JP2007049889A - 電力供給装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】検出電流値iが上限値th1及び下限値th2の間にない場合、動作時間間隔t1毎に現在のカウンタ値Kを増減させる変調動作を繰り返し実行して、検出電流値iを上限値th1及び下限値th2の間に近づける前進制御を実行する。前進制御の実行後に、検出電流値iが上限値th1及び下限値th2の間に入った場合、この前進制御時とは逆の増減方向にPWM信号S1(S2)のパルス幅を変調させる後退制御を実行する。
【選択図】図7
Description
なお、本発明の「電力供給手段」には、PWM信号に応じて供給電流値を変化させる構成であっても、PWM信号に応じて供給電圧値を変化させる構成であってもよい。
なお、本発明の「検出値を目標値に到達させることが可能なパルス幅」とは、検出値を最終的に目標値に達成させる程度のパルス幅に限らず、それよりも大きい変調量で変調し検出値が最終的に目標値を超える程度のパルス幅であってもよい。
なお、上記請求項16の発明のうち、請求項2の構成を前提としたものにおいては、下記の構成(a)〜(c)が含まれる。
(a)前進制御での変調動作のパルス幅の変調量を積算し、この総変調量(積算変調量)が閾値(限界変調量)に達した場合に後退制御を実行する構成。
(b)前進制御での変調動作の回数を積算し、この積算回数が限界回数に達した場合に後退制御を実行する構成。
(c)前進制御の開始後、所定時間経過後に後退制御を実行する構成。
なお、「画像形成装置」は、プリンタ(例えばレーザプリンタ)などの印刷装置だけでなく、ファクシミリ装置や、プリンタ機能及び読み取り機能(スキャナ機能)等を備えた複合機であってもよい。
「被記録媒体」は、用紙などの紙製の被記録媒体に限らず、OHPシートなどのプラスチック製の被記録媒体などであってもよい。
本構成によれば、目標値に対して検出値(電気的負荷に供給される供給電力の供給電圧値又は供給電流値)に過不足が有るとき、その過不足を相殺するように、PWM信号のパルス幅を変調(増加又は減少)する前進制御を行う。そして、検出値が目標値に到達した場合(過不足無しの場合、または、検出値と目標値との大小関係が反転した場合)には、前進制御時とは逆の増減方向にPWM信号のパルス幅を変調する後退制御を実行する。従って、検出値が目標値に到達したときに前進制御によるパルス幅がそのまま維持されて検出値が再び目標値から外れてしまう事態を抑制して、迅速かつ安定的な電力供給制御を実現できる。
しかも、前進制御時におけるパルス幅の変調量を大きくし、これに応じて後退制御時におけるパルス幅の変調量を調整することで、供給電流値または供給電圧値を目標値に早期に到達させて迅速な電力供給制御を行うことが可能となる。
本構成によれば、前進制御において、PWM信号のパルス幅を単位変調量ずつ段階的に変調するので、目標値に対応するパルス幅に一気に変調する構成に比べて、電気的負荷の供給電力(検出値)を目標値まで安定的に到達させることができる。
本構成によれば、制御タイミングごとに、そのときの判定手段における判定結果に基づき前進制御を行うかどうか、後退制御に切り替えるかどうかを決定しつつ前進制御においてPWM信号のパルス幅を段階的に変調することができる。
本構成によれば、制御タイミングの間隔や単位変調量を変更することにより、例えば電気的負荷の負荷状況や電力供給手段の特性等に応じて柔軟な制御が可能となる。
例えば、制御対象である電気的負荷の負荷特性や制御条件等によって、検出値と目標値との差分に応じて制御タイミングの間隔を長くした方がよい場合と短くした方がよい場合があり得る。また、その差分に応じて単位変調量を大きくした方がよい場合と小さくした方がよい場合があり得る。そこで、本構成では、制御タイミングの間隔や単位変調量が検出値と目標値との差分に基づき変更されるようにした。
本構成によれば、検出値の変動途中で変更動作を実行することを防止するとともに、一時的なノイズによる影響を抑制できる。
本構成によれば、電気的負荷のインピーダンス変動(負荷変動)が大きく電力供給制御を必要とするタイミングに同期した制御タイミングで電力供給を確実に行うことができる。また、インピーダンス変動の大小に応じて単位変調量を変化させることで、インピーダンス変動に対応した安定的な電力供給が可能となる。例えば、電気的負荷が転写ローラの場合、用紙先端が通過したときと後端が通過したときに特にインピーダンス変動が大きい。これのタイミングはレジストセンサからのセンサ信号の出力タイミングから計時して制御タイミングを同期させることができる。
