JP2007055892A - 燃料改質装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原燃料ガスを水蒸気改質する改質部28と、一酸化炭素変成部34と、一酸化炭素除去部32と、水蒸気発生部27と、燃焼器13とを備える燃料改質装置において、中空環状空間からなる水蒸気発生部27は、上方から導入する原燃料ガスと改質用水とを内周側壁面及び又外周側壁面に沿って流れるガスによって加熱し、さらに、水蒸気発生部27は、改質用水を保水かつ前記壁面からの熱を伝える吸水性部材50をラセン状に備えてなるものとする。
【選択図】図1
Description
1/2O2+2H++2e-→H2O ………(2)
H2+1/2O2→H2O ………(3)
燃料電池発電装置は、使用する電解質の種類により分類されるが、これらの燃料電池の中で、固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池等では、その電解質の性質から、二酸化炭素を含んだ酸化ガスや炭酸ガスを使用することが可能である。そこで通常これらの燃料電池では、空気を酸化ガスとして用い、天然ガス等の炭化水素系の原燃料を水蒸気改質して生成した水素を含むガスを燃料ガスとして用いている。
改質装置は、脱硫された原燃料を改質器および一酸化炭素変成器において改質され燃料ガスを生成している。
式(4)は、改質器におけるメタンの改質反応について示したものである。
式(4)に示される通り、メタンの改質反応は吸熱反応であるため、メタンに水蒸気を添加したうえで、燃料電池からの燃料オフガスを燃焼させた燃焼排ガスにて粒状改質触媒を600〜700℃に保つことにより、水素に富む改質ガスを生成する。
改質器を出たこの改質ガスは、改質ガス中の一酸化炭素を低減するために一酸化炭素変成器に供給され、所定の温度に制御された一酸化炭素変成器で一酸化炭素は1%以下に低減され、リン酸形燃料電池(PAFC)であれば、このガスを燃料電池へと導入して発電を行なうことが出来る。
特に、特許文献3は、燃料改質装置における水蒸気発生部(蒸発器)の構成に関わり、簡易な構成で、蒸発性能に優れ、熱効率が高い水素生成器を提供することを目的として、下記のような水素生成器の構成を開示している。即ち、「燃焼ガスを発生する燃焼部と、当該燃焼部の周囲に設けられ、前記燃焼部により生じた燃焼ガスからの伝熱を利用して、少なくとも炭素および水素から構成される化合物を含む原料と水蒸気とから水蒸気改質反応により水素を含む改質ガスを生成する改質器と、前記燃焼部の周囲に設けられた内筒、当該内筒の周囲に設けられた外筒、および前記内筒と前記外筒との間に形成された筒状空間の下部を塞ぐ底板を有し、前記筒状空間に供給される水を蒸発させることにより水蒸気を生成し、当該水蒸気を前記改質器に供給する蒸発器とを備え、前記筒状空間には、吸水性を有する吸水材が設けられている水素生成器」を開示している。
この発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、本発明の課題は、構成を簡素化し、かつ水蒸気生成の性能および安定性に優れた水蒸気発生部を備え、さらに燃料改質装置の起動時間の低減をも図った燃料改質装置を提供することにある。
即ち、燃焼器の外側に、同心状に径の異なる複数の円筒が配置されて、径方向の内側から順に、前記燃焼器から排出された燃焼排ガスが通流する第1環状空間、下端で連通する第2及び第3環状空間を有し、前記第2及び第3環状空間の一部に改質触媒が充填された改質部を有する燃料改質装置において、
前記第2環状空間は、上部に改質用水及び原燃料の導入口と、改質用水を蒸発させる水蒸気発生部を有し、
前記水蒸気発生部は、前記第2環状空間の内周側壁面及び外周側壁面に接する吸水性部材をラセン状に備え、前記第1環状空間を流れる燃焼排ガス及び前記第3環状空間を流れる改質ガスとの熱交換により加熱されることを特徴とする(請求項1)。
