JP2007055446A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】操縦安定性とカーカスの耐久性とを共に向上させることのできる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】ビード部14付近に位置するカーカス30を、ビードコア20のタイヤ幅方向外方側からタイヤ幅方向内方側にかけて巻き返し、ビード部14付近に位置するカーカス30のタイヤ幅方向外方で、且つ、ビードコア20よりもタイヤ径方向外方に、タイヤ周方向に沿って環状に形成された補助環状コア25を設ける。これにより、ビード部14付近のカーカス30に作用する荷重を補助環状コア25で受けることができるので、カーカス30の変形を抑制することができ、操縦安定性の向上を図ることができる。さらに、カーカス30が繰り返し変形をすることを抑制することができるので、カーカス30の耐久性の向上を図ることができる。これらの結果、操縦安定性とカーカス30の耐久性とを共に向上させることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関するものである。特に、この発明は、操縦安定性の向上を図ることのできる空気入りタイヤに関するものである。
従来の空気入りタイヤでは、形状を保持するために、タイヤ幅方向の両側に位置するビード部間をトロイダル状に延在したカーカスが設けられている。このカーカスは、ビード部においては端部がビードコアに巻き返されており、これにより、ビードコアに対するカーカスの位置ずれを抑制していた。しかし、重荷重用空気入りタイヤなど使用内圧が高い空気入りタイヤでは、カーカスの作用する張力も大きく、この場合、この力はビードコアを回転させる力となり、ビード部に捩り変形を起こし易くなっていた。この捩り変形は、カーカスをビードコアのタイヤ幅方向内方からタイヤ幅方向外方にかけて巻き返した場合には、ビードトウ側がリムから浮き上がる方向に変形する要因となり、この部分のリムに対する接触圧が低くなってしまう虞があった。このように、接触圧が低くなると、リムずれが生じ、操縦安定性が低下してしまう虞があった。また、ビード部の変形は、ビード部のヘタリを発生させる虞があり、ビード部の耐久性が低減する虞があった。
そこで、従来の空気入りタイヤでは、カーカスに作用する張力によるビード部の捩り変形を抑制しているものがある。例えば、特許文献1では、ビード部にビードコア以外にサブビードコアを設け、ビードコアに巻き返されるカーカスをビードコアとサブビードコアとにより挟み込んでいる。これにより、カーカスに張力が作用した場合でも、カーカスが移動することを抑制することができ、ビード部の捩り変形を抑制することができる。この結果、カーカスに張力が作用した場合のビード部の捩り変形に起因する操縦安定性の低下やビード部の耐久性の低減を抑制することができる。
特開2000−301917号公報
上記の空気入りタイヤでは、カーカスをビードコアのタイヤ幅方向外方からタイヤ幅方向内方にかけて巻き返した場合でも、ビードコアとサブビードコアとでカーカスを挟み込むことにより、上述した効果が得られる。しかしながら、この場合、空気入りタイヤのトレッド部が路面に接地し、その際の接地荷重によってトレッド部とリムとの間が縮まる方向の荷重が空気入りタイヤに作用した場合は、空気入りタイヤにおけるリムフランジ付近の部分は、リムフランジに押されて変形をする。その際、この部分の内側に位置するカーカスも変形し、カーカスが変形することによって、操縦安定性が低下する虞があった。また、空気入りタイヤを装着した車両の走行時には、空気入りタイヤは転動するため、リムフランジによって変形させられるカーカスは、タイヤ周方向において順次変形する。このため、カーカスを部分ごとに見ると、カーカスは繰り返し変形をすることになるので疲労が多くなり、耐久性が低減する虞があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操縦安定性とカーカスの耐久性とを共に向上させることのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ幅方向の両端に位置するサイドウォール部と、前記サイドウォール部のタイヤ径方向に内方に位置すると共にビードコアが設けられたビード部と、前記ビード部で前記ビードコアに巻き返されるカーカスと、前記カーカスよりもタイヤ径方向外方に設けられるベルト層と、を有する空気入りタイヤにおいて、前記カーカスは、前記ビードコアのタイヤ幅方向外方側から前記ビードコアの内周面であるビードコア内周面のタイヤ径方向内方側を通り、さらに前記ビードコアのタイヤ幅方向内方側にかけて巻き返されており、前記カーカスのタイヤ幅方向外方で、且つ、前記ビードコアよりもタイヤ径方向外方には、タイヤ周方向に沿って環状に形成された環状補強手段が設けられていることを特徴とする。
この発明では、カーカスのタイヤ幅方向外方で、ビードコアよりもタイヤ径方向外方に環状補強手段を設けているので、環状補強手段付近のカーカスを補強することができる。これにより、この空気入りタイヤをリムに組付けて車両に装着し、この車両で走行した場合におけるリムフランジと当該リムフランジ付近の空気入りタイヤに作用する荷重を、環状補強手段で受けることができる。従って、リムフランジとの間で作用する荷重によってカーカスが変形することを抑制することができるので操縦安定性の向上を図ることができ、また、カーカスの変形を抑制することにより、カーカスの破損を抑制することができる。この結果、操縦安定性とカーカスの耐久性とを共に向上させることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記環状補強手段は、子午面断面において前記ビードコア内周面のタイヤ幅方向外方側の端部から、前記環状補強手段の重心までのタイヤ径方向における距離が10mm〜40mmの範囲内となる位置に設けられていることを特徴とする。