JP2007033343A - 偏心測定方法、偏心測定装置、非球面単レンズの製造方法、非球面単レンズ及び光学機器 - Google Patents

偏心測定方法、偏心測定装置、非球面単レンズの製造方法、非球面単レンズ及び光学機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡便な構成の偏心測定装置を用いて、短時間で、かつ、高精度に、非球面単レンズにおける面間ティルト量及び面間シフト量を分離して測定することができる偏心測定方法を提供する。
【解決手段】 非球面単レンズ1、または、非球面単レンズ1及び補正レンズ2からなる光学系のコマ収差を測定し、測定されたコマ収差の値に基づいて第1面R1と第2面R2との間の相互の面間ティルト量及び/又は面間シフト量を算出する。コマ収差の値としては、3次コマ収差及び/又は5次コマ収差の成分を用いる。コマ収差の測定は、干渉法を用いて行うことができる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、少なくとも一方が非球面となされた非球面単レンズの面間偏心を測定する偏心測定方法及び偏心測定装置に関する。
また、本発明は、非球面単レンズの製造方法、非球面単レンズ及びこの非球面単レンズを用いて構成された光学機器に関する。
近年、種々の撮像光学系や光学ピックアップ装置、光通信機器、カメラ付き携帯機器などの光学機器において用いられる光学レンズは、撮像素子の画素数の増大や、記録媒体における記録密度の増大などによって、要求される光学性能及び形状精度が益々高くなってきている。そのため、このような光学レンズとしては、少なくとも一方の面が非球面となされた非球面単レンズが使用されている。
少なくとも一方の面が非球面となされた非球面単レンズは、生産効率や製造コストの点で、精密モールドプレス成形により製造することが好ましい。しかし、精密モールドプレス成形においては、成形型において対向する一対の成形面をそれぞれレンズ素材に転写することにより、非球面単レンズの第1面と第2面とを成形するので、成形装置の精度に起因して、第1面と第2面との相互の面間ティルトや面間シフトが生じることを完全には避けられない。
したがって、精度指標としてこれら面間ティルト量や面間シフト量を管理することにより、成形装置の精度を維持しなければ、十分な光学性能の非球面単レンズを安定して製造することができない。
図7は、y−z平面において非球面単レンズの面間シフト量及び面間ティルト量について説明する側面図である。
ここで、面間シフト量とは、図7に示すように、少なくとも一方が非球面である第1面R1及び第2面R2を有する非球面単レンズにおいて、第1面R1及び第2面R2がともに非球面である場合には第1面R1の非球面軸を基準軸A1とし、第1面R1が球面である場合には非球面単レンズの外径の中心線を基準軸A1として、この基準軸A1と、第2面の非球面軸A2が通る第2面の面頂との最短距離をいう。ただし、第1面R1が球面の場合には、基準軸A1は、この基準軸A1と第1面(球面)R1との交点における第1面R1に対する接平面が、この基準軸A1に対して垂直となるようにする。
また、面間ティルト量とは、第2面R2の非球面軸A2と基準軸A1とをy−z平面に投影したとき、これら各軸A1,A2の射影がなす角度(αティルト)、あるいは、これら各軸A1,A2をx−z平面に投影したときにこれら各軸A1,A2の射影ががなす角度(βティルト)をいう。
なお、x−z平面における非球面単レンズの面間シフト量及び面間ティルト量についても、図7と同様に示すことができる。
従来、非球面単レンズにおける面間ティルト量及び面間シフト量を測定する偏心測定方法、または、偏心測定装置としては、以下の提案がなされている。
すなわち、特許文献1には、光源から出射され波面変換素子により所定形状の波面に変換された測定用光束を第1面及び第2面に照射して反射させ、これら反射光束と、光源から出射された特定波面を有する参照用光束との干渉縞を第1及び第2の干渉計によって検知するようにした偏心測定装置が記載されている。この偏心測定装置においては、各干渉計によって第1面及び第2面の面形状を計測し、非球面単レンズの回転角度と、少なくとも一方の干渉計による測定データとから得られる演算値により、第1面と第2面との間の偏心を求めるようになっている。
また、特許文献2には、第1面及び第2面のそれぞれに同軸に一体成形された2つの平面部を有する非球面単レンズにおいて、これら2つの平面部のなす傾斜角と、第1面及び第2面の測定軸に対する偏心量を検出し、傾斜角と偏心量とにより、第1面と第2面との間の偏心量を演算するようにした偏心測定方法が記載されている。
