JP2004175637A - Co除去器及び水素製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】選択酸化触媒を劣化させることなく、選択酸化触媒層の改質ガスの流入部の温度を活性温度範囲に調整する。
【解決手段】酸素または酸素含有ガスが添加された改質ガス中のCOを酸化する触媒層19と、触媒層19内の改質ガスの流入部に配置され、水蒸気を吐出する開口48を触媒層19内に有する水の蒸発器23とを備えたことにより、改質ガスの熱で蒸発器23内の水を蒸発できるから、蒸発器23を触媒層19内に配置しても、水が触媒に付着することはなく、水の蒸発による触媒の劣化を防ぐことができる。また、蒸発器23を触媒層19の改質ガスの流入部に配置することにより、温度が急激に上昇する部分のみを冷却でき、触媒層19に流入する改質ガスの温度を下げなくても、触媒の温度を活性温度範囲内に調整できる。
【選択図】 図1
【解決手段】酸素または酸素含有ガスが添加された改質ガス中のCOを酸化する触媒層19と、触媒層19内の改質ガスの流入部に配置され、水蒸気を吐出する開口48を触媒層19内に有する水の蒸発器23とを備えたことにより、改質ガスの熱で蒸発器23内の水を蒸発できるから、蒸発器23を触媒層19内に配置しても、水が触媒に付着することはなく、水の蒸発による触媒の劣化を防ぐことができる。また、蒸発器23を触媒層19の改質ガスの流入部に配置することにより、温度が急激に上昇する部分のみを冷却でき、触媒層19に流入する改質ガスの温度を下げなくても、触媒の温度を活性温度範囲内に調整できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に用いられる水素製造装置に係り、特に、改質ガス中のCOを酸化するCO除去技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素製造装置は、例えば、メタンなどの炭化水素系燃料を水蒸気で改質して水素リッチな改質ガスを生成して燃料電池に供給するものであり、燃料電池は、水素と酸素とを電極反応させて、直接電気エネルギを発生させるものである。
【0003】
水素製造装置において、炭化水素系燃料を水蒸気で改質するとCOとH2に変換され、さらに、COを水蒸気で改質することによりCO2とH2に変換される。これらの改質反応は平衡反応であるためCOを十分に低減することができない。このCOは、電極を被毒させて燃料電池の性能低下の原因となる。そこで、改質ガス中のCOをH2Oで改質してH2に変換するCO変成器と、CO変成器から排出される改質ガス中の微量のCOをCO2にするCO除去器とが設けられている。
【0004】
このようなCO除去器は、改質ガスに、酸素または酸素含有ガス(例えば、空気など、以下、空気と総称する)を添加して、COを燃焼させてCO2に転換するものである。この場合、改質ガスに空気を添加すると、改質ガス中のH2が多量に燃焼してしまうため、COを選択的に酸化させる例えば、PtやRuなどの選択酸化触媒が用いられている。この選択酸化触媒は、COを酸化する活性が高くなる温度範囲(以下、活性温度範囲と称する)があり、触媒の温度、言い換えれば、改質ガスの温度を活性温度範囲内にすることで効率良くCOの処理できる。そこで、一般には、例えば水などの冷媒が通流する熱交換器により、COの燃焼やH2の燃焼による熱を除熱して、触媒の温度を活性温度範囲内に調整している。
【0005】
ところで、熱交換器の冷却性能は、改質ガスとの伝熱面積によるところが大きいので、冷媒の流量を変化させても大幅に変化させることができない。このため、例えば、負荷変化などにより触媒層に流入する改質ガスの絶対量が増減し、COの燃焼やH2の燃焼で生じる熱量が大幅に増減すると、触媒の温度を活性温度範囲内に調整できず、CO除去率が低下する。また、選択酸化触媒層内に水を噴霧して水の蒸発潜熱で触媒の温度を直接低下させる方法が考えられるが、噴霧した水が蒸発する際に触媒を劣化させてしまう。
【0006】
そこで、従来は、触媒層に改質ガスを導く流路に水を噴霧して、水が触媒層に到達する前に蒸発させる方法が提案されている(特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−517596号公報(第9−12頁、第5−6図)
【発明が解決しようとする課題】
ところで、触媒層の改質ガスの流入部では、CO濃度が高いのでCOの酸化熱により温度が急激に上昇する。この温度上昇幅は、通常、活性温度範囲(例えば、130〜180℃)に比べて大きい。したがって、触媒層に改質ガスを導く流路に水を噴霧する方法によれば、触媒層に流入する改質ガスの温度を、触媒の活性温度範囲の下限よりも大きく下げる必要がある。
【0008】
しかし、改質ガスの温度を活性温度範囲の下限よりも大きく下げると、触媒層の改質ガスの流入部におけるCO酸化反応の進行が遅くなる。したがって、改質ガスの温度が、COの燃焼熱と一部のH2の燃焼熱によって活性温度範囲になるまでに時間がかかり、その分だけ、COの処理効率が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は、選択酸化触媒を劣化させることなく、選択酸化触媒層の改質ガスの流入部の温度を活性温度範囲に調整することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のCO除去器は、上記課題を解決するために、酸素または酸素含有ガスが添加された改質ガス中のCOを酸化する触媒層と、この触媒層内の改質ガスの流入部に配置され、水蒸気を吐出する開口を前記触媒層内に有する水の蒸発器とを備えたことを特徴とする。
【0011】
これにより、改質ガスの熱で蒸発器内の水を蒸発できるから、蒸発器を触媒内に配置しても、水が触媒に付着することはなく、水の蒸発による触媒の劣化を防ぐことができる。また、蒸発器を触媒層の改質ガスの流入部に配置することにより、温度の急激な上昇を効果的に抑制できるので、触媒層に流入する改質ガスの温度を下げなくても、触媒の温度を活性温度範囲内に調整できる。
【0012】
