JP3797705B2 - ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法に関する。更に詳しくは、塩素化合物の含有量の極めて少ないポリカーボネート樹脂成形品、特に成形時に用いる金型の腐食や、光ディスクや磁気ディスク等の記録膜の腐食の極めて少ないポリカーボネート樹脂のペレット等の成形品で、且つ射出成形等に必要な離型剤、ポリカーボネート樹脂の熱劣化や変色等を防止する安定剤、成形品の光劣化性を改善する耐候剤等を必要量含有するポリカーボネート樹脂成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は透明性、耐熱性、耐衝撃性等に優れていることから射出成形、圧縮成形、押出成形、回転成形等によって溶融成形され、家電製品、日用品、光ディスク等多くの用途に供されている。かかるポリカーボネート樹脂、特に二価フェノールとホスゲンを塩化メチレンの存在下反応させるいわゆる界面重合法によって製造されたポリカーボネート樹脂は、僅かではあるが塩化メチレンや未反応残基であるクロロホーメート基を有する化合物等の塩素化合物を含有しており、これらの塩素化合物は溶融成形時に分解して酸性物質を発生し、金型腐食や、光学ディスクや磁気ディスク等の記録膜腐食の原因になる。特に近年、成形サイクル短縮化により金型腐食の問題が大きく取りざたされている。また、光学ディスクや磁気ディスク等の記録膜も高密度に移り変わってきており、記録膜の腐食は大きな問題となる。
【0003】
一方、溶融押出時に水を添加してポリカーボネート樹脂中の不純物を除去する方法が提案されている。特公平5−48162号公報には、塩化メチレン溶液から分離回収されたポリカーボネート樹脂粉末に、少量の水を添加してベント付き押出機で押出す方法が提案されている。また、特公平7−2364号公報には1つ以上の減圧ベント付き押出機を用いて、圧縮溶融部から最遠のベント口までの間で、ポリカーボネート樹脂100重量部当り0.1〜5重量部の水を注入することが提案されている。しかしながら、これらの方法はポリカーボネート樹脂中の不純物や塩素化合物をある程度除去できるものの、金型腐食や記録膜腐食を抑制するほどの効果は得られていない。本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討した結果、ベントの直前より水を注入添加することのできる機能を2箇所以上有する多段ベント付き二軸押出機を用いて、2箇所以上から水を注入添加し、各ベントで脱気しながらポリカーボネート樹脂成形品を製造することで、ポリカーボネート樹脂中に含まれる塩素化合物が、塩素原子に換算して5ppm 以下になり、残存塩素化合物による上記問題を解消できることを究明し、先に提案した(特願平8−6490号公報)。しかしながら、この方法では、押出前に予めポリカーボネート樹脂に添加した低沸点の安定剤、成形時に必要な離型剤、耐候性に必要な耐候剤等も同時に除去され、これら添加剤の必要な量をポリカーボネート樹脂成形品中に含有させるのが困難であった。また、除去されることを予想して添加剤の添加量を多量に添加しても残存率が低下するだけで、必要な添加剤の量をポリカーボネート樹脂中に含有させるのが困難であった。これらの添加剤が必要量含有されていないと、射出成形時に変色したり、金型からの離型性の悪化による成形不良が発生したり、耐候剤が少ないと、耐候性の必要な用途に適さなくなる等の種々の問題が発生するようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、塩素化合物の含有量が極めて少なく、また未反応の二価フェノール等が極めて少なく、且つ必要量の添加剤(安定剤、離型剤、耐候剤等)を含有するポリカーボネート樹脂成形品の製造法を提供するにある。なお、ここでいう成形品とは押出成形品全般を指し、ペレット等の成形材料も含む。
【0005】
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討した結果、多段ベント付き二軸押出機を用いて、2箇所以上のベントの直前より水を注入添加し、各ベントで脱気しながらポリカーボネート樹脂を溶融押出す際に、最後の水注入直後のベント位置よりノズルに近い位置で添加剤を添加すれば、上記課題を達成し得ることを見出した。この知見に基いて更に検討を重ねた結果本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ベントの直前に水を注入添加する機能をもつ箇所を2以上有する多段ベント付き二軸押出機を用いて、2箇所以上から水を注入添加すると共に、ベントで脱気しながらポリカーボネート樹脂を溶融押出し、且つベント位置に相当するスクリュー部分の空間容積におけるポリカーボネート樹脂充填量が20体積%以下であり、さらに押出ノズルに最も近い水注入添加位置直後のベントよりノズルに近い位置で添加剤を添加することを特徴とするポリカーボネート樹脂成形品の製造方法である。
【0007】
