JP2007055325A - 車両用乗降ステップ装置 - Google Patents

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雄太 岩崎
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昌樹 小林
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Abstract

【課題】 可動ステップの展開・格納作動時の利便性を向上させる。また、装置全体の大きさをコンパクトにして車両床下への搭載性を良好とし、格納状態において外部から視認し難くして見栄えを良好な車両用乗降ステップ装置を提供する。
【解決手段】 可動ステップ50と、可動ステップ50を車両床下にある格納位置と車両外側にある展開位置との間で移動させる展開格納部30と、展開格納部30を駆動する駆動部20を備えた車両用乗降ステップ装置Sであって、可動ステップ50が、下端側が上端側よりも車両外側に位置するように地表面に対して傾斜したアーム軸43まわりに回動されるアーム部材46の端部に取り付けられる。可動ステップ50は、アーム軸43の回動に基づき、展開位置に移動するときに車両外側において上昇されるので、展開位置を車両側面の下端部を通過するときの位置よりも高い位置とすることができる。
【選択図】 図8

Description

本発明は、車両用乗降ステップ装置に係り、特に、車両での乗員の乗降を補助するための可動式のステップ構造を備えた車両用乗降ステップ装置に関する。
一般に、ワンボックスカー等の車両においては、車室のフロアが比較的高く設定されている。このため、車両乗降口において、乗降時に可動ステップや補助ステップを車両床下から車両外側へ展開させて乗降を補助するように構成された車両用乗降ステップ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−123835公報(第3−5頁、図1−図2)
特許文献1に記載の構成は、可動ステップの幅方向の両側端部を略L型のアームによって回動可能に取付けたものであり、格納状態では上下高さがなくなるようにアームを寝かした状態とすることによって可動ステップを車両床下に近い位置に引き上げて保持し、展開状態ではアームを立てる方向に回動させて可動ステップをアームの長さ分だけ長手方向に移動させつつ、車両外側かつ下側へ押し出すように構成されている。
車両床下にステップ装置を配設する際には、地上物との接触を避けるために、所定の地上高を確保する必要がある。しかしながら、特許文献1の構成は、ステップ板の水平移動及び上下移動のストロークがアーム形状によって規制されている。そして、展開時には水平なステップ板が下方に移動しながら車両外側へ移動するので、展開状態におけるステップ板の踏み面の高さが、車体側面下方に設けられたサイドシルの下端部の位置よりも低い位置となる。
つまり、特許文献1の構成では、格納状態におけるステップ板の最低地上高を低くしないという課題はクリアされているが、展開状態におけるステップ面の最大高さが車体側の形状によって制限されているので、展開状態においてステップ面と車両乗降口との段差が大きい場合にステップ板の高さを高くしようとすると、車体側(サイドシル)の設計変更が必要という問題点があった。
また、上記のようなステップ装置は、既設の燃料タンク等の構造物を避けて車両床下に配設する必要がある。しかしながら、特許文献1の構成では、構成が複雑でアームを駆動する駆動部が可動ステップの長手方向の一端からさらに外側へ突出するように配設されているため、装置が大型化してしまうという不都合があった。このため、車両床下に装置を配設した場合には、格納状態において装置が外部から見えて見栄えが悪くなってしまったり、搭載スペースとの関係から搭載車種が制限されてしまったりするという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、装置全体の大きさをコンパクトにして車両床下への搭載性を良好とし、可動ステップを格納状態において外部から視認しにくいようにして見栄えを良好とすると共に、車体側面部の最低地上高よりも高い位置に可動ステップを展開させることを可能として乗降時の利便性を向上させた車両用乗降ステップ装置を提供することにある。
前記課題は、本発明によれば、乗降を補助するための可動ステップと、該可動ステップを車両床下に格納された格納位置と車両外側に展開された展開位置との間で移動させる展開格納部と、該展開格納部を駆動する駆動部と、を備えた車両用乗降ステップ装置であって、前記展開格納部は、一端部が前記可動ステップと回動可能に連結されたアーム部材と、該アーム部材の他端部から延出するアーム軸に連結された駆動機構と、を備え、該駆動機構は、前記駆動部からの駆動力によって、前記アーム軸を軸方向に移動させると共に軸中心まわりに回動させることにより、前記可動ステップを前記格納位置と前記展開位置との間で移動可能に構成され、前記アーム軸は、下端側が上端側よりも車両外側に位置するように地表面に対して傾斜して設けられ、前記展開格納部は、前記可動ステップが車両外側において前記展開位置まで移動するときに、前記アーム軸の軸中心まわりの回動に基づいて前記可動ステップを上昇させることにより解決される。
このように、本発明では、可動ステップを車両床下の奥まった位置にある格納位置と、車両外側の展開位置と、の間で移動させて展開格納させることができる。従って、格納時に外部から視認しにくくなり、装置の見栄えを向上させることができる。
また、本発明では、可動ステップをアーム部材を介してアーム軸に連結してアーム軸に駆動機構を連結しており、アーム軸を軸方向に移動させると共に軸中心まわりに回動させることにより格納位置と展開位置との間で移動させることができる。つまり、直線移動と略円弧状の軌道上の移動とを組み合わせた動きで可動ステップを移動させることにより、可動ステップを車両外側と車両床下との間で展開格納させることができる。
