しかしながら、上記したリモコンを用いた暗証番号入力手法を用いたとしても、セキュリティ低下を防止する観点からリモコンに暗証番号を記憶させることは好ましくない。すなわち、リモコンを使用する場合であっても台間機一台一台に対して暗証番号を入力する必要があり、暗証番号入力の煩雑さは改善されず、回収作業の効率化を十分に図ることができない。したがって、回収作業に伴う従業員の負荷を軽減することができないという問題があった。
このため、上記した特許文献1あるいは特許文献2の技術を併せて用いることによって、リモコンによる一括解錠を行うことが考えられる。たとえば、周囲を通路で囲まれた遊技機のグループ(以下、「島」と記載する)を、一回の暗証番号入力で一括解錠することとすれば、暗証番号入力の煩雑さが改善されると考えられる。
しかし、島の一括解錠を行ってしまうと解錠不要な台間機の解錠も行われるので、従業員が解錠されたことに気付かずにその場を離れてしまうと鍵が解錠された台間機から紙幣を盗難されるおそれがある。特に、紙幣保留ユニットの紙幣がいっぱいになった場合など、紙幣回収作業は遊技店の営業時間内に行われることも多く、一般の遊技客が多い状態で鍵の解錠が行われると紙幣盗難のおそれはさらに高まってしまう。なお、一般の遊技客のみならず従業員による紙幣盗難を防止することも重要である。
これらのことから、回収作業に伴う暗証番号入力の煩雑さを改善することによって、回収作業の効率化を図ることができるとともに、回収作業のセキュリティ性の低下を防止することができる鍵制御システムおよび鍵制御方法をいかにして実現するかが大きな課題となっている。なお、かかる課題は、上記した台間機のみならず、鍵の施錠および解錠を行う鍵施錠装置についての鍵制御処理についても同様に発生する課題である。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、
施錠ユニットに格納された内容物の回収作業に伴う暗証番号入力の煩雑さを改善することによって、回収作業の効率化を図ることができるとともに、回収作業のセキュリティ性の低下を防止することができる鍵制御システムおよび鍵制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、鍵の解錠に暗証番号を必要とする施錠装置と、所定数の前記施錠装置が接続される中継装置と、前記中継装置を介して前記施錠装置を管理する管理装置とで前記施錠装置の施錠および/または解錠を制御する鍵制御システムであって、前記施錠装置は、前記暗証番号と複数の前記施錠装置を一括解錠する指示である一括解錠指示とを受け付けたならば、当該暗証番号の照合に成功したことを条件として前記中継装置に対して当該暗証番号または照合成功通知を送信する照合確認送信手段と、前記中継装置から所定の指示を受けた場合に、自装置の施錠状態を前記鍵の解錠に前記暗証番号を必要とする通常状態から前記暗証番号を必要とすることなく前記鍵の解錠が可能な状態である解錠待ち状態に遷移させる状態遷移手段とを備え、前記中継装置は、前記施錠装置から前記暗証番号を受信したならば、前記解錠待ち状態に遷移すべき旨の指示である解錠待ち指示を所定の施錠装置に対して送信する解錠待ち指示送信手段を備えたことを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、上記の発明において、前記管理装置は、前記一括解錠の対象となる複数台の前記施錠装置のグループを指定したグループ情報を記憶する記憶手段を備え、前記中継装置の前記解錠待ち指示送信手段は、前記施錠装置から前記暗証番号を受信したならば、前記管理装置の記憶手段から取得した前記グループ情報に基づき、当該施錠装置が含まれる前記グループ内のすべての施錠装置に対して前記解錠待ち指示を送信することを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、上記の発明において、前記管理装置の前記記憶手段が記憶する前記グループ情報は、各中継装置に接続されるすべての前記施錠装置を1つのグループとした情報であることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、上記の発明において、前記管理装置の前記記憶手段は、前記一括解錠の有効時間をさらに記憶し、前記施錠装置の状態遷移手段は、前記管理装置の記憶手段から取得した前記有効時間に基づき、前記解錠待ち指示を受信してから前記有効時間が経過したならば、当該施錠装置を前記解錠待ち状態から前記通常状態に遷移させることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、上記の発明において、前記施錠装置は、前記解錠待ち状態であることを報知する報知手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、請求項6に係る発明は、上記の発明において、前記施錠装置は、前記鍵が施錠されたならば、前記中継装置に対して前記鍵の施錠を通知する施錠通知手段をさらに備え、前記施錠装置の状態遷移手段は、前記解錠待ち状態への状態遷移にともなって前記鍵を解錠させ、前記中継装置の解錠待ち指示送信手段は、前記施錠装置から前記鍵の施錠を通知されたならば、前記一括解錠の対象に含まれる1台の施錠装置に対して前記解錠待ち指示を送信することを特徴とする。
また、請求項7に係る発明は、上記の発明において、前記施錠装置は、遊技機に並設されるとともに、紙幣の受け入れによって当該遊技機に対する遊技媒体の貸出処理を行う貸出処理機であり、受け入れた紙幣を保管する紙幣ユニットと、前記紙幣ユニットから紙幣回収を行う際に、前記鍵の施錠および解錠を行う施錠手段とをさらに備えたことを特徴とする。
また、請求項8に係る発明は、上記の発明において、前記施錠装置は、前記紙幣ユニットから回収された紙幣の総額を前記管理装置に対して送信する回収情報送信手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、請求項9に係る発明は、上記の発明において、前記解錠装置の回収情報送信手段は、前記紙幣ユニットから紙幣を回収した人を識別するための識別符号を前記管理装置に対して送信することを特徴とする。
