JP2007032097A - 大梁と小梁の高力ボルト接合施工方法と接合構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 接合金物の小梁側接合部のボルト孔の少なくとも1個を長径が大梁側接合部方向にある長孔のボルト孔とし、この長孔のボルト孔に高力ボルトを挿通しこのボルトを軸に小梁ウェブに回動・移動可能に仮締結し、接合金物を小梁側に退避させた状態で、大梁間に小梁を吊り下げてまたは吊り上げて位置合わせした後、接合金物を水平位置まで回動及び移動して大梁に接合し、仮締結しておいた接合金物と小梁を本締結する。
【選択図】 図2
Description
(1).図12(a)、(b)で示すように、大梁1の上下フランジ1a、1bとウェブ1u間にボルト孔を有するガセットプレート3を溶接し、この大梁1のガセットプレート3形成部に、小梁2の端部を直交方向から間隙eを設けて突き合わせるように配置し、ガセットプレート3と小梁2のウェブ2uに、ボルト孔を有する添板10を当接して高力ボルト5で接合する高力ボルト接合構造。
(2).図13(a)、(b)で示すように、大梁1の側部に、フランジ1a、1bの側端からボルト孔を有するボルト接合部3aを突設したガセットプレート31を溶接し、この大梁1のガセットプレート31形成部に小梁2の端部を直交方向から間隙eを設けて突き合わせるように配置し、ガセットプレート31のボルト接合部3aに、小梁2のウェブ2uを当接して高力ボルト5で接合する大梁と小梁の高力ボルト接合構造。
あるいは、(1)〜(2)の接合構造を組み合わせた大梁と小梁の接合構造などが知られている。
(1)の接合構造では、大梁1を設置した後に小梁2を、例えば上方から大梁1と直交するように垂直に吊り下げて接合する場合では、添板10が大梁1と小梁2の上フランジと干渉するため、大梁1と小梁2の位置合わせ後に添板10を当接・位置合わせしてからボルト接合を開始する必要があり、接合の施工時間が長くなるという問題もある。
(2)の接合構造では、大梁1を設置した後に小梁2を上方から大梁1と直交するように、垂直に吊り下げて接合する場合では、大梁1のガセットプレート3と小梁2の上フランジ2aが干渉しないように小梁2の下フランジ2bを接合部で切り欠く必要があり、小梁2の端部加工の負担増があるなどの問題もある。
また、特許文献2には、小梁に高力ボルト接合部になるガセットプレートと、スチフナプレートを設けて、大梁のガセットプレートを高力ボルトにより剛接合して、接合構造の強度と剛性を有し、運搬も施行(施工)も容易なボルト接合構造が開示されている。
しかし、特許文献1、特許文献2のボルト接合構造では、いずれも上記(1)〜(2)と同様、大梁にガセットプレートを溶接するものであるため、上記(1)〜(2)と同様の問題があり、特許文献1のボルト接合構造では、さらにガイド板を併設する必要があるため、加工、施工負担が増加するという問題がある。
特許文献3には、従来例として、大梁のウェブにアングルを取り付け、これに小梁をボルトで固定することが開示されている。
しかし、この例では大梁を設置した後に小梁を上方から大梁と直交するように吊り下げて接合する場合では、大梁に取り付けたアングルが小梁の下フランジと干渉するため、小梁を、下フランジがアングルと干渉しない、接合部から若干離れた位置に吊り下げてから横移動し、そのウェブをアングルに当接位置合わせして接合する必要がある。また、一対のアングルを用い、アングルを小梁ウェブの両側に接合して接合部強度を高める場合では、例えば一方のアングルと小梁を当接してから、他方のアングルを大梁に取り付け小梁ウェブの他方側に当接してボルト接合する必要があり、接合施工時間が長くなるという問題がある。
また、特許文献4には、大梁と小梁の接合にL字型の小梁取付用金具を用いてボルト接合するものがあるが、本願のようにL型の接合金物の1つのボルト孔を長径にして、接合金物を回動しながら大梁に接合し、または、この接合金物の大梁接合側と小梁接合側のボルト孔を偏心させるなどして大梁に対する圧縮力作用領域を広くしたものについて開示はない。
