JP4881214B2 - 目標検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、受信した信号から目標を検出する目標検出装置に関し、特に時間−周波数軸上で目標を検出する技術に関する。
従来、例えばレーダ装置に備えられ、送信したパルス信号が目標で反射されて戻ってきた反射波を受信し、受信した反射波に基づき目標を検出する目標検出装置が知られている。このような目標検出装置においては、複数の反射波(ヒット)を受信して積分し、SN比を向上させることが行われている。しかしながら、高速で動く目標(以下、「高速目標」という)に対しては、目標のレンジ方向のずれによって積分できるヒット数に上限があるので、積分によるSN比向上にも限界があり、目標の検出性能に劣るという問題があった。
このような問題に対処するために、短時間しか出現しない高速目標を検出できる目標検出装置が開発されている。図19は、このような従来の目標検出装置の構成を示すブロック図である。この目標検出装置は、短時間フーリエ変換(以下、「STFT:Short Time Fourier Transform」という)部1、一定誤警報率(以下、「CFAR:Constant False Alarm Rate」という)部11、スレショルド部4および検出部5から構成されている。
この目標検出装置は、以下のように動作する。すなわち、図示しないアンテナで反射波を受信することによって得られた受信信号は、STFT部1に送られる。STFT部1は、受信信号を短時間フーリエ変換により時間−周波数軸上の信号に変換し、CFAR部11に送る。なお、短時間フーリエ変換については、例えば、非特許文献1に説明されている。
CFAR部11は、STFT部1から送られてくる時間−周波数軸上の信号に対し、誤警報確率を一定の低さに抑えた信号を生成し、スレショルド部4に送る。なお、CFARについては、例えば非特許文献2に説明されている。図20は、CFAR部11の一例として、相加平均で規格化を行うリニアCFAR部の構成を示すブロック図である。CFAR部11は、遅延回路31、加算部32、平均化処理部33および除算部34から構成されている。
遅延回路31は、入力された信号xiを遅延させた後、加算部32および除算部34に送る。加算部32は、一定期間に遅延回路31から送られてくるN個のデータを加算し、平均化処理部33に送る。平均化処理部33は、加算部32から送られてくるN個のデータの平均値を算出し、除算部34に送る。除算部34は、遅延回路31から送られてくるデータを平均化処理部33から送られてくる平均値で除算し、この除算結果をCFAR出力としてスレショルド部4に送る。なお、CFAR部11は、相乗平均で規格化を行う対数CFAR部によって実現される場合もある。
スレショルド部4は、CFAR部11から送られてくる信号を所定のスレショルドレベルと比較し、その比較結果を表す信号を検出部5に送る。検出部5は、スレショルド部4から送られてくる比較結果を表す信号に基づいて目標を検出し、この検出結果を検出情報として出力する。
特開2006−337198号公報 特開2007−017204号公報 榊原、"ウェーヴレットビギナーズガイド"、東京電機大学出版局、pp.23-24(1995) 関根、"レーダ信号処理技術"、電子情報通信学会、pp.96-106(1991) 中野他、"ウェーヴレットによる信号処理と画像処理"、共立出版株式会社、pp.49-70、pp.101-110(1999) 中野他、"ウェーヴレットによる信号処理と画像処理"、共立出版株式会社、pp.71-73(1999)
しかしながら、上述した従来の短時間フーリエ変換を行った後にCFAR処理を行うように構成された目標検出装置では、高速目標が小目標である場合は、SN比が小さくて、目標を検出できない場合が発生するという問題がある。
また、短時間フーリエ変換を行った後に2次元のウェーヴレット変換(以下、「DWT:Discrete Wavelet Transform」という)を実施する方法も知られている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)が、原則、時間−周波数軸のデータ数はN×N個にする必要があるという制約がある。なお、離散ウェーヴレット変換については、例えば非特許文献3および非特許文献4に説明されている。
本発明の課題は、高速目標が小目標であっても、その小目標を確実に検出し、目標検出性能を向上させることができる目標検出装置を提供することにある。
