JP2007039609A - 香料 - Google Patents

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Abstract

【課題】天然物中に含まれる香気成分から青臭さ、ヤニ臭等の不快臭の成分を改質して、フルーティーで爽やかな香りを有する天然香料を提供する。
【解決手段】天然香料の原料となり得、且つ、有機酸を含む天然物をエタノール溶液で抽出し、前記有機酸を含むエタノール溶液抽出物を得た後、該エタノール溶液抽出物に酸触媒を添加して前記有機酸をエステル化する。または、前記有機酸を含むエタノール溶液抽出物にエステル化酵素を添加して前記有機酸をエステル化する。または、有機酸を含む天然物をエタノール溶液で抽出すると共に、前記有機酸をエステル化する。或いは、前記有機酸を含むエタノール溶液抽出物を室温下に1週間以上保存して前記有機酸をエステル化する。これによって、有機酸類に起因する生臭さやヤニ臭等の不快臭が低減し、フルーティーで爽やかな香りの天然香料が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、天然物から得られた香料に関し、詳しくは、天然物中に含まれる有機酸をエステル化処理して青臭さやヤニ臭等の不快臭が低減された香料に関する。
天然物から抽出された天然香料には不快な香り成分が混入するため、天然物の香りは、良い香りと不快な香りとが混在したものとなっている。例えば、ホップは、ビール等の飲料に苦味を与え、キレや泡立ちを良くするうえ、爽やかな香りや制菌効果を付与するため、ビール等の飲料になくてはならないものである。特に、アメリカタイプのビールでは、カスケードホップのマスカット様の香り成分が不可欠である。しかしながら、ホップそのものやホップから香気成分を抽出したホップエキスは、青臭さやヤニ臭が強く、爽やかな香りを有しているとは言い難い。ホップは、麦汁と煮沸し、酵母で醗酵して、ビールとなって初めて青臭さやヤニ臭が抜け、爽やかな香りが表出されるのである。すなわち、ホップの香りは、醸造醗酵過程で改質される。これは、ホップだけに限られることではなく、ハーブやフルーツ等の香りにおいても同様の現象が見られる。従って、ビール等の醸造醗酵過程を経て製造される飲料にホップを添加する場合には、ホップの青臭さやヤニ臭は低減されて爽やかな香りに改質されるが、ホップから抽出したエキス等をそのまま飲料に添加する場合には、ホップの青臭さやヤニ臭等の不快臭が残存するため、この不快臭の低減が求められる。
従来より、天然物から香りの良い成分だけを抽出するために、溶媒抽出、分留、イオン交換等の方法が提案されている。また、香気の改良のために、酵母等による発酵も行われている。例えば、特許文献1には、原料の天然物から水蒸気蒸留によって得られた抽出物を、温度35〜100℃の範囲で圧力76〜350kg/cmの領域において超臨界二酸化炭素と接触させることを特徴とする天然香料の改良方法に関する発明が開示されている。この発明によれば、不快臭や雑草様香気等を除去することができる。
また、特許文献2には、Cistus種に属する植物から得られたラブダナム油にアルカリ水溶液を添加混合して水層を分離し、この水層に酸性物質を添加して遊離したラブダナム油の酸性成分を分離し、次いでこの酸性成分を200〜350℃で0.1〜10時間加熱処理することを特徴とする天然香料の改良方法に関する発明が開示されている。この発明によれば、ラブダナム油が有するセダーウッド的でがさつくような匂いを除去して、アニマル香が強調されたアンバーアニマル様香気に改良することができる。
特開平09−217085号公報 特開平07−18288号公報
しかしながら、特許文献1の改良方法は、水蒸気蒸留によって得られた抽出物を、温度35〜100℃の範囲で、圧力76〜350kg/cmの領域において超臨界二酸化炭素と接触させなければならず、抽出作業が煩雑であった。また、特許文献2の改良方法も、抽出後、アルカリ処理、分離、加熱処理等の作業を要し、改良作業が複雑で煩雑であった。さらには、加熱を伴うため、熱で蒸散、分解され易い香気成分が散逸、分解されてしまう。このため、より簡便に天然物の香気を改良する方法が求められている。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、簡便な手法により、天然物中に含まれる香気成分のうち青臭さ、ヤニ臭等の不快臭の成分を改質して、フルーティーで爽やかな香りを有する香料を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、青臭さやヤニ臭等の不快臭は天然物中に含有されている有機酸類に起因することに着目し、天然物から抽出された香気成分中の有機酸類をエステル化することにより、青臭さやヤニ臭等の不快臭が低減されてフルーティーで爽やかな香りが発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 天然香料の原料となり得、且つ、有機酸を含む天然物をエタノール溶液で抽出し、前記有機酸を含むエタノール溶液抽出物を得た後、該エタノール溶液抽出物をエステル化して得られる香料。