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記環状補強手段は、子午面断面において前記ビードコア内周面のタイヤ幅方向外方側の端部から、前記環状補強手段の重心までのタイヤ幅方向における距離が8mm〜25mmの範囲内となる位置に設けられていることを特徴とする。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記環状補強手段は、子午面断面における形状が円形になっており、前記円形の直径は6mm〜12mmの範囲内であることを特徴とする。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記環状補強手段は、前記サイドウォール部及び前記ビード部のタイヤ幅方向外方側の表面であるタイヤ外表面と前記環状補強手段との子午面断面における距離が3mm〜10mmの範囲内となる位置に設けられていることを特徴とする。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記環状補強手段は、子午面断面における前記カーカスと前記環状補強手段との距離が0.5mm〜10mmの範囲内となる位置に設けられていることを特徴とする。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記環状補強手段は、金属材料により形成されていることを特徴とする。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記カーカスは、さらに前記ビードコアのタイヤ幅方向内方側から前記ビードコアのタイヤ径方向外方側にかけて巻き返されていることを特徴とする。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記ビードコアは、タイヤ幅方向内方側に位置する内側ビードコアと、タイヤ幅方向外方側に位置する外側ビードコアとに2分割されており、前記カーカスは、さらに前記ビードコアのタイヤ幅方向内方側から前記内側ビードコアのタイヤ径方向外方側にかけて巻き返され、またさらに、前記内側ビードコアのタイヤ径方向外方側から前記内側ビードコアのタイヤ幅方向外方側にかけて巻き返されており、且つ、前記カーカスの端部であるカーカス端部は、前記内側ビードコアと前記外側ビードコアとの間に挟み込まれていることを特徴とする。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記カーカスは、前記ベルト層のタイヤ径方向内方側でタイヤ幅方向に分割されていることを特徴とする。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、分割された前記カーカスは、前記ベルト層のタイヤ幅方向における最大幅であるベルト層最大幅の0%〜80%の範囲内の間隔でタイヤ幅方向に離間していることを特徴とする。
本発明に係る空気入りタイヤは、操縦安定性とカーカスの耐久性とを共に向上させることができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。また、本発明に係る空気入りタイヤは、使用時に作用する荷重が比較的小さい乗用車用の空気入りタイヤや、使用時には大きな荷重が作用する重荷重用の空気入りタイヤなどがあるが、以下の説明では、重荷重用の空気入りタイヤについて説明する。
(実施の形態)
以下の説明において、タイヤ幅方向とは、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内方とはタイヤ幅方向において赤道面に向かう方向、タイヤ幅方向外方とは、タイヤ幅方向において赤道面に向かう方向の反対方向をいう。また、タイヤ径方向とは、前記回転軸と直交する方向をいい、タイヤ周方向とは、前記回転軸を回転の中心となる軸として回転する方向をいう。図1は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤの子午面断面の概略図である。この空気入りタイヤ1は、子午面断面で見た場合、タイヤ径方向の最も外側にトレッド部10が形成されており、このトレッド部10の表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)が走行した場合に、路面と接触する部分はトレッド面11として形成されている。このトレッド部10のタイヤ径方向内方側には、ベルト層12が複数設けられている。さらに、トレッド部10のタイヤ幅方向における端部からタイヤ径方向内方側の所定の位置までは、サイドウォール部13が設けられている。
また、このサイドウォール部13のタイヤ径方向内方側には、ビード部14が設けられている。このビード部14は、当該空気入りタイヤ1の2箇所に設けられており、赤道面5を中心として対称になるように、タイヤ幅方向における赤道面5の両側に設けられている。また、この2箇所のビード部14には、それぞれビードコア20が設けられている。さらに、ビード部14のタイヤ径方向内方側の面、即ちビード部14の内周面は、ビードベース15になっている。このビードベース15は、タイヤ幅方向内方側からタイヤ幅方向外方側に向かうに従って、タイヤ径方向外方に向かう方向、つまり、径が大きくなる方向に傾斜している。
また、前記ベルト層12のタイヤ径方向内方、サイドウォール部13の赤道面5側、さらにビード部14には、カーカス30が設けられている。このカーカス30は、ビード部14においては、カーカス30は、ビードコア20のタイヤ幅方向外方側からタイヤ径方向内方側を通り、さらにビードコア20のタイヤ幅方向内方側にかけて巻き返されている。このため、カーカス30の端部のうち、ビード部14付近に位置するカーカス端部であるカーカス外端部31は、ビードコア20から離れた状態で、ビードコア20よりもタイヤ径方向外方に位置している。また、このカーカス30の内側、或いは、当該カーカス30の、空気入りタイヤ1における内部側には、インナーライナ35がほぼカーカス30に沿って形成されている。さらに、ビード部14付近におけるカーカス30のタイヤ幅方向外方で、且つ、ビードコア20よりもタイヤ径方向外方には、タイヤ周方向に沿って環状に形成された環状補強手段である補助環状コア25が設けられている。