このように構成すると、駆動機構の車両水平方向の奥行き,幅をコンパクトにまとめることができ、装置を車両床下の限られたスペースに容易に配設することができる。また、可動ステップの上下移動のストロークおよび車両外側への移動(水平移動)のストロークを確保することが可能であるので、可動ステップの格納時に外部から装置を視認しにくくすることができ、見栄えを向上させることが可能となる。
そして、本発明では、アーム軸を下端側が上端側よりも車両外側に位置するように傾けて設置したことにより、車両外側において可動ステップが展開位置まで移動されるときに、可動ステップが略円弧状の傾斜した軌道上を移動して上昇される。このように本発明では、簡易な構成によって、可動ステップの展開位置におけるステップ高さを車両外側における最低地上高よりも高い位置とすることができる。従って、乗降時の利便性を向上させることができる。
また、可動ステップを車両外側に出現させたのちに上昇させることができるので、車両側面部の下端位置が低くても展開位置におけるステップ高さを確保することができる。つまり、車両側面部の構成によらずステップ高さを確保することができるので、装置の車種展開が可能となる。
また、本発明において、前記可動ステップは、展開位置においてステップ面が前記アーム部材よりも水平に近い角度となるように前記アーム部材に連結されていると好適である。このようにすると、展開位置においてアーム部材が水平となっていなくても、その先端に取り付けられた可動ステップのステップ面はより水平に近い姿勢となるので、乗降時の利便性が向上される。
また、本発明において、前記駆動機構は、前記アーム軸が、前記可動ステップが前記格納位置にあるときに最上位置に位置され、前記可動ステップが前記展開位置にあるときに最下位置に位置されるように構成されていると好適である。
このように、本発明では、アーム軸の下端側が車両外側を向くように傾斜して設けているので、アーム軸を軸中心まわりに回動させて可動ステップを格納位置側に移動させると、アーム軸の傾斜角度に応じて可動ステップが降下する。そこで、回動に基づく可動ステップの降下量が最も大きい格納状態において、アーム軸を最上位置まで軸方向移動させるようにすれば、格納状態において装置の最下点の地上高を確保することができ、地上物との接触を防止することができる。また、格納状態において可動ステップが外部から見えない位置まで上昇させることができ、装置の見栄えが悪くなることがない。
また、本発明において、前記駆動機構は、前記可動ステップが、前記格納位置にあるときに、車両外側における前記可動ステップの最下位置よりも上方に位置するように構成されていると好適である。このような構成により、可動ステップは格納位置において車両外側よりも高い位置に格納される。従って、格納状態で装置をより確実に外部から見えない状態にすることができる。
また、本発明において、前記アーム部材は前記可動ステップのステップ幅方向に離間されて複数配設されると共に、該複数のアーム部材にそれぞれ対応して前記駆動機構が複数配設される。このように、複数のアーム部材によって支持することにより、乗降時の安定性が向上する。また、ステップ幅方向に離間された複数のアーム部材の先端に可動ステップを連結しているので、展開格納時に可動ステップを平行移動させることができる。
また、本発明において、前記駆動機構は、前記アーム軸の軸方向移動および軸中心まわりの回動を同時に行うことが可能に形成される。このように構成すると、格納位置から展開位置までの展開時間を短くして、可動ステップをすばやく展開させることができる。
また、本発明において、前記駆動機構は、より具体的には、前記アーム軸の上端側から径方向外側に延出する被案内部材と、前記アーム軸の径方向外側に該アーム軸回りに螺旋状に形成された案内面を有するカム部材と、前記駆動部と前記アーム軸とを連結し前記駆動部からの駆動力によって前記アーム軸を回動させる駆動力伝達機構と、を備え、前記駆動機構は、前記アーム軸が回動したときに前記被案内部材が前記案内面を案内されることにより、前記案内面の傾斜角度に応じたストロークで前記アーム軸を軸方向移動させるように構成される。このように構成すると、案内面の傾斜角度によりストロークの調整が可能となる。
本発明によれば、以下のような効果を奏する。
(イ)本発明では、アーム軸の下端側を車両外側に向けて傾けた構成により、可動ステップが車両外側を前記展開位置まで移動するときに傾斜軌道に沿って上昇される。これにより、可動ステップの展開位置におけるステップ高さを車両外側における最低地上高よりも高い位置とすることができる。従って、乗降時の利便性を向上させることができる。
(ロ)本発明では、格納状態においてアーム軸を最上位置まで軸方向移動させる。これにより、格納状態において装置の最下位置の地上高を確保することができ、装置と地上物との接触を防止することができる。また、格納状態において可動ステップが外部から見えない位置まで上昇させることができる。従って、装置の見栄えが悪くなることがない。
(ハ)本発明では、可動ステップが、展開位置においてステップ面が前記アーム部材よりも水平に近い角度となるように前記アーム部材に連結されているので、可動ステップのステップ面をより水平に近い姿勢とすることができ、乗降時の利便性が向上される。
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
図1〜図12は本発明の一実施形態の車両用乗降ステップ装置に係るものであり、図1は可動ステップが展開した状態を示す説明図、図2は車両用乗降ステップ装置の斜視図、図3は車両用乗降ステップ装置の断面説明図、図4は上側から見た説明図、図5は作動機構の要部説明図、図6は図5の分解図、図7は可動ステップの動作範囲を示す説明図、図8は車両用乗降ステップ装置を側部から見た説明図、図9は電気的構成の説明図、図10は格納状態の説明図、図11は展開動作中の説明図、図12は展開状態の説明図である。