(2) 天然香料の原料となり得、且つ、有機酸を含む天然物を、エタノール溶液で抽出すると共に、エステル化処理して得られる香料。
(3) 前記エステル化処理は、前記エタノール溶液抽出物に酸触媒を添加することにより行われる(1)または(2)に記載の香料。
(4) 前記酸触媒は、塩酸である(3)記載の香料。
(5) 前記エステル化処理は、前記エタノール溶液抽出物にエステル化酵素を添加することにより行われる(1)または(2)に記載の香料。
(6) 前記エステル化酵素は、エステラーゼ、リパーゼ、およびアルコールトランスフェラーゼよりなる群から選択される少なくとも一以上である(5)に記載の香料。
(7) 前記エステル化処理は、前記エタノール溶液抽出物を室温下で1週間以上保存することにより行われる(1)記載の香料。
(8) 前記エタノール溶液は、80容量%以上のエタノールを含む(1)から(7)いずれか記載の香料。
(9) 前記天然物は、ホップである(1)から(8)いずれか記載の香料。
(10) 前記天然物は、柑橘類である(1)から(8)いずれか記載の香料。
(11) (1)から(10)いずれか記載の香料を含有する飲料。
(12) 天然香料の原料となり得、且つ、有機酸を含む天然物をエタノール溶液で抽出し、前記有機酸を含むエタノール溶液抽出物を得た後、該エタノール溶液抽出物をエステル化処理する天然香料の香気改良方法。
(13) 前記エステル化処理を行った後、さらに、蒸留処理する(12)に記載の天然香料の香気改良方法。
(14) 天然香料の原料となり得、且つ、有機酸を含む天然物を、エタノール溶液で抽出すると共に、エステル化処理する前記天然香料の香気改良方法。
(15) 前記エタノール溶液で抽出すると共に、エステル化処理を行った後、さらに、蒸留処理する(14)に記載の天然香料の香気改良方法。
本発明によれば、有機酸を含む天然物をエタノール溶液で抽出し、前記有機酸を含むエタノール溶液抽出物を得、該エタノール溶液抽出物に酸触媒、或いはエステル化酵素を添加して有機酸をエステル化するため、有機酸に由来する青臭さ、ヤニ臭等の不快臭が低減されて爽やかでフルーティーな香りを有する香料が得られる。
また、有機酸を含む天然物をエタノール溶液で抽出する際にエステル化酵素を添加して、天然物から有機酸を含む香気成分を抽出すると共に、有機酸をエステル化するため、有機酸に由来する青臭さ、ヤニ臭等の不快臭が低減されて爽やかでフルーティーな香りを有する香料が得られる。
また、有機酸を含む天然物をエタノール溶液で抽出し、前記有機酸を含むエタノール溶液抽出物を得、該エタノール溶液抽出物に室温下で1週間以上保存して有機酸をエステル化することにより得られるので、有機酸に由来する青臭さ、ヤニ臭等の不快臭が低減され、エステルの爽やかでフルーティーな香りを有する。また、このエステル化反応は、天然物から香気成分を抽出したエタノール溶液抽出物を保存しておくだけで行うことができるので、アルコール以外の添加物を用いない方法として有効である。
また、本発明の香料は、有機酸に由来する青臭さ、ヤニ臭等の不快臭が低減され、爽やかでフルーティーな香りを有するので、アルコール飲料等の飲料に用いることで、飲料の嗜好性を向上することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の香料は、有機酸を含む天然物をエタノール溶液で抽出し、前記有機酸を含むエタノール溶液抽出物を得た後、該エタノール溶液抽出物に酸触媒を添加する、または、エステル化酵素を添加することで、前記有機酸をエステル化して得られる。また、有機酸を含む天然物をエタノール溶液で抽出する際に、エステル化酵素を添加することで、前記有機酸をエステル化して得られる。また、エタノール溶液抽出物を室温下に1週間以上保存してエステル化することによっても得られる。
