JP2016200461A - 屈折率計測方法、屈折率計測装置、光学素子の製造方法 - Google Patents

屈折率計測方法、屈折率計測装置、光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 被検物の屈折率を高精度に計測する。【解決手段】 被検物の配置が互いに異なる複数の配置において前記被検物の透過波面を計測し、前記被検物と同じ形状を有する基準被検物について複数の屈折率を仮定し、前記複数の屈折率のそれぞれについて、前記基準被検物が前記複数の配置のそれぞれに配置されているときの透過波面を計算し、前記被検物の透過波面と前記基準被検物について計算された透過波面とを用いて前記被検物の屈折率を計算することを特徴とする屈折率計測方法。【選択図】 図2

Description

本発明は、レンズ等の光学素子の屈折率計測方法に関する。
デジタルカメラやレーザービームプリンタ等の光学機器においては、光学系の収差を低減すること等を目的として複雑な形状の光学素子が用いられることがある。このような複雑な形状の光学素子は、モールド成形によって効率的に製造することが求められている。ただし、モールド成形においては、成形条件に応じて光学素子の屈折率がわずかに変化してしまうため、光学素子の所望の光学特性が得られないことがある。このため、成型された光学素子の屈折率を高精度に計測する必要がある。
特許文献1は、屈折率及び形状が既知のガラス試料および屈折率が未知で形状が既知の被検レンズを該被検レンズとほぼ等しい屈折率を有するマッチング液に浸して透過波面を計測することで、被検レンズの屈折率を測定する方法を開示している。
特開平01−316627号公報
特許文献1の屈折率測定方法では、被検レンズの屈折率とほぼ等しい屈折率を有するマッチングオイルが必要である。したがって、被検レンズの屈折率が高い場合には高屈折率のマッチングオイルを用いて測定することになるが、高屈折率のマッチングオイルは透過率が低いため、測定精度が低下しやすい。
本発明の屈折率計測方法は、被検物の配置が互いに異なる複数の配置において前記被検物の透過波面を計測し、前記被検物と同じ形状を有する基準被検物について複数の屈折率を仮定し、前記複数の屈折率のそれぞれについて、前記基準被検物が前記複数の配置のそれぞれに配置されているときの透過波面を計算し、前記被検物の透過波面と前記基準被検物について計算された透過波面とを用いて前記被検物の屈折率を計算することを特徴とする。
本発明の屈折率計測装置は、光源と、該光源からの光を被検物に入射させて該被検物の透過波面を計測する計測手段と、前記被検物の透過波面を用いて前記被検物の屈折率を計算する計算手段を有し、前記計測手段は、前記被検物の配置が互いに異なる複数の配置において前記被検物の透過波面を計測し、前記計算手段は、前記被検物と同じ形状を有する基準被検物について複数の屈折率を仮定し、前記複数の屈折率のそれぞれについて、前記基準被検物が前記複数の配置のそれぞれに配置されているときの透過波面を計算し、前記被検物の透過波面と前記基準被検物について計算された透過波面とを用いて前記被検物の屈折率を計算することを特徴とする。
本発明によれば、被検物の屈折率を高精度に計測することができる。
本発明の実施例1の屈折率計測装置の説明図 本発明の実施例1における屈折率の算出手順を示すフローチャート 本発明の実施例1の屈折率計測装置の変形例を示す図 本発明の実施例2における屈折率の算出手順を示すフローチャート 本発明の実施例3の屈折率計測装置の説明図 本発明の実施例3で用いられるシャックハルトマンセンサの概略図 本発明の実施例3における屈折率の算出手順を示すフローチャート 本発明を用いた光学素子の製造工程
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施例1の屈折率計測装置10の説明図である。屈折率計測装置10は、光源100からの光101を被検物130に入射させ、被検物130の透過波面を検出器160を用いて計測する。そして、コンピュータである演算部180は、検出器160を用いて計測された透過波面に基づいて被検物130の屈折率を求める。本実施例では、被検物130の透過波面を計測する計測手段として、シアリング干渉計の一つであるトールボット(Talbot)干渉計を使用している。
光源100は、例えば、He−Neレーザー等のレーザー光源によって構成される。光源100から光軸に沿って射出されたレーザー光101は、ピンホール110を通過する際に回折することにより発散光(球面波)102になる。ピンホール110で回折した発散光102は、コリメータレンズ120によって収束光103に変わる。収束光103は、被検物130を透過し、直交回折格子である回折格子150を通り、検出器160に入射する。検出器160は、CCD等の撮像素子によって構成されている。