また、図13は比較例の車両用乗降ステップ装置を側部から見た説明図、図14は他の実施形態に係る車両用乗降ステップ装置を側部から見た説明図である。
本実施形態に係る車両用乗降ステップ装置Sは、例えば、ワンボックスカーや、いわゆるミニバン、トラック等のように、地上から乗降口が高い位置にある車両に好適に搭載されるものである。
図1は車両用乗降ステップ装置S(以下「装置S」という)を車両1の左側後部乗降口に適用した例を示すものである。図1に示すように、装置Sは車両1の床下に配設され、ドア2の開閉動作に連動して可動ステップ50を展開・格納させるように構成されている。すなわち、本例では、ドア2が閉じた状態では可動ステップ50が床下の格納位置に保持され、ドア2が開くと可動ステップ50が車両1の車両外側の展開位置まで展開する。
図2に示すように本例の装置Sは、車両1に取付けるための支持部材10に駆動部20,展開格納部30等が配設された構成であり、ユニット化された状態で車両1に取付けることが可能である。装置Sは、支持部材10を車両床下にボルト等で固定することにより車両1に取付けることができる。
本例の装置Sでは、駆動部20が作動することによって展開格納部30が駆動し、展開格納部30によって可動ステップ50が格納位置(一点鎖線で表示)から展開位置(実線で表示)まで移動させることができるようになっている。
支持部材10は、剛性を有する板状部材から形成されたものであり、地表面および車両1に対して傾斜した状態で車両1の床下に取付けられる本体部11と、本体部11の平面部分の一部を切り欠いて形成された切欠孔10a(図3参照)を塞ぐように配設される機構取付部材12を備えている。
また、支持部材10の本体部11には、車両1への取付部や、後述するストッパ爪48,49を係止するためのストッパ13,14が形成されている。
機構取付部材12には、駆動部20や展開格納部30が取付けられ、これらが取付けられた状態で、機構取付部材12は切欠孔10aを上側から塞ぐようにして本体部11にボルト留めされている。
なお、本例では、支持部材10は板状の部材であるが、板状の部材でなくてもよく、例えば、枠体のようなものであってもよい。
ここで、本例の特徴的な構成として、装置Sを地表面および車両1に対して傾けて取り付けた構成について説明する。
図8には本例の装置Sの車両1に対する取付状態が示されており、図8(A)は可動ステップ50が車両外側の展開位置まで移動した状態、図8(B)は可動ステップ50が格納位置に保持された状態である。本例の車両1の床下には燃料タンク等の構造物が配設されており、サイドシル1bと床下構造物との間に凹部空間1aが形成されている。装置Sは、この凹部空間1aに支持部材10が固定されることによって車両1に固定されている。
装置Sは、凹部空間1a内において、駆動部20,展開格納部30,可動ステップ50等の各部材が取り付けられた本体部11の平面状の部位が、地表面および車両1に対して傾斜した状態となるように取り付けられている。そして、これにより、装置S全体が地表面および車両1に対して傾斜した状態となっている。
図8において、符号Rは装置Sの垂直方向に対する傾き角を示す。また、矢印X方向が車両1の車体上下方向(地表面に対して垂直な方向)、矢印Y方向が車幅方向(地表面に対して水平な方向)を示す。装置Sは、車両外側、すなわちサイドシル1b側が、車幅方向内側、すなわち車体中央側よりも高くなるように傾斜して配置されている。これにより、図8(A)に示す展開状態では、可動ステップ50の先端の地表面からの高さがサイドシル1bの下端部よりも高くなっている。
図3に示すように、駆動部20は、減速機構を有する駆動モータ21からの回転出力を出力軸22から出力する。駆動モータ21は正逆回転可能であり、回転方向に応じて可動ステップ50が展開または格納される。駆動モータ21等は凹状のモータケース23によって覆われ、モータケース23は機構取付部材12にネジ留めされている。
駆動モータ21は機構取付部材12の上側に固定されており、出力軸22は下側に延出している。
図4は、格納状態の装置Sを上側から見た図であり、支持部材10等の図示を省略している。本例の可動ステップ50は、略矩形状に形成された板状の部材であり、車両中央側端部の長手方向(すなわちステップ幅方向)に離間する2箇所の部位が車両中央側へ延出するように形成されている。この延出部位には支軸47が略垂直に取付けられている。つまり、支軸47もまた車両1および地表面に対して傾き角Rだけ傾斜するように配設されている。可動ステップ50は、支軸47によって、後述するアーム部材46の先端部に回動可能に取り付けられている。
本例の展開格納部30は、図3,図4に示すように、駆動モータ21の回転駆動力を伝達する駆動力伝達機構30Aと、伝達された回転駆動力によって可動ステップ50を上下移動・水平移動させる上下移動機構・水平移動機構としての駆動機構30Bが、凹部を有する取付プレート31に配設されて構成されている。取付プレート31は、凹部空間が機構取付部材12で塞がれた状態で支持部材10の切欠孔10aに嵌めこまれ、機構取付部材12にボルトで固定されている。
駆動力伝達機構30Aは、モータ軸ギヤ32と、モータ軸ギヤ32の両側に噛合して配設された2のアイドルギヤ33と、各アイドルギヤ33の外側に噛合して配設された回転筒34を主要構成要素としている。これらは、所定のギヤ径の平歯車を有し、これらが互いに噛合した状態で配置されている。
モータ軸ギヤ32,アイドルギヤ33は、取付プレート31のプレート面に対して垂直上向きに植設された支軸37が軸取付孔に挿入された状態で取付プレート31に取付けられ、支軸37回りに回動可能となっている。
