JP2007031477A - 平版印刷インキ用顔料組成物およびそれを用いた平版印刷インキ - Google Patents

平版印刷インキ用顔料組成物およびそれを用いた平版印刷インキ Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、平版印刷時において、湿し水へのブリードが小さく、しかも乳化率の低い、即ち、乳化適性に優れる平版印刷インキ用顔料組成物、該顔料組成物を含有してなる平版印刷インキを提供する。
【解決手段】 有機顔料と、HLBが15〜40の範囲にあるポリオキシエチレン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤と、3つの炭化水素基のうち少なくとも2つが炭素原子数10〜18の炭化水素基である第3級アミンまたはその塩とを含有してなる平版印刷インキ用顔料組成物及び該顔料組成物を含有してなる平版印刷インキ。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、平版印刷時において、湿し水へのブリードが少なく、しかも乳化率の低い、前記乳化適性に優れた平版印刷インキを提供できる顔料組成物に関する。
平版印刷に際して印刷機上では、湿し水は湿し水単独で存在するだけでなく、平版印刷用インキと乳化した状態(乳化インキ)で存在する。湿し水の液性によっては、平版印刷用インキ中の、有機顔料成分の一部が湿し水に転移する現象が見られる。この現象を湿し水へのブリード(bleeding in the fountain)と呼ぶ。湿し水へのブリードが著しいと湿し水が着色し、紙等の印刷物に必要な絵柄以外の部分にも薄い着色が生じ(地汚れ)、鮮明な印刷物を得ることが不可能となる。
特許文献1には、有機顔料と、3つの炭化水素基のうち少なくとも2つが炭素原子数10〜18の炭化水素基である第3級アミンまたはその塩とを含有する平版印刷インキ用顔料水ペーストが記載されている。
しかしながら、特許文献1においては、本願発明のHLBが特定範囲にあるポリオキシエチレン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤が用いられていない。顔料水ペースト中に前記非イオン性界面活性剤が含まれないと、該顔料水ペーストを用いた平版印刷インキは、印刷時において、湿し水へのブリード、乳化率ともに充分満足するものではなく、優れた乳化適性を有するものは得られなかった。
特許文献2には、有機顔料と、HLBが特定範囲の非イオン性界面活性剤とを含有する平版印刷インキ用顔料組成物が記載されている。
しかしながら、特許文献2においては、本願発明の前記特定構造の第3級アミンまたはその塩が用いられていない。また、前記非イオン性界面活性剤のHLBが15以下である。前記特定構造の第3級アミンまたはその塩を含まず、しかもHLBが15以下の非イオン性界面活性剤のみを含む顔料組成物を用いた平版印刷インキは、印刷時において、乳化率は低いものの、湿し水へのブリードが大きく、優れた乳化適性を有するものは得られなかった。
特開2002−356641号公報(第2頁特許請求の範囲、第2頁段落番号0006、第6頁段落番号0062−第7頁段落番号0066)。 特開2004−269731号公報(第2頁特許請求の範囲、第3頁段落番号0009、第4頁段落番号0021、0022)。
本発明が解決しようとする課題は、平版印刷時において、湿し水へのブリードが小さく、しかも乳化率の低い、即ち、乳化適性に優れる平版印刷インキ用顔料組成物、該顔料組成物を含有してなる平版印刷インキを提供することにある。
そこで本発明者らは、前記実状に鑑みて鋭意検討した結果、平版印刷インキを調製するための顔料組成物において、HLBが特定範囲にあるポリオキシエチレン脂肪酸エステル系非イオン性界面活性剤と、特定構造の第3級アミンまたはその塩とをそれぞれ組み合わせることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、有機顔料と、HLBが15〜40の範囲にあるポリオキシエチレン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤と、3つの炭化水素基のうち少なくとも2つが炭素原子数10〜18の炭化水素基である第3級アミンまたはその塩とを含有してなる平版印刷インキ用顔料組成物および該顔料組成物を含有してなる平版印刷インキを提供するものである。
本発明の顔料組成物は、HLBが特定範囲にあるポリオキシエチレン脂肪酸エステル系非イオン性界面活性剤と、特定構造の第3級アミンまたはその塩とを含むので、それを用いて得た平版印刷インキは、印刷時において、湿し水へのブリードが小さく、しかも乳化率が低いことから、乳化適性により優れるという格別顕著な効果を奏する。
