JPWO2006104245A1 - 低アウトガス樹脂組成物、その製造方法及び自動車内装材 - Google Patents
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Abstract
樹脂成分としてポリオレフィン20〜90重量%とオレフィン系熱可塑性エラストマー10〜80重量%を含有し、樹脂成分100重量部あたり無機充填剤5〜50重量部を含有する樹脂組成物において、有機性アウトガス含有量が100ppm(重量比)以下であり、水分含有量が10ppm(重量比)以下である低アウトガス樹脂組成物、バレルに注水孔とベントポートを有する二軸押出機で溶融樹脂を混練しつつ、ベントポートの前段に設けたサイドポートから無機充填剤を供給し、注水孔より水を供給し、ベントポートから脱気する操作を行う該組成物の製造方法、該組成物を成形してなる成形品、及び自動車内装材。アウトガスの発生量が少なく、外観の良好な成形品を製造することができ、特に自動車内装材の原材料に適した樹脂組成物を得ることが出来る。
Description
本発明は、低アウトガス樹脂組成物、その製造方法及び自動車内装材に関する。さらに詳しくは、本発明は、外観の良好な成形品を製造することができ、特に自動車内装材の原材料に適した低アウトガス樹脂組成物、該組成物の製造方法及び該組成物を成形してなる自動車内装材に関する。
自動車の軽量化とデザインの多様性を目指して、従来より自動車内装材のプラスチック化が進められ、以前には、成形性が良好な塩化ビニル樹脂が多く用いられていた。しかし、塩化ビニル樹脂は、可塑剤がフォギングの原因となることや、廃棄後の環境汚染が懸念されることから、これらの問題の少ないオレフィン系樹脂組成物が使用されるようになった。
特許文献1では、二軸押出機を用い、240〜250℃に加温して30秒間混練することにより、オレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー及び添加剤からなる、耐フォギング性に優れた自動車内装用樹脂組成物を製造している。
しかしながら、このようなオレフィン系樹脂組成物を用いた場合、塩化ビニル樹脂に比べて成形が容易ではなく、特に大型成形品を成形すると、シルバーストリークやフクレなどの外観不良が生じ易い問題があった。
特開平10−36578号公報
特許文献1では、二軸押出機を用い、240〜250℃に加温して30秒間混練することにより、オレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー及び添加剤からなる、耐フォギング性に優れた自動車内装用樹脂組成物を製造している。
しかしながら、このようなオレフィン系樹脂組成物を用いた場合、塩化ビニル樹脂に比べて成形が容易ではなく、特に大型成形品を成形すると、シルバーストリークやフクレなどの外観不良が生じ易い問題があった。
本発明は、シルバーストリークやフクレなどがなく、外観の良好な成形品を製造することができ、特に自動車内装材の原材料に適した低アウトガス樹脂組成物、該組成物の製造方法及び該組成物を成形してなる自動車内装材を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、
(I)上記シルバーストリークやフクレなどの外観不良の発生原因が、ポリオレフィン、オレフィン系熱可塑性エラストマー及び無機充填剤を含有する樹脂組成物中に微量に残存する有機性アウトガス成分や水分であること、
(II)上記樹脂組成物中の有機性アウトガス含有量を100重量ppm以下、水分含有量を10重量ppm以下にすることにより、成形時の外観不良(シルバーストリークやフクレの発生)が解消できること、
(III)単なるオレフィン系樹脂は、二軸押出機を用いて加熱混練するだけで有機性アウトガス成分や水分が除去され易いが、該方法をそのままエラストマーが配合されたオレフィン系樹脂組成物に適用した場合には有機性アウトガス成分や水分が残存し易いこと、
(IV)オレフィン系樹脂組成物に無機充填剤を配合した場合、有機性アウトガス成分や水分がさらに除去しにくくなること、
(V)残存する水分が、添加する無機充填剤由来のものが多いこと、及び
(VI)二軸押出機のベントポートの前段に設けたサイドポートから無機充填剤を供給し、さらに注水孔から本来減らしたいはずの水を逆に加えることにより上記樹脂組成物中の有機性アウトガス含有量を及び水分含有量を所望の範囲にまで低減できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)樹脂成分としてポリオレフィン20〜90重量%とオレフィン系熱可塑性エラストマー10〜80重量%とを含有し、樹脂成分100重量部あたり無機充填剤5〜50重量部を含有する樹脂組成物において、有機性アウトガス含有量が100ppm(重量比)以下であり、水分含有量が10ppm(重量比)以下であることを特徴とする低アウトガス樹脂組成物、
(2)ポリオレフィン及びオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる樹脂成分並びに無機充填剤を含有する低アウトガス樹脂組成物の製造方法において、バレルに注水孔、ベントポート及びこれの前段に設けたサイドポートを有する二軸押出機を用い、前記樹脂成分をバレル内で混練しつつ、前記サイドポートから無機充填剤を供給し、前記注水孔より水を供給し、前記ベントポートから脱気する操作を行うことを特徴とする低アウトガス樹脂組成物の製造方法、