モータ軸ギヤ32には、出力軸22が上側から嵌め込まれており、駆動モータ21の作動に伴って、モータ軸ギヤ32は支軸37を回動軸として正逆回転可能となっている。
回転筒34は、図6に示すように、円筒部35と、円筒部35の下端側に設けられた円環状の歯車36とが同軸状に一体に形成されたものであり、内部空間に円柱状のアーム軸43を下側から挿入可能となっている。円筒部35の周面には軸方向に伸びる長孔35a,35bが穿設されている。長孔35a,35bは、円筒部35の周面において略180度離れた位置に対向するように形成されている。
回転筒34は、取付プレート31上に配設され、円筒部35が上部に突出するようになっている。そして、回転筒34は、有底円筒状の機構ケース38によって覆われている。機構ケース38は、機構取付部材12に取付けられており、底部(上部内側)には、軸受39bが配設されている。軸受39bは円筒部35の上端部と摺接可能となっている。また、回転筒34の取付プレート31に近い側面には軸受39aが配設されている。このように、回転筒34は、軸受39a,39bによって回動可能に支持されている。
図4に示すように、モータ軸ギヤ32、アイドルギヤ33、回転筒34の回転軸は、直線上に並ぶように配設されており、また、モータ軸ギヤ32、アイドルギヤ33、回転筒34は、出力軸22に対して対称に配設されている。これにより、駆動力伝達機構30Aは、駆動モータ21の駆動力を効率的かつコンパクトな構成で下流側へ伝達できるようになっている。
続いて、図5,図6に基づいて本例の駆動機構30Bについて説明する。駆動機構30Bは、駆動モータ21を挟むように同一構成のものが2箇所に配設されている。
駆動機構30Bは、機構取付部材12に固設されたカム部材40に、回転筒34の円筒部35が挿入され、内部で回動可能となっている。また、回転筒34には、下側から略円柱状のアーム軸43が進退動(軸方向移動)可能に挿入されている。アーム軸43は、回転筒34内で保持される。
このように、駆動機構30Bは、カム部材40、円筒部35、アーム軸43が同一の軸(図6に示す一点鎖線)を中心軸として配設されている。なお、図5、図6および図8において、この中心軸を符号Wで示している。
また、図3に示すように、カム部材40、円筒部35、アーム軸43は、本体部11、機構取付部材12、取付プレート31等に対して略垂直に設けられている。従って、本体部11が地表面および車両1に対して傾斜した状態となり、カム部材40、円筒部35、アーム軸43の中心軸Wもまた地表面および車両1に対して傾き角Rだけ傾斜した状態となっている。
アーム軸43の上端付近には、2箇所にカムフォロア44,45がそれぞれ配設されている。このカムフォロア44,45は、周面において略180度離間して径方向外側へ互いに対向するように突出している。カムフォロア44,45は、それぞれ基軸44b,45b(不図示)と、これらの先端部に取付けられた円柱部44a,45aからなる。基軸44b,45bの外径は、長孔35a,35bの幅と略同じかわずかに小径に形成されている。一方、円柱部44a,45aの外径は基軸44b,45bの外径よりも大きく設定されている。
カム部材40は、略円筒カムと同様の機能を有すると共に、軸中心に回転筒34の円筒部35を挿通させて回動させることが可能な空間が形成されている。カム部材40は、機構取付部材12に取付けるための円環部40aと、円環部40aから上方へ向かって螺旋状に延出する回転レール41,42を備える。回転レール41,42によって円環部40aの円形開口に連続して軸方向に仮想的な円柱状の空間が形成される。回転レール41,42は、軸中心に対して点対称に形成されている。
回転レール41,42は、一部で上下方向に離間しつつ重なった状態となっており、上面側には、それぞれカムフォロア44,45と当接して回転または摺接させながら上下方向へ導くための傾斜面41a,42aが形成されている。また、回転レール41,42の下面側には、直接カムフォロア44,45とは通常は当接しないが、アーム軸43が上下方向でがたついたときに上下移動を規制するための規制面41b,42bが形成されている。
傾斜面41a,42aは、傾斜角が上部位置では緩やかまたは略水平(中心軸Wに対して略垂直)となっており、可動ステップ50の格納状態ではこの緩やかな面を上がりきった略水平な面にカムフォロア44,45が保持される。また、螺旋状の傾斜面41a,42aは中間位置ではスプライン形状をなすような傾斜角をなしており、円環部40aとなだらかに連続している。
カムフォロア44,45は、通常は、展開・格納動作により傾斜面41a,42aおよび円環部40aの上面と当接するようになっている。カムフォロア44,45が傾斜面41a,42aと当接しながら回転するときは、アーム軸43は軸方向移動する。しかし、カムフォロア44,45が円環部40aの上面と当接しながら回転するときは、アーム軸43は軸方向移動を行わない。
カム部材40,回転筒34,アーム軸43は、カム部材40内に下側から回転筒34,アーム軸43を挿入し、カムフォロア44,45を長孔35a,35bを通してアーム軸43の先端部分に対向させて取付けることによって一体に組み付けることができる。図5は、一体に組み付けられた状態を示している。
このように組み付けられた状態では、回転筒34が回動すると、長孔35a,35bの側面に基軸44b,45bが押されて、アーム軸43は回転筒34と連動して同方向へ回動しようとする。そして、アーム軸43が回動すると、カムフォロア44,45は重力にしたがって、回転レール41,42の傾斜面41a,42aに当接した状態で案内される。
本例では、カムフォロア44,45が回転レール41,42および円環部40aに案内されることによって、回転筒34が少なくとも180度以上回動可能に形成されている。
これにより、回転筒34が図5の上側から見て反時計方向へ回転したときには、カムフォロア44,45が回転レール41,42を上部から下部へと案内され、これに伴ってアーム軸43が下方へ移動していく。また、回転筒34が上から見て時計方向へ回転したときには、カムフォロア44,45が回転レール41,42を下部から上部へと案内され、これに伴ってアーム軸43が上方へ移動していく。
このように、本例の駆動機構30Bでは、回転筒34の回動によって、アーム軸43を回動させると共に、アーム軸43を中心軸に沿って所定距離だけ軸方向移動させることが可能である。
また、本例では、アーム軸43の下端部には、アーム部材46を介して可動ステップ50が連結される。したがって、アーム軸43には下向きに大きな荷重が掛かる。本例では、この荷重をアーム軸43の上端部に設けたカムフォロア44,45とカム部材40とを当接させることによって、カム部材40から機構取付部材12を介して本体部11へ逃がしている。そして、対向して配設されたカムフォロア44,45をカム部材40で支持させて、荷重をそれぞれのカムフォロア44,45に等しく負担させることにより、アーム軸43が軸ぶれしにくくなるようにしている。
可動ステップ50の展開状態では、カムフォロア44,45は、カム部材40の円環部40a上面と当接した状態となっている。展開したときに乗降者の荷重が可動ステップ50を介してアーム軸43に掛かるから、最も荷重が掛かる展開時にはカムフォロア44,45から円環部40aを介して支持部材10側へ荷重が伝達される。回転レール41,42には、格納時や展開途中において、可動ステップ50等の構造物自体の荷重が掛かるだけであるから、回転レール41,42は、この荷重を支持するだけの強度があればよい。
また、本例では、2のカムフォロア44,45が配設されているが、カムフォロアの数はこれに限定されるものではなく、1であってもよいし、3以上であってもよい。
なお、本例では、回転筒34の回動角度が180度程度であるが、これに限らず、任意に設定してもよい。例えば、回動角度を180度以上に設定する場合には、回転レール41,42をさらに上方へ螺旋状に延出させればよい。
また、アーム軸43の上下移動距離を大きくする場合には、回転レール41,42の傾斜角度を大きくするか、回動角度をさらに大きく設定すればよい。
本例では、格納位置と展開位置間でアーム軸43は略180度回動するように設定されている。この略180度の回動のうち、カムフォロア44,45は、回転レール41,42の傾斜面41a,42aによって約100度を案内され、円環部40aによって残り約80度を案内される。このように構成することにより、アーム軸43は、最上位置である格納状態における位置から約100度回動するのに伴って傾斜面41a,42aに沿って軸方向移動して最下位置まで到達する。そして、この後の約80度の回動はアーム軸43が最下位置にある状態で行われて軸方向移動は行われない。これにより、アーム軸43がまだ最下位置まで到達していないうちに可動ステップ50がサイドシル1b(図8参照)等の車両構造物の位置まで移動して、展開作動中に可動ステップ50と車両構造物とが接触してしまうことを防止することができる。
また、このような構成では、カムフォロア44,45が傾斜面41a,42aに沿って最上位置から最下位置まで案内されるときにアーム軸43が回動される角度がサイドシル1b等の車両構造物の位置に応じて制限されているので、アーム軸43の軸方向移動のストロークは、傾斜面41a,42aの傾斜角度を変化させることにより調整することができる。
左右の2本のアーム軸43の下端部には、同じ長さのアーム部材46がアーム軸43から径方向外側でかつ同方向へ平行に延出するように固設されている。
アーム部材46の先端部には、車両上下方向に略垂直な支軸47を介して可動ステップ50が回動可能に取付けられている。支軸47は、第1の垂直軸に相当する。
また、2本のアーム部材46には、それぞれストッパ13,14と係合するストッパ爪48,49が配設されている。
図7は、本例の装置Sの作動範囲を示したものである。図中、斜線部分が可動部(可動ステップ50及びアーム部材46)の作動範囲である。なお、この図は、装置Sに対して略垂直な方向(アーム軸43の軸方向)からみた作動範囲を示すものである。
可動ステップ50が格納位置(図7の実線)にある状態では、アーム部材46の先端側が車両中央側に向いており、アーム部材46は可動ステップ50と上下方向に重なった状態となっている。また、この状態において、可動ステップ50の端部が支持部材10に設けられた格納用ストッパ51に当接している。これにより、可動ステップ50は設定された格納位置(実線)を越えてさらに奥まで格納作動しないように位置規制されている。
この格納状態を側面からみたのが図8(B)である。このように、格納状態では、アーム部材46の先端が斜め下方を向く状態となっているが、アーム軸43が軸方向移動して最上位置まで上昇しているので、アーム部材46と上下方向に重なっている可動ステップ50が、高い位置に格納されている。従って、装置Sが外部から見えない状態となり、装置と地上物との接触が防止されている。
この図において、寸法D2は展開位置(点線)と格納位置(実線)との間で可動ステップ50が移動するときのアーム軸43のストロークである。このストロークを大きく設定しているので、格納状態において装置Sの最下位置の地上高が確保されている。
可動ステップ50が格納位置(実線)にある状態で駆動モータ21が作動すると、2本の平行なアーム部材46が平行状態を保持したまま反時計方向へ略180度回動する。
これにより、支軸47によって回動可能に保持された可動ステップ50は、点線で示すように、一旦、車両前方へ移動した後、再び車両後方へ移動して格納位置と同じ車両前後位置に戻って展開状態となる。展開状態では、アーム部材46と可動ステップ50とが上下方向に支軸47付近を除いて重ならない状態となっている。