本実施例においては、被検物130は、形状が既知のレンズであって、屈折率分布が無いものとする。ピンホール110の直径φは、回折光102を理想球面波と見なせる程度に小さく、被検物130の物体側の開口数NAOとレーザー光源100の波長λとを用いて、以下の式を満たすように設計されている。
Figure 2016200461
例えば、λが600nmであり、被検物130の物体側の開口数NAOが0.3程度である場合は、ピンホール110の直径φは2μm程度でよい。
被検物130の像側NAが小さい場合、回折格子150と検出器160間の距離Zが、以下の数式2で示されるTalbot条件を満たすと、検出器160上に回折格子150の偽解像が干渉縞として得られる。
Figure 2016200461
ただし、Zは回折格子150と検出器160の間の距離を示し、ここではTalbot距離と呼ぶ。また、mは0を除く整数であり、dは回折格子150のピッチである。Zは回折格子150と回折格子に入射する光の集光位置との間の距離である。回折格子150の格子ピッチdは、被検物130の収差の大きさに応じて決められる。
被検物130は平行偏心機構140で光軸方向及び光軸に垂直な方向に移動可能である。また、コリメータレンズ120、回折格子150、検出器160は光軸に平行に設置された不図示のレール上を移動可能である。
演算部180は、被検物130の屈折力(焦点距離の逆数)に応じて、被検物130、回折格子150及び検出器160の最適な配置を計算し、被検物130、回折格子150及び検出器160を計算された位置に移動させる。このとき被検物130は平行偏芯機構140で移動され、回折格子150及び検出器160は不図示のレール上を移動する。ここで、最適な配置とは、被検物130を透過した光束が検出器160に収まり、かつ該光束のNAが小さい場合である。
被検物130の屈折率は、演算部180において、コンピュータプログラムに従って算出される。図2は、検出器160により撮像された干渉縞の画像を用いて被検物130の屈折率を算出する手順を示している。
被検物130、回折格子150、検出器160を、被検物130の計測に適した位置に配置した状態で、被検物130の透過波面を計測する(ステップS01)。次に、平行偏芯機構140を用いて被検物130を光軸方向に規定量だけ駆動させて、被検物130の透過波面を計測することを指定回数I(例えばI=10)に到達するまで繰り返す(ステップS02)。このとき、i番目(ただし、i=1〜I)に取得した透過波面の計測値をM(i)と表す。
次に、演算部180は、被検物130と同じ形状を有し、特定の値の屈折率を有する基準被検物に関する透過波面(シミュレーション波面)を計算する(ステップS03、S04、S05)。ここでは、基準被検物について特定の屈折率(基準屈折率)を仮定し、基準被検物がステップS01、S02における被検物130の複数の配置のそれぞれに配置されているときの透過波面を計算する(ステップS04)。そして、基準屈折率として複数の屈折率を仮定しながら、被検物の透過波面を測定した複数の配置(i=1〜I)について基準被検物のシミュレーション波面をそれぞれ計算する。ここで、j番目(ただし、j=1〜J)に仮定した基準屈折率について、基準被検物が複数の配置(i=1〜I)にそれぞれ配置されているときに得られるシミュレーション波面をS(i,j)と表す。
一例として、被検物の屈折率が1.85であり、その被検物の屈折率が1.80〜1.90の間に存在することが既知である場合について説明する。
まず、基準被検物の屈折率(基準屈折率)nを1.80として、被検物130の透過波面を最初に計測したときと同じ位置に配置したときのシミュレーション波面S(1,1)を計算する(ステップS03)。
次に、演算部180は、基準被検物の位置を光軸方向に移動させたときの、シミュレーション波面S(2,1)を計算する。同様の計算を指定回数Iまで繰り返す(ステップS04)。
続いて基準屈折率nを1.81として、ステップS03及びステップS04を繰り返す。このような計算を基準屈折率nが1.90になるまで繰り返す(ステップS05)。ここでは、J=11として基準屈折率を0.01ごとに変更している。
最後に、被検物の透過波面の計測値M(i)と基準被検物の透過波面の計算値S(i,j)の差が最も小さくなる基準屈折率を被検物の屈折率として計算することにより(ステップS06)、屈折率計測を完了する。
