JP2007031354A - 多環式エステル - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリマー等に誘導した場合に耐薬品性等の安定性を保持しつつ親水性や溶媒に対する溶解性等の特性を向上しうる、高機能性高分子等のモノマー成分等として有用な新規な重合性不飽和基を有する化合物を提供する。
【解決手段】 下記式(1)
【化1】
Figure 2007031354

(式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xはメチレン基又は酸素原子を示し、Zはカルボニル基又はメチレン基を示す。nは0又は1を示す。式中の環は置換基を有していてもよい)
で表される多環式エステル。
【選択図】 なし

Description

本発明は、塗料や機能性高分子の原料、医薬、農薬その他の精密化学品の原料などとして有用な新規な多環式エステルとその製造法、および該多環式エステルの合成原料として有用なヒドロキシル基を有する多環式ジカルボン酸に関する。
ラクトン骨格や環状酸無水物骨格が縮合したノルボルナン環又はオキサノルボルナン環と重合性不飽和基を有する化合物は、疎水性で嵩高く安定性の高い環と親水性を示す環とを併有しているとともに、重合性不飽和基を有することから、その構造上の特異性を活かして塗料や機能性高分子の原料などとして用いられている(特許文献1参照)。しかし、用途によっては、全体として疎水性が高すぎて所望の機能が十分に発揮されなかったり、安定性や溶媒に対する溶解性等に劣る等の問題があった。
特開2004−51995号公報
本発明の目的は、ポリマー等に誘導した場合に耐薬品性等の安定性を保持しつつ親水性や溶媒に対する溶解性等の特性を向上しうる、高機能性高分子等のモノマー成分等として有用な新規な重合性不飽和基を有する化合物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記重合性不飽和基を有する化合物の合成原料として有用な新規化合物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ポリマー等に誘導した場合に、ラクトン骨格や環状酸無水物骨格が縮合したノルボルナン環又はオキサノルボルナン環と重合性不飽和基を有する従来の化合物よりも親水性や溶媒に対する溶解性等の特性を向上しうる新規な多環式エステルとその効率的な製造法を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記式(1)
Figure 2007031354
(式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xはメチレン基又は酸素原子を示し、Zはカルボニル基又はメチレン基を示す。nは0又は1を示す。式中の環は置換基を有していてもよい)
で表される多環式エステルを提供する。
本発明は、また、下記式(2)
Figure 2007031354
(式中、Xはメチレン基又は酸素原子を示す。nは0又は1を示す。式中の環は置換基を有していてもよい)
で表されるヒドロキシル基を有する多環式ジカルボン酸と、下記式(3)
Figure 2007031354
(式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す)
で表される不飽和カルボン酸の反応性誘導体とを反応させて、下記式(1a)
Figure 2007031354
(式中、Ra、X、nは前記に同じ。式中の環は置換基を有していてもよい)
で表される化合物を得る多環式エステルの製造法を提供する。
本発明は、さらに、下記式(2)
Figure 2007031354
(式中、Xはメチレン基又は酸素原子を示す。nは0又は1を示す。式中の環は置換基を有していてもよい)
で表されるヒドロキシル基を有する多環式ジカルボン酸を提供する。
本発明によれば、ポリマー等に誘導した場合に耐薬品性等の安定性を保持しつつ親水性や溶媒に対する溶解性等の特性を向上しうる、高機能性高分子等のモノマー成分等として有用な新規な多環式エステルとその効率のよい製造法が提供される。また、前記多環式エステルの合成原料として有用な新規なヒドロキシル基を有する多環式ジカルボン酸が提供される。
本発明の多環式エステルは前記式(1)で表される。式(1)中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xはメチレン基又は酸素原子を示し、Zはカルボニル基又はメチレン基を示す。nは0又は1を示す。式中の環は置換基を有していてもよい。該置換基はX、Z(それぞれメチレン基の場合)に結合していてもよい。
前記Raにおけるハロゲン原子には、例えば、フッ素、塩素、臭素原子などが含まれる。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などが挙げられる。これらの中でも、C1-3アルキル基、特にメチル基が好ましい。ハロゲン原子を有する炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、クロロメチル基などのクロロアルキル基;トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル基などのフルオロアルキル基(好ましくは、C1-3フルオロアルキル基)などが挙げられる。Raとしては、水素原子、メチル基等のC1-3アルキル基、トリフルオロメチル基等のC1-3ハロアルキル基が好ましく、特に、水素原子又はメチル基が好ましい。
式(1)中の環が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ヒドロキシル基部分が保護基で保護されていてもよくハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、塩を形成していてもよいカルボキシル基、置換オキシカルボニル基、シアノ基などが挙げられる。ハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基としては、前記Raにおけるハロゲン原子等と同様のものが例示される。
炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル基などが挙げられる。ハロゲン原子を有する炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ジフルオロヒドロキシメチル、1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル、2,2−ジフルオロ−2−ヒドロキシエチル、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基の中でも、炭素数1又は2(特に炭素数1)のヒドロキシアルキル基若しくはヒドロキシハロアルキル基が好ましい。ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基のヒドロキシル基の保護基としては、有機合成の分野でヒドロキシル基の保護基として通常用いられる保護基、例えば、メチル基、メトキシメチル基等のヒドロキシル基を構成する酸素原子とともにエーテル又はアセタール結合を形成する基;アセチル基、ベンゾイル基等のヒドロキシル基を構成する酸素原子とともにエステル結合を形成する基などが挙げられる。カルボキシル基の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩などが挙げられる。
前記置換オキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、プロポキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基(C1-4アルコキシ−カルボニル基等);ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル基などのアルケニルオキシカルボニル基(C2-4アルコキシ−カルボニル基等);シクロヘキシルオキシカルボニル基などのシクロアルキルオキシカルボニル基;フェニルオキシカルボニル基などのアリールオキシカルボニル基などが挙げられる。
式(1)で表される多環式エステルの代表的な例として、下記式で表される化合物が挙げられる。式中、Rはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示す。式中に示される環は置換基を有していてもよい。
Figure 2007031354
式(1)で表される多環式エステルのうちZがカルボニル基である化合物[式(1a)で表される化合物]は、前記式(2)で表されるヒドロキシル基を有する多環式ジカルボン酸と、前記式(3)で表される不飽和カルボン酸の反応性誘導体とを反応させることにより製造することができる。式(2)及び式(3)におけるRa、X、nは、前記と同様である。
式(3)で表される不飽和カルボン酸の反応性誘導体としては、アシル化剤としての作用を示すものであればよく、その代表的な例として、アクリル酸ハライド(アクリル酸クロリド等)、メタクリル酸ハライド(メタクリル酸クロリド等)、α−トリフルオロメチルアクリル酸ハライド(α−トリフルオロメチルアクリル酸クロリド等)などの不飽和カルボン酸ハライド;無水アクリル酸、無水メタクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸無水物などの不飽和カルボン酸無水物などが挙げられる。式(2)で表されるヒドロキシル基を有する多環式ジカルボン酸の代表的な例としては、前記式(1)で表される多環式エステルの代表的化合物として例示した化合物に対応する化合物(Rが水素原子であり、且つ右端の酸無水物骨格をジカルボン酸に変えた化合物)が挙げられる。
式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との反応は、溶媒の存在下又は非存在下、必要に応じてトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基やモレキュラーシーブ等の脱水剤の存在下で行われる。式(3)で表される化合物の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば2〜10モル程度であり、大過剰量用いてもよい。また、塩基を用いる場合の該塩基の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば2モル以上であり、大過剰量用いることもできる。反応温度は、例えば、0〜150℃、好ましくは40〜100℃程度である。なお、反応の際、重合を抑制するため、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどの重合禁止剤や酸素を導入することもできる。
反応で生成した式(1a)で表される環状酸無水物骨格を有する多環式エステルは、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により、又はこれらを組み合わせることにより分離精製できる。
上記の反応で原料として用いられる式(2)で表される化合物のうちn=0である化合物は、例えば、下記反応工程式に従って製造できる。式中、Xはメチレン基又は酸素原子を示す。Rb、Rcは、同一又は異なって、炭化水素基を示す。式中の各環は置換基を有していてもよい。
Figure 2007031354
すなわち、式(4)で表される化合物(ジシクロペンタンジエン若しくはフラン又はそれらの置換体)と、式(5)で表されるマレイン酸エステルとを反応させて、式(6a)で表される化合物を得、この化合物をヒドロホウ素化−酸化反応に付して、式(7)で表される化合物とし、次いでこの化合物を加水分解することにより式(2a)で表される化合物を得ることができる。Rb、Rcにおける炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル基などのアルキル基(特に、C1-4アルキル基等);シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基などが挙げられる。
第1段の式(4)の化合物と式(5)の化合物との反応(ディールスアルダー反応)は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。前記溶媒としては、例えば、酢酸エチルなどのエステル;酢酸などの有機酸;t−ブチルアルコールなどのアルコール;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ベンゼンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの鎖状又は環状エーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。反応速度や反応の選択性を向上させるため、系内にルイス酸を添加してもよい。ルイス酸としては、例えば、AlCl3、SnCl4、TiCl4、BF3、ZnI2などが例示されるが、これに限定されない。反応温度は反応原料の種類等に応じて適宜選択できるが、一般には−80℃〜300℃程度、好ましくは−70℃〜250℃程度である。反応は常圧又は加圧下で行われる。反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などの何れの方法で行ってもよい。反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により、又はこれらを組み合わせることにより分離精製できる。