この展開状態を側面からみたのが図8(A)である。このように、展開状態では、アーム部材46の先端が斜め上方を向いており、その先端側に連結された可動ステップ50が、同じく斜め上方を向いて車両外側に出現している。また、このとき、アーム軸43が軸方向移動して最下位置まで降下しているので、アーム部材46がサイドシル1bに接触しないようにその下方を横切っている。その一方、斜めに傾いた可動ステップ50の先端側はサイドシル1bの下端よりも高い位置に保持された状態となっている。
可動ステップ50は、略180度回動するアーム部材46の端部に連結されているので、以上のような展開格納動作により、アーム部材46の長さの略2倍の距離を水平面に投影した距離だけ水平方向へ移動する。本例では、アーム部材46の回転中心であるアーム軸43が車両外側に近い位置に配設されており、アーム部材46の先端が連結された支軸47は可動ステップ50の車両中央側端部付近に配設されている。これにより、アーム部材46の長さを大きくとることができ、これに伴い、可動ステップ50の水平移動距離を大きく設定することが可能となる。
以上のように、本例では、格納位置において展開格納部30や駆動部20が可動ステップ50の上面側で可動ステップ50の略垂直投影面内に配設された構成となっている。これにより、装置Sの大きさを略可動ステップ50の大きさと同程度とすることができる。そして、このような構成により、走行時に路面からの飛石等は可動ステップ50に当たるため、飛石等によって展開格納部30や駆動部20が破損してしまうことを防止することができる。
また、本例では、格納位置において、可動ステップ50の略垂直投影面内に機構部分が配置されている。これにより、装置Sをコンパクトに構成することができる。従って、凹部空間1aが狭い場合でも、装置Sを取付けることができる。
また、展開格納部30は、可動ステップ50の移動範囲の略垂直投影面内で作動するように構成されている。したがって、作動時に車両の構造物に展開格納部30が当接してしまうことがない。
このように、本例の装置Sは車両1への搭載性が良好であり、凹部空間1aに確実に搭載できるので、可動ステップ50が格納された状態では、外部からほとんど視認することができず車両1の見栄えを向上させることができる。
また、本例では、その特徴的な構成として、装置Sを地表面および車両1に対して傾けており、これにより、可動ステップ50の展開位置を、装置Sを傾けなかった場合よりも高い位置とすることができる。この点について、図8に示す本例の装置Sと、図13に示す比較例の装置S´とを参照しながら説明する。
図13に示すように、比較例の構成では、装置S´全体が地表面および車両1に対して略水平となるように取り付けられている。つまり、装置S´は、支持部材10´に形成された車両1への取付部が、装置Sとは若干異なった形状とされている。図13(A)は可動ステップ50が展開位置にある状態、図13(B)は可動ステップ50が格納位置にある状態である。
この図に示すように、比較例の装置S´では、可動ステップ50と後述するアーム部材46が略水平状態となっており、地表面および車両1に対して略垂直なアーム軸43まわりに回動されることによって展開格納される。このような構成では、図13(A)に示すように、展開状態においてアーム部材46と可動ステップ50がサイドシル1bよりも下方に位置しなければ展開格納させることができない。
図8(A)に示す点線は比較例S´における展開位置を示している。本例の装置Sでは、上記のように、斜めに傾いた可動ステップ50の先端側はサイドシル1bの下端よりも高い位置に保持された状態となっている。つまり、本例の装置Sでは、可動ステップ50の先端を、傾けられていない比較例の装置S´よりも寸法D1だけ上昇させることができる。
また、本例の装置Sでは、アーム軸43は、格納状態にあるときに最上位置に到達しており、この最上位置は、可動ステップ50装置Sが外部から見えず、地上物と接触しない位置となるように調整されている。また、アーム軸43は、展開位置において最下位置に到達しており、この最下位置は、可動ステップ50が展開作動中にサイドシル1bの下方を通過することができる位置となるように調整されている。
この最上位置と最下位置は、装置Sの傾き角Rに応じた位置となる。そして、傾き角Rに応じて最上位置と最下位置を調整して軸方向移動させるための調整、すなわちアーム軸43のストロークの調整は、上述したようにカム部材40の傾斜面41a,42aの傾斜角度の調整により行うことができる。
このように、本例では、装置Sを傾けて設置すると共に、その傾き角Rに応じてアーム軸43のストロークを調整する。このようにすると、装置Sを凹部空間1aに確実に搭載して外部から見えないようにし、走行時に凹凸面や地上物と接触しないようにすることができる。これにより、展開・格納動作中に、可動ステップ50が地上物と当接してしまったり、雪や地上物を掬い上げてしまったりすることを防止することができる。また、可動ステップ50の先端を車体側面部の下端よりも高い位置に展開させることができるので、車体側面部の下端位置が地表面に近くても乗降に適した位置に可動ステップ50を展開させることができる。従って、乗降時の利便性を向上させることができる。また、装置の車種展開が可能となる。
図9は本例の装置Sの電気的構成を示すブロック図である。
中央制御部70は、例えば、各種演算を行なうためのCPUと、このCPUを動作させるためのプログラムが格納されたROMと、CPUによって処理された情報を一時的に保存するRAM等を備えた電気回路で構成されている。この中央制御部70は、ドア開閉検出部72からの検出信号を検出することにより、電源供給部71に電源供給指令信号を出力するように構成されている。
電源供給部71は、車両1に備えられたバッテリを含む電源装置によって構成されており、中央制御部70からの電源供給指令信号に応じて、駆動モータ21に所定の電圧を印加することができるように構成されている。
