JP2007031557A - 難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、難燃性及び環境衛生に優れていると共に耐候性にも優れた難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体を提供する。
【解決手段】 本発明の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体は、ポリスチレン系樹脂を、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の化合物を含有する発泡剤を用いて押出発泡してなるポリスチレン系樹脂発泡体であって、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物2〜10重量部と、フタロシアニン鉄0.01〜2重量部とを含有することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体は、ポリスチレン系樹脂を、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の化合物を含有する発泡剤を用いて押出発泡してなるポリスチレン系樹脂発泡体であって、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物2〜10重量部と、フタロシアニン鉄0.01〜2重量部とを含有することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、難燃性及び環境衛生に優れていると共に耐候性にも優れた難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法に関する。
従来からポリスチレン系樹脂押出発泡体は、ポリスチレン系樹脂を押出機に供給して溶融、混練し、この溶融状態のポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入した上で押出機から押出発泡させて製造されている。そして、発泡剤としては従来からフロン類が用いられているが、フロン類はオゾン層を破壊する原因となることから、種々の代替となる発泡剤の検討がなされている。
又、ポリスチレン系樹脂押出発泡体は、建材分野に多く用いられ、難燃性が求められており、ポリスチレン系樹脂発泡体の難燃剤としては、耐熱性に優れ且つ少ない添加量で難燃性を発揮することから、ヘキサブロモシクロドデカンが用いられてきた。
ところが、ヘキサブロモシクロドデカンは、比較的難分解性で高蓄積性のある化合物であることから、オゾン層を破壊する原因となり環境衛生上、好ましいものではなく、これに代わる難燃剤が所望されている。
そこで、特許文献1には、難燃剤として、ハロゲン化芳香族アリルエーテル類と、ハロゲン化環状脂肪族化合物を除くハロゲン化脂肪族化合物あるいはその誘導体とを含有するものが提案されている。
しかしながら、ハロゲン化芳香族アリルエーテル類は、分解温度が200℃以下と低いために、押出発泡条件下では分解してしまい、この分解生成物がポリスチレン系樹脂の分解を誘発しポリスチレン系樹脂を低分子量化するため、発泡性が低下して発泡体の製造が困難となったり、たとえ発泡体が製造できたとしても、得られる発泡体は、割れ易いのに加えて黄色に変色しており、品質的に満足のいくものではなかった。
又、発泡体に充分な難燃性を付与するためには、ハロゲン化脂肪族化合物或いはその誘導体を多量に添加する必要があり、このように多量に使用するとポリスチレン系樹脂の可塑化を生じてしまい、高発泡倍率を有する発泡体を得ることができないという問題を生じた。
更に、特許文献2には、難燃剤として、臭素化イソシアヌレート及び臭素化ビスフェノールと、ジフェニルアルカン及び/又はジフェニルアルケンを用いることが提案されているものの、添加量が少ないと、充分な難燃性を発現しない。そこで、難燃剤を多量に使用すると、上述と同様に、発泡体の黄変や高発泡倍率を有する発泡体を得ることができないといった問題点を有していた。
本発明は、難燃性及び環境衛生に優れていると共に耐候性にも優れた難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体及びその製造方法を提供する。
本発明の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体は、ポリスチレン系樹脂を、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の化合物を含有する発泡剤を用いて押出発泡してなるポリスチレン系樹脂発泡体であって、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物2〜10重量部と、フタロシアニン鉄0.01〜2重量部とを含有することを特徴とする。
上記ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレンなどのスチレン系単量体の単独重合体又はこれらスチレン系単量体を2種以上組み合わせた共重合体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、無水マレイン酸、ブタジエンなどの単量体と上記スチレン系単量体との共重合体などが挙げられる。なお、共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体の何れであってもよい。又、ポリスチレン系樹脂が50重量%以上含有しておれば、ポリスチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を添加してもよい。
そして、本発明の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体には、ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物と、フタロシアニン鉄とが難燃性付与成分として含有されている。このビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物としては、例えば、ビス[4’−(2,3−ジブロモプロポキシ)−3’,5’−ジブロモフェニル]メタン、2,2−ビス[4’−(2,3−ジブロモプロポキシ)−3’,5’−ジブロモフェニル]プロパン、ビス[4’−(2,3−ジブロモプロポキシ)−3’,5’−ジブロモフェニル]スルホンなどが挙げられ、2,2−ビス[4’−(2,3−ジブロモプロポキシ)−3’,5’−ジブロモフェニル]プロパンが好ましい。ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