(1) 大梁間に小梁を交叉するように配置し、大梁ウェブと小梁ウェブとのボルト接合部を有する接合金物を介して高力ボルト接合する大梁と小梁の高力ボルト接合施工方法であって、接合金物の小梁接合部のボルト孔の少なくとも1個を、大梁接合部方向に長径を有する長孔のボルト孔とし、1個の長孔のボルト孔に挿通したボルトで小梁接合部を小梁ウェブに回動および移動可能に仮締結し、ボルトを軸に回動させて接合金物を小梁側に退避させた状態の小梁を、大梁間に配置し、大梁と小梁のウェブ上面を位置合わせし、退避状態にある接合金物を水平位置まで回動及び移動し、大梁接合部を大梁ウェブに当接して高力ボルトで締結し、仮締結しておいた小梁接合部と小梁ウェブを本締結することを特徴とする、大梁と小梁の高力ボルト接合施工方法。
(2) 大梁間に小梁を大梁と交叉するように配置し、大梁のウェブと小梁のウェブとのボルト接合部を有する接合金物を介して高力ボルト接合した大梁と小梁の高力ボルト接合構造であって、接合金物の小梁接合部のボルト孔の少なくとも1個が、大梁接合部方向に長径を有する長孔のボルト孔で、接合金物の小梁接合部の上端面と小梁の上フランジの下面との間に、接合金物が1個の長孔のボルト孔に挿通したボルトを軸に垂直位置から水平位置に至る回動過程で小梁の上フランジの下面に干渉しないように干渉回避空間を形成したことを特徴とする大梁と小梁の高力ボルト接合構造で、基本的には、(1)の大梁と小梁の高力ボルト接合施工方法によって得るものである。
(3) (2)において、大梁のウェブ両側の相対する位置に、接合金物を介して小梁が高力ボルト接合されており、大梁のウェブ両側の相対する位置に当接された接合金物の大梁接合部が、大梁のウェブに少なくとも1本の高力ボルトで同時に締結されていることを特徴とする大梁と小梁の高力ボルト接合構造。
(4) (2)または(3)において、大梁のウェブに接合され水平位置にある接合金物の大梁接合部のボルト孔が、小梁接合部の長孔ボルト孔の位置より上方側に位置し、小梁から大梁のウェブに対する曲げモーメントによる圧縮力作用領域を広げることを特徴とする大梁と小梁の高力ボルト接合構造。
(5) (2)〜(4)のいずれかにおいて、接合金物の小梁接合部の幅を、長孔のボルト孔より後端側から大梁接合部まで傾斜的に大きくして、大梁のウェブに接合され水平位置にある接合金物の大梁接合部のボルト孔の下部側領域を上側領域より大きくして、小梁から大梁のウェブに対する曲げモーメントによる圧縮力作用領域域を広げることを特徴とする大梁と小梁の高力ボルト接合構造。
(6) (2)〜(5)のいずれかにおいて、接合金物の下面と小梁端面と大梁の下フランジ間に形成された空間に各種ケーブルやホースを収納するダクトを配設したことを特徴とする大梁と小梁の高力ボルト接合構造。
本発明では、基本形がL型の接合金物を必要とするが、これらは例えば成形材(溝形鋼や山形鋼などの形鋼を含む)からの切り出しやボルト孔(長孔と通常孔)の孔明けを主体とする比較的軽微な量産加工で安価に得られるものであり、大梁や小梁にガセットプレートを溶接しない接合構造であり、ガセットプレートの材料・加工・溶接を省略でき、接合施工コストを削減するとともに接合施工時間を短縮することができる。
また、大梁側では高力ボルト引張接合構造とし、大梁と小梁間の引張応力を接合金物経由で高力ボルトを介して伝達するとき、例えば、接合金物における大梁接合部のボルト孔の下側領域を上側領域より大きくすることにより、大梁に対する圧縮力作用領域を広くして、この領域でボルト接合を省略することもできる。
したがって、合理的で現実的な接合部を安価に実現でき、接合部性能を安定確保することができる。特に大梁の両側部の相対する位置に小梁を接合する場合には、これらの効果は顕著である。
本発明では接合される側の鋼製梁を「大梁」、この大梁に接合する側の鋼製梁を「小梁」と称する。
本発明は、より具体的には、例えば、鉄骨建築物の床部や屋上部などを構築する場合に、大梁を、建て込み後の複数対の鉄骨柱間に設置(接合)して、隣合う大梁間に、小梁を吊り下げまたは吊り上げて大梁と交叉するように配置・位置決めし、接合金物を介して高力ボルト接合する大梁と小梁の高力ボルト接合施工方法と接合構造として適用するものである。