この場合において、蒸発器は、供給された水が開口から吐出されるまでに蒸発するように、例えば、改質ガスの流量及び温度、水と改質ガスとの伝熱面積、蒸発器の熱伝達率などを考慮して設計する。また、具体的に、蒸発器は、水の供給管が接続可能な一端を有し、他端に開口を有する渦巻き状の管で形成できる。
【0013】
また、蒸発器に供給する水量は、触媒層の温度または触媒層の温度に相関する物理量に基づいて調整する制御手段を備えた構成にできる。これにより、蒸発器内の水の蒸発量を調整して触媒の温度を調整できる。また、触媒層の温度は、触媒層に流入する改質ガスの量によって変化することから、改質ガスの量、つまり、水素製造装置に要求された負荷に応じて蒸発器に供給する水の量を調整することもできる。
【0014】
また、本発明のCO除去器は、酸素または酸素含有ガスが添加された改質ガス中のCOを酸化する触媒層と、触媒層内の改質ガスの流れ方向に分散させて配置され、水蒸気を吐出する開口を触媒層内に有する複数の水の蒸発器と、触媒層の温度または触媒層の温度に相関する物理量及び触媒層における流れ方向のCO濃度の低下に応じて各蒸発器に供給する水量を調整する制御手段とを備えた構成にできる。これは、図5に示すように、触媒の活性温度範囲が改質ガス中のCOの濃度により変化することに着目してなされたものである。すなわち、図5は、縦軸にCO除去率を、横軸にCO選択酸化触媒の温度を表し、CO濃度250ppmを実線で、CO濃度4200ppmを破線で示し、CO濃度別のCO選択酸化触媒温度とCO除去率の関係を示したグラフである。同図に示すように、COの濃度が高い場合には活性温度範囲が高く、COの濃度が低い場合には活性温度範囲が低くなるという傾向がある。
【0015】
これにより、CO濃度に応じて、触媒の温度を活性温度範囲に調節できるので、COの除去率を向上させることができる。この場合において、触媒層における流れ方向の位置に対応させてCO濃度をシミュレーションや事前試験などにより予め求め、これに対応させて触媒層の各位置の活性温度範囲を求める。そして、各位置の触媒の温度が求めた各位置の活性温度範囲になるように、各蒸発器に供給する水量を調整する。
【0016】
ここで、複数の蒸発器のそれぞれの上流側に、空気を供給する空気供給部を設けた構成とすることができる。これにより、供給する空気の量を各触媒層ごとに分散させることができ、上流側の触媒層に添加する空気の量を減らして下流側の触媒層に振り分けることができるので、上流側の触媒層の温度の上昇を抑えることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。図1は本発明を適用してなるCO除去器の第1の実施形態の断面図である。図2は、本発明を適用してなる燃料電池システムの一例の全体構成図である。図3は、蒸発器の断面図である。図4は、蒸発器の変形例を示した斜視図である。
【0018】
本実施形態の水素製造装置は、図2に示すように、例えば、天然ガス、都市ガス、メタンガス、プロパンガス、メタノール、ナフサ、ガソリンなどの炭化水素系燃料1(以下、単に燃料1と称する)、水蒸気3及び空気5が起動バーナ7に供給される。それらの燃料1、空気5、水蒸気3は、それぞれ燃料供給装置2、空気供給装置4、水供給装置6から供給され、各供給量は制御装置29により制御されるようになっている。起動バーナ7は、起動時に燃料1を空気5で火炎燃焼し、発生した燃焼ガスで燃焼触媒及び改質触媒を予熱するとともに、それらの昇温後は、改質器を形成する燃焼触媒層9及び改質触媒層11に燃料1と水蒸気3及び部分燃焼用の空気5を供給するものである。
【0019】
改質触媒層11では、昇温後、起動バーナ7から供給される燃料1と水蒸気3とが反応し、水素リッチな改質ガスを生成する。この改質反応熱(吸熱反応)を供給するため、燃焼触媒層9では、起動バーナ7から供給される燃料1の一部を空気5により燃焼できるように構成されている。この改質触媒としては、例えば、Ni系やRu系などの触媒を用いることができる。改質触媒層11から排出される改質ガスは、水と改質ガスとを熱交換させる蒸気発生用熱交換器13を介してCO変成器15に流入される。蒸気発生用熱交換器13は、水供給装置6から水が供給され、改質ガスの熱で水蒸気3にして起動バーナ7に流入されるようになっている。
【0020】
CO変成器15は、改質ガス中のCOと水蒸気とを反応させてCO2と水素に転換するCOシフト触媒層を有している。このCOシフト触媒としては、例えば、Cu−Zn系などの遷移金属系またはPt、Ru系などの貴金属系のものを用いることができる。CO変成器15から排出される改質ガスは、CO除去器17に流入されるようになっている。
【0021】
CO除去器17は、CO変成器15から排出される改質ガス中に残存しているCOを空気により燃焼させるものである。CO除去器17は、COを空気で酸化燃焼させるCO選択酸化触媒で形成された触媒層19と、触媒層19の上流側の改質ガスに空気を添加する空気供給装置21、触媒層19内に配置された蒸発器23、蒸発器23内部に水を供給する水供給装置25、及び触媒層19内の温度を検出する熱電対27が設けられている。空気供給装置21、水供給装置25のそれぞれの供給量は、制御装置29により制御され、制御装置29には、熱電対27が検出した温度が入力されるようになっている。
【0022】
CO除去器17から排出される改質ガス中の水素は、固体高分子型の燃料電池31の燃料極に流入され、空気と反応し発電に利用される。燃料電池31において燃料極で反応しきれなかった一部の水素は、燃料及び空気とともに補助燃焼器33のバーナ35に供給されるようになっている。補助燃焼器33は、バーナ35において水素及び燃料を空気で火炎燃焼させ、燃焼熱で水供給装置6から蒸発用熱交換器13に供給される水を予熱するものである。バーナ35近傍には、バーナ35の温度を制御装置29に入力する熱電対37が配設されている。
【0023】