したがって、本発明の顔料組成物は、平版印刷インキ用途に最適である。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の平版印刷インキ用顔料組成物は、有機顔料と、HLBが15〜40の範囲にあるポリオキシエチレン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤と、3つの炭化水素基のうち少なくとも2つが炭素原子数10〜18の炭化水素基である第3級アミンまたはその塩とを含有して成ることを最大の特徴とする。
本発明の顔料組成物は、有機顔料と水とを主成分として、添加剤成分として、HLBが15〜40の範囲にあるポリオキシエチレン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤と、3つの炭化水素基のうち少なくとも2つが炭素原子数10〜18の炭化水素基である第3級アミンまたはその塩とを含有する顔料水ペースト、あるいは前記した顔料水ペーストを乾燥工程あるいは前記乾燥工程と粉砕工程を経た粉末顔料のいずれであってもよいが、なかでも顔料水ペーストであることが好ましい。
本発明の有機顔料は、公知慣用のものがいずれも使用できる。例えば、アゾレーキ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ジケトピロロピロール顔料等が挙げられる。これらは、各種の表面処理を行ったものでも良い。なかでも、HLBが特定範囲にあるポリオキシエチレン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤と特定構造の第三級アミンの添加により、特にフラッシュ性およびインキの過乳化の防止向上効果が大きく発揮される点でアゾレーキ顔料が好ましい。
アゾレーキ顔料としては、水可溶性基を有する芳香族アミンのジアゾニウム塩とカップラー成分とをカップリングさせたアゾ染料をアルカリ土類金属塩でレーキ化してなるものが挙げられる。
可溶性基を有する芳香族アミンとしては、例えば、4−アミノトルエン−3−スルホン酸(4B酸:p−トルイジン−m−スルホン酸)、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸(2B酸)、3−アミノ−6−クロロトルエン−4−スルホン酸(C酸)、1−アミノ−4−メチルベンゼン−3−スルホン酸、2−アミノナフタレン−1−スルホン酸(トビアス酸)、1−アミノ−3−メチルベンゼン−4−スルホン酸等が挙げられる。
カップラー成分は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(β−オキシナフトエ酸)が代表的であるが、β−ナフトール、アセトアセトアニライドであっても良い。また、上記カップラー成分の誘導体、例えば、低級アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子で置換された化合物であっても良い。
アルカリ土類金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム等が挙げられる。
アゾレーキ顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 48:1、48:2、48:3、52:1、57:1等のモノアゾレーキ顔料が挙げられる。なかでも、顔料を構成するモノアゾ染料部分とカルシウムイオンとの結合力が弱く、酸性水溶液中で容易にモノアゾ染料に転換されやすいC.I.Pigment Red 57:1が、耐ブリード性の改良効果が顕著な点で好ましい。
本発明で使用する有機顔料がC.I.Pigment Red 57:1の場合、例えば、アビエチン酸を主成分とするロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、フマル酸変性ロジン、マレイン酸変性ロジンから選ばれる各種ロジン類を、その製造工程で添加、処理したものを使用すると、透明性や着色力に優れた平版印刷インキを得ることができ、しかも、フラッシング性の改良効果も大きい点で好ましい。
本発明で使用する有機顔料がアゾレーキ顔料である場合には、カップラー成分を含む水溶液と、ジアゾニウム塩成分を含む水溶液とを、ロジン類の多価金属塩の懸濁液に注入して、ロジン類の多価金属塩の微粒子の存在下でカップリング反応させた後、レーキ化を行うのが、長さ対幅比がより小さいアゾレーキ顔料を製造でき、しかも樹脂と併用することで、従来より降伏値が小さく、流動性に優れ、かつ高光沢な着色皮膜が得られる点で好ましい。
ロジン類の多価金属塩とは、前記ロジン類と二価、三価または四価の多価金属とで構成される塩であり、例えば、Ca塩、Ba塩、Sr塩、Al塩、Zn塩等が挙げられる。この多価金属塩は、対応するNa塩やK塩の様な一価金属塩とは異なり、典型的に水不溶性または水難溶性を示す。なかでも、ロジン類のカルシウム塩が、例えば、平版印刷インキを調製する際のフラッシング性の改良効果が高い点で好ましい。