(3)(1)記載の低アウトガス樹脂組成物を成形してなる成形品、
(4)(1)記載の低アウトガス樹脂組成物を成形してなる自動車内装材、及び、
(5)(1)記載の低アウトガス樹脂組成物を成形することを特徴とする自動車内装材の製造方法、
を提供するものである。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、
(I)上記シルバーストリークやフクレなどの外観不良の発生原因が、ポリオレフィン、オレフィン系熱可塑性エラストマー及び無機充填剤を含有する樹脂組成物中に微量に残存する有機性アウトガス成分や水分であること、
(II)上記樹脂組成物中の有機性アウトガス含有量を100重量ppm以下、水分含有量を10重量ppm以下にすることにより、成形時の外観不良(シルバーストリークやフクレの発生)が解消できること、
(III)単なるオレフィン系樹脂は、二軸押出機を用いて加熱混練するだけで有機性アウトガス成分や水分が除去され易いが、該方法をそのままエラストマーが配合されたオレフィン系樹脂組成物に適用した場合には有機性アウトガス成分や水分が残存し易いこと、
(IV)オレフィン系樹脂組成物に無機充填剤を配合した場合、有機性アウトガス成分や水分がさらに除去しにくくなること、
(V)残存する水分が、添加する無機充填剤由来のものが多いこと、及び
(VI)二軸押出機のベントポートの前段に設けたサイドポートから無機充填剤を供給し、さらに注水孔から本来減らしたいはずの水を逆に加えることにより上記樹脂組成物中の有機性アウトガス含有量を及び水分含有量を所望の範囲にまで低減できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)樹脂成分としてポリオレフィン20〜90重量%とオレフィン系熱可塑性エラストマー10〜80重量%とを含有し、樹脂成分100重量部あたり無機充填剤5〜50重量部を含有する樹脂組成物において、有機性アウトガス含有量が100ppm(重量比)以下であり、水分含有量が10ppm(重量比)以下であることを特徴とする低アウトガス樹脂組成物、
(2)ポリオレフィン及びオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる樹脂成分並びに無機充填剤を含有する低アウトガス樹脂組成物の製造方法において、バレルに注水孔、ベントポート及びこれの前段に設けたサイドポートを有する二軸押出機を用い、前記樹脂成分をバレル内で混練しつつ、前記サイドポートから無機充填剤を供給し、前記注水孔より水を供給し、前記ベントポートから脱気する操作を行うことを特徴とする低アウトガス樹脂組成物の製造方法、
(3)(1)記載の低アウトガス樹脂組成物を成形してなる成形品、
(4)(1)記載の低アウトガス樹脂組成物を成形してなる自動車内装材、及び、
(5)(1)記載の低アウトガス樹脂組成物を成形することを特徴とする自動車内装材の製造方法、
を提供するものである。
Fig.1は本発明方法に用いる二軸押出機の一態様の説明図、Fig.2は比較例で用いた二軸押出機の説明図である。
本発明の低アウトガス樹脂組成物は、樹脂成分としてポリオレフィン20〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%と、オレフィン系熱可塑性エラストマー10〜80重量%、より好ましくは20〜60重量%を含有し、樹脂成分100重量部あたり無機充填剤5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部、特に好ましくは10〜30重量部を含有する樹脂組成物において、有機性アウトガス含有量が100ppm(重量比)以下、より好ましくは70ppm(重量比)以下、特に好ましくは50ppm(重量比)以下であり、水分含有量が10ppm(重量比)以下、より好ましくは7ppm(重量比)以下、特に好ましくは5ppm(重量比)以下である。
ここで、「有機性アウトガス含有量」とは、試料200mgを、表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去した内径4mmのガラスチューブ製の試料容器に入れ、100℃で60分加熱し、試料容器から出てきた気体を液体窒素で冷却した捕集管で捕集し、捕集した気体を熱脱着ガスクロマトグラフィ質量分析計で測定して求めた有機物の含有量である。
また、上記において水分含有量は、平沼産業(株)製微量水分測定装置AQ−2100及び自動加熱気化水分測定システムAQS−2110を用いてカールフィッシャー法にて測定した値である。
本発明の低アウトガス樹脂組成物は、自動車内装材、建築材料、家具などの大型成形品の製造に好適に用いることができる。これらの製品には、適度の軟らかさを感じる触感とともに、シルバーストリーク、フクレなどの外観不良が皆無であることが要求される。ポリオレフィンの含有量が上記範囲を超えると、製品の触感から軟らかさが失われるおそれがある。オレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量が上記範囲を超えると、製品の剛性が不足するおそれがある。無機充填剤の含有量が上記範囲未満であると、製品の剛性が低下するおそれがある。無機充填剤の含有量が上記範囲を超えると、製品の衝撃強度が低下し脆くなるおそれがある。有機性アウトガス含有量が上記範囲を超えると、外観不良が発生しやすくなるとともに、製品から不快と感じられるにおいが発するおそれがある。水分含有量が上記範囲を超えると、製品に外観不良が発生しやすくなるおそれがある。