上記ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体における含有量は、少ないと、JIS A9511に規定する難燃性を満足しない一方、多いと、ポリスチレン系樹脂の可塑化が大きくなって、高発泡倍率の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体とすることができないので、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して2〜10重量部に限定され、2〜7重量部が好ましい。
そして、フタロシアニン鉄の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体における含有量は、少ないと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体がJIS A9511に規定する難燃性を満足しない一方、多くても、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の難燃性が向上せず、経済的に好ましくないので、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部に限定され、0.02〜1重量部が好ましく、0.05〜0.5重量部がより好ましい。
又、本発明の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体には、難燃性付与成分として、ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物と、フタロシアニン鉄の他に、ジフェニルアルカンが更に含有されていることが好ましい。このように難燃性付与成分に、ジフェニルアルカンを含有させると、このフタロシアニン鉄とジフェニルアルカンとの相乗効果によって、より優れた難燃性が発現し、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の難燃性を向上させることができる。
上記ジフェニルアルカンとしては、特に限定されず、例えば、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジエチル−3,4−ジフェニルヘキサンなどが挙げられ、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンが難燃性の点から好ましい。なお、ジフェニルアルカンは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
そして、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体中に難燃性付与成分として、ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物と、フタロシアニン鉄と、ジフェニルアルカンとが含有されている場合、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体中におけるビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物の含有量は、上述と同様の理由で、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して2〜10重量部に限定され、2〜7重量部が好ましい。
又、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体中における、フタロシアニン鉄及びジフェニルアルカンの総量は、少ないと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体がJIS A9511に規定する難燃性を満足しない一方、多くても、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の難燃性が向上せず、経済的に好ましくないので、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部が好ましく、0.02〜0.5重量部がより好ましく、0.05〜0.2重量部が特に好ましい。
更に、フタロシアニン鉄とジフェニルアルカンとの重量比(フタロシアニン鉄/ジフェニルアルカン)は、小さくても大きくても、フタロシアニン鉄とジフェニルアルカンとの相乗効果による難燃剤の難燃性の向上を図ることができないので、0.1〜10が好ましく、0.3〜3が好ましい。
又、上記難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の難燃性を向上させるために、難燃性付与成分としてリン酸エステルを更に添加してもよい。このようなリン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ブロモフェニルホスフェート)などが挙げられ、トリフェニルホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートが難燃性の点から好ましい。上記リン酸エステルは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
更に、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体には、その物性を損なわない範囲内において、タルク、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、酸化チタンなどの無機化合物、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐候性安定剤、帯電防止剤、顔料などの添加剤を添加してもよい。
一方、ポリスチレン系樹脂を押出発泡させるのに用いられる発泡剤としては、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の化合物を含有するものが用いられる。上記炭素数が3〜5である飽和炭化水素としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタンなどが挙げられ、ポリスチレン系樹脂の発泡性及び難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の断熱性の観点から、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタンが好ましく、ノルマルブタン、イソブタンがより好ましい。