また、大梁、小梁に、高力ボルト接合のためのガセットプレートを用いないことに加え、大梁、小梁のフランジやウェブに切欠加工を施す必要がないことから、材料・加工コストの低減も可能で、接合施工コストの大幅低減、接合施工時間を大幅に短縮可能にするものである。
[接合構造の実施形態例1]
図1(a)、(b)は、本発明の接合施工方法によって、ここではH形鋼梁からなる大梁1とH形鋼梁からなる小梁2の一方の端部を、一対の接合金物4と高力ボルト5、5sを介して接合し得られた大梁1と小梁2の高力ボルト接合構造の基本的な実施形態例1を、接合が完了した状態で部分的に示したものである。
ここでは、小梁2は、上フランジ2aの上面を大梁1の上フランジ1aの上面と面一(小梁2は、上フランジ2aの下面を大梁1の上フランジ1aの下と面一にする場合もある。)にして、上フランジ2aの先端と大梁1の上フランジ1aの側端間に10mm前後の間隙eを生じるように、大梁1に対して交叉配置(ここでは直交配置につき以下「直交配置」ともいう。)している。
小梁2のウェブ2uの両側には、図1(b)に示すように、相対するように配置した一対の接合金物4の小梁接合部4aを、ここでは1本の高力ボルト5で同時に締結し、この一対の接合金物4の大梁接合部4bを、大梁1のウェブ1uの上部に、それぞれ1本の高力ボルト5sで締結して大梁1と小梁2を接合している。ここでは、接合金物4の大梁接合部4bと小梁接合部4aにおける高力ボルト5、5sの軸中心は接合金物4の中心線上に位置している。
この接合金物4は、大梁1間に小梁2を直交配置する前に、予め小梁接合部4aの長孔のボルト孔4oに高力ボルト5(仮ボルト使用でも可)を挿通し小梁2のウェブ2uに軽度の外力(例えば手動)で回動・移動可能に仮締結して、長孔のボルト孔4oの特性によって、高力ボルト5を軸として、ここでは90度の回動と距離d(小梁接合部4aが高力ボルト5に仮締結した状態では長孔のボルト孔4o効果で長軸側で移動できる距離)の範囲で移動可能にするものである。
この例では、小梁2側で垂直位置(中心線位置X)にあり退避状態にある接合金物4を、大梁1との接合位置である水平位置(中心線位置Z)まで回動するが、高力ボルト5の軸心から大梁接合部4bの接合面までの距離(回動半径)を最大Lに固定した場合、回動途中(中心線位置Y)で大梁接合部4bの角部Aが大梁1のウェブ1uに干渉して円滑な回動ができない。
そこで、接合金物4を小梁2側(高力ボルト5の軸方向)に押し付けて距離dの範囲内で後退させ、高力ボルト5の軸心から大梁接合部4bの接合面までの距離(回動半径)を最小Lsにして回動させることによって接合金物4の大梁接合部4aの角部Aと大梁1のウェブ1uと干渉しても接合金物4の回動に支障がないようにする。
ここでは、接合金物4の回動と距離dの範囲の移動を、分離して行うように説明したが、同時的に行って接合金物4を垂直位置から水平位置まで連続的に回動・移動し位置合わせすることもできる。
この干渉回避空間aは、接合金物4を長孔のボルト孔4oに挿通した高力ボルト5を軸とし距離(回動半径)を最短Lsにして回動するときの高力ボルト5の軸心から角部Bまでの距離に応じて決めるものであり、接合金物4を長孔のボルト孔4oに挿通した高力ボルト5を軸とし距離(回動半径)を最短Lsにして回動するときに、接合金物4の後端の角部Bが小梁2の上フランジの2a下面と干渉しない範囲内で、なるべく小さくすることが、安定した接合部を確保するために好ましい。
また、接合金物4の大梁接合部4bのボルト孔4sは標準的なボルト孔にしているが、最終の締結時に位置を、より容易に微調整できるように、長孔のボルト孔にしてもよい。(請求項2および請求項1の実施形態例に相当)。
図1(a)、(b)の接合構造を得るための接合施工方法例について、図3(a)、(b)、(c)、(d)に基づいてより具体的に説明する。
なお、接合金物4は、小梁2のウェブ2uの両側に相対するように配置されるが、ここでは、一側の接合金物4と、例えば鉄骨柱間に接合・設置された一方の大梁1と小梁2の一方の端部の接合部を代表として部分的に示した。