また、カーカス30は、ベルト層12のタイヤ径方向内方側で、タイヤ幅方向に分割されている。詳細には、カーカス30は、ベルト層12のタイヤ径方向内方でタイヤ幅方向に分割されており、分割されたカーカス30同士は赤道面5を中心として離間している。つまり、分割されたカーカス30は、それぞれのカーカス30の端部のうち、ベルト層12のタイヤ径方向内方に位置するカーカス端部であるカーカス内端部32同士が、タイヤ幅方向に離れている。なお、タイヤ幅方向に分割されたカーカス30は、双方のカーカス30のカーカス内端部32同士のタイヤ幅方向における間隔Nが、複数設けられたベルト層12のタイヤ幅方向における最大幅であるベルト層最大幅Mの0%〜80%の範囲内となっているのが好ましい。
図2は、図1のA部詳細図である。ビード部14に設けられるビードコア20は、子午面断面で見た形状が、略六角形の形状になっている。詳細には、ビードコア20の内周面であるビードコア内周面21と、ビードコア20の外周面であるビードコア外周面23とが、ビードベース15とほぼ平行になっている。つまり、ビードコア内周面21とビードコア外周面23とは、タイヤ幅方向内方側からタイヤ幅方向外方側に向かうに従って、タイヤ径方向外方に向かうように傾斜している。また、タイヤ径方向において、ビードコア内周面21とビードコア外周面23との双方のタイヤ幅方向の端部の間に位置する角部は、タイヤ幅方向においてビードコア内周面21或いはビードコア外周面23よりも突出している。ビードコア20の子午面断面における形状はこのような形状になっており、タイヤ径方向の幅よりもタイヤ幅方向の幅の方が広くなった六角形の形状で形成されている。前記カーカス30は、このビードコア20のタイヤ幅方向外方側からビードコア内周面21のタイヤ径方向内方側を通り、さらにビードコア20のタイヤ幅方向内方側にかけて巻き返されている。
また、補助環状コア25は、子午面断面においてこのように形成されるビードコア20のいずれの部分よりタイヤ径方向外方に位置しており、さらに、ビードコア20付近に位置するカーカス30のタイヤ径方向外方に位置するように形成されている。また、補助環状コア25の子午面断面の形状は略円形の形状になっており、この形状でタイヤ周方向に沿って環状に形成されている。また、補助環状コア25はスチール鋼からなる単線によって形成されている。なお、補助環状コア25は、スチール鋼以外の材料によって形成されていてもよく、ステンレス鋼やタングステンなど、金属材料であればスチール鋼以外の材料によって形成されていてもよい。また、補助環状コア25は、単線以外により形成されていてもよく、撚り線によって形成されていてもよい。
また、補助環状コア25は、ビードコア内周面21のタイヤ幅方向外方側の端部であるビードコア内周面外側端部22から、補助環状コア25の子午面断面の形状における重心である補助環状コア重心26までのタイヤ径方向における距離Hが、10mm〜40mmの範囲内となる位置に設けられている。さらに、補助環状コア25のタイヤ幅方向における位置は、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ幅方向における距離Wが、8mm〜25mmの範囲内となる位置に設けられている。また、補助環状コア25は、サイドウォール部13及びビード部14のタイヤ幅方向外方側の表面であるタイヤ外表面40と補助環状コア25との子午面断面における距離tが、3mm〜10mmの範囲内となる位置に設けられている。
図3は、図2のB部詳細図である。また、補助環状コア25は、子午面断面における補助環状コア25の形状である円形の直径Dが、6mm〜12mmの範囲になっている。さらに、カーカス30のタイヤ幅方向外方に設けられる補助環状コア25と当該カーカス30とは、子午面断面において若干離れており、これらの距離Zは、0.5mm〜10mmの範囲内になる位置に補助環状コア25は設けられている。
図4は、図1の空気入りタイヤにリムを組付けた状態を示す要部断面図である。この空気入りタイヤ1を車両に装着する際には、まず、空気入りタイヤ1にリム50を組付ける。このリム50は、ビード部14のタイヤ径方向内方に位置するビードベース15とリム50とが嵌合して、ビードベース15とリム50とが密着することにより、空気入りタイヤ1に組みつけられる。その際に、リム50に設けられるリムフランジ51は、タイヤ幅方向における両端に位置し、ビード部14付近のタイヤ外表面40に接触している。補助環状コア25は、このように空気入りタイヤ1に組みつけられた状態におけるリムフランジ51よりも、タイヤ径方向外方に位置している。
この状態でインフレートし、空気入りタイヤ1に内圧を掛けると、空気入りタイヤ1には、子午面断面におけるカーカス30の略形成方向の張力が作用し、この張力は、カーカス30に対しても作用する。カーカス30は、ビードコア20のタイヤ幅方向外方側からタイヤ径方向内方側を通り、さらに、タイヤ幅方向内方にかけて巻き返されているので、このように、カーカス30に張力が作用すると、この張力は、ビードコア20のタイヤ幅方向外方の部分を支点にして、タイヤ幅方向内方側の部分をタイヤ径方向内方側に回転させる回転モーメントとしてビードコア20に対して作用する。ビードコア20に対して、このように回転モーメントが作用した場合には、ビードベース15のタイヤ幅方向内方側の部分はリム50に押し付けられることになるので、リム50に対するビードベース15の接触圧は維持される。これにより、空気入りタイヤ1は、より強固にリム50に対して嵌合されるので、操縦安定性は確保される。
