JP2007046726A - 配線・配管材支持具、支持具取着体 - Google Patents

配線・配管材支持具、支持具取着体 Download PDF

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Abstract

【課題】棒鋼材の屈曲で構成されながら、簡単な構造で、より簡易に配線・配管材の抜け出しのためのセットができる配線・配管材支持具、支持具取着体を提供する。
【解決手段】既設の構造体に取着され、配線・配管材などを支持する配線・配管材支持具10であって、棒材の屈曲により形成され、配線・配管材を支持し受ける支持受部2と配線・配管材を配設するための開口3aを形成する開口部3とで構成された本体部4と、支持受部2及び開口部3に取着可能な支持具取着体5とを備え、支持具取着体5の一端が開口部3cに取着された状態で、開口3aを介して配線・配管材の配設が可能で、その配設後には支持具取着体5の他端を他方の開口部3bに取着することで、開口3aを閉塞して配設された配線・配管材の脱け出しを防止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、既設の構造体に取着され、長尺材である配線・配管材などを支持する配線・配管材支持具、この配線・配管材支持具に取着されて用いられる支持具取着体に関する。
図9(a)は従来の配線・配管材支持具の一例を示す正面図、(b)は(a)の支持具の使用説明図、(c)は従来の配線・配管材支持具の他例の使用説明図である。
図9(a)、(b)の配線・配管材支持具20は、天井などに設けられたインサートネジ部Sに捩じ込んで配線・配管材Pを吊り下げ支持するのに用いられるもので、本体部14と、この棒材で構成された本体部14に取着される中空筒状の支持具取着体15とを備えている。
本体部14は、一本の棒鋼材で屈曲形成され、配線・配管材を支持し受ける支持受部12と、インサートネジ部Sにネジ込まれるインサート用の雄ねじ部14aとを備えている。
支持受部12は、真っ直ぐな雄ねじ部14aに連続する円弧状部分として形成され、この支持受部12で支持する配線・配管材Pの荷重の重心が雄ねじ部14aの軸線上にあるように構成されている。
支持受部12の自由端と、雄ねじ部14aから支持受部12へと移行する部分とは開口部13となって、配線・配管材Pを支持受部12へ配設するための開口13aを形成している。
支持具取着体15は、図9(a)に示すように、使用前の状態では、その中空筒状の内部に、本体部14の一方の開口部13から他方の開口部13までを収容し、さらに、適度な長さ伸び出して、本体部14に取着されている。
また、支持具取着体15は柔軟性のある合成樹脂で製され、本体部14への図9(a)のような状態とする取着ができ、また、取着後にその伸び出し端を引っ張ることで、本体部14から取り外すことができるものである。
このような構成の配線・配管材支持具20を使用する際には、図9(b)に示すように、天井など既設の構造体に設けられたインサートねじ部Sにそのインサート用の雄ねじ部14aを捩じ込み、支持具取着体15の伸び出し端を引っ張って、より長く本体部14の自由端開口部13から伸び出せておく。
ついで、その開口13aから配管・配線材Pを配設して、その後に、図9(b)に示すように、支持具取着体15の伸び出し部分を開口部13の他方側に括り付けるようにすると、支持具取着体15は、本体部14の開口13aを閉止して、配管・配線材Pの抜け出しを簡易に防止することができる。
また、この際、支持具取着体15は、本体部14の支持受部12を収容した状態であって、ここで支持し受ける配管・配線材Pと支持受部12との間に介在して、緩衝保護の役割も果たしている。
しかしながら、この配線・配管材支持具20では、支持具取着体15の伸び出し部分を開口部13の他方側に括り付けるという現場作業が必要で、この作業をより簡易なものとすることが望まれていた。
図9(c)に示す配線・配管材支持具30は、特許文献1に記載されたものであり、天井など既設の構造体の表面に強力な接着剤で固定取着される取着部21、この取着部21に付設され、同じ構造体の表面に両面テープで仮止め取着される仮取着部23を備えている。
