JP2007031265A - 光学素子、光学素子の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
光学素子、光学素子の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】固定軸133で移動が規制される第1の型111と移動軸134に連結固定
され第1の型111に対して進退する第2の型112との間に硝材20を配置しこれらの
第1の型111と第2の型112とを加熱制御装置120で加熱し第1の型111に対し
て第2の型112を近接させて両成形面が略同一となる成形品をプレス成形するにあたり
、硝材20の第1の型111と接触する部位の粘度を第2の型112と接触する部位の粘
度に比べて高くした。
【選択図】図1
Description
置に関する。
造する際には、いわゆるプレス製造方法が採用されている。
この光学素子のプレス成形の代表的な方法としてダイレクトプレス法とリヒートプレス
法がある。リヒートプレス法は、硝材を一対の型を備えた金型に供給し、この金型内の硝
材を加熱軟化させた後に金型でプレス成形し、金型内の硝材が酸化しない温度まで冷却さ
れてから、成形品としてのガラス光学素子を取り出す方法である。一方、ダイレクトプレ
ス法は、溶解炉で溶解された硝材を、高温で熔けた状態のまま金型に入れ、プレス成形し
任意の形状にする方法である。
このダイレクトプレス法は、再加熱の必要が無くプレスも人手を介さず、熔解炉に接続
した自動プレス機で連続して加工されるため、大量生産に適した加工方法であるが、冷却
時のガラスの収縮を制御することが難しいため、精密な光学素子を製造するためにはリヒ
ートプレス法が用いられている。
々のレンズを接着剤で貼り合わせることにより、凸面の集合体を構成する方法で製造され
ていたが、貼り合わせ精度や接着剤の劣化などの課題があり、現在ではリヒートプレス法
による従来例が示されている(特許文献1)。
この特許文献1では、光学ガラス材料を下型と上型との間に配置し、これらの金型全体
を所定温度まで加熱した後、一方の型を他方の型に向けて押し付け両型の複数の凹凸形状
を両面に転写してレンズアレイを製造する。
また、従来、あらゆる硝材の種類、形状に対して適用可能な成形方法を提供するものと
して、変形の程度が大きい面に対応する側の型温度を高くする従来例が示されている(特
許文献2)。
この特許文献2では、メニスカスレンズを製造するために、凹面を形成する側の型を他
方の型に比べて加熱温度を高く設定する。
せることでプレス成形を行うが、この際、光学ガラス材料は、加熱されたことで膨張して
おり、型に対向する成形面がそれぞれ型に向けて変形する。ここで、光学ガラス材料の変
形の向きとプレスの方向とが同じである成形面は型の凹凸成形溝に軟化されたガラス材料
が円滑に入り込むので簡単に凹凸面が転写成形できるが、他方の成形面では、ガラス材料
の変形の向きとプレスの方向が互いに反対であるため、型の凹凸成形溝に軟化されたガラ
ス材料が入り込みにくく、凹凸面の転写成形が十分に行われないという課題がある。
特許文献2は、メニスカスレンズ等、両面が非対称のレンズを製造するためには優れて
いるかもしれないが、複数の成形面に対してどの面の変形の程度も同程度であって両型に
接する成形面が略同一のレンズを十分に成形することができない。
実に行える光学素子、光学素子の製造方法及び製造装置を提供することである。
置において、一対の型に配置された硝材の全体が同じ条件で加熱されており、これが形状
転写を十分に行えない原因となっていることがわかった。
本発明はこのような知見に基づいて案出されたものである。
れ前記第1の型に対して進退する第2の型との間に硝材を配置しこれらの第1の型と第2
の型とを加熱し前記第1の型に対して前記第2の型を近接させて前記第1の型側の面と前
記第2の型側の面とが略同一の成形品をプレス成形する光学素子の製造方法であって、前
記硝材の粘度を、前記硝材の前記第1の型と接触する部位を前記第2の型と接触する部位
に比べて高くすることを特徴とする。
また、本発明の異なる光学素子の製造方法は、第1の型と第2の型との間に硝材を配置
しこれらの第1の型と第2の型とを加熱し前記第1の型と前記第2の型とを相対的に移動
させて前記第1の型側の面と前記第2の型側の面とが略同一の成形品をプレス成形する光
学素子の製造方法であって、前記硝材の粘度を、前記第1の型及び前記第2の型のうち前
記硝材に始めに接触する第1の型側の部位を後で接触する第2の型側の部位に比べて高く
することを特徴とする。