電気的負荷のインピーダンスによって単位変調量に対応する検出値(供給電流値または供給電圧値)の変化量は異なる。そこで、本構成では、制御タイミングの間隔や単位変調量をインピーダンスに基づき変更するようにした。
前進制御開始当初は、特に電気的負荷の負荷変動等によって追従遅れが顕著に現れる。そこで、本構成では、前進制御における各変調動作において、前進制御開始当初の単位変調量を大きくして、目標値への迅速な到達を図るようにした。
本構成によれば、1回分の変調動作による単位変調量で、目標値を飛び越えてしまうことを防止できる。
本構成によれば、PWM信号のパルス幅を段階的に変調する構成に比べて、前進制御における追従性を向上させることができる。
前進制御におけるPWM信号のパルス幅の適切な変調量は、検出値と目標値との差分によって異なる。そこで、本構成では、当該変調量を検出値と目標値との差分に基づき決定するようにした。
前進制御におけるPWM信号のパルス幅の適切な変調量は、電気的負荷のインピーダンスによって異なる。そこで、本構成では、当該変調量を電気的負荷のインピーダンスに基づき決定するようにした。
一時的なノイズなどの影響により、検出手段が誤検出することがある。そこで、本構成では、比較手段において、検出値が目標値に到達したという比較結果が所定の検出タイミングで連続して複数回得られた場合に初めて後退制御を実行する構成とした。
本構成によれば、変調後のPWM信号のパルス幅は、予め定められた限界パルス幅(例えば安定した電力供給制御が実行可能な限界のパルス幅)を超えて変調しても変調による供給電力のアップ或いはダウンの効果が出ないので、その限界パルス幅に達した場合にも後退制御を実行するようにした。
例えば電力供給手段を構成する回路要素等により、前進制御時における変調動作に対して、その変調後のパルス幅のPWM信号に応じた出力電力を出力する動作に追従遅れが生じ得る。従って、前進制御がある程度継続される、或いは、一度の変調量が大きいと、各変調動作時におけるPWM信号の変調パルス幅に応じて想定した検出値と、そのときの実際の検出値との乖離が大きくなり、精度の高い電力供給制御が行えなくなるおそれがある。
そこで、本構成では、前進制御による変調前からの総変量量が限界変調量に達した場合にも後退制御を実行するようにした。
安定した電力供給制御を行うために後退制御時に変調すべきパルス幅の変調量は、前進制御でのパルス幅の総変調量に対応して異なる。従って、本構成では、後退制御におけるパルス幅の変調量を、前進制御でのパルス幅の総変調量に基づき定める構成とした。
本構成によれば、後退制御におけるパルス幅の変調量を、演算式に基づき定めるようにしたので、例えば後退制御におけるパルス幅の変調量と総変調量との対応テーブルに基づき定めるものに比べて記憶容量を抑制できる。
本構成によれば、後退制御の開始時(例えば前進制御によって検出値が目標値に達した時)に、そのときの検出値を維持できるパルス幅(定常状態において後退制御開始時の検出値を維持するパルス幅)に変調するので、より安定した電力供給制御を行うことができる。
本構成によれば、後退制御の実行後、待機時間(例えば後退制御実行後、定常状態に落ち着くまでの時間)経過後に前進制御を再開させるので、待機時間を設けずに前進制御を再開する構成に比べて、安定した前進制御を実行できる。
本構成によれば、少なくともPWM信号発生手段及び変調手段をASICによって構成することにより、CPUの負荷を低減できる。
電気的負荷のインピーダンスによってパルス幅の所定変調量に対する検出値の変化量が異なり、場合によっては、変調によって検出値が目標値を飛び越えて増減方向が逆向きの前進制御に切り替わり、交互に増減方向を切り替える前進制御が繰り返し行われるおそれがある。そこで、本構成では、電気的負荷のインピーダンスに基づき許容範囲を広狭する構成とした。特に、定電流制御を行っている場合には、インピーダンスが小さいほど許容範囲を広くすることが望ましい。
本構成によれば、検出値が目標値に達成する前に少なくとも1回後退制御が実行されるので、その後、検出値を目標値に緩やかに到達させることができる。