本発明のポリカーボネート樹脂は、通常2価フェノールとカーボネート前駆体との溶液法あるいは溶融法で反応せしめて製造される。これらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
【0008】
ポリカーボネート樹脂を製造する界面重合法を簡単に説明する。カーボネート前駆体としてホスゲンを用いる界面重合法では、通常酸結合剤及び有機溶媒の存在下で反応させる。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物又はピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては例えば塩化メチレンやクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第3級アミンや第4級アンモニウム塩等の触媒を用いることができ、分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノールのようなアルキル置換フェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反応中のpHは10以上に保つのが好ましい。
【0009】
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応(溶融法)は、不活性ガス雰囲気下所定割合の二価フェノール成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等が挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。ここで用いる二価フェノールとしては、例えばハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(通称ビスフェノールZ)、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3′−ジメチル−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルオキシド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等があげられる。なかでも改善効果が大きい点でビスフェノールA、ビスフェノールZ、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタンが好ましい。これらは単独で用いても、二種以上併用してもよい。また、少量の三官能化合物を分岐剤として用いても、脂肪族二官能性化合物を少量共重合してもよい。
【0010】
本発明で多段ベント付き二軸押出機に供給されるポリカーボネート樹脂の形状は、溶融した樹脂状態であってもよく、また粉末状、微粒状、フレーク状またはペレット状のものであってもよいが、好ましくは粉末状、微粒状またはフレーク状のものである。
【0011】
本発明で対象とするポリカーボネート樹脂としては、二価フェノールとホスゲンとの反応によって得られる芳香族ポリカーボネート樹脂であり、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエチレン、クロロホルム等の塩素系有機溶媒の溶液から、分離回収された粉末状、微粒状又はフレーク状のもので、且つ塩素化合物が塩素原子に換算して5〜2,000ppm 含有するものが好ましい。更に好ましくは5〜1,500ppm である。塩素原子が5ppm 未満のポリカーボネート樹脂では本発明を適用する必要性が小さく、2,000ppm を超えると本発明を適用しても塩素原子に換算して5ppm 以下を達成することが困難になり、本発明の目的を達成できない。かかる塩素化合物を含有するポリカーボネート樹脂は、任意の方法で製造したものであってもよいが、界面重合法によって製造されるポリカーボネート樹脂は、僅かではあるが塩化メチレンや未反応残基であるクロロホーメート基を有する化合物等の塩素化合物を含有しており、本発明の対象とするに好ましい。
【0012】
本発明で用いる添加剤は、ポリカーボネート樹脂に添加される任意の添加剤であり、例えばリン酸エステル系化合物、亜リン酸エステル系化合物、フェノール系化合物等に代表される安定剤、脂肪酸エステル系やシリコン系等に代表される離型剤、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系に代表される耐候剤、アルキルスルフォン酸塩やポリオキシエチレンアルキルエーテル等に代表される帯電防止剤、染料、顔料等の着色剤、難燃剤等を挙げることができる。
【0013】
特に、水を注入添加すると共にベントで脱気しながらポリカーボネート樹脂を溶融押出す本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法で、昇華や蒸発しやすい添加剤を用いる場合、系外への逃散を防止できるので好ましい。
【0014】
本発明で用いる多段ベント付き二軸押出機は、ベントの数が2箇所以上必要である。好ましくは2〜6箇所である。また水を注入添加する箇所はベントの数より少なくてもよいが2箇所以上必要であり、好ましくは2〜6箇所である。ベントの数及び水注入箇所が1箇所では得られたポリカーボネート樹脂成形品中に残存塩素が多く、またあまりベント数が多くなりすぎると押出機のL/Dが長くなるため樹脂のヤケ等の悪影響が発生し易くなる。ベント直前の水注入添加箇所は各ベントに設置する必要はなく、必要に応じて2箇所以上の水注入添加位置を決定すればよい。
【0015】
水の注入添加量は、あまりに少ないと水注入添加の効果が発現せず、ポリカーボネート樹脂中の塩素化合物が、塩素原子に換算して5ppm 以下になり難く、またあまりに多くなるとベント部における脱気が不十分になりポリカーボネート樹脂に対し加水分解等の悪影響を及ぼすようになるので、各注入添加位置における水注入添加量を供給ポリカーボネート樹脂100重量部当り0.2〜4重量部にするのが好ましい。
【0016】
添加剤を添加する箇所は、押出ノズルに最も近い水注入添加位置直後のベントよりノズルに近い位置にする必要がある。かかる位置で添加することにより、添加剤の逃散を著しく防止することができる。添加剤を添加した後に水を注入添加しないベントであればあってもよい。添加剤を添加する箇所は1〜3箇所が適当である。添加剤は一種であっても複数種あってもよく、複数種あるときは別々に添加しても、混合して添加してもよい。固体の添加剤は、サイドフィーダー等を用いてシリンダー内に強制的に送り込んでもよいし、シリンダーの開口部より添加してもよく、また加熱溶融して注入ポンプによりシリンダー内に強制的に送り込んでもよい。液体の添加剤は、注入ポンプによりシリンダー内に強制的に送り込んでもよいし、シリンダーの開口部より添加してもよい。添加剤の添加量は、押出後のポリカーボネート樹脂中に必要量残存するように決定すればよい。
【0017】
多段ベント付き二軸押出機の各ベント部におけるポリカーボネート樹脂の充填量は、あまりに多いと脱気効率が悪くなり、得られるポリカーボネート樹脂中の塩素化合物が、塩素原子に換算して5ppm 以下になり難く、目標のポリカーボネート樹脂が得られ難くなるので、20体積%以下に調整するのが好ましい。各ベントの真空度は、50Torr以下にするのが好ましい。更に好ましくは30Torr以下である。真空度が十分でないと、注入添加した水がベント部で十分に除去されず、ポリカーボネート樹脂に加水分解等の悪影響を及ぼすようになるので好ましくない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に実施例をあげて本発明を更に説明する。なお、実施例中の部は重量部であり、%は特にことわらないかぎり重量%を示す。評価は下記の方法によった。
(1)樹脂充填率(体積%):各条件にて押出が定常状態になった後原料供給及びスクリューを同時に停止し、スクリューをシリンダーより抜き取ってベント部に相当する部分に滞留している樹脂の重量より樹脂充填率を計算した。
【0019】
(2)樹脂温度(℃):押出機のノズルより押出された溶融樹脂の温度を、横河(株)製デジタルポケット型温度計を用いて測定した。
【0020】
(3)金型腐食:炭素鋼(S50C)製の金型を使用し、各例で得た乾燥ペレットを、射出成形機[東芝機械(株)製IS−150EN]により、シリンダー温度300℃、金型温度50℃、成形サイクル20秒で縦70mm、横50mm、厚み2mmの平板を800枚連続成形し、使用済み金型を50℃×90%RH中で2時間放置した時の金型表面の状態を目視観察した。評価の指数は、錆なしを0、点状の錆を1、部分的に赤褐色の錆を2、全面に赤褐色の錆を3とした。
【0021】
(4)塩素原子量:試料を完全燃焼させ、生成した塩化水素(HCl)を電量的に発生させた銀イオン(Ag+)で滴定し定量した。
【0022】
(5)比粘度(ηsp):塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7g を溶解して20℃で測定した。
【0023】
(6)安定剤残存率(%):蛍光X線分析法でリン含有量を定量し、仕込量から残存率を求めた。
【0024】
(7)離型剤残存率(%):試料10g をヒドラジン・一水和物中で100℃×2時間加熱してポリカーボネート樹脂を分解した後濾過残を定量し、仕込量から残存率を求めた。
【0025】
(8)耐候剤残存率(%):UV分光光度計を用い、0.45 g/リットルの塩化メチレン溶液に調整したポリカーボネート樹脂と耐候剤の塩化メチレン溶液から検量線を作成し、押出後のポリカーボネート樹脂成形品中の耐候剤残存率を求めた。
【0026】
[実施例1〜5及び比較例1〜6]
ベント数が4箇所(ホッパーに近いベントからV1、V2、V3、V4という)でベントV1、V2、V3夫々の直前に水注入添加箇所(ホッパーに近い水注入添加箇所からW1、W2、W3という)及びベントV3とV4の間に添加剤の注入添加箇所を設けたスクリュー径46mmφの二軸押出機[(株)神戸製鋼所製HYPERKTX−46]により、表1記載の原料樹脂及び添加剤を供給し、表1記載の押出条件でストランド状に押出し、カットしてペレットを製造した。評価結果を表2に示した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