本発明組成物に用いるポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、ビニルシクロヘキサン、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、及びα−ビニルナフタレンなどの単独重合体、共重合体を挙げることができる。これらの重合体は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、ポリプロピレンは、成形性と物性のバランスが良好なので、特に好適に用いることができる。
本発明組成物に用いるオレフィン系熱可塑性エラストマーに特に制限はないが、エチレンとα−オレフィンの共重合体を好適に用いることができる。α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、及び1−ドデセンなどを挙げることができる。
本発明組成物においては、ポリオレフィン及びオレフィン系熱可塑性エラストマーに加えて、さらに他のポリマーを含有させることができる。他のポリマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体などを挙げることができる。
本発明組成物に用いる無機充填剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム繊維、シリカ、クレー、カオリン、アルミナ、カーボンブラック、及びガラス繊維などを挙げることができる。本発明組成物においては、必要に応じて、他の添加剤を含有せしめることができる。他の添加剤としては、例えば、染顔料などの着色剤、難燃剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、発泡剤、導電剤、防菌剤、防黴剤、可塑剤、及び相溶化剤などを挙げることができる。
本発明の低アウトガス樹脂組成物の製造方法においては、バレルに注水孔、ベントポート及びこれの前段に設けたサイドポートを有する二軸押出機を用い、前記樹脂成分をバレル内で混練しつつ、前記サイドポートから無機充填剤を供給し、前記注水孔より水を供給し、前記ベントポートから脱気する操作を行う。本発明方法に用いる二軸押出機に特に制限はないが、完全噛合型同方向回転二軸押出機は、混練効果、脱気効果が良好であり、セルフクリーニング性に優れるので、好適に用いることができる。
本発明方法においては、二軸押出機のバレルに、注水孔を前段に、ベントポートを後段に配置した注水孔とベントポートの組み合わせを設ける。注水孔とベントポートの組み合わせの数に特に制限はないが、1〜3組であることが好ましい。注水孔とベントポートの組み合わせが4組以上になると、二軸押出機のシリンダーが長くなりすぎ、その割りに揮発分の除去効果が向上しないおそれがある。スクリューで混練されている溶融状態のポリオレフィンとオレフィン系熱可塑性エラストマーの混合物(以下、「溶融樹脂」と略す。)に水が供給されると、溶融樹脂中に残留する重合反応に用いた溶媒、未反応の単量体、重合の際に生成した低分子量のオリゴマーなどの揮発性成分は、水分とともにベントポートにおける減圧脱気により除去される。
本発明方法において、注水孔より供給する水の量に特に制限はないが、一つの注水孔において、溶融樹脂100重量部に対して、0.1〜3重量部であることが好ましく、0.2〜1重量部であることがより好ましい。溶融樹脂100重量部に対する水の供給量が上記範囲未満であると、揮発分の除去効果が十分に発現しないおそれがある。溶融樹脂100重量部に対する水の供給量が上記範囲を超えると、溶融樹脂の温度が低下するとともに、溶融樹脂のスクリューの回転による移送が円滑に進まなくなり、ベントポートでの水分の除去が不十分となるおそれがある。本発明方法において、供給する水の温度に特に制限はなく、例えば、常温の水、加熱水などとして供給することができ、あるいは、水蒸気を圧入することもできる。
本発明方法において、ベントポートの圧力に特に制限はないが、絶対圧力で0.1〜5kPaであることが好ましく、0.1〜2kPaであることがより好ましい。ベントポートの圧力を上記範囲未満にするためには、大容量の真空ポンプと、気密性の極めて高い装置が必要となり、設備費と運転経費が嵩むおそれがある。ベントポートの圧力が上記範囲を超えると、溶融樹脂からの揮発分の除去が不十分となり、得られる樹脂組成物の有機性アウトガス含有量と水分含有量が十分に低下しないおそれがある。
本発明方法においては、ベントポートの前段に設けたサイドポートから溶融樹脂に無機充填剤を供給する。二軸押出機が複数のベントポートを有する場合、サイドポートはいずれのベントポートの前段に設けることもできる。例えば、二軸押出機が3組の注水孔とベントポートの組み合わせを有する場合、サイドポートは、前段の注水孔の前段、前段の注水孔と前段のベントポートの中間、前段のベントポートと中段の注水孔の中間、中段の注水孔と中段のベントポートの中間、中段のベントポートと後段の注水孔の中間、後段の注水孔と後段のベントポートの中間のいずれの位置に設けることもできるが、前段の注水孔の前段に設けることが好ましい。サイドポートの位置は、溶融樹脂中の無機充填剤の分散に必要な混練を考慮して適宜選択することができる。溶融樹脂に添加された無機充填剤が少なくとも一つのベントポートを通過することにより、無機充填剤に吸着され、帯同された水分をベントポートから除去することができる。