取着部21には、配線・配管材Pを支持し受ける支持受部27が設置されている。この支持受部27には、配線・配管材Pを配設するための開口を一定の付勢力で閉止している抜け出し防止爪28が設けられている。
この配線・配管材支持具30を使用する場合には、取着部21に強力な接着剤を塗布後、仮取着部23に延設された把持部26で支持具30を保持する。すると、この保持作用で、仮取着部23が取着部21対しで、取付表面から遠ざかるように折れ曲がった状態となる。
この状態で、取着部21の位置決めをして取付表面に圧接し、続いて、仮取着部23の折れ曲がり状態を元に戻して、取付部21と同じように取付表面に圧接するようにする。すると、配線・配管材支持具30は、仮取着部23の両面テープなどの仮止め作用で一時的に位置決め取着される。
したがって、取着部21での強力な接着剤による本格取着固定が完了するまで、手放しの状態とすることができ、支持具30の取着固定が容易となる。
本格取着固定が完了した後は、抜け出し防止爪28をその付勢力に抗して開いて配線・配管材Pを支持受部27に配設すれば、抜け出し防止爪28はその付勢力によりその開口を閉止し、配線・配管材Pの抜け出しを防止することができる。
しかしながら、この配線・配管材支持具30は、抜け出し防止爪28の付勢係止のための構造が複雑であり、合成樹脂の一体成形で製造するのでなければ、コスト高となる点が問題であり、支持具をより安価に棒鋼材の屈曲で構成したいような場合には不向きであった。
特開平10−148276号公報(図1)
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、棒鋼材の屈曲で構成されながら、簡単な構造で、より簡易に配線・配管材の抜け出しのためのセットができる配線・配管材支持具、支持具取着体を提供することを目的とする。
請求項1記載の配線・配管材支持具は、既設の構造体に取着され、配線・配管材などを支持する配線・配管材支持具であって、前記支持具は、棒材の屈曲により形成され、配線・配管材を支持し受ける支持受部と該支持受部に配線・配管材を配設するための開口を形成する開口部とで構成された本体部と、前記屈曲形成後の支持受部及び開口部に取着可能な支持具取着体とを備え、
前記支持具取着体の一端が前記開口部の一方に取着された状態で、前記支持受部に前記開口を介して配線・配管材の配設が可能で、その配設後には前記支持具取着体の他端を前記開口部の他方に取着することで、前記開口を閉塞して配設された配線・配管材の脱け出しを防止することを特徴とする。
請求項2記載の配線・配管材支持具は、既設の構造体に取着され、配線・配管材などを支持する配線・配管材支持具であって、前記支持具は、一本の棒材の屈曲により形成され、配線・配管材を支持し受ける支持受部と該支持受部に配線・配管材を配設するための開口を形成する開口部とで構成された本体部と、前記支持受部に配設された配線・配管材が前記開口から抜け出すのを防止すべく、前記本体部の側方から嵌着可能な嵌着部を有した支持具取着体とを備え、
前記支持具取着体が前記開口部間に架け渡され、その嵌着部が該開口部に嵌着されるべく、前記双方の開口部が前記棒材の両端自由端で形成されたことを特徴とする。
請求項3記載の配線・配管材支持具は、既設の構造体に取着され、配線・配管材などを支持する配線・配管材支持具であって、前記支持具は、一本の棒材の屈曲により形成され、配線・配管材を支持し受ける支持受部と該支持受部に配線・配管材を配設するための開口を形成する開口部とで構成された本体部と、前記支持受部に配設された配線・配管材が前記開口から抜け出すのを防止すべく、中空筒状の支持具取着体とを備え、
前記支持具取着体が前記開口部間に架け渡され、その中空筒状の支持具取着体内に該開口部が収容されるべく、前記双方の開口部が前記棒材の両端自由端で形成されたことを特徴とする。
請求項4記載の配線・配管材支持具は、請求項1から3のいずれかに従属し、前記支持具取着体は、前記支持受部にも取着されることを特徴とする。
請求項5記載の配線・配管材支持具は、請求項1、2、4のいずれかに従属し、前記支持具取着体が前記棒材にその側方から嵌着可能な嵌着部を有した嵌着型となっていることを特徴とする。