接合金物4は、小梁接合部4aの長孔のボルト孔4o(高力ボルト5の軸径の1.5〜2.5倍程度)に挿通した高力ボルト5を軸として回動し、距離d(L−Ls)程度の範囲内で移動(変位)可能なように、高力ボルト5で仮締結され、軽度の外力(例えば手動)で容易に回動・移動可能である。図中の高力ボルト5は、仮締結した状態の軸部断面で示している。
ここでは、接合金物4を大梁接合部4bが下方になる垂直位置で小梁2側に退避状態にした小梁2を、端部と大梁1の側部間に間隙eを維持しながら大梁1と直交するように垂直方向に吊り下げて行く。このとき、接合金物4は小梁2側で退避位置にあり、大梁1の上フランジ1aに干渉することはなく、小梁2を大梁1間に、所定の間隙eを形成して接合位置まで円滑に吊り下げて行くことができる。
(3) 図3(c)は、図3(b)の状態から、垂直位置(退避位置)にあった接合金物4を押し上げながら、水平位置(接合位置)まで回動・移動させる途中の状態を示している。この過程では、接合金物4の大梁接合部4bの大梁1との接合面を、長孔のボルト孔4oに挿通した高力ボルト5の軸中心から最長の距離(回動半径)Lの位置から、長孔のボルト孔4oに挿通した高力ボルト5の軸中心から最短の距離(回動半径)Lsの位置に変化させて回動することにより、接合金物4の大梁接合部4bの角部Aが大梁1のウェブ1uと干渉しても接合金物4を支障なく水平位置まで回動させることができる。
接合金物4を図3(c)の状態から、水平位置まで回動したままでは、大梁接合部4bの大梁1との接合面は、長孔のボルト孔4oに挿通した高力ボルト5の軸中心から最長の距離(回動半径)Lの位置にあり、大梁1のウェブ1から距離d(L−Ls)程度離れているため、接合金物4を大梁1側に押しつけて大梁接合部4bの大梁1との接合面を大梁1のウェブ1uに当接し、ボルト孔4sを大梁1のボルト孔1oに位置合わせする。
図3(d)の状態で、接合金物4の大梁接合部4bと大梁1のウェブ1uを高力ボルト5sで締結し、仮締結してある小梁2のウェブ2uと接合金物4の小梁接合部4aを接合する高力ボルト5を本締結するものである。
このようにして、図1(a)、(b)に示すような大梁1と小梁2の高力ボルト接合構造を得ることができる。
図4は、本発明の接合施工方法によって、大梁1と小梁2の一方の端部を、一対の接合金物41と高力ボルト5、5sを介して接合し得られた大梁1と小梁2の高力ボルト接合構造の実施形態例2を部分的に示したものである。
図4(a)は、小梁2を高力ボルト5で仮締結した接合金物41を垂直位置(退避位置)から水平位置(接合位置)に回動・移動して、大梁接合部を大梁1のウェブ1uに当接した状態を示し、図4(b)は、接合が完了した状態を示す。なお、図4(b)の側面図は、実施形態例1での図1(b)と同様になるので、ここでは図示を省略する。
この実施形態例2は、基本的には、図3(a)〜(d)で示すような接合施工方法で得られるものであり、図4(a)に示すように、接合金物41を長くして小梁接合部4aに長孔のボルト孔4oと標準的なボルト孔4sを接合金物41の中心線上に配置し、図4(b)に示すように、接合金物41の小梁接合部4aを小梁2のウェブ2uに2本の高力ボルト5、5sで締結するものである。接合構造の実施形態例1と共通する部分については説明を一部省略する。
図5は、本発明の接合施工方法によって、H形鋼梁からなる大梁1とH形鋼梁からなる小梁2の一方の端部を、一対の接合金物42と高力ボルト5、5sを介して接合し得られた大梁1と小梁2の高力ボルト接合構造の実施形態例3を部分的に示したものである。
図5(a)は、小梁2を高力ボルト5で仮締結した接合金物41を垂直位置(退避位置)から水平位置(接合位置)に回動・移動して、大梁接合部4bを大梁1のウェブ1uに当接した状態を示し、図5(b)、(c)は、接合が完了した状態を示す。
