JP2007039544A - 木質樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の木質樹脂組成物は、スチレン系重合体(A)とオレフィン系重合体(B)とを、(A)/(B)=70/30〜10/90(重量比)で含み、該スチレン系重合体(A)と該オレフィン系重合体(B)との合計を100重量部としたときに、セルロ−ス系微粉末(C)を10〜160重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー(D)を1〜10重量部含む。
【選択図】 なし
Description
上記スチレン系重合体(A)はオレフィン系重合体(B)に対して、(A)/(B)=70/30〜10/90(重量比)の割合で木質樹脂組成物に含まれる。好ましくは、(A)/(B)=70/30〜20/80であり、より好ましくは、(A)/(B)=70/30〜25/75であり、さらに好ましくは、(A)/(B)=70/30〜30/70である。スチレン系重合体の割合を上記範囲に設定することで、表面光沢を低く抑えることができる。スチレン系重合体(A)の割合が大きすぎると、溶融時の流動性が高くなり、セルロ−ス系微粉末の焦げおよび金型の汚染が生じるおそれがあり、成形性が悪くなる場合がある。スチレン系重合体(A)の割合が小さすぎると、表面光沢が高くなり蝋のような触感や光沢が残るおそれがある。
上記オレフィン系重合体(B)はA項で説明したスチレン系重合体(A)と共に、(A)/(B)=70/30〜10/90(重量比)の割合で木質樹脂組成物に含まれる。好ましくは、(A)/(B)=70/30〜20/80であり、より好ましくは、(A)/(B)=70/30〜25/75であり、さらに好ましくは、(A)/(B)=70/30〜30/70である。オレフィン系重合体(B)の割合が90(重量比)を超えると、触感や光沢などの外観品質が劣るおそれがある。オレフィン系重合体(B)の割合が10(重量比)より低くなると流動性が著しく低くなり、成形が困難になるおそれがある。
本発明の木質樹脂組成物は、上記スチレン系重合体(A)と上記オレフィン系重合体(B)との合計を100重量部とした場合、セルロ−ス系微粉末(C)を10〜160重量含む。好ましくは、10〜140重量部である。より好ましくは、10〜100重量部であり、さらに好ましくは、10〜70重量部であり、特に好ましくは、20〜50重量部である。セルロース系微粉末の含有割合が10重量部より低くなると、木質感が不十分である場合が多い。160重量部を超えると成形時の流動抵抗が大きくなるので、木質樹脂組成物に焼け焦げなどが生じる場合が多い。
10μmである。セルロ−ス系微粉末が所定の範囲内に平均粒径を有することで、成形性に優れ、かつ、優れた木質感(特に、香りや触感など)を有し得る。
木質樹脂組成物は、スチレン系重合体(A)とオレフィン系重合体(B)との合計を100重量部とした場合、上記スチレン系熱可塑性エラストマー(D)を1〜10重量部含む。好ましくは、1.5〜5重量部である。上記範囲のスチレン系熱可塑性エラストマーを含むことにより、充填セルロース系微粉末の焦げがなく、金型を汚染することを防ぎ、かつ、優れた木質感および優れた破断伸びをバランスよく得ることができる。さらに、上記スチレン系重合体(A)の含有割合を高く設定できる。この結果、成形性に優れ、木質感を損なわず、かつ機械的特性に優れた木質樹脂組成物を得ることができる。スチレン系熱可塑性エラストマー(D)が1重量部より低い場合は、木質樹脂組成物の破断伸びが低くなり、強度が不十分となる場合が多い。10重量部を超える場合は、溶融時の流動性が低くなるので、セルロ−ス系微粉末の焦げが生じ、金型を汚染するおそれがある。
木質樹脂組成物は、目的に応じて任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。添加剤としては、例えば、滑剤、無機充填剤、着色剤、帯電防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、木目着色に用いるカラーマスターバッチが挙げられる。これらの添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
F−1.木質樹脂組成物の成形準備