そして、ポリスチレン系樹脂を押出発泡させる際に用いられる、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の化合物の量としては、少ないと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体中に残存する飽和炭化水素の量が少なくなって、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の断熱性が低下する一方、多いと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体中に残存する飽和炭化水素の量が多くなり過ぎて、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の難燃性が低下するので、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して2〜6重量部が好ましく、2〜4重量部がより好ましい。
更に、ポリスチレン系樹脂を押出発泡させる際に用いられる発泡剤には、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の化合物の他に、これらの飽和炭化水素以外の発泡剤が含有されていてもよい。このような発泡剤としては、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンなどのHFC類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチル、塩化エチルなどの塩化アルキル類、メタノール、エタノールなどの低級アルコール類、水、二酸化炭素などの無機ガス類が挙げられ、ジメチルエーテル、塩化メチル及び二酸化炭素からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物が好ましく、二酸化炭素とジメチルエーテルとを併用すること、二酸化炭素と塩化メチルとを併用すること、ジメチルエーテル、塩化メチル及び二酸化炭素を併用することが好ましく、二酸化炭素とジメチルエーテルとを併用すること、二酸化炭素と塩化メチルとを併用することがより好ましい。なお、発泡剤は、単独で用いられても併用されてもよい。
上記炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の化合物以外の発泡剤の使用量としては、少ないと、所定の断熱性及び高発泡倍率を有する難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造が困難となることがある一方、多いと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の気泡が破れたり或いはボイド(空隙)が発生するなどの不具合が生じる虞れがあるので、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して2〜10重量部が好ましく、3〜7重量部がより好ましい。
そして、押出発泡後30日を経過した時点における難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体中に含まれる、炭素数が3〜5である飽和炭化水素の全量は、多いと、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体がJIS A9511で規定された難燃性を満たすことができない虞れがあるので、3.5重量%以下が好ましく、少な過ぎると、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の断熱性が低下する虞れがあるので、1〜3.5重量%がより好ましい。
なお、押出発泡後30日経過した時点における難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体中に含まれる飽和炭化水素量は下記の要領で測定されたものをいう。先ず、押出発泡後30日経過した時点の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体から、該難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の表面と、この表面から厚み方向に内側に2mmだけ入った部分との間にある表層部分を除外し、この表層部分が除外された難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体から、押出方向に35mm、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の表面に沿い且つ押出方向に直交する方向に5mm、厚み方向に5mmの大きさを有する直方体形状の試験片を切り出し、この試験片の重量を測定する。なお、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の厚み方向とは、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の表面に対して直交する方向をいう。
そして、上記試験片を150℃の熱分解炉に供給してガスクロマトグラフィーからチャートを得、予め測定しておいた飽和炭化水素の各成分毎の検量線に基づいて上記チャートから試験片中の飽和炭化水素の各成分量を算出し、各成分量の合計を総飽和炭化水素量とし、以下の式に基づいて求める。なお、上記ガスクロマトグラフィーとしては、例えば、島津製作所社から商品名「GC−14B」で市販されている。
(押出発泡後30日経過した時点の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体中に含まれる飽和炭化水素量〔重量%〕)=100×試験片中の総飽和炭化水素量/試験片の重量
そして、本発明の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体は、汎用の押出発泡方法を用いて製造され、例えば、ポリスチレン系樹脂、並びに、難燃性付与成分としてビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物とフタロシアニン鉄と、より好ましくは更にジフェニルアルカンを、必要に応じて添加剤と共に押出機に供給して溶融混練し、この溶融状態のポリスチレン系樹脂に、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の化合物を含有する発泡剤を圧入した後に押出発泡させて難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体を製造することができる。なお、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造時に、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の気泡径を調整するために、マイカ、重炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミドなどの発泡核剤をポリスチレン系樹脂に添加してもよい。