第1の発明は、外部から入力された受信信号をレンジセル毎に短時間フーリエ変換することにより時間−周波数軸上の信号に変換する短時間フーリエ変換部と、短時間フーリエ変換部における短時間フーリエ変換によって得られた時間−周波数軸上の信号の最大値を有するセルからP番目(Pは正の整数)までのセルを検出し、P個のセルの各々について、該セルを含むD×N(DおよびNは正の整数)のセル範囲を指定するセル範囲指定部と、セル範囲指定部で指定されたセル範囲のD×Nの軸で、Nセルの方向にD通りの1次元フーリエ変換する1次元フーリエ変換部と、1次元フーリエ変換部における1次元フーリエ変換によって得られた信号を所定のスレショルドレベルと比較するスレショルド部と、スレショルド部における比較結果に基づき目標を検出する検出部とを備えたことを特徴とする。
第2の発明は、短時間フーリエ変換部における短時間フーリエ変換によって得られたレンジセル毎の時間−周波数軸上の信号を合成する合成部を備え、セル範囲指定部は、合成部により合成された信号の最大値を有するセルからP番目(Pは正の整数)までのセルを検出し、P個のセルの各々について、該セルを含むD×N(DおよびNは正の整数)のセル範囲を指定する。
第1の発明によれば、短時間フーリエ変換された信号を、領域限定した1次元FFTにより積分するので、目標信号を効率よく抽出できる。
第2の発明によれば、短時間フーリエ変換後の信号を複数のレンジセルで積分して強調した後に、1次元FFTを用いて積分するので、目標信号を効率よく抽出できる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、背景技術の欄で説明した従来の目標検出装置と同一または相当する構成部分には、背景技術の欄で使用した符号と同一の符号を付して説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る目標検出装置の構成を示すブロック図である。この目標検出装置は、STFT部1、2次元FFT部2、判定セル範囲指定部3、スレショルド部4および検出部5から構成されている。
STFT部1は、送信パルスの反射波をアンテナ(図示しない)で受信することによって得られた受信信号を、レンジセル毎に短時間フーリエ変換することにより時間−周波数軸上の信号に変換する。このSTFT部1における短時間フーリエ変換によって得られたレンジセル毎の時間−周波数軸上の信号は、2次元FFT部2に送られる。
2次元FFT部2は、STFT部1から送られてくる時間−周波数軸上の信号を2次元フーリエ変換する。この2次元FFT部2における2次元フーリエ変換によって得られた信号は、判定セル範囲指定部3に送られる。
判定セル範囲指定部3は、2次元FFT部2から送られてきた信号の最大値を検出し、検出した最大値の周りのD個(Dは正の整数)のセル(最大値を有するセルを含む)を判定対象として指定する。判定セル範囲指定部3によって判定対象として指定されたセルは、判定セル範囲のセルとしてスレショルド部4に送られる。
スレショルド部4は、判定セル範囲指定部3から送られてくる判定セル範囲のセルを所定のスレショルドレベルと比較する。スレショルド部4における比較結果を表す信号は、検出部5に送られる。
検出部5は、スレショルド部4から送られてくる、D個の比較結果を表す信号のうちd個(dは正の整数であり、d≦D)以上のセルが所定のスレショルドレベルより大きければ、目標である旨を検出する。検出部5における検出結果は、検出情報として外部に送られる。
次に、上記のように構成される本発明の実施例1に係る目標検出装置の動作を説明する。STFT部1に入力される受信信号は、図2(a)に示すような送受信信号のレンジセルデータである。高速目標の場合には、各レンジセルのデータを積分しようとすると、目標が、図2(a)に示すように、レンジセルから少しずつずれるため、PRI(Pulse Repetition Interval;パルス繰返し周期)データは、図2(b)に示すように、短時間しか出現しないことになる。
このような受信信号をPRI−レンジ軸で表現すると、図3(a)に示すように、斜めのデータになる。この傾きは、目標の速度やPRIにより決まる。STFT部2は、このような受信信号を入力し、短時間フーリエ変換によって時間−周波数軸上の信号に変換する。すなわち、STFT部1は、受信信号に対してレンジセル毎に短時間フーリエ変換を実施し、図3(b)に示すような、レンジセル毎の時間−周波数軸上のデータに変換する。時間−周波数軸上では、各レンジセルにおける目標は、周波数(速度)は略同一であり、PRI(時間)が相違する位置に出現する。
