JP2007031578A

JP2007031578A - ゴム組成物

Info

Publication number: JP2007031578A
Application number: JP2005217256A
Authority: JP
Inventors: Satoshi Mihara; 諭三原
Original assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Current assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date: 2005-07-27
Filing date: 2005-07-27
Publication date: 2007-02-08
Anticipated expiration: 2025-07-27
Also published as: JP4844034B2

Abstract

【課題】耐摩耗性を損なうことなくウェットスキッド性能や転がり抵抗が改良されたゴム組成物の提供。
【解決手段】スチレン−ブタジエン共重合体ゴム（ＳＢＲ）を含むジエン系ゴム１００重量部、シリカ、平均粒子サイズ１〜１００μｍの珪酸カルシウム粉体５〜３５重量部で且つシリカとの合計量が２０〜１２０重量部及び珪酸カルシウム粉体とシリカの合計量の１〜１５重量％の２級又は３級脂肪族アミンを含んでなるゴム組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物に関し、更に詳しくは耐摩耗性を損なうことなくウェットスキッド性能や転がり抵抗が改良されたゴム組成物並びにそれを用いた空気入りタイヤに関する。

ゴム組成物にシリカを配合することによりウェットスキッド性能を向上させ、転がり抵抗を低くする技術が従来から知られており、実用化されていることは周知の通りである。近年、ウェットスキッド性能や転がり抵抗を更に改良すべく、例えば極性フィラー配合によって同様な効果を得る試みがなされている。しかし補強性の低い極性粒子（例えばクレー、カオリナイトなど）の配合によってウェットスキッド性能の改良は得られるようであるが、そのような極性フィラーを配合するとは摩耗性能が大幅に悪化するという問題がある（例えば特許文献１〜３参照）。

特開平７−１３３３７５号公報特開平８−３１１２４５号公報特開平８−３３７３号公報

従って、本発明の目的は、耐摩耗性を損なうことなく、ゴム組成物のウェットスキッド性能や転がり抵抗を改良することにある。

本発明に従えば、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム（ＳＢＲ）を含むジエン系ゴム１００重量部、シリカ、平均粒子サイズ１〜１００μｍの珪酸カルシウム粉体５〜３５重量部で且つシリカとの合計量が２０〜１２０重量部及び珪酸カルシウム粉体とシリカの合計量の１〜１５重量％の２級又は３級脂肪族アミンを含んでなるゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤが提供される。

本発明によれば、ウォラストナイトなどの珪酸カルシウム粉体及び脂肪族アミンを配合することにより耐摩耗性の低下を抑制しつつ、ペイン効果を低減（即ちシリカの分散を向上させ）、低温ｔａｎδを高く、高温ｔａｎδを低くすることが可能となり、このゴムをトレッド部に用いて空気入りタイヤを製造することによって、耐摩耗性を低下させることなく、ウェットスキッドと低転がり抵抗とを両立させることができる。また、アミン化合物は一般にスコーチを促進させる傾向にあるが、２級もしくは３級アミン化合物の使用によりスコーチの抑制も達成できる。

本発明者らは前記課題を解決すべく研究を進めた結果、珪酸カルシウム粉体、例えばウォラストナイトをゴム組成物に配合することによりウェットスキッド性能及び転がり抵抗性能を改良することが可能となるが、耐摩耗性の面で未だ改良の余地がある。本発明ではＳＢＲ主体とするジエン系ゴムにシリカ、珪酸カルシウム粉体（例えばウォラストナイト）及び２級もしくは３級脂肪族アミンを配合することにより耐摩耗性を損なうことなく、ウェットスキッド性能及び転がり抵抗性能を改良することができる。

本発明によれば、ゴム成分としてスチレン−ブタジエン共重合体ゴム（ＳＢＲ）を含むジエン系ゴム１００重量部に対し、シリカ、平均粒子サイズが１〜１００μｍ、好ましくは１〜５０μｍの珪酸カルシウムの粉体を５〜３５重量部、好ましくは５〜２０重量部でシリカとの合計量で２０〜１２０重量部、好ましくは３５〜１００重量部配合し、更に、並びに珪酸カルシウム粉体の１〜１５重量％の脂肪族アミンを配合する。上記脂肪族アミンとしては２級もしくは３級アミンを使用するのが好ましく（１級アミンではスコーチが起こるおそれがある）、また脂肪族アミンの脂肪酸部分の炭素数は８〜３６であるのが好ましい。本発明者らの解釈によれば、本発明の範囲をこれに限定するものではないが、脂肪族アミンによりウォラストナイトなどの珪酸カルシウム粉体のシラン化が促進され、また脂肪酸によるフィラー分散が向上される。この脂肪族アミンの配合量が多くなるとスコーチが起こるおそれがあり、逆に、配合量が少ないと所望の改良効果が認められないので好ましくない。本発明で使用する脂肪族アミンの具体例としては、これらに限定するものではないが、ジアルキルアミン（Ｒ₂ＮＨでＲがオレイル、もしくはＲ＝Ｃ₈〜Ｃ₁₈）、Ｎ，Ｎ−ジメチルオレイルアミン（Ｒ（ＣＨ₃）₂ＮでＲがオレイル、もしくはＲ＝Ｃ₁₄〜Ｃ₁₈）、Ｎ，Ｎ−ジメチルオクタデシルアミン（Ｃ_nＨ_2n+1（ＣＨ₃）₂Ｎでｎ＝１８）、Ｎ，Ｎ−ジメチルドデシルアミン（Ｃ_nＨ_2n+1（ＣＨ₃）₂Ｎでｎ＝１２）などをあげることができる。