次に、本実施形態の特徴部であるCO除去器17の構成について図1を参照して説明する。CO除去器17は、両端が閉塞された筒型の筐体40で形成されている。筐体40の中央部に選択酸化触媒で形成された触媒層19が配置されている。筐体40の一端の壁には改質ガスが流入される筒状の導入口41が設けられ、他端の壁には改質ガスを排出する排出口42が設けられている。導入口41の先端には絞り開口46が形成されている。導入口41の先端と、触媒層19の間には空間が形成されている。空気供給装置21に連結された供給口43は、この空間に配置され、供給口43の先端は絞り開口46に対向させて、つまり、改質ガスの流れに逆らう方向に空気を供給するように形成されている。また、供給口43と触媒層19と間には、多孔板45が配置されている。
【0024】
図3に示すように、蒸発器23は、触媒層19内部の改質ガスの流入部に配置されている。蒸発器23は、水の供給管が接続可能な一端を有し、他端に開口48を有する渦巻き状の伝熱性を有する管で構成されている。一端は渦巻きの外周側に位置し水供給装置25の供給側に連結され、開口48は渦巻きの中心側に位置されている。蒸発器23における改質ガスと水との伝熱面積、つまり、管路の長さ及び内径は、一端から供給された水が開口48に達するまでにすべて蒸発するように設定する。ここで、蒸発器23は、例えば、内径2mmの細管を同心円上に巻いた形状とすることができる。また、図4に示すように、一端から他端にかけて巻き方向を改質ガスの流れ方向にずらすことで、管路を長く形成し、比較的多くの水を通流させることができる。
【0025】
制御装置29は、負荷指令が入力されるようになっている。制御装置29は、各負荷指令に対応する燃料供給装置2、空気供給装置4及び水供給装置6の各供給量が記憶され、入力された負荷指令に対応する量の改質ガスを発生させるだけの燃料1、水蒸気3及び空気5を供給するように制御する。また、制御装置29は、各負荷指令に対応する空気供給装置21の供給量が記憶され、入力された負荷指令に対応する量の空気を供給するように制御する。また、制御装置29は、各負荷に対応する水供給装置25の供給量が記憶され、入力された負荷指令に対応する量の水を供給するように制御するようになっている。制御装置29は、熱電対27が配置された部分の選択酸化触媒の活性温度の範囲が記憶され、熱電対27から入力された検出値と、活性温度範囲とを比較して、検出値が設定温度範囲になるように水供給装置25の供給量を制御するようになっている。
【0026】
このように構成される水素製造装置の実施形態の制御及び動作について説明する。まず、制御装置29は、負荷指令が入力されると、その負荷指令に対応する燃料1、空気5の供給量を求め、求めた量の燃料1、空気5を起動バーナ7に供給して火炎燃焼させ、発生した燃焼ガスが、燃焼触媒層9及び改質触媒層11を予熱する。燃焼触媒の温度が改質反応が進行する所定温度(例えば、650〜850℃)まで上昇したら、起動バーナ7に供給する空気5の量を下げて火炎燃焼を停止させる。そして、負荷指令に対応する水の供給量を求め、求めた量の水を水供給装置6から供給し、蒸発用熱交換器13で水蒸気3発生させ起動バーナ7に供給する。これによって、負荷指令に対応する量、つまり、水素製造装置に要求された量の改質ガスが生成される。
【0027】
これらの燃料1、水蒸気3及び空気3は、燃焼触媒の作用により起動バーナ7から供給された燃料1の一部が燃焼される。この燃焼反応は、燃料1がメタンの場合は下記(1)式で表せる。
【0028】
CH4+2O2 → CO2+2H2O (1)
燃焼触媒により昇温された燃料1と水蒸気3は、改質触媒を通流する間に改質反応によりCOと水素に変換される。この改質反応は、燃料1がメタンの場合は下記(2)式で表せる。
【0029】
CH4+H2O ←→CO+3H2 (2)
同時に、(2)式により発生したCOは水蒸気との反応により、さらに、水素を生成する。この改質反応は、燃料1がメタンの場合は下記(3)式で表せる。
【0030】
CO+H2O ←→ CO2+H2 (3)
(2)式と(3)式の反応は、吸熱反応であることから、前記(1)式の燃焼熱により燃焼触媒の温度を所定温度範囲に保持するようにしているのである。また、(2)式と(3)式の反応は、平衡反応であるので、改質触媒層11で生成される改質ガスには、H2のほかに、H2O、CO2及びCOなどが含まれる。
【0031】
改質触媒層11により生成された改質ガスは、蒸発用熱交換器13によりCO変成器15のCOシフト触媒に適した温度に冷却される。例えば、COシフト触媒としてCu−Zn系やPtなどを適用した場合は、その活性温度(例えば、250〜300℃)に冷却する。蒸発用熱交換器13により減温された改質ガス中のCOは、CO変成器15においてCOシフト触媒の作用により、次式(4)の反応によりCO2にシフトされる。
【0032】
CO+H2O → CO2+H2 (4)
CO変成器15により処理された改質ガスは、CO除去器17に流入されるとともに空気供給装置21により空気が添加される。この改質ガスが触媒層19を通流する過程で、改質ガス中に残存する微量のCO(例えば、CO濃度5000ppm)は、選択酸化触媒の作用により燃焼される(次式(5))。これによって、固体高分子型の燃料電池31の電極被毒を防止できる。
【0033】
CO + 1/2O2 → CO2 (5)
CO除去器17から排出された改質ガスは、固体高分子型の燃料電池31の燃料極に流入され、燃料電池31に供給される空気中の酸素と反応による発電に利用される。これにより、水素製造装置に要求された量の改質ガスが燃料電池31の燃料極に流入される。この燃料極で未反応の水素は、燃料及び空気とともに補助燃焼器33のバーナ35に流入され火炎燃焼される。この燃焼熱により水供給装置6から供給された水が予熱され、予熱された水は、さらに蒸発用熱交換器13で気化されて起動バーナ7に流入される。
【0034】
次に、本発明の特徴であるCO除去器17の制御及び動作について説明する。まず、改質ガスは、CO変成器15から排出され導入口41に流入される。導入口41に流入された改質ガスは、絞り開口46で絞られて触媒層19の流入部に流入される。制御装置29は、空気供給装置21を制御して供給口46から改質ガスに空気を添加する。この空気は、供給口23により改質ガスの流れに逆らうように供給されるので、改質ガスと空気とが攪拌される。また、この改質ガスと空気は、多孔板45を通過する際にさらに混合されて、触媒層19の改質ガスの流入部に流入する。このとき、流入部における改質ガスのCO濃度が高いので、CO酸化熱により温度が急激に上昇する。