ロジン類の多価金属塩は、前記ロジン類と、多価金属塩等とを接触させる事により得られる。具体的には、ロジン類のNa塩水溶液またはK塩水溶液と、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等に代表される無機塩とを接触させる事により得ることができる。
上記した好適な製造方法は、例えば、以下の通りに実施することが出来る。
(1)カップラー成分を含む水溶液全量とジアゾニウム塩成分を含む水溶液全量とを各々別個に複数に分割し、分割された個々の両成分の見掛け注入モル比が一定となる様に、分割された両水溶液を「交互」にロジン類の多価金属塩の水懸濁液に注入して両成分全量をカップリング反応させ、更にレーキ化を行う方法。
(2)カップラー成分を含む水溶液全量とジアゾニウム塩成分を含む水溶液全量とを、両成分の見掛け注入モル比が一定となる様に、少しずつ両水溶液を「連続的」にロジン類の多価金属塩の水懸濁液に注入して両成分全量をカップリング反応させ、更にレーキ化を行う方法。
尚、これらいずれの製造方法においても、ロジン類の多価金属塩の水懸濁液に予め一部のカップラー成分を含めておいても良い。
さらに、上記(1)及び(2)の各カップリングに関しては、順に、具体的に次の様にして行うことが出来る。
(A)バッチ式攪拌槽内にロジン類の多価金属塩の懸濁液を入れ、この攪拌下に、カップラー成分の水溶液とジアゾニウム塩成分の水溶液とを別々の注入管を通して、交互に供給する方法において、下記(a)、(b)を交互に繰り返す方法。
(a)カップラー成分の水溶液全量のうちの一部を注入管を通して供給する操作。
(b)ジアゾニウム塩成分の水溶液全量のうちの一部を注入管を通して供給する操作。
(B)バッチ式攪拌槽内にロジン類の多価金属塩の懸濁液を入れ、この攪拌下に、カップラー成分の水溶液とジアゾニウム塩成分の水溶液とを別々の注入管を通して連続的に供給する方法。
レーキ化に用いるロジン類の多価金属塩で処理されたアゾ染料の懸濁液の液性を、アルカリ性、中でもpH9〜14、特に好ましくは12.5〜14とすることは、系内のアゾ染料のレーキ化の速度を適当なものとし、粒子形態を整えながら必要な粒子径の顔料粒子を得ることが出来る点で好ましい。
こうしてレーキ化により得られた、ロジン類の多価金属塩処理されたアゾレーキ顔料を含む懸濁液は、そのままアゾレーキ顔料として使用することも出来るが、顔料の粒子形態を整えるため、さらに、温度70〜90℃にて30分〜2時間熟成することが好ましい。
熟成を行う際に、ロジン類の多価金属塩処理されたアゾレーキ顔料を含む懸濁液の液性を酸性〜アルカリ性に調製することが出来るが、液性をpH11〜14で熟成を行うと、前記したのと同様に粒子形態を整える効果がある点で好ましい。この熟成時のアゾ顔料懸濁液のpHは、レーキ化に用いるロジン類の多価金属塩で処理されたアゾ染料の懸濁液のpHよりも高くなる様に調節する事が好ましい。
上記好適なアゾレーキ顔料の製造方法と、本発明におけるHLBが15〜40の範囲にあるポリオキシエチレン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤と第三級アミンまたはその塩の処理の併用は最適な実施形態である。
本発明で使用する非イオン性界面活性剤は、HLBすなわち、疎水性と親水性のバランスの指標値が15〜40の範囲にある、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤である。この様な非イオン性の界面活性剤は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレングリコールモノステアレート(花王株式会社製のエマノーン 3199V、HLB19.4)、ポリオキシエチレンジステアレート(花王株式会社製のエマノーン 3299V、HLB18.9)、ポリオキシエチレンジステアレート(花王株式会社製のエマノーン 3299RV、HLB19.2)、ポリオキシエチレン硫化ヒマシ油(花王株式会社製のエマノーン CH−80、HLB15.0)等が挙げられ、なかでも、平版印刷用インキの成分である石油系溶剤や植物油等への溶解性を配慮した上でポリオキシエチレンジステアレート(花王株式会社製のエマノーン 3299RV、HLB19.2)、ポリオキシエチレン硫化ヒマシ油(花王株式会社製のエマノーン CH−80、HLB15.0)等を使用することが好ましい。
本発明においては前記したHLBが特定範囲の非イオン性界面活性剤と後記する第三級アミンまたはその塩とを組み合わせた場合、平版印刷インキを印刷する段階において、湿し水へのブリードが小さく、しかも乳化率が低い、即ち、乳化適性により優れた効果を発現するものである。
HLBが前記した好適範囲を逸脱すると、湿し水へのブリードが大きくなる傾向にある。また、HLBが前記した好適範囲にあっても、後記する第三級アミンまたはその塩の不存在下では、乳化率に関してはいくらか満足できるものの、湿し水へのブリードに関しては充分満足できるものが得られない。
本発明の顔料組成物として、顔料水ペーストを例に挙げると、平版印刷インキ中に湿し水が多く含まれる状態(乳化インキの含水率が高い状態)とならないインキ(乳化率が低い平版印刷インキ)を提供できる顔料水ペーストを得るためには、前記した非イオン性界面活性剤の添加量に最適な範囲がある。
非イオン性界面活性剤の添加量としては、質量換算で有機顔料100部当たり0.05〜5部の範囲にあることが好ましく、なかでも0.1〜1部の範囲にあることがより好ましい。非イオン性界面活性剤の添加量が前記した好適範囲を逸脱すると乳化抑制効果が減少する傾向にある。
有機顔料が水系で製造される場合、非イオン性界面活性剤を添加する条件としては、有機顔料の懸濁液が濾過される前であることが好ましい。有機顔料がアゾレーキ顔料である場合の好ましい添加時期としては、レーキ化終了後から熟成工程までの間、熟成工程から濾過工程開始直前に添加するのが好ましい。なかでも、レーキ化終了後、熟成工程を終えた顔料懸濁液の液温を前記界面活性剤の融点以上に調製してから添加するのがより好ましい。
本発明で使用する第三級アミンまたはその塩は、3つの炭化水素基のうち少なくとも2つが炭素原子数10〜18の炭素水素基である第三級アミンまたはその塩である。本発明における炭化水素基としては、直鎖、分岐鎖、環状のいずれでも良く、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でも良い。また、前記した第三級アミンに対応する塩は、第三級アミンを酸類で中和することにより得ることが出来る。この酸類としては、蓚酸、蟻酸、塩酸の様な無機酸や酢酸、プロピオン酸の様な有機酸等を使用することができる。
以下、この第三級アミンとその塩とを併せて、アミンと略記する。
このアミンは、(1)親水性が低いため湿し水中への溶出が少なく、顔料表面への吸着率が高い、(2)窒素原子上の塩基性度が有効に発現するため、顔料表面への樹脂吸着層の形成に最も有利である、(3)炭素原子数10〜18の2本の長い炭化水素鎖が疎水性を示し、顔料表面に形成される樹脂吸着層の密度を高くするのに寄与する、点から最も好ましい。
アミンの3つの炭化水素基のうち全てが炭素原子数10〜18であっても良いが、1つは炭素原子数1〜8の炭化水素基、なかでも1〜4の炭化水素基であることが後記する乳化率やブリード性の観点から好ましい。
1分子中に含まれる前記必須の炭化水素基の炭素原子数が10未満ではアミンの親水性が高く、顔料表面への樹脂吸着層の形成に寄与する事が十分にできないため、耐ブリード性を改良し難い。また、炭素数が19以上であると炭素化水素鎖の立体障害が強すぎ、窒素原子上の塩基性度が有効に発現しないため、顔料表面への樹脂吸着層の形成に寄与する事ができず、耐ブリード性を改良し難い。
本発明で使用できる第三級アミンとしては、例えば、ジデシルモノメチルメチルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、ジミリスチルモノメチルアミン、ジパルミチルモノメチルアミン、ジステアリルメチルアミン、ジデシルモノエチルアミン、ジラウリルモノエチルアミン、ジパルミチルモノエチルアミン、ジステアリルモノエチルアミン等が挙げられる。
前記した非イオン性界面活性剤と第三級アミンの有機顔料への処理方法としては、例えば、非イオン性界面活性剤と第三級アミンの懸濁液を個々に作製して有機顔料の水性懸濁液または油性懸濁液に添加しても良いし、あるいは非イオン性界面活性剤と第三級アミンを予め混ぜ合わせた懸濁液を作製してこれらを有機顔料の水性懸濁液または油性懸濁液に添加しても良い。
第三級アミンの有機顔料への処理方法としては、具体的には、第三級アミンを攪拌機や乳化機により、水と強制攪拌させる事により得た乳化液または懸濁液、第三級アミンを界面活性剤によりエマルション化させた液、第三級アミンを界面活性剤により可溶化させた溶液、または、第三級アミンを有機溶剤により溶解させた溶液等を有機顔料の水性懸濁液または油性懸濁液に添加する事により行うことが出来る。
また、第三級アミンの塩の有機顔料への処理方法としては、例えば、第三級アミンを酸類で中和したアミン塩溶液または懸濁液を、有機顔料の水性懸濁液または油性懸濁液に添加する事により行うことが出来る。
エマルションを調整する場合の界面活性剤としては、好ましくはアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤が挙げられる。しかしながら、界面活性剤の使用は平版印刷インキの粘弾性等に影響を与える事がある。この点から、第三級アミンを攪拌機や乳化機により水と強制攪拌させる事により得た乳化液または懸濁液、または、第三級アミンを酢酸等の酸類で中和した第三級アミンの塩溶液または懸濁液を、有機顔料の水性懸濁液または油性懸濁液に添加する事が好ましい。
なお、第三級アミンを酸類で中和したアミン塩溶液または懸濁液を有機顔料の水性懸濁液または油性懸濁液に添加する場合において、第三級アミンの塩を添加した有機顔料の水性懸濁液または油性懸濁液に塩基類を添加して、第三級アミンの塩を元の第三級アミンの状態に戻しても良い。
有機顔料が水系で製造される場合、アミンを添加する条件としては、有機顔料の懸濁液が濾過される前であればよい。有機顔料がアゾレーキ顔料である場合の好ましい添加時期としては、レーキ化終了後から熟成工程までの間、熟成工程から濾過工程開始直前に添加するのが好ましい。レーキ化前に添加すると平版インキの透明性が損なわれることが多いので推奨されない。
アミンは顔料結晶を成長させる働きを有する場合が多いので、最も好ましい添加時期としては、レーキ化終了後、熟成工程を終えた顔料懸濁液の液温を熟成温度より下げてから添加するのが良い。有機顔料がアゾレーキ顔料である場合には、5〜70℃の懸濁液にアミンを添加するのが最も好ましい。
顔料組成物として、顔料水ペーストを例に挙げると、平版印刷インキ中に湿し水が多く含まれる状態(乳化インキの含水率が高い状態)とならないインキ(乳化率が低い平版印刷インキ)を提供できる顔料水ペーストを得るためには、第三級アミンの種類および添加量に最適な範囲がある。
アミンの添加量としては、質量換算で有機顔料100部当たり0.05〜5部の範囲にあることが好ましく、なかでも0.1〜1部の範囲にあることがより好ましい。アミンの添加量が0.05部以下であると、耐ブリード性が低下する。一方、アミンの添加量が5部以上であると耐ブリード性の改良効果は変わらないものの、顔料表面への樹脂吸着層の形成に寄与するのを越える添加量となるため、過剰のアミンが遊離し、最終的に得られる平版印刷用インキの着色力が低下したり、湿し水の乳化量が増加する傾向にあり好ましくない。
本発明において、アミンを添加することで耐ブリード性が向上する機構は、(1)顔料の微細粒子に特定構造の第三級アミンまたはその塩を処理する事により顔料表面が疎水化される事によりビヒクルとの親和性が高まる、(2)特定構造の塩基性を示す第三級アミンまたはその塩の窒素原子が顔料表面に吸着し、長い炭化水素鎖がビヒクル中に広がり、この長い炭化水素鎖と、ビヒクル中の疎水性基とが親和性を示し、強い樹脂吸着層を顔料表面に形成するのを助けるためと考えられる。
したがって、従来よく行われている様に、平版印刷用インキ製造時、例えばフラッシング工程において、本発明で使用される前記したHLBが特定範囲のポリオキシエチレン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤と特定構造の第3級アミンまたはその塩を添加しても、耐ブリード性の改良効果は充分なものではない。さらに、乳化率の低い平版印刷用インキを提供できる顔料水ペーストを得る事は難しい。
即ち、本発明においては、顔料水ペーストあるいは粉末顔料の段階で前記したHLBが特定範囲のポリオキシエチレン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤と特定構造の第3級アミンまたはその塩を添加することにより、従来公知の平版印刷インキ調製の段階で添加するのに比べて、湿し水へのブリードを効果的に抑制でき、しかも乳化率の低い平版印刷インキを得ることができる。
顔料水ペースト中の有機顔料の量は、その取り扱いの簡便さから規定することができる。すなわち、顔料水ペースト中の有機顔料の量が少なく、水が多量の含まれていると顔料水ペーストが液状化し、運搬およびフラッシュニーダー等の練肉機械への仕込みが困難となる。また、顔料水ペースト中の有機顔料の量が多いと顔料水ペーストが堅くなり、フラッシュニーダー等の負荷がかかる事になるため好ましくない。
上記理由から、顔料水ペーストの有機顔料の比率は、質量換算で水100部に対して25.0〜150.0部、好ましくは、33.3〜100部、最も好ましくは、42.9〜66.7部である。有機顔料の濃度換算では、前記した非イオン性界面活性剤とアミンと有機顔料と水との合計を100%とすれば、20〜60%、好ましくは、25〜50%、最も好ましくは、30〜40%である。
本発明の顔料組成物、とりわけ、顔料水ペーストは、印刷インキ用ビヒクルと共にフラッシュニーダーや押し出し機、連続式混練機等の混練機で混練されて平版印刷インキに使用することができる。詳しくは、有機顔料を含有する顔料水ペーストとビヒクルとを混練して、有機顔料をビヒクルに移行させて水を遊離、除去した後、有機顔料とビヒクルとからなる混合物に残存する水を減圧脱水により取り除いて平版インキが生産される。
平版印刷インキに使用するビヒクルは、例えば、ロジン変成フェノール樹脂、石油樹脂、アルキド樹脂等の樹脂と、アマニ油、桐油、大豆油等の植物油と、n−パラフィン、イソパラフィン、アロマティック、ナフテン、α−オレフィン等の石油系溶剤からなるものが挙げられる。しかしながら、地球環境問題への関心の高まり、すなわち、石油に依存しない社会の構築を目指すとの観点および、生物分解性の高い物質を使用し生物濃縮や環境残留期間が短い物質を選択するとの観点から、このビヒクルに、n−パラフィン、イソパラフィン、アロマティック、ナフテン、α−オレフィン等の石油系溶剤を使用する事が避けられつつある。
したがって、n−パラフィン、イソパラフィン、アロマティック、ナフテン、α−オレフィン等の石油系溶剤を含む事なく、ロジン変成フェノール樹脂、石油樹脂、アルキド樹脂等の樹脂と、大豆油とからなる平版印刷インキ用ビヒクルを使用する事が好ましい。
本発明の顔料組成物、とりわけ、顔料水ペーストを用いて調製した平版印刷インキは、インキ調製時に従来公知の非イオン性界面活性剤や第一級、第三級アミンまたはそれらの塩を添加する必要がないので、それらをインキ調製時多量に添加した場合に懸念される不都合が生じない。最終的な平版印刷インキに結果的に含まれる非イオン性界面活性剤、第三級アミンまたはその塩の種類での対比を行っても、従来よりも少ない含有量で、耐ブリード性と低乳化量(乳化率の低い)を兼備するという優れた効果を発現する。
こうして得られた本発明の顔料組成物は、それを用いて平版印刷インキを調製した後に、この平版印刷用インキと公知慣用の湿し水を用いて平版印刷に供せられる。
湿し水は、成分含有率が高い濃厚な湿し水原液を、例えば、30〜60倍に水で希釈することにより調製することが出来る。
湿し水原液は、例えば、水溶性高分子化合物、界面活性剤、版の表面酸化物を除去する整面剤、動的表面張力低下剤、版の腐食防止剤等から構成される。水溶性高分子化合物としては、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、多糖類、各種変性澱粉、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール−マレイン酸共重合体等、界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等、整面剤としては、リン酸、クエン酸等、動的表面張力低下剤としては、例えば、モノアルコール類、多価アルコール類、エーテル類、エステル類等、版の腐食防止剤としては、例えば、重クロム酸アンモニウム塩、硝酸塩等が挙げられる。これらを当業者の常識に従って、適宜必要な質量割合で水と混合することで湿し水を調製することができる。
一般的には、水/動的表面張力低下剤=25〜75/75〜25(質量比)にて湿し水原液の主剤を調製し、これに上記した各種の添加剤を適宜添加することで、湿し水原液とする。勿論、本発明の顔料組成物から得た平版印刷インキを用いた印刷では、市販の湿し水原液を水で希釈した湿し水を用いることも出来る。
アゾレーキ顔料は酸性条件下では、レーキ化金属が脱離し、レーキ化前のアゾ染料に転移する傾向にあるが、本発明の顔料組成物を用いて得た平版印刷インキは、顔料とHLBが特定範囲の界面活性剤と特定構造のアミンとの従来より強い相互作用により、より強い酸性条件下においても平版印刷時に用いる湿し水に溶出し難い。従って、従来より低pH領域、例えば、pH5以下の湿し水を用いた平版印刷においても、本発明の顔料組成物から調製した平版印刷インキによる印刷では、湿し水の着色は極めて少なく、紙等の印刷物に必要な絵柄以外の部分の地汚れもより少なく、鮮明な印刷物を得ることが可能である。
さて、印刷速度の高速化に伴い、高速で回転している版上の親水性部分に湿し水を均一に供給する事が求められてきている。従来は、湿し水に動的表面張力低下剤たるイソプロピルアルコールを10〜40%含ませる事により、湿し水の表面張力(動的表面張力)を低下させ、均一に供給してきた。しかしながら、印刷現場の作業環境や地球環境を改善する目的から、イソプロピルアルコールの使用が制限されてきている。
すなわち、労働安全衛生法(有機溶剤中毒予防規則)によると、イソプロピルアルコール(IPA)を5%以上含有する湿し水は同法の適応を受け、局所換気装置等の取り付け義務や、環境測定や健康診断の実施が義務づけられる。さらに、IPAは危険物(第4類石油類)であり貯蔵や使用に関して消防法の規制を受けるとともに、高い生物化学的酸素要求量(BOD)を示すIPA含有湿し水は、下水道法の適応を受ける等、印刷業者のコスト増を招く点から、イソプロピルアルコールの使用が制限されてきている。
その結果、現在使用されている湿し水は、動的表面張力低下剤として、イソプロピルアルコールに代わる添加剤(IPA代替添加剤)が配合されている。現在印刷現場で広く使用されている湿し水は、イソプロピルアルコールが全く含有されていない湿し水(ノンIPA湿し水)または、イソプロピルアルコールが5質量%未満しか含有されていない湿し水(IPA削減湿し水)である。
本発明の顔料組成物を使用して調整した平版印刷インキは、前記ノンIPA湿し水、またはIPA削減湿し水を使用して平版印刷を行ったいずれの場合においても、湿し水へのブリードが小さく、印刷機上での乳化率も低いことから優れた乳化適性を示すものである。
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明する。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りがない限り、「部」および「%」はいずれも質量基準である。
2−アミノ−5−メチルベンゼンスルホン酸38.5部を水200部に分散後、35%塩酸25部を加え、0℃に保ちながら40%亜硝酸ソーダ水溶液36.8部を滴下し、ジアゾニウム塩溶液を得た。次に、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸40.1部を50℃の温水250部に分散後、25%苛性ソーダ水溶液77.9部を加えてカップラー溶液を得た。カップラー溶液を10℃まで冷却後、攪拌しながら上記ジアゾニウム塩溶液を滴下した。10℃で60分間攪拌してカップリング反応を終了させ、染料懸濁液を得た。
染料懸濁液に、25%のトール油ロジンのK塩溶液32.4部(トール油ロジンとして8.1部)を添加した。30分攪拌後、72%塩化カルシウム46.6部を水55部に溶解した液を加え、60分攪拌してレーキ化を終了させた。レーキ化反応終了後、25℃で90分間加熱しつつ攪拌し、カルシウムレーキアゾ顔料(C.I.ピグメントレッド57:1)の水中懸濁液を得た。85℃まで加熱後、90分攪拌する事により、熟成工程を完了した。氷を加え、液温を60℃まで冷却後、塩酸を用いてpHを7.6に調整した。
0.09部のファーミンM2−2095(花王株式会社製のジラウリルモノメチルアミンを主成分とする第三級アミン)と0.24部のエマノーン3299RV(花王株式会社製の非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンジステアレート HLB19.2)を90%酢酸0.15部と5部の湯に添加後、ホモミキサーを使用して高速攪拌して非イオン界面活性剤を含む懸濁液を調整した。これらの懸濁液を、上記カルシウムレーキアゾ顔料(C.I.ピグメントレッド57:1)の水中懸濁液に添加し、60℃で30分攪拌した。
その後、60℃まで加熱し、1時間攪拌した。濾過、水洗して、顔料水ペースト1を得た。
(比較例1)
実施例1において、ポリオキシエチレンジステアレート(花王株式会社製の非イオン性界面活性剤、エマノーン3299RV)2.4部を使用しない事以外は実施例1と同様にして顔料水ペースト2を得た。
(比較例2)
実施例1において、ジラウリルモノメチルアミン(花王株式会社製の第三級アミン、ファーミンM2−2095)0.9部を使用しない事以外は実施例1と同様にして顔料水ペースト3を得た。
(比較例3)
実施例1において、ジラウリルモノメチルアミン(花王株式会社製の第三級アミン、ファーミンM2−2095)0.9部とポリオキシエチレンジステアレート(花王株式会社製の非イオン性界面活性剤)2.4部を使用しない事以外は実施例1と同様にして顔料水ペースト4を得た。
(インキ作成1)
実施例1および比較例1、2、3で得られた各顔料水ペーストを用いて各模擬平版印刷インキを作成した。まず平版印刷インキ用ビヒクル200部と、90℃での乾燥固形分100部相当の各顔料水ペーストを1Lフラッシュニーダーに仕込み、1Lフラッシュニーダーを稼働し、60℃でフラッシングを行った。生じたフラッシング排水を除去した後、100℃、70mmHgで1時間の減圧加熱脱水を実施した。65℃まで冷却後、ビヒクル84.6部を添加して平版印刷インキ用ベースインキを作製した。さらに、3本ロールを使用して、このベースインキ66部をビヒクル34部とともに練肉分散し、各模擬平版印刷インキ1〜4を調整した。
(ノンIPA湿し水の作成)
水35.5部、リン酸1.5部、硝酸マグネシウム1.7部、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)65.0部、アラビアゴム0.5部からなる組成物6.0部を、水100部に添加して、ノンIPA湿し水とした(pH4.5)。
(耐ブリード性試験1)
インキ作成1記載の方法により得た、顔料水ペースト1を使用して作成した模擬平版印刷インキ1、顔料水ペースト2を使用して作成した同インキ2、顔料水ペースト3を使用して作成した同インキ3、顔料水ペースト4を使用して作成した同インキ4について、下記の方法により耐ブリード性試験を実施した。