請求項6記載の配線・配管材支持具は、請求項1、3、4のいずれかに従属し、前記開口部の双方が棒材の自由端であって、前記支持具取着体が前記自由端から前記棒材に取着可能な中空筒型となっていることを特徴とする。
請求項7記載の配線・配管材支持具は、請求項2または5に従属し、前記嵌着部は、前記支持具取着体の長手方向に沿って複数形成されていることを特徴とする。
請求項8記載の配線・配管材支持具は、請求項2または5に従属し、前記嵌着部は、前記支持具取着体の長手方向に沿って連続形成されていることを特徴とする。
請求項9記載の配線・配管材支持具は、請求項5、7、8のいずれかに従属し、前記嵌着部は、前記支持受部の内側から外側へ向けて該支持受部に嵌着されていることを特徴とする。
請求項10記載の配線・配管材支持具は、請求項5、7、8、9のいずれかに従属し、前記支持具取着体において、前記嵌着部の反対側に平板状の載置部が形成されていることを特徴とする。
請求項11記載の配線・配管材支持具は、請求項1から10のいずれかに従属し、前記開口部は、相互に向き合うように形成されていることを特徴とする。
請求項12記載の配線・配管材支持具は、請求項1から11のいずれかに従属し、既設の構造体であるボルト体の軸側方から取着可能で、塑性変形によりその取着状態を維持するナット体を備え、前記本体部が、該ナット体の塑性変形しない位置に固着されていることを特徴とする。
請求項13記載の配線・配管材支持具は、請求項1から11のいずれかに従属し、前記本体部がインサート用の雄ねじ部を備え、これにより既設の構造体のインサートねじ部に取着されるものであることを特徴とする。
請求項14記載の支持具取着体は、請求項1から13のいずれかに記載されたことを特徴とする。
請求項1から3記載の配線・配管材支持具によれば、支持受部と開口部とで構成された本体部と、前記支持受部及び開口部に取着可能な支持具取着体とを備え、前記支持具取着体の一端が前記開口部の一方に取着された状態で、前記支持受部に前記開口を介して配線・配管材の配設が可能で、その配設後には前記支持具取着体の他端を前記開口部の他方に取着することで、前記開口を閉塞して配設された配線・配管材の脱け出しを防止するので、棒鋼材の屈曲で構成されながら、簡単な構造で、より簡易に配線・配管材の抜け出しのためのセットができる。
請求項4記載の配線・配管材支持具によれば、請求項1から3のいずれかの効果に加え、前記支持具取着体は、前記支持受部にも取着されるので、配管・配線材と支持受部1との間に介在して、緩衝保護の役割も果たす。
請求項5記載の配線・配管材支持具は、請求項1、2、4のいずれかの効果に加え、棒材の側方から嵌着可能な嵌着部を有した嵌着型となっているので、開口の閉止が簡易となる。
請求項6記載の配線・配管材支持具によれば、請求項1、3、4のいずれかの効果に加え、開口部の双方が棒材の自由端であって、前記支持具取着体が前記自由端から前記棒材に取着可能な中空筒型となっているので、開口の閉止が簡易となる。
請求項7記載の配線・配管材支持具によれば、請求項2または5の効果に加え、前記嵌着部は、前記支持具取着体の長手方向に沿って複数形成されているので、嵌合をよりしっかりしたものとしながら、同様の折り曲げしやすさを確保できる。
請求項8記載の配線・配管材支持具によれば、請求項2または5の効果に加え、前記嵌着部は、前記支持具取着体の長手方向に沿って連続形成されているので、取着体の製造が容易である。
請求項9記載の配線・配管材支持具によれば、請求項5、7、8のいずれかの効果に加え、前記嵌着部は、前記支持受部の内側から外側へ向けて該支持受部に嵌着されているので、開口を閉止するための嵌合がやりやすい。
請求項10記載の配線・配管材支持具によれば、請求項5、7、8、9のいずれかの効果に加え、前記支持具取着体において、前記嵌着部の反対側に平板状の載置部が形成されているので、配線・配管材をより良好に載置することができる。
請求項11記載の配線・配管材支持具によれば、請求項1から10のいずれかの効果に加え、前記開口部は、相互に向き合うように形成されているので、開口の閉止がよりやりやすい。
請求項12記載の配線・配管材支持具によれば、請求項1から11のいずれかの効果に加え、既設の構造体であるボルト体の軸側方から取着可能で、塑性変形によりその取着状態を維持するナット体を備え、前記本体部が、該ナット体の塑性変形しない位置に固着されているので、配線・配管材支持具のボルト体への取着がより強固になる。