【0035】
一方、制御装置29は、水供給装置25を制御して触媒層19の改質ガスの流入部に配置された蒸発器23に水を供給する。蒸発器23に供給された水は、改質ガスにより加熱されて蒸発する。このときの蒸発潜熱により、流入部の改質ガスの温度上昇が抑えられる。さらに、蒸発器23内で蒸発した水蒸気は、開口48を介して触媒層19内に放出され、改質ガスとともに燃料電池31の燃料極に供給される。
【0036】
制御装置29は、燃料電池31の負荷に応じて、空気供給装置21から改質ガスに添加する空気量、及び水供給装置25から蒸発器23内に供給される水量を調整する。すなわち、改質器で生成される改質ガスの量に応じて、空気供給装置21から負荷に対応する量の空気を供給し、水供給装置25から負荷に対応する量の水を供給する。ここで、空気量は、CO量に応じて調整するが、CO濃度が概ね一定の範囲であることから、改質ガスの量に応じて増減する。例えば、(空気中のO2のモル数)/(改質ガス中のCOのモル数)=1.5に調整される。一方、水量は、流入部における酸化により発生する熱量に応じて調整される。すなわち、流入部で発生する熱量と、蒸発器23内の水の蒸発潜熱による除熱量とが同じになるように調整される。具体的には、水量は、触媒層19の温度が設定温度より高い場合は水量を増加させ、低い場合は水量を低下させる。この設定温度は、活性温度範囲内に定められ、これにより、選択酸化触媒の温度は、例えば、155℃士10℃に調整される。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態によれば、蒸発器23を触媒層19の改質ガスの流入部に配置したから、温度の急激な上昇を効果的に抑制できる。これにより、触媒層19に流入する改質ガスの温度を活性温度の下限以下に冷却する必要がないから、触媒層19の流入部におけるCO除去率を向上させることができる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、蒸発器23に供給する水量を調整して蒸発潜熱を調整できるので、触媒層19の温度を容易に調整することができる。この場合、水素製造装置に入力された負荷指令に応じて水量を調整することで、生成される改質ガスに応じて変化する触媒層19の温度変化に対応させることができる。また、熱電対27により触媒層19の温度を検出し、これに基づいて水量を調整することで、負荷変化による選択酸化触媒層の発熱状況の変化だけでなく、例えば、外部の気温、湿度などの環境要因や、改質触媒部の温度などによる改質ガス中のCO濃度が微妙な変化に対応することができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、固体高分子型の燃料電池31に供給する場合に、改質ガスに添加される水蒸気を補うことができる。また、蒸発器23で発生した水蒸気を外部に排出する配管などを省くことができ構成を簡易にできる。
(第2の実施形態)
図7に本発明に係るCO除去器の第2実施形態の断面図を示す。本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、蒸発器23の後流側に蒸発器53及び蒸発器53に水を供給する水供給装置55を配置したことにある。したがって、第1の実施形態と同一のものには同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施形態は、図7に示すように、蒸発器23の改質ガスの流れ方向の下流側に位置する触媒層19内に蒸発器23、水供給装置25及び熱電対27と同一形態の蒸発器53、水供給装置55及び熱電対57が配置されている。熱電対57の設定温度は、熱電対27の設定温度より低く設定する。
【0041】
これにより、触媒層19における流れ方向のCO濃度の低下に合わせて、触媒層19の温度を調整できるので、COの濃度が高い場合には活性温度範囲が高く、COの濃度が低い場合には活性温度範囲が低くなるという選択酸化触媒の特性に合わせた効率のよいCO処理をおこなうことができる。
【0042】
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と同一の効果を奏することができる。加えて、CO濃度に応じて、触媒の温度を活性温度範囲に調節できるので、COの除去率を向上させることができる。ここで、熱電対27の設定温度は、例えば、CO濃度が、例えば5000ppm〜500ppmになる位置で150〜180℃に設定し、熱電対57の設定温度は、CO濃度が、例えば500〜100ppmになる位置で100〜140℃になるように設定することができる。また、本実施形態において、複数の蒸発器のそれぞれの上流側に、空気を投入する空気投入手段を設けた構成とすることができる。これにより、供給する空気の量を各触媒層ごとに分散させることができる。この結果、上流側の触媒層に添加する空気の量を減らして下流側の触媒層に流入させることができるので、上流側の触媒層の温度上昇幅を小さくすることができ、触媒の温度制御が容易になる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、選択酸化触媒を劣化させることなく、選択酸化触媒層の改質ガスの流入部の温度を活性温度範囲に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなるCO除去器の第1の実施形態の断面図である。
【図2】本発明を適用してなる燃料電池システムの一例の全体構成図である。
【図3】選択酸化触媒層内に配置された蒸発器の形状を説明するための流路断面である。
【図4】蒸発器の変形例を示した斜視図である。
【図5】縦軸にCO除去率を、横軸にCO選択酸化触媒の温度を表し、CO濃度別のCO選択酸化触媒温度とCO除去率の関係を示したグラフである。
【図6】縦軸に温度を、横軸に選択酸化触媒層の位置を表し、選択酸化触媒層内部の温度分布を示したグラフである。
【図7】本発明を適用してなるCO除去器の第2の実施形態を示した断面図である。
【符号の説明】
17 CO除去器