図4は、STFT部2における短時間フーリエ変換の原理を説明するための図である。短時間フーリエ変換においては、P個のパルスを送受信してP個のPRIデータが得られた場合に、まず、切り出された1つのレンジセルに含まれるP個のPRIデータのうちのp(p<P)個を用いてFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)処理が行われる。FFT処理においては、処理対象とするp個のPRIデータを、あらかじめ設定された重複率で時間軸方向にずらしながら、P個のPRIデータの全てについてのFFT処理が完了するまで繰り返される。そして、FFT処理によって得られた複数の時間−周波数軸上の信号は2次元FFT部2に送られる。
ここで、時間−周波数軸に変換された信号を、一般に、複素信号f0(I+jQ)で表すと、2次元フーリエ変換の対象とされる入力信号fは、次の4通り等が考えられる。
Figure 0004881214
ここで、
I:実部
Q:虚部
j:虚数単位
2次元FFT部2は、STFT部1から送られてくる時間−周波数軸上の信号に対し、2次元フーリエ変換を行う。2次元フーリエ変換は、2軸の各軸方向に1次元フーリエ変換を実施するものであり、結果としては、次式で表される。
Figure 0004881214
ここで、
f;入力信号
F;フーリエ変換後の信号
x;入力信号成分(x=0〜M−1)
y;入力信号成分(y=0〜N−1)
p;xに対する周波数成分(p=0〜M−1)
q;yに対する周波数成分(q=0〜N−1)
j;虚数単位
*;複素共役
2次元フーリエ変換は、2軸(x、y)の信号に対して、まず、一方の軸でフーリエ変換を行い、その結果に対して、他方の軸でフーリエ変換を行うものである。これにより、目標の速度が変化した場合等も含めて、2軸に広がりをもった信号を、効率よく積分することができる。
次に、本発明の理解を深めるために、実施例1に係る目標検出装置の動作を、目標検出処理を中心に、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
目標検出処理では、まず、STFT変換(短時間フーリエ変換)が行われる(ステップS11)。すなわち、STFT部2は、入力された受信信号を、レンジセル毎に短時間フーリエ変換することによって時間−周波数軸上の信号に変換し、2次元FFT部2に送る。
次いで、2次元FFT(2次元フーリエ変換)が行われる(ステップS12)。すなわち、2次元FFT部2は、STFT部1から送られてくる時間−周波数軸上の信号に対して2次元フーリエ変換を実施し、2次元フーリエ変換によって得られた信号を判定セル範囲指定部3に送る。
次いで、最大値抽出および判定セル範囲(Dセル)が抽出される(ステップS13)。すなわち、判定セル範囲指定部3は、2次元FFT部2から送られてきた信号の最大値を検出し、その最大値の周りのD個のセル(最大値を有するセルを含む)を抽出してスレショルド部4に送る。
次いで、スレショルド検出が行われる(ステップS14)。すなわち、スレショルド部4は、判定セル範囲指定部3から送られてくる判定セル範囲のセルを所定のスレショルドレベルと比較し、その比較結果を表す信号を検出部5に送る。
次いで、D通りのスレショルド検出が終了したかどうかが調べられる(ステップS15)。ステップS15において、D通りのスレショルド検出が終了していないことが判断されると、ステップS14に戻り、上述した処理が繰り返される。
一方、ステップS15において、D通りのスレショルド検出が終了したことが判断されると、次いで、d/D検出が行われる(ステップS16)。すなわち、検出部5は、スレショルド部4から送られてくる、D個の比較結果を表す信号のうちd個以上が所定のスレショルドレベルより大きければ目標である旨を検出し、検出結果を検出情報として外部に送る。以上により、目標検出処理は終了する。
本発明の実施例2に係る目標検出装置は、実施例1に係る目標検出装置において、短時間フーリエ変換によって得られた時間−周波数軸上の信号を合成した後に2次元フーリエ変換を行って目標を検出するものである。
図6は、本発明の実施例2に係る目標検出装置の構成を示すブロック図である。この目標検出装置は、図1に示した実施例1に係る目標検出装置に、合成部6が追加されて構成されている。
合成部6は、図7(b)に示すような、STFT部1における短時間フーリエ変換によって得られた複数の時間−周波数軸上の信号のうちの最大値を有する信号、または、図7(c)に示すように、複数の時間−周波数軸上の信号を加算することにより得られた信号(この明細書では、最大値を有する信号および加算により得られた信号を「合成した信号」と総称する)を出力する。合成部6で合成された信号は、2次元FFT部2に送られる。