また、このように、リム50が組付けられた空気入りタイヤ1を車両に装着して走行すると、トレッド部10が有するトレッド面11のうち下方に位置するトレッド面11が路面(図示省略)に接触しながら当該空気入りタイヤ1は回転する。車両走行時には、このようにトレッド面11が路面に接触するため、空気入りタイヤ1には、リム50が組付けられているビード部14付近からトレッド部10にかけて、車両の重量などによる荷重が作用する。
この荷重は、トレッド部10とリム50とのタイヤ径方向における距離を縮める方向の力となり、ビード部14付近では、リム50からタイヤ径方向外方に向けて作用する荷重となる。さらに、リムフランジ51は、当該リムフランジ51に接触しているタイヤ外表面40に対して、タイヤ径方向外方に作用する荷重を与える。ここで、ビードコア20のタイヤ幅方向外方に位置するカーカス30のタイヤ幅方向外方には、タイヤ周方向に沿って形成された補助環状コア25が設けられている。このため、リムフランジ51から与えられたタイヤ周方向外方に作用する荷重は、この補助環状コア25で受けることができる。これにより、リムフランジ51からタイヤ外表面40を介してタイヤ径方向外方に作用する荷重を受けた場合でも、補助環状コア25のタイヤ幅方向内方に位置するカーカス30にはほとんど影響を与えず、この荷重によってカーカス30が変形することを抑制することができる。これにより、操縦安定性及びカーカス30の耐久性の向上を図ることができる。
また、車両の走行時には、リムフランジ51から空気入りタイヤ1には荷重が繰り返されて作用するが、この荷重が繰り返し作用した場合でも、この荷重を補助環状コア25で受けることができるので、カーカス30に作用することを抑制できる。このため、カーカス30にリムフランジ51からの荷重が繰り返し作用することに起因して、カーカス30が繰り返し変形をすることを抑制できる。これにより、カーカス30の耐久性の向上を図ることができる。これらの結果、操縦安定性とカーカス30の耐久性とを共に向上させることができる。
また、ビードコア20は、子午面断面における形状が、タイヤ径方向の幅よりもタイヤ幅方向の幅の方が広くなっているため、カーカス30に張力が発生してビードコア20に回転モーメントが発生する際に、より大きな回転モーメントが発生する。これにより、ビードベース15はより確実にリム50に押し付けられ、リム50に対するビードベース15の接触圧は、より確実に維持される。このため、空気入りタイヤ1は、より強固にリム50に対して嵌合される。この結果、より確実に操縦安定性の向上を図ることができる。
また、補助環状コア25を、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ径方向における距離Hが、10mm〜40mmの範囲内となる位置に設けているので、より確実に、操縦安定性とカーカス30の耐久性とを共に向上させることができる。つまり、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ径方向における距離Hを10mm以上にすることにより、補助環状コア25とリムフランジ51との間に位置するゴムが所定の厚さになるように、このゴムの厚さを確保することができる。これにより、リムフランジ51からタイヤ径方向外方の荷重が作用した場合に、この部分のゴムの厚さが薄過ぎることに起因して補助環状コア25とリムフランジ51との間に位置するゴムにクラックが発生することを抑制することができる。
また、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ径方向における距離Hを40mm以下にすることにより、より確実に補助環状コア25を、タイヤ径方向外方におけるリムフランジ51の近傍に位置させることができる。これにより、空気入りタイヤ1に対してリムフランジ51からタイヤ径方向外方に作用する荷重を、より確実に補助環状コア25で受けることができ、この荷重によるカーカス30の変形を、より確実に抑制することができる。従って、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ径方向における距離Hが10mm〜40mmの範囲内となる位置に補助環状コア25を設けることにより、リムフランジ51から空気入りタイヤ1に作用する荷重によるリムフランジ51近傍のゴムの破損を抑制すると共に、この荷重を、より確実に補助環状コア25で受けることができる。この結果、より確実に、操縦安定性とカーカス30の耐久性とを向上させることができると共に、ビード部14の耐久性の向上を図ることができる。
また、補助環状コア25を、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ幅方向における距離Wが、8mm〜25mmの範囲内となる位置に設けているので、操縦安定性とカーカス30の耐久性とを、より確実に向上させることができる。つまり、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ幅方向における距離Wを8mm以上にすることにより、補助環状コア25がビードコア20に近付き過ぎることを抑制し、より確実にカーカス30の変形を抑制することができる。即ち、補助環状コア25がタイヤ幅方向においてビードコア20に近付き過ぎる場合には、補助環状コア25はビードコア20の近傍に位置するカーカス30の変形を抑制するのみで、ビードコア20から離れた部分に位置するカーカス30の変形を抑制することが困難になる虞がある。