電力供給装置の起動(電力供給開始指令が入力されたとき)により、PWM信号のパルス幅が増減されることになるが、起動時からパルス幅の増減量がある程度に値になるまで電気的負荷に電力が供給されない期間がある。このため、その期間を含めて起動当初から変調手段による制御を実行した場合には、正常な電力供給制御が実行できなくなるおそれがある。そこで、本構成では、検出手段の検出値が所定値(例えば、PWM信号に応じた電力が電気的負荷に供給されるようになったときの検出値)に達した場合に変調手段の制御を開始させるようにした。また、上記起動時から所定時間(例えば、起動時からPWM信号に応じた電力が電気的負荷に供給されるようになるまでの時間)経過したことを条件に変調手段の制御を開始させる構成であってもよい。
本構成によれば、段階的に増減させる場合に比べて電力供給の立上りを速くすることができる。
例えば電気的負荷の負荷状況によっては、当初予定した固定のパルス幅のPWM信号を出力しても検出値が所定値に達しない場合があり得る。そこで、本構成では、このような場合に、固定のパルス幅を変調して検出値が所定値に達するのを再度待つ構成とした。
本構成によれば、例えば転写手段、像担持体への帯電手段や現像剤担持体などへの電力供給制御を迅速かつ安定的に行うことができる。
本発明の実施形態1を図1〜図7を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの実施形態1を示す要部側断面図である。図1において、レーザプリンタ1は、画像形成装置の装置本体としての本体フレーム2内に、用紙3(本発明の「被記録媒体」の一例)を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5(本発明の「画像形成手段」の一例)などを備えている。
フィーダ部4は、本体フレーム2内の底部に、着脱可能に装着される給紙トレイ6と、給紙トレイ6内に設けられた用紙押圧板7と、給紙トレイ6の一端側(以下、この一端側(図1で紙面右側)を前側、その反対側(図1で紙面左側)を後側とする。)端部の上方に設けられる給紙ローラ8および分離パッド9と、給紙ローラ8に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられる紙粉取りローラ10,11と、紙粉取りローラ10,11に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられるレジストローラ12とを備えている。
画像形成部5は、スキャナ部16、プロセスカートリッジ17および定着部18を備えている。
スキャナ部16は、本体フレーム2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず。)、回転駆動されるポリゴンミラー19、レンズ20,21、反射鏡22,23,24を備えている。レーザ発光部からの発光される画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー19、レンズ20、反射鏡22,23、レンズ21、反射鏡24の順に通過あるいは反射して、プロセスカートリッジ17の感光ドラム27の表面上に高速走査にて照射される。
プロセスカートリッジ17は、スキャナ部16の下方に設けられる。このプロセスカートリッジ17は、本体フレーム2に対して着脱自在に装着される感光体カートリッジとしてのドラムカートリッジ26と、ドラムカートリッジ26に収容される現像カートリッジ28とを備えている。なお、本体フレーム2の前面には、図1に示すように、下端部側を中心軸として開閉可能な前面カバー2aが設けられており、プロセスカートリッジ17はこの前面カバー2aを開けて本体フレーム2内に着脱可能に収容される。
定着部18は、図1に示すように、プロセスカートリッジ17の後方下流側に設けられ、加熱ローラ41、加熱ローラ41を押圧する押圧ローラ42、および、これら加熱ローラ41および押圧ローラ42の下流側に設けられる1対の搬送ローラ43を備えている。加熱ローラ41は、金属製で加熱のためのハロゲンランプを備えており、図示しないモータからの動力の入力により、矢印方向(時計方向)に回転駆動される。また、押圧ローラ42は、この加熱ローラ41を押圧した状態で、この加熱ローラ41に従動して矢印方向(反時計方向)に回転される。そして、定着部18では、プロセスカートリッジ17において用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ41と押圧ローラ42との間を通過する間に熱定着させ、その後、その用紙3を搬送ローラ43によって、排紙パス44に搬送するようにしている。排紙パス44に送られた用紙3は、排紙ローラ45に送られて、その排紙ローラ45によって排紙トレイ46上に排紙される。
