JP2007038228A - はんだ合金 - Google Patents
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Abstract
【課題】貴金属導体であるAgめっきの食われを防止する鉛フリーはんだ合金を提供する。
【解決手段】Sn−Cuはんだ合金にPdを添加することで、プリント配線基板に用いられているAgの食われを防止することができる。また、はんだ付を行う基板や部品によっては、接合強度が十分ではないが、Ag、Ni、Fe、Coの少なくとも一種以上が添加されると、機械的特性が改善され、はんだ付部に十分な接合強度を与えることが可能となる。さらに、P、Ga、Geの少なくとも一種以上が添加されると、はんだ合金の酸化が改善され、フローソルダリング時に発生するドロスを大幅に抑制することが可能となる。
【選択図】なし
Description
本発明は、Ag食われを防止するはんだ合金に関する。
従来、Pbをほとんど含まない、いわゆる鉛フリーはんだ合金としてSn-Cuはんだ合金やSn−Ag−Cuはんだ合金(特許3027441号公報)(特許文献1)が広く用いられている。
特許3027441号公報
そこで、本発明は、貴金属導体であるAgめっきの食われを防止する鉛フリーはんだ合金を提供する。
上記目的を達成するために、本発明のはんだ合金は、Cuが0.1〜3.0重量%、Pdが0.001〜1.0重量%、残部がSnおよび不可避不純物より成ることを特徴とする。
さらに、本発明のはんだ合金は、Agが0.1〜5.0重量%、Niが0.01〜0.5重量%、Feが0.01〜0.1重量%、Coが0.01〜0.1重量%の少なくとも一種以上が前記はんだ合金に添加される。
さらに、本発明のはんだ合金は、Pが0.001〜0.1重量%、Gaが0.001〜0.1重量%、Geが0.001〜0.1重量%の少なくとも一種以上が前記はんだ合金に添加される。
さらに、本発明のはんだ合金は、Agが0.1〜5.0重量%、Niが0.01〜0.5重量%、Feが0.01〜0.1重量%、Coが0.01〜0.1重量%の少なくとも一種以上が前記はんだ合金に添加される。
さらに、本発明のはんだ合金は、Pが0.001〜0.1重量%、Gaが0.001〜0.1重量%、Geが0.001〜0.1重量%の少なくとも一種以上が前記はんだ合金に添加される。
本発明によれば、鉛フリーはんだ合金であるSn−Cuはんだ合金に所定の濃度のPdを添加することで、はんだ付時に貴金属導体として電子部品に用いられているAgめっきの食われを防止することができる。
PdはAgと全率固溶体を形成することが知られており、はんだ付時に、はんだ中に拡散するAgをPdがバリヤーする働きを持っているものと考えられる。
Pdの添加量が0.001重量%未満であると、Agの食われ防止効果はほとんどない。
また、Pdの添加量が1.0重量%超であると、はんだ合金中にSn−Pdの金属間化合物が多量に形成される場合があり、強度低下の原因となりうるために好ましくない。
さらに、本発明によれば、はんだ付を行う基板や部品によっては、接合強度が十分ではないが、Agが0.1〜5.0重量%、Niが0.01〜0.5重量%、Feが0.01〜0.1重量%、Coが0.01〜0.1重量%の少なくとも一種以上が添加されると、機械的特性が改善され、はんだ付部に十分な接合強度を与えることが可能となる。
Agが0.1重量%未満、Niが0.01重量%未満、Feが0.01重量%未満、Coが0.01重量%未満であるとはんだ付部の接合強度の改善にはほとんど効果はない。
また、Agが5.0重量%超、Niが0.5重量%超、Feが0.1重量%超、Coが0.1重量%超であると、はんだ合金の液相線温度の上昇、およびはんだ合金の流動性の低下が見られ、はんだ付性の低下を招いてしまうために不適である。
さらに、本発明によれば、Pが0.001〜0.1重量%、Gaが0.001〜0.1重量%、Geが0.001〜0.1重量%の少なくとも一種以上が添加されると、はんだ合金の酸化が改善され、特にフローソルダリング時に発生するドロスと呼ばれる酸化物を大幅に抑制することが可能となる。
Pが0.001重量%未満、Gaが0.001重量%未満、Geが0.001重量%未満であるとはんだ合金の酸化抑制効果はほとんど見られない。
Pが0.1重量%超、Gaが0.1重量%超、Geが0.1重量%超であると、はんだ合金が脆くなり、接合強度の低下の原因となりうるため好ましくない。