型と第2の型とを加熱する。この加熱が開始されて所定時間経過した後、前記第1の型と
前記第2の型とを相対的に移動させ、例えば、固定軸に移動が規制された第1の型に対し
て、第2の型を近接させて、光学素子をプレス成形する。ここで、硝材は加熱に伴って膨
張されており、その成形面が対向する型に向けて変形する。そして、第1の型と第2の型
との相対移動により、始めに第1の型と接触したところでプレス圧が硝材に加わる。この
際、第1の型近傍における硝材は、その変形方向とプレスの方向とが同じ方向であるため
、加熱により軟化された硝材は第1の型に形成された複数の小レンズ形状に入り込み、硝
材の成形面に転写成形される。これに対して、第2の型近傍における硝材は、その変形方
向とプレスの方向とが逆であるため初期段階での転写は困難である。しかし、硝材の第1
の型側の部位は第2の型側の部位に比べて形状転写ができているため、第1の型と硝材の
接触面積は第2の型と硝材の接触面積と比べて格段に大きい。しかも硝材の第1の型と接
触する部位の粘度が第2の型と接触する部位の粘度に比べて高いため、第1の型側の部位
における反発力が第2の型側の部位における反発力に比べて大きくなり、第1の型側から
伝達されるその反発力により第2の型に形成された形状が硝材の成形面に転写成形される
。
従って、本発明は、硝材の第2の型側に対して第1の型側の粘度を高くすることで、従
来では形状転写を十分に行えなかった第2の型側での形状転写を、反発力を用いて確実に
行うことができる。
型の加熱温度より高くする構成が好ましい。
この発明では、硝材の加熱温度を高くすると硝材の粘度が低くなり、硝材の加熱温度を
低くすると硝材の粘度が高くなるため、第1の型と第2の型へ加熱温度を相違させること
で硝材の粘度調整を容易に行うことができる。
部位の粘度とがそれぞれ低い構成が好ましい。
この発明では、前記第1の型側部位の粘度と前記第2の型側部位の粘度とが硝材が軟化
点温度より高いと、硝材の粘度が下がり過ぎてしまい、必要な反発力を得ることができな
い。
ガラス粘度に換算して10zdPa・Sである場合、0.1≦(z−y)≦3.0である
構成が好ましい。
(z−y)が0.1未満であると、硝材の所定の反発力を得ることができず、(z−y
)が3.0を超えると、硝材の両面におけるガラスの挙動が大きく異なるので、リヒート
プレス成形に適さない。
。
実温度差が1℃未満であると、硝材の所定の反発力を得ることができず、実温度差が5
0℃を超えると、硝材の両面におけるガラスの挙動が大きく異なるのでリヒートプレス成
形に適さない。
ここで、光学素子は、前記プレス成形により型から形状転写される面が少なくとも2面
ある構成が好ましい。
この発明では、一対の型からそれぞれ光学素子の互いに対向する面に形状転写されるこ
とで、光軸と直交する平面を中心として対称的な形状の光学素子を容易に製造することが
できる。
この発明では、互いに対向する成形面に複数の凸部が形成されるという複雑な形状のレ
ンズアレイを容易に製造することができる。
することが好ましい。
この発明では、成形面に球面形状や非球面形状を有する光学素子を容易に製造すること
ができる。
れ前記第1の型に対して進退する第2の型との間に硝材を配置し前記第1の型に対して前
記第2の型を近接させて前記第1の型側の面と前記第2の型側の面とが略同一の成形品を
プレス成形するプレス装置と、前記第1の型と前記第2の型とを加熱するとともに前記第
2の型の加熱温度を前記第1の型の加熱温度より高くする加熱制御装置とを備えたことを
特徴とする。
このような本発明によれば、型開きした第1の型と第2の型との間に硝材を配置し、こ
の状態で加熱制御装置を作動して第1の型と第2の型との加熱温度の差を設ける。その後
、プレス装置で型締めし、第1の型と第2の型との間で軟化された硝材をプレス成形する
。この際、前述の通り、第1の型と第2の型との間での加熱温度差に伴って硝材の第2の
型側に対する第1の型側の粘度が高くなって大きな反発力を得ることができ、この反発力
により第2の型に形成された形状が硝材の成形面に転写成形される。
図1には、本実施形態の製造装置100が示されている。この製造装置100は、プロ
ジェクタ、デジタルカメラ、ビデオ等の光学機器に搭載される光学素子としてのレンズア
レイ10(後述する図4参照)を製造する装置である。なお、レンズアレイは、インテグ
レーターレンズあるいはフライアレンズとも呼ばれている。
製造装置100は、プレス装置110と、このプレス装置110の所定部位に赤外線を
照射する加熱制御装置120とを備える。