特開2000−97656号公報 特許第3127003号公報
ところで、特許文献1に記載された従来の偏心測定装置においては、装置構成が複雑化、大型化してしまい、また、面間ティルト量と面間シフト量とを分離して評価することができないという問題がある。
また、特許文献2に記載された偏心測定方法においては、非球面単レンズの両面側に平面部が設けられている必要があり、このような平面部が設けられていない非球面単レンズには適用できないという問題がある。
なお、非球面単レンズの第1面及び第2面のそれぞれの形状を、例えば、触針式の形状測定機を用いて正確に測定すれば、面間ティルト量及び面間シフト量を求めることが可能である。特に、三次元の形状測定機を用いて第1面及び第2面の形状を測定すれば、面間ティルト量及び面間シフト量を算出することができる。しかし、このような方法では、一つの非球面単レンズについての測定時間が、例えば、数時間といったように、著しく長くなってしまうという問題がある。
そこで、本発明は、前述の課題に鑑みて提案されるものであって、簡便な構成の偏心測定装置を用いて、短時間で、かつ、高精度に、非球面単レンズにおける面間ティルト量及び面間シフト量を分離して測定することができる偏心測定方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、このような偏心測定方法を実行することができる簡便な構成の偏心測定装置を提供するとともに、本発明に係る偏心測定方法を適用した非球面単レンズの製造方法を提供し、さらに、この非球面単レンズの製造方法により製造された非球面単レンズ及びこの非球面単レンズを用いた光学機器を提供することを目的とする。
前述の課題を解決するため、本発明に係る偏心測定方法は、以下の構成を有するものである。
〔構成1〕
少なくとも一方が非球面である第1面及び第2面の光学機能面を有する非球面単レンズの第1面と第2面との間の偏心を測定する偏心測定方法において、非球面単レンズ、または、非球面単レンズ及び補正レンズからなる光学系のコマ収差を測定し、測定されたコマ収差の値に基づいて第1面と第2面との間の相互の面間ティルト量及び/又は面間シフト量を得ることを特徴とするものである。
〔構成2〕
〔構成1〕を有する偏心測定方法において、コマ収差の値として、3次コマ収差及び/又は5次コマ収差の成分を用いることを特徴とするものである。
〔構成3〕
〔構成1〕、または、〔構成2〕を有する偏心測定方法において、コマ収差の測定は、干渉法を用いて行うことを特徴とするものである。
また、本発明に係る偏心測定装置は、以下の構成を有するものである。
〔構成4〕
少なくとも一方が非球面である第1面及び第2面の光学機能面を有する非球面単レンズの第1面と第2面との間の偏心を測定する偏心測定装置において、非球面単レンズ、または、非球面単レンズ及び補正レンズからなる光学系のコマ収差を測定するコマ収差測定手段と、コマ収差測定手段により測定されたコマ収差の値に基づいて第1面と第2面との間の相互の面間シフト量及び/又は面間ティルト量を求める演算手段とを備えたことを特徴とするものである。
〔構成5〕
〔構成4〕を有する偏心測定装置において、演算手段は、コマ収差の値として、3次コマ収差及び/又は5次コマ収差の成分を用いることを特徴とするものである。
そして、本発明に係る非球面単レンズの製造方法は、以下の構成を有するものである。
〔構成6〕
少なくとも一方が非球面形状に加工された一対の成形面を有する成形型を用いて加熱し軟化させた成形素材を成形型により押圧して非球面単レンズを成形する工程と、成形型によって成形された非球面単レンズについて〔構成1〕乃至〔構成3〕のいずれか一を有する偏心測定方法によって偏心測定を行い得られた面間ティルト量及び/又は面間シフト量が所定範囲内にあるか否かを判別して該非球面単レンズを選別する工程とを含むことを特徴とするものである。
また、本発明に係る非球面単レンズは、以下の構成を有するものである。
〔構成7〕
少なくとも一方が非球面形状に加工された一対の成形面を有する成形型により成形された非球面単レンズであって、〔構成1〕乃至〔構成3〕のいずれか一を有する偏心測定方法によって偏心測定をなされ、この偏心測定により得られた面間ティルト量及び/又は面間シフト量が所定範囲内にあるか否かにより選別されていることを特徴とするものである。
〔構成8〕