次に、本発明の実施例2に係る目標検出装置の動作を、目標検出処理を中心に、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、実施例1に係る目標検出装置と同一の処理を行うステップには、図5のフローチャートで用いた符号と同一の符号を付して説明を簡略化する。
目標検出処理では、まず、STFT変換(短時間フーリエ変換)が行われる(ステップS11)。次いで、合成処理が行われる(ステップS21)。すなわち、合成部6は、STFT部1から送られてくる複数の時間−周波数軸上の信号のうちの最大値を有する信号、または、複数の時間−周波数軸上の信号を加算することにより合成した信号を2次元FFT部2に送る。
次いで、2次元FFT(2次元フーリエ変換)が行われる(ステップS12)。次いで、最大値抽出および判定セル範囲(Dセル)が抽出される(ステップS13)。次いで、スレショルド検出が行われる(ステップS14)。次いで、D通りのスレショルド検出が終了したかどうかが調べられる(ステップS15)。ステップS15において、D通りのスレショルド検出が終了していないことが判断されると、ステップS14に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップS15において、D通りのスレショルド検出が終了したことが判断されると、次いで、d/D検出が行われる(ステップS16)。その後、目標検出処理は終了する。
本発明の実施例3に係る目標検出装置は、2次元フーリエ変換により得られた複数の極値に基づき複数の目標を検出するようにしたものである。実施例3に係る目標検出装置の構成は、判定セル範囲指定部3の機能を除き、図1に示した実施例1に係る目標検出装置の構成と同じである。
判定セル範囲指定部3は、図9に示すように、短時間フーリエ変換により得られた時間−周波数軸上の信号を、2次元フーリエ変換することにより得られる信号の極値の最大値からL番目(Lは正の整数)までを抽出し、各極値について、極値の周りのN1×N2(D)個(N1、N2およびDは正の整数)のセル(極値(最大値)を有するセルを含む)を判定対象として指定する。判定セル範囲指定部3によって判定対象として指定されたセルは、判定セル範囲のセルとしてスレショルド部4に送られる。
次に、本発明の実施例3に係る目標検出装置の動作を、目標検出処理を中心に、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、実施例1に係る目標検出装置と同一の処理を行うステップには、図5のフローチャートで用いた符号と同一の符号を付して説明を簡略化する。
目標検出処理では、まず、STFT変換(短時間フーリエ変換)が行われる(ステップS11)。次いで、2次元FFT(2次元フーリエ変換)が行われる(ステップS12)。次いで、極値の最大値からL番目までが抽出される(ステップS31)。すなわち、判定セル範囲指定部3は、2次元フーリエ変換により得られた信号の極値の最大値からL番目(Lは正の整数)までを抽出する。
次いで、最大値抽出および判定セル範囲(Dセル)が抽出される(ステップS13)。次いで、スレショルド検出が行われる(ステップS14)。次いで、D通りのスレショルド検出が終了したかどうかが調べられる(ステップS15)。ステップS15において、D通りのスレショルド検出が終了していないことが判断されると、ステップS14に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップS15において、D通りのスレショルド検出が終了したことが判断されると、次いで、d/D検出が行われる(ステップS16)。
次いで、L通りの極値に対する処理が終了したかどうかが調べられる(ステップS32)。ステップS32において、L通りの極値に対する処理が終了していないことが判断されるとステップS13に戻り、次の極値に対する処理が行われる。一方、ステップS32において、L通りの極値に対する処理が終了したことが判断されると、目標検出処理は終了する。
なお、上述した実施例3に係る目標検出装置では、2次元FFT部2は、STFT部1から送られてくる時間−周波数軸上の信号を直接に2次元フーリエ変換するように構成したが、実施例2に係る目標検出装置のように、STFT部1から送られてくる時間−周波数軸上の信号を合成した後に2次元フーリエ変換するように構成することもできる。
本発明の実施例4に係る目標検出装置は、短時間フーリエ変換によって得られた時間−周波数軸上の信号から所定の範囲を抽出して2次元フーリエ変換を行うことにより目標を検出するものである。