また、請求項10に係る発明は、上記の発明において、前記施錠装置は、前記暗証番号および前記識別符号を含んだ解錠指示を、遠隔操作装置を介して受け取る遠隔操作受付手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、請求項11に係る発明は、上記の発明において、前記施錠装置は、前記暗証番号および前記識別符号を含んだ解錠指示を直接入力するための入力手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、請求項12に係る発明は、上記の発明において、前記管理装置は、前記施錠装置の解錠を許容する解錠許容通知を前記解錠装置に対して送信する解錠許容通知送信手段をさらに備え、前記施錠装置は、前記解錠許容通知を受信した後にのみ、前記鍵の解錠を可能とすることを特徴とする。
また、請求項13に係る発明は、鍵の解錠に暗証番号を必要とする施錠装置と、所定数の前記施錠装置が接続される中継装置と、前記中継装置を介して前記施錠装置を管理する管理装置とで前記施錠装置の施錠および/または解錠を制御する鍵制御方法であって、前記施錠装置は、前記暗証番号と複数の前記施錠装置を一括解錠する指示である一括解錠指示とを受け付けたならば、当該暗証番号の照合に成功したことを条件として前記中継装置に対して当該暗証番号または照合成功通知を送信する照合確認送信工程と、前記中継装置から所定の指示を受けた場合に、自装置の施錠状態を前記鍵の解錠に前記暗証番号を必要とする通常状態から前記暗証番号を必要とすることなく前記鍵の解錠が可能な状態である解錠待ち状態に遷移させる状態遷移工程とを含み、前記中継装置は、前記施錠装置から前記暗証番号を受信したならば、前記解錠待ち状態に遷移すべき旨の指示である解錠待ち指示を所定の施錠装置に対して送信する解錠待ち指示送信工程を含んだことを特徴とする。
また、請求項14に係る発明は、上記の発明において、前記管理装置は、前記一括解錠の対象となる複数台の前記施錠装置のグループを指定したグループ情報を記憶装置に記憶させる記憶工程を含み、前記中継装置の前記解錠待ち指示送信工程は、前記施錠装置から前記暗証番号を受信したならば、前記管理装置の前記記憶装置から取得した前記グループ情報に基づき、当該施錠装置が含まれる前記グループ内のすべての施錠装置に対して前記解錠待ち指示を送信することを特徴とする。
また、請求項15に係る発明は、上記の発明において、前記管理装置の前記記憶工程が記憶する前記グループ情報は、各中継装置に接続されるすべての前記施錠装置を1つのグループとした情報であることを特徴とする。
また、請求項16に係る発明は、上記の発明において、前記管理装置の前記記憶工程は、前記一括解錠の有効時間をさらに前記記憶装置に記憶させ、前記施錠装置の状態遷移工程は、前記管理装置の前記記憶装置から取得した前記有効時間に基づき、前記解錠待ち指示を受信してから前記有効時間が経過したならば、当該施錠装置を前記解錠待ち状態から前記通常状態に遷移させることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、施錠装置は、暗証番号と複数の施錠装置を一括解錠する指示である一括解錠指示とを受け付けたならば、この暗証番号の照合に成功したことを条件として中継装置に対してかかる暗証番号または照合成功通知を送信する照合確認送信手段と、中継装置から所定の指示を受けた場合に、自装置の施錠状態を鍵の解錠に暗証番号を必要とする通常状態から暗証番号を必要とすることなく鍵の解錠が可能な状態である解錠待ち状態に遷移させる状態遷移手段とを備え、中継装置は、施錠装置から暗証番号を受信したならば、解錠待ち状態に遷移すべき旨の指示である解錠待ち指示を所定の施錠装置に対して送信する解錠待ち指示送信手段を備えるよう構成したので、施錠装置の内容物の回収作業に伴う暗証番号の入力の煩雑さを改善することによって、回収作業の効率化を図ることができるとともに、回収作業のセキュリティ性の低下を防止することができるという効果を奏する。
また、請求項2の発明によれば、管理装置は、一括解錠の対象となる複数台の施錠装置のグループを指定したグループ情報を記憶する記憶手段を備え、中継装置の解錠待ち指示送信手段は、施錠装置から暗証番号を受信したならば、管理装置の記憶手段から取得したグループ情報に基づき、この施錠装置が含まれるグループ内のすべての施錠装置に対して解錠待ち指示を送信するよう構成したので、グループに属する施錠装置を柔軟に変更することができるとともに、施錠装置の状態として、暗証番号の入力が不要ではあるが解錠を行うためには何らかの操作が必要な状態である解錠待ち状態を設けることによって、施錠状態から解錠状態に直接遷移する場合と比較してセキュリティ性を向上させることができるという効果を奏する。
また、請求項3の発明によれば、管理装置の記憶手段が記憶するグループ情報は、各中継装置に接続されるすべての施錠装置を1つのグループとした情報であるよう構成したので、中継装置が行う処理を単純化することによって、中継装置の処理負荷を軽減することができるという効果を奏する。
また、請求項4の発明によれば、管理装置の記憶手段は、一括解錠の有効時間をさらに記憶し、施錠装置の状態遷移手段は、管理装置の記憶手段から取得した有効時間に基づき、解錠待ち指示を受信してから有効時間が経過したならば、この施錠装置を解錠待ち状態から通常状態に遷移させるよう構成したので、回収者が解錠待ち状態となっている施錠装置を見落とした場合であっても、自動的に施錠を行うことによってセキュリティ性を向上させることができるという効果を奏する。
また、請求項5の発明によれば、施錠装置は、解錠待ち状態であることを報知する報知手段をさらに備えるよう構成したので、解錠待ち状態であることを表示ランプなどを用いて報知することによって、回収者が解錠待ち状態となった台間機を見落とすことを効果的に防止することができるという効果を奏する。
また、請求項6の発明によれば、施錠装置は、鍵が施錠されたならば、中継装置に対して鍵の施錠を通知する施錠通知手段をさらに備え、施錠装置の状態遷移手段は、解錠待ち状態への状態遷移にともなって鍵を解錠させ、中継装置の解錠待ち指示送信手段は、施錠装置から鍵の施錠を通知されたならば、一括解錠の対象に含まれる1台の施錠装置に対して解錠待ち指示を送信するよう構成したので、施錠装置の解錠/施錠を順次行うことによって、回収作業の作業効率を高めることができるとともに、同時に解錠される施錠装置を限定することによってセキュリティ性を向上させることができるという効果を奏する。