プレス装置110は、互いに対向する第1の型111及び第2の型112を有する成形
型113と、これらの第1の型及び第2の型111,112を近接離隔して第1の型及び
第2の型111,112の内部に配置された硝材20をプレスするプレス機構130とを
備える。
チャンバ132が設けられている。
このチャンバ132は、図示しない真空ポンプに接続されており、その上部には第1の
型111の上方への移動を規制する固定軸133が設けられ、その下部には第2の型11
2と連結固定される移動軸134が設けられている。
チャンバ132は加熱制御装置120からの赤外線を通すような材料、例えば、石英等
で成形される。
固定軸133は、その下端部に第1の型111と当接するプレート135が設けられて
いる。
移動軸134は、その上端部に第2の型112を載置するテーブル136が設けられて
いる。移動軸134は加圧機構137と連結されている。この加圧機構137は移動軸1
34と連結されるねじ軸138と、このねじ軸138を回転駆動するモータ139とを備
え、このモータ139を正逆回転することでテーブル136に載置される第2の型112
が第1の型111に対して近接離隔される。
図2において、成形型113は、硝材20が間に配置され対とされた第1の型111及
び第2の型112と、これらの第1の型111及び第2の型112を包囲する胴型114
とを有するものであり、これらの型はそれぞれ所定の材料、例えば、超硬、窒化炭素、炭
化珪素等の高強度高耐熱性材料により成形されている。
第1の型111及び第2の型112は、それぞれ硝材20と対向する面にレンズアレイ
10の複数の小レンズを形成するための凹部111A,112Aが複数形成されている。
なお、小レンズを形成するための凹部111A,112Aは、球面形状または非球面形状
で構成されている。
図3の(A)は硝材20の平面図、(B)は硝材20の正面図である。
図3において、硝材20は縦寸法がa、横寸法がb及び厚み寸法がcの直方体形状であ
り、上面20A及び下面20Aが光学研磨面であって、残り4面が梨地面である。
ここで、硝材20の素材としては、白板ガラス、ほうけい酸ガラス、石英ガラス、その
他の光学ガラス素材が使用される。
この硝材20から本実施形態を用いてレンズアレイ10が製造される。
図4には本実施形態で製造されたレンズアレイ10が示されている。
図4の(A)はレンズアレイ10の平面図、(B)はレンズアレイ10の縦断面図であ
る。
図4において、レンズアレイ10は縦寸法がd、横寸法がe及び厚み寸法がfで示され
る形状であり、第1の型111に対向する成形面10Aと第2の型112に対向する成形
面10Aには、それぞれ球面形状または非球面形状で構成された小レンズとしての複数の
凸部10Bが並んで形成されている。
本実施形態で製造に適するレンズアレイ10は(d/f)<5又は(e/f)<5であ
り、好ましくは、(d/f)<2又は(e/f)<2の条件を満たす成形面に対して厚み
が大きいものである。小レンズを形成するための凹部111A,112Aは、球面形状ま
たは非球面形状で構成されている。
され成形型113を加熱するヒータ121と、ヒータ121の加熱温度を制御する図示し
ない制御部とを備えている。加熱制御装置120には、例えばPID制御などのフィード
バックシステムが組み込まれていることが望ましい。
ヒータ121はチャンバ132の周面を囲むように複数本配置された赤外線ランプから
構成されており、これらの赤外線ランプは成形型113の軸方向に沿って配置されている
。これらの赤外線ランプから赤外線がチャンバ132を透過して成形型113に照射され
、この赤外線によって成形型113が加熱される。
制御部はヒータ121から照射される赤外線の照射量を成形型113の軸方向に沿って
変更するものであり、具体的には、第2の型112の加熱温度を第1の型111の加熱温
度より高くするように制御する。なお、本実施形態では、予め下方に配置する赤外線ラン
プの電力を上方に位置する赤外線ランプの電力より大きく設定することで制御部を省略し
てもよい。
まず、第1の型111と第2の型112とを型開きし、これらの間に硝材20を投入す
る。この状態でチャンバ132の内部に窒素を導入しながら移動軸134により第1の型
111と第2の型112とを近づけた状態で加熱制御装置120を作動させて成形型11
3の全体を加熱する。加熱開始から所定時間経過した後にプレス機構130を作動させて
第1の型111と第2の型112とを近接させる。
図5(A)は第1の型111と第2の型112との加熱温度と時間との関係を示すグラ