19 選択酸化触媒層
23 蒸発器
25 水供給手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に用いられる水素製造装置に係り、特に、改質ガス中のCOを酸化するCO除去技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素製造装置は、例えば、メタンなどの炭化水素系燃料を水蒸気で改質して水素リッチな改質ガスを生成して燃料電池に供給するものであり、燃料電池は、水素と酸素とを電極反応させて、直接電気エネルギを発生させるものである。
【0003】
水素製造装置において、炭化水素系燃料を水蒸気で改質するとCOとH2に変換され、さらに、COを水蒸気で改質することによりCO2とH2に変換される。これらの改質反応は平衡反応であるためCOを十分に低減することができない。このCOは、電極を被毒させて燃料電池の性能低下の原因となる。そこで、改質ガス中のCOをH2Oで改質してH2に変換するCO変成器と、CO変成器から排出される改質ガス中の微量のCOをCO2にするCO除去器とが設けられている。
【0004】
このようなCO除去器は、改質ガスに、酸素または酸素含有ガス(例えば、空気など、以下、空気と総称する)を添加して、COを燃焼させてCO2に転換するものである。この場合、改質ガスに空気を添加すると、改質ガス中のH2が多量に燃焼してしまうため、COを選択的に酸化させる例えば、PtやRuなどの選択酸化触媒が用いられている。この選択酸化触媒は、COを酸化する活性が高くなる温度範囲(以下、活性温度範囲と称する)があり、触媒の温度、言い換えれば、改質ガスの温度を活性温度範囲内にすることで効率良くCOの処理できる。そこで、一般には、例えば水などの冷媒が通流する熱交換器により、COの燃焼やH2の燃焼による熱を除熱して、触媒の温度を活性温度範囲内に調整している。
【0005】
ところで、熱交換器の冷却性能は、改質ガスとの伝熱面積によるところが大きいので、冷媒の流量を変化させても大幅に変化させることができない。このため、例えば、負荷変化などにより触媒層に流入する改質ガスの絶対量が増減し、COの燃焼やH2の燃焼で生じる熱量が大幅に増減すると、触媒の温度を活性温度範囲内に調整できず、CO除去率が低下する。また、選択酸化触媒層内に水を噴霧して水の蒸発潜熱で触媒の温度を直接低下させる方法が考えられるが、噴霧した水が蒸発する際に触媒を劣化させてしまう。
【0006】
そこで、従来は、触媒層に改質ガスを導く流路に水を噴霧して、水が触媒層に到達する前に蒸発させる方法が提案されている(特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−517596号公報(第9−12頁、第5−6図)
【発明が解決しようとする課題】
ところで、触媒層の改質ガスの流入部では、CO濃度が高いのでCOの酸化熱により温度が急激に上昇する。この温度上昇幅は、通常、活性温度範囲(例えば、130〜180℃)に比べて大きい。したがって、触媒層に改質ガスを導く流路に水を噴霧する方法によれば、触媒層に流入する改質ガスの温度を、触媒の活性温度範囲の下限よりも大きく下げる必要がある。
【0008】
しかし、改質ガスの温度を活性温度範囲の下限よりも大きく下げると、触媒層の改質ガスの流入部におけるCO酸化反応の進行が遅くなる。したがって、改質ガスの温度が、COの燃焼熱と一部のH2の燃焼熱によって活性温度範囲になるまでに時間がかかり、その分だけ、COの処理効率が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は、選択酸化触媒を劣化させることなく、選択酸化触媒層の改質ガスの流入部の温度を活性温度範囲に調整することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のCO除去器は、上記課題を解決するために、酸素または酸素含有ガスが添加された改質ガス中のCOを酸化する触媒層と、この触媒層内の改質ガスの流入部に配置され、水蒸気を吐出する開口を前記触媒層内に有する水の蒸発器とを備えたことを特徴とする。
【0011】
これにより、改質ガスの熱で蒸発器内の水を蒸発できるから、蒸発器を触媒内に配置しても、水が触媒に付着することはなく、水の蒸発による触媒の劣化を防ぐことができる。また、蒸発器を触媒層の改質ガスの流入部に配置することにより、温度の急激な上昇を効果的に抑制できるので、触媒層に流入する改質ガスの温度を下げなくても、触媒の温度を活性温度範囲内に調整できる。
【0012】
この場合において、蒸発器は、供給された水が開口から吐出されるまでに蒸発するように、例えば、改質ガスの流量及び温度、水と改質ガスとの伝熱面積、蒸発器の熱伝達率などを考慮して設計する。また、具体的に、蒸発器は、水の供給管が接続可能な一端を有し、他端に開口を有する渦巻き状の管で形成できる。
【0013】
また、蒸発器に供給する水量は、触媒層の温度または触媒層の温度に相関する物理量に基づいて調整する制御手段を備えた構成にできる。これにより、蒸発器内の水の蒸発量を調整して触媒の温度を調整できる。また、触媒層の温度は、触媒層に流入する改質ガスの量によって変化することから、改質ガスの量、つまり、水素製造装置に要求された負荷に応じて蒸発器に供給する水の量を調整することもできる。
【0014】
また、本発明のCO除去器は、酸素または酸素含有ガスが添加された改質ガス中のCOを酸化する触媒層と、触媒層内の改質ガスの流れ方向に分散させて配置され、水蒸気を吐出する開口を触媒層内に有する複数の水の蒸発器と、触媒層の温度または触媒層の温度に相関する物理量及び触媒層における流れ方向のCO濃度の低下に応じて各蒸発器に供給する水量を調整する制御手段とを備えた構成にできる。これは、図5に示すように、触媒の活性温度範囲が改質ガス中のCOの濃度により変化することに着目してなされたものである。すなわち、図5は、縦軸にCO除去率を、横軸にCO選択酸化触媒の温度を表し、CO濃度250ppmを実線で、CO濃度4200ppmを破線で示し、CO濃度別のCO選択酸化触媒温度とCO除去率の関係を示したグラフである。同図に示すように、COの濃度が高い場合には活性温度範囲が高く、COの濃度が低い場合には活性温度範囲が低くなるという傾向がある。