また、請求項7の発明によれば、施錠装置は、遊技機に並設されるとともに、紙幣の受け入れによってこの遊技機に対する遊技媒体の貸出処理を行う貸出処理機であり、受け入れた紙幣を保管する紙幣ユニットと、紙幣ユニットから紙幣回収を行う際に、鍵の施錠および解錠を行う施錠手段とをさらに備えるよう構成したので、貸出処理機に内蔵された紙幣ユニットの施錠処理を適宜行うことによって、紙幣回収の作業効率を向上させることができるという効果を奏する。
また、請求項8の発明によれば、施錠装置は、紙幣ユニットから回収された紙幣の総額を管理装置に対して送信する回収情報送信手段をさらに備えるよう構成したので、管理装置で回収状況を集計することによって、回収金額の管理を効率的に行うことができるという効果を奏する。
また、請求項9の発明によれば、解錠装置の回収情報送信手段は、紙幣ユニットから紙幣を回収した人を識別するための識別符号を管理装置に対して送信するよう構成したので、回収作業に伴う不正行為を効果的に防止することができるという効果を奏する。
また、請求項10の発明によれば、施錠装置は、暗証番号および識別符号を含んだ解錠指示を、遠隔操作装置を介して受け取る遠隔操作受付手段をさらに備えるよう構成したので、リモコンによる解錠処理を可能とすることによって、回収者の作業負荷を軽減することができるという効果を奏する。
また、請求項11の発明によれば、施錠装置は、暗証番号および識別符号を含んだ解錠指示を直接入力するための入力手段をさらに備えるよう構成したので、回収者が暗証番号などの入力手段を柔軟に選択することができるという効果を奏する。
また、請求項12の発明によれば、管理装置は、施錠装置の解錠を許容する解錠許容通知を解錠装置に対して送信する解錠許容通知送信手段をさらに備え、施錠装置は、解錠許容通知を受信した後にのみ、鍵の解錠を可能とするよう構成したので、予定されていない回収作業を禁止することによって、回収作業のセキュリティ性を向上させることができるという効果を奏する。
また、請求項13の発明によれば、施錠装置は、暗証番号と複数の施錠装置を一括解錠する指示である一括解錠指示とを受け付けたならば、この暗証番号の照合に成功したことを条件として中継装置に対してかかる暗証番号または照合成功通知を送信する照合確認送信工程と、中継装置から所定の指示を受けた場合に、自装置の施錠状態を鍵の解錠に暗証番号を必要とする通常状態から暗証番号を必要とすることなく鍵の解錠が可能な状態である解錠待ち状態に遷移させる状態遷移工程とを含み、中継装置は、施錠装置から暗証番号を受信したならば、解錠待ち状態に遷移すべき旨の指示である解錠待ち指示を所定の施錠装置に対して送信する解錠待ち指示送信工程を含むよう構成したので、施錠装置の内容物の回収作業に伴う暗証番号の入力の煩雑さを改善することによって、回収作業の効率化を図ることができるとともに、回収作業のセキュリティ性の低下を防止することができるという効果を奏する。
また、請求項14の発明によれば、管理装置は、一括解錠の対象となる複数台の施錠装置のグループを指定したグループ情報を記憶装置に記憶させる記憶工程を含み、中継装置の解錠待ち指示送信工程は、施錠装置から暗証番号を受信したならば、管理装置の記憶装置から取得したグループ情報に基づき、この施錠装置が含まれるグループ内のすべての施錠装置に対して解錠待ち指示を送信するよう構成したので、グループに属する施錠装置を柔軟に変更することができるとともに、施錠装置の状態として、暗証番号の入力が不要ではあるが解錠を行うためには何らかの操作が必要な状態である解錠待ち状態を設けることによって、施錠状態から解錠状態に直接遷移する場合と比較してセキュリティ性を向上させることができるという効果を奏する。
また、請求項15の発明によれば、管理装置の記憶工程が記憶するグループ情報は、各中継装置に接続されるすべての施錠装置を1つのグループとした情報であるよう構成したので、中継装置が行う処理を単純化することによって、中継装置の処理負荷を軽減することができるという効果を奏する。
また、請求項16の発明によれば、管理装置の記憶工程は、一括解錠の有効時間をさらに記憶装置に記憶させ、施錠装置の状態遷移工程は、管理装置の記憶装置から取得した有効時間に基づき、解錠待ち指示を受信してから有効時間が経過したならば、この施錠装置を解錠待ち状態から通常状態に遷移させるよう構成したので、回収者が解錠待ち状態となっている施錠装置を見落とした場合であっても、自動的に施錠を行うことによってセキュリティ性を向上させることができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る鍵制御システムおよび鍵制御方法の実施例1〜2を詳細に説明する。なお、以下の説明においては、パチンコ店などの遊技店に設置されるパチンコ機やパチスロ機といった遊技機と並設され、遊技客によって紙幣が挿入されるとパチンコ玉やメダルを貸し出す台間機を用いて鍵制御システムを構成した場合について説明することとする。
各実施例の詳細な説明に先立って、本発明に係る鍵制御手法の特徴について説明する。図1は、本発明に係る鍵制御手法の特徴を示す図である。
同図に示すように、本発明に係る鍵制御手法では、管理装置10と、中継装置20と、台間機30とを用いて鍵制御システムを構成する。管理装置10は、遊技店に設置されたすべての台間機30を管理する装置であり、中継装置20は、管理装置10にLAN(Local Area Network)などの通信回線を介して接続され、自装置配下に複数台の台間機30を接続可能な装置である。
また、台間機30は、遊技機30aに併設され、遊技客によって紙幣が挿入されるとパチンコ玉やメダルを貸し出す処理を行うとともに、投入された紙幣をスタックする紙幣ユニットを内蔵した装置である。なお、管理装置10は、売り上げ情報などを外部の第三者機関に設けられた中央管理装置に対して所定のタイミング(たとえば、開店時や閉店時)に送信する。
従来、かかる紙幣ユニットから紙幣を回収する作業(以下、「回収作業」と記載する)を行う場合には、複数台の台間機30それぞれに対して暗証番号を入力する必要があった。この暗証番号の入力は、台間機30に設けられたテンキーなどの入力装置を介して行われていたが、回収作業を効率化する観点からリモコンによる暗証番号入力が行われるようになってきた。
しかし、リモコン内部に暗証番号を記憶させるとリモコン紛失時などに暗証番号が漏洩するおそれがあるため、回収作業を行う際には、リモコンに暗証番号を入力しては台間機30から紙幣回収を行うという作業を台間機30の台数分だけ繰り返す必要があった。したがって、リモコンを用いた暗証番号入力を行った場合であっても回収作業の効率はさほど向上していなかった。
このため、リモコンから送信された電波を複数台の台間機30が受信できるように構成し、リモコンに暗証番号を一度入力するのみで、複数台の台間機30を一括して解錠することも考えられる。しかしながら、台間機30を一括解錠すると、紙幣盗難のおそれが高まってしまうという問題があらたに発生する。すなわち、回収作業は、遊技客の遊戯中に行われることもあるため、回収作業を行う従業員の目が届かない台間機30が解錠されてしまうと内部の紙幣を盗難されるおそれがある。
そこで、本発明に係る鍵制御手法では、暗証番号を一度入力すると、入力された暗証番号を中継装置20を介して同じグループ内の他の台間機30に送信し、暗証番号を受信した他の台間機30は、暗証番号の入力を必要としない「解錠待ち」状態に状態遷移するよう構成した。そして、解錠待ち状態となった台間機30は、リモコンから解錠指示を受けてはじめて解錠状態となるよう構成した。したがって、暗証番号の入力回数を減少させることによって、回収作業を効率化することができるとともに、解錠待ち状態の台間機30の解錠にリモコン操作を必要としたので、紙幣盗難を効果的に防止することができる。
また、本発明に係る鍵制御手法では、各台間機30の暗証番号や、一括解錠の対象となる台間機30のグループ、回収作業を行う従業員を識別するための従業員番号などの設定情報を管理装置10に登録することとし、この設定情報を各中継装置20および各台間機30に配信するよう構成している。そして、台間機30から紙幣が回収された場合には、台間機30が紙幣の回収状況を管理装置10に対して報告するよう構成している。したがって、回収作業を管理装置10で一括して管理することができるので、回収作業に伴う不正やミスを効果的に防止することが可能となる。
具体的には、回収作業に先だって、管理装置10に上記した設定情報を登録すると(図1の(1)参照)、管理装置10は、中継装置20に対して登録された設定情報を送信する(図1の(2)参照)。そして、設定情報を受信した中継装置20は、所定の情報については自装置内の記憶部に記憶するとともに、各台間機30用の情報(たとえば、暗証番号や回収担当の従業員番号など)については各台間機30に対して送信する。
そして、回収作業を担当する従業員が、リモコン40に暗証番号を入力して(図1の(3)参照)所定の台間機30の回収作業を開始した場合には、この台間機30が中継装置20に対して入力された暗証番号を送信し(図1の(4)参照)、暗証番号を受信した中継装置20は、配下の台間機30に対して上記した解錠待ち指示を送信する(図1の(5)参照)。そして、従業員が解錠待ち指示を受信した台間機30から紙幣を回収する場合には、リモコン40で解錠指示を送信するのみで、すなわち、暗証番号の入力を必要とすることなく、台間機30の解錠が可能となる。
なお、各台間機30から紙幣が回収された場合には、台間機30が紙幣の回収状況を管理装置10に対して送信する。管理装置10は、各台間機30から受信した回収状況を蓄積することによって回収作業の状況を集計する。したがって、遊技店側では、集計された回収状況に基づき、従業員による回収作業が適正に行われたか否かを容易に判断することができる。
このように、本発明に係る鍵制御手法によれば、施錠ユニットに格納された内容物の回収作業に伴う暗証番号入力の煩雑さを改善することによって、回収作業の効率化を図ることができるとともに、回収作業のセキュリティ性の低下を防止することができる。
なお、以下に示す実施例1では上記した鍵制御手法を適用した鍵制御システムの基本構成について説明し、実施例2では実施例1に示す鍵制御システムの変形例について説明することとする。
図2は、実施例1に係る鍵制御システムのシステム構成例を示す図である。同図に示すように、管理装置10には複数台の中継装置20が接続されており、各中継装置20には複数台の台間機30が接続されている。中継装置20は、一般的には島コントローラと呼ばれる装置であり、周囲を通路に囲まれたスペース(島)に設けられた一群の台間機30や遊技機30aなどの装置を束ねる装置である。
図2に示したように、一台の中継装置20に接続された台間機30は上記した「島」を構成しており、従業員が台間機30から紙幣を回収する作業を行う場合には、上記した島ごとに回収作業を行うことが多い。
次に、図2に示した一つの「島」に属する台間機30から紙幣の回収作業を行う場面における鍵制御システムの処理概要について図3を用いて説明する。図3は、実施例1に係る鍵制御システムの処理概要を示す図である。なお、同図に示すリモコン40には、暗証番号などの番号を入力するための数字ボタンと、一括解錠あるいは個別解錠を指示することができる指示ボタンとが設けられているものとする。なお、同図に示した台間機30に示した番号(1〜10)は、台間機を識別するための台番号である。
図3に示したように、従業員がリモコン40に暗証番号を入力し、一括解錠ボタンを押下することによって台番号1の台間機30に対して一括解錠指示を送信(図3の(1)参照)した場合について説明する。暗証番号および一括解錠指示を受け付けた台番号1の台間機30は、受け付けた暗証番号が正当なものであることを条件として、自装置が接続された中継装置20に対して受け付けた暗証番号を送信する(図3の(2)参照)。そして、暗証番号を受信した中継装置20は、自装置に接続されたすべての台間機30に対して解錠待ち通知を送信する(図3の(3)参照)。
この解錠待ち通知を受信した各台間機30は「解錠待ち」状態に遷移するが、リモコン40から暗証番号および一括解錠指示を受け付けた台番号1の台間機30は、解錠待ち状態となることなく解錠処理を行う。一方、解錠待ち状態に遷移した各台間機30(図3の台番号2〜10の台間機30)は、従業員がリモコン40の個別解錠ボタンを押下したことをトリガーとして解錠処理を行う。
このように、従業員がリモコン40を用いて回収作業を行う際には、一つの島に属する一台の台間機30に対して暗証番号を入力すれば、他の台間機30には暗証番号を入力する必要がない。また、他の台間機30は、いきなり解錠処理を行うのではなく、解錠処理にはリモコン40による操作を必要とするので、紙幣盗難を効果的に防止することができる。
なお、図3においては、中継装置20に接続されたすべての台間機30に解錠待ち通知が送信される場合について説明したが、中継装置20に接続された台間機30を複数のグループに分割し、最初に解錠指示を受け付けた台間機30が属するグループに対して解錠待ち通知を送信するように構成してもよく、複数の中継装置20にまたがってグループを形成するように構成してもよい。
また、図3においては、最初に解錠指示を受け付けた台間機30に対しても解錠待ち通知が送信される場合について説明した。しかしながら、これに限らず、最初に解錠指示を受け付けた台間機30に対しては解錠待ち通知を送信せず、この台間機30は解錠指示に含まれる暗証番号が正当なものであることを条件としてただちに解錠処理を行うよう構成してもよい。
さらに、図3においては、最初に解錠指示を受け付けた台間機30が暗証番号を中継装置20に対して送信する場合について説明したが、これに限らず、暗証番号の照合に成功した旨をあらわす照合成功通知を中継装置20に対して送信するよう構成することとしてもよい。
次に、実施例1に係る鍵制御システムの構成装置である管理装置10の構成について図4を用いて説明する。図4は、実施例1に係る管理装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、管理装置10は、入力部11と、出力部12と、I/F部13と、記憶部14と、制御部15とを備えている。そして、記憶部14は、設定情報14aと蓄積データ14bとを記憶し、制御部15は、設定情報登録部15aと、設定情報送信部15bとをさらに備えている。
入力部11は、キーボードやマウス、CD−ROMなどの可搬記憶媒体の読み取り装置といった入力デバイスであり、各台間機30の暗証番号、台間機30のグループ、回収作業を行う従業員番号などの回収作業に伴う情報を入力するために用いられる。また、出力部12は、ディスプレイ装置や、プリンタ装置といった出力デバイスであり、上記した情報を入力するための画面や、回収状況をモニタするための画面などを表示したり、回収状況の集計結果をプリントアウトしたりといった処理を行う。また、I/F部13は、LANボードなどの通信デバイスから構成され、中継装置20や台間機30とのデータ送受信を行う。
記憶部14は、磁気ディスク装置や不揮発性メモリなどから構成された記憶部であり、各台間機30の暗証番号などの情報である設定情報14aおよび蓄積データ14bを記憶する。この蓄積データ14bは、回収作業の履歴を蓄積したデータである。たとえば、この蓄積データ14bは、回収作業を行った従業員番号、回収金額、回収日時などの項目を含んだデータであり、回収作業が行われた各台間機30から送信されたデータを蓄積したものである。
ここで、かかる設定情報14aの一例について図5―1および図5−2を用いて説明する。図5−1は、管理装置10の設定情報14aの一例を示す図であり、図5−2は、設定情報に関連付けられた従業員情報の一例を示す図である。なお、本実施例1においては、設定情報14aを図5−1および図5−2にそれぞれ示した2つのテーブルを用いて管理する場合について説明する。
すなわち、本実施例1では、台間機30の接続に関する情報(図5−1参照)と、台間機30に関する作業を行う従業員の情報(図5−2参照)とを別々のテーブルで管理する。しかしながら、これに限らず、図5−1および図5−2に示した各テーブルを1つのテーブルとして管理するよう構成してもよい。
図5−1に示すように、設定情報14aは、管理装置10に接続される中継装置20の識別番号をあらわす「中継装置」、各中継装置20に接続される台間機30の識別番号(台番号)をあらわす「台間機」、一括解錠の単位となる台間機30のグループをあらわす「グループ」、および、解錠待ち状態の有効時間をあらわす「有効時間」を含んだ情報である。
たとえば、「01」の中継装置20には、「01」〜「20」の20台の台間機30が接続されており、また、「01」〜「10」の台間機30はグループ「A」に属しており、回収作業の有効時間は「5分」であることが、「11」〜「20」の台間機30はグループ「B」に属しており、回収時間の有効時間は同じく「5分」であることがそれぞれ示されている。
また、「02」の中継装置20には、「01」〜「20」の20台の台間機30が接続されており、また、これらの台間機30は、すべてグループCに属しており、これらの台間機30についての回収作業の有効時間は「10分」であることが示されている。
また、図5−2に示したように、設定情報14aは、図5−1に示した情報に加えて、台間機30から紙幣を回収する作業を行うことが許可された従業員の一覧を示した情報(以下、「従業員情報」と記載する)を含んだ情報である。そして、この従業員情報は、回収作業を行う従業員の識別番号をあらわす「従業員番号」、各従業員に割り当てられた暗証番号をあらわす「暗証番号」、および、各従業員の氏名をあらわす「従業員氏名」を含んでいる。
たとえば、管理装置10の管理下にある台間機30の解錠操作を行うことができるのは、従業員番号が「01」〜「03」の3人であり、この従業員番号に対応した暗証番号および従業員氏名がそれぞれ示されている。なお、同図においては、解錠操作を行う従業員が3人だけ登録されている場合について説明したが、これに限らず、登録する従業員の人数は任意のものとすることができる。
このように、台間機30の回収作業を行う従業員番号、従業員の暗証番号、中継装置20や台間機30の接続情報、一括解錠の単位であるグループ情報などを管理装置10で一括して管理することによって、回収作業の管理や回収作業の変更を容易に行うことができるとともに、暗証番号を適宜変更することによって、セキュリティ性の低下を効果的に防止することができる。また、回収作業の有効時間を設定することによって、台間機30が「解錠待ち」のまま放置されることを防止することができる。
図4の説明に戻り、制御部15について説明する。制御部15は、上記した設定情報14aを記憶部14に登録する処理を行うとともに、記憶部14に登録された設定情報14aを各中継装置20に対して送信する処理を行う処理部である。なお、中継装置20の要求に対する応答として設定情報14aを送信することとしてもよく、制御部15が主体的に設定情報14aを送信することとしてもよい。
設定情報登録部15aは、出力部12に入力画面を表示するとともに、入力部11を介して受け付けた回収作業に関する情報を設定情報14aとして記憶部14に登録する処理を行う処理部である。また、この設定情報登録部15aは、中継装置20を介して取得した各台間機30の回収状況に基づき、蓄積データ14bを更新する処理を行う処理部でもある。たとえば、この更新処理では、各台間機30から紙幣回収を行った従業員番号および回収金額を図5−1に示した各台間機30の台番号ごとに登録していく。
設定情報送信部15bは、所定の時刻(たとえば、遊技店の開店時)や、中継装置20から要求があった際に、記憶部14の設定情報14aを中継装置20に対して送信する処理を行う処理部である。なお、中継装置20に送信された情報は、中継装置20に接続された各台間機30に中継される。図5−1に示した場合について説明すると、「01」の中継装置20には、「01」〜「20」の台間機30についての情報が送信され、この情報を受信した「01」の中継装置20は、各台間機30に対して、「従業員番号」、「従業員の暗証番号」および「有効時間」の項目を送信する。
たとえば、「01」の中継装置20に接続された「01」の台間機30には、有効時間が「5分」という情報が中継装置20によって送信される。なお、本実施例1では、中継装置20が自装置に接続された各台間機30に対応する情報を選択して送信する場合について示したが、管理装置10が各台間機30宛てにかかる情報を直接送信することとしてもよい。この場合、中継装置は、各台間機30宛ての情報を単に中継する処理を行うことになる。
次に、実施例1に係る鍵制御システムの構成装置である中継装置20の構成について図6を用いて説明する。図6は、実施例1に係る中継装置20の構成を示すブロック図である。同図に示すように、中継装置20は、I/F部21と、記憶部22と、制御部23とを備えている。そして、記憶部22は、グループ情報22aを記憶しており、制御部23は、中継部23aと、グループ情報登録部23bと、一括解錠指示受信部23cと、解錠待ち指示送信部23dとをさらに備えている。
I/F部21は、LANボードなどの通信デバイスから構成され、管理装置10および台間機30とのデータ送受信を行う。また、記憶部22は、磁気ディスク装置や不揮発性メモリなどから構成された記憶部であり、自装置に接続された台間機30の一括解錠の単位であるグループをあらわすグループ情報22aを記憶する。
このグループ情報22aは、上記した設定情報14aから「台間機」および「グループ」の項目を抽出したものである(図5−1参照)。たとえば、図5−1に示した「01」の中継装置20は、自装置に「01」〜「20」の20台の台間機30が接続されているという情報と、「01」〜「10」の台間機30はグループ「A」に、「11」〜「20」の台間機30はグループ「B」にそれぞれ属しているという情報をグループ情報22aとして記憶部22に記憶する。
制御部23は、管理装置10から受け取った設定情報14aを各台間機30に対して送信するとともに、上記したグループ情報22aを記憶部22に記憶させる処理を行う処理部である。また、この制御部23は各台間機30から受け取った一括解錠指示をトリガーとしてグループ情報22aを検索し、該当する台間機30に対して上記した「解錠待ち指示」を送信する処理を行う処理部でもある。
中継部23aは、管理装置20から送信された設定情報14aをI/F部21を介して受け取り、上記したグループ情報22aを抽出してグループ情報登録部23bに渡すとともに、該当する各台間機30に対して上記した「従業員」、「従業員の暗証番号」および「有効時間」の項目を送信する処理を行う処理部である。また、グループ情報登録部23bは、中継部23aが抽出したグループ情報22aを受け取り、記憶部22に記憶させる処理を行う処理部である。
一括解錠指示受信部23cは、リモコン40によって一括解錠指示を受け付けた台間機30から一括解錠指示を受信する処理を行う処理部である。また、解錠待ち指示送信部23dは、一括解錠指示受信部23cが一括解錠指示を受信したことをトリガーとして、記憶部22のグループ情報22aを検索し、該当する台間機30に対して解錠待ち指示を送信する処理を行う処理部である。
次に、実施例1に係る鍵制御システムの構成装置である台間機30の構成について図7を用いて説明する。図7は、実施例1に係る台間機30の構成を示すブロック図である。同図に示すように、台間機30は、リモコンI/F部31と、紙幣スタック部32と、表示部33と、I/F部34と、記憶部35と、制御部36とを備えている。
そして、記憶部35は、解錠条件35aと、金額情報35bとを記憶しており、制御部36は、解錠指示受取部36aと、判定部36bと、施錠処理部36cと、送信部36dと、解錠条件登録部36eと、解錠待ち受付部36fとをさらに備えている。なお、台間機30は、上記した島に固定された枠体30bと着脱可能に構成されており、上記したI/F部34は枠体30bに台間機30がセットされた状態において枠体30b内のI/F部30cと接続され、このI/F部30cを介して中継装置20とのデータ通信を行う。
リモコンI/F部31は、リモコン40との間で赤外線や電波を送受信することによってデータ交換を行うデバイスであり、受信したデータを制御部36の解錠指示受取部36aに渡す処理を行う。
紙幣スタック部32は遊技客によって挿入された紙幣の金種を判定するとともに、取り込んだ紙幣を内部に蓄積する装置であり、さらに、判定した金種に基づいて記憶部35の金額情報35bを更新する処理を行う。また、この紙幣スタック部32には制御部36の施錠処理部36cによって解錠/施錠が行われる鍵が設けられている。なお、紙幣スタック部32に蓄積した紙幣の合計金額を算出する機能を持たせることとし、紙幣回収の検知などをトリガーとして算出した合計金額を金額情報35bとして登録することとしてもよい。
表示部33は、上記した「解錠待ち」状態を目視にて確認できるように、状態ランプなどによって構成された表示デバイスである。たとえば、通常の施錠状態では青色ランプを点灯させ、解錠待ち状態では青色ランプを点滅させることで従業員が解錠待ち状態を容易に判別することができる。
なお、本実施例1においては、状態ランプを用いて解錠待ち状態を表示するよう構成したが、液晶ディスプレイ(図示せず)などの表示装置に解錠待ち状態を表示することとしてもよい。また、従業員が装着したヘッドセット(図示せず)に解錠待ち状態の台間機30が存在することを音声で通知したり、リモコン40を振動させることによって解錠待ち状態の台間機30が存在することを通知したりすることとしてもよい。
I/F部34は、枠体30bのI/F部30cに接続されることによって、中継装置20や管理装置10とデータ送受信を行うデバイスである。このI/F部30は、制御部36から受け取ったデータを中継装置20などの外部装置に送信するとともに、外部装置から受け取ったデータを制御部30に渡す処理を行う。