請求項13記載の配線・配管材支持具によれば、請求項1から11のいずれかの効果に加え、前記本体部がインサート用の雄ねじ部を備え、これにより既設の構造体のインサートねじ部に取着されるので、配線・配管材支持具の取着がより強固になる。
請求項14記載の支持具取着体によれば、請求項1から13のいずれかの効果を、取着体として発揮する。
以下に、本発明の実施の形態(実施例)について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の配線・配管材支持具の一例を示すもので、(a)はその正面図、(b)は(a)のAA断面図、図2(a)は、図1の支持具を構成するナット体の正面図、(b)はその前面図、(c)、(d)は(a)のナット体を専用の取着工具でボルト体に取着する方法の説明図、図3は、図1の支持具の使用方法の説明図である。
この配線・配管材支持具10は、既設の構造体であるボルト体Bに取着され、長尺材である配線・配管材Pなどを支持するものであり、ナット体1、支持受部2と開口部3とで構成された本体部4、支持受部2及び開口部3に取着可能な支持具取着体5を備えている。
ナット体1は、後に図2を用いて詳しく説明するが、ボルト体Bの軸側方から取着可能で、塑性変形によりその取着状態を維持するものである。
本体部4は、棒材、より具体的には棒鋼材、の屈曲により形成され、配線・配管材Pを支持し受ける支持受部2とこの支持受部2に配線・配管材Pを配設するための開口3aを形成する開口部3とで構成されている。
支持受部2は、ナット体1の塑性変形しない位置に固着され、取着状態でボルト体Bの軸方向に沿って伸びる沿伸部2a、この沿伸部2aから連続し水平方向に伸び、配線・配管材Pを受ける受部2b、この受部2bから連続し、上方に伸びる立上り部2cで構成されている。
沿伸部2aの上方は、ボルト体Bに沿ってさらに上方に延び、部分的にボルト体Bに当接するように屈曲された係止当接部4cを経て、更に、棒鋼材の屈曲によりボルト体Bを水平に取り巻くように屈曲されたフック部4bを経て、受部2bと平行に水平に伸び出している。
開口部3は、このフック部4bから水平に伸び出した自由端である開口部3bと、支持受部2の立上り部2cの自由端である開口部3cとで構成され、双方の開口部3b、開口部3cの間の空間が開口3aとなっている。開口部3bと開口部3cとは相互に向き合うようになっている。
支持具取着体5は、柔軟で大きな可撓性のある、例えば合成樹脂で製造されたもので、
棒鋼材の屈曲で構成された本体部4の支持受部2及び開口部3に嵌合する嵌合部5aと、この嵌合部5aの反対側となる位置に設けられた平面部である載置部5bを備えている。
換言すると、支持具取着体5は、合成樹脂製の断面矩形の棒材の一辺に本体部4の棒鋼材が填まり込むU字溝を形成したもので、このU字溝が嵌合部5a、その反対側の辺が載置部5bとなっている。
この嵌合部5aを本体部4の支持受部2及び開口部3に嵌め込む際は、嵌合部5aを支持受部2及び開口部3の棒鋼材に当てがい、人の手で押し込むだけで良く、反対に取り外す場合も、人の手で引っ張るだけで良いようになっている。
なお、この支持具取着体5は、棒材の側方から嵌着可能なものであり、嵌着型の支持具取着体5と称される。
図2を用いて、ナット体1とそのボルト体Bへの取着とについて説明する。
図2(a)、(b)に示すようにナット体1は、内側にボルト体Bの外面螺子にネジ係合する係合突起1bを備えた本体部1aと、本体部1aの外側に形成され、本体部1aをボルト体Bの外面螺子に沿って塑性変形させるべく、取着工具6に把持される一対の把持部1cとを備えており、全体として、U字サドル形状をしている。
ナット体1のU字サドルの開口側は、ボルト体Bを通過させ得るもので開口部1eと、把持部1c先端の取着工具6に当接する側に設けられた溝は係止凹溝1mという。
このナット体1をボルト体Bに取着する際に用いる取着工具6は、図2(c)、(d)に示すように、通常、プライヤと称される工具と全体形状は同一であり、回転軸6aを中心として開閉される一対の挟付部6bを備え、この挟付部6bがナット体1の把持部1cの先端を、その塑性変形の当初から最後まで確実に保持するように特化され、特にその挟付部6bの先端内側に一対の保持凹所6cを備えている点を特徴とする。
この取着工具6でナット体1をボルト体Bに取着する際には、まず、図2(c)に示すように、ナット体1の開口部1eを通過させて、ボルト体Bの外面螺子がナット体1の係合突起1bにネジ係合するようにさせる。
そして、この状態のナット体1の一対の把持部1cが、ボルト体Bを中心にして、ナット体1に対向する側からの取着工具6の一対の保持凹所6cに填まり込むようにする。
この状態から取着工具6の挟付部6bが閉じられるように締め込んでいくと、保持凹所6cと係止凹溝1mを備えた把持部1cの先端との保持係合状態が維持されたままで、良好にナット体1が塑性変形し、図2(d)の状態になり、ナット体1がボルト体Bに良好に取着される。
ナット体1は鋼鉄製であり、その塑性域で良好に塑性変形して、図1の状態となり、その変形後の状態を維持し、その取着状態は良好に維持される。
こうして、このようなナット体1と本体部4とを組み合わせた配線・配管材支持具10によれば、本体部4(つまり支持具10全体)は、ナット体1の塑性変形により、数条のネジ係合で強固確実にボルト体Bに取着されるので、良好な取着状態を維持する。
また、ナット体1と本体部4との固着は、通常、溶接で行われるが、その固着位置は、図2(c)、(d)に二点鎖線の想像線で示したような円弧部分、つまり、ナット体の塑性変形しない位置となっているので、塑性変形によりボルト体Bと本体部4の支持受部2との相対的な位置関係を変化させることなく支持具10をボルト体Bに取着することができる。
更に、このような固着位置なので、ナット体1の把持部1cを挟み付け保持して、取着工具6でナット体1を塑性変形させ、取着する際の邪魔にならない。
フック部4bは、ボルト体Bを取り囲み、支持部2(特に、受部2b)に作用する配線・配管材Pの荷重によって、そのフック部4bをボルト体Bに押し付ける力が発生する。また、ナット体1には、その本体部4の支持受部2(特に、沿伸部2a)との固着部を介して、ナット体1をボルト体Bに押し付ける力が発生する。
したがって、無荷重の場合にも、また、荷重が作用した場合にも、配線・配管材支持具10とボルト体Bとの取着状態は良好に維持される。
特に、ナット体1と本体部4との固着位置は、ナット体1の塑性変形しない位置であって、ここに押圧力が作用するので、これは、ナット体1の塑性変形後の状態を元に戻す(把持部1cを開く)ようには全く作用せず、ナット体1の係合突起1bとボルト体Bの外面螺子とのネジ係合をより強固にして、塑性変形による取着状態をより強固に保持する側に作用する。
また、係止当接部4cは、フック部4bに対してボルト体Bの軸方向に離れた位置にあってフック部4bと協同してボルト体Bを挟むものであり、支持具10を少し斜めにすれば、フック部4bをボルト体Bに係止する際に、係止当接部4cは邪魔にならない。
一方、フック部4bとボルト体Bとの係止が完了した後、配線・配管材支持具10がボルト体Bの軸方向に沿うようになった場合には、フック部4bの開口側で、係止当接部4bがボルト体Bに当接して、フック部4bでボルト体Bとの間に多少の隙間があっても、使用姿勢における支持具10とボルト体Bのフック部4bでの係合をよりガタの少ないものとすることができ、支持具10とボルト体Bの正規の姿勢での係合状態を良好に保持する効果を発揮する。
続いて、図3によって、この配線・配管材支持具10の使用方法を説明する。
配線・配管材支持具10をボルト体Bに取着した後は、図3(a)に示すように、支持具取着体5の開口部3cから伸び出している部分を、開口3aがより大きく確保されるようにまた配設の邪魔にならないように折り曲げ、配線・配管材Pを配設する。
配線・配管材Pの配設が終了した後には、支持具取着体5の折り曲げた部分を元に戻して、図3(b)に示すように、その自由端の嵌合部5aを開口3aを形成する他の開口部3bに嵌め込むだけの簡易な作業で、開口3aが閉止され、配線・配管材Pの抜け出しを防止することができる。
つまり、この配線・配管材支持具10によれば、棒鋼材の屈曲で構成されながら、簡単な構造で、より簡易に配線・配管材Pの抜け出しのためのセットができる。