被検物130の透過波面の計測値M(i)および基準被検物の透過波面(シミュレーション波面)の計算値S(i,j)は2次元の波面である。以下に、2次元の波面の差分の定義と屈折率の決定方法を説明する。
まず、2次元データである被検物の透過波面の計測値M(i)と基準被検物の透過波面の計算値S(i,j)の差分のRMS(二乗平均平方根)を求めて、φ(i,j)とする。ここで、数式中の積分範囲は2次元データのデータ領域を示している。
Figure 2016200461
続いて、φ(i,j)の二乗和平方根を被検物の配置ごとに計算してΦ(j)とする。Φをメリット関数と呼ぶ。
Figure 2016200461
続いてメリット関数Φが最小値Φ(p)をとるときの変数pを決定する。そして変数pから屈折率n(p)を求める。本実施例では、n(p)=1.80+(p−1)*0.01となる。変数pは離散的な値であるjと一致する必要はない。以上より、被検物130の屈折率を計算することができる。
本実施例の屈折率計測方法によれば、被検物130の配置毎に屈折率計測装置に固有の誤差がある場合にも精度良く被検物130の屈折率を計測することができる。次にその詳細を説明する。
被検物130の屈折率がn(p)、屈折率計測装置に固有の誤差sys(i)、屈折率がn(p)と異なる場合に発生する波面収差をΔS(j)とすると、被検物の透過波面の計測値M(i)と基準被検物の透過波面S(i,j)は以下の式で表現できる。
Figure 2016200461
このとき、メリット関数Φは以下の式で表わされる。
Figure 2016200461
屈折率計測装置に固有の誤差sys(i)と屈折率がn(p)と異なる場合に発生する波面収差ΔS(j)が異なり、かつ、sys(i)も番号iごとに波面が異なる場合、次の等式が成り立つ。
Figure 2016200461
数式7を用いるとメリット関数Φは以下の式になりj=pのときメリット関数Φが最小になる。この結果から装置固有の誤差sys(i)がある場合にも、精度良く被検物130の屈折率を計測できることがわかる。
Figure 2016200461
数式7を満足させるためには、屈折率計測装置に固有の誤差が大きく変化するように、被検物130の配置を大きく変更するのが良い。被検物130を透過した光束の一部だけが検出器160に到達するような配置を用いることで光軸方向の駆動量が大きくなり、被検物130の配置を大きく変えることができる。また、被検物130の配置を大きく変えるには、被検物130を光軸方向以外に駆動しても良い。例えば光軸方向の駆動に加えて光軸に垂直な方向の駆動及び、光軸に垂直な軸周りの回転方向の駆動を加えると被検物配置における装置固有の誤差を大きく変化させることができる。
本実施例では、基準屈折率の数J=11と仮定したが、この数値を増やして計算すれば、変数pを決定する際の誤差を小さくすることができる。
また、本実施例では被検物130が負のパワーを持つ凹レンズである場合について説明したが、被検物130が正のパワーを持つ凸レンズである場合も同じ計測装置を用いて計測することができる。すなわち、図3に示すように被検物130をコリメータレンズ120の集光点よりも検出器160側に配置すれば、同じ計測装置を用いて凸レンズを計測することが可能である。
本発明の実施例2の屈折率計測装置20では、被検物に屈折率分布がある場合にも、高精度に被検物の屈折率を計測することができる。被検物に屈折率分布が存在する場合は、被検物内部の位置によって屈折率が異なることから、本実施例では屈折率計測装置の光軸上の平均屈折率を被検物の屈折率として説明する。実施例2の屈折率計測装置は透過波面の測定手段としてトールボット干渉計を用いた屈折率計測装置であって、測定フロー以外の基本的な構成は実施例1において図1で説明した屈折率計測装置と同じである。なお、本実施例においては、被検物130の形状は未知であるものとする。
図4は被検物130に屈折率分布がある場合に被検物の屈折率を算出する手順を示している。以下に実施例2における屈折率の算出手順を説明する。
最初に、被検物130の形状を計測する(ステップS10)。被検物130の形状は後のステップで、被検物130と同じ形状を有する基準被検物についてのシミュレーション波面を計算する時に用いる。被検物130の形状は、接触式の表面形状計測や、非接触の干渉計測などの一般的に知られた方法によって計測することができる。なお、被検物130の形状が既知の場合は、ステップS10を省略することができる。
ステップS11とステップS12では、被検物位置を光軸方向に移動させながら被検物130の透過波面を計測する。実施例1と同様に、被検物130の位置を変更しながら測定したときにi番目(i=1〜J)に測定された被検物130の透過波面の計測値をM(i)と表す。