まず10部の各模擬平版印刷インキと100部のノンIPA湿し水とを高速攪拌機で混合後、濾液の着色度合いを◎(特に良好)、○(良好)、△(やや良好)、×(不良)の4段階にわけて評価した。◎:ブリードは小さく、濾液が着色していない状態を示し、耐ブリード性は特に良好を意味する。○:ブリードは小さいが、濾液はやや着色している状態を示し、耐ブリード性は良好を意味する。△はブリードがやや大きくなり、濾液も着色している状態を示し、耐ブリード性はやや良好を意味する。×はブリードが大きく、濾液も激しく着色する状態を示し、耐ブリード性は不良を意味する。その結果を表1に示す。
表1
Figure 2007031477
表1の結果から明らかな様に、本発明の顔料組成物(顔料水ペースト)を使用して作成した模擬平版印刷インキ1は、ブリードが小さく、濾液の着色も見られないことから耐ブリード性は特に良好であった。一方、特定構造の第三級アミンまたはその塩を含むインキは、ブリードは小さい(散りは多少見られる)が、濾液の着色はやや見られ、耐ブリード性は良好であった。HLBが特定範囲で特定構造を有する非イオン性界面活性剤、前記アミンおよび前記非イオン性界面活性剤をいずれも含まない(無処理)インキはブリードが大きくなり(散りが見られる)、濾液の着色も大きくなり、耐ブリード性はやや良好から不良であった。
(乳化試験)
各模擬平版印刷インキを用いて乳化試験を行った。印刷試験法としては、平版印刷インキ50部と、ノンIPA湿し水50部とをデューク乳化試験機(Duke乳化試験機:INK-WATER EMULSIFICATION TESTER、DUKE CUSTOM SYSTEMS INC. MODEL D-10)に仕込み、混合した。混合開始15分後、乳化せずに遊離している水の量を測定し、乳化した水の量を計算した。
混合15分後の乳化した水の量が少ない平版印刷インキを与える顔料水ペーストを乳化量が少ない平版印刷インキを与える顔料水ペーストであると判定する。その結果を表2に示す。
表2
Figure 2007031477
表2の結果から明らかな様に、本発明の顔料組成物(顔料水ペースト1)を使用して作成した模擬平版印刷インキ1とHLBが特定範囲で特定構造を有する非イオン性界面活性剤を含むインキの乳化量は少なかったが、特定構造の第三級アミンまたはその塩を含むインキ、前記アミンまたはその塩および前記非イオン性界面活性剤をいずれも含まない(無処理)インキはいずれも乳化量は多かった。また、特定構造の第三級アミンまたはその塩を含むインキと無処理インキは同等の乳化量であった。
さらに、通常デューク乳化試験機の混合時間が長くなるにつれて乳化量は増加・変動するのに対して、本発明の顔料組成物(顔料水ペースト1)を使用して作成した模擬平版印刷インキ1は、乳化量の増加・変動が小さい(乳化率が低い)ことから安定した印刷が可能な平版印刷インキを提供できることが判った。
本発明の顔料組成物(顔料水ペースト)は、HLBが特定範囲にあるポリオキシエチレン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤と、特定構造の第3級アミンまたはその塩とを含むので、それを用いて得た平版印刷インキは、印刷時において、湿し水へのブリードが小さく、しかも乳化率が低いことから、乳化適性により優れるという格別顕著な効果を奏する。
したがって、本発明の顔料組成物は、平版印刷インキ用途に最適である。

Claims (6)

  1. 有機顔料と、HLBが15〜40の範囲にあるポリオキシエチレン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤と、3つの炭化水素基のうち少なくとも2つが炭素原子数10〜18の炭化水素基である第3級アミンまたはその塩とを含有してなる平版印刷インキ用顔料組成物。
  2. 前記HLBが15〜40の範囲にあるポリオキシエチレン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレン硫化ヒマシ油である請求項1記載の顔料組成物。
  3. 前記有機顔料がアゾレーキ顔料である請求項1〜2のいずれか一項記載の顔料組成物。
  4. 前記有機顔料がC.I.Pigment Red 57:1である請求項1〜3のいずれか一項記載の顔料組成物。
  5. 質量換算で有機顔料100部当たり、HLBが15〜40の範囲にあるポリオキシエチレン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤が0.05〜5部、3つの炭化水素基のうち少なくとも2つが炭素原子数10〜18の炭化水素基である第3級アミンまたはその塩が0.05〜5部である請求項1〜4のいずれか一項記載の顔料組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項記載の顔料組成物を含有してなる平版印刷インキ。

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