また、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ幅方向における距離Wを25mm以下にすることにより、より確実に補助環状コア25をリムフランジ51よりもタイヤ幅方向内方側に位置させることができ、リムフランジ51から空気入りタイヤ1に作用する荷重を、より確実に補助環状コア25で受けることができる。これにより、より確実にカーカス30の変形を抑制することができる。従って、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ幅方向における距離Wが8mm〜25mmの範囲内となる位置に補助環状コア25を設けることにより、より確実にカーカス30の変形を抑制することができる。この結果、操縦安定性とカーカス30の耐久性とを、より確実に向上させることができる。
また、補助環状コア25を、タイヤ外表面40と補助環状コア25との子午面断面における距離tが3mm〜10mmの範囲内となる位置に設けているので、重量の増加を抑制しつつ、ビード部14の耐久性を向上させることができる。つまり、タイヤ外表面40と補助環状コア25との子午面断面における距離tを3mm以上にすることにより、補助環状コア25とタイヤ外表面40との間に位置するゴムが所定の厚さになるように、このゴムの厚さを確保することができる。これにより、リムフランジ51からタイヤ径方向外方の荷重が作用した場合に、この部分のゴムの厚さが薄過ぎることに起因して補助環状コア25とタイヤ外表面40との間に位置するゴムにクラックが発生することを抑制することができる。
また、タイヤ外表面40と補助環状コア25との子午面断面における距離tを10mm以下にすることにより、補助環状コア25とタイヤ外表面40との間に位置するゴムの厚さが厚くなり過ぎることを抑制することができ、このゴムの厚さが厚くなり過ぎることに起因して空気入りタイヤ1の重量が重くなり過ぎることを抑制することができる。これらの結果、タイヤ外表面40と補助環状コア25との子午面断面における距離tが3mm〜10mmの範囲内となる位置に補助環状コア25を設けることにより、重量の増加を抑制しつつ、ビード部14の耐久性を向上させることができる。
また、補助環状コア25を、子午面断面における補助環状コア25の形状である円形の直径Dが6mm〜12mmの範囲内になるように形成しているので、重量の増加を抑制しつつ、操縦安定性とカーカス30の耐久性とを、より確実に向上させることができる。つまり、補助環状コア25の直径Dを6mm以上にすることにより、より確実に補助環状コア25の剛性を確保することができ、リムフランジ51からタイヤ径方向外方の荷重が作用した場合でも、より確実にカーカス30の変形を抑制することができる。
また、補助環状コア25の直径Dを12mm以下にすることにより、補助環状コア25が必要以上に大きくなることを抑制することができ、補助環状コア25が大きくなり過ぎることに起因して補助環状コア25の重量が重くなり過ぎることを抑制できる。これにより、空気入りタイヤ1全体の重量が重くなり過ぎることを抑制することができる。これらの結果、子午面断面における直径Dを6mm〜12mmの範囲になるように補助環状コア25を形成することにより、重量の増加を抑制しつつ、操縦安定性とカーカス30の耐久性とを、より確実に向上させることができる。
また、補助環状コア25とカーカス30との子午面断面における距離Zが0.5mm〜10mmの範囲内となる位置に補助環状コア25を設けているので、ビード部14付近のカーカス30や補助環状コア25の耐久性の向上を図ることができる。つまり、補助環状コア25とカーカス30との距離Zを0.5mm以上にすることにより、カーカス30と補助環状コア25とが直接接触することを抑制することができるので、これらの破損を抑制することができる。即ち、補助環状コア25がカーカス30に直接接触する場合には、接触時の圧力によってカーカス30や補助環状コア25と、これらの周囲でこれらを被服しているゴムとが離れ、いわゆるセパレーションが発生する虞がある。
また、補助環状コア25とカーカス30との距離Zを10mm以下にすることにより、カーカス30と補助環状コア25との距離を適切な距離にすることができるので、補助環状コア25を設けることに起因して、カーカス30が設けられている形状であるカーカスラインに不自然な湾曲が生じることを抑制することができる。即ち、補助環状コア25とカーカス30との距離Zを10mm以上にした場合には、カーカスラインが不自然に湾曲して補助環状コア25から離れる虞があり、このように不自然な湾曲がある場合には、応力集中が発生し易く、カーカス30の耐久性が低減する虞がある。そこで、補助環状コア25とカーカス30との子午面断面における距離Zが0.5mm〜10mmの範囲内となる位置に補助環状コア25を設けることにより、セパレーションを抑制し、カーカス30の耐久性が低減することを抑制することができる。この結果、ビード部14付近のカーカス30や補助環状コア25の耐久性の向上を図ることができる。
また、補助環状コア25は金属材料により形成されているので、より確実に剛性を確保することができ、リムフランジ51からタイヤ径方向外方の荷重が作用した場合でも、この荷重をより確実に受けることができる。これにより、より確実にカーカス30の変形を抑制することができる。この結果、操縦安定性とカーカス30の耐久性とを、より確実に向上させることができる。
また、カーカス30は、ベルト層12のタイヤ径方向内方側で、タイヤ幅方向に分割されているので、カーカス30をビードコア20のタイヤ幅方向外方側からタイヤ径方向内方側を通り、さらにタイヤ幅方向内方側にかけて巻き返す場合に、より容易にカーカス30を設けることができる。つまり、空気入りタイヤ1の製造時においてカーカス30をビードコア20に巻き返す際には、カーカス30はタイヤ幅方向内方側からタイヤ幅方向外方側に巻き返して設ける。詳細には、カーカス30を設ける際には、カーカス外端部31からビード部14付近に配設した後ビードコア20を設け、このビードコア20に対してカーカス30をタイヤ幅方向内方側からタイヤ幅方向外方にかけて巻き返して設けた後、カーカス内端部32を赤道面5方向に位置させる。このように、カーカス30は、ビード部14付近では、ビードコア20のタイヤ幅方向内方側から先に配設するので、カーカス30をビードコア20のタイヤ幅方向外方側からタイヤ幅方向内方側にかけて巻き返す際には、タイヤ幅方向に分割することにより、より容易にカーカス30を設けることができる。この結果、製造コストの低減を図ることができる。