記憶部35は、磁気ディスク装置や不揮発性メモリなどから構成された記憶部であり、中継装置20を介して受け取った解錠条件35aと、紙幣スタック部32から受け取った蓄積紙幣の総額をあらわす金額情報35bとを記憶する。
ここで、かかる解錠条件35aの一例について図8−1および図8−2を用いて説明しておく。図8−1は、台間機30の解錠条件35aの一例を示す図であり、図8−2は、解錠条件に関連付けられた従業員情報の一例を示す図である。なお、本実施例1においては、解錠条件35aを図8−1および図8−2にそれぞれ示した2つのテーブルで管理する場合について説明する。
すなわち、本実施例1では、台間機30の解錠動作に関する情報(図8−1参照)と、台間機30に関する作業を行う従業員の情報(図8−2参照)とを別々のテーブルで管理する。しかしながら、これに限らず、図8−1および図8−2に示した各テーブルを1つのテーブルとして管理するよう構成してもよい。
図8−1および図8−2に示すように、解錠条件35aは、管理装置10の設定情報14aに基づき、中継装置20の中継部23aが抽出した条件である。具体的には、この解錠条件35aは、各台間機35を解錠するための条件であり、回収作業を行う従業員の識別番号をあらわす「従業員」と、各従業員に割り当てられた暗証番号をあらわす「従業員の暗証番号」と、解錠待ち状態の「有効時間」と、解錠待ち通知を受け付けた場合の「解錠動作」とを含んだ情報である。
なお、上記した「従業員」および「従業員番号」については図8−1に、「有効時間」および「解錠動作」については図8−2にそれぞれ示している。また、上記した「施錠動作」は省略することとしてもよい。解錠条件35aから「施錠動作」を省略した場合、各台間機30には「施錠動作」に対応する情報が固定的に設定されることになる。
図8−1に示した場合について説明すると、解錠待ち状態の有効時間は「5分」である。また、リモコン40からの一括解錠指示があった場合、言い換えれば、暗証番号および一括解錠指示を最初に受け付けた台間機30である場合には、「解錠」状態に遷移し、かかる一括解錠指示がなかった場合、言い換えれば、上記した他の台間機30である場合には、解錠待ちに遷移することが示されている。
また、図8―2に示した場合について説明すると、この台間機30の解錠操作を行うことができるのは、従業員番号が「01」〜「03」の3人であり、各従業員に割り当てられた暗証番号がそれぞれ、「1234」、「5678」、「7812」であることが示されている。なお、上記した3人の従業員は、それぞれ、携帯しているリモコン40を用いることによって、同一グループに含まれる台間機30に対して暗証番号を送信済であるものとする。
図7の説明に戻って、金額情報35bについて説明する。金額情報35bは、紙幣スタック部32によって登録される情報であり、紙幣スタック部32が検知した蓄積紙幣の総額をあらわす情報である。なお、本実施例1においては、紙幣が挿入されるたびに金額情報35bが更新される場合について説明したが、紙幣回収時に蓄積紙幣の総額を金額情報35bとして算出し、算出した金額情報35bを記憶部35に登録するように構成してもよい。また、紙幣スタック部32が内部から取り出された紙幣を検出する機能を有している場合には、取り出された紙幣の総額を金額情報35bとして登録することとしてもよい。
制御部36は、リモコン40などから暗証番号および解錠指示を受け付けるとともに、受け付けた暗証番号が正当であることを条件として、受け付けた暗証番号を中継装置20に対して通知し、中継装置20から解錠待ち通知を受信した場合には、解錠条件35aに基づき解錠動作を制御する処理を行う処理部である。なお、本実施例1では、リモコン40を介して暗証番号、従業員番号および解錠指示(一括解錠指示あるいは個別解錠指示)を受け付ける場合について説明する。
解錠指示受取部36aは、リモコンI/F部31を介して暗証番号、従業員番号および解錠指示を受け取り、受け取ったデータを判定部36bに渡す処理を行う処理部である。なお、この解錠指示受取部36aは、受け取ったデータのフォーマットが不正である場合、たとえば、暗証番号や従業員番号の桁数が規定外の場合などには、判定部36bにデータを渡さないよう構成してもよい。また、この場合には、フォーマットが不正である旨を表示部33に表示することとしてもよい。
判定部36bは、解錠指示受取部36aから渡されたデータと、記憶部35の解錠条件35aとが一致するか否かを判定し、解錠待ち状態に遷移した場合には、解錠待ち状態であることを、表示部33を用いて報知する処理を行う処理部である。たとえば、リモコン40から一括解錠指示を受け付けた台間機30(以下、「最初の台間機30」と記載する)である場合には、解錠指示受取部36aから渡された従業員番号および暗証番号が、図8−2に示した「従業員」および「暗証番号」の値と一致するか否かを判定する。そして、これらの値が一致した場合には、中継装置20から解錠待ち通知を受信すると施錠処理部36cに対して解錠を指示する。
また、上記した他の台間機30である場合には、リモコン40からの個別解錠指示とともに取得した従業員番号が、図8―2に示した「従業員」の値と一致するか否かを判定することになる。なお、本実施例1においては、最初の台間機30が、中継装置20から解錠待ち通知を受信したことを条件として紙幣スタック部32の解錠を行う場合について説明したが、判定部36bが従業員番号および暗証番号が正当であると判定したならば、ただちに紙幣スタック部32の解錠を行うよう構成してもよい。
施錠処理部36cは、判定部36bの指示に基づき、紙幣スタック部32に設けられた鍵の施錠および解錠を制御する処理部である。たとえば、この施錠処理部36cは、判定部36bから解錠指示を受け付けたならば、紙幣スタック部32の鍵を解錠する処理を行う。また、解錠待ち状態の有効時間が経過したならば、紙幣スタック部32の鍵を施錠する処理を行う。
送信部36dは、判定部36が正当と判定した暗証番号をI/F部34を介して中継装置20に対して送信する処理を行う処理部である。また、この送信部36dは、記憶部35の金額情報35bを、紙幣スタック部32が施錠されたことなどをトリガーとして中継装置20を経由して管理装置10に対して送信する処理を行う処理部でもある。