フであり、図5(B)は第1の型111と第2の型112との間で硝材20に加える圧力
と時間との関係を示すグラフである。
同一温度になるように加熱し、ある程度目標温度に近づいたところで、緩やかな加熱に切
り替えて第1の型と第2の型を所望温度とする。これにより、硝材20の粘度は第1の型
111と接触する部位が第2の型112と接触する部位に比べて高くなる。
ここで、本実施形態では、第2の型112の温度がガラス粘度に変換して10ydPa
・Sであり、第1の型111の温度がガラス粘度に換算して10zdPa・Sである場合
、0.1≦(z−y)≦3.0であり、好ましくは、0.2≦(z−y)≦1.2であり
、最も好ましいのは、(z−y)=0.6である。
表1は0.2≦(z−y)≦1.2の範囲内において第1の型111側におけるガラス
粘度10zdPa・Sと第2の型112側部位におけるガラス粘度10ydPa・Sとの
条件を種々変更して行った実験結果を示す。
場合であり、「◎」は本実施形態により好ましい成形が行えた場合であり、「×」は硝材
20の軟化点温度より高く成形できない場合である。なお、表1では表されていないが、
0.2≦(z−y)≦1.2の範囲外であっても、0.1≦(z−y)≦3の範囲内では
不都合なく成形が行えた。
112の温度T2との実温度差は1℃以上50℃以下である。実温度差が1℃未満である
と、硝材20の一方の成形面側に所定の反発力を得ることができず、実温度差が50℃を
超えると、硝材20の両成形面におけるガラスの挙動が大きく異なるのでリヒートプレス
成形に適さない。
型111を第2の型112に向けて近接させる。これにより、硝材20は所定の圧力Pで
加圧される。
ここで、図2に示される通り、硝材20は加熱に伴って膨張しており、その成形面20
Aが対向する第1の型111及び第2の型112に向けて変形する(矢印A参照)。
そして、第1の型111に対して第2の型112が近接するとともに第1の型111が
固定軸133に当接することで、まず、第1の型111が硝材20に接触し、その後、引
き続き第2の型112が第1の型111に対して近接することで第2の型112が硝材2
0に接触するが、この際、第1の型111近傍における硝材20は、その変形方向Aとプ
レスの方向Bとが同じ方向であるため、加熱により軟化された硝材20は、第1の型11
1に形成された複数の凹部111Aに入り込み、凹部111Aの形状が硝材20の成形面
20Aに転写成形される。これに対して、第2の型112近傍における硝材20は、その
変形方向Aとプレスの方向Bとが逆方向であるため初期段階での転写は困難である。しか
し、硝材20の第1の型111側の部位は第2の型112側の部位に比べて形状転写がで
きているため、第1の型111と硝材20の接触面積は第2の型112と硝材20の接触
面積と比べて格段に大きい。しかも硝材20の第1の型111と接触する部位の粘度が第
2の型と接触する部位の粘度に比べて高いため、第1の型111側の部位における反発力
が第2の型112側の部位における反発力に比べて大きくなり、第1の型111側から伝
達されるその反発力により、第2の型112に形成された複数の凹部112Aの形状が、
硝材20の成形面20Aに転写成形される。
これにより、第1の型111と第2の型112との温度が低下することになる。
硝材20の加圧はt2より長い時間tpの間行われ、時間tpが経過したらプレス機構
130を作動させて第1の型111と第2の型112とを離隔させる。
加熱制御装置120での加熱が終了したら、チャンバ132の内部に導入する窒素の量
を多くし、冷却を加速させる。チャンバ132の内部が室温近傍まで冷却されたら、第1
の型111と第2の型112との間に配置され硝材20から成形されたレンズアレイ10
を取り出す。
(1)固定軸133で移動が規制される第1の型111と移動軸134に連結固定され第
1の型111に対して進退する第2の型112との間に硝材20を配置しこれらの第1の
型111と第2の型112とを加熱制御装置120で加熱し第1の型111に対して第2
の型112を近接させて両成形面20Aが略同一となる成形品をプレス成形するにあたり
、硝材20の第1の型111と接触する部位の粘度を第2の型112と接触する部位の粘
度に比べて高くした。そのため、第1の型111近傍における硝材20は、その変形方向
Aとプレスの方向Bとが逆方向であるため、従来では形状転写を十分に行えなかったが、
本実施形態では、硝材20の第1の型111側の部位が第2の型112側の部位に比べて
粘度が高く、所定の反発力が生じるので、この反発力を用いて、第1の型111側での形
