JP2007028904A - 梅ワインおよびその製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 総酸度が高くても酸味の刺激が低減されている、嗜好性の高い梅ワイン、及びその製造法を提供すること。
【解決手段】(1)梅果汁を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせることにより得られる梅ワインであって、総酸量(酒石酸換算値)14〜30g/L、pH2.8〜3.7、糖分(還元糖換算値)40〜100g/Lであることを特徴とする梅ワイン。
(2)梅果汁及び糖を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせる工程を含む梅ワインの製造法において、得られた梅ワインの総酸量(酒石酸換算値)が14〜30g/L、pHが2.8〜3.5、糖分(還元糖換算値)が40〜100g/Lとなるように調整することを特徴とする、梅ワインの製造法。
(3)梅果汁及び糖を含有する培地で生育する酵母を選抜する操作を2回以上繰り返し、梅ワイン製造のために好適な酵母を得ることを特徴とする、酵母の調製法。
【解決手段】(1)梅果汁を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせることにより得られる梅ワインであって、総酸量(酒石酸換算値)14〜30g/L、pH2.8〜3.7、糖分(還元糖換算値)40〜100g/Lであることを特徴とする梅ワイン。
(2)梅果汁及び糖を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせる工程を含む梅ワインの製造法において、得られた梅ワインの総酸量(酒石酸換算値)が14〜30g/L、pHが2.8〜3.5、糖分(還元糖換算値)が40〜100g/Lとなるように調整することを特徴とする、梅ワインの製造法。
(3)梅果汁及び糖を含有する培地で生育する酵母を選抜する操作を2回以上繰り返し、梅ワイン製造のために好適な酵母を得ることを特徴とする、酵母の調製法。
Description
本発明は、主として梅ワインおよびその製造法に関する。
梅果汁を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせることにより得られる果実酒(梅ワイン)は優れた健康食品として知られている(特許文献1〜5参照)。一般的な梅ワインの製造法は以下の通りである。
まず、梅果実を破砕して得た梅果汁に加糖、加水して発酵用原料とし、これに酵母を添加して発酵を行わせる。次いで発酵終了後の醪を遠心分離して酵母や発酵残渣を除去し、更に珪藻土ろ過して清澄な梅ワイン原液を得る。次いで梅ワイン原液に対し、規格調整、例えばアルカリ溶液によるpH調整、果汁によるエキス分調整、加糖による糖分調整等を行い、更にろ過、加熱殺菌、瓶詰めを行って、製品とする。
近年、梅に含まれるクエン酸の健康への効果が注目されており、より高濃度のクエン酸を含む梅ワインが求められている。しかしながら、クエン酸等の有機酸量(以下「総酸量(酒石酸換算値)」という)が高くなると、梅ワインの酸味刺激が強くなり、嗜好性が低下するという問題がある。酸味刺激の低減のために加糖する方法があるが、多量の糖の摂取は敬遠される傾向にあるため、大幅な加糖を行わない方法の開発が必要とされている。
また、梅果汁を高濃度に含む発酵用原料を使用して梅ワインを製造する場合、クエン酸等の有機酸が多く含まれるため、発酵用原料の総酸量(酒石酸換算値)が高くなる。その結果、発酵用原料のpHが低くなるために酵母の生育が阻害され、発酵が十分に行えないという問題がある。
本発明は、総酸度が高くても酸味の刺激が低減されている、嗜好性の高い梅ワイン、及びその製造法を提供することにある。
本発明者らは、総酸量(酒石酸換算値)、pH及び糖分(還元糖換算値)を特定範囲となるように調整することにより、総酸度が高くても酸味の刺激が低減されており、香りとコク味を有する梅ワインが得られることを見出した。また、総酸量が高い発酵用原料を用いた場合でも、上記梅ワインが得られる製造法を見出した。さらに、上記梅ワイン製造に好適な酵母の調製法を見出した。
すなわち本発明は以下に関する。
1.梅果汁を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせることにより得られる梅ワインであって、総酸量(酒石酸換算値)14〜30g/L、pH2.8〜3.7、糖分(還元糖換算値)40〜100g/Lであることを特徴とする梅ワイン。
2.クエン酸量が8,000〜30,000mg/Lである、請求項1記載の梅ワイン。
3.梅果汁及び糖を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせる工程を含む梅ワインの製造法において、得られた梅ワインの総酸量(酒石酸換算値)が14〜30g/L、pHが2.8〜3.7、糖分(還元糖換算値)が40〜100g/Lとなるように調整することを特徴とする、梅ワインの製造法。
4.発酵を行わせる工程において、醪に対してクエン酸含有溶液又は梅果汁を1回以上添加することにより醪中の総酸量(酒石酸換算値)を増加させることを特徴とする請求項3記載の梅ワインの製造法。
5.梅果汁及び糖を含有する培地で生育する酵母を選抜する操作を2回以上繰り返し、梅ワイン製造のために好適な酵母を得ることを特徴とする、酵母の調製法。
1.梅果汁を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせることにより得られる梅ワインであって、総酸量(酒石酸換算値)14〜30g/L、pH2.8〜3.7、糖分(還元糖換算値)40〜100g/Lであることを特徴とする梅ワイン。
2.クエン酸量が8,000〜30,000mg/Lである、請求項1記載の梅ワイン。
3.梅果汁及び糖を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせる工程を含む梅ワインの製造法において、得られた梅ワインの総酸量(酒石酸換算値)が14〜30g/L、pHが2.8〜3.7、糖分(還元糖換算値)が40〜100g/Lとなるように調整することを特徴とする、梅ワインの製造法。
4.発酵を行わせる工程において、醪に対してクエン酸含有溶液又は梅果汁を1回以上添加することにより醪中の総酸量(酒石酸換算値)を増加させることを特徴とする請求項3記載の梅ワインの製造法。
5.梅果汁及び糖を含有する培地で生育する酵母を選抜する操作を2回以上繰り返し、梅ワイン製造のために好適な酵母を得ることを特徴とする、酵母の調製法。
本発明により、クエン酸等の総酸度が高くても酸味の刺激が低減されており、香りとコク味を有する梅ワインが得られる。
1.本発明の梅ワイン
本発明の梅ワインは、梅果汁を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせることにより得られる梅ワインであって、総酸量(酒石酸換算値)14〜30g/L、pH2.8〜3.7、糖分(還元糖換算値)40〜100g/Lであることを特徴とする。梅ワインの総酸量(酒石酸換算値)が14〜30g/Lである場合、味覚上は非常に酸味刺激を感じる。しかしながら、そのpHを2.8〜3.7、好ましくはpH3.07〜3.57、糖分(還元糖換算値)を40〜100g/Lとすることにより、酸味刺激が低減された嗜好性の高い梅ワインとなる。なお、上記梅ワインにおいては、クエン酸量は8,000〜30,000mg/Lであることが好ましい。
本発明の梅ワインは、梅果汁を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせることにより得られる梅ワインであって、総酸量(酒石酸換算値)14〜30g/L、pH2.8〜3.7、糖分(還元糖換算値)40〜100g/Lであることを特徴とする。梅ワインの総酸量(酒石酸換算値)が14〜30g/Lである場合、味覚上は非常に酸味刺激を感じる。しかしながら、そのpHを2.8〜3.7、好ましくはpH3.07〜3.57、糖分(還元糖換算値)を40〜100g/Lとすることにより、酸味刺激が低減された嗜好性の高い梅ワインとなる。なお、上記梅ワインにおいては、クエン酸量は8,000〜30,000mg/Lであることが好ましい。
2.梅ワインの製造法
本発明の梅ワインの製造法は、梅果汁及び糖を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせる工程を含む梅ワインの製造法において、得られた梅ワインの総酸量(酒石酸換算値)が14〜30g/L、pHが2.8〜3.7、好ましくはpH3.07〜3.57、糖分(還元糖換算値)が40〜100g/Lとなるように調整することを特徴とする。
