布膜13aの厚さは、1.4μm程度にされる。
また、前述の接着層12aと同様に、この塗布膜13aの塗布開始端及び塗布終了端には、内側の膜厚よりも厚い厚塗り部23a,23bが形成される。この塗布膜13aには、図3(B)に示すように、紫外線照射装置43によって、紫外線が照射されて硬化し、コア層13aが形成される。この時、紫外線照射照射装置43に対して、塗布ステージ41を矢印A,B方向に往復移動させながら、紫外線の照射を行う。これにより、紫外線が塗布膜13aに対して均一に照射される。なお、紫外線を照射する時に、塗布膜13aをケーシングで囲い、その中を窒素パージ等によって酸素を遮断して、塗布膜13aに紫外線を照射する。
その後、ガラス基板21が塗布ステージ41上に固定されたままの状態で、塗布ヘッド42がガラス基板21から退避し、図3(C)に示すように、塗布ヘッド43が、塗布開始位置P1に移動される。この塗布開始位置P1は、厚塗り部23aよりも内側にされている。この塗布ヘッド43は、スリット43aを備えており、硬化後の屈折率が1.51の紫外線硬化樹脂であるクラッド材(液体クラッド樹脂)をスリット43aから吐出させるクラッド層用の塗布ヘッドである。この塗布ヘッド43には、塗布液供給装置(図示せず)によってクラッド材が供給される。また、塗布ヘッド43の先端とコア層13aとのギャップは、15μm程度にされる。
その後、前述のスリットコータ30の場合と同様に、塗布ステージ41を矢印A方向に移動させながら、塗布ヘッド43によって、コア層13a上にクラッド材を塗布し、塗布ヘッド43が、塗布ステージ41に対して塗布終了位置P2まで相対的に移動した時に、塗布ステージ41の移動が停止され、塗布ヘッド43からのクラッド材の吐出を終了させる。また、塗布終了位置P2は、厚塗り部23bよりも内側にされている。このため、図3(C)に示すように、塗布膜(クラッド層)14が、厚塗り部23a,23bよりも内側に形成される。また、塗布膜14には、コア層13aと同様に、厚塗り部24a,24bが形成される。
このように、塗布膜14を形成する時に、厚塗り部23a,23bよりも内側に塗布膜14が形成されるように、塗布ヘッド43を移動させて塗布を行うので、塗布ヘッド43の先端とコア層13aとのギャップが、厚塗り部23a,23bによって変化することがない。このため、塗布が安定して、塗布膜14は、厚塗り部24a,24bよりも内側が均一な膜厚となる。なお、この塗布膜14の膜厚は、8μm程度にされる。
なお、塗布開始位置P1及び塗布終了位置P2は、予め設定されており、塗布ヘッド43は、自動的に塗布開始位置P1に配置され、塗布ステージ41は、塗布ヘッド43が塗布終了位置P2に配置される位置まで、自動的に移動される。
その後、図4(A)に示すように、ガラス基板21が塗布ステージ41上に固定された状態で、ローラ45によって一定の圧力でスタンパ46を加圧しながら、スタンパ46を塗布膜14上にラミネートする。この時、スタンパ46は、厚塗り部24a,24bよりも内側の膜厚が均一な部分にラミネートされる。
このスタンパ46は、紫外線に対して透過性を有し、かつ可撓性を有するフイルム状の樹脂材で形成されており、表面には、クラッド層14の表面に形成する情報用凹凸部16に対応する凹凸パターン46aが形成されている。また、この凹凸パターン46aの高さは、0.1μm程度にされており、このスタンパ46を塗布膜14上にラミネートする際は、凹凸パターン46aが形成された表面が塗布膜14の上面に対面するようにラミネートする。
その後、図4(B)に示すように、ガラス基板21が塗布ステージ41に固定され、塗布膜14上にスタンパ46がラミネートされたままの状態で、紫外線照射装置43によって、スタンパ46の裏面側から紫外線が照射される。この時、紫外線照射装置43に対して、塗布ステージ41を矢印A,B方向に往復移動させながら、紫外線をスタンパ46に向けて照射する。これにより、紫外線が塗布膜14に対して均一に照射され、スタンパ46を透過した紫外線が塗布膜14に照射されて硬化する。なお、この場合、スタンパ46によって塗布膜14が覆われており、酸素の影響を受けないので、紫外線を照射する時に窒素パージ等によって酸素を遮断しなくても良い。
塗布膜14が硬化された後、スタンパ46が塗布膜14から剥離されて、図4(C)に示すように、クラッド層14が形成される。このクラッド層14の表面には、スタンパ46の表面に形成された凹凸パターン46aが転写されて情報用凹凸部16が形成される。この凹凸部の高さは、0.1μm程度で形成される。
このように、フイルム15a上に、コア層13とクラッド層14とが積層される。その後、前述と同様に、コア層13とクラッド層14とが繰り返し積層されて、図5(A)に示すように、光導波路17が積層される。
次に、後処理工程について説明する。後処理工程では、前述の積層工程の場合と同様に、最上層のクラッド層14上にコア材を塗布することによって、図5(A)に示す塗布膜13bを形成する。
さらに、この塗布膜13b上には、前述のフイルム15aと同様のフイルム15bが、図5(B)に示すように、塗布膜13bの厚塗り部25a,25bよりも内側にラミネートされる。このフイルム15bには、フイルム15aの場合と同様に、紫外線が照射されて塗布膜13bが硬化してコア層13bが形成される。また、フイルム15bは、このコア層13bによって接着される。
さらに、フイルム15b上には、硬化後の屈折率が1.51である紫外線硬化樹脂が塗布されて、図5(C)に示す接着層12bが形成され、接着層12aの場合と同様に、紫外線が照射されて接着層12bが硬化される。これにより、ユニット11がガラス基板21上に作製される。
その後、図6(A)に示すように、ユニット11がガラス基板21から剥離され、さらに、側端部(4面)がダイシング装置によって切断される。この時、図6(B)に示すように、厚塗り部26a,26bよりも内側で切断される。このため、ユニット11には、厚塗り部以外の膜厚が均一な部分のみが残る。
その後、2つのユニット11を積重して、加圧及び加熱を施すことにより、図6(C)に示すように、接着層12を介して互いのユニット11が接着されて光メモリ10が完成する。
前述したように、スリットコータを用いて塗布膜を形成する時に、最上層の塗布膜の塗布開始端及び塗布終了端に形成された厚塗り部よりも内側に次の塗布膜が形成されるように、塗布ヘッドを移動させて塗布を行う。このため、塗布ヘッドの先端と塗布面とのギャップが変化することがなく、塗布が安定する。このため、塗布膜の厚塗り部分よりも内側では、膜厚を均一にすることができる。このため、膜厚が均一な積層膜を形成することができる。
また、コア層13及びクラッド層14の膜厚を均一にすることができるので、光メモリ10に記録された情報を再生する時に、エラーの発生を抑制することができる。
なお、上記実施形態において、各ユニット11が3層の光導波路17で構成される場合を例に説明したが、光導波路17の積層数は3層に限るものではなく、例えば、1層や2層でも良いし、4層以上でも良い。
また、上記実施形態において、情報用凹凸部をクラッド層の表面に形成する場合を例に説明したが、コア層の表面に情報用凹凸部を形成しても良い。
さらに、上記実施形態において、スリットコータが2個の塗布ヘッドを備えている場合を例に説明したが、これに限るものではなく、塗布ヘッドを3個以上設けて、積層する塗布膜の種類によって適宜切り替えても良い。
また、上記実施形態において、スリットコータで塗布膜を形成する時に、塗布ヘッドを移動させずに、塗布ステージを移動させる場合を例に説明したが、塗布ヘッドを移動させて塗布膜を形成しても良い。
さらに、上記実施形態において、塗布液として紫外線硬化樹脂を用いる場合を例に説明したが、これに限るものではなく、乾燥によって硬化する塗布液を用いても良い。
また、上記実施形態において、本発明を光メモリの製造方法に適用した場合を例に説明したが、スリットコータを用いて複数の塗布膜を積層するものであれば、本発明を適用可能であり、例えば、電子ディスプレイ材料の製造方法に本発明を適用しても良い。
光メモリの構成を示す断面図である。 光メモリの製造方法(前処理工程)を示す断面図である。 光メモリの製造方法(積層工程)を示す断面図である。 光メモリの製造方法(積層工程)を示す断面図である。 光メモリの製造方法(後処理工程)示す断面図である。 光メモリの製造方法(後処理工程)を示す断面図である。 従来の光メモリとその動作原理を説明する斜視図である。
符号の説明
10 光メモリ
13 コア層
14 クラッド層
16 情報用凹凸部
17 光導波路
21 ガラス基板
22a,22b,23a,24a,25a,25b,26a,26b 厚塗り部
30,40 スリットコータ
31,41 塗布ステージ
32,42,43 塗布ヘッド
32a,42a,43a スリット

Claims (5)

  1. 基板が固定されるステージに対して、塗布液を吐出させるスリットを有する塗布ヘッドを相対的に移動させながら、前記塗布液を吐出させて前記基板上に塗布膜を形成するスリットコータを用いて、前記塗布膜を形成して硬化させた後、この塗布膜上に塗布膜を繰り返し形成することによって、前記基板上に積層膜を形成する積層膜形成方法において、
    第1塗布膜を形成して硬化させた後、この第1塗布膜上に第2塗布膜を形成する時に、前記第1塗布膜の塗布開始端及び塗布終了端に形成され、前記塗布開始端と前記塗布終了端との間の膜厚よりも厚い厚塗り部よりも内側に前記第2塗布膜が形成されるように、前記塗布ヘッドを移動させて塗布することを特徴とする積層膜形成方法。
  2. 前記塗布膜を形成した後、前記基板が前記ステージに固定されたままの状態で、前記塗布膜を硬化させることを特徴とする請求項1記載の積層膜形成方法。
  3. 前記スリットコータは、種類の異なる塗布液を吐出させる塗布ヘッドを複数備え、前記塗布膜を形成する時に、これらの塗布ヘッドを切り替えることにより、複数種類の塗布膜を積層することを特徴とする請求項1または請求項2記載の積層膜形成方法。
  4. 前記塗布膜毎に、前記厚塗り部よりも内側になるように前記塗布ヘッドの塗布開始位置及び塗布終了位置を予め設定しておき、これらの位置に基づいて、前記塗布ヘッドを前記ステージに対して相対的に移動させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか記載の積層膜形成方法。
  5. 樹脂製のコア層と、前記コア層の上下に積層された樹脂製のクラッド層とからなり、前記コア層と前記クラッド層との界面に情報再生用の凹凸部が形成されたスラブ型の光導波路を1個または複数個積層させた光メモリの製造方法において、
    請求項1ないし請求項4のいずれか記載の積層膜形成方法を用いて、前記コア層と前記クラッド層とを交互に積層するとともに、前記コア層または前記クラッド層を形成する時に、前記凹凸部に対応する凹凸パターンが形成されたスタンパを塗布膜上にラミネートして硬化させた後、前記スタンパを剥離することによって前記凹凸部を形成することを特徴とする光メモリの製造方法。
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