解錠条件登録部36eは、管理装置10から受け取った解錠条件35aを記憶部35に登録する処理を行う処理部である。また、解錠待ち受付部36fは、中継装置20から受け取った解錠待ち通知を判定部36bに渡す処理を行う処理部である。
次に、上記した鍵制御システムの初期処理における処理手順について図9を用いて説明する。図9は、実施例1に係る鍵制御システムの初期処理における処理手順を示すフローチャートである。
図9に示すように、管理装置10の設定情報登録部15aが設定情報14aを登録すると(ステップS101)、設定情報送信部15bが所定のタイミング(たとえば、遊技店の開店時など)において、設定情報14aを中継装置20に送信し(ステップS102)、管理装置10は処理を終了する。
つづいて、この設定情報14aを受信した中継装置20は、グループ情報登録部23bが台間機30のグループに関する情報を抽出したうえで、抽出した情報をグループ情報22aとして記憶部22に記憶する(ステップS103)。そして、中継部23aが各台間機30に対応する解錠条件をそれぞれの台間機30に対して送信し(ステップS104)、中継装置20は処理を終了する。この解錠条件を受信した台間機30は、受信した解錠条件を解錠条件登録部36eが解錠条件35aとして記憶部35に記憶し(ステップS105)、処理を終了する。
次に、上記した鍵制御システムの解錠処理における処理手順について図10を用いて説明する。図10は、実施例1に係る鍵制御システムの解錠処理における処理手順を示すフローチャートである。なお、同図においては、リモコン40による一括解錠の指示を受け付けた台間機30を「最初の台間機」と、最初の台間機と同一グループに属する台間機30を「他の台間機」とあらわしている。
最初の台間機30のリモコンI/F部31が、リモコン40から従業員番号および暗証番号を受信すると(ステップS201)、判定部36bが記憶部35の解錠条件35aと、リモコン40から受信した従業員番号および暗証番号とを照合する(ステップS202)。そして、照合結果がOKである場合には(ステップS203,Yes)、中継装置に対してステップS201で取得した従業員番号および暗証番号を送信する(ステップS204)。一方、照合結果がNGである場合には(ステップS204,No)、台間機30は処理を終了する。
つづいて、台間機30から暗証番号を受信した中継装置20は、解錠待ち指示送信部23dが記憶部22のグループ情報22aに基づき、同一グループの台間機30に対して解錠待ち指示を送信し(ステップS206)、処理を終了する。そして、中継装置20から解錠待ち指示を受信した最初の台間機30は、施錠処理部36cが紙幣スタック部32の解錠処理を行って(ステップS205)処理を終了する。
また、中継装置20から解錠待ち指示を受信した他の台間機30は、判定部36bが解錠待ち状態に遷移したことを表示部33を用いて報知する(ステップS207)。そして、解錠待ち状態に遷移して所定時間が経過したか否かを判定し(ステップS208)、解錠条件35aに含まれる有効時間が経過した場合には(ステップS208,Yes)、解錠待ち報知を解除する(ステップS211)とともに紙幣スタック部32の鍵を施錠して処理を終了する。
一方、所定時間が経過していない場合には(ステップS208,No)、リモコン40からの解錠指示(個別解錠指示)があるか否かを判定する(ステップS209)。そして、リモコン40から解錠指示を受信した場合には(ステップS209,Yes)、解錠処理をおこなったうえで(ステップS210)、解錠待ち報知を解除して(ステップS211)処理を終了する。一方、リモコン40から解錠指示を受信していない場合には(ステップS209,No)、ステップS208以降の処理を繰り返す。
次に、上記した鍵制御システムの回収処理における処理手順について図11を用いて説明する。図11は、実施例1に係る鍵制御システムの回収処理における処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、台間機30が回収者の従業員番号を受け取ると、紙幣スタック部32が回収検知処理を行い(ステップS301)、回収を検知した場合には(ステップS301,Yes)、回収者の従業員番号および回収金額を中継装置20に対して送信し(ステップS302)、処理を終了する。一方、回収を検知しなかった場合には(ステップS301,No)、ステップS301の処理を繰り返すことになる。
つづいて、台間機30から従業員番号および回収金額を受信した中継装置20は、受信した従業員番号および回収金額を管理装置10に対して送信し(ステップS303)、処理を終了する。そして、中継装置10から従業員番号および回収金額を受信した管理装置10は、回収履歴を記憶部22に登録して(ステップS304)処理を終了する。
上述してきたように、本実施例1では、リモコンによる一括解錠指示を受けた最初の台間機が、リモコンから受け取った暗証番号が正当なものであることを条件としてこの暗証番号を中継装置に対して送信し、中継装置は、管理装置から取得したグループ情報に基づき、最初の台間機が含まれるグループの台間機に対して解錠待ち指示を送信し、この解錠待ち指示を受信した他の台間機は自装置の状態を解錠待ち状態に遷移させ、リモコンによる個別解錠指示を受けた場合に鍵の解錠を行うよう構成した。また、各台間機は、回収された紙幣の総額および回収作業を行った従業員の従業員番号を管理装置に対して送信するよう構成した。したがって、施錠ユニットに格納された内容物の回収作業に伴う暗証番号入力の煩雑さを改善することによって、回収作業の効率化を図ることができるとともに、回収状況を集計することによって、回収作業のセキュリティ性の低下を防止することができる。
なお、上記した実施例1では、各台間機がリモコンを介して暗証番号や従業員番号を取得する場合について説明したが、これに限らず、台間機に設けられたテンキーなどの操作部を介して暗証番号や従業員番号を取得するよう構成してもよい。また、最初の台間機が受け取った従業員番号を、中継装置を介して他の台間機へ送信することとし、他の台間機においては、リモコンから受け取った従業員番号と、最初の台間機から受け取った従業員番号との照合に成功したことを条件として鍵の解錠を行うこととしてもよい。
以下の実施例2では、実施例1に示した鍵制御システムの変形例について説明することとする。なお、以下では、実施例1との差異点について主に説明することとし、共通点についての説明は省略することとする。