JP2009268382A - メープルシロップを原料とした醸造酢及びその製造方法 - Google Patents

メープルシロップを原料とした醸造酢及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】メープルシロップを醗酵原料として使用した場合でも、従来の醸造酢と同様に醗酵させることができ、従来の醸造酢には含まれない有用成分を含む新規な醸造酢を製造することができる技術を提供する。
【解決手段】メープルシロップに酵母を添加し、嫌気条件下でアルコール醗酵することによりメープルシロップ酒を製造する工程と、前記メープルシロップ酒に酢酸菌及び種酢を添加し、好気条件下で酢酸醗酵させることにより醸造酢を製造する工程と、を有する醸造酢の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、メープルシロップを原料とした醸造酢及びその製造方法に関する。
メープルシロップは、カエデの樹から採取した樹液を煮詰めて造った天然の甘味料である。純粋なメープルシロップは産出する樹種の分布からカナダ南西部〜アメリカ北東部の生産が多く、カナダのケベック州、アメリカのニューイングランド地方などで主に生産されている。
メープルシロップの素となる樹液を「サップ」といい、3〜4月の糖度が一番高く、昼と夜の温度差が大きい時期に採取する。樹液の採取には木に穴を開ける事からはじまり、木の成長に必要な樹液を採取するため、樹液採取には厳しい基準が設けられている。
樹液には2〜4%の糖分しか含まれておらず、1Lのシロップを作るのに約40Lの樹液が必要になる。また、メープルシロップにはグレードの違いというものがあり、一般的にシーズン初めに採れる樹液ほど色が薄く、味も繊細で、光の透過率が高いものはエクストラライト、低いものはダークといわれており、透過率が高いものほど高価なものとされている。
メープルシロップの栄養成分の特徴としては、糖度は66.5%であり、グラニュー糖や上白糖と変わらない。しかしながら、表1に示すように、メープルシロップは上白糖やはちみつと比較してカロリーが低く、特に、カルシウムやカリウムなどのミネラルが他の甘味料に比べて多く含まれているという特徴を有している。
Figure 2009268382
カリウムの働きとしては、カリウムは体内でナトリウムと互いに影響しており、現代の食生活ではナトリウムの摂取量が多く、高血圧や動脈硬化の原因とされている。そこで、カリウムを多く含む食品を摂取することによって、体内で増えたナトリウムの排出を促し、血圧上昇を抑える効果があるといわれている。カルシウム、マグネシウムの働きは脳や神経の興奮を抑制する効果がある。そのため、醗酵食品の醗酵原料として、メープルシロップの利用は有用と考えられる。
メープルシロップを醗酵原料に使用した例としては、例えば、特開平7−236467号公報に、こくのあるまろやかな味の高アルコールビールを製造するため、大麦モルトマッシュから集められたエキスをメープルシロップとブレンドし、ウワートを形成するまで沸騰し、同ウワートをワインイーストと共に醗酵する、醗酵大麦モルトビール飲料の製造方法が記載されている(特許文献1)。
特開平7−236467号公報
近年の消費者の健康指向により、醗酵食品にも機能性が求められるようになっている。その一例としてもろみ酢が挙げられる。もろみ酢は焼酎残渣を原料として製造した醸造酢であり、酢酸、乳酸、コハク酸、リンゴ酸などの有機酸、アミノ酸、エステル類、アルコール類などを含むほか、穀物を原料とする従来の穀物酢には含まれていないクエン酸を含むことから、疲労回復機能を求める消費者に注目されている。
一般に醸造酢(穀物酢)は糖原料となる穀物をα化し、水と酵母を加えてアルコール醗酵させ、得られたアルコールに種酢と酢酸菌を添加して酢酸醗酵を行うことにより製造される。上述のように、メープルシロップは他の甘味料と比較してカロリーが低い、カルシウムやカリウムなどのミネラルが多く含まれるなどの特徴を有しているため、これを醸造酢の醗酵原料にすれば、さらに付加価値の高い醸造酢を製造することができるものと期待される。