【0015】
これにより、CO濃度に応じて、触媒の温度を活性温度範囲に調節できるので、COの除去率を向上させることができる。この場合において、触媒層における流れ方向の位置に対応させてCO濃度をシミュレーションや事前試験などにより予め求め、これに対応させて触媒層の各位置の活性温度範囲を求める。そして、各位置の触媒の温度が求めた各位置の活性温度範囲になるように、各蒸発器に供給する水量を調整する。
【0016】
ここで、複数の蒸発器のそれぞれの上流側に、空気を供給する空気供給部を設けた構成とすることができる。これにより、供給する空気の量を各触媒層ごとに分散させることができ、上流側の触媒層に添加する空気の量を減らして下流側の触媒層に振り分けることができるので、上流側の触媒層の温度の上昇を抑えることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。図1は本発明を適用してなるCO除去器の第1の実施形態の断面図である。図2は、本発明を適用してなる燃料電池システムの一例の全体構成図である。図3は、蒸発器の断面図である。図4は、蒸発器の変形例を示した斜視図である。
【0018】
本実施形態の水素製造装置は、図2に示すように、例えば、天然ガス、都市ガス、メタンガス、プロパンガス、メタノール、ナフサ、ガソリンなどの炭化水素系燃料1(以下、単に燃料1と称する)、水蒸気3及び空気5が起動バーナ7に供給される。それらの燃料1、空気5、水蒸気3は、それぞれ燃料供給装置2、空気供給装置4、水供給装置6から供給され、各供給量は制御装置29により制御されるようになっている。起動バーナ7は、起動時に燃料1を空気5で火炎燃焼し、発生した燃焼ガスで燃焼触媒及び改質触媒を予熱するとともに、それらの昇温後は、改質器を形成する燃焼触媒層9及び改質触媒層11に燃料1と水蒸気3及び部分燃焼用の空気5を供給するものである。
【0019】
改質触媒層11では、昇温後、起動バーナ7から供給される燃料1と水蒸気3とが反応し、水素リッチな改質ガスを生成する。この改質反応熱(吸熱反応)を供給するため、燃焼触媒層9では、起動バーナ7から供給される燃料1の一部を空気5により燃焼できるように構成されている。この改質触媒としては、例えば、Ni系やRu系などの触媒を用いることができる。改質触媒層11から排出される改質ガスは、水と改質ガスとを熱交換させる蒸気発生用熱交換器13を介してCO変成器15に流入される。蒸気発生用熱交換器13は、水供給装置6から水が供給され、改質ガスの熱で水蒸気3にして起動バーナ7に流入されるようになっている。
【0020】
CO変成器15は、改質ガス中のCOと水蒸気とを反応させてCO2と水素に転換するCOシフト触媒層を有している。このCOシフト触媒としては、例えば、Cu−Zn系などの遷移金属系またはPt、Ru系などの貴金属系のものを用いることができる。CO変成器15から排出される改質ガスは、CO除去器17に流入されるようになっている。
【0021】
CO除去器17は、CO変成器15から排出される改質ガス中に残存しているCOを空気により燃焼させるものである。CO除去器17は、COを空気で酸化燃焼させるCO選択酸化触媒で形成された触媒層19と、触媒層19の上流側の改質ガスに空気を添加する空気供給装置21、触媒層19内に配置された蒸発器23、蒸発器23内部に水を供給する水供給装置25、及び触媒層19内の温度を検出する熱電対27が設けられている。空気供給装置21、水供給装置25のそれぞれの供給量は、制御装置29により制御され、制御装置29には、熱電対27が検出した温度が入力されるようになっている。
【0022】
CO除去器17から排出される改質ガス中の水素は、固体高分子型の燃料電池31の燃料極に流入され、空気と反応し発電に利用される。燃料電池31において燃料極で反応しきれなかった一部の水素は、燃料及び空気とともに補助燃焼器33のバーナ35に供給されるようになっている。補助燃焼器33は、バーナ35において水素及び燃料を空気で火炎燃焼させ、燃焼熱で水供給装置6から蒸発用熱交換器13に供給される水を予熱するものである。バーナ35近傍には、バーナ35の温度を制御装置29に入力する熱電対37が配設されている。
【0023】
次に、本実施形態の特徴部であるCO除去器17の構成について図1を参照して説明する。CO除去器17は、両端が閉塞された筒型の筐体40で形成されている。筐体40の中央部に選択酸化触媒で形成された触媒層19が配置されている。筐体40の一端の壁には改質ガスが流入される筒状の導入口41が設けられ、他端の壁には改質ガスを排出する排出口42が設けられている。導入口41の先端には絞り開口46が形成されている。導入口41の先端と、触媒層19の間には空間が形成されている。空気供給装置21に連結された供給口43は、この空間に配置され、供給口43の先端は絞り開口46に対向させて、つまり、改質ガスの流れに逆らう方向に空気を供給するように形成されている。また、供給口43と触媒層19と間には、多孔板45が配置されている。
【0024】
図3に示すように、蒸発器23は、触媒層19内部の改質ガスの流入部に配置されている。蒸発器23は、水の供給管が接続可能な一端を有し、他端に開口48を有する渦巻き状の伝熱性を有する管で構成されている。一端は渦巻きの外周側に位置し水供給装置25の供給側に連結され、開口48は渦巻きの中心側に位置されている。蒸発器23における改質ガスと水との伝熱面積、つまり、管路の長さ及び内径は、一端から供給された水が開口48に達するまでにすべて蒸発するように設定する。ここで、蒸発器23は、例えば、内径2mmの細管を同心円上に巻いた形状とすることができる。また、図4に示すように、一端から他端にかけて巻き方向を改質ガスの流れ方向にずらすことで、管路を長く形成し、比較的多くの水を通流させることができる。
【0025】