本発明において使用するＳＢＲ以外のジエン系ゴムとしては、例えば天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴムなどをあげることができ、本発明においてはゴム成分の３０重量％以上がＳＢＲであり、かつＳＢＲとＢＲとの合計量がゴムの総重量の６０重量％以上であることがが好ましい。

本発明において使用するシリカはタイヤ用などに使用する任意のシリカを用いることができ、例えば天然シリカ、合成シリカ、特に乾式シリカ、湿式シリカなどを用いることができる。

本発明において使用する珪酸カルシウム粉体としては例えばウォラストナイトを使用することができる。ウォラストナイト（Ｗｏｌｌａｓｔｏｎｉｔｅ）（珪灰石）は化学式ＣａＳｉＯ₃で示される珪酸塩鉱物であり、天然鉱物として産出されるウォラストナイトは、石灰石と花崗岩の接触部で変成作用を受けて発達した鉱物で、色はガラス光沢のある白色、帯灰色、帯褐色を呈し、結晶形態は針状、塊状をなしている。主成分はＳｉＯ₂とＣａＯをほぼ等量含有し、微量成分としてＡｌ₂Ｏ₃，Ｆｅ₂Ｏ₃等を含有しており、天然に産出される低温型（β型）と合成の高温型（α型）がある。なお、ウォラストナイトは、例えばＮＹＣＯ（株）や巴工業（株）より各種グレードが市販されており、本発明においてはこれらの市販品のうち、平均粒子サイズが１〜１００μｍのものを使用する。通常、ウォラストナイトは乾式法で粉砕されるため、平均粒子径を１μｍ未満にするのは困難である。平均粒子サイズが大き過ぎると補強性や耐摩耗性が低下するので好ましくない。その他の珪酸塩鉱物としては孤立型のネソ珪酸塩、２個連結型のソロ珪酸塩、リング状のサイクロ珪酸塩、チェーン状のイノ珪酸塩、シート状のフィロ珪酸塩、網状のテクト珪酸塩などがあげられる。前記平均粒径Ｄ５０及びアスペクト比のものを使用することができる。

前述の如く、本発明のゴム組成物に使用される珪酸カルシウム粉体の配合量は、ジエン系ゴム１００重量部に対し５〜３５重量部で、シリカとの合計量で２０〜１２０重量部である。この配合量が少ないとウェットスキッド性能及び低転がり抵抗性能が低下するので好ましくなく、また多いと耐摩耗性が悪化するので好ましくない。

本発明に係るゴム組成物には、前記した成分に加えて、カーボンブラックなどのその他の補強剤（フィラー）、シランカップリング剤、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用、その他のゴム組成物用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。

以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。

標準例、実施例１〜６及び比較例１〜７
サンプルの調製
表Ｉ及び表ＩＩに示す配合において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を３リットルの密閉型ミキサーで５分間混練し、１４５±５℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を用いて以下に示す試験法で未加硫物性を評価した。結果は表Ｉ及び表ＩＩに示す。

次に得られたゴム組成物を１５×１５×０．２cmの金型中で１６０℃で３０分間加硫して加硫ゴムシートを調製し、以下に示す試験法で加硫ゴムの物性を測定した。結果は表Ｉ及び表ＩＩに示す。

ゴム物性評価試験法
ムーニースコーチ：ＪＩＳＫ６３００に準拠して測定し、標準例の値を１００として指数表示した。この値が大きいほど加工性に優れている。

ｔａｎδ（０℃）（ウェットスキッド性能）及びｔａｎδ（６０℃）（転がり抵抗）：東洋精機製作所製粘弾性スペクトロメーターを用いて周波数２０Hz、初期歪１０％、振幅±２％の条件で０℃及び６０℃のｔａｎδを測定し、標準例の値を１００として指数表示した。ｔａｎδ（０℃）の値が大きいほどウェットスキッド性能に優れ、ｔａｎδ（６０℃）の値が小さいほど転がり抵抗に優れていることを示す。