状転写を確実に行うことができる。
加熱温度より高くした。硝材20の加熱温度と粘度とは反比例するので、硝材20の温度
差を第1の型111側と第2の型112側とで設けることで、硝材20の粘度調整を容易
に行うことができる。そのため、前述の効果を簡易な手段で達成することができる。
112側部位の粘度とがそれぞれ低い構成である。そのため、硝材20の粘度が下がり過
ぎてしまい、十分な反発力を得ることができないという不都合を回避することができる。
の温度がガラス粘度に換算して10zdPa・Sである場合、(z−y)を0.1以上3
.0以下としたから、硝材20の必要な反発力を得ることができるとともに、硝材20の
両面におけるガラスの挙動が大きくならないので、適正なプレス成形を行うことができる
。
前述と同様に、硝材20の所定の反発力を得ることができるとともに、硝材20の両面に
おけるガラスの挙動を小さくすることで適正なプレス成形を行うことができる。
ある。第1の型111と第2の型112からそれぞれ互いに対向する成形面に形状転写さ
れることで、光軸と直交する平面を中心として対称的な形状のレンズアレイ10を容易に
製造することができる。
軸134で第2の型112を近接してレンズアレイ10をプレス成形するプレス装置11
0と、第1の型111と第2の型112とを加熱するとともに第2の型112の加熱温度
を第1の型111の加熱温度より高くする加熱制御装置120とを備えて構成した。その
ため、前述の効果を達成できる製造装置を提供することができる。
(実施例1)
硝材20として、寸法a及び寸法bをそれぞれ25mm、寸法cを32mmとする白板
ガラスを用いた。
この硝材20を前記実施形態と同様の第1の型111と第2の型112との間に配置し
、その後、図5で示される手順で硝材20のプレス成形を行った。
実施例1では、温度T1は第1の型111がガラス粘度に変換して10zdPa・S(
z=10.9)となった温度であり、温度T2は第2の型112がガラス粘度に変換して
10ydPa・S(y=10.3)となった温度である。ここで、(z−y)は0.6で
ある。
図6はガラスの温度と粘度特性との関係を示したグラフであり、図7は図6の温度58
0℃〜620℃の範囲を拡大して示したグラフの一例である。これらの図からガラスの温
度と粘度特性とが対応していることが明らかである。
プレス時間tpは500秒である。なお、加圧開始後時間t2が経過したら加熱制御装置
120による保温を終了し、成形型113の温度を降下させる。加圧終了時点での硝材2
0の温度はガラス粘度に換算して1013.0dPa・Sであり、その後、チャンバ132の
内部に導入する窒素の量を多くして冷却を加速する。チャンバ132の内部が室温近傍ま
で冷却されたら、第1の型111と第2の型112との間から成形されたレンズアレイ1
0を取り出す。
このレンズアレイ10は上下の成形面10Aにレンズ形状が転写されており、第1の型
111及び第2の型112からの転写精度はP−Vで0.1μm以下であり、プレス後の
寸法精度も所定の公差以内であって、所望の特性が得られた。
硝材20として、寸法a及び寸法bをそれぞれ25mm、寸法cを22mmとする白板
ガラスを用いた。
この硝材20を前記実施形態と同様の第1の型111と第2の型112との間に配置し
、その後、図5で示される手順で硝材20のプレス成形を行った。
実施例2では、温度T1は第1の型111がガラス粘度に変換して10zdPa・S(
z=11.1)となった温度であり、温度T2は第2の型112がガラス粘度に変換して
10ydPa・S(y=10.5)となった温度である。ここで、(z−y)は0.6で
ある。
プレス時間tpは400秒である。実施例2では実施例1と同様に加圧開始後時間t2が
経過したら加熱制御装置120による保温を終了し、成形型113の温度を降下させる。
加圧終了の後、チャンバ132の内部に導入する窒素の量を多くして冷却を加速する。チ
ャンバ132の内部が室温近傍まで冷却されたら、第1の型111と第2の型112との
間から成形されたレンズアレイ10を取り出す。
このレンズアレイ10は上下の成形面10Aにレンズ形状が転写されており、第1の型
111及び第2の型112からの転写精度はP−Vで0.1μm以下であり、プレス後の
寸法精度も所定の公差以内であって、所望の特性が得られた。
以上より、第1の型111と第2の型112とで所定の温度差を設けることで、レンズ
アレイ10の両成形面10Aに複数の小レンズ形状が転写され、その転写精度が高いもの
であることがわかった。