少なくとも一方が非球面形状に加工された一対の成形面を有する成形型により成形された非球面単レンズであって、〔構成1〕乃至〔構成3〕のいずれか一を有する偏心測定方法による偏心測定により得られる面間ティルト量が2分以下及び/又は面間シフト量が10μm以下であることを特徴とするものである。
さらに、本発明に係る光学機器は、以下の構成を有するものである。
〔構成9〕
被写体の像を結像させるレンズ系と、このレンズ系の結像面に配置された撮像素子とを備えた光学機器において、レンズ系を構成するレンズのうちの少なくとも1枚は、〔構成7〕、または、〔構成8〕を有する非球面単レンズであることを特徴とするものである。
本発明に係る偏心測定方法、偏心測定装置及び非球面単レンズの製造方法においては、複雑、かつ、大型の装置を用いることなく、また、数秒乃至数十秒程度の短い測定時間内において、コマ収差の測定結果に基づいて、高精度に、非球面単レンズの面間ティルト量及び/又は面間シフト量を求めることができる。
なお、非球面単レンズを用いる光学系の要求性能や用途によって、非球面単レンズに求められる面間ティルト量及び/又は面間シフト量の許容値は異なるが、本発明によれば、これら面間ティルト量及び面間シフト量を分離して独立的に評価することができるため、要求仕様を必要十分に充足する非球面単レンズを効率よく製造することができる。
また、本発明に係る非球面単レンズは、本発明に係る偏心測定方法によって選別され、または、面間ティルト量及び面間シフト量を分離して評価されているので、要求仕様を必要十分に充足するものとなっている。
さらに、この非球面単レンズを用いた本発明に係る光学機器においては、非球面単レンズが要求仕様を必要十分に充足するものとなっているので、必要十分な光学性能を有する光学系を備えたものとなっている。
すなわち、本発明は、簡便な構成の偏心測定装置を用いて、短時間で、かつ、高精度に、非球面単レンズにおける面間ティルト量及び面間シフト量を分離して測定することができる偏心測定方法を提供することができるものである。
また、本発明は、このような偏心測定方法を実行することができる簡便な構成の偏心測定装置を提供することができるとともに、本発明に係る偏心測定方法を適用した非球面単レンズの製造方法を提供し、さらに、この非球面単レンズの製造方法により製造された非球面単レンズ及びこの非球面単レンズを用いた光学機器を提供することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
〔非球面単レンズについて〕
図1は、本発明の第1の実施例において被検レンズとなる非球面単レンズの形状を示す側面図である。
本発明は、図1に示すように、少なくとも一方が非球面である第1面R1及び第2面R2を有する非球面単レンズ1を被検レンズとし、この非球面単レンズ1の第1面R1と第2面R2との間の偏心(面間ティルト及び/又は面間シフト)を測定するものである。なお、面間ティルト及び面間シフトは、図7により前述したものと同様である。
また、本実施形態では、非球面単レンズ1を保持する部材3に当接する側の面を第1面R1とし、他方の面を第2面R2とする。
図2は、図1に示した非球面単レンズの球面収差を示すグラフである。
なお、この非球面単レンズは、図2に示すように、一定の球面収差を有している。
この非球面単レンズ1は、例えば、光学ピックアップ装置の対物レンズのように、単体で使用するレンズであってもよく、また、例えば、撮像装置等の光学機器に用いる光学系のような組レンズを構成するレンズであってもよい。
図3は、本発明の第2の実施例において被検レンズとなる非球面単レンズの形状を示す側面図である。
組レンズを構成するレンズの場合には、光学性能を評価するためにレンズ単体で波面収差を測定することが困難である場合が多いが、本発明においては、図3に示すように、補正レンズ2を用いて光学系を構成することにより、短時間に高精度の評価を行うことが可能である。
この実施形態でも、非球面単レンズ1を保持する部材3に当接する側の面を第1面R1とし、他方の面を第2面R2とする。
図4は、図3に示した非球面単レンズ及び補正レンズからなる光学系の球面収差を示すグラフである。
この補正レンズ2は、非球面単レンズ1との組合わせにおいて、図4に示すように、球面収差が良好に補正された光学系を構成するように形成されている。なお、この補正レンズ2は、非球面単レンズ1のように量産的手法によって大量生産されるものではなく、偏心測定装置の一部をなすものとして、例えば、切削加工等により、高精度に加工されて形成される。
