JP2007047112A - レーダ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】捜索範囲が広く小目標の場合であっても、高い捜索レートで捜索して目標を検出することができるレーダ装置を提供する。
【解決手段】捜索範囲のうちの所定領域に対する所定ヒット数の送受信信号をウェーブレット変換することにより得られた展開係数に基づき目標を検出する第1目標検出部5と、所定領域以外の領域に対する所定ヒット数より多いヒット数の送受信信号に対して不要波抑圧処理および積分処理を含む信号処理を施すことにより目標を検出する第2目標検出部6とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、捜索を行うレーダ装置に関し、特に少ないヒット数で目標を検出する技術に関する。
近年は信号処理分野において、フーリエ変換や離散コサイン変換(DCT)に代えてウェーブレット変換がよく利用されている。ウェーブレット変換の詳細に関しては、例えば非特許文献1に記述されている。ウェーブレット変換は、強度が局所的に分布する信号を効率良く処理できるため、画像処理や音声信号処理、さらにはレーダ装置におけるビデオ信号処理などといった種々の分野で応用されている。
ところで、レーダ装置は、所定の捜索範囲に向けてビームを送受信(ヒット)することにより目標の捜索を行う。図10は、このような従来のレーダ装置の構成を示すブロック図である。このレーダ装置は、アンテナ1、MTI(移動目標指示:Moving Target Indicator)回路21、PC(パルス圧縮:Pulse Compression)回路2、DFT(離散フーリエ変換:Discrete Fourier Transform)回路22およびCFAR(一定誤警報率:Constant False Alarm Rate)回路23から構成されている。
このレーダ装置においては、アンテナ1において受信された信号は、MTI回路21に送られる。MTI回路21は、アンテナ1から受け取った信号に含まれるクラッタを抑圧し、PC回路2に送る。なお、MTI回路21において行われるMTI処理の詳細は、例えば非特許文献2に説明されている。PC回路2は、MTI回路21から送られてくるクラッタが抑圧された信号に対してパルス圧縮を施し、DFT回路22に送る。なお、PC回路2において行われるパルス圧縮処理の詳細は、例えば非特許文献3に説明されている。
DFT回路22は、PC回路2から送られてくる信号を離散フーリエ変換により時間−周波数軸上の信号に変換し、CFAR回路23に送る。CFAR回路23は、詳細は後述するが、DFT回路22から送られてくる信号に対し、誤警報確率を一定の低さに抑えた信号を生成し、生成した信号に基づいて目標を検出する。CFAR回路23で検出された目標を表す信号が外部に出力される。なお、CFAR回路23において行われるCFAR処理の詳細は、例えば非特許文献4に説明されている。
図11は、CFAR回路23の一例として、相加平均で規格化を行うリニアCFARの構成を示すブロック図である。CFAR回路23は、遅延回路51、加算回路52、平均化処理回路53、除算回路54およびスレッショルド検出回路55から構成されている。
遅延回路51は、入力された信号xiを遅延させた後、加算回路52および除算回路54に送る。加算回路52は、一定期間に遅延回路51から送られてくるN個(Nは2以上の整数)のデータを加算し、平均化処理回路53に送る。平均化処理回路53は、加算回路52から送られてくるN個のデータの平均値を算出し、除算回路54に送る。除算回路54は、遅延回路51から送られてくるデータを、平均化処理回路53から送られてくる平均値で除算し、この除算結果をスレッショルド検出回路55に送る。スレッショルド検出回路55は、除算回路54から送られてくる信号を所定のスレッショルドレベルと比較し、その比較結果を表す信号を、検出信号として出力する。なお、CFAR回路23は、相乗平均で規格化を行う対数CFARによって実現することもできる。
上述したようなフーリエ変換を利用して目標を検出する従来のレーダ装置では、フーリエ変換処理によって時間に関する情報が失われ、処理効率も良くない。これに対し、ウェーブレット変換を用いれば、時間に関する情報を残しつつ効率的な処理を行うことができる。図12は、このようなウェーブレット変換を利用した従来のレーダ装置の構成を機能的に示すブロック図である。