第2段の式(6a)で表される化合物のヒドロホウ素化−酸化反応において、前段のヒドロホウ素化反応(ハイドロボレーション)に用いるヒドロホウ素化試剤としては、特に制限はなく、例えば、BH3・THF、BH3・S(CH32などのボラン錯体;モノアルキルボラン;ジアルキルボラン;BH2Cl、BHCl2などが使用される。また、ヒドロホウ素化で生成した有機ホウ素化合物(中間体)の酸化反応(後段)に用いる酸化剤も、特に限定されず、例えば、過酸化水素(アルカリ条件下)、空気や酸素、第3級アミンのN−オキシド(例えば、トリメチルアミン−N−オキシド等)などが使用される。反応条件は一般的なヒドロホウ素化−酸化反応に準じて行うことができる。例えば、反応温度は、反応基質や反応試剤(ヒドロホウ素化試剤、酸化剤)の種類等によっても異なるが、一般に−50℃〜100℃程度である。反応試剤は、一般に、反応基質に対して当量以上用いられる。
第3段の式(7)で表される化合物の加水分解は、慣用のアルカリ加水分解、酸加水分解、又は中性加水分解の方法により行うことができる。例えば、式(7)で表される化合物を水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ中で、好ましくは加熱下に撹拌した後、系を酸性にすることにより、式(2a)で表される化合物を得ることができる。反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により、又はこれらを組み合わせることにより分離精製できる。
また、前記式(2)で表される化合物のうちn=1である化合物は、例えば、下記反応工程式に従って製造できる。式中、X、Rb、Rcは前記と同じである。式中の各環は置換基を有していてもよい。
Figure 2007031354
すなわち、式(8)で表される化合物(フラン又はそれらの置換体)と、式(5)で表されるマレイン酸エステルとを反応させて、式(9)で表される化合物を製造し、この化合物に式(4)で表される化合物を反応させて、式(6b)で表される化合物を得、この化合物をヒドロホウ素化−酸化反応に付して、式(10)で表される化合物とし、次いでこの化合物を加水分解することにより式(2b)で表される化合物を得ることができる。
第1段の式(8)の化合物と式(5)の化合物との反応、及び第2段の式(9)の化合物と式(4)の化合物との反応は、前記式(4)の化合物と式(5)の化合物との反応と同様にして行うことができ、第3段の式(6b)の化合物のヒドロホウ素化−酸化反応は前記式(6a)の化合物のヒドロホウ素化−酸化反応と同様に行うことができ、式(10)の化合物の加水分解は前記式(7)の化合物の加水分解と同様にして行うことができる。反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により、又はこれらを組み合わせることにより分離精製できる。
本発明の式(1)で表される多環式エステルのうちZがカルボニル基である化合物は、下記反応工程式に従って製造することもできる。式中、X、Ra、Rb、Rc、nは前記と同じである。式中の各環は置換基を有していてもよい。
Figure 2007031354
すなわち、式(6)で表される化合物[前記式(6a)又は(6b)で表される化合物]を加水分解して式(11)で表される化合物とし、この化合物に脱水剤を作用させて式(12)で表される化合物を得、この化合物をヒドロホウ素化−酸化反応に付して、式(13)で表される化合物とし、次いでこの化合物と式(14)で表される不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体とを反応させることにより、式(1a)で表される多環式エステルを得ることができる。前記脱水剤としては、ジカルボン酸から対応する酸無水物を得る際に通常用いられる脱水剤、例えば無水酢酸などを使用できる。脱水剤は、通常、当量以上用いられる。脱水反応の反応温度は、例えば、0〜150℃程度である。ヒドロホウ素化−酸化反応は前記と同様にして行うことができる。
式(14)で表される不飽和カルボン酸の代表的な例として、アクリル酸、メタクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸などが挙げられる。式(14)で表される不飽和カルボン酸の反応性誘導体としては、酸ハライド、酸無水物、エステルなどが挙げられる。式(13)の化合物と式(14)で表される不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体との反応は、より具体的には、(a)テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン等の溶媒中、式(13)で表される化合物に、必要に応じてトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基の存在下、(メタ)アクリル酸クロリド等の(メタ)アクリル酸ハライドや(メタ)アクリル酸無水物などの不飽和カルボン酸の活性な反応性誘導体を反応させたり、(b)前記と同様の溶媒中、式(13)で表される化合物に、チタンイソプロポキシド等のエステル交換触媒の存在下、(メタ)アクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステルを反応させたり、(c)前記と同様の溶媒中、式(13)で表される化合物を、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の強酸の存在下で(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と反応させることにより行われる。これらの方法における反応条件は、通常のエステル製造法と同様である。なお、これらの反応の際、重合を抑制するため、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどの重合禁止剤や酸素を導入することもできる。反応で生成した式(1a)で表される多環式エステルは、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により、又はこれらを組み合わせることにより分離精製できる。