本発明の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体は、ポリスチレン系樹脂を、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の化合物を含有する発泡剤を用いて押出発泡してなるポリスチレン系樹脂発泡体であって、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物2〜10重量部と、フタロシアニン鉄0.01〜2重量部とを含有することを特徴とするので、優れた難燃性を有し、更に、ポリスチレン系樹脂の熱安定性を向上させて高発泡倍率化を図ることができると共に耐候性にも優れている。
更に、本発明の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体は、ポリスチレン系樹脂を、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の化合物を含有する発泡剤を用いて押出発泡してなるポリスチレン系樹脂発泡体であって、ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物と、フタロシアニン鉄と、ジフェニルアルカンとを含有し、上記ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、上記ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物が2〜10重量部含有され、且つ、上記フタロシアニン鉄及びジフェニルアルカンがその総量として0.01〜2重量部含有されていることを特徴とするので、フタロシアニン鉄とジフェニルアルカンとの相乗効果によって難燃性を向上させており、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体は、より優れた難燃性を有している。
(実施例1〜10、比較例1〜9)
押出機として、口径が50mmの第一押出機の先端に口径が65mmの第二押出機が接続されてなるタンデム型押出機を用い、上記第一押出機に、ポリスチレン(東洋スチレン社製 商品名「HRM−18」)100重量部に対して、2,2−ビス[4’−(2,3−ジブロモプロポキシ)−3’,5’−ジブロモフェニル]プロパン、フタロシアニン鉄、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、トリフェニルホスフェート、フタロシアニン銅、ヘキサブロモシクロドデカンを表1,2に示した所定量(重量部)づつ供給して溶融混練し、この溶融状態のポリスチレンに、イソブタン、ジメチルエーテル、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(134a)及び二酸化炭素を表1,2に示した所定量(重量部)づつ圧入した後、この溶融状態のポリスチレンを第二押出機に連続的に供給して溶融混練しつつ発泡に適した樹脂温度130℃に冷却した上で、第二押出機の先端部に取り付けたTダイ(幅:70mm、厚み:1.2mm)から35kg/時間の吐出量で押出発泡し、Tダイに密接させて配設された、上下方向に30mmの間隔を存して平行に配設された上下一対のサイジングプレートの対向面間に連続的に供給して、断面が横長長方形状の厚み29mm、幅170mmの難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を連続的に製造した。なお、表1,2に示した各化合物の単位は、「重量部」である。又、比較例2では、2,2−ビス[4' −(2,3−ジブロモプロポキシ)−3',5' −ジブロモフェニル]プロパンを多量に添加したために、ポリスチレンが大きく可塑化して押出発泡性が低下し、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を得ることができなかった。
押出機として、口径が50mmの第一押出機の先端に口径が65mmの第二押出機が接続されてなるタンデム型押出機を用い、上記第一押出機に、ポリスチレン(東洋スチレン社製 商品名「HRM−18」)100重量部に対して、2,2−ビス[4’−(2,3−ジブロモプロポキシ)−3’,5’−ジブロモフェニル]プロパン、フタロシアニン鉄、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、トリフェニルホスフェート、フタロシアニン銅、ヘキサブロモシクロドデカンを表1,2に示した所定量(重量部)づつ供給して溶融混練し、この溶融状態のポリスチレンに、イソブタン、ジメチルエーテル、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(134a)及び二酸化炭素を表1,2に示した所定量(重量部)づつ圧入した後、この溶融状態のポリスチレンを第二押出機に連続的に供給して溶融混練しつつ発泡に適した樹脂温度130℃に冷却した上で、第二押出機の先端部に取り付けたTダイ(幅:70mm、厚み:1.2mm)から35kg/時間の吐出量で押出発泡し、Tダイに密接させて配設された、上下方向に30mmの間隔を存して平行に配設された上下一対のサイジングプレートの対向面間に連続的に供給して、断面が横長長方形状の厚み29mm、幅170mmの難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を連続的に製造した。なお、表1,2に示した各化合物の単位は、「重量部」である。又、比較例2では、2,2−ビス[4' −(2,3−ジブロモプロポキシ)−3',5' −ジブロモフェニル]プロパンを多量に添加したために、ポリスチレンが大きく可塑化して押出発泡性が低下し、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板を得ることができなかった。
得られた難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の密度、燃焼性、平均気泡径、押出発泡後30日経過した時点のイソブタンの残存量及び耐候性について、下記に示した要領にて測定し、その結果を表1,2に示した。
(密度)
難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の密度をJIS K7222に準拠して測定した。
難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の密度をJIS K7222に準拠して測定した。
(燃焼性)
押出発泡後30日が経過した時点の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板から、縦25mm×横20mm×厚さ10mmの試験片を5枚、切り出した。そして、この5個の試験片について、切り出してから3日経過後に、JIS A9511-1996 に規定された測定方法Aの燃焼性試験に準拠して燃焼性を測定し、下記の基準にて判断した。