図11は、本発明の実施例4に係る目標検出装置の構成を示すブロック図である。この目標検出装置は、図1に示した実施例1に係る目標検出装置に、セル範囲指定部7が追加されて構成されている。
セル範囲指定部7は、STFT部1から送られてくる時間−周波数軸上の信号のうち、極値およびその極値からP(Pは正の整数)番目までのP個のセルを検出し、図12に示すように、P個のセルの各々について、その周りのN1×N2(N1およびN2は正の整数)の範囲を指定する。このセル範囲指定部7によって指定されたセル範囲は、2次元FFT部2に送られる。
次に、本発明の実施例4に係る目標検出装置の動作を、目標検出処理を中心に、図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、実施例1に係る目標検出装置と同一の処理を行うステップには、図5のフローチャートで用いた符号と同一の符号を付して説明を簡略化する。
目標検出処理では、まず、STFT変換(短時間フーリエ変換)が行われる(ステップS11)。次いで、P通りの極値が抽出される(ステップS41)。すなわち、セル範囲指定部7は、STFT部1から送られてくる時間−周波数軸上の信号のうち、極値およびその極値からP番目までのP個のセルを検出して抽出する。次いで、2次元FFT範囲(N1×N2)が抽出される(ステップS42)。すなわち、セル範囲指定部7は、ステップS41で抽出した極値の周りのN1×N2の範囲を指定し、指定したセル範囲を、2次元FFT部2に送る。
次いで、2次元FFT(2次元フーリエ変換)が行われる(ステップS12)。次いで、最大値抽出および判定セル範囲(Dセル)が抽出される(ステップS13)。次いで、スレショルド検出が行われる(ステップS14)。次いで、D通りのスレショルド検出が終了したかどうかが調べられる(ステップS15)。ステップS15において、D通りのスレショルド検出が終了していないことが判断されると、ステップS14に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップS15において、D通りのスレショルド検出が終了したことが判断されると、次いで、d/D検出が行われる(ステップS16)。
次いで、P通りの極値に対する処理が終了したかどうかが調べられる(ステップS43)。ステップS43において、P通りの極値に対する処理が終了していないことが判断されるとステップS42に戻り、次の極値に対する処理が行われる。一方、ステップS43において、P通りの極値に対する処理が終了したことが判断されると、目標検出処理は終了する。
なお、上述した実施例4に係る目標検出装置では、2次元FFT部2は、STFT部1から送られてくる時間−周波数軸上の信号を直接に2次元フーリエ変換するように構成したが、実施例2に係る目標検出装置のように、STFT部1から送られてくる時間−周波数軸上の信号を合成した後に2次元フーリエ変換するように構成することもできる。また、実施例3に係る目標検出装置のように、2次元フーリエ変換により得られた複数の極値に基づき複数の目標を検出するように構成することもできる。
以上説明した実施例4に係る目標検出装置によれば、目標を表す信号を含む可能性の高い領域を抽出してフーリエ変換(積分処理)を行うので、より高いSN比を得ることができる。
本発明の実施例5に係る目標検出装置は、短時間フーリエ変換によって得られた時間−周波数軸上の信号を1次元フーリエ変換することにより目標を検出するものである。
図14は、本発明の実施例4に係る目標検出装置の構成を示すブロック図である。この目標検出装置は、図11に示した実施例4に係る目標検出装置から判定セル範囲指定部3が除去されるとともに、セル範囲指定部7の機能が変更され、さらに、2次元FFT部2が1次元FFT部8に変更されて構成されている。
セル範囲指定部7は、STFT部1から送られてくる時間−周波数軸上の信号のうち、極値およびその極値からP(Pは正の整数)番目までのP個のセルを検出し、図15に示すように、P個のセルを含むD×N(DおよびNは正の整数)の範囲を指定する。セル範囲指定部7によって指定されたセル範囲は、1次元FFT部8に送られる。
1次元FFT部8は、セル範囲指定部7から送られてくるセル範囲において、Nセルの方向にD通りの1次元フーリエ変換(1次元FFT)を実施する。1次元フーリエ変換部8における1次元フーリエ変換によって得られた信号は、スレショルド部4に送られる。