前記弾性の意義は、吸水性部材が第2環状空間を形成する内筒と外筒との間にラセン状に装着された際(実際の組み立てにおいては、吸水性部材をまず内筒にラセン状に装着した後、ラセン状の吸水性部材の外側に外筒を軸方向から装着する)に、ラセン状の吸水性部材が前記内筒と外筒との間でその弾性により筒の径方向に圧縮され、かつ、装着後はその弾性反発力により、ラセン状の吸水性部材と前記内筒または外筒との間の熱接触抵抗を低減することにある。従って、上記のような弾性と吸水性の機能を備えるものであれば、後述する実施形態に限定されることなく、部材は種々の形態をとり得る。
上記請求項4の発明において、ラセン状のガイドは改質用水の保持・伝達機能を有する。ラセン状の吸水性部材は保水機能を有するが、ラセン状の吸水性部材から溢れた水が内筒(内周側壁面)又は外筒(外周側壁面)の側壁を伝って鉛直方向に滴下してしまうことにより蒸発効率が低下しまう問題があったが、本発明のラセン状ガイドを有する構成とすれば改質用水は当該ラセン状ガイドに沿って下方に移動する。水量にもよるが、実験で確認したところによれば、ラセン状の吸水性部材から溢れた水が最下部に直接落下しないようにするためには、下記請求項5の発明が好ましい。即ち、前記請求項4に記載の燃料改質装置において、前記ラセン状の吸水性部材の下部に設けたラセン状ガイドを水蒸気発生部の内周側壁面との接点全域に渡って溶接により固定したものとする(請求項5)。この構成によれば、ラセン状の金属部材から溢れた水は、ラセン状の金属棒と内周側壁万との間の隙間から重力方向へ滴下することなくラセン状の金属棒に沿って順次移動し、その間に徐々にラセン状の吸水性部材を介して蒸発する。
さらに、ラセン状の給水性部材の異なる構成の実施態様としては、請求項8または9の発明が好ましい。即ち、請求項1または2に記載の燃料改質装置において、ラセン状の金属部材は、複数本の金属製細線の撚り線からなるものとする(請求項8)。また、請求項1または2に記載の燃料改質装置において、ラセン状の吸水性部材は、金属フェルト、金属布、金属不織布もしくは金属金網の一部を、ラセン棒により内周側壁面に圧接してラセン状のくびれ部を形成したものからなるものとする(請求項9)。
さらに、隣接する第3環状空間の各部位を夫々に適温に維持するように、前記吸水性部材のラセンピッチを設定するか、前記吸水性部材に熱交換能力の異なる複数の部材を配置することが好ましい。具体的には、吸水性部材は、第3環状空間において相対的に高温に維持される部位に隣接する部分よりも、相対的に低温に維持される部位に隣接する部分のラセンピッチが、より小さくなるように設置する(請求項12)。または、吸水性部材を、熱交換能力の異なる複数の部材から構成し、かつ、第3環状空間において相対的に高温に維持される部位に隣接する部分よりも、相対的に低温に維持される部位に隣接する部分に熱交換能力のより高い(伝熱量の大きい)部材を配置するものとする(請求項13)。
まず、図1の燃料改質装置の基本構造について説明する。
燃料改質装置10の中心軸上には、一体に形成された燃焼空気筒11と燃焼筒12とから成り、内部に下向きに火炎を形成するバーナ14を備える燃焼器13が配置されている。燃焼空気筒11とその内側の燃焼空気筒内筒15との間の環状の空間は燃焼空気供給路16を形成しており、燃焼空気供給路16の下部はバーナカップ17に形成された孔に連通している。燃焼空気筒内筒15の内部には、バーナ14へ燃焼用燃料を供給するバーナ燃料供給路18が貫通しており、バーナ燃料供給路18の上端はバーナ燃料供給口19を有している。
内筒20の底板と燃焼筒12の下端との間は、燃焼排ガス中の水分が凝縮して底部に溜まっても、燃焼排ガスが燃焼筒12の先端で折り返して燃焼排ガス流路21に流入する際に、この凝縮水を巻き込んで流路が閉塞しない適度の距離を設けている。底部に溜まった凝縮水は、燃焼部が十分加熱されると気化して燃焼排ガスとともに外部に排出される。
内筒20のさらに外側には、同じく底面を有する外筒23が内筒20との間に間隙を設けて配置されている。そして、内筒20と外筒23との間には隔壁24が設けられ、内筒20と外筒23との間を同心円状の2つの環状空間に区分されていると共に、両環状空間は外筒23の底面と隔壁24下端との間に設けられた間隙を介して連通している。なお、隔壁24は、燃焼空気筒11の外周部分に位置する径の小さい上部仕切筒24aと、これよりも径が大きく燃焼筒12の外周部分に位置する下部仕切筒24bと、上部仕切筒24a下端と上部仕切筒24b上端との間に径の差によって生じる隙間を塞ぐ環状の水平板とにより構成されている。