本発明の式(1)で表される多環式エステルのうちZがメチレン基である化合物は、下記反応工程式に従って製造することができる。式中、X、Ra、nは前記と同じである。式中の各環は置換基を有していてもよい。
Figure 2007031354
すなわち、上記方法により得られる式(12)で表される化合物に水素化ホウ素ナトリウムを反応させて式(15)で表される化合物とし、この化合物をヒドロホウ素化−酸化反応に付して、式(16)で表される化合物とし、次いでこの化合物と式(14)で表される不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体とを反応させることにより、式(1b)で表される多環式エステルを得ることができる。
式(12)の化合物と水素化ホウ素ナトリウムとの反応は、例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中で行われる。反応条件は酸無水物をラクトンに変換する一般的な方法と同様である。式(15)の化合物のヒドロホウ素化−酸化反応は前記と同様にして行うことができ、式(16)の化合物と式(14)で表される不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体との反応は、前記式(13)の化合物と式(14)で表される不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体との反応と同様にして行うことができる。反応で生成した式(1b)で表される多環式エステルは、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により、又はこれらを組み合わせることにより分離精製できる。
なお、式(1)、式(2)、式(13)、式(16)等において式中に示される環にフッ素原子が1以上結合している化合物は、それぞれ、式(1)、式(2)、式(13)、式(16)等において式中に示される環に水素原子が結合している化合物をフッ素等のフッ素化剤を用いた慣用のフッ素化反応に付することにより製造することもできる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
下記の反応工程式に従って、5−メタクリロイルオキシノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物を製造した。
Figure 2007031354
式(17)で表されるノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジメチルエステル210g(1モル)のTHF(テトラヒドロフラン)溶液2Lに、1M−BH3のTHF溶液(0.4L)を氷冷下滴下して加えた。滴下終了後、室温で3時間撹拌を行い、反応混合液に水を滴下した。続いて、3N−水酸化ナトリウム水溶液0.5L、30重量%過酸化水素水1Lを滴下し、4時間後、塩化メチレンにて抽出を行った。分液した有機層を水で洗浄後、濃縮した。濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行い、式(18)で表される5−ヒドロキシノルボルナン−2,3−ジカルボン酸ジメチルエステルを140g得た。
上記で得られた式(18)で表される5−ヒドロキシノルボルナン−2,3−ジカルボン酸ジメチルエステル120gを、慣用の方法に従い、10重量%水酸化ナトリウムを用いて加水分解した。系を酸性にした後、エーテル抽出し、有機層を濃縮後、アセトニトリルを用いて晶析することにより、式(19)で表される5−ヒドロキシノルボルナン−2,3ジカルボン酸を45g得た。
上記で得られた5−ヒドロキシノルボルナン−2,3−ジカルボン酸(19)45g、すり潰したモレキュラーシーブス3A 90g、アセトニトリル450g、式(20)で表されるメタクリル酸クロリド50gを反応器に入れ、還流条件まで昇温した。5時間後、室温まで冷却し、濾過によりモレキュラーシーブス3Aを除き、濾液を濃縮し、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、式(21)で表される5−メタクリロイルオキシノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物のendo、exo体混合物33gを得た。
[式(21)で表される5−メタクリロイルオキシノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物のスペクトルデータ]
1H−NMR(CDCl3) δ:6.22(s, 1H), 5.63-5.82(s, 1H), 3.1-3.6(m, 1H), 2.5-3.0(m,3H), 1.9-2.0(s, 3H), 1.2-1.9(m, 5H)
GC−MS(EI):250, 222, 165, 91, 77, 69(100), 41

Claims (3)

  1. 下記式(1)
    Figure 2007031354
    (式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xはメチレン基又は酸素原子を示し、Zはカルボニル基又はメチレン基を示す。nは0又は1を示す。式中の環は置換基を有していてもよい)
    で表される多環式エステル。
  2. 下記式(2)
    Figure 2007031354
    (式中、Xはメチレン基又は酸素原子を示す。nは0又は1を示す。式中の環は置換基を有していてもよい)
    で表されるヒドロキシル基を有する多環式ジカルボン酸と、下記式(3)
    Figure 2007031354
    (式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す)
    で表される不飽和カルボン酸の反応性誘導体とを反応させて、下記式(1a)
    Figure 2007031354
    (式中、Ra、X、nは前記に同じ。式中の環は置換基を有していてもよい)
    で表される化合物を得る多環式エステルの製造法。
  3. 下記式(2)
    Figure 2007031354
    (式中、Xはメチレン基又は酸素原子を示す。nは0又は1を示す。式中の環は置換基を有していてもよい)
    で表されるヒドロキシル基を有する多環式ジカルボン酸。
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