この実施形態例3は、基本的には、図3(a)〜(d)で示すような接合施工方法で得られるものであり、図5(a)に示すように、接合金物42を幅広にして小梁接合部4aに長孔のボルト孔4oと標準的なボルト孔4sを同じ垂直線上に配置し、大梁接合部4bにも、小梁接合部4aのボルト孔4o、4sと対応して同じ水平線上に2個の標準的なボルト孔4sを同じ垂直線上に配置し、図5(b)に示すように、接合金物42の小梁接合部4aを小梁2のウェブ2uに2本の高力ボルト5、5sで締結し、大梁接合部4bを大梁1のウェブ1uに2本の高力ボルト5sで締結する。実施形態例1、実施形態例2と共通する部分については説明を一部省略する。
(請求項2の実施形態例に相当)。
図6は、本発明の接合施工方法によって、H形鋼梁からなる大梁1のウェブ1uの両側の相対する位置に、それぞれH形鋼梁からなる小梁2、21の一方の端部を、接合構造の実施形態例1と同様の一対の接合金物4と高力ボルト5s、5を介して接合し得られた大梁と小梁の高力ボルト接合構造の実施形態例4を部分的に示したものである。
図6(a)は、小梁2、21に小梁接合部4aを高力ボルト5で仮締結した接合金物4が水平位置(接合位置)にあって、それぞれ大梁接合部4bを大梁1のウェブ1uに当接した状態を示しており、図6(b)、(c)、(d)は、大梁1と小梁2の接合が完了した状態を示す。
この実施形態例4では、接合金物4の小梁接合部4aのボルト孔を長孔のボルト孔4oとし、このボルト孔4oに挿通し仮締結した高力ボルト5を軸として、接合金物4が垂直位置(退避位置)から水平位置(接合位置)に回動・移動する構造を有するものであり、基本的には、図3(a)〜(d)で示すような接合施工方法で得られるものであり、大梁1のウェブ1uの両側の相対する位置に配置した小梁2側の接合金物4と小梁21側の接合金物4の大梁接合部4bを大梁1のウェブ1uの両側に1本の高力ボルト5sで同時に締結する点において、実施形態例1と異なるものである。上記各実施形態例1と共通する部分については説明を一部省略する。
この実施形態例4では、大梁1のウェブ1uの相対する位置に小梁2と21を接合する場合に、大梁1のウェブ1uの両側に当接した接合金物4の大梁接合部4bと大梁1のウェブ1uを高力ボルト5sで同時に締結することにより、ボルト本数を少なくしてボルトコストを低減し接合施工コストを低減できる。
なお、図6(a)では、大梁1の下フランジ1bと、小梁2、21のウェブ2u端と、接合金物4の下端間に形成される空間をダクトスペース11として、各種ケーブルやホース、換気や排気ダクトを収納するダクトや排気ダクト8の配設のために有効に利用できる。
(請求項2およびの請求項3、請求項6の実施形態例に相当)。
図7は、本発明の接合施工方法によって、H形鋼梁からなる大梁1のウェブ1uの両側の相対する位置に、せいの異なるH形鋼梁からなる小梁2と小梁23の一方の端部を、同じL型であるが幅の異なる接合金物4、43と高力ボルト5、5sを介して同時的に接合し得られる大梁と小梁の高力ボルト接合構造の実施形態例5を部分的に示したものである。
図7(a)は、大梁接合部4bを2本の高力ボルト5sで大梁1のウェブ1uに接合小梁接合部4aを長孔のボルト孔4oに挿通した高力ボルト5で小梁2のウェブ2uに仮締結した接合金物4と、小梁接合部4aを長孔のボルト孔4oに挿通した高力ボルト5で小梁23のウェブ2uに仮締結した接合金物43が、水平位置(接合位置)にあって、それぞれ大梁接合部4bを大梁1のウェブ1uに当接した状態を示しており、図6(b)、(c)、(d)は、大梁1のウェブ1uの両側に小梁2と小梁23の接合が完了した状態を示す。
この実施形態例5は、接合金物4、43の小梁接合部4aに長孔のボルト孔4oを設け、このボルト孔4oに挿通・仮締結した高力ボルト5を軸として、接合金物4、43を垂直位置(退避位置)から水平位置(接合位置)に回動・移動して大梁1と小梁2、23を接合する構造であり、基本的には、図3(a)〜(d)で示すような接合施工方法で得られるものである。
上記各実施形態例と共通する部分については説明を一部省略する。
また、大梁1のウェブ1uの他方の側の小梁23に接合される接合金物43は幅広であり、小梁接合部4aに長孔のボルト孔4oと、その垂直位置の下部の標準的なボルト孔4sの2個のボルト孔を設け、大梁接合部4bにも、小梁接合部4aのボルト孔4o、4sと同じ水平線上にある上下の2個の標準的なボルト孔4sを設けている。