このレーダ装置においては、ウェーブレット変換回路11におけるウェーブレット変換により生成された展開係数W1〜Wjは、まず、展開係数選定回路12に送られる。展開係数選定回路12は、ノイズが含まれることが予想される展開係数成分を除去した展開係数を逆ウェーブレット変換回路60に送る。逆ウェーブレット変換回路60は、与えられた展開係数成分を再び周波数成分に戻し、CFAR回路23に送る。CFAR回路23は、逆ウェーブレット変換回路60から送られてくる再変換後のデータを用いてCFAR処理を行い、検出器61に送る。検出器61は、CFAR回路23からの信号に基づき目標検出処理を実行し、検出した目標を表す信号を出力する。
中野他著、"ウェーブレットによる信号処理と画像処理"、共立出版株式会社、pp.49−70、pp.101−110(1999) 吉田他著、"改訂レーダ技術"、電子情報通信学会、pp.67−70(1996) 吉田他著、"改訂レーダ技術"、電子情報通信学会、pp.275−2780(1996) 関根著、"レーダ信号処理技術"、電子情報通信学会、pp.96−106(1991)
ところで、上述したウェーブレット変換を利用する従来のレーダ装置では、ビデオ信号をウェーブレット変換し、ウェーブレット軸上で不要な成分を除去したのち再合成して時間軸上の信号に戻す。そして、この時間軸上の信号をスレッショルド検波して目標の有無を判別する。したがって、ウェーブレット変換後の再合成処理が必須であり、回路構成や信号処理の規模が増大するという問題がある。
また、従来のレーダ装置においては、所定範囲を捜索するためには、捜索範囲のビームポジション毎に、目標検出に必要なヒット数の信号が送受信される。一般には、図13に示すように、低仰角領域ではクラッタ抑圧性能を向上させるためにヒット数を増やし、高仰角領域ではヒット数を少なくするように制御される。
ところが、レーダ装置の処理性能にも限界があることから全ヒット数に制約があり、高仰角領域で積分数を確保するためにヒット数を多くすると、低仰角領域に十分なヒット数を確保できず、捜索レートを上げることができないという問題がある。特に、捜索範囲が広い場合や小目標の場合は多数のヒット数が必要であり、この問題は顕著である。
本発明は、捜索範囲が広く小目標の場合であっても、高い捜索レートで捜索して目標を検出することができるレーダ装置を提供することにある。
第1の発明は、上記目的を達成するために、捜索範囲のうちの所定領域に対する所定ヒット数の送受信信号をウェーブレット変換することにより得られた展開係数に基づき目標を検出する第1目標検出部と、所定領域以外の領域に対する所定ヒット数より多いヒット数の送受信信号に対して不要波抑圧処理および積分処理を含む信号処理を施すことにより目標を検出する第2目標検出部とを備えたことを特徴とする。
第2の発明は、所定ヒット数の送受信信号に対して不要波抑圧処理および積分処理を含む信号処理を施す信号処理部と、信号処理部から出力される信号をウェーブレット変換することにより得られた展開係数に基づき目標を検出する目標検出部とを備えたことを特徴とする。
第3の発明は、捜索範囲に対する所定ヒット数の送受信信号をウェーブレット変換することにより得られた展開係数に基づき目標を検出する第1目標検出部と、第1目標検出部で目標が検出された方向への送受信信号に対して不要波抑圧処理および積分処理を含む信号処理を施すことにより目標を確認する第2目標検出部とを備えたことを特徴とする。
第1の発明によれば、捜索範囲のうちの所定領域に対しては、目標検出能力の高いウェーブレット変換の展開係数に基づき目標を検出し、それ以外の領域に対しては、ウェーブレット変換に使用したヒット数より多いヒット数の送受信信号に対して不要波抑圧処理および積分処理を含む信号処理を施すことにより目標を検出するので、少ないヒット数での目標検出が可能になり、ビームマネージメントが改善される。その結果、高い捜索レートでの捜索が可能になり、捜索範囲が広く小目標の場合であっても目標検出が可能になる。また、ウェーブレット変換の展開係数に基づき目標を検出するので、ウェーブレット変換後の再合成処理が不要であり、回路構成や信号処理の規模を小さくできる。