PdはAgと全率固溶体を形成することが知られており、はんだ付時に、はんだ中に拡散するAgをPdがバリヤーする働きを持っているものと考えられる。
Pdの添加量が0.001重量%未満であると、Agの食われ防止効果はほとんどない。
また、Pdの添加量が1.0重量%超であると、はんだ合金中にSn−Pdの金属間化合物が多量に形成される場合があり、強度低下の原因となりうるために好ましくない。
さらに、本発明によれば、はんだ付を行う基板や部品によっては、接合強度が十分ではないが、Agが0.1〜5.0重量%、Niが0.01〜0.5重量%、Feが0.01〜0.1重量%、Coが0.01〜0.1重量%の少なくとも一種以上が添加されると、機械的特性が改善され、はんだ付部に十分な接合強度を与えることが可能となる。
Agが0.1重量%未満、Niが0.01重量%未満、Feが0.01重量%未満、Coが0.01重量%未満であるとはんだ付部の接合強度の改善にはほとんど効果はない。
また、Agが5.0重量%超、Niが0.5重量%超、Feが0.1重量%超、Coが0.1重量%超であると、はんだ合金の液相線温度の上昇、およびはんだ合金の流動性の低下が見られ、はんだ付性の低下を招いてしまうために不適である。
さらに、本発明によれば、Pが0.001〜0.1重量%、Gaが0.001〜0.1重量%、Geが0.001〜0.1重量%の少なくとも一種以上が添加されると、はんだ合金の酸化が改善され、特にフローソルダリング時に発生するドロスと呼ばれる酸化物を大幅に抑制することが可能となる。
Pが0.001重量%未満、Gaが0.001重量%未満、Geが0.001重量%未満であるとはんだ合金の酸化抑制効果はほとんど見られない。
Pが0.1重量%超、Gaが0.1重量%超、Geが0.1重量%超であると、はんだ合金が脆くなり、接合強度の低下の原因となりうるため好ましくない。
以下、本発明を、その実施例に基づいて説明する。
Sn−CuはんだにPdを同時に添加したはんだ合金を用いて、Ag食われ試験を実施した。Cuが、0.1重量%、0.5重量%、0.7重量%、1.0重量%、3.0重量%、Pdが、0.001重量%、0.01重量%、1.0重量%含有し、残部がSnおよび不可避不純物よりからなるはんだ合金を作製した。350℃で溶融させたはんだ合金にAgめっき線(線径2.0mm)を2秒間浸漬させ、浸漬前後のAgめっき線の断面積変化率から残存率を算出することで評価を行った。このときの試験結果を表1に示す。
Sn−CuはんだにPdを同時に添加したはんだ合金を用いて、Ag食われ試験を実施した。Cuが、0.1重量%、0.5重量%、0.7重量%、1.0重量%、3.0重量%、Pdが、0.001重量%、0.01重量%、1.0重量%含有し、残部がSnおよび不可避不純物よりからなるはんだ合金を作製した。350℃で溶融させたはんだ合金にAgめっき線(線径2.0mm)を2秒間浸漬させ、浸漬前後のAgめっき線の断面積変化率から残存率を算出することで評価を行った。このときの試験結果を表1に示す。
Sn−Cuはんだ合金にPdを添加したはんだ合金のAgめっきの残存率は、Pdを添加していないはんだ合金と比較し、約30%増加することが確認された。
以上の結果、Cuが0.1〜3.0重量%以下、Pdが0.001〜1.0重量%以下、および残部がSnおよび不可避不純物よりなることを特徴とするはんだ合金は、はんだ付時のAgめっきの食われを大きく抑制できることが明らかとなった。
以上の結果、Cuが0.1〜3.0重量%以下、Pdが0.001〜1.0重量%以下、および残部がSnおよび不可避不純物よりなることを特徴とするはんだ合金は、はんだ付時のAgめっきの食われを大きく抑制できることが明らかとなった。
Sn、Cu、Pdの元素を添加した上途のはんだ合金に、機械的特性改善元素を添加した、はんだ合金の機械的特性を調査するために、はんだ付部の接合強度試験を実施した。Cuが、0.5重量%、0.7重量%、2.0重量%、3.0重量%、Pdが、0.01重量%、1.0重量%、Agが0.3重量%、3.0重量%、4.0重量%、5.0重量%、Niが、0.1重量%、0.5重量%、Feが0.01重量%、0.03重量%、0.1重量%、Coが0.01重量%、0.1重量%含有し、残部がSnおよび不可避不純物よりからなるはんだ合金を作製した。