〔偏心測定方法について〕
光学ピックアップ装置や光通信機器などの光学機器に用いられる非球面単レンズは、非球面形状を有することにより、収差の発生量を極めて小さく抑えることができる。そのため、干渉計を用いて干渉縞を測定、解析することにより、この非球面単レンズにおいて発生する収差量を測定することができる。
図5は、本発明の第1の実施例における偏心測定装置の要部の構成を示す側面図である。
本発明に係る偏心測定方法を実行する偏心測定装置は、図5に示すように、フィゾー干渉計11を備えて構成される。この偏心測定装置においては、フィゾー干渉計11により、非球面単レンズ1の透過波面の測定を行うことができる。例えば、図示しない光源より発せられ参照平面12を経てフィゾー干渉計11から出射された平行光束の中に、非球面単レンズ1を設置し、この非球面単レンズ1により収束された光束を参照球面13によって反射させて折り返し、参照平面12に戻す。このとき、参照平面12における反射光束と参照球面13からの戻り光束とが干渉する。なお、この非球面単レンズは、無限系レンズとして構成されている。この干渉によって生ずる干渉縞は、図示しない撮像装置によって撮像され、モニタに画像として表示される。
この干渉縞は、透過波面の状態を表わしており、この干渉縞を解析することにより、波面収差の値を求めることができる。なお、干渉縞の解析によって波面収差の値を求める手法は種々提案されており、いずれも公知の手法である。
図6は、本発明の第2の実施例における偏心測定装置の要部の構成を示す側面図である。
一方、撮像装置の光学系等に用いられる非球面単レンズにおいては、レンズ単体では収差が補正されていないものも多い。このような非球面単レンズについては、図6に示すように、補正レンズ2との組合わせにより球面収差が補正された光学系を構成し、この光学系について、フィゾー干渉計11を用いて透過波面の測定を行うことにより、非球面単レンズ1の評価を行うことができる。
なお、このように補正レンズ2を用いる場合には、この補正レンズ2は、単体のレンズでもあってもよく、また、複数のレンズが組合わせられたもの(組レンズ)であってもよい。また、補正レンズ2は、球面レンズであってもよいし、いずれかの面に非球面を有する非球面レンズであってもよい。
本発明においては、前述したように、非球面単レンズ1を単体について、または、この非球面単レンズ1と補正レンズ2とからなる光学系について、干渉計などを用いた光学的方法によってコマ収差を測定し、好ましくは、このうち、少なくとも3次コマ収差及び/又は5次コマ収差を測定する。
なお、コマ収差の測定においては、必ずしも非球面単レンズ1の光学機能面の全域に光束を入射させる必要はなく、光学機能面のうち、光軸を含む少なくとも一部に光束を入射させることにより測定することができる。また、コマ収差の測定は、干渉計を用いる方法(干渉法)の他に、スポット検査装置を用いて行うことも可能である。
そして、本発明においては、図5及び図6に示した偏心測定装置を用いて測定されたコマ収差の測定値に基づいて、演算により、非球面単レンズ1における偏心量、すなわち、面間ティルト量及び/又は面間シフト量を分離して求める。ここでは、非球面単レンズの第1面R1(物体側)が非球面、または、球面であって、第2面R2(像側)が非球面であることとし、第2面R2を基準面として扱う。
ここで、非球面単レンズ1における面間ティルト量は、主に3次コマ収差に影響し、また、面間シフト量は、主に5次コマ収差に影響することがわかっている。そこで、非球面単レンズ1を単独で測定する場合には、この非球面単レンズ1の設計値に基づいて、面間ティルト量及び面間シフト量に対するコマ収差の感度を把握しておく。好ましくは、非球面単レンズ1の第1面R1と第2面R2とについて、面間ティルト量に対する3次コマ収差の感度及び/又は面間シフト量に対する5次コマ収差の感度を把握しておく。
非球面単レンズ1における面間ティルト量については、3次コマ収差の5次コマ収差に対する比率(〔3次コマ収差の値〕/〔5次コマ収差の値〕)が1.5以上であることが好ましく、より好ましくは、この比率が5以上であることが望ましい。
また、非球面単レンズ1における面間シフト量については、5次コマ収差の3次コマ収差に対する比率(〔5次コマ収差の値〕/〔3次コマ収差の値〕)が1.5以上であることが好ましく、より好ましくは、この比率が5以上であることが望ましい。