第2の発明によれば、所定ヒット数の送受信信号に対して不要波抑圧処理および積分処理を含む信号処理を施し、この信号処理が施された信号をウェーブレット変換することにより得られた展開係数に基づき目標を検出するので、少ないヒット数で積分処理や不要波抑圧処理を実施することができ、多数のヒット数が不要になるので、ビームマネージメントが改善される。また、ウェーブレット変換の展開係数に基づき目標を検出するので、ウェーブレット変換後の再合成処理が不要であり、回路構成や信号処理の規模を小さくできる。
第3の発明によれば、捜索範囲に対する所定ヒット数の送受信信号をウェーブレット変換することにより得られた展開係数に基づき目標を検出し、検出された方向への送受信信号に対して不要波抑圧処理および積分処理を含む信号処理を施すことにより目標を確認するので、ウェーブレット変換による目標検出を少ないヒット数で行い、目標が検出された方向のみのヒット数を多くして目標検出を確認できるから、捜索範囲の全体にわたる多くのヒット数は不要になり、ビームマネージメントが改善される。また、ウェーブレット変換の展開係数に基づき目標を検出するので、ウェーブレット変換後の再合成処理が不要であり、回路構成や信号処理の規模を小さくできる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の各実施例において、同一または相当する構成部分には同一の符号を付して説明する。
図1は、本発明の実施例1に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。このレーダ装置は、アンテナ1、PC回路2、選択回路3、制御回路4、第1目標検出部5および第2目標検出部6から構成されている。
アンテナ1は、送信信号を電波に変換してビームとして外部に送信するとともに、送信したビームの反射波を受信して受信信号としてPC回路2に送る。このアンテナ1によるビームの送受信方向は、制御回路4から送られてくる制御信号によって制御される。PC回路2は、アンテナ1から送られてくる受信信号に対してパルス圧縮を施し、選択回路3に送る。
選択回路3は、制御回路4から送られてくる制御信号に応じて、PC回路2から送られてくる信号を第1目標検出部5に送るか第2目標検出部6に送るかを選択する。具体的には、選択回路3は、制御回路4から送られてくる制御信号が高仰角の目標検出中であることを示している時は、PC回路2から送られてくる信号を第1目標検出部5に送り、低仰角の目標検出中であることを示している時は、PC回路2から送られてくる信号を第2目標検出部6に送る。
第1目標検出部5は、離散ウェーブレット変換(DWT:Discrete Wavelet Transform)を用いて目標を検出する処理を実行する。この第1目標検出部5は、ウェーブレット変換回路11、展開係数選定回路12、CFAR回路13および相関処理回路14から構成されている。
ウェーブレット変換回路11は、アンテナ1からPC回路2および選択回路3を経由して送られてくる信号を入力データとし、この入力データに対して離散ウェーブレット変換を施す。ここで、ウェーブレット変換回路11への入力データを、複素信号f0(I+jQ)で表すと、離散ウェーブレット変換の対象となる信号fとしては、下式(1)〜(4)に示す4通りなどを考えることができる。
Figure 2007047112
ここで、
I:実部
Q:虚部
j:虚数単位
ウェーブレット変換回路11は、このような信号fを入力データとして、離散ウェーブレット変換を実行し、複数のウェーブレット展開係数を求める。離散ウェーブレット変換は、図3(a)に示すような入出力信号(原波形)をスケーリング係数とウェーブレット展開係数で近似するものである。スケーリング係数には複数のレベル1〜jがあり、各レベルに応じて近似の程度が異なる。ウェーブレット展開係数は、スケーリング係数のレベル間における差に相当する。
このような離散ウェーブレット変換はフィルタで表すことができる。図2は、離散ウェーブレット変換のフィルタ特性を示す図である。レベルの順に、周波数領域は、広域から低域へ遷移する。すなわち、高域においては短時間のフィルタ特性を持ち、低域に行くほど長時間のフィルタ特性を持つようになる。このフィルタ特性は、例えば非特許文献1に説明されているように、下式(5)〜(10)で表すことができる。