梅の品種は特に限定されず、例えば、南高梅、白加賀、豊後、養老、玉英等の品種が使用できる。梅果汁としては、梅果実を圧搾して得られた果汁や、梅果実を破砕してピューレ状にし、必要により加水したものが使用できる。糖とは発酵工程において酵母が資化するために添加するものであり、使用する酵母に応じ適宜選択すればよい。例えば、グルコース、フラクトース、シュークロースが使用できる。
本発明の梅ワインの製造法は、梅果汁及び糖を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせる工程を含む梅ワインの製造法において、得られた梅ワインの総酸量(酒石酸換算値)が14〜30g/L、pHが2.8〜3.7、好ましくはpH3.07〜3.57、糖分(還元糖換算値)が40〜100g/Lとなるように調整することを特徴とする。
梅の品種は特に限定されず、例えば、南高梅、白加賀、豊後、養老、玉英等の品種が使用できる。梅果汁としては、梅果実を圧搾して得られた果汁や、梅果実を破砕してピューレ状にし、必要により加水したものが使用できる。糖とは発酵工程において酵母が資化するために添加するものであり、使用する酵母に応じ適宜選択すればよい。例えば、グルコース、フラクトース、シュークロースが使用できる。
酵母とは、上記発酵用原料をアルコール発酵させるものであれば特に限定されず、例えば、ワイン醸造用の酵母が使用できる。具体的には、Saccharomyces cerevisiaeに属する酵母が挙げられる。
総酸量(酒石酸換算値)、pH及び糖分(還元糖換算値)の調整は、梅ワインの製造工程のいずれの段階で行ってもよく、例えば、発酵用原料の調整時、発酵工程、発酵終了後の規格調整時などに実施できる。
総酸量(酒石酸換算値)は、例えば、製造工程における加水量の加減、梅果汁或いはクエン酸等の有機酸含有溶液の添加により調整できる。また、pHは、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、アンモニア、炭酸ナトリウム等のアルカリ溶液により調整できる。さらに、糖分(還元糖換算値)は、例えば、発酵用原料への加糖の量、規格調整時の加糖の量を加減することにより調整できる。
本発明の梅ワインの製造法においては、pH及び糖分(還元糖換算値)の調整以外の工程、すなわち発酵条件、遠心分離、ろ過、加熱殺菌、瓶詰め等の方法については特に限定されず、公知の方法を採用すればよい。
また、本発明においては、発酵を行わせる工程において、醪に対してクエン酸含有溶液又は梅果汁を1回以上添加することにより醪中の総酸量(酒石酸換算値)を増加させることが好ましい。こうすることにより、醪のpHが急激に低下しないので、酵母の生育が大幅に阻害されることがない。従って、醪の発酵力を低下させること無く適正に発酵を終了させることができる。
また、本発明においては、発酵を行わせる工程において、醪に対してクエン酸含有溶液又は梅果汁を1回以上添加することにより醪中の総酸量(酒石酸換算値)を増加させることが好ましい。こうすることにより、醪のpHが急激に低下しないので、酵母の生育が大幅に阻害されることがない。従って、醪の発酵力を低下させること無く適正に発酵を終了させることができる。
以下に、梅ワインの製造法の一例を示す。まず、梅果実を破砕してピューレ状の梅果汁とし、これにグルコースまたはシュークロースで加糖、加水して発酵用原料とする。発酵用原料中の総酸度は12g/L、糖分は15%程度とする。これにSaccharomyces cerevisiaeに属する酵母を添加して発酵を行わせる。発酵は、18〜25℃で、10〜20日程度行う。発酵開始後、2日目、4日目、6日目、8日目に梅果汁を添加し、醪の総酸度を毎回2g/Lずつ増加させる。
次いで発酵終了後の醪を遠心分離して酵母や発酵残渣を除去し、更に珪藻土ろ過して清澄な梅ワイン原液を得る。次いで梅ワイン原液に対し、規格調整、例えばアルカリ溶液によるpH調整、梅果汁によるエキス分調整、加糖による糖分調整等を行い、製品として完成した際に、総酸量(酒石酸換算値)が14〜30g/L、pHが2.8〜3.7、糖分(還元糖換算値)が40〜100g/Lとなるようにする。更にろ過、加熱殺菌、瓶詰めを行って、製品とする。
次いで発酵終了後の醪を遠心分離して酵母や発酵残渣を除去し、更に珪藻土ろ過して清澄な梅ワイン原液を得る。次いで梅ワイン原液に対し、規格調整、例えばアルカリ溶液によるpH調整、梅果汁によるエキス分調整、加糖による糖分調整等を行い、製品として完成した際に、総酸量(酒石酸換算値)が14〜30g/L、pHが2.8〜3.7、糖分(還元糖換算値)が40〜100g/Lとなるようにする。更にろ過、加熱殺菌、瓶詰めを行って、製品とする。
3.酵母の調製法
本発明の酵母の調製法は、梅果汁及び糖を含有する培地で生育する酵母を選抜する操作を2回以上繰り返し、梅ワイン製造のために好適な酵母を得ることを特徴とする。この方法により得られた酵母は、梅果汁を由来とするクエン酸等の有機酸が多く含まれる発酵用原料中でもよく生育する。このため、本発明の梅ワインの製造法においてアルコール発酵が十分に行われる。具体的な酵母の調製法は、実施例1の1.に示す通りである。
本発明の酵母の調製法は、梅果汁及び糖を含有する培地で生育する酵母を選抜する操作を2回以上繰り返し、梅ワイン製造のために好適な酵母を得ることを特徴とする。この方法により得られた酵母は、梅果汁を由来とするクエン酸等の有機酸が多く含まれる発酵用原料中でもよく生育する。このため、本発明の梅ワインの製造法においてアルコール発酵が十分に行われる。具体的な酵母の調製法は、実施例1の1.に示す通りである。
1.本発明の梅ワインの製造
(1)酵母の調整
総酸12g/L〜30g/Lの高酸度殺菌梅果汁で培養を数度、好ましくは植菌後48時間以内に発酵してくるまで繰り返し培養したラレマン社製ワイン酵母「EC1118」を酒母として用いた。
まず、梅ピューレを加圧濾過して得られた総酸45g/Lの梅果汁を蒸留水にて総酸が20g/Lになるまで希釈したものを1,000ml準備した。これに窒素源としてリン酸二アンモニウムを1,500mg/L添加、微量成分補強として発酵促進剤(ラレマン社製)フェルメイドKを100ppm添加した。この梅果汁を180mlビン10本に各100ml分注し、湯煎にて品温60℃達温にて加熱殺菌した。冷却した後、ラレマン社製ワイン酵母「EC1118」を無菌的に植菌し、20℃恒温器にて静置培養した。強い増殖が認められたら、予め準備した殺菌済み梅果汁に約5Vol%植菌し、同様に静置培養した。この操作を数度繰り返し、2〜3日で旺盛な発酵が起こるようになったものを酒母用酵母とした。
(1)酵母の調整
総酸12g/L〜30g/Lの高酸度殺菌梅果汁で培養を数度、好ましくは植菌後48時間以内に発酵してくるまで繰り返し培養したラレマン社製ワイン酵母「EC1118」を酒母として用いた。
まず、梅ピューレを加圧濾過して得られた総酸45g/Lの梅果汁を蒸留水にて総酸が20g/Lになるまで希釈したものを1,000ml準備した。これに窒素源としてリン酸二アンモニウムを1,500mg/L添加、微量成分補強として発酵促進剤(ラレマン社製)フェルメイドKを100ppm添加した。この梅果汁を180mlビン10本に各100ml分注し、湯煎にて品温60℃達温にて加熱殺菌した。冷却した後、ラレマン社製ワイン酵母「EC1118」を無菌的に植菌し、20℃恒温器にて静置培養した。強い増殖が認められたら、予め準備した殺菌済み梅果汁に約5Vol%植菌し、同様に静置培養した。この操作を数度繰り返し、2〜3日で旺盛な発酵が起こるようになったものを酒母用酵母とした。
(2)梅ワインの製造
梅果実を除核、破砕して得たピューレをプレス濾過して、梅果汁を分離した。梅果汁に加水して総酸量が5〜10g/Lとなるよう調整した。次いでグルコースを15%となるよう加糖し、発酵用原料とした。この発酵用原料に酒母用酵母を添加し、15〜25℃にて14日間発酵を行った。発酵開始から2日毎に梅果汁を添加し、一回の添加において醪中の総酸量を2g/L増加させた。梅果汁の添加を4〜6回繰返し、最終的な総酸量を15〜20g/Lとした。発酵終了後、澱引き、フルクトースを添加し、糖分(還元糖換算値)を調整した。さらにpH、エキス分を調整した後、冷却処理した。再度濾過を行い、加熱殺菌後にビン詰めし、本発明の梅ワインとした。得られた梅ワインの成分は、総酸量(酒石酸換算値)15g/L、pH3.35、糖分(還元糖換算値)70g/Lであった。
梅果実を除核、破砕して得たピューレをプレス濾過して、梅果汁を分離した。梅果汁に加水して総酸量が5〜10g/Lとなるよう調整した。次いでグルコースを15%となるよう加糖し、発酵用原料とした。この発酵用原料に酒母用酵母を添加し、15〜25℃にて14日間発酵を行った。発酵開始から2日毎に梅果汁を添加し、一回の添加において醪中の総酸量を2g/L増加させた。梅果汁の添加を4〜6回繰返し、最終的な総酸量を15〜20g/Lとした。発酵終了後、澱引き、フルクトースを添加し、糖分(還元糖換算値)を調整した。さらにpH、エキス分を調整した後、冷却処理した。再度濾過を行い、加熱殺菌後にビン詰めし、本発明の梅ワインとした。得られた梅ワインの成分は、総酸量(酒石酸換算値)15g/L、pH3.35、糖分(還元糖換算値)70g/Lであった。
梅ワインのpHが官能評価に与える影響を、以下の方法により確認した。
1.梅ワインの製造
梅果汁4,000mlを総酸=15g/Lになるよう蒸留水にて希釈し、ぶどう糖にて15%まで補糖した後、予め高酸度の梅果汁で繰り返し培養したワイン酵母を酒母として20〜25℃にて発酵食い切りとし、澱引きした梅ワイン醪に果糖にて70g/Lの割合で果糖を添加したものを梅ワイン原酒とした。
1.梅ワインの製造
梅果汁4,000mlを総酸=15g/Lになるよう蒸留水にて希釈し、ぶどう糖にて15%まで補糖した後、予め高酸度の梅果汁で繰り返し培養したワイン酵母を酒母として20〜25℃にて発酵食い切りとし、澱引きした梅ワイン醪に果糖にて70g/Lの割合で果糖を添加したものを梅ワイン原酒とした。
梅ワイン原酒を各500mlずつ5個準備し、それぞれ炭酸カリウム0g/L、1.0g/L、2.0g/L、3.0g/L、4.0g/Lの割合で添加溶解した。添加後各サンプルのpHをガラス電極pHメーターにて測定確認した。以上により、総酸量(酒石酸換算値)15g/L、pH2.76〜3.78(5段階)、糖分(還元糖換算値)70g/Lのサンプル1〜5を調製した。
なお、対照サンプルとして蒸留水、醸造用アルコール、クエン酸を用いてアルコール分6.5%、総酸=15g/Lに調整した後果糖にて70g/Lの割合で添加したものを調製した。
2.官能試験
上記で調製した各サンプルの香り、酸味、コク味及び総合評価について、訓練された利酒評価者8人による5段階の官能試験を行なった。結果を表1に示す。各評価項目、及び総合評価点は平均値を示す。各項目における5段階評価基準は次の通り。
5:非常に良い、4:良い、3:普通、2:悪い、1:非常に悪い
表1から明らかなように、pH=2.8〜3.7の範囲(サンプル1〜5)での官能評価点は優れており、特にpH=3.07〜3.57(サンプル2〜4)での評価が高かった。
2.官能試験
上記で調製した各サンプルの香り、酸味、コク味及び総合評価について、訓練された利酒評価者8人による5段階の官能試験を行なった。結果を表1に示す。各評価項目、及び総合評価点は平均値を示す。各項目における5段階評価基準は次の通り。
5:非常に良い、4:良い、3:普通、2:悪い、1:非常に悪い
表1から明らかなように、pH=2.8〜3.7の範囲(サンプル1〜5)での官能評価点は優れており、特にpH=3.07〜3.57(サンプル2〜4)での評価が高かった。
本発明の梅ワインと、市販の梅ワインとの比較を以下の方法により行った。
(1)成分比較
実施例1の製造法により得た本発明の梅ワインと、市販梅ワインの成分の比較を、表2に示す。
(1)成分比較
実施例1の製造法により得た本発明の梅ワインと、市販梅ワインの成分の比較を、表2に示す。
(2)官能試験
本発明と市販の梅ワインの香り、酸味、コク味及び総合評価について、訓練された利酒評価者8人による5段階の官能試験を行なった。結果を表3に示す。各評価項目、及び総合評価点は平均値を示す。なお、各項目における5段階評価基準は次の通り。
5:非常に良い、4:良い、3:普通、2:悪い、1:非常に悪い
表3から明らかなように、本発明の梅ワインは、香り、酸味、コク味及び総合評価において高く評価された。
本発明と市販の梅ワインの香り、酸味、コク味及び総合評価について、訓練された利酒評価者8人による5段階の官能試験を行なった。結果を表3に示す。各評価項目、及び総合評価点は平均値を示す。なお、各項目における5段階評価基準は次の通り。
5:非常に良い、4:良い、3:普通、2:悪い、1:非常に悪い
表3から明らかなように、本発明の梅ワインは、香り、酸味、コク味及び総合評価において高く評価された。
以下の成分のサンプルA〜Eを調製し、各サンプルの飲用効果を確認した。