そして、非球面単レンズ1及び補正レンズ2からなる光学系においても、非球面単レンズ1における面間ティルト量が、主に3次コマ収差に影響し、面間シフト量が、主に5次コマ収差に影響することがわかっている。そこで、非球面単レンズ1及び補正レンズ2からなる光学系についてコマ収差を把握する場合には、これら非球面単レンズ1及び補正レンズ2の設計値に基づいて、非球面単レンズ1の面間ティルト量及び面間シフト量に対するコマ収差の感度を把握しておく。好ましくは、非球面単レンズ1の第1面R1と第2面R2とについて、面間ティルト量に対する3次コマ収差の感度及び/又は面間シフト量に対する5次コマ収差の感度を把握しておく。
非球面単レンズ1における面間ティルト量については、3次コマ収差の5次コマ収差に対する比率(〔3次コマ収差の値〕/〔5次コマ収差の値〕)が1.5以上であることが好ましく、より好ましくは、この比率が5以上であることが望ましい。
また、非球面単レンズ1における面間シフト量については、5次コマ収差の3次コマ収差に対する比率(〔5次コマ収差の値〕/〔3次コマ収差の値〕)が1.5以上であることが好ましく、より好ましくは、この比率が5以上であることが望ましい。
これら非球面単レンズ1や非球面単レンズ1及び補正レンズ2からなる光学系について、設計値より、3次コマ収差及び5次コマ収差を求めるには、36項あるゼルニケ係数(Z乃至Z35)のうちのZ,Z,Z13,Z14を用いて、以下の〔数1〕によって求めることができる。なお、Z〔(3ρ−2)ρcosθ〕は、3次のx軸方向のコマ収差を示し、Z〔(3ρ−2)ρsinθ〕は、3次のy軸方向のコマ収差を示し、Z13〔(10ρ−12ρ+3)ρcosθ〕は、5次のx軸方向のコマ収差を示し、Z14〔(10ρ−12ρ+3)ρsinθ〕は、5次のy軸方向のコマ収差を示す。
そして、以下の〔表1〕に示すように、面間ティルト量(1′〔分〕)及び面間シフト量(1μm)に対する3次コマ収差及び5次コマ収差の量をゼルニケ係数Z,Z,Z13,Z14によって関係付け、〔表1〕中のa,b,c,dを求めておく。
そして、前述の偏心測定装置によって測定された3次コマ収差量及び/又は5次コマ収差量をZ,Z,Z13,Z14として表し、以下の〔数2〕に代入する。
ここで、tiltαは、前述したように、y−z平面に投影したときの各軸A1,A2の射影がなす角度(αティルト)(′〔分〕)を示し、tiltβは、x−z平面に投影したときの各軸A1,A2の射影がなす角度(βティルト)(′〔分〕)を示し、shiftは、x軸方向への面間シフト量(μm)を示し、shiftは、y軸方向への面間シフト量(μm)を示す。
そして、〔数2〕の4元連立方程式を解いて、tiltα,tiltβ,shift,shiftを求めたうえで、これらを以下の〔数3〕に代入して、面間ティルト量及び面間シフト量を求める。
なお、前述した偏心測定方法においては、3次コマ収差及び5次コマ収差のみを用いて面間ティルト量及び面間シフト量を算出しているが、これら以外の成分、例えば、7次コマ収差や9次コマ収差をも用いるようにしてもよい。
本発明に係る偏心測定方法によって測定される非球面単レンズの用途は特に限定されるものではない。ただし、撮像機器の光学系に用いられる組レンズを構成するレンズについて本発明を適用すると、特に顕著な効果を得ることができる。
特に、画素数が3Mピクセル以上の携帯装置用の撮像光学系や、画素数が10Mピクセル以上のデジタルスチルカメラ用の撮像光学系において有用である。
〔偏心測定装置について〕
本発明に係る偏心測定装置は、前述のような非球面単レンズ1、または、非球面単レンズ1及び補正レンズ2からなる光学系のコマ収差を測定するコマ収差測定手段と、このコマ収差測定手段により測定されたコマ収差の値に基づいて第1面R1と第2面R2との間の相互の面間シフト量及び/又は面間ティルト量を求める演算手段とを備えて構成される。
コマ収差測定手段としては、前述したように、公知の干渉計を用いることができる。また、演算手段としては、所望の算式をプログラムした公知のソフトウエア及びハードウエア(コンピュータ装置)を用いることができる。
そして、この偏心測定装置は、前述したような本発明に係る偏心測定方法を実行する。
〔非球面単レンズの製造方法について〕
本発明に係る非球面単レンズの製造方法は、少なくとも一方が非球面形状に加工された一対の成形面を有する成形型を用いて、加熱し軟化させた成形素材を前記成形型により押圧して非球面単レンズを成形するモールドプレス工程を有する。この押圧成形に際しては、公知のプレス成形装置を適用することができる。