Fig.1は、本発明方法に用いる二軸押出機の一態様の説明図である。本態様の二軸押出機のシリンダーは、C1からC18までの18個のシリンダーユニットにより構成されている。シリンダーユニットC1には、ポリオレフィンとオレフィン系熱可塑性エラストマーの混合物が供給されるホッパーが設けられ、シリンダーユニットC18の先端には、ポリオレフィンとオレフィン系熱可塑性エラストマーと無機充填剤が混練され、揮発性成分が除去された溶融樹脂組成物が押し出されるダイDが設けられている。
シリンダーユニットC8には、無機充填剤が供給されるサイドポートが設けられ、シリンダーユニットC10の注水孔とシリンダーユニットC11のベントポート、シリンダーユニットC13の注水孔とシリンダーユニットC14のベントポート、シリンダーユニットC16の注水孔とシリンダーユニットC17のベントポートがそれぞれ組をなしている。ホッパーからシリンダーユニットC1に供給されたポリオレフィンとオレフィン系熱可塑性エラストマーの混合物は、加熱されて溶融し、混練作用を受けながらシリンダー先端のダイDへ向かって移送される。
途中シリンダーユニットC8において、無機充填剤が供給され、シリンダーユニットC10において水が供給され、溶融樹脂中に分散する。溶融樹脂に含まれる揮発性成分は、シリンダーユニットC11のベントポートにおける真空脱気により除去される。Fig.1に示す態様においては、シリンダーユニットC13とシリンダーユニットC14及びシリンダーユニットC16とシリンダーユニットC17において、水の供給と脱気がさらに2回繰り返されるので、溶融樹脂中の有機性の揮発性成分は幾何級数的に減少し、ダイからは有機性アウトガスをほとんど含有しない樹脂組成物が押し出される。
本発明の成形品は、本発明の低アウトガス樹脂組成物を成形してなる成形品である。本発明の成形品の製造方法においては、本発明の低アウトガス樹脂組成物を成形する。本発明組成物を成形する方法に特に制限はなく、例えば、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、真空成形法、圧空成形法、これらの成形法の組み合わせなどを挙げることができる。本発明の低アウトガス樹脂組成物は、インストルメントパネル、ドアトリム、天井材、及びトランクルーム床材等の自動車用成形体の成形材料;バンパー及びピラー等の自動車用成形体の成形材料;建築材料及び家具などの大型成形品の成形材料;に好適に用いられるが、自動車用成形体特に、内装材の成形材料に特に好適に用いられる。自動車内装材は、大型成形品が多く、高級指向のために外観に対する要求が厳しい。また、車内の狭い空間に設置され、夏季には車内は高温に達するので、成形品から放出される揮発性成分による不快臭が問題にされやすい。本発明の低アウトガス樹脂組成物を成形してなる自動車内装材は、有機性アウトガス含有量と水分含有量がともに少ないので、成形品の外観不良が発生しにくく、放出される有機性アウトガスの量も極めて少ない。
ここで、「有機性アウトガス含有量」とは、試料200mgを、表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去した内径4mmのガラスチューブ製の試料容器に入れ、100℃で60分加熱し、試料容器から出てきた気体を液体窒素で冷却した捕集管で捕集し、捕集した気体を熱脱着ガスクロマトグラフィ質量分析計で測定して求めた有機物の含有量である。
また、上記において水分含有量は、平沼産業(株)製微量水分測定装置AQ−2100及び自動加熱気化水分測定システムAQS−2110を用いてカールフィッシャー法にて測定した値である。
本発明の低アウトガス樹脂組成物は、自動車内装材、建築材料、家具などの大型成形品の製造に好適に用いることができる。これらの製品には、適度の軟らかさを感じる触感とともに、シルバーストリーク、フクレなどの外観不良が皆無であることが要求される。ポリオレフィンの含有量が上記範囲を超えると、製品の触感から軟らかさが失われるおそれがある。オレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量が上記範囲を超えると、製品の剛性が不足するおそれがある。無機充填剤の含有量が上記範囲未満であると、製品の剛性が低下するおそれがある。無機充填剤の含有量が上記範囲を超えると、製品の衝撃強度が低下し脆くなるおそれがある。有機性アウトガス含有量が上記範囲を超えると、外観不良が発生しやすくなるとともに、製品から不快と感じられるにおいが発するおそれがある。水分含有量が上記範囲を超えると、製品に外観不良が発生しやすくなるおそれがある。
本発明組成物に用いるポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、ビニルシクロヘキサン、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、及びα−ビニルナフタレンなどの単独重合体、共重合体を挙げることができる。これらの重合体は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、ポリプロピレンは、成形性と物性のバランスが良好なので、特に好適に用いることができる。
本発明組成物に用いるオレフィン系熱可塑性エラストマーに特に制限はないが、エチレンとα−オレフィンの共重合体を好適に用いることができる。α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、及び1−ドデセンなどを挙げることができる。
本発明組成物においては、ポリオレフィン及びオレフィン系熱可塑性エラストマーに加えて、さらに他のポリマーを含有させることができる。他のポリマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体などを挙げることができる。
本発明組成物に用いる無機充填剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム繊維、シリカ、クレー、カオリン、アルミナ、カーボンブラック、及びガラス繊維などを挙げることができる。本発明組成物においては、必要に応じて、他の添加剤を含有せしめることができる。他の添加剤としては、例えば、染顔料などの着色剤、難燃剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、発泡剤、導電剤、防菌剤、防黴剤、可塑剤、及び相溶化剤などを挙げることができる。
本発明の低アウトガス樹脂組成物の製造方法においては、バレルに注水孔、ベントポート及びこれの前段に設けたサイドポートを有する二軸押出機を用い、前記樹脂成分をバレル内で混練しつつ、前記サイドポートから無機充填剤を供給し、前記注水孔より水を供給し、前記ベントポートから脱気する操作を行う。本発明方法に用いる二軸押出機に特に制限はないが、完全噛合型同方向回転二軸押出機は、混練効果、脱気効果が良好であり、セルフクリーニング性に優れるので、好適に用いることができる。
本発明方法においては、二軸押出機のバレルに、注水孔を前段に、ベントポートを後段に配置した注水孔とベントポートの組み合わせを設ける。注水孔とベントポートの組み合わせの数に特に制限はないが、1〜3組であることが好ましい。注水孔とベントポートの組み合わせが4組以上になると、二軸押出機のシリンダーが長くなりすぎ、その割りに揮発分の除去効果が向上しないおそれがある。スクリューで混練されている溶融状態のポリオレフィンとオレフィン系熱可塑性エラストマーの混合物(以下、「溶融樹脂」と略す。)に水が供給されると、溶融樹脂中に残留する重合反応に用いた溶媒、未反応の単量体、重合の際に生成した低分子量のオリゴマーなどの揮発性成分は、水分とともにベントポートにおける減圧脱気により除去される。
本発明方法において、注水孔より供給する水の量に特に制限はないが、一つの注水孔において、溶融樹脂100重量部に対して、0.1〜3重量部であることが好ましく、0.2〜1重量部であることがより好ましい。溶融樹脂100重量部に対する水の供給量が上記範囲未満であると、揮発分の除去効果が十分に発現しないおそれがある。溶融樹脂100重量部に対する水の供給量が上記範囲を超えると、溶融樹脂の温度が低下するとともに、溶融樹脂のスクリューの回転による移送が円滑に進まなくなり、ベントポートでの水分の除去が不十分となるおそれがある。本発明方法において、供給する水の温度に特に制限はなく、例えば、常温の水、加熱水などとして供給することができ、あるいは、水蒸気を圧入することもできる。
本発明方法において、ベントポートの圧力に特に制限はないが、絶対圧力で0.1〜5kPaであることが好ましく、0.1〜2kPaであることがより好ましい。ベントポートの圧力を上記範囲未満にするためには、大容量の真空ポンプと、気密性の極めて高い装置が必要となり、設備費と運転経費が嵩むおそれがある。ベントポートの圧力が上記範囲を超えると、溶融樹脂からの揮発分の除去が不十分となり、得られる樹脂組成物の有機性アウトガス含有量と水分含有量が十分に低下しないおそれがある。
本発明方法においては、ベントポートの前段に設けたサイドポートから溶融樹脂に無機充填剤を供給する。二軸押出機が複数のベントポートを有する場合、サイドポートはいずれのベントポートの前段に設けることもできる。例えば、二軸押出機が3組の注水孔とベントポートの組み合わせを有する場合、サイドポートは、前段の注水孔の前段、前段の注水孔と前段のベントポートの中間、前段のベントポートと中段の注水孔の中間、中段の注水孔と中段のベントポートの中間、中段のベントポートと後段の注水孔の中間、後段の注水孔と後段のベントポートの中間のいずれの位置に設けることもできるが、前段の注水孔の前段に設けることが好ましい。サイドポートの位置は、溶融樹脂中の無機充填剤の分散に必要な混練を考慮して適宜選択することができる。溶融樹脂に添加された無機充填剤が少なくとも一つのベントポートを通過することにより、無機充填剤に吸着され、帯同された水分をベントポートから除去することができる。
Fig.1は、本発明方法に用いる二軸押出機の一態様の説明図である。本態様の二軸押出機のシリンダーは、C1からC18までの18個のシリンダーユニットにより構成されている。シリンダーユニットC1には、ポリオレフィンとオレフィン系熱可塑性エラストマーの混合物が供給されるホッパーが設けられ、シリンダーユニットC18の先端には、ポリオレフィンとオレフィン系熱可塑性エラストマーと無機充填剤が混練され、揮発性成分が除去された溶融樹脂組成物が押し出されるダイDが設けられている。
シリンダーユニットC8には、無機充填剤が供給されるサイドポートが設けられ、シリンダーユニットC10の注水孔とシリンダーユニットC11のベントポート、シリンダーユニットC13の注水孔とシリンダーユニットC14のベントポート、シリンダーユニットC16の注水孔とシリンダーユニットC17のベントポートがそれぞれ組をなしている。ホッパーからシリンダーユニットC1に供給されたポリオレフィンとオレフィン系熱可塑性エラストマーの混合物は、加熱されて溶融し、混練作用を受けながらシリンダー先端のダイDへ向かって移送される。
途中シリンダーユニットC8において、無機充填剤が供給され、シリンダーユニットC10において水が供給され、溶融樹脂中に分散する。溶融樹脂に含まれる揮発性成分は、シリンダーユニットC11のベントポートにおける真空脱気により除去される。Fig.1に示す態様においては、シリンダーユニットC13とシリンダーユニットC14及びシリンダーユニットC16とシリンダーユニットC17において、水の供給と脱気がさらに2回繰り返されるので、溶融樹脂中の有機性の揮発性成分は幾何級数的に減少し、ダイからは有機性アウトガスをほとんど含有しない樹脂組成物が押し出される。
本発明の成形品は、本発明の低アウトガス樹脂組成物を成形してなる成形品である。本発明の成形品の製造方法においては、本発明の低アウトガス樹脂組成物を成形する。本発明組成物を成形する方法に特に制限はなく、例えば、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、真空成形法、圧空成形法、これらの成形法の組み合わせなどを挙げることができる。本発明の低アウトガス樹脂組成物は、インストルメントパネル、ドアトリム、天井材、及びトランクルーム床材等の自動車用成形体の成形材料;バンパー及びピラー等の自動車用成形体の成形材料;建築材料及び家具などの大型成形品の成形材料;に好適に用いられるが、自動車用成形体特に、内装材の成形材料に特に好適に用いられる。自動車内装材は、大型成形品が多く、高級指向のために外観に対する要求が厳しい。また、車内の狭い空間に設置され、夏季には車内は高温に達するので、成形品から放出される揮発性成分による不快臭が問題にされやすい。本発明の低アウトガス樹脂組成物を成形してなる自動車内装材は、有機性アウトガス含有量と水分含有量がともに少ないので、成形品の外観不良が発生しにくく、放出される有機性アウトガスの量も極めて少ない。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、樹脂の特性は下記の方法により測定した。
(1)分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフ〔東ソー(株)、HLC−8121GPC〕に、カラム〔昭和電工(株)、Shodex 80MA〕2本を装着した。ポリマー濃度0.2重量%のo−ジクロルベンゼン溶液300μLを注入し、移動相o−ジクロルベンゼン、流量1mL/分、温度135℃で分離した。
標準ポリスチレン〔東ソー(株)〕を用いて溶出体積と分子量の関係を示す検量線を作成し、クロマトグラムより試料のポリスチレン換算の重量平均分子量、数平均分子量を求め、Q値を重量平均分子量/数平均分子量により算出した。
(2)固有粘度
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dL、0.2g/dL及び0.5g/dLのテトラリン溶液について135℃で還元粘度を測定し、濃度0g/dLに外挿して固有粘度を求めた。
(3)メルトフローレイト
JIS K 7210に従って、ポリプロピレンは、試験温度230℃、荷重2.16kgで測定し、エチレン−1−オクテン共重合体エラストマーは、試験温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
(4)密度
JIS K 7112 B法Iにて、23℃で測定。
(5)水分含有量
平沼産業(株)製微量水分測定装置AQ−2100及び自動加熱気化水分測定システムAQS−2110を用いてカールフィッシャー法にてペレット中の水分含有量を測定した。
(6)有機性アウトガス残留量
樹脂サンプル200mgを、表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去した内径4mmのガラスチューブ製の試料容器に入れ、100℃で60分加熱し、容器から出てきた気体を液体窒素で冷却した捕集管で連続的に捕集した。捕集した気体を、熱脱着ガスクロマトグラフィ質量分析計(GC部はアジレント社製6890シリーズ、MS部はアジレント社製5973)で分析し、有機性アウトガスの放出量を求めた。
(7)成形性
得られたペレットを、熱風乾燥機を用いて100℃で3時間乾燥したのち、射出成形機〔ファナック(株)、Roboshot α100〕を用いて、樹脂温度220℃、金型温度50℃にて射出成形を行い、100×150×1mmの板状成形体100枚を作製し、目視により外観不良の成形体を選別した。
(8)におい官能検査
38.5×28.5×深さ2.0cmのステンレス鋼製バット2個に、実施例1と比較例1で得られたペレットそれぞれ2.0kgを入れ、2台の小型乗用車の後部座席の中央に置き、9月1日午前9時から9月2日午後3時まで扉と窓を閉じて放置した。次いで、パネラー12名が、4名ずつ3組に分かれて交代で車の中に入り、感じたにおいを報告した。
実施例1
ポリプロピレン単独重合体(Q値4.0、〔η〕0.90dL/g)60重量部とエチレン−1−オクテン共重合体エラストマー(メルトフローレイト3g/10分、密度0.87g/cm3)20重量部を、ヘンシェルミキサーを用いて均一に予備混合し、二軸混練押出機(L/D=5、D=47mm)を用いて、混練押出を行った。
二軸混練押出機のシリンダーユニットは、Fig.1に示すように、前段から順に、サイドポート、前段の注水孔とベントポート、中段の注水孔とベントポート、後段の注水孔とベントポートを有する構成とした。
シリンダー温度200℃、スクリュー回転数150rpmとし、ホッパーから、ポリプロピレンとエラストマーの混合物を100kg/hで供給し、サイドポートから、タルク〔林化成(株)、MWHS−T〕を25kg/hで添加した。また、各注水孔から脱イオン水500mL/hを供給し、ベントポートはロータリーポンプにて減圧吸引し、圧力0.5kPaに保った。ノズルから溶融樹脂混合物を直径約4mmのストランド状に押し出し、ペレタイザーで長さ約4mmに切断してペレットを得た。
得られたペレットの有機性アウトガス含有量は42ppm(重量比)であり、水分含有量は3ppm(重量比)であった。100枚の成形体中に、外観不良の成形体が4枚あった。においの官能検査において、においを感じないパネラーが11名、不快なにおいとしたパネラーが1名であった。
比較例1
二軸混練押出機のシリンダーユニットを、Fig.2に示すように、前段から順に、前段の注水孔とベントポート、中段の注水孔とベントポート、後段の注水孔とベントポート、サイドポートを有する構成とし、注水を行わず、ベントポートを圧力0.5kPaに保ち、後段のベントポートの後段に設けたサイドポートからタルクを添加した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得た。
得られたペレットの有機性アウトガス含有量は360ppm(重量比)であり、水分含有量は21ppm(重量比)であった。100枚の成形体中に、外観不良の成形体が32枚あった。においの検査において、好ましいにおいとしたパネラーが2名、においを感じないパネラーが3名、不快なにおいとしたパネラーが7名であった。
実施例1及び比較例1の結果を、第1表に示す。
第1表に見られるように、溶融樹脂にタルクを添加したのち、溶融樹脂への注水と脱気を各3回ずつ繰り返した実施例1のペレットは、有機性アウトガス含有量、水分含有量ともに少なく、射出成形における成形体の外観不良もわずかしか発生せず、ペレットを乗用車内に放置したのちにも、においを感じないパネラーが多い。
これに対して、溶融樹脂への注水を行わず、脱気のみを3回繰り返したのち、溶融樹脂にタルクを添加した比較例1のペレットは、有機性アウトガス含有量、水分含有量ともに多く、射出成形において成形体の外観不良が多数発生し、ペレットを乗用車内に放置したのち、好ましいにおいと感じるパネラーも少数はいるが、過半数のパネラーは不快なにおいと感じている。
なお、実施例及び比較例において、樹脂の特性は下記の方法により測定した。
(1)分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフ〔東ソー(株)、HLC−8121GPC〕に、カラム〔昭和電工(株)、Shodex 80MA〕2本を装着した。ポリマー濃度0.2重量%のo−ジクロルベンゼン溶液300μLを注入し、移動相o−ジクロルベンゼン、流量1mL/分、温度135℃で分離した。
標準ポリスチレン〔東ソー(株)〕を用いて溶出体積と分子量の関係を示す検量線を作成し、クロマトグラムより試料のポリスチレン換算の重量平均分子量、数平均分子量を求め、Q値を重量平均分子量/数平均分子量により算出した。
(2)固有粘度
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dL、0.2g/dL及び0.5g/dLのテトラリン溶液について135℃で還元粘度を測定し、濃度0g/dLに外挿して固有粘度を求めた。
(3)メルトフローレイト
JIS K 7210に従って、ポリプロピレンは、試験温度230℃、荷重2.16kgで測定し、エチレン−1−オクテン共重合体エラストマーは、試験温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
(4)密度
JIS K 7112 B法Iにて、23℃で測定。
(5)水分含有量
平沼産業(株)製微量水分測定装置AQ−2100及び自動加熱気化水分測定システムAQS−2110を用いてカールフィッシャー法にてペレット中の水分含有量を測定した。
(6)有機性アウトガス残留量
樹脂サンプル200mgを、表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去した内径4mmのガラスチューブ製の試料容器に入れ、100℃で60分加熱し、容器から出てきた気体を液体窒素で冷却した捕集管で連続的に捕集した。捕集した気体を、熱脱着ガスクロマトグラフィ質量分析計(GC部はアジレント社製6890シリーズ、MS部はアジレント社製5973)で分析し、有機性アウトガスの放出量を求めた。
(7)成形性
得られたペレットを、熱風乾燥機を用いて100℃で3時間乾燥したのち、射出成形機〔ファナック(株)、Roboshot α100〕を用いて、樹脂温度220℃、金型温度50℃にて射出成形を行い、100×150×1mmの板状成形体100枚を作製し、目視により外観不良の成形体を選別した。
(8)におい官能検査
38.5×28.5×深さ2.0cmのステンレス鋼製バット2個に、実施例1と比較例1で得られたペレットそれぞれ2.0kgを入れ、2台の小型乗用車の後部座席の中央に置き、9月1日午前9時から9月2日午後3時まで扉と窓を閉じて放置した。次いで、パネラー12名が、4名ずつ3組に分かれて交代で車の中に入り、感じたにおいを報告した。
実施例1
ポリプロピレン単独重合体(Q値4.0、〔η〕0.90dL/g)60重量部とエチレン−1−オクテン共重合体エラストマー(メルトフローレイト3g/10分、密度0.87g/cm3)20重量部を、ヘンシェルミキサーを用いて均一に予備混合し、二軸混練押出機(L/D=5、D=47mm)を用いて、混練押出を行った。
二軸混練押出機のシリンダーユニットは、Fig.1に示すように、前段から順に、サイドポート、前段の注水孔とベントポート、中段の注水孔とベントポート、後段の注水孔とベントポートを有する構成とした。
シリンダー温度200℃、スクリュー回転数150rpmとし、ホッパーから、ポリプロピレンとエラストマーの混合物を100kg/hで供給し、サイドポートから、タルク〔林化成(株)、MWHS−T〕を25kg/hで添加した。また、各注水孔から脱イオン水500mL/hを供給し、ベントポートはロータリーポンプにて減圧吸引し、圧力0.5kPaに保った。ノズルから溶融樹脂混合物を直径約4mmのストランド状に押し出し、ペレタイザーで長さ約4mmに切断してペレットを得た。
得られたペレットの有機性アウトガス含有量は42ppm(重量比)であり、水分含有量は3ppm(重量比)であった。100枚の成形体中に、外観不良の成形体が4枚あった。においの官能検査において、においを感じないパネラーが11名、不快なにおいとしたパネラーが1名であった。
比較例1
二軸混練押出機のシリンダーユニットを、Fig.2に示すように、前段から順に、前段の注水孔とベントポート、中段の注水孔とベントポート、後段の注水孔とベントポート、サイドポートを有する構成とし、注水を行わず、ベントポートを圧力0.5kPaに保ち、後段のベントポートの後段に設けたサイドポートからタルクを添加した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得た。
得られたペレットの有機性アウトガス含有量は360ppm(重量比)であり、水分含有量は21ppm(重量比)であった。100枚の成形体中に、外観不良の成形体が32枚あった。においの検査において、好ましいにおいとしたパネラーが2名、においを感じないパネラーが3名、不快なにおいとしたパネラーが7名であった。
実施例1及び比較例1の結果を、第1表に示す。
これに対して、溶融樹脂への注水を行わず、脱気のみを3回繰り返したのち、溶融樹脂にタルクを添加した比較例1のペレットは、有機性アウトガス含有量、水分含有量ともに多く、射出成形において成形体の外観不良が多数発生し、ペレットを乗用車内に放置したのち、好ましいにおいと感じるパネラーも少数はいるが、過半数のパネラーは不快なにおいと感じている。
本発明の低アウトガス樹脂組成物は、有機性アウトガス含有量と水分含有量がともに少ないので、成形品にシルバーストリーク、フクレなどの外観不良が発生するおそれがなく、製品の歩留まりが向上し、作業環境も良好となる。本発明方法によれば、二軸押出機でポリオレフィンとオレフィン系熱可塑性エラストマーを混練しつつ、ベントポートの前段に設けたサイドポートから無機充填剤を供給し、注水孔より水を供給し、ベントポートから有機性揮発分と水分を同時に脱気により除去するので、無機充填剤により持ち込まれた吸着水分も効果的に除去することができる。本発明方法によれば、成形材料のコンパウンド化と同時に揮発性成分を除去することができ、成形材料の大量生産が可能である。本発明の低アウトガス樹脂組成物は、成形品、とりわけ自動車内装材の成形材料として特に好適に用いることができる。
Claims (5)
- 樹脂成分としてポリオレフィン20〜90重量%とオレフィン系熱可塑性エラストマー10〜80重量%とを含有し、樹脂成分100重量部あたり無機充填剤5〜50重量部を含有する樹脂組成物において、有機性アウトガス含有量が100ppm(重量比)以下であり、水分含有量が10ppm(重量比)以下であることを特徴とする低アウトガス樹脂組成物。
- ポリオレフィン及びオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる樹脂成分並びに無機充填剤を含有する低アウトガス樹脂組成物の製造方法において、バレルに注水孔、ベントポート及びこれの前段に設けたサイドポートを有する二軸押出機を用い、前記樹脂成分をバレル内で混練しつつ、前記サイドポートから無機充填剤を供給し、前記注水孔より水を供給し、前記ベントポートから脱気する操作を行うことを特徴とする低アウトガス樹脂組成物の製造方法。
- 請求の範囲1記載の低アウトガス樹脂組成物を成形してなる成形品。
- 請求の範囲1記載の低アウトガス樹脂組成物を成形してなる自動車内装材。
- 請求の範囲1記載の低アウトガス樹脂組成物を成形することを特徴とする自動車内装材の製造方法。
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