また、タイヤ幅方向に分割されたカーカス30は、ベルト層最大幅Mの0%〜80%の範囲内の間隔でタイヤ幅方向に離間しているので、カーカス30とベルト層12とによる空気入りタイヤ1の形状を保持する機能を確保することができる。つまり、タイヤ幅方向に分割されたカーカス30を、ベルト層最大幅Mの80%以下の間隔で離間させることにより、カーカス30同士が離間している場合においてもカーカス30とベルト層12とがタイヤ径方向において重なる部分を確保することができる。これにより、カーカス30をタイヤ幅方向に分割した場合においても、分割されたカーカス30のカーカス内端部32同士の間隔Nを、ベルト層最大幅Mの0%〜80%の範囲内になるようにすることにより、カーカス30とベルト層12とによる空気入りタイヤ1の形状を保持する機能を確保することができる。この結果、カーカス30を分割して製造コストを低減した場合における、空気入りタイヤ1の性能をより確実に確保することができる。
図5は、実施の形態に係る空気入りタイヤの変形例を示す図である。なお、上述した空気入りタイヤ1は、カーカス30はビード部14でビードコア20のタイヤ幅方向外方側からタイヤ幅方向内方側にかけて巻き返され、カーカス外端部31はビードコア20から離れてビードコア20よりもタイヤ径方向外方に位置しており、ビードコア20には接触していないが、カーカス外端部31は、ビードコア20に接触させてもよい。例えば、図5に示すように、カーカス30をビード部14でビードコア20のタイヤ幅方向外方側からタイヤ径方向内方側、さらに、タイヤ幅方向内方側を通り、タイヤ径方向外方側にかけて巻き返してもよい。これにより、カーカス外端部31は、ビードコア外周面23に接触することになる。従って、カーカス外端部31はビードコア20と一体化されるので、カーカス外端部31付近に荷重が作用した場合でも、カーカス外端部31と周囲のゴムとの間でセパレーションが発生することを抑制することができる。この結果、ビード部14付近のカーカス30の耐久性の向上を図ることができる。
図6は、実施の形態に係る空気入りタイヤの変形例を示す図である。また、カーカス外端部31は、ビードコアで挟み込んでもよい。例えば、図6に示すように、ビードコア60をタイヤ幅方向において2分割し、2分割したビードコア60の間にカーカス外端部31を挟み込んでよい。詳細には、ビードコア60を、タイヤ幅方向内方側に位置する内側ビードコア61と、タイヤ幅方向外方側に位置する外側ビードコア62とに2分割する。カーカス30は、ビードコア60のタイヤ幅方向外方側からタイヤ径方向内方側、さらに、タイヤ幅方向内方側を通り、内側ビードコア61のタイヤ径方向外方側にかけて巻き返され、またさらに、内側ビードコア61のタイヤ径方向外方側から内側ビードコア61のタイヤ幅方向外方側に巻き返されている。このため、カーカス外端部31は、内側ビードコア61のタイヤ幅方向外方側に位置しており、この位置で、カーカス外端部31は、内側ビードコア61と外側ビードコア62との間に挟み込まれている。
これにより、カーカス30は、子午面断面において内側ビードコア61のほぼ全周にかけて巻き返されている。従って、カーカス30に張力が発生し、この張力がビードコア60に対して、ビードコア20のタイヤ幅方向外方の部分を支点にして、タイヤ幅方向内方側の部分をタイヤ径方向内方側に回転させる回転モーメントとして作用した場合に、より大きな回転モーメントになるので、リム50に対するビードベース15の接触圧を、より高くすることができる。この結果、より確実に操縦安定性の向上を図ることができる。
また、上述した空気入りタイヤ1は、子午面断面における補助環状コア25の形状は略円形の形状になっているが、補助環状コア25の断面形状は円形以外の形状でもよい。例えば、六角形などの多角形や、楕円形などの断面形状で補助環状コア25は形成されていてもよい。
また、上述した空気入りタイヤ1は、重荷重用空気入りタイヤを説明しているため、子午面断面におけるビードコア20の形状はタイヤ径方向の幅よりもタイヤ幅方向の幅の方が広くなった六角形の形状で形成されているが、ビードコア20の形状は六角形以外の形状で形成されていてもよく、子午面断面におけるビードコア20のタイヤ幅方向の幅はタイヤ径方向の幅に対して必ずしも広くなくてもよい。例えば、空気入りタイヤ1の使用時における荷重が比較的小さい乗用車用の空気入りタイヤ1が有するビードコア20など、子午面断面における形状が略矩形の形状で形成されていてもよく、また、子午面断面におけるビードコア20のタイヤ幅方向の幅とタイヤ径方向の幅とは同程度でもよい。
また、図6では、ビードコア60をタイヤ幅方向に分割しているが、ビードコアを分割する際には、タイヤ幅方向以外の方向に分割してもよい。例えば、ビードコアは、タイヤ径方向に分割してもよい。このように、ビードコアをタイヤ幅方向以外の方向に分割した場合でも、分割したビードコア同士の間にカーカス外端部31が挟み込まれるようにカーカス30を配設することにより、カーカス30に張力が作用した際に、ビードコアに発生する回転モーメントを大きくすることができる。これにより、リム50に対するビードベース15の接触圧を、より高くすることができる。この結果、より確実に操縦安定性の向上を図ることができる。
以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来の空気入りタイヤと本発明の空気入りタイヤ1とについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、操縦安定性と、カーカスの耐久性についての評価試験となるカーカス強力の2項目について行なった。