(1)転写バイアス印加回路
図2には、転写ローラ30に順転写バイアス電圧Vaを印加するための転写バイアス印加回路60の要部構成のブロック図が示されている。この転写バイアス印加回路60は、PWM(Pulse Width Modulation。パルス幅変調)制御回路62と、高電圧出力回路63(本発明の「電力供給手段」の一例)とを備えて構成されている。
図3には、帯電ワイヤ29aに帯電バイアス電圧Vb、及び、現像ローラ31に現像バイアス電圧Vcをそれぞれ印加するための帯電バイアス印加回路61の要部構成のブロック図が示されている。この帯電バイアス印加回路61は、PWM制御回路72と、高電圧出力回路73(本発明の「電力供給手段」の一例)とを備えて構成されている。
図4には、PWM制御回路62,72の要部構成のブロック図が示されている。これらのPWM制御回路62,72は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成されている。
図5は、PWM制御回路62(72)で実行される制御内容を示したフローチャートである。CPUによってPWM制御回路62(72)が駆動されると、まずS1で、比較演算部91は、検出信号P1(P2)の読込タイミング(制御タイミング)かどうかを判断し、上記動作時間間隔t1毎にS2でA/D変換部90がA/D変換した検出信号P1(P2)を読み込む。
検出電流値iが上限値th1及び下限値th2の間に入っていない場合には、動作時間間隔t1毎に現在のカウンタ値Kを所定量ずつ増減させる変調動作を繰り返し実行して、検出電流値iを上限値th1及び下限値th2の間に近づける前進制御が実行される。
検出電流値iが上限値th1を上回っている場合(S3で「Y」)には、S7でPWMカウンタ制御部97は、UP/DOWNモード記憶部102の記憶内容に基づき現在設定されているモードがUPモードかどうかを判断する。ここで、UPモードが設定されていないときは(S7で「N」)、S8で、PWMカウンタ制御部97は次の処理を実行する。即ち、現在の検出電流値iを、上限値th1側に近づけるために、現在のカウンタ値Kから、PWM変更幅DOWNモード設定レジスタ100に設定された変調DOWN値k2を減算する変調動作を実行する。また、積算変調値Σk2を算出してPWM変更積算記憶部101に書き込み更新する。更に、UP/DOWNモード記憶部102においてDOWNモードのフラグのみを立てて設定するとともに、判定回数Xをゼロに初期化する。また、この前進制御での1回目の変調動作においては、変調前の上記初期カウンタ値K’を変更開始時PWM値記憶部103に記憶する。
検出電流値iが下限値th2を下回っている場合(S3で「N」かつS4で「Y」)には、S11でPWMカウンタ制御部97は、UP/DOWNモード記憶部102の記憶内容に基づき現在設定されているモードがDOWNモードかどうかを判断する。ここで、DOWNモードが設定されていないときは(S11で「N」)、S12で、PWMカウンタ制御部97は次の処理を実行する。即ち、現在の検出電流値iを、下限値th2側に近づけるために、現在のカウンタ値Kに、PWM変更幅UPモード設定レジスタ99に設定された変調UP値k1を加算する変調動作を実行する。また、積算変調値Σk1を算出してPWM変更積算記憶部101に書き込み更新する。更に、UP/DOWNモード記憶部102においてUPモードのフラグのみを立てて設定するとともに、判定回数Xをゼロに初期化する。また、この前進制御での1回目の調整動作においては、変調前の上記初期カウンタ値K’を変更開始時PWM値記憶部103に記憶する。
(a)前進制御実行後に、検出電流値が上限値及び下限値の間に入った場合