また、この配線・配管材支持具10は一本の棒鋼材を屈曲させて構成されているが、部分的に溶接構造として、複数本の棒鋼材を組み合わせたものであってもよく、その場合にも同様の効果を発揮する。
棒鋼材の具体的な材料としては、一般には鉄鋼、防錆が特に重要な場合にはステンレス鋼、軽量用で美観が重視される場合には黄銅鋼などが用いられる。また、場合によっては、高強度の合成樹脂の棒材であってもよい。また、その断面形状は、ここに示した円形だけでなく、矩形や、多角形状であってもよい。
配線・配管材Pの抜け出しを防止する役割を果たす支持具取着体5は、図3に示すように、支持受部2にも連続して嵌合されており、ここでは、配管・配線材Pと支持受部12との間に介在して、緩衝保護の役割も果たしている。
この際、支持具取着体5の平坦な載置部5bが配管・配線材Pを受ける部分となり、配管・配線材Pを良好に載置することができる。また、このように載置部5bが機能するためには、嵌着部5aが支持受部2の内側から外側へ向けて支持受部2に嵌着されていることが必要である。
また、開口部3(3b、3c)は相互に向き合うように形成されているので、支持具取着体5を双方に架け渡して嵌め込むことがより簡易となっている。
更に、支持具取着体5自身は、このような配線・配管材支持具10において用いられることで、支持具10の上記効果を取着体5としても発揮することができる。
なお、この配線・配管材支持具10では、支持具取着体5が予め支持受部12側にセットされているものであるが、支持具取着体5を本体部4の開口部3b側にセットしておいて、配線・配管材Pの配設後に、支持具取着体5の他端を他方の開口部3cに取着するようにしてもよい。
図4は、本発明の配線・配管材支持具の他例を示すもので、(a)はその正面図、(b)は(a)のBB断面図、図5は、図4の支持具の使用方法の説明図である。これより、すでに説明した部分と同じ部分には同じ符号を付して重複説明を省略する。また、煩雑さを避けるために、全ての符号を繰り返して記載しない場合がある。
この配線・配管材支持具10Aは、図4に示すように、図1の配線・配管材支持具10に比べて、支持具取着体5Aが嵌着型ではあるが、その嵌着部5cが連続したものではなく、支持具取着体5Aの長手方向に沿って不連続に複数形成されている点が異なっている。
また、支持具取着体5Aの断面形状も、載置部5bに対して、嵌着部5cがより丸みを帯びた形状となっている点も異なっている。
このような支持具取着体5Aを備えた配線・配管材支持具10Aによれば、図4、5からも解るように、図1の配線・配管材支持具10と同様の効果を発揮する。
また、嵌着部5cが不連続に形成されているので、支持具取着体5Aを構成する合成樹脂がより可撓性の低いものであっても、折り曲げしやすいものとすることができる。よって、嵌着部5cにおける本体部4の支持受部2及び開口部3との嵌合をよりしっかりしたものとしながら、同様の折り曲げしやすさを確保できるので、よりしっかり、嵌合を確保したい場合に向いている。
また、支持具取着体5Aは、上記配線・配管材支持具10Aの効果を取着体5Aとして発揮する。
図6は、本発明の配線・配管材支持具の他例を示すもので、(a)はその正面図、(b)は(a)のCC断面図、(c)、(d)は本発明の配線・配管材支持具の他例の使用方法の説明図、図7は、図6(a)の支持具の使用方法の説明図である。
この配線・配管材支持具10Bは、図1の配線・配管材支持具10に比べ、図6(a)、(b)に示すように、支持具取着体5Bが、嵌着型ではなく、その自由端から棒材に取着可能な中空筒型となっている点が異なっている。
このタイプの支持具取着体5Bは、図9(a)、(b)の従来例の支持具取着体15と同様のものであるが、開口3aを閉止するのに、図7(b)に示すように、支持具取着体15の自由端を、同様に自由端である開口部3bに外から嵌めるだけでよく、結んだりする必要がないので、そのセットが簡易なものとなっている。
よって、この配線・配管材支持具10Bによれば、図1の配線・配管材支持具10と同様の効果を発揮する。
加えて、この中空筒型では、支持具取着体5Bとして、一般に入手可能な合成樹脂製のチューブを用いることができ、その製造コストを安価とすることができる。