耐摩耗性：ランボーン摩耗試験機にて、温度２０℃、負荷荷重２．４５Ｎ、スリップ率２０％、試験時間５分の条件でランボーン摩耗量を測定した。この値を標準例の値を１００として指数表示した。この値が大きいほど耐摩耗性に優れることを表す。

ペイン効果：アルファーテクノロジーズ社製ＲＰＡ２０００を用いて、１７０℃×１０分で加硫した後、周波数６cpm、せん断歪０．２８〜３０％の条件でせん断弾性率Ｇ’の歪依存性を測定した。歪量０．２８％時のＧ’と歪量３０％時のＧ’の比Ｇ’（０．２８％）／Ｇ’（３０％）をペイン効果の尺度とした。結果は標準例の値を１００として指数表示した。この値が小さいほど分散性に優れることを表す。

表Ｉ表ＩＩ脚注
＊１：ＳＢＲ（Ｎｉｐｏｌ９５２８Ｒ、日本ゼオン（株）製）
＊２：ＢＲ（ＮｉｐｏｌＢＲ１２２０、日本ゼオン（株）製）
＊３：シリカ（１６５ＧＲ、ローディア社製）
＊４：ウォラストナイト（ＮＹＡＤ１２５０、ＮＹＣＯ社製）
＊５：シランカップリング剤（Ｓｉ６９、デグッサ社製）
＊６：ＨＡＦ（ショウブラックＮ３３９、昭和キャボット（株）製）
＊７：６Ｃ（ＳＡＮＴＯＦＬＥＸ６ＰＰＤ、ＦＬＥＸＳＹＳ社製）
＊８：ＲＤ（ＶＵＬＫＡＮＯＸＨＳ／ＬＧ、バイエル社製）
＊９：亜鉛華（銀嶺、東邦亜鉛（株）製）
＊１０：ステアリン酸（ビーズステアリン酸、日本油脂（株）製）
＊１１：プロセスオイル（Ｘ−１４０、ジャパンエナジー（株）製）
＊１２：加硫促進剤１（ノクセラーＮＳ−Ｐ、大内新興化学工業（株）製）
＊１３：加硫促進剤２（サンセラーＤ−Ｇ、住友化学（株）製）
＊１４：硫黄（油処理硫黄、細井化学工業（株）製）
＊１５：１級アミン−１（アーミン１２Ｄ、ライオン・アクゾ（株）製）
＊１６：１級アミン−２（アーミン１８Ｄ、ライオン・アクゾ（株）製）
＊１７：１級アミン−３（アーミン０Ｄ、ライオン・アクゾ（株）製）
＊１８：１級アミン−４（アーミンＨＴＤ、ライオン・アクゾ（株）製）
＊１９：２級アミン−１（アーミン２Ｃ、ライオン・アクゾ（株）製）
＊２０：２級アミン−２（アーミン２ＨＴ、ライオン・アクゾ（株）製）
＊２１：３級アミン−１（アーミンＤＭ１２Ｄ、ライオン・アクゾ（株）製）
＊２２：３級アミン−２（アーミンＤＭ１８Ｄ、ライオン・アクゾ（株）製）
＊２３：３級アミン−３（アーミンＤＭＯＣ、ライオン・アクゾ（株）製）
＊２４：３級アミン−４（アーミンＤＭＴＤＣ、ライオン・アクゾ（株）製）

以上の通り、本発明に従えば、ゴム組成物にウォラストナイトなどの珪酸カルシウム粉体、シリカ及び２級もしくは３級脂肪族アミンを配合することにより耐摩耗性の低下を抑制しつつ、ペイン効果を低減（即ちシリカの分散が向上し）、低温ｔａｎδを高く、高温ｔａｎδを低くすることが可能となった。このゴム組成物は、タイヤトレッド部用ゴム組成物として用いてタイヤを製造することによって、耐摩耗性の低下をきたすことなく、ウェットスキッドと低転がり抵抗とを両立させることができるので、空気入りタイヤ、特にそのキャップトレッド用ゴム組成物として有用である。

Claims

スチレン−ブタジエン共重合体ゴム（ＳＢＲ）を含むジエン系ゴム１００重量部、シリカ、平均粒子サイズ１〜１００μｍの珪酸カルシウム粉体５〜３５重量部で且つシリカとの合計量が２０〜１２０重量部及び珪酸カルシウム粉体とシリカの合計量の１〜１５重量％の２級又は３級脂肪族アミンを含んでなるゴム組成物。
前記脂肪族アミンの炭素数が８〜３６である請求項１に記載のゴム組成物。
請求項１又は２に記載のゴム組成物をタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤ。