JP2007026805A - 二次電池用負極およびそれを用いた二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】集電体14と、集電体上に設けられた負極活物質層13とを有する二次電池用負極において、前記集電体が2μmを超え15μm以下の表面粗さ(Ra)を有し、前記負極活物質層が、(a)Liを吸蔵、放出可能な金属、半金属及びこれらの酸化物からなる群から選択された少なくとも一種を含む負極活物質と、(b)Liを吸蔵しない元素Xとを有することを特徴とする二次電池用負極。
【選択図】図2
Description
前記集電体の前記負極活物質層側の面が2μmを超え15μm以下の表面粗さ(Ra)を有し、
前記負極活物質層が、(a)Liを吸蔵、放出可能な金属、半金属及びこれらの酸化物からなる群から選択された少なくとも一種の負極活物質と、(b)Liを吸蔵しない元素Xとを含むことを特徴とする二次電池用負極。
本発明の負極は、2μmを超え15μm以下の表面粗さ(Ra)を有する集電体上に、(a)負極活物質と(b)Liを吸蔵しない元素Xを含む負極活物質層を成膜することで、集電体の表面性状を反映した表面積の高い負極活物質層とすることができる。これにより従来の二次電池よりも負極表面(負極活物質層表面)におけるLiの吸蔵・放出が行われるサイトを多くできると共に充放電に伴う負極活物質層の表面性状の変化を抑制でき、電池の出力特性を向上させることが出来る。
本発明の二次電池用負極は集電体と負極活物質層とを有する。これらの部材について以下に説明する。
集電体としては例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金を用いることができる。本発明の集電体の少なくとも負極活物質層に接している面(負極活物質層側の面:図1の21)は、2μmを超え15μm以下の表面粗さ(Ra)を有している必要がある。集電体がこのような範囲の表面粗さを有することによって、この集電体上に形成した負極活物質層表面の表面積を大きくでき、出力密度が高く高容量のものとすることができる。
本発明の負極活物質層は、(a)Liを吸蔵、放出可能な金属、半金属及びこれらの酸化物からなる群から選択された少なくとも一種の負極活物質と、(b)Liを吸蔵しない元素Xとを含む。
図1に、本発明の二次電池用負極を有する二次電池の一例について概略構造を示す。正極集電体11と、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る正極活物質を含有する層(正極活物質層)12と、リチウムイオンを吸蔵、放出する負極活物質を含有する層(負極活物質層)13と、負極集電体14と、電解液15、およびこれを含むセパレータ16から構成されている。負極集電体14の負極活物質層13側の面21は、2μmを超え15μm以下の表面粗さ(Ra)となっている。
セパレータ16としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、フッ素樹脂等の多孔性フィルムが好ましく用いられる。
正極は正極集電体11と正極活物質層12とを有する。正極集電体11としては例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金などを用いることができる。正極活物質層としては例えば、通常、用いられるリチウム含有複合酸化物が用いられ、具体的にはLiMO2(MはMn,Fe,Coより選ばれ、一部をMg,Al,Tiなどその他カチオンで置換してもよい)、LiMn2O4などで代表されるスピネル系のリチウムマンガン複合材料等、汎用の材料を用いることができる。選択された正極活物質を用い、カーボンブラック等の導電性物質、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等の結着剤とともにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤中に分散混練し、これをアルミニウム箔等の基体上に塗布するなどの方法により正極活物質層12を得ることができる。
電解液15は電解質、非プロトン性溶媒と添加剤とを少なくとも有する。
電解質は、リチウム二次電池の場合にはリチウム塩を用い、これを非プロトン性溶媒中に溶解させる。リチウム塩としては、リチウムイミド塩、LiPF6、LiAsF6、LiAlCl4、LiClO4、LiBF4、LiSbF6などがあげられる。この中でも特にLiPF6、LiBF4が好ましい。これらのリチウム塩を含むことで高エネルギー密度を達成することができる。
また非プロトン性電解液としては、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ラクトン類、環状エーテル類、鎖状エーテル類およびそれらのフッ化誘導体の有機溶媒から選ばれた少なくとも1種類の有機溶媒を用いる。より具体的には、
環状カーボネート類:プロピレンカーボネート(以下、PCと略記。)、エチレンカーボネート(以下、ECと略記。)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)
鎖状カーボネート類:ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(以下、DECと略記。)、エチルメチルカーボネート(以下、EMCと略記。)、ジプロピルカーボネート(DPC)
脂肪族カルボン酸エステル類:ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル
γ−ラクトン類:γ−ブチロラクトン