また、支持具取着体5Bは、上記配線・配管材支持具10Bの効果を取着体5Bとして発揮する。
図6(c)、(d)に示す支持具取着体5Cは、図6(a)、(b)の支持具取着体5Bに比べ、断面形状としては同様の中空円筒状であるが、その円筒の一部に長手方向の全長に渡る(或いは、必要な部分にだけ)切れ目5dが入っているものである。
この支持具取着体5Cによれば、この切り目5dがある部分については、図6(c)に示すように、支持具を構成する棒材の側方から嵌め込むことができ、嵌着型と同様な使い方ができる。
従って、次に図8で説明するような自由端でない開口部3dがある場合でも、嵌着型と同様に使用することができる。また、このような支持具取着体5Cを備えた配線・配管材支持具は、その取着体5Cの効果を支持具として発揮する。
図8は、本発明の配線・配管材支持具の他例を示すもので、(a)はその正面図、(b)は(a)のDD断面図である。
この配線・配管材支持具10Cは、図1の配線・配管材支持具10に比べ、本体部4がナット体1を備えてボルト体Bに取着されるものではなく、本体部4Aの上端がインサート用の雄ねじ部4aとなっており、天井などに設けられたインサートねじ部Sにネジ込んで用いられるものである点で異なっている。
換言すれば、本体部4Aは、図9(a)、(b)の支持具20の本体部14と同様の構成で、同様の方法で既設の構造体に取着される。
また、開口部3Aを構成する一方が、図示するように、自由端ではなく、棒鋼材の屈曲部の一部であって、取着体5の嵌着可能な開口部3dとなり、他方がこの開口部3dにより向き合うように屈曲された自由端の開口部3eとなっている点が異なっている。
なお、本発明の配線・配管材支持具において、開口部が相互に向き合うとは、上記の例を含め、開口での配線・配管材の出し入れに支障がない程度に、双方の開口部に支持具取着体が滑らかに取着できるような構成とすることをいう。
一方、支持具取着体5は、図1の配線・配管材支持具10に備えられた支持具取着体5と同じ嵌着型である。
この配線・配管材支持具10Cによれば、図8(a)、(b)からも解るように、配線・配管材Pの脱落防止については、図1の配線・配管材支持具10と同様の効果を発揮する。また、支持具取着体5は、上記配線・配管材支持具10Cの効果を取着体5として発揮する。
一方、この配線・配管材支持具10Cにおいては、自由端でない開口部3dには、図6(a)、(b)の中空筒型の支持具取着体5Bは用いることができないが、図6(c)、(d)に示す切り目付きの中空筒型の支持具取着体5Cなら用いることができる。
本発明の配線・配管材支持具は、棒鋼材の屈曲で構成されながら、簡単な構造で、より簡易に配線・配管材の抜け出しのためのセットができることが要請されるあらゆる産業上の分野に用いることができる。
本発明の配線・配管材支持具の一例を示すもので、(a)はその正面図、(b)は(a)のAA断面図 (a)は、図1の支持具を構成するナット体の正面図、(b)はその前面図、(c)、(d)は(a)のナット体を専用の取着工具でボルト体に取着する方法の説明図 図1の支持具の使用方法の説明図 本発明の配線・配管材支持具の他例を示すもので、(a)はその正面図、(b)は(a)のBB断面図 図4の支持具の使用方法の説明図 本発明の配線・配管材支持具の他例を示すもので、(a)はその正面図、(b)は(a)のCC断面図、(c)、(d)は本発明の配線・配管材支持具の他例の使用方法の説明図 図6(a)の支持具の使用方法の説明図 本発明の配線・配管材支持具の他例を示すもので、(a)はその正面図、(b)は(a)のDD断面図 (a)は従来の配線・配管材支持具の一例を示す正面図、(b)は(a)の支持具の使用説明図、(c)は従来の配線・配管材支持具の他例の使用説明図
符号の説明
1 ナット体
2 支持受部
3 開口部
3a 開口
4 本体部
4a インサート用の雄ねじ部
5、5A、 支持具取着体(嵌着型)
5B、5C 支持具取着体(中空筒型)
5a 嵌着部
5b 載置部
6 取着工具
10〜01C 配線・配管材支持具
B ボルト体
P 配線・配管材
S インサートねじ部

Claims (14)