しかしながら、メープルシロップは醗酵に必要なビタミン・ミネラル・窒素源のバランスが悪いためグルコースと比較して酵母が資化しにくく、アルコール醗酵が効率よく進まないという問題があった。また、メープルシロップを添加して酢酸醗酵を行う例はこれまで知られていない。
そこで本発明は、メープルシロップを醗酵原料として使用した場合でも、従来の醸造酢と同様に醗酵させることができ、従来の醸造酢には含まれない有用成分を含む新規な醸造酢を製造することができる技術を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するため、(1)メープルシロップに酵母を添加し、嫌気条件下でアルコール醗酵することによりメープルシロップ酒を製造する工程と、前記メープルシロップ酒に酢酸菌及び種酢を添加し、好気条件下で酢酸醗酵させることにより醸造酢を製造する工程と、を有する醸造酢の製造方法を提供するものである。
上記発明の好ましい態様は以下の通りである。(2)前記メープルシロップのBrixが10〜30%である、前記(1)に記載の醸造酢の製造方法:
(3)前記アルコール醗酵の醗酵条件が、20〜30℃、60〜70日間である、前記(1)又は(2)に記載の醸造酢の製造方法:
(4)前記酵母が、サッカロマイセスセルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)W−10である、前記(1)〜(3)のいずれか1に記載の醸造酢の製造方法;
(5)前記メープルシロップ酒のアルコール濃度が2〜8%(V/V)である、前記(1)〜(4)のいずれか1に記載の醸造酢の製造方法;
(6)前記酢酸醗酵の醗酵条件が、20〜35℃、15〜25日間である、前記(1)〜(5)のいずれか1に記載の醸造酢の製造方法;
(7)前記酢酸菌が、アセトバクターアセチ(Acetobacter aceti)又はアセトバクターパスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)である、前記(1)〜(6)のいずれか1に記載の醸造酢の製造方法。
また、本発明は、(8)アルコールにメープルシロップを添加しメープルシロップ添加酒を調製する工程と、前記メープルシロップ酒に酢酸菌と種酢と添加し、好気条件下で酢酸醗酵させる工程と、を有する醸造酢の製造方法を提供するものである。
上記発明の好ましい態様は以下のとおりである。(9)前記メープルシロップ添加酒は、Brixが13〜20%である、前記(8)に記載の醸造酢の製造方法;
(10)前記メープルシロップ添加酒のアルコール濃度が2〜8%(V/V)である、前記(8)又は(9)に記載の醸造酢の製造方法;
(11)前記酢酸醗酵の醗酵条件が、20〜35℃、15〜35日間である、前記(8)〜(10)のいずれか1に記載の醸造酢の製造方法;
(12)前記酢酸菌が、アセトバクターアセチ(Acetobacter aceti)又はアセトバクターパスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)である、前記(8)〜(11)のいずれか1に記載の醸造酢の製造方法。
本発明の醸造酢の製造方法によれば、醗酵原料としてメープルシロップを使用することができるため、得られる醸造酢は風味に優れ、ミネラル分を豊富に含み、栄養価の高い醸造酢を得ることができる。
次に、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は実施形態1の醸造酢の製造方法の概要を説明した図である。
図1に示すように、本実施形態の醸造酢の製造方法は、メープルシロップに酵母を添加し、嫌気条件下でアルコール醗酵することによりメープルシロップ酒を製造するアルコール発酵工程と、前記メープルシロップ酒に酢酸菌及び種酢を添加し、好気条件下で酢酸醗酵させることにより醸造酢を製造する酢酸発酵工程と、を有する。
まず、メープルシロップを水と混合し、Brixを調整する。このとき、メープルシロップは、酢酸発酵に必要なアルコール濃度を得る観点及び酵母の醗酵能を考慮して、Brixを10〜30%に調整することが好ましい。
Brixを調整したあと、醗酵原液を滅菌する。滅菌方法は公知の滅菌方法、例えば、オートクレーブ滅菌により行うことができる。
次いで、滅菌した醗酵原液に、酵母が添加される。酵母は、アルコール醗酵能を有する酵母であれば特に制限はないが、醗酵能と香気特性の観点から、サッカロマイセスセルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)W−10であることが好ましい。
また、醗酵促進を目的として、硫酸アンモニウムを添加することが好ましい。硫酸アンモニウムの添加量は、0.05〜0.4%(V/V)であることが好ましい。
アルコール醗酵の醗酵条件は、アルコール生成と香気生成の観点から、嫌気条件下、20〜30℃、60〜70日間であることが好ましい。
アルコール醗酵が終了した醗酵液は、ろ紙等によってろ過され、ろ液を採取してメープルシロップ酒を得る。このメープルシロップ酒のアルコール濃度は、5〜15%である。
酢酸醗酵工程では、得られたメープルシロップ酒に水を添加してアルコール濃度の調整を行う。調整したメープルシロップ酒のアルコール濃度は、酢酸菌の酢酸醗酵能の観点及び醸造酢として必要な酸度を得る観点から、2〜8%(V/V)であることが好ましい。
次に、このメープルシロップ酒に、種酢と、酢酸菌が添加されて酢酸醗酵が行われる。
酢酸菌は、酢酸生成能と香気と酸度の観点から、アセトバクターアセチ(Acetobacter aceti)又はアセトバクターパスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)であることが好ましい。また、種酢は仕込み総量の1〜3%になるように添加される。
前記酢酸醗酵の醗酵条件は、香気と酸度の観点から、好気条件下、20〜35℃、15〜35日間であることが好ましい。
醗酵が終了した醗酵液は、ろ紙等によってろ過され、所望の醸造酢となる。本実施形態の製造方法で得られた醸造酢は、メープルシロップ由来のマグネシウム、カリウム、カルシウムを含み、醸造酢本来の風味も優れた醸造酢となる。
図2は、実施形態2の醸造酢の製造方法の概要を説明した図である。本実施形態の醸造酢の製造方法は、アルコールにメープルシロップを添加した後に酢酸発酵を行う点が実施形態1の醸造酢の製造方法とは異なり、アルコールにメープルシロップを添加してメープルシロップ添加酒を調製するアルコール調製工程と、前記メープルシロップ酒に酢酸菌及び種酢を添加し、好気条件下で酢酸醗酵させることにより醸造酢を製造する酢酸発酵工程と、を有する。
まず、アルコールにメープルシロップと水を添加する。このとき、Brix調整及びアルコール濃度調整を行い、メープルシロップ添加酒を調製する。
アルコールとしては、酢酸醗酵の醗酵原液となるアルコールであれば特に制限はなく、例えば、穀物や果実由来の醗酵液、市販の醸造用アルコールを使用することができる。また、先述した実施形態1で使用したメープルシロップ酒を用いることもできる。
メープルシロップ添加酒のアルコール濃度は、酢酸菌の酢酸醗酵能の観点及び醸造酢として必要な酸度を得る観点から、2〜8%(V/V)であることが好ましい。
Brixは、酢酸発酵に必要なアルコール濃度を得る観点及び酵母の醗酵能を考慮して、10〜30%に調整することが好ましい。
酢酸醗酵工程では、アルコール濃度及びBrixが調整されたメープルシロップ添加酒に、種酢と、酢酸菌が添加されて酢酸醗酵が行われる。
酢酸菌は、酢酸生成能と香気と酸度の観点から、アセトバクターアセチ(Acetobacter aceti)又はアセトバクターパスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)であることが好ましい。また、種酢は仕込み総量の1〜3%になるように添加される。
前記酢酸醗酵の醗酵条件は、香気と酸度の観点から、好気条件下、20〜35℃、15〜35日間であることが好ましい。
醗酵が終了した醗酵液は、ろ紙等によってろ過され、所望の醸造酢となる。本実施形態の製造方法で得られた醸造酢は、メープルシロップ由来のマグネシウム、カリウム、カルシウムを含み、メープルシロップの甘味が活かされた口当たりの良い醸造酢となる。