環状エーテル類:テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン
鎖状エーテル類:1,2−エトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)、
その他:ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンスルトン、アニソール、N−メチルピロリドン、フッ素化カルボン酸エステル。
これらを一種又は二種以上を混合して使用することができる。
表1〜6に記載の正極活物質および導電性付与剤を乾式混合し、バインダーであるPVDFを溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させスラリーを作製した。導電性付与剤としてはカーボンブラックを用いた。そのスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、円筒型の場合には20μm、ラミネート型の場合には25μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートとした。正極中の固形分比率は正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10(質量%)とした。
上記プロセスによって作製した電池は、温度20℃において、50.0C放電時の容量が1C放電時に対してどのくらいかで評価を行った。つまり50.0C放電容量が1.0C放電容量に近いほど出力特性が高い。測定は放電開始電圧4.2V、放電終止電圧3.0Vとした。その結果を表7〜12に示す。
負極活物質層は、SiO(負極活物質)とFe(元素X)を二元同時蒸着によって厚み1.5μmに成膜し作製した。SiとFeの原子数比は9:1とした。正極活物質層に含まれる正極活物質にはLiCoO2を用いた。電解液には、EC/DEC/EMC=30/50/20(質量比)中に、電解質として1mol/LのLiPF6を添加した。電池の外装体にはアルミニウム箔をラミネートでコーティングした部材で容器を作製して用いた。正極と負極の容量比A/Cバランスは1.05とした。
負極活物質層の厚みを3μmとし、それ以外の条件は実施例1と同じとした。
(実施例3)
負極活物質層の厚みを5μmとし、それ以外の条件は実施例1と同じとした。
負極活物質層の厚みを9μmとし、それ以外の条件は実施例1と同じとした。
(実施例5)
負極活物質層の厚みを10μmとし、それ以外の条件は実施例1と同じとした。
負極活物質層の厚みを12μmとし、それ以外の条件は実施例1と同じとした。
(実施例7)
負極活物質層の厚みを15μmとし、それ以外の条件は実施例1と同じとした。
負極活物質層の厚みを1μmとし、それ以外の条件は実施例1と同じとした。
(実施例9)
負極活物質層の厚みを18μmとし、それ以外の条件は実施例1と同じとした。
負極活物質層は、Si(負極活物質)とNi(元素X)との2つの蒸着源を使用し同時蒸着によって成膜して作製した(Si原子数:Ni原子数=5:5)。正極活物質層に含まれる正極活物質にはLiMnO2を用いた。電解液には、PC/EC/DEC=20/20/60(質量比)中に、電解質として1mol/LのLiPF6を用いた。集電体表面のRaを5μmとし負極活物質層の厚さは6μmとした。電池の外装体には18650円筒型容器を用いた。正極と負極の容量比A/Cバランスは1.07とした。
負極活物質層は、Al(負極活物質に相当)とCu(元素Xに相当)の合金をターゲットにしてスパッタリングによって成膜して作製した(Al原子数:Cu原子数=19:1)。それ以外の条件は実施例10と同じとした。
負極活物質層は、負極活物質としてSi−Sn(負極活物質に相当)とTi(元素Xに相当)の合金をターゲットにしてスパッタリングによって成膜して作製した(Si+Sn原子数:Ti原子数=14:1)。それ以外の条件は実施例10と同じとした。
負極活物質層は、Ag(負極活物質)とFe(元素X)の2つの蒸着源を使用し同時蒸着によって成膜して作製した(Si原子数:Ni原子数=1:9)。それ以外の条件は実施例10と同じとした。
負極活物質層は、Pb(負極活物質)とNi(元素X)との2つの蒸着源を使用し同時蒸着によって成膜して作製した(Pb原子数:Ni原子数=9:1)。それ以外の条件は実施例10と同じとした。
負極活物質層は、Ge(負極活物質)とCu(元素X)との2つの蒸着源を使用し同時蒸着によって成膜して作製した(Ge原子数:Cu原子数=3:7)。それ以外の条件は実施例10と同じとした。
負極活物質層は、SnO(負極活物質)とCo(元素X)との2つのスパッタ源を使用し同時スパッタリングによって成膜して作製した(Sn原子数:Fe原子数=7:3)。それ以外の条件は実施例10と同じとした。
負極活物質層は、SnO(負極活物質)とNi(元素X)を二元同時蒸着によって成膜し作製した。SnOとNiの原子数比は7:3とした。正極活物質層に含まれる正極活物質にはLiCoO2を用いた。電解液には、EC/DEC/EMC=30/50/20(質量比)中に、電解質として1mol/LのLiPF6を用いた。集電体表面のRaを2.2μmとし負極活物質層の厚さは2.2μmとした。電池の外装体にはアルミ製の角型容器を用いた。正極と負極の容量比A/Cバランスは1.2とした。
集電体表面のRaを2.5μmとし負極活物質層の厚さは2.5μmとした。それ以外の条件は実施例17と同じとした。
(実施例19)
集電体表面のRaを3μmとし負極活物質層の厚さは3μmとした。それ以外の条件は実施例17と同じとした。
集電体表面のRaを5μmとし負極活物質層の厚さは5μmとした。それ以外の条件は実施例17と同じとした。