なお、非球面単レンズの成形方法としては、モールドプレス法の他にも、射出成形や、ハイブリッド法を適用するたともできる。
そして、この非球面単レンズの製造方法は、成形型によって成形された非球面単レンズについて、前述した偏心測定方法によって偏心測定を行い、得られた面間ティルト量及び/又は面間シフト量が所定範囲内にあるか否かを判別して非球面単レンズを選別する工程を有する。
〔非球面単レンズについて〕
本発明に係る非球面単レンズは、少なくとも一方が非球面形状に加工された一対の成形面を有する成形型により成形された非球面単レンズであり、前述した本発明に係る偏心測定方法によって偏心測定をなされ、この偏心測定により得られた面間ティルト量及び/又は面間シフト量が所定範囲内にあるか否かにより選別されたものである。
また、本発明に係る非球面単レンズは、前述した本発明に係る偏心測定方法による偏心測定により得られる面間ティルト量が2分以下及び/又は面間シフト量が10μm以下となっているものである。
〔光学機器について〕
本発明に係る光学機器は、被写体の像を結像させるレンズ系と、このレンズ系の結像面に配置された撮像素子とを備えており、レンズ系を構成するレンズのうちの少なくとも1枚が、本発明に係る非球面単レンズとなっているものである。
図1に示した非球面単レンズ1について、前述した偏心測定方法により、面間ティルト量及び面間シフト量を求めた。この非球面単レンズ1は、以下の〔表2〕に示すように、両面非球面凸レンズである。偏心測定装置としては、図5に示すように、フィゾー干渉計を有するものを用いた。
そして、以下の〔表3〕に示すように、面間ティルト量(1′)及び面間シフト量(1μm)に対する3次コマ収差(Z、または、Z)及び5次コマ収差(Z13、または、Z14)の量の関係をゼルニケ係数Z,Z,Z13,Z14によって求めた。
なお、以下の〔表4〕に示すように、面間ティルト量(1′,2′,3′)及び面間シフト量(10μm,15μm,20μm)と3次コマ収差及び5次コマ収差の量の関係を見ると、面間ティルト量が主に3次コマ収差に影響し、面間シフト量が主に5次コマ収差に影響していることがわかる。
偏心測定装置によって測定された3次コマ収差量について、Zは、0.072211であり、Zは、0であり、5次コマ収差量について、Z13は、−0.051959であり、Z14は、0であった。この値を前述の〔数2〕に代入し、4元連立方程式を解いて、以下のように、tiltα,tiltβ,shift,shiftを求めた。
tiltα=1
tiltβ=0
shift=5
shift=0
これらを前述の〔数3〕に代入し、面間ティルト量及び面間シフト量を求めた。すなわち、面間ティルト量は、1′〔分〕、面間シフト量は、5μmであった。
このようにして、本発明に係る偏心測定方法においては、非球面単レンズ1の面間ティルト量及びと面間シフト量を、例えば、30秒以下程度の短時間で、高精度に測定することができる。
図3に示した非球面単レンズ1及び補正レンズ2について、前述した偏心測定方法により、非球面単レンズ1の面間ティルト量及び面間シフト量を求めた。この非球面単レンズ1は、以下の〔表5〕に示すように、両面非球面凸レンズである。また、補正レンズ2は、非球面平凸レンズである。偏心測定装置としては、図6に示すように、フィゾー干渉計を有するものを用いた。
そして、以下の〔表6〕に示すように、面間ティルト量(1′)及び面間シフト量(1μm)に対する3次コマ収差(Z、または、Z)及び5次コマ収差(Z13、または、Z14)の量の関係をゼルニケ係数Z,Z,Z13,Z14によって求めた。
なお、以下の〔表7〕に示すように、面間ティルト量(1′,2′,3′)及び面間シフト量(10μm,15μm,20μm)と3次コマ収差及び5次コマ収差の量の関係を見ると、面間ティルト量が主に3次コマ収差に影響し、面間シフト量が主に5次コマ収差に影響していることがわかる。
偏心測定装置によって測定された3次コマ収差量について、Zは、0.015485であり、Zは、−0.026784であり、5次コマ収差量について、Z13は、−0.017576であり、Z14は、−0.018729であった。この値を前述の〔数2〕に代入し、4元連立方程式を解いて、以下のように、tiltα,tiltβ,shift,shiftを求めた。
tiltα=0.70688
tiltβ=−0.707316
shift=3.353567
shift=3.553575
これらを前述の〔数3〕に代入し、面間ティルト量及び面間シフト量を求めた。すなわち、面間ティルト量は、1′〔分〕、面間シフト量は、4.9μmであった。