◎・・・上記測定方法Aの燃焼性を満足する。即ち、5個の試験片の全てについて炎が
2秒以内に消えると共に残塵がなく、燃焼限界支持線を越えて燃焼しなかった
。
○・・・上記測定方法Aの燃焼性を満足する。即ち、5個の試験片の全てについて炎が
3秒以内に消えると共に残塵がなく、燃焼限界支持線を越えて燃焼しなかった
。
△・・・自消性は有するものの、○の基準を満足しなかった。
×・・・自消性は認められなかった。
押出発泡後30日が経過した時点の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板から、縦25mm×横20mm×厚さ10mmの試験片を5枚、切り出した。そして、この5個の試験片について、切り出してから3日経過後に、JIS A9511-1996 に規定された測定方法Aの燃焼性試験に準拠して燃焼性を測定し、下記の基準にて判断した。
◎・・・上記測定方法Aの燃焼性を満足する。即ち、5個の試験片の全てについて炎が
2秒以内に消えると共に残塵がなく、燃焼限界支持線を越えて燃焼しなかった
。
○・・・上記測定方法Aの燃焼性を満足する。即ち、5個の試験片の全てについて炎が
3秒以内に消えると共に残塵がなく、燃焼限界支持線を越えて燃焼しなかった
。
△・・・自消性は有するものの、○の基準を満足しなかった。
×・・・自消性は認められなかった。
(イソブタンの残存量)
押出発泡後30日経過した時点の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板から、該難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の両面と、この両面のそれぞれから厚み方向に内側に2mmだけ入った部分との間にある表層部分を除外し、この表層部分が除外された難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板から、押出方向に35mm、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の表面に沿い且つ押出方向に直交する方向に5mm、厚み方向に5mmの大きさを有する直方体形状の試験片を切り出し、この試験片の重量を測定する。なお、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向とは、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の表面に対して直交する方向をいう。
押出発泡後30日経過した時点の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板から、該難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の両面と、この両面のそれぞれから厚み方向に内側に2mmだけ入った部分との間にある表層部分を除外し、この表層部分が除外された難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板から、押出方向に35mm、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の表面に沿い且つ押出方向に直交する方向に5mm、厚み方向に5mmの大きさを有する直方体形状の試験片を切り出し、この試験片の重量を測定する。なお、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚み方向とは、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の表面に対して直交する方向をいう。
そして、上記試験片を150℃の熱分解炉(島津製作所社製 商品名「PYR−1A」)に供給してガスクロマトグラフィー(島津製作所社製 商品名「GC−14B」)からチャートを得、予め測定しておいたイソブタンの検量線に基づいて上記チャートから試験片中のイソブタン量を算出し、以下の式に基づいて求めた。
(押出発泡後30日経過した時点の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板中に含まれるイソブタン量〔重量%〕)=100×試験片中のイソブタン量/試験片の重量
(押出発泡後30日経過した時点の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板中に含まれるイソブタン量〔重量%〕)=100×試験片中のイソブタン量/試験片の重量
(平均気泡径)
難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の平均気泡径は、ASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定された平均弦長に基づいて算出されたものをいう。具体的には、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板から、該難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の両面と、この両面のそれぞれから厚み方向に内側に2mmだけ入った部分との間にある表層部分を除去した上で、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板をその押出方向に沿って厚み方向に切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(日本電子社製 商品名「JSM T−300」)を用いて20倍に拡大して撮影した。
難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の平均気泡径は、ASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定された平均弦長に基づいて算出されたものをいう。具体的には、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板から、該難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板の両面と、この両面のそれぞれから厚み方向に内側に2mmだけ入った部分との間にある表層部分を除去した上で、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡板をその押出方向に沿って厚み方向に切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(日本電子社製 商品名「JSM T−300」)を用いて20倍に拡大して撮影した。
次に、撮影した写真における写真上長さ60mmの一直線上にある気泡数から、各気泡の平均弦長(t)を下記式1に基づいて算出した。