本発明の香料の原料となる天然物とは、有機酸を含む植物性天然物であって、例えば、ビールの製造に用いられるクワ科の植物であるホップ、オレンジ等の柑橘類、緑茶等の茶類他を挙げることができる。これらの天然物の花、葉、茎、果実、果皮、根等の部位の新鮮物または乾燥品が用いられる。また、これらの天然物は、簡単な前処理を施したものであってもよく、例えば前処理としては、乾燥、破砕、ペレット化等を例示することができる。抽出効率の観点からは、前処理を施した方が好ましい。これらの天然物のうち、好ましいものとして、ホップおよび柑橘類が挙げられる。特に好ましいのは、ホップであり、その雌花である。
天然物からの香気成分の抽出には、水、緩衝液、極性または非極性溶液等が用いられる。この抽出に使用される溶液としては、一般的には例えばエタノール、メタノール、ブタノール、エーテル、ヘキサン、クロロホルム、トルエン、酢酸メチル等が挙げられるが、抽出物中に含有される有機酸をエステル化処理する点からエタノール等のアルコールが好ましく、特に飲用に用いられるエタノールが好ましい。より一層好ましくは、80容量%以上のエタノールを含む高濃度のエタノール溶液である。具体的には、有機酸を含有する天然物の破砕物、粉末、ペレット等の乾燥天然物原料に1〜100倍量、好ましくは3〜10倍量のエタノール溶液を添加し、5〜60℃程度、好ましくは15〜30℃程度の温度で、2〜48時間程度、好ましくは12〜24時間程度抽出する。
このようにして得られたエタノール溶液抽出物は、室温下に1週間以上保存することにより、エタノール溶液抽出物中の有機酸やα酸がエタノールと反応してエステル化反応が進行し、有機酸やα酸のエステル化物が生成される。尚、本発明において、室温とは、一般的に15〜30℃のことを意味する。
このエステル化反応は、鉱酸等の酸触媒を添加することで促進される。例えば、酸触媒として食添用塩酸を用いる場合には、エタノール溶液抽出物中に含まれる有機酸やα酸の量にもよるが、1〜6N塩酸をエタノール溶液抽出物1000ml当たり0.01〜10g程度、より好ましくは0.5〜1g程度添加するのが好ましい。そして、50〜90℃程度、好ましくは60〜80℃程度の温度で、1〜20分程度、好ましくは3〜5分程度の条件でエステル化反応を行う。ここで、酸触媒として用いられる鉱酸としては、食品の製造過程で使用される食品添加用の塩酸や硫酸等が挙げられるが、特に食添用塩酸がエステル化反応後の脱酸処理の観点から好ましく用いられる。
酸触媒を用いたエステル化反応においては、エステル化反応が終了した段階で、酸触媒として添加された塩酸は、食添用水酸化ナトリウム等のアルカリで中和されて無害な食塩の形で脱塩酸される。なお、この脱塩酸はイオン交換樹脂を用いて行うこともできる。このイオン交換樹脂による脱塩酸は、陰イオン交換樹脂(水酸化物イオンOH)を充填したカラム等を通過させることにより行われる。また、四級アンモニウムをイオン交換基とする強塩基性アニオン交換膜や、三級アミノ基をイオン交換基とする弱塩基性アニオン交換膜等のイオン交換膜を通過させて脱塩酸してもよい。
エステル化反応は、上記のような酸触媒による方法の他、エタノール溶液抽出物にエステル化酵素を添加することによっても促進される。このエステル化酵素によるエステル化反応は、高温を必要とせず穏和な条件で反応が進行するため、熱による劣化や副反応による不純物の生成が少なく、エタノール溶液抽出物中に熱に弱い香気成分が含有されている場合には好適である。
天然物から香気成分の抽出に用いるエタノール溶液は、80容量%以上、より好ましくは95容量%以上のエタノールを含むものであることが好ましい。具体的には、有機酸を含有する天然物の破砕物、粉末、ペレット等の乾燥天然物原料に1〜100倍量、好ましくは3〜10倍量のエタノール溶液を添加し、5〜60℃程度、好ましくは15〜30℃程度の温度で、2〜48時間程度、好ましくは12〜24時間程度抽出する
本発明で用いられるエステル化酵素としては、エステラーゼ、リパーゼ、アルコールトランスフェラーゼ等のエステル化酵素が挙げられる。また、これらのエステル化酵素を、イオン交換樹脂、多孔質ガラス、活性炭、シリカゲル等の水不溶性担体に化学的に結合もしくは物理的に吸着させたもの、あるいは高分子ゲルやマイクロカプセルに包括させたもの等も用いることができる。具体的には、リパーゼをアニオン交換樹脂に吸着させた「Lipozyme IM」(Novo社製)、リパーゼをアクリル樹脂に吸着させた「Novozym 435」(Novo社製)等が挙げられる。
これらのエステル化酵素は、エタノール溶液抽出物または天然物中に含まれる有機酸やα酸の量にもよるが、エタノール溶液抽出物またはエタノール溶液1000ml当たり0.01〜100mg程度、より好ましくは0.5〜1mg程度添加するのが好ましい。そして、5〜40℃程度(好ましくは20〜30℃程度)の温度で、10〜600分程度(好ましくは60〜120分程度)の条件でエステル化反応を行う。このエステル化酵素は、天然物からアルコール溶液で香気成分を抽出して得られたアルコール溶液抽出物に添加してもよいし、また、アルコール溶液による香気成分の抽出の際に添加して、香気成分の抽出と有機酸類のエステル化を並行して行ってもよい。