1.メープルシロップを原料とした醸造酢の製造
(1)メープルシロップ
醗酵原料となるメープルシロップとして、ケベック州ボースアパラッシュ地方で採取されたメープルシロップ(クインビーガーデン社製、QUEBEC MAPLE SYRUPピュアー)を使用した。
(2)供試菌株
アルコール醗酵に使用する酵母として、ワイン酵母であるサッカロマイセスセルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)W−10を用いた。また、酢酸醗酵に使用した酢酸菌として、アセトバクターアセチ(Acetobacter aceti)NRIC 0242及びアセトバクターパスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)NRIC 0241を使用した。
(3)仕込み試験
イ アルコール醗酵
GYP培地(1%Glucose,1%Yeast extract,0.5%Polypeptone,0.2%Naacetate・3H2O,20ppmMgSO・7H2O,1ppmMnSO4・4H2O,1ppmFeSO・7H2O,1ppmNaCl,50ppmTween80,pH6.8)をオートクレーブ滅菌し、そこにW−10を1白金耳接種し、30℃で3日間前培養を行った。
超純水でメープルシロップを20%(W/V)に希釈し、オートクレーブ滅菌を行ない、放冷後、前培養したW−10を仕込み総量の1%(W/V)になるように、硫酸アンモニウム1.0g/lを添加し、25℃で嫌気的にアルコール醗酵を行った。アルコール醗酵は56日目で終了した。醗酵終了後、No.2のろ紙(アドバンテック社製)で醗酵溶液をろ過し、アルコール醗酵液を収集しメープルシロップ酒を得た。
ロ アルコール濃度の調整
アルコール濃度計(理研計器社製、製品名:AL−2型アルコメイト)を用いて前記メープルシロップ酒のアルコール濃度が5%(V/V)になるように超純水を加えた。
ハ 酢酸醗酵
凍結乾燥菌体入りアンプルに入っている酢酸菌を、オートクレーブ滅菌を行った麹汁培地または天然の合成培地(GYP)(Brix10)40mlにそれぞれ接種し、30℃恒温器で前培養した。
20%グリセリン1.8mlをセラムチューブに入れ、前培養した酢酸菌培養液の菌膜を1白金耳接種し、グリセロールストック(チューブ)により凍結保存した。
上記ロで調製したメープルシロップ酒を酢酸醗酵容器に入れ、種酢として酢酸を仕込み総量の2%になるように添加し、さらに酢酸菌を仕込み総量1%になるように添加し、30℃恒温器で酢酸醗酵を行った。酢酸醗酵中、もろみが好気条件となるように毎日撹拌を行なった。また、経時的に醗酵溶液中の酢酸酸度を測定し、数値が一定になった時点で終了した。その後、No.2のろ紙(アドバンテック社製)でろ過し、所望の醸造酢を得た。
なお、アセトバクターアセチ(Acetobacter aceti)NRIC 0242を用いて酢酸醗酵を行った醸造酢をサンプル1とし、アセトバクターパスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)NRIC 0241を用いて酢酸醗酵を行った醸造酢をサンプル2とした。
2.メープルシロップ添加醸造酢の製造
(1)メープルシロップ
添加するメープルシロップとして、ケベック州ボースアパラッシュ地方で採取されたメープルシロップ(クインビーガーデン社製、QUEBEC MAPLE SYRUPピュアー)を使用した。
(2)アルコール
酢酸醗酵に使用するアルコールとして、トレーサブル95 1級(95度1級)(日本アルコール産業社製)を使用した。
(3)供試菌株
酢酸醗酵に使用する酢酸菌として、アセトバクターアセチ(Acetobacter aceti)NRIC 0242及びアセトバクターパスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)NRIC 0241を使用した。
(4)仕込み試験