試験方法は、275/70R22.5サイズの空気入りタイヤ1を22.5×7.50のリム50に組み付け、この空気入りタイヤ1を装着した車両でテスト走行をすることによって行なった。各試験項目の評価方法は、操縦安定性については、上記の車両でスラロームやレーンチェンジを含むテスト走行をすることによって行なった。評価方法は、テスト走行時の操縦安定性を3人ドライバーの官能評価によって評価し、後述する比較例の操縦安定性を5とした指数で示した。指数が高いほど操縦安定性が高いことを示している。
また、カーカス強力については、上記の車両で、空気入りタイヤ1に正規荷重の140%の荷重をかけた状態で40000km走行し、走行後のカーカス30を取り出してカーカス強力を測定することによって行なった。つまり、テスト走行を行なった後のカーカス30を取り出して引張り試験を行い、引張り試験によって破断した際の荷重をカーカス強力として評価し、後述する比較例のカーカス強力を100とした指数で示した。指数が高いほどカーカス強力が高いことを示している。なお、ここでいう正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
試験を行なう空気入りタイヤ1は、比較例が1種類、そして、3種類の本発明を、上記の方法で試験する。本発明1〜3と比較する従来の空気入りタイヤ1の一例である比較例は、カーカス30がビードコア20のタイヤ幅方向外方側からタイヤ幅方向内方側にかけて巻き返され、また、カーカス外端部31がビードコア20から離れてビードコア20のタイヤ径方向外方に位置している。また、補助環状コア25は設けられていない。
これに対し、本発明1は、比較例と同様にカーカス30はビードコア20に巻き返され、カーカス外端部31はビードコア20から離れてビードコア20のタイヤ径方向外方に位置しており、さらに、ビード部14付近に位置するカーカス30のタイヤ幅方向外方には補助環状コア25が設けられている。この補助環状コア25の位置は、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ径方向における距離Hが15mmになっており、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ幅方向における距離Wが10mmになっており、タイヤ外表面40と補助環状コア25との距離tが4mmになっており、補助環状コア25の形状である円形の直径Dが6mmになっており、補助環状コア25とカーカス30との距離Zが1.0mmになっている。
また、本発明2は、カーカス30がビードコア20のタイヤ幅方向外方側からタイヤ幅方向内方側にかけて巻き返され、さらに、ビードコア20のタイヤ径方向外方側に巻き返され、カーカス外端部31はビードコア外周面23に接触している。また、ビード部14付近に位置するカーカス30のタイヤ幅方向外方には、本発明1と同様に補助環状コア25が設けられている。この補助環状コア25の位置は、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ径方向における距離Hが25mmになっており、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ幅方向における距離Wが17mmになっており、タイヤ外表面40と補助環状コア25との距離tが8mmになっており、補助環状コア25の形状である円形の直径Dが8mmになっており、補助環状コア25とカーカス30との距離Zが2.0mmになっている。
また、本発明3は、ビードコア60が内側ビードコア61と外側ビードコア62とに分割されており、カーカス30はビードコア60のタイヤ幅方向外方側からタイヤ幅方向内方側にかけて巻き返され、さらに、内側ビードコア61のタイヤ径方向外方側に巻き返され、またさらに、内側ビードコア61のタイヤ幅方向外方に巻き返されている。これにより、カーカス外端部31は、内側ビードコア61と外側ビードコア62との間に挟み込まれている。また、ビード部14付近に位置するカーカス30のタイヤ幅方向外方には、本発明1や本発明2と同様に、補助環状コア25が設けられている。この補助環状コア25の位置は、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ径方向における距離Hが35mmになっており、ビードコア内周面外側端部22から補助環状コア重心26までのタイヤ幅方向における距離Wが24mmになっており、タイヤ外表面40と補助環状コア25との距離tが6mmになっており、補助環状コア25の形状である円形の直径Dが10mmになっており、補助環状コア25とカーカス30との距離Zが4.0mmになっている。
これらの比較例、及び本発明1〜3の空気入りタイヤ1を上記の方法で評価試験をし、得られた結果を表1−1及び表1−2に示す。表1−1は、比較例及び本発明1の試験結果を表示しており、表1−2は、本発明2及び本発明3の試験結果を表示している。
Figure 2007055446
Figure 2007055446
表1−1及び表1−2に示した上記の試験結果で明らかなように、ビード部14付近に位置するカーカス30を、ビードコア20のタイヤ幅方向外方側からビードコア20のタイヤ径方向内方側を通り、さらに、ビードコア20のタイヤ幅方向内方側にかけて巻き返すことにより、インフレートしてカーカス30に張力が発生した際に、ビードコア20に対して、タイヤ幅方向内方側の部分をタイヤ径方向内方側に回転させる回転モーメントを発生させることができ、リム50に対するビードベース15の接触圧を高くすることができる。これにより、操縦安定性の向上を図ることができる。