次に、本発明の実施例5に係る目標検出装置の動作を、目標検出処理を中心に、図16に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、実施例4に係る目標検出装置と同一の処理を行うステップには、図13のフローチャートで用いた符号と同一の符号を付して説明を簡略化する。
目標検出処理では、まず、STFT変換(短時間フーリエ変換)が行われる(ステップS11)。次いで、P通りの極値が抽出される(ステップS41)。次いで、1次元FFT範囲(D×N)が抽出される(ステップS42)。すなわち、セル範囲指定部7は、ステップS41で抽出した極値を含むD×N(DおよびNは正の整数)の範囲を指定し、1次元FFT部8に送る。
次いで、1次元FFT(1次元フーリエ変換)が行われる(ステップS51)。すなわち、1次元FFT部8は、セル範囲指定部7から送られてくるセル範囲の1つのDセルの方向のデータに対して、Nセルの方向に1次元フーリエ変換を実施し、その結果をスレショルド部4に送る。次いで、スレショルド検出が行われる(ステップS14)。すなわち、スレショルド部4は、1次元FFT部8から送られてくる信号を所定のスレショルドレベルと比較し、その比較結果を表す信号を検出部5に送る。
次いで、D通りのスレショルド検出が終了したかどうかが調べられる(ステップS15)。このステップS15において、D通りのスレショルド検出が終了していないことが判断されると、ステップS52に戻り、次のDセルの方向のデータに対して上述した処理が繰り返される。一方、ステップS15において、D通りのスレショルド検出が終了したことが判断されると、次いで、d/D検出が行われる(ステップS16)。
次いで、P通りの極値に対する処理が終了したかどうかが調べられる(ステップS43)。このステップS43において、P通りの極値に対する処理が終了していないことが判断されるとステップS51に戻り、次の極値に対する処理が行われる。一方、ステップS43において、P通りの極値に対する処理が終了したことが判断されると、目標検出処理は終了する。
以上説明した実施例5に係る目標検出装置によれば、目標を表す信号を含む可能性の高い領域を抽出してフーリエ変換(積分処理)を行うので、より高いSN比を得ることができる。
本発明の実施例6に係る目標検出装置は、実施例5に係る目標検出装置において、短時間フーリエ変換によって得られた時間−周波数軸上の信号を合成した後にセル範囲を指定し、この指定されたセル範囲において1次元フーリエ変換を行って目標を検出するものである。
図17は、本発明の実施例6に係る目標検出装置の構成を示すブロック図である。この目標検出装置は、図14に示した実施例5に係る目標検出装置に、合成部6が追加されて構成されている。合成部6は、実施例2に係る目標検出装置で使用されるそれと同じである。合成部6で合成された信号は、セル範囲指定部7に送られる。
次に、本発明の実施例6に係る目標検出装置の動作を、目標検出処理を中心に、図18に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、実施例5に係る目標検出装置と同一の処理を行うステップには、図16のフローチャートで用いた符号と同一の符号を付して説明を簡略化する。
目標検出処理では、まず、STFT変換(短時間フーリエ変換)が行われる(ステップS11)。次いで、P通りの極値が抽出される(ステップS41)。次いで、合成処理が行われる(ステップS21)。すなわち、合成部6は、STFT部1から送られてくる複数の時間−周波数軸上の信号のうちの最大値を有する信号、または、複数の時間−周波数軸上の信号を加算することにより合成した信号を2次元FFT部2に送る。
次いで、1次元FFT範囲(D×N)が抽出される(ステップS42)。次いで、1次元FFT(1次元フーリエ変換)が行われる(ステップS51)。次いで、スレショルド検出が行われる(ステップS14)。次いで、D通りのスレショルド検出が終了したかどうかが調べられる(ステップS15)。ステップS15において、D通りのスレショルド検出が終了していないことが判断されると、ステップS52に戻り、次のDセルの方向のデータに対して上述した処理が繰り返される。一方、ステップS15において、D通りのスレショルド検出が終了したことが判断されると、次いで、d/D検出が行われる(ステップS16)。
次いで、P通りの極値に対する処理が終了したかどうかが調べられる(ステップS43)。ステップS43において、P通りの極値に対する処理が終了していないことが判断されるとステップS51に戻り、次の極値に対する処理が行われる。一方、ステップS43において、P通りの極値に対する処理が終了したことが判断されると、目標検出処理は終了する。