Figure 2007047112
ここで、
fj:jレベルの近似関数(j=1〜J)
gj:jレベルの展開関数
sk:スケーリング展開係数(k=1〜K)
wk:ウェーブレット展開係数
φ :スケーリング関数
ψ :マザー・ウェーブレット関数
pk:マザー・ウェーブレット関数により決まる数列
* :複素共役
ここで、(9)式に示すwは、レベルjにおける近似関数と実際の波形との差分を表す成分であり、ウェーブレット展開係数を表す。ウェーブレット展開係数が算出される様子を図3に示す。
別言すれば、目標検出の際に用いられるウェーブレット変換は、図4(a)に示すような入力データに対し、ウェーブレット変換核(例えばメキシカンハット等)のパラメータ(シフトRやスケールf)を変化させながら相関処理を行うことによりフィッティングさせ、図4(b)に示すような、高いウェーブレット変換データの出力を得る処理を実行する、と言うことができる。このウェーブレット展開を用いると、少ないヒット数で、信号を検出できるというメリットがある。ウェーブレット変換回路11において得られたウェーブレット展開係数は、展開型数選定回路12に送られる。
展開型数選定回路12は、ウェーブレット変換回路11から送られてくるウェーブレット展開係数から展開係数W1〜Wmを選定し、CFAR回路13に送る。
CFAR回路13は、展開型数選定回路12から送られてくる展開係数W1〜Wmの各々に対して、誤警報確率を一定の低さに抑えた信号を生成する。CFAR回路13の詳細は、背景技術の欄で説明したので、ここでは説明を省略する。このCFAR回路13で生成された信号は、相関処理回路14に送られる。
相関処理回路14は、CFAR回路13から送られてくるm個の検出信号に対して相関処理を実施して検出信号の統合等を行うことにより誤警報を低減した検出情報を生成する。この相関処理回路14から出力される検出情報が、高仰角領域の目標を表す信号として外部に出力される。
第2目標検出部6は、MTI回路21、DFT回路22およびCFAR回路23から構成されている。なお、PC回路2をMTI回路21とDFT回路22との間に設けるように構成することもできる。
MTI回路21は、アンテナ1からPC回路2および選択回路3を経由して受け取った信号に含まれるクラッタを抑圧し、DFT回路22に送る。DFT回路22は、MTI回路21から送られてくるクラッタが抑圧された信号を離散フーリエ変換により時間−周波数軸上の信号に変換し、CFAR回路23に送る。CFAR回路23は、上述した第1目標検出部5のCFAR回路13と同じであり、DFT回路22から送られてくる信号に対し、誤警報確率を一定の低さに抑えた信号を生成し、生成した信号に基づいて目標を検出する。このCFAR回路23で検出された目標を表す信号は外部に出力される。
次に、上記のように構成されるレーダ装置の動作を説明する。まず、アンテナ1で受信された信号は、PC回路2を介して選択回路3に送られる。選択回路3は、制御回路4から送られてくる制御信号に応じて、PC回路2から送られてくる信号を第1目標検出部5に送るか第2目標検出部6に送るかを選択する。
PC回路2から送られてくる信号が第1目標検出部5に送られた場合は、ウェーブレット変換回路11でウェーブレット展開係数に展開されて展開係数選定回路12に送られる。そして、展開係数選定回路12において、展開係数W1〜Wmが選定されて各CFAR回路23に送られる。各CFAR回路23では、CFAR処理によって誤警報確率を一定の低さに抑えた信号が生成され、検出信号として相関処理回路14に送られる。相関処理回路14では、相関処理が実施されて検出信号の統合等が行われることにより誤警報を低減した検出情報が生成され、外部に出力される。
一方、PC回路2から送られてくる信号が第2目標検出部6に送られた場合は、MTI回路21は、アンテナ1からPC回路2および選択回路3を経由して受け取った信号に含まれるクラッタを抑圧し、DFT回路22に送る。DFT回路22は、MTI回路21から送られてくる信号を離散フーリエ変換により時間−周波数軸上の信号に変換し、CFAR回路23に送る。CFAR回路23は、DFT回路22から送られてくる信号に対し、誤警報確率を一定の低さに抑えた信号を生成し、この生成した信号に基づいて目標を検出する。このCFAR回路23で検出された目標を表す信号は外部に出力される。
以上説明したように、本発明の実施例1に係るレーダ装置によれば、図5に示すように、捜索範囲のうちの高仰角領域ではヒット数を少なくし、低仰角領域でヒット数を多くして目標を検出するので、少ないヒット数での目標検出が可能になり、ヒット数の制約を低減した効率のよいビームマネージメントを実現することができる。
その結果、高い捜索レートでの捜索が可能になり、捜索範囲が広く小目標の場合であっても目標検出が可能になる。また、ウェーブレット変換の展開係数に基づき目標を検出するので、ウェーブレット変換後の再合成処理が不要であり、回路構成や信号処理の規模を小さくできる。
上述した実施例1に係るレーダ装置では、高仰角領域に対しては離散ウェーブレット変換を用いて目標を検出するように構成したが、実施例2に係るレーダ装置では、高仰角領域に対して離散ウェーブレット変換のみで目標を検出するのではなく、MTI、DFT等を適用した後に離散ウェーブレット変換を実施して目標を検出するものである。
図6は、本発明の実施例2に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。このレーダ装置は、アンテナ1、制御回路4、信号処理部7および目標検出部8から構成されている。アンテナ1および制御回路4の構成および動作は、実施例1に係るレーダ装置のそれらと同じである。
信号処理部7は、上述した実施例1に係るレーダ装置の第2目標検出部6のMTI回路21とDFT回路22との間にPC回路2が設けられて構成されている。MTI回路21は、アンテナ1から受け取った信号に含まれるクラッタを抑圧し、PC回路2に送る。PC回路2は、MTI回路21から送られてくる信号に対してパルス圧縮を施し、DFT回路22に送る。DFT回路22は、PC回路2から送られてくる信号を離散フーリエ変換により時間−周波数軸上の信号に変換し、CFAR回路23に送る。CFAR回路23は、DFT回路22から送られてくる信号に対し、誤警報確率を一定の低さに抑えた信号を生成し、目標検出部8に送る。
目標検出部8の構成および動作は、実施例1に係るレーダ装置の第1目標検出部5のそれらと同じである。この目標検出部8は、信号処理部7から送られてくる信号に対して、ウェーブレット変換を用いて目標を検出する処理を実行する。
上記のように構成される実施例2に係るレーダ装置の動作は、以下の通りである。すなわち、信号処理部7は、アンテナ1から送られてくる信号に対してMTI回路21およびDFT回路23において不要波抑圧処理を行い、さらに、DFT回路23において積分処理を行った後に目標検出部8に送る。目標検出部8は、信号処理部7から送られてくる、不要波抑圧処理や積分処理がなされた信号に対してウェーブレット変換を施すことにより得られた展開係数に基づき目標を検出する。
以上のように構成される実施例2に係るレーダ装置によれば、図7に示すように、制御回路4の制御によって高仰角領域ではヒット数を少なくして離散ウェーブレット変換による検出を行い、低仰角領域ではヒット数を多くしてクラッタ抑圧性能を重視するように使い分けることにより、サイドローブクラッタが大きい場合であっても、ヒット数の制約を緩和した効率のよいビームマネージメントを実現できる。
実施例3に係るレーダ装置は、ウェーブレット変換を用いて目標を検出し、この検出した目標に対応するビームポジションに対して、多数のヒット数によるMTI処理、DFT処理およびCFAR処理を実施するものである。
図8は、本発明の実施例3に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。このレーダ装置は、実施例1に係るレーダ装置における第1目標検出部5の出力が制御回路4に送られるように構成されている。
制御回路4は、第1目標検出部5から送られてくる検出情報に基づき、アンテナ1の向きを検出された目標に向けるとともに、PC回路2から送られてくる信号を第2目標検出部6に送るように選択回路3を制御する。
上記のように構成される実施例3に係るレーダ装置の動作は、以下の通りである。すなわち、第1目標検出部5は、ウェーブレット変換を用いて目標を検出し、検出情報を制御回路4に送る。制御回路4は、アンテナ1の向きを、第1目標検出部5から送られてくる検出情報によって示される目標の方向に向けるとともに、PC回路2から送られてくる信号を第2目標検出部6に送るように選択回路3を制御する。