  1. 既設の構造体に取着され、配線・配管材などを支持する配線・配管材支持具であって、 前記支持具は、棒材の屈曲により形成され、配線・配管材を支持し受ける支持受部と該支持受部に配線・配管材を配設するための開口を形成する開口部とで構成された本体部と、
    前記屈曲形成後の支持受部及び開口部に取着可能な支持具取着体とを備え、
    前記支持具取着体の一端が前記開口部の一方に取着された状態で、前記支持受部に前記開口を介して配線・配管材の配設が可能で、その配設後には前記支持具取着体の他端を前記開口部の他方に取着することで、前記開口を閉塞して配設された配線・配管材の脱け出しを防止することを特徴とする配線・配管材支持具。
  2. 既設の構造体に取着され、配線・配管材などを支持する配線・配管材支持具であって、 前記支持具は、一本の棒材の屈曲により形成され、配線・配管材を支持し受ける支持受部と該支持受部に配線・配管材を配設するための開口を形成する開口部とで構成された本体部と、
    前記支持受部に配設された配線・配管材が前記開口から抜け出すのを防止すべく、前記本体部の側方から嵌着可能な嵌着部を有した支持具取着体とを備え、
    前記支持具取着体が前記開口部間に架け渡され、その嵌着部が該開口部に嵌着されるべく、前記双方の開口部が前記棒材の両端自由端で形成されたことを特徴とする配線・配管材支持具。
  3. 既設の構造体に取着され、配線・配管材などを支持する配線・配管材支持具であって、 前記支持具は、一本の棒材の屈曲により形成され、配線・配管材を支持し受ける支持受部と該支持受部に配線・配管材を配設するための開口を形成する開口部とで構成された本体部と、
    前記支持受部に配設された配線・配管材が前記開口から抜け出すのを防止すべく、中空筒状の支持具取着体とを備え、
    前記支持具取着体が前記開口部間に架け渡され、その中空筒状の支持具取着体内に該開口部が収容されるべく、前記双方の開口部が前記棒材の両端自由端で形成されたことを特徴とする配線・配管材支持具。
  4. 前記支持具取着体は、前記支持受部にも取着されることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の配線・配管材支持具。
  5. 前記支持具取着体が前記棒材にその側方から嵌着可能な嵌着部を有した嵌着型となっていることを特徴とする請求項1、2、4のいずれか記載の配線・配管材支持具。
  6. 前記開口部の双方が棒材の自由端であって、前記支持具取着体が前記自由端から前記棒材に取着可能な中空筒型となっていることを特徴とする請求項1、3、4のいずれか記載の配線・配管材支持具。
  7. 前記嵌着部は、前記支持具取着体の長手方向に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項2または5記載の配線・配管材支持具。
  8. 前記嵌着部は、前記支持具取着体の長手方向に沿って連続形成されていることを特徴とする請求項2または5記載の配線・配管材支持具。
  9. 前記嵌着部は、前記支持受部の内側から外側へ向けて該支持受部に嵌着されていることを特徴とする請求項5、7、8のいずれか記載の配線・配管材支持具。
  10. 前記支持具取着体において、前記嵌着部の反対側に平板状の載置部が形成されていることを特徴とする請求項5、7、8、9のいずれか記載の配線・配管材支持具。
  11. 前記開口部は、相互に向き合うように形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか記載の配線・配管材支持具。
  12. 既設の構造体であるボルト体の軸側方から取着可能で、塑性変形によりその取着状態を維持するナット体を備え、前記本体部が、該ナット体の塑性変形しない位置に固着されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか記載の配線・配管材支持具。
  13. 前記本体部がインサート用の雄ねじ部を備え、これにより既設の構造体のインサートねじ部に取着されるものであることを特徴とする請求項1から11のいずれか記載の配線・配管材支持具。
  14. 請求項1から13のいずれかに記載されたことを特徴とする支持具取着体。
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