平均弦長(t)=60/(気泡数×写真の倍率)・・・式1
平均弦長(t)=60/(気泡数×写真の倍率)・・・式1
そして、下記式2により、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の平均気泡径を算出した。
平均気泡径D=t/0.616・・・式2
平均気泡径D=t/0.616・・・式2
(耐候性)
難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の耐候性をJIS A1415-1999に準拠して測定した。具体的には、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体から縦25mm×横150mm×厚み10mmの試験片を切り出した。
難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の耐候性をJIS A1415-1999に準拠して測定した。具体的には、難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体から縦25mm×横150mm×厚み10mmの試験片を切り出した。
この試験片を紫外線照射器(スガ試験機社製 商品名「サンシャインスーパーライフウェザーメーターWEL−SUN−HC・B型」)内に配設し、ブラックパネル温度を60〜63℃、試験環境を相対湿度45〜55%、温度を43℃に設定すると共に試験片への散水を120分中18分間行って50時間に亘って紫外線を照射して促進曝露試験を行った。なお、ブラックパネルの取り替え時ごとに試験片の配設位置をJISの参考例の通りに入れ換えた。
次に、促進曝露試験前における試験片の黄変度YI0及び促進曝露試験後における試験片の黄変度YI1を測色色差計(日本電色工業社製 商品名「ND−1001」)を用いて測定し、下記式に基づいてYI0,YI1及びΔYIを算出し、このΔYIを耐候性とした。なお、黄変度YIは、樹脂の劣化を示す指標の一つであり、ΔYIが小さい程、樹脂の劣化が少ない。ΔYIは、30以下が好ましく、25以下がより好ましい。
黄変度(YI)=100×(1.28×X−1.06×Z)/Y
ΔYI=YI1−YI0
但し、X,Y,Zは標準光Cにおける試験片の3刺激値
黄変度(YI)=100×(1.28×X−1.06×Z)/Y
ΔYI=YI1−YI0
但し、X,Y,Zは標準光Cにおける試験片の3刺激値
Claims (7)
- ポリスチレン系樹脂を、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の化合物を含有する発泡剤を用いて押出発泡してなるポリスチレン系樹脂発泡体であって、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物2〜10重量部と、フタロシアニン鉄0.01〜2重量部とを含有することを特徴とする難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体。
- ポリスチレン系樹脂を、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の化合物を含有する発泡剤を用いて押出発泡してなるポリスチレン系樹脂発泡体であって、ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物と、フタロシアニン鉄と、ジフェニルアルカンとを含有し、上記ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、上記ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物が2〜10重量部含有され、且つ、上記フタロシアニン鉄及びジフェニルアルカンがその総量として0.01〜2重量部含有されていることを特徴とする難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体。
- ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、フタロシアニン鉄及びジフェニルアルカンがその総量として0.01〜1重量部含有されていることを特徴とする請求項2に記載の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体。
- ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物が、2,2−ビス[4’−(2,3−ジブロモプロポキシ)−3’,5’−ジブロモフェニル]プロパンであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体。
- ジフェニルアルカンが、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体。
- 押出発泡後30日経過した時点における、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の化合物の総含有量が3.5重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体。
- ポリスチレン系樹脂を押出機に供給して溶融混練し、この溶融状態のスチレン系樹脂に発泡剤を供給した上で押出発泡させる難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法であって、上記押出機に、上記ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、ビスフェノールビスジブロモプロピルエーテル化合物2〜10重量部と、フタロシアニン鉄0.01〜2重量部とを供給すると共に、上記発泡剤が、炭素数が3〜5である飽和炭化水素から選ばれた一種以上の化合物2〜6重量部を含有することを特徴とする難燃性ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
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JP2011012102A (ja) * | 2009-06-30 | 2011-01-20 | Sekisui Plastics Co Ltd | 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子およびその製造方法 |
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- 2005-07-26 JP JP2005216521A patent/JP2007031557A/ja active Pending
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