また、燃料改質装置10の周囲は、燃料改質装置10からの放熱を防ぐために図示しない断熱材で覆われている。
通常運転時には、燃料電池から反応に利用されずに排出された電池オフガスがバーナ燃料としてバーナ燃料供給口19を介してバーナ燃料供給路18に、また、空気が燃焼空気供給路16に供給されて、各々鉛直方向下向きに流れ、バーナ14で燃焼する。
<第1の実施例>
第1の実施例では、上述した図1に示す構造の燃料改質装置を用い、水蒸気発生部27の吸水性部材50として金属フェルトを、ラセン状ガイド52として針金状の金属棒を用いた。本実施例の構成および機能に関して、図2により詳述する。図2(a)は、本実施例の水蒸気発生部27の機能を説明する模式的部分拡大図、図2(b)は、特許文献3の図2に開示された構成を類似の水蒸気発生部に適用した場合の比較例である。なお、図2において、図1に示した部材と同一機能を有する部材には同一番号を付して示す。
<第2の実施例>
図3は第2の実施例に係る燃料改質装置の水蒸気発生部27の模式的部分拡大図であり、図3(a)は部分的側断面図、図3(b)は図3(a)の一部を円筒周方向に展開した説明図である。
<第3の実施例>
図4は、水蒸気発生部27の異なる実施形態を示す模式的概念図であり、実施例1の金属フェルト50aおよび金属棒52aに代えて、弾性と吸水性とを備えた金属部材として複数本の金属製細線からなる撚り線をラセン状に設けた場合を示す。図4において、53は撚り線ラセン状壁を示し、この撚り線ラセン状壁53と内筒20および上部仕切筒24aとにより、混合ガス(原燃料ガスおよび改質用水蒸気)が流通するラセン状ガス流通路51が形成される。なお、上記撚り線ラセン状壁53は、改質用水の吸水機能および保持・伝達機能とを兼ね備えている。
<第4の実施例>
図5は、水蒸気発生部27のさらに異なる実施形態を示す模式的概念図であり、実施例1の金属フェルト50aおよび金属棒52aに代えて、金属金網の一部を、ラセン棒により内筒20に圧接してラセン状のくびれ部を有する構造としたものである。図5において、54はラセン状弾性金網壁、52cは固定用のラセン状金属棒を示し、前記くびれ部と上部仕切筒24aとにより、混合ガスのラセン状ガス流通路51が形成されている。
<第5の実施例>
図6は、水蒸気発生部27の吸水性部材50のラセンピッチと水蒸気発生部27を流れる原燃料ガスおよび改質用水への伝熱量との関係を示すグラフである。
<第6の実施例>
図9は、ラセン状の吸水性部材50の配置に関する異なる実施例である。
<第7の実施例>
図10は、ラセン状の吸水性部材50の配置に関するさらに異なる実施例である。本実施例では、吸水性部材50のラセンピッチは変えずに、吸水性部材50の配置部位によって、熱交換能力の異なる複数の吸水性部材を用いたものである。
<第8の実施例>
図11は、ラセン状の吸水性部材50の配置に関するさらに異なる実施例である。本実施例では、水蒸気発生部27の部位によって、配置する吸水性部材50の種類、ラセンピッチを変えることにより各部位の伝熱量を調整している。
11 燃焼空気筒
12 燃焼筒
13 燃焼器
14 バーナ
15 燃焼空気筒内筒
16 燃焼空気供給路
17 バーナカップ
18 バーナ燃料供給路
19 バーナ燃料供給口
20 内筒
21 燃焼排ガス流路
22 フランジ部
23 外筒
24a 上部仕切筒
24b 下部仕切筒
25 原燃料ガス供給口
27 水蒸気発生部
28 改質部
29 アルミナボール層
30 水受け部
31 改質ガス流路
32 一酸化炭素除去部
33 一酸化炭素変成部入口マニホールド
34 一酸化炭素変成部
35 一酸化炭素変成部出口マニホールド
36 一酸化炭素変成ガス排出口
37 選択酸化空気混合ガス入口
38 選択酸化空気混合後マニホールド
39 一酸化炭素除去部出口マニホールド
40 改質ガス排出口
41 燃焼排ガス排出口
43 脱硫部
44 脱硫部原燃料入口
45 脱硫部原燃料出口
50 吸水性部材
51 ラセン状ガス流通路
52 ラセン状ガイド
53 撚り線ラセン状壁
54 ラセン状弾性金網
60 金網
Claims (13)
- 燃焼器の外側に、同心状に径の異なる複数の円筒が配置されて、径方向の内側から順に、前記燃焼器から排出された燃焼排ガスが通流する第1環状空間、下端で連通する第2及び第3環状空間を有し、前記第2及び第3環状空間の一部に改質触媒が充填された改質部を有する燃料改質装置において、
前記第2環状空間は、上部に改質用水及び原燃料の導入口と、改質用水を蒸発させる水蒸気発生部を有し、
前記水蒸気発生部は、前記第2環状空間の内周側壁面及び外周側壁面に接する吸水性部材をラセン状に備え、前記第1環状空間を流れる燃焼排ガス及び前記第3環状空間を流れる改質ガスとの熱交換により加熱されることを特徴とする燃料改質装置。 - 前記第2環状空間の前記水蒸気発生部の下方に改質部が、前記第3環状空間に一酸化炭素変成部および一酸化炭素除去部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の燃料改質装置。
- 前記吸水性部材は弾性を有し、前記第2環状空間の内周側壁面及び外周側壁面に圧接していることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料改質装置。
- 前記吸水性部材は、前記水蒸気発生部の内周側壁面にラセン状の凸部を形成するガイド上に沿って設けられたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料改質装置。
- 前記ガイドは、前記水蒸気発生部の内周側壁面との接点全域に渡って溶接により固定されたものであることを特徴とする請求項4に記載の燃料改質装置。
- 前記水蒸気発生部の内周側壁面には前記ガイドに加え、これと平行に第2のラセン状ガイドを設け、前記2本の平行なガイド間に前記吸水性部材が配置されたものであることを特徴とする請求項4または5に記載の燃料改質装置。
- 前記ガイドは金属棒からなり、前記吸水性部材は金属フェルト、金属布、金属不織布もしくは金属金網からなることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の燃料改質装置。
- 前記吸水性部材は複数本の金属製細線の撚り線からなることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料改質装置。
- 前記吸水性部材は、金属フェルト、金属布、金属不織布もしくは金属金網の一部を、ラセン棒により前記水蒸気発生部の内周側壁面に圧接してラセン状のくびれ部を形成したものからなることを特徴とする前記請求項1または2に記載の燃料改質装置。
- 前記吸水性部材が、前記一酸化炭素変成部および前記一酸化炭素除去部に隣接する部位に設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の燃料改質装置。
- 前記吸水性部材が、前記一酸化炭素除去部に隣接する部位にのみ設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の燃料改質装置。
- 前記吸水性部材は、前記第3環状空間において相対的に高温に維持される部位に隣接する部分よりも、相対的に低温に維持される部位に隣接する部分のラセンピッチが、より小さくなるように設置されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の燃料改質装置。
- 前記吸水性部材が、熱交換能力の異なる複数の部材からなり、かつ、前記第3環状空間において相対的に高温に維持される部位に隣接する部分よりも、相対的に低温に維持される部位に隣接する部分に熱交換能力のより高い部材が配置されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の燃料改質装置。
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