次に、本発明の木質樹脂組成物の製造方法の好ましい一例について説明する。まず、スチレン系重合体(A)とセルロ−ス系微粉末(C)を混練する。混練は任意の適切な方法が採用され得る。例えば押出機、好ましくは2軸の押出機を用い混練する。押出機により混練を行う場合、温度や混練時間等は、用いるスチレン系重合体(A)とセルロース系微粉末(C)の種類および含有割合等に応じ適宜設計される。混練し、押出しをすることでスチレン系重合体(A)とセルロ−ス系微粉末(C)の混練物(例えばペレット)を得ることができる。なお、スチレン系重合体(A)とセルロ−ス系微粉末(C)の混練物は市販品(例えば、長瀬産業株式会社製 プラスッドシリーズ)を用いてもよい。次に、得られた混練物にオレフィン系重合体(B)とスチレン系熱可塑性エラストマー(D)をさらに添加し混練し、押出機などを用いて成形に適した形状(例えばペレット)の最終混練物、すなわち本発明の木質樹脂組成物を得る。該混練方法は、目的に応じて任意の適切な方法で混練される。滑剤およびカラーマスターバッチなどの添加剤は、目的に応じて適切な方法または順番で添加され得る。以上のようにして、本発明の木質樹脂組成物が得られる。
木質樹脂組成物の成形は、任意の適切な成形方法で行われる。例えば、圧縮成形、射出成形、トランスファー成形などである。好ましくは射出成形である。射出成形を行うことで、安定した木質樹脂組成物を得ることができるからである。射出成形の条件は、目的や用いる樹脂などに応じて任意の適切な条件が採用され得る。例えば、射出温度は、好ましくは140℃〜180℃であり、金型温度は、好ましくは40℃〜60℃である。射出圧力や射出速度もまた、目的とする成形品の形状等に応じて適宜選択される。さらに、ゲート部は目的に応じて適宜選択され、ファンゲート等が挙げられる。
成形品の焦げの有無を目視で確認した。また、成形品の臭いの有無を官能評価した。表1において、焦げおよび臭気の評価欄で示される記号は、以下の意味である。「○」焦げおよび臭気はなかった。「△」成形品に若干の焦げおよび臭気があった。「×」成形品全体に明確な焦げまたは臭気があった。なお、「○〜△」とは、成形品に若干の臭気はあるが、焦げは観察されなかった状態を意味する。
(射出成形時の金型汚染に関する評価)
成形品を500枚連続して射出成形を行い、その後の金型表面を目視にて観察した。表1において、金型汚染欄で示される記号は、以下の意味である。「○」汚染はなかった。「△」金型に若干の汚染があった。「×」金型全体に明確な汚染があった。なお、「○〜△」とは、金型に若干の汚染があるが、木質樹脂組成物の成形には影響を及ぼさない程度の汚染を意味する。
(光沢の測定)
成形品の表面光沢を60度鏡面の光沢度計(JIS Z 8741に準拠)で測定した。表面光沢値が低いと木目が良好に観察される。
(破断伸びの測定)
ASTM D638に準じて、引張試験機で破断伸びを測定した。
a.射出成型用ペレットの作製
プラスッドAE1004(長瀬産業株式会社製:スチレン系重合体としてABS樹脂50重量%と、セルロ−ス系微粉末50重量%を含む)100重量部に、オレフィン系重合体としてポリプロピレン(日本ポリプロ(株) ノバテックPP BC6DR)を50重量部加え混練した。次いで、スチレン系熱可塑性エラストマーとして水添SEBS(旭化成(株) タフテック H1043)を3重量部加えた。木目着色のためにカラーマスターバッチ(着色MB)(セツナン化成 もくめ君)4重量部を加え、ペレットを得た。
得られたペレットを射出成形機(日本製鋼所 JSW220 型締力220T)を用い以下の条件で射出成形を行い、300mm×65mm×2mmの角材を成形した。ゲ−トは幅方向の片側からファンゲ−トを用いた。得られた成形品の評価結果を表1に示す。
温調
ホッパー下 150℃
H3 160℃
H2 170℃
H1 170℃
金型温度 50℃
射出圧力 60%
射出速度 60%
実施例1で用いたスチレン系熱可塑性エラストマーを、水添SBBS(旭化成(株) タフテック P2000)に変えたこと以外は、実施例1と同様にして成形品を作製し、上記項目を評価した。成形品の評価結果を表1に示す。
スチレン系重合体としてABS樹脂(テクノポリマ−株式会社:テクノABS330)70重量部とセルロ−ス系微粉末(平均粒子系500μm以下)50重量部を溶融混練し、オレフィン系重合体としてPP(日本ポリプロ(株) ノバテックPP BC6DR)30重量部を加え混練した。さらに、スチレン系熱可塑性エラストマーとして水添SEBS(旭化成(株) タフテック H1043)を3重量部加え、木目着色のために着色MB(セツナン化成 もくめ君)を4重量部加え、ペレットを得た。以下、実施例1と同様にして成形品を作製し、上記項目を評価した。成形品の評価結果を表1に示す。