制御装置29は、負荷指令が入力されるようになっている。制御装置29は、各負荷指令に対応する燃料供給装置2、空気供給装置4及び水供給装置6の各供給量が記憶され、入力された負荷指令に対応する量の改質ガスを発生させるだけの燃料1、水蒸気3及び空気5を供給するように制御する。また、制御装置29は、各負荷指令に対応する空気供給装置21の供給量が記憶され、入力された負荷指令に対応する量の空気を供給するように制御する。また、制御装置29は、各負荷に対応する水供給装置25の供給量が記憶され、入力された負荷指令に対応する量の水を供給するように制御するようになっている。制御装置29は、熱電対27が配置された部分の選択酸化触媒の活性温度の範囲が記憶され、熱電対27から入力された検出値と、活性温度範囲とを比較して、検出値が設定温度範囲になるように水供給装置25の供給量を制御するようになっている。
【0026】
このように構成される水素製造装置の実施形態の制御及び動作について説明する。まず、制御装置29は、負荷指令が入力されると、その負荷指令に対応する燃料1、空気5の供給量を求め、求めた量の燃料1、空気5を起動バーナ7に供給して火炎燃焼させ、発生した燃焼ガスが、燃焼触媒層9及び改質触媒層11を予熱する。燃焼触媒の温度が改質反応が進行する所定温度(例えば、650〜850℃)まで上昇したら、起動バーナ7に供給する空気5の量を下げて火炎燃焼を停止させる。そして、負荷指令に対応する水の供給量を求め、求めた量の水を水供給装置6から供給し、蒸発用熱交換器13で水蒸気3発生させ起動バーナ7に供給する。これによって、負荷指令に対応する量、つまり、水素製造装置に要求された量の改質ガスが生成される。
【0027】
これらの燃料1、水蒸気3及び空気3は、燃焼触媒の作用により起動バーナ7から供給された燃料1の一部が燃焼される。この燃焼反応は、燃料1がメタンの場合は下記(1)式で表せる。
【0028】
CH4+2O2 → CO2+2H2O (1)
燃焼触媒により昇温された燃料1と水蒸気3は、改質触媒を通流する間に改質反応によりCOと水素に変換される。この改質反応は、燃料1がメタンの場合は下記(2)式で表せる。
【0029】
CH4+H2O ←→CO+3H2 (2)
同時に、(2)式により発生したCOは水蒸気との反応により、さらに、水素を生成する。この改質反応は、燃料1がメタンの場合は下記(3)式で表せる。
【0030】
CO+H2O ←→ CO2+H2 (3)
(2)式と(3)式の反応は、吸熱反応であることから、前記(1)式の燃焼熱により燃焼触媒の温度を所定温度範囲に保持するようにしているのである。また、(2)式と(3)式の反応は、平衡反応であるので、改質触媒層11で生成される改質ガスには、H2のほかに、H2O、CO2及びCOなどが含まれる。
【0031】
改質触媒層11により生成された改質ガスは、蒸発用熱交換器13によりCO変成器15のCOシフト触媒に適した温度に冷却される。例えば、COシフト触媒としてCu−Zn系やPtなどを適用した場合は、その活性温度(例えば、250〜300℃)に冷却する。蒸発用熱交換器13により減温された改質ガス中のCOは、CO変成器15においてCOシフト触媒の作用により、次式(4)の反応によりCO2にシフトされる。
【0032】
CO+H2O → CO2+H2 (4)
CO変成器15により処理された改質ガスは、CO除去器17に流入されるとともに空気供給装置21により空気が添加される。この改質ガスが触媒層19を通流する過程で、改質ガス中に残存する微量のCO(例えば、CO濃度5000ppm)は、選択酸化触媒の作用により燃焼される(次式(5))。これによって、固体高分子型の燃料電池31の電極被毒を防止できる。
【0033】
CO + 1/2O2 → CO2 (5)
CO除去器17から排出された改質ガスは、固体高分子型の燃料電池31の燃料極に流入され、燃料電池31に供給される空気中の酸素と反応による発電に利用される。これにより、水素製造装置に要求された量の改質ガスが燃料電池31の燃料極に流入される。この燃料極で未反応の水素は、燃料及び空気とともに補助燃焼器33のバーナ35に流入され火炎燃焼される。この燃焼熱により水供給装置6から供給された水が予熱され、予熱された水は、さらに蒸発用熱交換器13で気化されて起動バーナ7に流入される。
【0034】
次に、本発明の特徴であるCO除去器17の制御及び動作について説明する。まず、改質ガスは、CO変成器15から排出され導入口41に流入される。導入口41に流入された改質ガスは、絞り開口46で絞られて触媒層19の流入部に流入される。制御装置29は、空気供給装置21を制御して供給口46から改質ガスに空気を添加する。この空気は、供給口23により改質ガスの流れに逆らうように供給されるので、改質ガスと空気とが攪拌される。また、この改質ガスと空気は、多孔板45を通過する際にさらに混合されて、触媒層19の改質ガスの流入部に流入する。このとき、流入部における改質ガスのCO濃度が高いので、CO酸化熱により温度が急激に上昇する。
【0035】
一方、制御装置29は、水供給装置25を制御して触媒層19の改質ガスの流入部に配置された蒸発器23に水を供給する。蒸発器23に供給された水は、改質ガスにより加熱されて蒸発する。このときの蒸発潜熱により、流入部の改質ガスの温度上昇が抑えられる。さらに、蒸発器23内で蒸発した水蒸気は、開口48を介して触媒層19内に放出され、改質ガスとともに燃料電池31の燃料極に供給される。
【0036】
制御装置29は、燃料電池31の負荷に応じて、空気供給装置21から改質ガスに添加する空気量、及び水供給装置25から蒸発器23内に供給される水量を調整する。すなわち、改質器で生成される改質ガスの量に応じて、空気供給装置21から負荷に対応する量の空気を供給し、水供給装置25から負荷に対応する量の水を供給する。ここで、空気量は、CO量に応じて調整するが、CO濃度が概ね一定の範囲であることから、改質ガスの量に応じて増減する。例えば、(空気中のO2のモル数)/(改質ガス中のCOのモル数)=1.5に調整される。一方、水量は、流入部における酸化により発生する熱量に応じて調整される。すなわち、流入部で発生する熱量と、蒸発器23内の水の蒸発潜熱による除熱量とが同じになるように調整される。具体的には、水量は、触媒層19の温度が設定温度より高い場合は水量を増加させ、低い場合は水量を低下させる。この設定温度は、活性温度範囲内に定められ、これにより、選択酸化触媒の温度は、例えば、155℃士10℃に調整される。