この接合金物43は、小梁接合部4aの長孔のボルト孔4oに挿通・仮締結した高力ボルト5を軸として垂直位置(退避位置)から水平位置(接合位置)に回動・移動する。接合金物43の小梁接合部4aのボルト孔4sには、接合金物43を水平位置(接合位置)にし大梁接合部4bを大梁1のウェブ1uに当接し高力ボルト5sで締結して小梁接合部4aを高力ボルト5で小梁23に本締結する時に、高力ボルト5sを挿通して締結する。
この実施形態例5では、大梁1のウェブ1uの両側に、サイズ(せい)が異なり使用する高力ボルト本数の異なる小梁2と23を、幅の異なる接合金物4、43を用いて、接合金物4、43の相対する一部側を1本の高力ボルト5sで同時に締結するものであり、実施形態例4と同様の効果に加えて、要求される強度の異なる小梁2、23を、要求される接合部強度に応じた接合条件で同時的に大梁に接合することができ、本発明の適用幅を拡大することができる。
(請求項2およびの請求項4の実施形態例に相当)。
図8は、本発明の接合施工方法によって、H形鋼梁からなる大梁1のウェブ1uの両側の相対する位置に、それぞれH形鋼梁からなる小梁2と小梁21の端部を、接合金物44、45と高力ボルト5、5sを介して同時的に接合し得られる大梁1と小梁2、21の高力ボルト接合構造の実施形態例6を部分的に示したものである。
図8(a)は、小梁2に小梁接合部4aを高力ボルト5で仮締結した接合金物44と、小梁22に小梁接合部4aを高力ボルト5で仮締結した接合金物45が、水平位置(接合位置)にあって、それぞれの大梁接合部4bを大梁1のウェブ1uに当接した状態を示しており、図8(b)、(c)、(d)は、大梁1と小梁23の接合が完了した状態を示す。
接合金物44、45は、それぞれ小梁接合部4aの長孔のボルト孔4oに挿通して仮締結した高力ボルト5を軸として、垂直位置(退避位置)から垂直位置(接合位置)まで回動・移動するようにしており、接合金物44、45を水平状態にし、それぞれ大梁接合部4bの接合面を大梁1のウェブ1uに当接・位置合わせし、大梁1のウェブ1uと、その両側に配置した接合金物44、45の大梁接合部4aを1本の高力ボルト5sで締結し、仮締結してある接合金物44、45の小梁接合部4aの長孔のボルト孔4oに挿通した高力ボルト5を本締結することにより、大梁1のウェブ1uの両側に小梁2、21を接合するものである。
また、図8(b)に示すように、小梁2、21から作用する相対する圧縮力をバランスさせることもできることから、この大梁接合部4b(大梁1のウェブ1u)における圧縮力作用領域でボルト接合を省略しても大梁に対する曲げモーメントを安定的に支持させることもできる。
ここで、圧縮力作用領域とは、図9の場合では、大梁1に高力ボルト5で接合された接合金物4のボルト孔中心から下側領域で、接合金物4が大梁1のウェブ1uに当接された領域をいう。
また、実施形態例4、5と同様、大梁1のウェブ1uの両側に小梁2、21を同時的に接合することができ、ボルト本数を少なくしてボルトコストを低減し接合施工コストを低減できる。
(請求項2および請求項4の実施形態例に相当)。
図10(a)、(b)は、本発明の接合施工方法によって、H形鋼梁からなる大梁1のウェブ1uの両側の相対する位置に、それぞれH形鋼梁からなる小梁2と小梁21の端部を、接合金物46、47と高力ボルト5、5sを介して同時的に接合し得られる大梁1と小梁2、21の高力ボルト実施形態例7を部分的に示したものである。
図10(a)は、小梁2に小梁接合部4aを高力ボルト5で仮締結した接合金物46と、小梁21に小梁接合部4aを高力ボルト5で仮締結した接合金物47が、水平位置(接合位置)にあって、それぞれの大梁接合部4bを大梁1のウェブ1uに当接した状態を示しており、図10(b)、(c)、(d)は、大梁1と小梁2、21の接合が完了した状態を示す。
ここで用いる接合金物46、47は、大梁接合部4bの幅を小梁接合部4aの後端の幅wよりα分大きくして小梁側接合部4aの幅をw〜(w+α)の傾斜幅とし、大梁側接合部4bのボルト孔4sの下部側領域をボルト孔4sの上側領域より大きくして、小梁2、21から大梁1のウェブ1uに作用する曲げモーメントに対する圧縮力作用領域を広げることができるようにしている。上記各実施形態例と共通する部分については説明を一部省略する。