エタノール溶液抽出物にエステル化酵素を添加してエステル化反応を行う場合においては、酵素の活性を失わせないために、エタノール濃度が10〜30容量%程度、より好ましくは10〜20容量%程度となるようにアルコール溶液抽出物を水で希釈するか、あるいはエタノールを蒸留する。一方、天然物からの香気成分の抽出と有機酸類のエステル化を並行して行う場合においても、酵素の活性が失われないように、アルコール濃度が10〜30容量%程度、より好ましくは10〜20容量%程度のものを使用して抽出とエステル化を行う。
このようにして、天然物から抽出されたエタノール溶液抽出物中の有機酸やα酸をエステル化処理することにより、青臭さやヤニ臭等の不快臭が低減され、フルーティーで爽やかな香りを有する香料が生成される。
また、得られたアルコール80%程度の香料、或いは、エステル化酵素によりエステル化して得られた香料に水を加えて、アルコール濃度を20%程度にした後、通常の蒸留装置で、加熱蒸留し、アルコール分と香気成分を回収し、アルコール50〜80%程度の蒸留液を得る。この蒸留液は、ヤニ臭などの不快臭がさらに除去されているので、香料としてより嗜好性の高いものとなる。
本発明の香料は、青臭さ、ヤニ臭等の不快臭が低減されて、フルーティーで爽やかな香りを有するため、各種飲料に所定量添加することにより、飲料の嗜好性を向上させることができる。例えば、エステル化処理によって改良されたフルーティーな香気のホップエキスを、アルコール飲料等の飲料に添加することで、ホップ風味のチューハイや発泡酒、ノンアルコールビール等の嗜好性を向上させることができる。
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
カスケードホップペレット(シュタイナー社製)10gに95%エタノールを100ml添加し、カスケードホップペレットがエタノール中に浸漬された状態で、室温下(約20℃程度)で一晩(約12時間程度)放置し、その後、濾過して100mlのホップエキスを得た。
次いで、得られたホップエキス100mlに1N−HClを1ml添加し、約70℃で約10分間加熱してエステル化反応を行った。その後、1N−NaOHを1ml添加して中和した後、脱塩酸して約100mlの香料(ホップエキス)を得た。
得られた香料について、8名の専門パネラーにより香気の評価を行った。その結果を表1に示した。
Figure 2007039609
評価の結果は、表1に示すように、パネラーほぼ全員が、アルコール抽出したホップ香料を塩酸触媒でエステル化処理した実施例1は、アルコール抽出したホップ香料の対照例に比べ、ホップのヤニ臭が低減し、フルーティーで爽やかな香りを呈するとの評価であった。
また、得られた香料について、GC/MS測定を行い、香気成分の分析を行った。GC/MS測定は、GC/MS分析機器としてアジレント社製HP6890(GC)HP5973N(MSD)を用い、キャリアガスをHeとし、カラムとしてアジレント社製DB−WAX(Agilent122−7062)をカラム温度40℃から240℃に昇温(3℃/min)で行った。その結果、エステル化処理前のホップ抽出液には存在せず、エステル化処理後に大量に生成された香気成分として、Ethyl myristate、Ethyl palmitate、Ethyl tridecanote、Ethyl linoleolate等が確認された。
<実施例2>
カスケードホップペレット(シュタイナー社製)10gに95%エタノールを100ml添加し、カスケードホップペレットがエタノール中に浸漬された状態で、室温下(約20℃程度)で一晩(約12時間程度)放置し、その後、濾過して89mlのホップエキスを得た。
次いで、得られたホップエキス20mlに水80mlを添加し、エタノール濃度を19容量%に調整し、エステル化酵素としてエステラーゼ(和光純薬社製)10mgを添加し、室温下(約20℃程度)で約12時間程度放置した。その後、濾過して100mlの香料(ホップエキス)を得た。
得られた香料について、8名の専門パネラーにより香気の評価を行った。その結果、表2に示した。
Figure 2007039609
評価の結果は、表2に示すように、パネラーほぼ全員が、アルコール抽出したホップ香料を酵素でエステル化処理した実施例2は、アルコール抽出したホップ香料の対照例に比べ、ホップのヤニ臭が低減し、フルーティーで爽やかな香りを呈するとの評価であった。