(実施例21)
集電体表面のRaを10μmとし負極活物質層の厚さは10μmとした。それ以外の条件は実施例17と同じとした。
集電体表面のRaを15μmとし負極活物質層の厚さは15μmとした。それ以外の条件は実施例17と同じとした。
(実施例23〜30)
集電体の表面粗さRaを変化させた以外の条件は実施例2と同じとした。
集電体の表面粗さRaを変化させた以外の条件は実施例19と同じとした。
(比較例1)
負極活物質層は、SiとNiの2つの蒸着源を使用し同時蒸着によって成膜して作製した(Si原子数:Ni原子数=5:5)。正極活物質層に含まれる正極活物質にはLiMnO2を用いた。電解液には、PC/EC/DEC=20/20/60(質量比)中に、電解質として1mol/LのLiPF6を添加した。集電体表面のRaを1μmとし負極活物質の厚さは3μmとした。電池の外装体には円筒型容器を用いた。正極と負極の容量比A/Cバランスは1.07とした。
負極活物質層は、AlとCuの合金をターゲットにしてスパッタリングによって成膜して作製した(Al原子数:Cu原子数=19:1)。それ以外の条件は比較例1と同じとした。
負極活物質層は、Si−SnとTiの合金をターゲットにしてスパッタリングによって成膜して作製した(Si+Sn原子数:Ti原子数=14:1)。それ以外の条件は比較例1と同じとした。
負極活物質層は、AgとFeとの2つの蒸着源を使用し同時蒸着によって成膜して作製した(Si原子数:Ni原子数=1:9)。それ以外の条件は比較例1と同じとした。
負極活物質層は、PbとNiとの2つの蒸着源を使用し同時蒸着によって成膜して作製した(Pb原子数:Ni原子数=9:1)。それ以外の条件は比較例1と同じとした。
負極活物質層は、GeとCuとの2つの蒸着源を使用し同時蒸着によって成膜して作製した(Ge原子数:Cu原子数=3:7)。それ以外の条件は比較例1と同じとした。
負極活物質層は、SnOとCoとの2つのスパッタ源を使用し同時スパッタリングによって成膜して作製した(Sn原子数:Fe原子数=7:3)。それ以外の条件は比較例1と同じとした。
負極活物質層は、負極活物質としてSiとNiとの2つの蒸着源を使用し同時蒸着によって成膜して作製した(Si原子数:Ni原子数=5:5)。集電体表面のRaを2μmとした以外の条件は実施例10と同じとした。
集電体表面のRaを2μmとし負極活物質の厚さは0.3μmとした。それ以外の条件は実施例17と同じとした。
(比較例10)
集電体表面のRaを17μmとし負極活物質の厚さは17μmとした。それ以外の条件は実施例17と同じとした。
表面粗さRaを変化させた以外の条件は実施例2と同じとした。
(比較例19〜23)
表面粗さRaを変化させた以外の条件は実施例19と同じとした。
集電体の表面粗さRaを一定とし負極の膜厚を変えた場合、負極厚みが集電体のRaの0.5倍〜5倍の範囲にあるとき、1C放電容量に対する50C放電容量は、75%程度と高い出力特性が認められた(実施例1〜7、10〜25、31〜33)。一方、実施例8、9、26〜30、34〜38に示されるように、集電体のRaに対して負極膜厚が薄すぎたり(Raの0.5倍未満)、厚すぎたりする場合(Raの5倍を超える値)、50C放電容量は約70%であった。これは集電体のRaに対して負極の膜厚が厚くなると、負極表面が滑らかになり比表面積が小さくなってしまうためであると考えられる。また、集電体のRaに対して負極膜厚が薄すぎる場合は集電体への負極活物質層のカバーレッジが悪く、集電体を完全に負極活物質層で覆うことができないためと思われる。
本実施例及び比較例に示されるように負極活物質や元素Xを様々なものに変更しても、表面粗さRaが2μmを超え15μm以下のときには高い出力特性を得ることができた。これは、Raを上記範囲内に設定することによって負極活物質層表面において効果的にLiの吸蔵、放出が行われたためであると考えられる。
12 正極活物質層
13 負極活物質層
14 負極集電体
15 非水電解質溶液
16 多孔質セパレータ
21 負極活物質層側の面
Claims (6)
- 集電体と、前記集電体上に設けられた負極活物質層とを有する二次電池用負極において、
前記集電体の前記負極活物質層側の面が2μmを超え15μm以下の表面粗さ(Ra)を有し、
前記負極活物質層が、(a)Liを吸蔵、放出可能な金属、半金属及びこれらの酸化物からなる群から選択された少なくとも一種の負極活物質と、(b)Liを吸蔵しない元素Xとを含むことを特徴とする二次電池用負極。 - 前記(a)負極活物質が、Si、Sn、Al、Pb、Ag、Ge及びSbからなる群から選択された少なくとも一種の元素Mを含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池用負極。
- 前記(b)Liを吸蔵しない元素Xが、Fe、Ni、Cu及びTiからなる群から選択された少なくとも一種の元素であることを特徴とする請求項2に記載の二次電池用負極。
- 前記元素Mと前記元素Xとの比が、原子数比で元素M:元素X=19:1〜1:9であることを特徴とする請求項3に記載の二次電池用負極。
- 前記負極活物質層の厚みが、前記表面粗さ(Ra)の0.5倍以上5倍以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の二次電池用負極。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の二次電池用負極と、二次電池用正極と、電解液とを有することを特徴とする二次電池。
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