上記前進制御の実行後に、検出電流値iが上限値th1及び下限値th2の間に入った場合(S3で「N」かつS4で「N」)には、S5で現在のカウンタ値Kを維持する。このとき、UP/DOWNモード記憶部102にはUPモードかDOWNモードのフラグが立てられているから(S6で「N」)、S15で、PWM補正演算部111は、判定回数Xに1を加算し、S16で判定回数Xが2回であるかどうかを判断する。
UPモード時:
補正値h1=(Σk1)×[{(Σk1)−A}/{(Σk1)+B}]−C
補正後のカウンタ値K=初期カウンタ値K’+補正値h1
但し、補正後のカウンタ値K>初期カウンタ値K’−k1のときは、補正後のカウンタ値K=初期カウンタ値K’+k1
DOWNモード時:
補正値h2=(Σk2)×[{(Σk2)−D}/{(Σk2)+E}]−F
補正後のカウンタ値K=初期カウンタ値K’−補正値h2
但し、補正後のカウンタ値K>初期カウンタ値K’+k2のときは、補正後のカウンタ値K=初期カウンタ値K’−k2
DOWNモード時に、減算後のカウンタ値K(=K’−Σk2)が、補正下限値th4を下回っているとき(S9で「Y」)、又は、UPモード時に、加算後のカウンタ値K(=K’+Σk1)が、補正上限値th3を上回っているとき(S13で「Y」)も、S17に進み、上記した後退制御が実行される。本実施形態では、変調後のPWM信号S1(S2)のパルス幅は、予め定められた補正上限値th3と補正下限値th4との間のカウンタ値に応じたパルス幅(10%〜85%)を越えて変調すると、安定した定電流制御が実行できるなくなる可能性がある。そこで、加減算後のカウンタ値Kが補正上限値th3及び補正下限値th4の間から外れる場合にも後退制御を実行するようにしている。
DOWNモード時に、積算変調値Σk2がDOWN幅限界値th6を上回っているとき(S10で「Y」)、又は、UPモード時に、積算変調値Σk1がUP幅限界値th5を上回っているとき(S14で「Y」)も、S17に進み、上記した後退制御が実行される。
なお、上記では、帯電ワイヤ29aへの帯電バイアス電圧Vbと、転写ローラ30への順転写バイアス電圧Vaに対する定電流制御について説明したが、現像ローラ31への現像バイアス電圧Vcに対する定電圧制御についても同じような制御に基づき迅速かつ安定的な制御を実行することができる。
図8〜図10は実施形態2を示す。上記実施形態では固定値であった、動作時間間隔t1、変調UP値、変調DOWN値k1,k2(各変調動作での単位変調量)、上限値th1と下限値th2とによって挟まれる許容範囲のうち少なくともいずれか1つを、電気的負荷のインピーダンスに応じて変更するところにあり、その他の点は実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
図11〜図14は実施形態3を示す。前記実施形態1,2では、前進制御時に単位変調量(k1,k2)ずつ段階的に変調する構成としたが、本実施形態では、前進制御時にPWM信号S1,S2,S3のパルス幅を、検出電流値iが上限値th1及び下限値th2間の許容範囲(目標値)内に到達させることが可能なパルス幅に一度に変調するようにしている。
(a)検出電流値が上限値を上回っている場合
検出電流値iが上限値th1を上回っている場合(S33で「Y」)には、S36で、STOPモードのフラグのみが立てられたままのときは、上記中間値と検出電流値i1との差分量、及び、測定インピーダンスに応じた変換係数に応じた変調DOWN値k4分だけ一度にカウント値Kを減算する。それとともに、制御時間のカウントを開始し、DOWNモードのフラグのみを立ててS1に戻る。そして、次の動作時間間隔t1後にも再び同じ判定結果が得られたときには、S36で、既にDOWNモードのフラグが立てられているから減算後のカウンタ値Kをそのまま維持するとともに、制御時間のカウント(上記動作時間t1の積算)を継続する。
検出電流値iが下限値th2を下回っている場合(S33で「N」かつS34で「Y」)には、S37でSTOPモードのフラグのみが立てられたままのときは、上記中間値と検出電流値i1との差分量、及び、測定インピーダンスに応じた変換係数に応じた変調UP値k3分だけ一度にカウント値Kを加算する。それとともに、制御時間のカウントを開始し、UPモードのフラグのみを立ててS1に戻る。そして、次の動作時間間隔t1後にも再び同じ判定結果が得られたときには、S37で、既にUPモードのフラグが立てられているから加算後のカウンタ値Kをそのまま維持するとともに、制御時間のカウントを継続する。
上記前進制御の実行後に、検出電流値iが上限値th1及び下限値th2の間に入った場合(S33で「N」かつS34で「N」)には、S35で、既にDOWNモードのフラグまたはUPモードのフラグが立てれているから、この時点での制御時間を到達時間t3として到達時間記憶部131に記憶し、PWM補正演算部111は、上記前進制御時とは逆の増減方向にPWM信号S1のパルス幅を変調するための、カウンタ値Kに対する補正値h1、h2を次述する演算式に基づき演算する。また、このとき、STOPモードのフラグのみが立てられる。
UPモード時:
補正値h1=(k3)×[1−e^(−t3/τ)]
補正後のカウンタ値K=初期カウンタ値K’+補正値h1
但し、補正後のカウンタ値K>初期カウンタ値K’−k1のときは、補正後のカウンタ値K=初期カウンタ値K’+k1
DOWNモード時:
補正値h2=(k4)×[1−e^(−t3/τ)]
補正後のカウンタ値K=初期カウンタ値K’−補正値h2
但し、補正後のカウンタ値K>初期カウンタ値K’+k2のときは、補正後のカウンタ値K=初期カウンタ値K’−k2
図15〜図17は実施形態4を示す。上記実施形態1〜3では、検出電流値iが上限値th1及び下限値th2間の許容範囲内に到達したときに一度後退制御を行う構成であったが、本実施形態では、上限値th1よりも大きい仮上限値th1’と、下限値th2よりも小さい仮下限値th2’とで囲まれる仮範囲が設けられ、この仮範囲内に検出電流値iが到達したときにも後退制御を実行するようにしている。
(a)検出電流値iが仮下限値th2’よりも小さい場合には、カウンタ値Kに変調UP値k1を加算し、積算変調値Σk1を算出してPWM変更積算記憶部101に書き込み更新し、UP2モードのフラグのみを立てる。
(b)検出電流値iが仮上限値th1’よりも大きい場合には、カウンタ値Kから変調DOWN値k2を減算し、積算変調値Σk2を算出してPWM変更積算記憶部101に書き込み更新し、DOWN2モードのフラグのみを立てる。
(c)検出電流値iが仮下限値th2’よりも大きく下限値th2よりも小さい場合には、カウンタ値Kに変調UP値k1を加算し、積算変調値Σk1を算出してPWM変更積算記憶部101に書き込み更新し、UP1モードのフラグのみを立てる。
(d)検出電流値iが仮上限値th1’よりも小さく上限値th1よりも大きい場合には、カウンタ値Kから変調DOWN値k2を減算し、積算変調値Σk2を算出してPWM変更積算記憶部101に書き込み更新し、DOWN1モードのフラグのみを立てる。
(e)UP2モードのフラグが立った状態で、検出電流値iが仮下限値th2’以上且つ下限値th2未満であった場合。
(f)UP1モードのフラグが立った状態で、検出電流値iが下限値th2以上且つ上限値th1以下であった場合。
(g)DOWN2モードのフラグが立った状態で、検出電流値iが上限値th1超且つ仮上限値th1’以下であった場合。
(h)DOWN1モードのフラグが立った状態で、検出電流値iが下限値th2以上且つ上限値th1以下であった場合。
図18、図19は実施形態5を示す。
例えば、図3に示すように、帯電バイアス印加回路61で現像ローラ31への現像バイアス電圧Vcを電流制御する場合、電力供給開始指令時にPWM信号S3のパルス幅の増加(減少)動作が開始されることになるが、そのパルス幅がある程度まで増加(減少)されるまではトランジスタ86cがオン動作せず、現像ローラ31への電力供給が開始されない。従って、この期間内でPWM信号S3のパルス幅の変調動作(上記図5、図12、図16、後述の図21)を実行すると、正常な電力供給制御が行えなくなるおそれがある。
図20、図21は実施形態6を示す。本実施形態では、変調UP値k1、変調DOWN値k2を、検出電流値iと目標値との差分量に応じて随時変更する構成となっている。
検出電流値i<下限値th2の時:
変調UP値k1=基準変調UP値k1’+基準変調UP値k1’×[1−(検出電流値i/下限値th2)]
検出電流値i>上限値th1の時:
変調DOWN値k2=基準変調DOWN値k2’+基準変調DOWN値k2’×[1−(検出電流値i/上限値th1)]
そして、補正後の変調UP値k1、変調DOWN値k2を積算変調値に積算し、UPモードのフラグのみまたはDOWNモードのフラグのみを立ててS61に戻る。
(i)UPモードのフラグが立った状態で、検出電流値iが下限値th2未満であった場合。
(j)DOWNモードのフラグが立った状態で、検出電流値iが上限値th1超であった場合。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、画像形成装置としてのレーザプリンタ1に適用した例を説明したが、PWM制御しつつ電力を供給する電力供給装置であれば、本願発明を適用して同様の効果を得ることができる。
3…用紙(被記録媒体)
5…画像形成部(画像形成手段)
29a…帯電ワイヤ(電気的負荷)
30…転写ローラ(電気的負荷)
31…現像ローラ(電気的負荷)
60…転写バイアス印加回路(電力供給装置)
61…帯電バイアス印加回路(電力供給装置)
63,73…高電圧出力回路(電力供給手段)
67,77…出力電流検出回路(検出手段、測定手段)
91…比較演算部(判定手段)
97…PWMカウンタ制御部(変調手段)
120…出力電圧検出回路(測定手段)
124…CPU(第1変更手段、第2変更手段)
h(h1,h2)…補正値(後退制御におけるパルス幅の変調量)
i(i1,i2)…検出電流値(検出値)
k1,k2…変調UP値、変調DOWN値(各変調動作での単位変調量)
Σk…積算変調値(総変調量)
K’…初期カウンタ値(PWM信号の開始パルス幅)
S1,S2,S3…PWM信号
t1…動作時間間隔(制御タイミング)
t2…制御停止時間(待機時間)
t4…所定時間
th1…上限値
th2…下限値
th1’…仮上限値
th2’…仮下限値
th3…補正上限値(限界パルス幅)
th4…補正下限値(限界パルス幅)
th5…UP幅限界値(限界変調量)
th6…DOWN幅限界値(限界変調量)
Claims (29)
- PWM信号を発生するPWM信号発生手段と、
前記PWM信号に応じた出力電力を電気的負荷に供給する電力供給手段と、
前記電気的負荷に供給される供給電力の供給電圧値又は供給電流値を検出する検出手段と、
目標値に対する、前記検出手段の検出値の過不足を判定する判定手段と、
前記検出値が前記目標値に向かう増減方向に前記PWM信号のパルス幅を変調する前進制御、及び、当該前進制御時とは逆の増減方向に前記PWM信号のパルス幅を変調する後退制御を実行可能とされ、前記判定手段の判定結果が過不足有りである場合に前記前進制御を実行し、その後、前記判定手段の判定結果が過不足無し、または、前記検出値と前記目標値との大小関係が反転した場合に前記後退制御に切り替えて実行する変調手段と、を備える電力供給装置。 - 前記前進制御は、前記検出値が前記目標値に向かう増減方向に前記PWM信号のパルス幅を単位変調量ずつ段階的に繰り返し変調する制御である請求項1に記載の電力供給装置。
- 前記変調手段は、制御タイミングごとに前記判定手段の判定結果を取り込み、前記前進制御では、当該制御タイミングごとに前記単位変調量分の変調動作を実行する請求項2に記載の電力供給装置。
- 前記制御タイミングの間隔及び前記単位変調量のうち少なくもいずれか1つを変更する第1変更手段を備える請求項3に記載の電力供給装置。
- 前記第1変更手段は、前記制御タイミングの間隔及び前記単位変調量のうち少なくもいずれか1つを、前記検出値と前記目標値との差分に基づき変更する請求項4に記載の電力供給装置。
- 前記第1変更手段は、連続した複数の前記制御タイミングで、前記検出値と前記目標値との差分が所定値以下であった場合に変更動作を実行する請求項5に記載の電力供給装置。
- 前記第1変更手段は、前記制御タイミングの間隔及び前記単位変調量のうち少なくもいずれか1つを、前記電気的負荷のインピーダンスが大きく変動するタイミングに基づき変更する請求項4から請求項6のいずれかに記載の電力供給装置。
- 前記電気的負荷のインピーダンスを測定する測定手段を備え、
前記第1変更手段は、前記制御タイミングの間隔及び前記単位変調量のうち少なくもいずれか1つを、前記インピーダンスに基づき変更する請求項4から請求項7のいずれかに記載の電力供給装置。 - 前記第1変更手段は、前記単位変調量を、前記前進制御開始当初の方が、それ以降よりも大きくする請求項4に記載の電力供給装置。
- 前記目標値は、上限値及び下限値に挟まれる許容範囲を有して設定され、
前記前進制御における前記単位変調量は、前記上限値と前記下限値との差に対応する変調量よりも小さい量である請求項2から請求項9のいずれかに記載の電力供給装置。 - 前記前進制御は、前記判定手段の判定結果が過不足有りである場合に、前記検出値を前記目標値に到達させることが可能なパルス幅に前記PWM信号を一度に変調し、その変調後のパルス幅を前記検出値が前記目標値に達するまで維持する制御である請求項1に記載の電力供給装置。
- 前記前進制御におけるパルス幅の変調量を、前記検出値と前記目標値との差分に基づき決定する第1決定手段を備える請求項11に記載の電力供給装置。
- 前記電気的負荷のインピーダンスを測定する測定手段を備え、
前記前進制御におけるパルス幅の変調量を、前記インピーダンスに基づき決定する第2決定手段を備える請求項11または請求項12に記載の電力供給装置。 - 前記変調手段は、制御タイミングごとに前記判定手段の判定結果を取り込み、連続した複数の前記制御タイミングで前記検出値が前記目標値に到達した場合に、前記後退制御を実行する請求項1から請求項13のいずれかに記載の電力供給装置。
- 前記変調手段は、更に、前記前進制御によって変調されたPWM信号のパルス幅が限界パルス幅に達した場合にも前記後退制御を実行する請求項1から請求項14のいずれかに記載の電力供給装置。
- 前記変調手段は、更に、前記前進制御において変調開始前からのパルス幅の総変調量が限界変調量に達した場合にも前記後退制御を実行する請求項1から請求項15のいずれかに記載の電力供給装置。
- 前記後退制御におけるパルス幅の変調量は、前記前進制御での前記総変調量に基づき定められる請求項1から請求項16のいずれかに記載の電力供給装置。
- 前記後退制御におけるパルス幅の変調量は、前記総変調量と、前記前進制御開始時のPWM信号の開始パルス幅とを用いた演算式に基づき定められる請求項17に記載の電力供給装置。
- 前記後退制御は、当該後退制御開始時における検出値を維持するパルス幅に、前記PWM信号を変調する請求項1から請求項18のいずれかに記載の電力供給装置。
- 前記後退制御の実行後、待機時間経過後に前記前進制御を再開させる請求項1から請求項19のいずれかに記載の電力供給装置。
- 少なくとも前記PWM信号発生手段及び変調手段は、ASICによって構成されている請求項1から請求項20のいずれかに記載の電力供給装置。
- 前記目標値は、上限値及び下限値に挟まれる許容範囲を有して設定され、
前記電気的負荷のインピーダンスを測定する測定手段と、
前記インピーダンスに基づき前記許容範囲を広狭する第2変更手段と、を備える請求項1から請求項21のいずれかに記載の電力供給装置。 - 前記第2変更手段は、定電流制御を行っている場合に、前記インピーダンスが小さいほど前記許容範囲を広くする請求項22に記載の電力供給装置。
- 前記目標値を間に挟んだ仮上限値及び仮下限値とで囲まれる仮範囲が設けられ、
前記変調手段は、前記前進制御を実行後、前記検出値が前記仮範囲に達した場合に前記後退制御を実行し、その後再開される前進制御により前記検出値が前記目標値に達した場合に前記後退制御を再度実行する請求項1から請求項23のいずれかに記載の電力供給装置。 - 前記検出手段の検出値が所定値に達した場合に前記変調手段の制御を開始させる制御開始手段を備える請求項1から請求項24のいずれかに記載の電力供給装置。
- 前記PWM信号発生手段は、電力供給開始指令の入力に基づき一度に増減した固定のパルス幅のPWM信号を、前記検出手段の検出値が前記所定値に達するまで強制的に出力する構成である請求項25に記載の電力供給装置。
- 前記PWM信号発生手段は、所定時間内に前記検出値が前記所定値に達しない場合には、その検出値が大きくなる方向に前記固定のパルス幅を変調して前記検出手段の検出値が前記所定値に達するまで強制的に出力する構成である請求項26に記載の電力供給装置。
- 電力供給開始指令が入力されてから所定時間経過した場合に前記変調手段の制御を開始させる制御開始手段を備える請求項1から請求項24のいずれかに記載の電力供給装置。
- 前記請求項1から請求項28のいずれかに記載の電力供給装置と、
前記電力供給装置から電力が供給される電気的負荷を有し、被記録媒体に画像形成を行う画像形成手段と、を備える画像形成装置。
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