したがって、実施形態例6と同様、圧縮力作用領域でボルトを省略して大梁1のウェブ1uの両側に小梁2、21を同時的に接合することができ、ボルト本数を少なくしてボルトコストを低減し接合施工コストを低減できる。
(請求項2および請求項5の実施形態例に相当)。
(請求項6の形態例に相当)。
1b 下フランジ 1u ウエブ
1o ボルト孔 2、21、22、23 小梁
2a 上フランジ 2b 下フランジ
2u ウェブ 2o ボルト孔
4、41、42、43、44、45、46、47 接合金物
4a 小梁接合部 4b 大梁接合部
4o ボルト孔(長孔) 4s ボルト孔(標準)
5 高力ボルト(長孔ボルト孔4o用)
5s 高力ボルト(ボルト孔4s用)
6 ナット 7 座金
8 ダクト 11、12 ダクトスペース
(従来例)
3、31 ガセットプレート 3a ボルト接合部
10 添板
P 鉄骨柱
Claims (6)
- 大梁間に小梁を交叉するように配置し、大梁のウェブと小梁のウェブとのボルト接合部を有する接合金物を介して高力ボルト接合する大梁と小梁の高力ボルト接合施工方法であって、接合金物の小梁接合部のボルト孔の少なくとも1個を、大梁接合部方向に長径を有する長孔のボルト孔とし、1個の長孔のボルト孔に挿通したボルトで小梁接合部を小梁のウェブに回動および移動可能に仮締結し、ボルトを軸に回動させて接合金物を小梁側に退避させた状態の小梁を、大梁間に配置し、大梁と小梁のウェブ上面を位置合わせし、退避状態にある接合金物を水平位置まで回動及び移動し、大梁接合部を大梁のウェブに当接して高力ボルトで締結し、仮締結しておいた小梁接合部と小梁ウェブを本締結することを特徴とする大梁と小梁の高力ボルト接合施工方法。
- 大梁間に小梁を大梁と交叉するように配置し、大梁のウェブと小梁のウェブとのボルト接合部を有する接合金物を介して高力ボルト接合した大梁と小梁の高力ボルト接合構造であって、接合金物の小梁接合部のボルト孔の少なくとも1個が、大梁接合部方向に長径を有する長孔のボルト孔で、接合金物の小梁接合部の上端面と小梁の上フランジの下面との間に、接合金物が1個の長孔のボルト孔に挿通したボルトを軸に垂直位置から水平位置に至る回動過程で小梁の上フランジの下面に干渉しないように干渉回避空間を形成したことを特徴とする大梁と小梁の高力ボルト接合構造。
- 大梁のウェブ両側の相対する位置に、接合金物を介して小梁が高力ボルト接合されており、大梁のウェブ両側の相対する位置に当接された接合金物の大梁接合部が、大梁のウェブに少なくとも1本の高力ボルトで同時に締結されていることを特徴とする請求項2に記載の大梁と小梁の高力ボルト接合構造。
- 大梁のウェブに接合され水平位置にある接合金物の大梁接合部のボルト孔が、小梁接合部の長孔ボルト孔の位置より上方側に位置し、小梁から大梁のウェブに対する曲げモーメントによる圧縮力作用領域を広げることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の大梁と小梁の高力ボルト接合構造。
- 接合金物の小梁接合部の幅を、長孔のボルト孔側から大梁接合部まで傾斜的に大きくして、大梁のウェブに接合され水平位置にある接合金物の大梁接合部のボルト孔の下部側領域を上側領域より大きくして、小梁から大梁のウェブに対する曲げモーメントによる圧縮力作用領域を広げることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の大梁と小梁の高力ボルト接合構造。
- 接合金物の下面と小梁端面と大梁の下フランジ間に形成された空間に各種ケーブルやホース、換気や排気ダクトを収納するダクトを配設したことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の大梁と小梁の高力ボルト接合構造。
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