<実施例3>
カスケードホップペレット(シュタイナー社製)10gに95%エタノール20mlと水70mlとを添加した。さらに、エステル化酵素としてエステラーゼ(和光純薬社製)10mgを添加し、カスケードホップペレットがエタノール水溶液中に浸漬された状態で、室温下(約20℃程度)で約12時間程度放置した。その後、濾過して89mlのホップエキスを得た。
得られた香料について、8名の専門パネラーにより香気の評価を行った。その結果、表3に示した。
Figure 2007039609
評価の結果は、表3に示すように、パネラーほぼ全員が、酵素を添加したアルコール溶液でホップをエステル化処理した後、ろ過した実施例3は、アルコール抽出したホップ香料の対照例に比べ、ホップのヤニ臭が低減し、フルーティーで爽やかな香りを呈するとの評価であった。
<実施例4>
実施例1、実施例2、および実施例3で得られた香料を用いたアルコール飲料(チューハイ)を調製した。
先ず、55%果糖ぶどう糖液糖45g、クエン酸2.5g、95.5%醸造用アルコール76mlに水を加えて、1Lのアルコール飲料調合液を調製する。この調合液に実施例1、実施例2、または実施例3で得られたホップ香料1mlを添加し、炭酸ガスを2.3VOL含ませ、ホップチューハイとした。
得られたホップチューハイは、実施例1、実施例2、および実施例3で得られたいずれのホップ香料を用いたものであっても、ホップのさわやかな香りが楽しめ、ヤニ臭がない嗜好性の高いものであった。
<実施例5>
実施例1で得られた香料100mlに、水100mlを添加して、アルコール47%の香料を得たのち、これを加熱蒸留して、最初の留分100mlのホップ香料を得た。
得られた香料について、8名の専門パネラーにより香気の評価を行った。その結果、表4に示した。
Figure 2007039609
評価の結果は、表4に示すように、パネラー全員が、アルコール抽出したホップ香料を塩酸でエステル化処理したあと、中和し、蒸留した実施例5は、アルコール抽出したホップ香料の対照例に比べ、ホップのヤニ臭が低減し、フルーティーで爽やかな香りを呈し、ホップ由来の苦味も無いとの評価であり、さらに、蒸留をしていない実施例1の香料と比べて、ヤニ臭はより少なく、ホップのグリーンな香りや、エステル香が際立っているとの評価であった。

Claims (15)

  1. 天然香料の原料となり得、且つ、有機酸を含む天然物をエタノール溶液で抽出し、前記有機酸を含むエタノール溶液抽出物を得た後、該エタノール溶液抽出物をエステル化処理して得られる香料。
  2. 天然香料の原料となり得、且つ、有機酸を含む天然物を、エタノール溶液で抽出すると共に、エステル化処理して得られる香料。
  3. 前記エステル化処理は、前記エタノール溶液抽出物に酸触媒を添加することにより行われる請求項1に記載の香料。
  4. 前記酸触媒は、塩酸である請求項3記載の香料。
  5. 前記エステル化処理は、前記エタノール溶液抽出物にエステル化酵素を添加することにより行われる請求項1に記載の香料。
  6. 前記エステル化処理は、前記天然物を抽出する前記エタノール溶液にエステル化酵素を添加することにより行われる請求項2に記載の香料。
  7. 前記エステル化酵素は、エステラーゼ、リパーゼ、およびアルコールトランスフェラーゼよりなる群から選択される少なくとも一以上である請求項5または6に記載の香料。
  8. 前記エタノール溶液は、80容量%以上のエタノールを含む請求項1から7いずれか記載の香料。
  9. 前記天然物は、ホップである請求項1から8いずれか記載の香料。
  10. 前記天然物は、柑橘類である請求項1から8いずれか記載の香料。
  11. 請求項1から10いずれか記載の香料を含有する飲料。
  12. 天然香料の原料となり得、且つ、有機酸を含む天然物をエタノール溶液で抽出し、前記有機酸を含むエタノール溶液抽出物を得た後、該エタノール溶液抽出物をエステル化処理する天然香料の香気改良方法。
  13. 前記エステル化処理を行った後、さらに、蒸留処理する請求項12に記載の天然香料の香気改良方法。
  14. 天然香料の原料となり得、且つ、有機酸を含む天然物を、エタノール溶液で抽出すると共に、エステル化処理する天然香料の香気改良方法。
  15. 前記エタノール溶液で抽出すると共に、エステル化処理を行った後、さらに、蒸留処理する請求項14に記載の天然香料の香気改良方法。
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