また、ビード部14付近に位置するカーカス30のタイヤ幅方向外方に、補助環状コア25を設けているので、リムフランジ51からタイヤ径方向外方に作用する荷重を、補助環状コア25で受けることができる。これにより、リムフランジ51からの荷重によってカーカス30が変形することを抑制することができ、操縦安定性の向上を図ることができる。さらに、リムフランジ51からの荷重を補助環状コア25で受けてカーカス30の変形を抑制することにより、空気入りタイヤ1の転動時にカーカス30がリムフランジ51からの荷重を繰り返し受けることに起因してカーカス30が繰り返し変形することを抑制できる。これにより、カーカス強力の向上を図ることができ、カーカス30の耐久性の向上を図ることができる。これらの結果、操縦安定性とカーカス30の耐久性とを共に向上させることができる。
以上のように、本発明に係る空気入りタイヤは、ビードコアにカーカスを巻き返す空気入りタイヤに有用であり、特に、重荷重用空気入りタイヤに適している。
本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤの子午面断面の概略図である。 図1のA部詳細図である。 図2のB部詳細図である。 図1の空気入りタイヤにリムを組付けた状態を示す要部断面図である。 実施の形態に係る空気入りタイヤの変形例を示す図である。 実施の形態に係る空気入りタイヤの変形例を示す図である。
符号の説明
1 空気入りタイヤ
5 赤道面
10 トレッド部
11 トレッド面
12 ベルト層
13 サイドウォール部
14 ビード部
15 ビードベース
20 ビードコア
21 ビードコア内周面
22 ビードコア内周面外側端部
23 ビードコア外周面
25 補助環状コア
26 補助環状コア重心
30 カーカス
31 カーカス外端部
32 カーカス内端部
35 インナーライナ
40 タイヤ外表面
50 リム
51 リムフランジ
60 ビードコア
61 内側ビードコア
62 外側ビードコア

Claims (11)

  1. タイヤ幅方向の両端に位置するサイドウォール部と、前記サイドウォール部のタイヤ径方向に内方に位置すると共にビードコアが設けられたビード部と、前記ビード部で前記ビードコアに巻き返されるカーカスと、前記カーカスよりもタイヤ径方向外方に設けられるベルト層と、を有する空気入りタイヤにおいて、
    前記カーカスは、前記ビードコアのタイヤ幅方向外方側から前記ビードコアの内周面であるビードコア内周面のタイヤ径方向内方側を通り、さらに前記ビードコアのタイヤ幅方向内方側にかけて巻き返されており、
    前記カーカスのタイヤ幅方向外方で、且つ、前記ビードコアよりもタイヤ径方向外方には、タイヤ周方向に沿って環状に形成された環状補強手段が設けられていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記環状補強手段は、子午面断面において前記ビードコア内周面のタイヤ幅方向外方側の端部から、前記環状補強手段の重心までのタイヤ径方向における距離が10mm〜40mmの範囲内となる位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記環状補強手段は、子午面断面において前記ビードコア内周面のタイヤ幅方向外方側の端部から、前記環状補強手段の重心までのタイヤ幅方向における距離が8mm〜25mmの範囲内となる位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記環状補強手段は、子午面断面における形状が円形になっており、前記円形の直径は6mm〜12mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記環状補強手段は、前記サイドウォール部及び前記ビード部のタイヤ幅方向外方側の表面であるタイヤ外表面と前記環状補強手段との子午面断面における距離が3mm〜10mmの範囲内となる位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記環状補強手段は、子午面断面における前記カーカスと前記環状補強手段との距離が0.5mm〜10mmの範囲内となる位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記環状補強手段は、金属材料により形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記カーカスは、さらに前記ビードコアのタイヤ幅方向内方側から前記ビードコアのタイヤ径方向外方側にかけて巻き返されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記ビードコアは、タイヤ幅方向内方側に位置する内側ビードコアと、タイヤ幅方向外方側に位置する外側ビードコアとに2分割されており、
    前記カーカスは、さらに前記ビードコアのタイヤ幅方向内方側から前記内側ビードコアのタイヤ径方向外方側にかけて巻き返され、またさらに、前記内側ビードコアのタイヤ径方向外方側から前記内側ビードコアのタイヤ幅方向外方側にかけて巻き返されており、且つ、前記カーカスの端部であるカーカス端部は、前記内側ビードコアと前記外側ビードコアとの間に挟み込まれていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記カーカスは、前記ベルト層のタイヤ径方向内方側でタイヤ幅方向に分割されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  11. 分割された前記カーカスは、前記ベルト層のタイヤ幅方向における最大幅であるベルト層最大幅の0%〜80%の範囲内の間隔でタイヤ幅方向に離間していることを特徴とする請求項10に記載の空気入りタイヤ。
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