範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、光学素子をレンズアレイとして説明したが、本発明はレン
ズアレイ以外のレンズにも適用することができ、レンズ以外にもプリズムでも適用するこ
とができる。そして、これらの光学素子の両側の成形面に球面形状又は非球面形状を有す
るものとすることができる。
、これらの第1の型111および第2の型112を包囲する胴型114とを有する場合で
説明したが、成形型113に代えて、以下に示す成形型200を用いてもよい。
図8は、成形型200の概略構造を示す断面図である。
0を有する。
上フレーム210は、レンズアレイ10(図4参照)の複数の小レンズを成形するため
の複数の凹部211Aが形成された第1の型としての上型211と、上型211を包囲し
プレスによって変形させられる硝材20の周囲を規定する上胴型212を備え、上型21
1と上胴型212は、何れも固定側取付板213に取り付けられている。
を成形するための複数の凹部221Aが形成された第2の型としての下型221と、下型
221を包囲する下胴型222を備え、下型221と下胴型222は、何れも可動側取付
板223に取り付けられている。これらの型および取付板は、それぞれ所定の材料、例え
ば、超硬、窒化炭素、炭化珪素等の高強度高耐熱性材料からなる。
このように構成された成形型200は、製造装置100のチャンバ132内のプレート
135とテーブル136間に配設される。
なお、図8に示す成形型200は、下フレーム220が移動されて、硝材20が上フレ
ーム210の上型211に接触した状態を示す。
なお、図9に示す製造装置100は、上記の実施形態における成形型113に代えて成
形型200を配設したことを除いては同様の基本構成を有し、図1との対応部分には同一
の符号を付し、その詳細説明は省略する。また、各構成要素の動作についても同様であり
、その説明も省略する。
35に、固定側取付板213をプレート135側にして取り付けられる。一方、下フレー
ム220は、移動軸134の上端部に連結固定されたテーブル136に、可動側取付板2
23をテーブル136側にして取り付けられる。
入し、下型221上に載置される。そして、製造装置100を稼動して硝材20がプレス
成形され、レンズアレイ10が得られる。なお、成形型200を用いた場合の製造方法(
手順及び各種設定条件)は、前記の実施例1と同様であり、その説明は省略する。
を20.8mm、寸法bを27.8mm、寸法cを19.9mmとする白板ガラスのプレ
ス成形を行った。
成形されたレンズアレイ10は、上下の成形面10Aにレンズ形状が転写されており、
上型211及び下型221からの転写精度は、P−Vで0.1μm以下であり、プレス後
の寸法精度も所定の公差以内であって、所望の特性が得られた。
た第2の型112を移動型としたが、本発明では、固定型と移動型とを上下逆にするもの
でもよく、さらに、第1の型111と第2の型112との双方を移動可能にするものでも
よい。さらに、第1の型111と第2の型112とを水平方向に並べて配置する構成であ
ってもよい。これらの型配置については、成形型200においても同様に適用することが
できる。
発明は、これに限定されるものではない。つまり、本発明は、主に特定の実施形態に関し
て説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述
べた実施形態に対し、使用する材料、温度、処理時間、その他の詳細な事項において、当
業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した材料、温度、処理時間などを限定した記載は、本発明の理解を
容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、そ
れらの材料、温度、処理時間などの限定の一部もしくは全部の限定を外した記載は、本発
明に含まれるものである。
できる。
110…プレス装置、111…第1の型、112…第2の型、113,200…成形型、
120…加熱制御装置、121…ヒータ(遠赤外線ランプ)、130…プレス機構、13
3…固定軸、134…移動軸、210…上フレーム、211…第1の型としての上型、2
20…下フレーム、221…第2の型としての下型。
Claims (11)
- 固定軸で移動が規制される第1の型と移動軸に固定され前記第1の型に対して進退する
第2の型との間に硝材を配置しこれらの第1の型と第2の型とを加熱し前記第1の型に対
して前記第2の型を近接させて前記第1の型側の面と前記第2の型側の面とが略同一の成