ドア開閉検出部72は、車両1に備えられたドア2の開閉を検出するものであり、ドア2が閉じた状態にあるときには、ドア閉信号を中央制御部70へ出力すると共に、ドア2が開いたときには、ドア開信号を中央制御部70へ出力するように構成されている。ドア開閉検出部72は、カーテシスイッチとしてもよいし、専用のスイッチとしてもよい。
本例では、ドア開閉検出部72は、ドア2が完全に閉まった状態でドア閉信号を出力し、ドア2が完全に閉まった状態から僅かに開方向に移動したときにドア開信号を出力するように構成されている。なお、ドア開閉検出部72は、ドア2が完全に開いた状態でドア開信号を出力し、ドア2が完全に開いた状態から僅かに閉方向に移動したときにドア閉信号を出力するようにしてもよい。
次に、図10〜図12に基づいて、本例の装置Sの展開・格納動作について説明する。なお、図10〜図12において、図8と同様に矢印Xが車体上下方向、矢印Yが車幅方向である。
図10は格納状態を示している。この状態では、アーム軸43上端に連結されたカムフォロア44,45がカム部材40の回転レール41,42の上部に保持されている。すなわち、カムフォロア44,45は、回転レール41,42の傾斜面41a,42aのうち傾斜角度が中心軸W(図5参照)に対して略水平な位置に保持されている。また、このとき、可動ステップ50は格納用ストッパ51(図7参照)に当接している。
なお、格納状態で可動ステップ50を介してアーム軸43に展開方向の回転力や下方への荷重が掛かった場合には、駆動モータ21や駆動力伝達機構30A等による回転阻止力によって外部力による展開動作は阻止される。
図11に示すように、駆動モータ21が展開方向へ作動すると、駆動力伝達機構30Aを介して駆動機構30Bが駆動される。これにより、アーム軸43が展開方向へ回転する。この回転により、カムフォロア44,45が回転レール41,42の傾斜面41a,42aに沿って案内されて、車両1に対して斜め下方へ移動する。この動作により、アーム部材46がアーム軸43まわりに回動されると共に、斜め下方へ移動する。そして、2本のアーム部材46によって回動可能に連結された可動ステップ50は、アーム部材46の先端が描く傾斜した円弧軌道に沿って上昇しながら車両外側へ移動すると同時に、斜め下方に直線移動する。
図12に示すように、駆動モータ21が所定の回転数だけ回転すると、アーム軸43が約180度展開方向へ回転する。これにより、格納状態で車両中央側を向いていたアーム部材46は、車両外側斜め上方を向く。これにより、アーム部材46の先端部に回動可能に連結された可動ステップ50が展開位置まで展開される。なお、展開位置では、アーム部材46に配設されたストッパ爪48,49が、支持部材10のストッパ13,14内に入り込む。これにより、確実にアーム部材46の回動が停止されると共に、ストッパ爪48,49が、ストッパ13,14によって保持されることにより、可動ステップ50に掛かる下向きの荷重は、2本のアーム軸43とカム部材40との当接、およびストッパ爪48,49とストッパ13,14との係合によって分散して支持される。
上記実施形態は以下のように改変してもよい。なお、上記構成要素と同じ構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略して異なる部分のみ説明する。
改変例の装置S1は、上記実施例の装置Sの可動ステップ50が斜めに傾いたアーム部材46と略平行に取り付けられていたことにより展開位置において可動ステップ50のステップ面がアーム部材46と同じ傾き角で水平面に対して傾いていたのに対し、展開位置においてステップ面がアーム部材46よりも水平に近い角度となるように可動ステップ150を設けたものである。
図14(A)は展開状態における改変例の装置S1を側面から見た図、図14(B)は格納状態における改変例の装置S1を側面から見た図である。図14(B)に示すように、装置S1の可動ステップ150はアーム部材46に対して傾き角R1だけ傾けて取り付けられている。この傾き角R1は、図14(A)に示すように展開状態において可動ステップ150が略水平となる角度である。図14(A)の点線は図13の比較例における可動ステップの展開位置であり、本例では比較例よりも寸法D3だけ上方に可動ステップ150が展開されている。
このように、本例の装置S1では、可動ステップ150をアーム部材46よりも水平に近い角度となるように傾けたことにより、上記実施例と比較すると可動ステップの高さ位置は低くなるが、それでも比較例の構成よりは高い位置、言い換えればサイドシル1bの下方を通過する際の位置よりも高い位置に展開させることができる。よって、改変例の構成では、上記実施例と同様に車体側面部の下端位置が地表面に近くても乗降に適した位置に可動ステップ150を展開させることができ、乗降時の利便性を向上させることができる。そして、展開状態において可動ステップ150が水平状態となるので、乗降時の利便性が向上される。なお、傾き角R1が図14よりも小さな角度であっても、可動ステップ150が水平状態により近い姿勢となる分だけ乗降性は向上される。
上記各実施形態では、アーム部材46はアーム軸43に対して略垂直に設けられていたが、傾けて設けられていても良い。例えば、アーム部材46の先端が斜め上方をむくようにアーム軸43に対して傾けて取り付ければ、展開状態において可動ステップ50の先端側が図8(A)の状態よりもさらに上昇される。このように、アーム部材46のアーム軸43に対する取り付け角を調整して可動ステップ50の展開時のステップ高さを調整することができる。
なお、アーム部材46の先端が斜め上方をむくようにアーム部材46をアーム軸43に対して傾けて取り付けた場合には、その傾きに応じてアーム軸43の最下位置や可動ステップ50の格納高さが変動する。そこで、その変動に応じてアーム軸43のストロークを調整することにより、格納状態における装置の最下点の地上高を確保することができる。