表1における原料樹脂及び添加剤の記号は下記のものを示す。
【0030】
原料樹脂A:ビスフェノールAとホスゲンを塩化メチレン中で常法により反応させて得た比粘度が0.285で、塩素原子として410ppm の塩素化合物を含有するポリカーボネート樹脂。
【0031】
原料樹脂B:ビスフェノールAとホスゲンを塩化メチレン中で常法により反応させて得た比粘度が0.285で、塩素原子として1480ppm の塩素化合物を
含有するポリカーボネート樹脂。
【0032】
添加剤A:供給ポリカーボネート樹脂に対して50ppm のトリメチルホスフェート(安定剤)、500ppm のグリセリンモノステアレート(離型剤)、3,000ppm の2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(耐候剤)の混合物。
【0033】
添加剤B:供給ポリカーボネート樹脂に対して300ppm のトリメチルホスフェート(安定剤)、3,000ppm のグリセリンモノステアレート(離型剤)、5,000ppm の2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(耐候剤)の混合物。
【0034】
添加剤C:供給ポリカーボネート樹脂に対して50ppm のトリメチルホスフェート(安定剤)、500ppm のグリセリンモノステアレート(離型剤)、3,000ppm の2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(耐候剤)の混合物。
【0035】
添加剤D:供給ポリカーボネート樹脂に対して300ppm のトリメチルホスフェート(安定剤)、3,000ppm のグリセリンモノステアレート(離型剤)、5,000ppm の2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(耐候剤)の混合物。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、溶融成形の際の金型腐食の発生が極めて少なく且つ必要量の添加剤を含有するポリカーボネート樹脂成形品を極めて容易に製造することができ、その奏する効果は格別なものである。
【0037】
以上原料としてホスゲンを用いる溶液法について説明したが、例えば二価フェノールとジフェニルカーボネートを原料としたエステル交換法によるポリカーボネート樹脂を溶融状態で押出す際に、本発明を適用すれば、樹脂中に混入している未反応の二価フェノール、未反応のジフェニルカーボネートやフェノールを極めて容易に除去して、熱安定性、色相安定性や耐加水分解性を改善することができ、この場合も当然必要量の添加剤を含有するポリカーボネート樹脂成形品を製造することができる等、溶液法によって得たポリカーボネートに対すると同様に、優れた効果を奏することができる。
Claims (6)
- ベントの直前に水を注入添加する機能をもつ箇所を2以上有する多段ベント付き二軸押出機を用いて、2箇所以上から水を注入添加すると共に、ベントで脱気しながらポリカーボネート樹脂を溶融押出し、且つベント位置に相当するスクリュー部分の空間容積におけるポリカーボネート樹脂充填量が20体積%以下であり、さらに押出ノズルに最も近い水注入添加位置直後のベントよりノズルに近い位置で添加剤を添加することを特徴とするポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
- 多段ベント付き二軸押出機のベント数が2〜6であり、水を注入添加する箇所が2〜6である請求項1記載のポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
- 各水注入添加箇所における水注入添加量が、供給ポリカーボネート樹脂100重量部当り0.2〜4重量部である請求項1又は請求項2記載のポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
- 添加剤を添加する箇所が、1〜3箇所である請求項1〜3のいずれか1項記載のポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
- 各ベントの真空度が、50Torr以下である請求項1〜4のいずれか1項記載のポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
- ポリカーボネート樹脂成形品中の添加剤の残存量が、添加した添加剤量の10重量%以上である請求項1〜5のいずれか1項記載のポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
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