形品をプレス成形する光学素子の製造方法であって、
前記硝材の粘度を、前記硝材の前記第1の型と接触する部位を前記第2の型と接触する
部位に比べて高くすることを特徴とする光学素子の製造方法。 - 第1の型と第2の型との間に硝材を配置しこれらの第1の型と第2の型とを加熱し前記
第1の型と前記第2の型とを相対的に移動させて前記第1の型側の面と前記第2の型側の
面とが略同一の成形品をプレス成形する光学素子の製造方法であって、
前記硝材の粘度を、前記第1の型及び前記第2の型のうち前記硝材に始めに接触する第
1の型側の部位を後で接触する第2の型側の部位に比べて高くすることを特徴とする光学
素子の製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載された光学素子の製造方法において、
前記硝材に粘度差を付与するために前記第2の型の加熱温度を前記第1の型の加熱温度
より高くすることを特徴とする光学素子の製造方法。 - 請求項3に記載された光学素子の製造方法において、
前記硝材は軟化点温度に対応した粘度より前記第1の型側部位の粘度と前記第2の型側
部位の粘度とがそれぞれ低いことを特徴とする光学素子の製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載された光学素子の製造方法において、
前記第2の型の温度がガラス粘度に変換して10ydPa・S、前記第1の型の温度が
ガラス粘度に換算して10zdPa・Sである場合、
0.1≦(z−y)≦3.0である
ことを特徴とする光学素子の製造方法。 - 請求項3から請求項5のいずれかに記載された光学素子の製造方法において、
前記第1の型と前記第2の型との実温度差が1℃以上50℃以下であることを特徴とす
る光学素子の製造方法。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載された光学素子の製造方法で製造されたことを
特徴とする光学素子。 - 請求項7に記載された光学素子において、
前記プレス成形により型から形状転写される面が少なくとも2面あることを特徴とする
光学素子。 - 請求項7又は請求項8に記載された光学素子において、
前記成形品はレンズアレイであることを特徴とする光学素子。 - 請求項7から請求項9のいずれかに記載された光学素子において、
前記第1の型と前記第2の型との間で形成される成形面に球面形状又は非球面形状を有
することを特徴とする光学素子。 - 固定軸で移動が規制される第1の型と移動軸に固定され前記第1の型に対して進退する
第2の型との間に硝材を配置し前記第1の型に対して前記第2の型を近接させて前記第1
の型側の面と前記第2の型側の面とが略同一の成形品をプレス成形するプレス装置と、前
記第1の型と前記第2の型とを加熱するとともに前記第2の型の加熱温度を前記第1の型
の加熱温度より高くする加熱制御装置とを備えたことを特徴とする光学素子の製造装置。
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JP2006146426A JP2007031265A (ja) | 2005-06-21 | 2006-05-26 | 光学素子、光学素子の製造方法及び製造装置 |
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---|---|
JP (1) | JP2007031265A (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6350332A (ja) * | 1986-08-20 | 1988-03-03 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | ガラスレンズの成形方法 |
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JP2003292325A (ja) * | 2002-03-29 | 2003-10-15 | Toshiba Mach Co Ltd | ガラス素子の成形方法 |
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-
2006
- 2006-05-26 JP JP2006146426A patent/JP2007031265A/ja not_active Withdrawn
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