スチレン系重合体(ABS樹脂)を10重量部とし、オレフィン系重合体(PP)を90重量部としたこと以外は、実施例3と同様にして成形品を作製し、上記項目を評価した。成形品の評価結果を表1に示す。
スチレン系重合体(ABS樹脂)を50重量部とし、オレフィン系重合体(PP)を50重量部とし、セルロ−ス系微粉末を160重量部としたこと以外は、実施例3と同様にして成形品を作製し、上記項目を評価した。成形品の評価結果を表1に示す。
スチレン系重合体(ABS樹脂)を50重量部とし、オレフィン系重合体(PP)を50重量部とし、セルロ−ス系微粉末を10重量部としたこと以外は、実施例3と同様にして成形品を作製し、上記項目を評価した。成形品の評価結果を表1に示す。
スチレン系熱可塑性エラストマーとして水添SEBSを1重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして成形品を作製し、上記項目を評価した。成形品の評価結果を表1に示す。
スチレン系熱可塑性エラストマーとして水添SEBSを10重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして成形品を作製し、上記項目を評価した。成形品の評価結果を表1に示す。
スチレン系重合体(ABS樹脂)を80重量部とし、オレフィン系重合体(PP)を20重量部としたこと以外は、実施例3と同様にして成形品を作製し、上記項目を評価した。成形品の評価結果を表1に示す。
スチレン系重合体(ABS樹脂)を5重量部とし、オレフィン系重合体(PP)を95重量部としたこと以外は、実施例3と同様にして成形品を作製し、上記項目を評価した。成形品の評価結果を表1に示す。
スチレン系熱可塑性エラストマーを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして成形品を作製し、上記項目を評価した。成形品の評価結果を表1に示す。
スチレン系熱可塑性エラストマーとして水添SEBS(旭化成(株) タフテック H1043)を15重量部加えたこと以外は、実施例1と同様にして成形品を作製し、上記項目を評価した。成形品の評価結果を表1に示す。
スチレン系重合体(ABS樹脂)を50重量部とし、オレフィン系重合体(PP)を50重量部とし、セルロ−ス系微粉末を170重量部としたこと以外は、実施例3と同様にして成形品を作製し、上記項目を評価した。成形品の評価結果を表1に示す。
スチレン系重合体(ABS樹脂)を50重量部とし、オレフィン系重合体(PP)を50重量部とし、セルロ−ス系微粉末を5重量部としたこと以外は、実施例3と同様にして成形品を作製し、上記項目を評価した。成形品の評価結果を表1に示す。
実施例1〜8と比較例1および2とを比較すると、スチレン系重合体を所定の範囲で含むことにより、優れた木質感(触感や光沢および色などの外観品質)が得られ、優れた破断伸びを有し、木質樹脂組成物のデラミネ−ションを防げることが分かる。さらに、セルロース系微粒子の焼け焦げおよび臭気がなく、かつ、金型の汚染がないことが明らかである(例えば、実施例1と比較例1の比較)。この結果、製造コストを低く抑えることが可能となる。
Claims (4)
- スチレン系重合体(A)とオレフィン系重合体(B)とを、(A)/(B)=70/30〜10/90(重量比)で含み、該スチレン系重合体(A)と該オレフィン系重合体(B)との合計を100重量部としたときに、セルロ−ス系微粉末(C)を10〜160重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー(D)を1〜10重量部含む、木質樹脂組成物。
- 前記スチレン系重合体(A)は、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、AAS樹脂、MBS樹脂から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の木質樹脂組成物。
- スチレン系重合体(A)とオレフィン系重合体(B)とを、(A)/(B)=70/30〜20/80(重量比)で含む、請求項1または2に記載の木質樹脂組成物。
- スチレン系重合体(A)とセルロ−ス系微粉末(C)を溶融混練して混練物とした後、オレフィン系重合体(B)およびスチレン系熱可塑性エラストマー(D)を添加し混練する、木質樹脂組成物の製造方法。
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