上記各実施形態では、装置Sはドアの開閉動作に連動して作動するように構成されていたが、これに限らず、操作スイッチを設けて、乗員によるスイッチ操作によって、可動ステップ50を展開・格納させるように構成してもよい。
また、上記本実施形態では、ワンボックスカーや、いわゆるミニバンなどのように、車両フロアから乗降口へかけて一段低くなるように乗降用固定ステップが設けられた車両に設けられる例を示したが、これ以外にも、バス、トラック、福祉車両、航空機、鉄道車両等に適用することが可能である。
本発明の一実施形態に係る車両用乗降ステップ装置の可動ステップが展開した状態を示す説明図である。 車両用乗降ステップ装置の斜視図である。 車両用乗降ステップ装置の断面説明図である。 車両用乗降ステップ装置を上側から見た説明図である。 車両用乗降ステップ装置の作動機構の要部説明図である。 図5の分解図である。 可動ステップの動作範囲を示す説明図である。 車両用乗降ステップ装置を側部から見た説明図である。 車両用乗降ステップ装置の電気的構成の説明図である。 車両用乗降ステップ装置の格納状態の説明図である。 車両用乗降ステップ装置の展開動作中の説明図である。 車両用乗降ステップ装置の展開状態の説明図である。 比較例の車両用乗降ステップ装置を側部から見た説明図である。 他の実施形態に係る車両用乗降ステップ装置を側部から見た説明図である。
符号の説明
1‥車両、1a‥凹部空間、1b‥サイドシル、2‥ドア、
10‥支持部材、11‥本体部、12‥機構取付部材、13,14‥ストッパ、
20‥駆動部、21‥駆動モータ、22‥出力軸、23‥モータケース、
30‥展開格納部、30A‥駆動力伝達機構、30B‥駆動機構、
31‥取付プレート、32‥モータ軸ギヤ、33‥アイドルギヤ、
34‥回転筒、35‥円筒部、35a,35b‥長孔、36‥歯車、37‥支軸、
38‥機構ケース、39a,39b‥軸受、40‥カム部材、40a‥円環部、
41,42‥回転レール、41a,42a‥傾斜面、41b,42b‥規制面、
43‥アーム軸、44,45‥カムフォロア、44a,45a‥円柱部、
44b,45b‥基軸、46‥アーム部材、47‥支軸、48,49‥ストッパ爪、
50,150‥可動ステップ、51‥格納用ストッパ、
70‥中央制御部、71‥電源供給部、72‥ドア開閉検出部、
S,S1,S´‥装置(車両用乗降ステップ装置)
D1,D2,D3‥寸法、R,R1‥傾き角、W‥中心軸

Claims (7)

  1. 乗降を補助するための可動ステップと、該可動ステップを車両床下に格納された格納位置と車両外側に展開された展開位置との間で移動させる展開格納部と、該展開格納部を駆動する駆動部と、を備えた車両用乗降ステップ装置であって、
    前記展開格納部は、一端部が前記可動ステップと回動可能に連結されたアーム部材と、該アーム部材の他端部から延出するアーム軸に連結された駆動機構と、を備え、
    該駆動機構は、前記駆動部からの駆動力によって、前記アーム軸を軸方向に移動させると共に軸中心まわりに回動させることにより、前記可動ステップを前記格納位置と前記展開位置との間で移動可能に構成され、
    前記アーム軸は、下端側が上端側よりも車両外側に位置するように地表面に対して傾斜して設けられ、
    前記展開格納部は、前記可動ステップが車両外側において前記展開位置まで移動するときに、前記アーム軸の軸中心まわりの回動に基づいて前記可動ステップを上昇させることを特徴とする車両用乗降ステップ装置。
  2. 前記可動ステップは、展開位置においてステップ面が前記アーム部材よりも水平に近い角度となるように前記アーム部材に連結されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用乗降ステップ装置。
  3. 前記駆動機構は、前記アーム軸が、前記可動ステップが前記格納位置にあるときに最上位置に位置され、前記可動ステップが前記展開位置にあるときに最下位置に位置されるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用乗降ステップ装置。
  4. 前記駆動機構は、前記可動ステップが、前記格納位置にあるときに、車両外側における前記可動ステップの最下位置よりも上方に位置するように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の車両用乗降ステップ装置。
  5. 前記アーム部材は前記可動ステップのステップ幅方向に離間されて複数配設されると共に、該複数のアーム部材にそれぞれ対応して前記駆動機構が複数配設されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用乗降ステップ装置。
  6. 前記駆動機構は、前記アーム軸の軸方向移動および軸中心まわりの回動を同時に行うことが可能に形成されたことを特徴とする請求項1または請求項5に記載の車両用乗降ステップ装置。
  7. 前記駆動機構は、前記アーム軸の上端側から径方向外側に延出する被案内部材と、前記アーム軸の径方向外側に該アーム軸回りに螺旋状に形成された案内面を有するカム部材と、前記駆動部と前記アーム軸とを連結し前記駆動部からの駆動力によって前記アーム軸を回動させる駆動力伝達機構と、を備え、
    前記駆動機構は、前記アーム軸が回動したときに前記被案内部材が前記案内面を案内されることにより、前記案内面の傾斜角度に応じたストロークで前記アーム軸を軸方向移動させることを特徴とする請求項1、請求項5、請求項6のいずれか一項に記載の車両用乗降ステップ装置。
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