このようにして、本発明に係る偏心測定方法においては、非球面単レンズ1の面間ティルト量及びと面間シフト量を、例えば、30秒以下程度の短時間で、高精度に測定することができる。
本発明の第1の実施例において被検レンズとなる非球面単レンズの形状を示す側面図である。 図1に示した非球面単レンズの球面収差を示すグラフである。 本発明の第2の実施例において被検レンズとなる非球面単レンズの形状を示す側面図である。 図3に示した非球面単レンズ及び補正レンズからなる光学系の球面収差を示すグラフである。 本発明の第1の実施例における偏心測定装置の要部の構成を示す側面図である。 本発明の第2の実施例における偏心測定装置の要部の構成を示す側面図である。 非球面単レンズの面間シフト量及び面間ティルト量について説明する側面図である。
符号の説明
1 非球面単レンズ
2 補正レンズ
R1 第1面
R2 第2面

Claims (9)

  1. 少なくとも一方が非球面である第1面及び第2面の光学機能面を有する非球面単レンズの前記第1面と第2面との間の偏心を測定する偏心測定方法において、
    前記非球面単レンズ、または、前記非球面単レンズ及び補正レンズからなる光学系のコマ収差を測定し、
    測定された前記コマ収差の値に基づいて、前記第1面と前記第2面との間の相互の面間ティルト量及び/又は面間シフト量を得る
    ことを特徴とする偏心測定方法。
  2. 前記コマ収差の値として、3次コマ収差及び/又は5次コマ収差の成分を用いる
    ことを特徴とする請求項1記載の偏心測定方法。
  3. 前記コマ収差の測定は、干渉法を用いて行う
    ことを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の偏心測定方法。
  4. 少なくとも一方が非球面である第1面及び第2面の光学機能面を有する非球面単レンズの前記第1面と第2面との間の偏心を測定する偏心測定装置において、
    前記非球面単レンズ、または、前記非球面単レンズ及び補正レンズからなる光学系のコマ収差を測定するコマ収差測定手段と、
    前記コマ収差測定手段により測定された前記コマ収差の値に基づいて、前記第1面と前記第2面との間の相互の面間シフト量及び/又は面間ティルト量を求める演算手段と
    を備えたことを特徴とする偏心測定装置。
  5. 前記演算手段は、前記コマ収差の値として、3次コマ収差及び/又は5次コマ収差の成分を用いる
    ことを特徴とする請求項4記載の偏心測定装置。
  6. 少なくとも一方が非球面形状に加工された一対の成形面を有する成形型を用いて、加熱し軟化させた成形素材を前記成形型により押圧して非球面単レンズを成形する工程と、
    前記成形型によって成形された非球面単レンズについて、請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の偏心測定方法によって偏心測定を行い、得られた面間ティルト量及び/又は面間シフト量が所定範囲内にあるか否かを判別して該非球面単レンズを選別する工程と
    を含むことを特徴とする非球面単レンズの製造方法。
  7. 少なくとも一方が非球面形状に加工された一対の成形面を有する成形型により成形された非球面単レンズであって、
    請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の偏心測定方法によって偏心測定をなされ、この偏心測定により得られた面間ティルト量及び/又は面間シフト量が所定範囲内にあるか否かにより選別されている
    ことを特徴とする非球面単レンズ。
  8. 少なくとも一方が非球面形状に加工された一対の成形面を有する成形型により成形された非球面単レンズであって、
    請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の偏心測定方法による偏心測定により得られる面間ティルト量が2分以下及び/又は面間シフト量が10μm以下である
    ことを特徴とする非球面単レンズ。
  9. 被写体の像を結像させるレンズ系と、このレンズ系の結像面に配置された撮像素子とを備えた光学機器において、
    前記レンズ系を構成するレンズのうちの少なくとも1枚は、請求項7、または、請求項8記載の非球面単レンズである
    ことを特徴とする光学機器。
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