イ メープルシロップ添加酒の調製
メープルシロップ、超純水、アルコールを混ぜ合わせた、メープルシロップの糖度(Brix)の違うアルコール5%(V/V)の合成メープルシロップ酒を調製し、メープルシロップ添加酒とした。メープルシロップ添加酒の糖度(Brix)は以下の表2のとおりである。なお、メープルシロップ添加酒の糖度は手持屈折計(糖度計)(アタゴ社製、製品名N−1α)を用いて測定した。
Figure 2009268382
ロ 酢酸醗酵
凍結乾燥菌体入りアンプルに入っている2種類の酢酸菌(Acetobacter aceti, Acetobacter pasteurianus を、オートクレーブ滅菌を行った麹汁培地または天然の合成培地(GYP)(Brix10)40mlにそれぞれ接種し、30℃恒温器で前培養した。
20%グリセリン1.8mlをセラムチューブに入れ、前培養した酢酸菌培養液の菌膜を1白金耳接種し、グリセロールストック(チューブ)により凍結保存した。
上記イで調製したメープルシロップ添加酒を酢酸醗酵容器に入れ、種酢として酢酸を仕込み総量の2%になるように添加し、さらに酢酸菌を仕込み総量1%になるように添加し、30℃恒温器で酢酸醗酵を行った。酢酸醗酵中、もろみが好気条件となるように毎日撹拌を行なった。また、経時的に醗酵溶液中の酢酸酸度を測定し、数値が一定になった時点で終了した。その後、No.2のろ紙(アドバンテック社製)でろ過し、所望のメープルシロップ添加醸造酢を得た。
なお、Brix7.4%のメープルシロップ酒を用いて酢酸醗酵して得られたメープルシロップ添加醸造酢をサンプル3、Brix10.8%のメープルシロップ酒を用いて酢酸醗酵して得られたメープルシロップ添加醸造酢をサンプル4、Brix14.0%のメープルシロップ酒を用いて酢酸醗酵して得られたメープルシロップ添加醸造酢をサンプル5、Brix17.2%のメープルシロップ酒を用いて酢酸醗酵して得られたメープルシロップ添加醸造酢をサンプル6、Brix20.0%のメープルシロップ酒を用いて酢酸醗酵して得られたメープルシロップ添加醸造酢をサンプル7とした。
3.成分分析
アルコール醗酵後のアルコール濃度、醸造酢の酸度及び醸造酢のICP金属分析の動向を以下の方法で測定した。
(1)アルコール濃度
サンプル1及び2に関し、メープルシロップを原料としてアルコール醗酵したアルコール溶液の醗酵停止後のアルコール濃度を簡易アルコール分析器AL−2型アルコメイト(理研計器社製)で測定した。その結果、いずれも14.0%だった。
(2)酸度
100ml容三角フラスコにマイクロピペットで酢酸醗酵後のサンプルを1ml採り、蒸留水を9ml加えて希釈した。次にフェノールフタレイン溶液を指示薬として2〜3滴加えた後、攪拌しながらN/10水酸化ナトリウム溶液の入ったビュレットで微赤色になるまで滴定した。そして、下記式により酸度を算出した。結果を図3に示す。
Figure 2009268382
(3)糖度(Brix)
手持屈折計(糖度計)(アタゴ社製、製品名N−1α)を使用し、酢酸醗酵の前後の糖度(Brix%)を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2009268382
(4)ICP金属分析
ICPS1000IV(島津製作所社製)を使用し、Na、Mg、K、Caを測定した。サンプルを1g計り取り、硝酸5mlにて100℃90分間でデジプレップにより分解し定量に希釈して測定に供した。なお、比較対照として市販の穀物酢(control1)及びリンゴ酢(control2)についてもICP金属分析を行った。結果を表4に示す。
Figure 2009268382
4.官能評価試験
先述した1.及び2.で得られた醸造酢につき、官能評価試験を行った。官能評価試験を行うに際し、酸味の条件を一定にするため、醸造酢の酸度を、酢酸醗酵終了時に酢酸酸度が一番低かったサンプル4の2.5%を基準とし、他の6種類も超純水で酢酸酸度が2.5%になるように希釈調整した。そして、健常なボランティア被験者17名(成人男性2名、成人女性15名)の協力を得て、サンプルが何かを教えないで評価するいわゆるブラインド・テストを行い、酸味、甘味、旨味、香りのそれぞれについて点数付けを行った。