ステップS13では、被検物130の透過波面を計測した位置のいずれか1つ(例えばi=1のときの被検物130の配置)において、被検物130が屈折率分布をもたない場合のシミュレーション波面S(1,j)を計算する(ステップS13)。本実施例では、このときの計算に用いる基準屈折率をn(1)としている。
ステップS13で求めたシミュレーション波面S(1,j)と、配置が等しいとき(i=1)における被検物130の透過波面の計測値M(1)との差から、被検物130の屈折率分布GI(j)を計算する(ステップS14)。被検物の屈折率分布GI(j)は、シミュレーション波面S(1,j)と被検物130の透過波面の計測値M(1)の差分を被検物厚み分布で除算することによって求めることができる。
ステップS15では、基準被検物の屈折率(基準屈折率)n(j)をj=1〜Jまで変更しながら、ステップS13とステップS14を繰り返す。
次に、計算された屈折率分布GI(j)を用いて、全ての被検物位置(i=1〜I)および全ての基準屈折率(j=1〜J)に対して、基準被検物のシミュレーション波面S(i,j)を計算する(ステップS16、S17、S18)。すなわち、複数の基準屈折率のそれぞれに対応する複数の屈折率分布GI(j)を用いて、基準被検物が複数の配置(i=1〜I)のそれぞれに配置されているときの透過波面S(i,j)を計算する。
そして、被検物130の透過波面の計測値M(i)と基準被検物の透過波面の計算値S(i,j)の差が最も小さくなる屈折率を計算して(ステップS19)、本実施例における屈折率計測が完了する。
以上のとおり、本発明の実施例2の屈折率計測装置の測定手順によれば、被検物130に屈折率分布がある場合にも、被検物の屈折率を高精度に計測することができる。
本発明の実施例3の屈折率計測装置30では、被検物130に屈折率分布があり、被検物の形状が未知である場合においても、被検物130の屈折率を高精度に計測することができる。本実施例の屈折率計測装置30では、2種類の媒質中に被検物130を配置した状態で透過波面を測定することによって、被検物130の形状成分と屈折率分布を分離して、被検物の屈折率を計測する。本実施例の屈折率計測装置30によれば、被検物形状を別途計測する必要が無い。
図5は、本発明の実施例3の屈折率計測装置30の説明図である。本実施例においては、2種類の媒質中に被検物130を配置した状態で透過波面を計測するために、液槽200、液槽201及び液槽交換機構210を備えている。また、被検物130の透過波面を計測する計測手段としてシャックハルトマンセンサ(波面センサ)220を使用している。
シャックハルトマンセンサ220は、図6に示すように、レンズアレイ230に入射した光を、CCDやCMOS等の撮像素子240に集光させる構造を有する。レンズアレイ230に傾いた透過波面が入射すると、集光点の位置がずれる。シャックハルトマンセンサ220は、透過波面の傾きを集光点の位置ずれに換算して計測できるため、大きな収差を持つ波面の計測が可能である。
図7は、本実施例における屈折率の算出手順を示している。以下にその詳細を説明する。
初めに、液槽200に媒質1(例えば水)を浸し、液槽200中に被検物130を配置する。実施例1と同様に液槽200、波面センサ220を最適な配置に駆動し、媒質1における第1の透過波面M1を計測する(ステップS21)。次に、液槽交換機構210を用いて液槽200と液槽201を交換し、液槽201内に被検物130を配置する。液槽201内には媒質2(例えばオイル)が入っている。ステップS21と同様に液槽201、波面センサ220を最適な配置に駆動し、媒質2における第2の透過波面M2を計測する(ステップS22)。ステップS21、S22では、ステップAで説明するように、実施例1におけるステップS01とステップS02と同様の測定を行う。すなわち、被検物130を光軸方向に移動させながら被検物130の透過波面を測定する(ステップA01、A02)。媒質1、媒質2の中に被検物130を配置して、被検物130を移動させながらi番目に測定した被検物130の透過波面をそれぞれM1(i)、M2(i)と表す。
次に、第1の透過波面M1(1)および第2の透過波面M2(1)に基づいて屈折率分布GI(j)と形状誤差Eを算出する(ステップS23)。
ステップS23をステップBとして詳しく説明する。ステップBは、以下の4ステップから成る。最初に、媒質1、媒質2中に、被検物130と同じ形状を有し、屈折率分布を持たない基準被検物を配置したときのシミュレーション波面Tを計算する(ステップB01)。次に、媒質1、媒質2中に基準被検物を配置したときのシミュレーション波面Tと被検物130の透過波面の計測値Mの差を計算する(ステップB02)。ステップB02で求めたシミュレーション波面Tと被検物130の透過波面の計測値Mの差から被検物130の形状誤差Eを算出する(ステップB03)。なお、形状誤差Eは被検物130が理想的な場合の形状(基準被検物の形状)と実際の被検物130の形状の差分に相当する。続いて媒質1、媒質2中に基準被検物を配置したときのシミュレーション波面Tと被検物130の透過波面の計測値Mから形状誤差Eを除去して屈折率分布GIを算出する(ステップB04)。
そして、基準屈折率n(j)を変化させながら(ステップS24)、透過波面M1(1)、M2(1)と基準屈折率n(j)から屈折率分布GI(j)と形状誤差E(j)を算出する。
以下、数式を用いてステップBを説明する。被検物130の透過波面の計測値M及び基準被検物についてのシミュレーション波面Tは以下の数式で表現できる。
Figure 2016200461
ただし、Dは被検物形状、N1は媒質1の屈折率、N2は媒質2の屈折率、system1は媒質1計測時の計測装置固有の波面収差、system2は媒質2計測時の計測装置固有の波面収差を示す。ステップB01では数式9のT1、T2を計算している。ステップB03では次の式を用いて形状誤差Eを求めている。
Figure 2016200461
ステップB04では次の式を用いて屈折率分布GIを求めている。
Figure 2016200461
このように屈折率分布GIは基準屈折率n(j)によって値が変わるため、GI(j)と表記できる。
ステップS25では、ステップS24で求めた屈折率分布GI(j)と形状誤差E(j)を用いて、媒質1と媒質2に基準被検物が配置されているときの透過波面(シミュレーション波面)S(i,j)を計算する。このとき基準被検物を光軸方向に移動させて、すべての位置iに対して透過波面を計算することで(ステップS26)、媒質1、媒質2のそれぞれにおける基準被検物の透過波面S1(i,j)、S2(i,j)が得られる。
最後に、被検物130の透過波面の計測値M(i)と基準被検物の透過波面の計算値S(i,j)の差が最も小さくなる屈折率を決定する(ステップS27)。ステップS27では、実施例1のステップS06と同様の計算を行う。
本実施例では、被検物の配置が互いに異なる複数の配置について、第1の屈折率を有する第1の媒質中における第1の透過波面を計測する。次に、被検物の配置が互いに異なる複数の配置について、前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する第2の媒質中における第2の透過波面を計測する。第1及び第2の透過波面の計測結果から、複数の基準屈折率に対する屈折率分布と被検物の形状誤差(形状成分)を計算する。被検物の形状成分を用いて、複数の屈折率分布に対して、被検物と同じ形状を有する基準被検物が、第1および第2の媒質中のそれぞれにおいて被検物と同じ位置に配置されているときの各透過波面を計算する。被検物の透過波面の計測値と基準被検物の透過波面の計算値の差を求めることで、前記被検物の屈折率を算出することが可能になる。
この手順に従えば、被検物に屈折率分布があり、被検物の正確な形状が不明な場合にも、精度良く被検物の屈折率を計測できる。
図8には、モールド成型を利用した光学素子の製造工程の例を示している。
光学素子は、光学素子の設計工程、金型の設計工程及び、設計された金型を用いた光学素子のモールド工程を経て製造される。モールド成型された光学素子は、その形状精度が評価され、精度不足である場合は金型を補正して再度モールド成型を行う。形状精度が良好であれば、光学素子の光学性能が評価される。この光学性能の評価工程に、本発明の屈折率計測を組み込むことで、高屈折率硝材を母材としてモールドされる光学素子の量産が可能になる。なお、光学性能が低い場合は、光学面を補正した光学素子を設計し直す。
以上、説明した各実施例は代表的な例に過ぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
100 光源
110 ピンホール
120 コリメータレンズ
130 被検物
150 回折格子
160 検出器
180 演算部

Claims (11)

  1. 被検物の配置が互いに異なる複数の配置において前記被検物の透過波面を計測し、
    前記被検物と同じ形状を有する基準被検物について複数の屈折率を仮定し、前記複数の屈折率のそれぞれについて、前記基準被検物が前記複数の配置のそれぞれに配置されているときの透過波面を計算し、
    前記被検物の透過波面と前記基準被検物について計算された透過波面とを用いて前記被検物の屈折率を計算することを特徴とする屈折率計測方法。
  2. 前記被検物の透過波面と、前記複数の屈折率のそれぞれについて計算された前記基準被検物の透過波面とを用いて、前記複数の屈折率のそれぞれに対応する複数の屈折率分布を計算し、
    前記複数の屈折率のそれぞれに対応する複数の屈折率分布を用いて、前記基準被検物が前記複数の配置のそれぞれに配置されているときの透過波面を計算することを特徴とする請求項1に記載の屈折率計測方法。
  3. 前記複数の配置の一部の配置について前記複数の屈折率分布を計算することを特徴とする請求項2に記載の屈折率計測方法。
  4. 第1の屈折率を有する第1の媒質中に配置された前記被検物の透過波面と、前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する第2の媒質中に配置された前記被検物の透過波面を計測し、
    前記第1の媒質中に配置されているときの前記基準被検物の透過波面と、前記第2の媒質中に配置されているときの前記基準被検物の透過波面を計算し、
    前記第1、第2の媒質中に配置された前記被検物の透過波面と、前記第1、第2の媒質中に配置されているときの前記基準被検物の透過波面とを用いて、前記被検物の屈折率分布および形状誤差を計算し、
    前記複数の屈折率のそれぞれに対応する複数の屈折率分布と形状誤差を用いて、前記基準被検物が前記第1、第2の媒質中において前記複数の配置のそれぞれに配置されているときの透過波面を計算することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の屈折率計測方法。
  5. 光源と、該光源からの光を被検物に入射させて該被検物の透過波面を計測する計測手段と、前記被検物の透過波面を用いて前記被検物の屈折率を計算する計算手段を有し、
    前記計測手段は、前記被検物の配置が互いに異なる複数の配置において前記被検物の透過波面を計測し、
    前記計算手段は、前記被検物と同じ形状を有する基準被検物について複数の屈折率を仮定し、前記複数の屈折率のそれぞれについて、前記基準被検物が前記複数の配置のそれぞれに配置されているときの透過波面を計算し、前記被検物の透過波面と前記基準被検物について計算された透過波面とを用いて前記被検物の屈折率を計算することを特徴とする屈折率計測装置。
  6. 前記計算手段は、前記被検物の透過波面と、前記複数の屈折率のそれぞれについて計算された前記基準被検物の透過波面とを用いて、前記複数の屈折率のそれぞれに対応する複数の屈折率分布を計算し、前記複数の屈折率のそれぞれに対応する複数の屈折率分布を用いて、前記基準被検物が前記複数の配置のそれぞれに配置されているときの透過波面を計算することを特徴とする請求項5に記載の屈折率計測装置。
  7. 前記計算手段は、前記複数の配置の一部の配置について前記複数の屈折率分布を計算することを特徴とする請求項6に記載の屈折率計測装置。
  8. 前記計測手段は、第1の屈折率を有する第1の媒質中に配置された前記被検物の透過波面と、前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する第2の媒質中に配置された前記被検物の透過波面を計測し、
    前記計算手段は、前記第1の媒質中に配置されているときの前記基準被検物の透過波面と、前記第2の媒質中に配置されているときの前記基準被検物の透過波面を計算し、前記第1、第2の媒質中に配置された前記被検物の各透過波面と、前記第1、第2の媒質中に配置されているときの前記基準被検物の透過波面とを用いて、前記被検物の屈折率分布および形状誤差を計算し、前記複数の屈折率のそれぞれに対応する複数の屈折率分布と形状誤差を用いて、前記基準被検物が前記第1、第2の媒質中において前記複数の配置のそれぞれに配置されているときの透過波面を計算することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の屈折率計測装置。
  9. 前記計測手段は、シアリング干渉計を有することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の屈折率計測装置。
  10. 前記計測手段は、シャックハルトマンセンサを有することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の屈折率計測装置。
  11. 光学素子をモールド成形し、
    請求項1乃至4のいずれか一項の屈折率計測方法を用いて前記光学素子の屈折率を計測することによって、前記光学素子の光学性能を評価することを特徴とする光学素子の製造方法。
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