片面基板(材質:紙フェノール、厚さ:1.6mm、銅パターン、ランド外径:3.5mm)にφ1.6mmのCu線のピンを差し込み、液状フラックスを用いてはんだ付を行い、熱応力を除去するために100℃恒温槽において1時間放置後、引張試験機を用いて最大接合強度を測定し、はんだ付部の機械的特性を評価した。このときの試験結果を表2、表3に示す。
片面基板(材質:紙フェノール、厚さ:1.6mm、銅パターン、ランド外径:3.5mm)にφ1.6mmのCu線のピンを差し込み、液状フラックスを用いてはんだ付を行い、熱応力を除去するために100℃恒温槽において1時間放置後、引張試験機を用いて最大接合強度を測定し、はんだ付部の機械的特性を評価した。このときの試験結果を表2、表3に示す。
機械的特性改善元素であるAg、Ni、Fe、およびCoを添加したはんだ合金は、機械的特性改善元素を添加していないはんだ合金と比較して、最大接合強度が約15〜30%上昇した。
以上の結果、電子部品のAgめっきの食われを防止するはんだ合金に、Agが0.1〜5.0重量%、Niが0.1〜0.5重量%、Feが0.01〜0.1重量%、Coが0.01〜0.1重量%の少なくとも一種以上が添加することにより、はんだ付部に十分な機械的特性を与えることが明らかとなった。
以上の結果、電子部品のAgめっきの食われを防止するはんだ合金に、Agが0.1〜5.0重量%、Niが0.1〜0.5重量%、Feが0.01〜0.1重量%、Coが0.01〜0.1重量%の少なくとも一種以上が添加することにより、はんだ付部に十分な機械的特性を与えることが明らかとなった。
Sn、Cu、Pdの元素を添加した上途のはんだ合金に、酸化防止元素を添加した、はんだ合金の酸化防止効果を確認するために、ドロス(酸化物)発生試験を実施した。Cuが、0.5重量%、0.7重量%、2.0重量%、3.0重量%、Pdが、0.01重量%、1.0重量%、Agが0.3重量%、3.0重量%、4.0重量%、5.0重量%、Niが、0.1重量%、0.5重量%、Feが0.01重量%、0.03重量%、0.1重量%、Coが0.01重量%、0.1重量%、Pが、0.001重量%、0.01重量%、0.1重量%、Gaが0.001重量%、0.01重量%、0.1重量%、Geが0.001重量%、0.01重量%、0.1重量%含有し、残部がSnおよび不可避不純物よりからなるはんだ合金を作製した。
噴流はんだ槽においてはんだ合金10Kgを8時間噴流させ、発生したドロスを取り出し、秤量を行った。試験温度は350℃、はんだ合金1Kgあたりのドロス発生量を測定することで評価を行った。ドロス発生試験の結果を表4、表5に示す。
噴流はんだ槽においてはんだ合金10Kgを8時間噴流させ、発生したドロスを取り出し、秤量を行った。試験温度は350℃、はんだ合金1Kgあたりのドロス発生量を測定することで評価を行った。ドロス発生試験の結果を表4、表5に示す。
酸化防止元素である、P、Ga、およびGeを添加したはんだ合金は、酸化防止元素を添加していないはんだ合金と比較して、1時間あたりのドロス発生量が約50%減少した。
以上の結果、電子部品のAgめっきの食われを防止するはんだ合金に、Pが0.001〜0.1重量%、Gaが0.001〜0.1重量%、Geが0.001〜0.1重量%の少なくとも一種以上が添加することにより、はんだ合金の酸化を大きく抑制できることが明らかとなった。
以上の結果、電子部品のAgめっきの食われを防止するはんだ合金に、Pが0.001〜0.1重量%、Gaが0.001〜0.1重量%、Geが0.001〜0.1重量%の少なくとも一種以上が添加することにより、はんだ合金の酸化を大きく抑制できることが明らかとなった。
本発明は、主に、電子部品のAgめっきの食われを防止する際に使用する鉛フリーはんだ合金であり、やに入り糸はんだ、ソルダーペースト、棒はんだ、および線状はんだとして使用される。
Claims (3)
- Cuが0.1〜3.0重量%、Pdが0.001〜1.0重量%、残部がSnおよび不可避不純物より成ることを特徴とするはんだ合金。
- Agが0.1〜5.0重量%、Niが0.01〜0.5重量%、Feが0.01〜0.1重量%、Coが0.01〜0.1重量%の少なくとも一種以上が添加される請求項1記載のはんだ合金。
- Pが0.001〜0.1重量%、Gaが0.001〜0.1重量%、Geが0.001〜0.1重量%の少なくとも一種以上が添加される請求項1または2記載のはんだ合金。
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