具体的には、酸味、甘味、旨味、香りのそれぞれについて3点(強い)から−1点(弱い)の5段階で評価し、その平均値を求めた。そして、それらの合計点に応じて、下記評価基準に従い総合評価を行った。なお、比較対照として市販の穀物酢(control1)及びリンゴ酢(control2)についても同様の要領で官能評価を行った。結果を表5及び表6に示す。
(評価基準)
A:7〜12点
B:1〜6点
C:−4〜0点
表5に示すとおり、メープルシロップをアルコール醗酵の醗酵原料として使用したサンプル1及び2の醸造酢は、市販の穀物酢及びリンゴ酢と比較して、酸味、甘味、旨味、香りのそれぞれについて同等以上の品質を有していることが判明した。
Figure 2009268382
表6に示すとおり、メープルシロップを酢酸発酵の醗酵原料として使用したサンプル3〜7の醸造酢は、市販の穀物酢及びリンゴ酢と比較して、メープルシロップの風味が活かされた口当たりの良い醸造酢であることが判明した。
Figure 2009268382
実施形態1の醸造酢の製造方法の概要を説明した図である。 実施形態2の醸造酢の製造方法の概要を説明した図である。 醸造酢の酢酸醗酵中の酸度を経時的に測定した結果を示す図である。

Claims (12)

  1. メープルシロップに酵母を添加し、嫌気条件下でアルコール醗酵することによりメープルシロップ酒を製造する工程と、
    前記メープルシロップ酒に酢酸菌及び種酢を添加し、好気条件下で酢酸醗酵させることにより醸造酢を製造する工程と、
    を有する醸造酢の製造方法。
  2. 前記メープルシロップのBrixが10〜30%である、請求項1に記載の醸造酢の製造方法。
  3. 前記アルコール醗酵の醗酵条件が、20〜30℃、60〜70日間である、請求項1又は2に記載の醸造酢の製造方法。
  4. 前記酵母が、サッカロマイセスセルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)W−10である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の醸造酢の製造方法。
  5. 前記メープルシロップ酒のアルコール濃度が2〜8%(V/V)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の醸造酢の製造方法。
  6. 前記酢酸醗酵の醗酵条件が、20〜35℃、15〜35日間である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の醸造酢の製造方法。
  7. 前記酢酸菌が、アセトバクターアセチ(Acetobacter aceti)又はアセトバクターパスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の醸造酢の製造方法。
  8. アルコールにメープルシロップを添加しメープルシロップ添加酒を調製する工程と、
    前記メープルシロップ酒に酢酸菌と種酢と添加し、好気条件下で酢酸醗酵させる工程と、
    を有する醸造酢の製造方法。
  9. 前記メープルシロップ添加酒のBrixが13〜20%である、請求項8に記載の醸造酢の製造方法。
  10. 前記メープルシロップ添加酒のアルコール濃度が2〜8%(V/V)である、請求項8又は9に記載の醸造酢の製造方法。
  11. 前記酢酸醗酵の醗酵条件が、20〜35℃、15〜35日間である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の醸造酢の製造方法。
  12. 前記酢酸菌が、アセトバクターアセチ(Acetobacter aceti)又はアセトバクターパスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の醸造酢の製造方法。
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