第2目標検出部6は、選択回路3から送られてくる信号に対してMTI回路21およびDFT回路23において不要波抑圧処理を行い、さらに、DFT回路23において積分処理を行った信号をCFAR回路23に送る。CFAR回路23は、DFT回路22から送られてくる信号に対し、誤警報確率を一定の低さに抑えた信号を生成し、この生成した信号に基づいて、第1目標検出部5で検出された目標が真の目標であることを確認する。このCFAR回路23で確認された目標を表す信号は外部に出力される。
以上のように構成される実施例3に係るレーダ装置によれば、図9に示すように、制御回路4の制御によって第1目標検出部5において検出された目標の方向にヒット数を多くしてクラッタ(不要波)抑圧や積分を行うので、ヒット数の制約を緩和した効率のよいビームマネージメントを実現できる。
なお、上述した実施例1〜実施例3では、処理規模が少ないという利点を有することから、離散ウェーブレット変換を用いて目標検出を行うように構成したが、連続ウェーブレット変換を用いて目標検出を行うように構成することもできる。
また、離散ウェーブレット変換を用いて目標を検出する方法として、ウェーブレット展開係数を用いる方式を説明したが、ウェーブレット変換を用いてヒット数を低減できる方法であれば、他の方法を用いることもできる。
本発明に係る測角装置は、レーダ装置や受信装置に利用可能である。
本発明の実施例1に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。 離散ウェーブレット変換のフィルタ特性を示す図である。 離散ウェーブレット変換においてウェーブレット展開係数が算出される様子を示す図である。 離散ウェーブレット変換の原理を説明するための図である。 本発明の実施例1に係るレーダ装置におけるビームマネージメントを説明するための図である。 本発明の実施例2に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例2に係るレーダ装置におけるビームマネージメントを説明するための図である。 本発明の実施例3に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例3に係るレーダ装置におけるビームマネージメントを説明するための図である。 従来のレーダ装置の構成を示すブロック図である。 図10に示すCFAR回路の構成を示すブロック図である。 従来のウェーブレット変換を利用したレーダ装置を説明するための図である。 従来のレーダ装置におけるビームマネージメントを説明するための図である。
符号の説明
1 アンテナ
2 PC回路
3 選択回路
4 制御回路
5 第1目標検出部
6 第2目標検出部
7 信号処理部
8 目標検出部
11 ウェーブレット変換回路
12 展開係数選定回路
13 CFAR回路
14 相関処理回路
21 MTI回路
22 DFT回路
23 CFAR回路

Claims (3)

  1. 捜索範囲のうちの所定領域に対する所定ヒット数の送受信信号をウェーブレット変換することにより得られた展開係数に基づき目標を検出する第1目標検出部と、
    前記所定領域以外の領域に対する前記所定ヒット数より多いヒット数の送受信信号に対して不要波抑圧処理および積分処理を含む信号処理を施すことにより目標を検出する第2目標検出部と、
    を備えたことを特徴とするレーダ装置。
  2. 所定ヒット数の送受信信号に対して不要波抑圧処理および積分処理を含む信号処理を施す信号処理部と、
    前記信号処理部から出力される信号をウェーブレット変換することにより得られた展開係数に基づき目標を検出する目標検出部と、
    を備えたことを特徴とするレーダ装置。
  3. 捜索範囲に対する所定ヒット数の送受信信号をウェーブレット変換することにより得られた展開係数に基づき目標を検出する第1目標検出部と、
    前記第1目標検出部で目標が検出された方向への送受信信号に対して不要波抑圧処理および積分処理を含む信号処理を施すことにより目標を確認する第2目標検出部と、
    を備えたことを特徴とするレーダ装置。
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