サンプルA:梅果汁の総酸=14g/L、果糖70g/Lに調整したもの
サンプルB:梅果汁の総酸=14g/L、果糖70g/L、アルコール分6.5%に調整した物
サンプルC:市販の梅ワイン(総酸=6.5g/L、還元糖=85g/L、アルコール分=6.8%)
サンプルD:市販の梅ワイン(総酸=8.5g/L、還元糖=90g/L、アルコール分=7.2%)
サンプルE:本発明の梅ワイン(総酸=14g/L、還元糖=70g/L、アルコール分=6.5%)
よく訓練したパネラー12名(男5名、女5名)から構成されるA〜Eグループに対して、30分間少し早足のウォーキング後、それぞれ上記の飲料を飲んでもらい、疲労回復感及び嗜好性(美味しさ)について官能評価を5点満点法で(疲労感無し:5点、美味しい5点)行った。評価の結果は平均点で下記表4に示した。
サンプルA:梅果汁の総酸=14g/L、果糖70g/Lに調整したもの
サンプルB:梅果汁の総酸=14g/L、果糖70g/L、アルコール分6.5%に調整した物
サンプルC:市販の梅ワイン(総酸=6.5g/L、還元糖=85g/L、アルコール分=6.8%)
サンプルD:市販の梅ワイン(総酸=8.5g/L、還元糖=90g/L、アルコール分=7.2%)
サンプルE:本発明の梅ワイン(総酸=14g/L、還元糖=70g/L、アルコール分=6.5%)
よく訓練したパネラー12名(男5名、女5名)から構成されるA〜Eグループに対して、30分間少し早足のウォーキング後、それぞれ上記の飲料を飲んでもらい、疲労回復感及び嗜好性(美味しさ)について官能評価を5点満点法で(疲労感無し:5点、美味しい5点)行った。評価の結果は平均点で下記表4に示した。
表4から明らかなように、本発明の梅ワインは良好な成績を示し、特に高濃度クエン酸を含む割に飲みやすく美味しい呈味バランスで嗜好性が高く評価された。
Claims (5)
- 梅果汁を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせることにより得られる梅ワインであって、総酸量(酒石酸換算値)14〜30g/L、pH2.8〜3.7、糖分(還元糖換算値)40〜100g/Lであることを特徴とする梅ワイン。
- クエン酸量が8,000〜30,000mg/Lである、請求項1記載の梅ワイン。
- 梅果汁及び糖を含有する発酵用原料に酵母を添加して発酵を行わせる工程を含む梅ワインの製造法において、得られた梅ワインの総酸量(酒石酸換算値)が14〜30g/L、pHが2.8〜3.5、糖分(還元糖換算値)が40〜100g/Lとなるように調整することを特徴とする、梅ワインの製造法。
- 発酵を行わせる工程において、醪に対してクエン酸含有溶液又は梅果汁を1回以上添加することにより醪中の総酸量(酒石酸換算値)を増加させることを特徴とする、請求項3記載の梅ワインの製造法。
- 梅果汁を含有する培地で生育する酵母を選抜する操作を2回以上繰り返し、梅ワイン製造のために好適な酵母を得ることを特徴とする、酵母の調製法。
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CN112522122A (zh) * | 2020-12-28 | 2021-03-19 | 江南大学 | 一种果酒降酸菌株及其应用 |
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JPS6115679A (ja) * | 1984-06-29 | 1986-01-23 | Itouniuemon Shoten:Kk | 炭酸酒健康飲料の製造方法 |
JPS62294074A (ja) * | 1986-06-12 | 1987-12-21 | Chiyouya Youshiyu Jozo Kk | 果実酒の製造方法 |
JPS6317683A (ja) * | 1986-07-09 | 1988-01-25 | Tax Adm Agency | 梅果実アルコ−ル飲料の製造法 |
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-
2005
- 2005-07-22 JP JP2005211989A patent/JP2007028904A/ja active Pending
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