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態によれば、蒸発器23を触媒層19の改質ガスの流入部に配置したから、温度の急激な上昇を効果的に抑制できる。これにより、触媒層19に流入する改質ガスの温度を活性温度の下限以下に冷却する必要がないから、触媒層19の流入部におけるCO除去率を向上させることができる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、蒸発器23に供給する水量を調整して蒸発潜熱を調整できるので、触媒層19の温度を容易に調整することができる。この場合、水素製造装置に入力された負荷指令に応じて水量を調整することで、生成される改質ガスに応じて変化する触媒層19の温度変化に対応させることができる。また、熱電対27により触媒層19の温度を検出し、これに基づいて水量を調整することで、負荷変化による選択酸化触媒層の発熱状況の変化だけでなく、例えば、外部の気温、湿度などの環境要因や、改質触媒部の温度などによる改質ガス中のCO濃度が微妙な変化に対応することができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、固体高分子型の燃料電池31に供給する場合に、改質ガスに添加される水蒸気を補うことができる。また、蒸発器23で発生した水蒸気を外部に排出する配管などを省くことができ構成を簡易にできる。
(第2の実施形態)
図7に本発明に係るCO除去器の第2実施形態の断面図を示す。本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、蒸発器23の後流側に蒸発器53及び蒸発器53に水を供給する水供給装置55を配置したことにある。したがって、第1の実施形態と同一のものには同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施形態は、図7に示すように、蒸発器23の改質ガスの流れ方向の下流側に位置する触媒層19内に蒸発器23、水供給装置25及び熱電対27と同一形態の蒸発器53、水供給装置55及び熱電対57が配置されている。熱電対57の設定温度は、熱電対27の設定温度より低く設定する。
【0041】
これにより、触媒層19における流れ方向のCO濃度の低下に合わせて、触媒層19の温度を調整できるので、COの濃度が高い場合には活性温度範囲が高く、COの濃度が低い場合には活性温度範囲が低くなるという選択酸化触媒の特性に合わせた効率のよいCO処理をおこなうことができる。
【0042】
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と同一の効果を奏することができる。加えて、CO濃度に応じて、触媒の温度を活性温度範囲に調節できるので、COの除去率を向上させることができる。ここで、熱電対27の設定温度は、例えば、CO濃度が、例えば5000ppm〜500ppmになる位置で150〜180℃に設定し、熱電対57の設定温度は、CO濃度が、例えば500〜100ppmになる位置で100〜140℃になるように設定することができる。また、本実施形態において、複数の蒸発器のそれぞれの上流側に、空気を投入する空気投入手段を設けた構成とすることができる。これにより、供給する空気の量を各触媒層ごとに分散させることができる。この結果、上流側の触媒層に添加する空気の量を減らして下流側の触媒層に流入させることができるので、上流側の触媒層の温度上昇幅を小さくすることができ、触媒の温度制御が容易になる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、選択酸化触媒を劣化させることなく、選択酸化触媒層の改質ガスの流入部の温度を活性温度範囲に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなるCO除去器の第1の実施形態の断面図である。
【図2】本発明を適用してなる燃料電池システムの一例の全体構成図である。
【図3】選択酸化触媒層内に配置された蒸発器の形状を説明するための流路断面である。
【図4】蒸発器の変形例を示した斜視図である。
【図5】縦軸にCO除去率を、横軸にCO選択酸化触媒の温度を表し、CO濃度別のCO選択酸化触媒温度とCO除去率の関係を示したグラフである。
【図6】縦軸に温度を、横軸に選択酸化触媒層の位置を表し、選択酸化触媒層内部の温度分布を示したグラフである。
【図7】本発明を適用してなるCO除去器の第2の実施形態を示した断面図である。
【符号の説明】
17 CO除去器
19 選択酸化触媒層
23 蒸発器
25 水供給手段
Claims (6)
- 酸素または酸素含有ガスが添加された改質ガス中のCOを酸化する触媒層と、該触媒層内の改質ガスの流入部に配置され、水蒸気を吐出する開口を前記触媒層内に有する水の蒸発器とを備えたCO除去器。
- 前記蒸発器は、水の供給管が接続可能な一端を有し、他端に開口を有する渦巻き状の管であることを特徴とする請求項1に記載のCO除去器。
- 前記触媒層の温度または前記触媒層の温度に相関する物理量に基づいて前記蒸発器に供給される水量を調整する制御手段を備えた請求項1または2に記載のCO除去器。
- 酸素または酸素含有ガスが添加された改質ガス中のCOを酸化する触媒層と、該触媒層内の前記改質ガスの流れ方向に分散させて配置され、水蒸気を吐出する開口を前記触媒層内に有する複数の水の蒸発器と、前記触媒層の温度または前記触媒層の温度に相関する物理量及び前記触媒層における流れ方向のCO濃度の低下に応じて前記各蒸発器に供給する水量を調整する制御手段とを備えたCO除去器。
- 前記複数の蒸発器のそれぞれの上流側に、空気を供給する空気供給部を設けたことを特徴とする請求項5に記載のCO除去器。
- 炭化水素系燃料から水素を含有する改質ガスを生成する改質器と、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のCO除去器とを備えた水素製造装置。
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