なお、上述した実施例1〜実施例6に係る目標検出装置では、上述した信号処理以外に、MTI(移動目標検出;Moving Target Indicator)やパルス圧縮等の技術を組み合わせて構成することもできる。MTIについては、『吉田他、“改訂レーダ技術”、電子情報通信学会、pp.67-70(1996)』に、パルス圧縮については『吉田他、“改訂レーダ技術”、電子情報通信学会、pp.275-278(1996)』にそれぞれ説明されている。
また、上述した実施例1〜実施例6においては、目標検出装置がレーダ装置に適用された場合について説明したが、受信装置に適用することもできる。この場合、受信装置で得られた受信信号に対して上述した処理を行うことにより、目標を効率よく検出できる。
本発明は、高速で移動する小目標を検出するレーダ装置または受信装置などに利用可能である。
本発明の実施例1に係る目標検出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例1に係る目標検出装置に入力される受信信号を示す図である。 本発明の実施例1に係る目標検出装置の動作を説明するための図である。 本発明の実施例1に係る目標検出装置で行われる短時間フーリエ変換の原理を説明するための図である。 本発明の実施例1に係る目標検出装置の動作を、目標検出処理を中心に示すフローチャートである。 本発明の実施例2に係る目標検出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例2に係る目標検出装置の動作を説明するための図である。 本発明の実施例2に係る目標検出装置の動作を、目標検出処理を中心に示すフローチャートである。 本発明の実施例3に係る目標検出装置の動作を説明するための図である。 本発明の実施例3に係る目標検出装置の動作を、目標検出処理を中心に示すフローチャートである。 本発明の実施例4に係る目標検出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例4に係る目標検出装置の説明するための図である。 本発明の実施例4に係る目標検出装置の動作を、目標検出処理を中心に示すフローチャートである。 本発明の実施例5に係る目標検出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例5に係る目標検出装置の説明するための図である。 本発明の実施例5に係る目標検出装置の動作を、目標検出処理を中心に示すフローチャートである。 本発明の実施例6に係る目標検出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例6に係る目標検出装置の動作を、目標検出処理を中心に示すフローチャートである。 従来の目標検出装置の構成を示すブロック図である。 従来の目標検出装置で使用されるCFAR部の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 STFT部
2 2次元FFT部
3 判定セル範囲指定部
4 スレショルド部
5 検出部
6 合成部
7 セル範囲指定部
8 1次元FFT部

Claims (2)

  1. 外部から入力された受信信号をレンジセル毎に短時間フーリエ変換することにより時間−周波数軸上の信号に変換する短時間フーリエ変換部と、
    前記短時間フーリエ変換部における短時間フーリエ変換によって得られた時間−周波数軸上の信号の最大値を有するセルからP番目(Pは正の整数)までのセルを検出し、P個のセルの各々について、該セルを含むD×N(DおよびNは正の整数)のセル範囲を指定するセル範囲指定部と、
    前記セル範囲指定部で指定されたセル範囲のD×Nの軸で、Nセルの方向にD通りの1次元フーリエ変換する1次元フーリエ変換部と、
    前記1次元フーリエ変換部における1次元フーリエ変換によって得られた信号を所定のスレショルドレベルと比較するスレショルド部と、
    前記スレショルド部における比較結果に基づき目標を検出する検出部と、
    を備えたことを特徴とする目標検出装置。
  2. 前記短時間フーリエ変換部における短時間フーリエ変換によって得られたレンジセル毎の時間−周波数軸上の信号を合成する合成部を備え、
    前記セル範囲指定部は、前記合成部により合成された信号の最大値を有するセルからP番目(Pは正の整数)までのセルを検出し、P個のセルの各々について、該セルを含むD×N(DおよびNは正の整数)のセル範囲を指定することを特徴とする請求項1記載の目標検出装置。
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