JP2007023341A - 装飾部品、装飾部品の製造方法、時計、および被装飾部品 - Google Patents

装飾部品、装飾部品の製造方法、時計、および被装飾部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 デザインの多様化に対応できる装飾部品、装飾部品の製造方法、および被装飾部品または装飾部品の製造方法によって製造された装飾部品を備えた時計を提供すること。
【解決手段】 第一電鋳部2の装飾面21を覆うように第二電鋳部3を形成し、この第二電鋳部3に第一電鋳部の装飾面21が露出される開口部4を形成する。これにより、目盛部品の厚み寸法を大きくして、かつ開口部4により第二電鋳部3から掘り下がった形状を形成できる。従って、より立体感ある外観にすることができ、デザインの多様化に対応できる。
【選択図】図8

Description

本発明は、電鋳によって形成される装飾部品、装飾部品の製造方法、装飾部品を備えた時計、および装飾部品を備えた被装飾部品に関する。
時計の文字板などに貼設される文字や数字、模様などの装飾部品としては、電鋳で製造されることがある(例えば特許文献1)。電鋳で製造した装飾部品は、ある程度の厚みを有するため立体感のある装飾部品を作ることが可能となる。また、装飾部品を金属で形成することができるため、高級感を演出することもできる。
特開平10−25591号公報(第3頁ないし第5頁)
ところで、近年の時計などの被装飾物におけるデザインの多様化に伴い、装飾部品についても、さらなる凹凸感を設けるなどのデザインの多様化が求められている。しかしながら、従来の電鋳製造方法による装飾部品では、外観が平面的であったり色彩が単調であったり、多様なデザインに対応できない場合がある。
本発明の目的は、デザインの多様化に対応できる装飾部品、装飾部品の製造方法、およびその装飾部品またはその装飾部品の製造方法によって製造された装飾部品を備えた時計および被装飾部品を提供することにある。
本発明の装飾部品は、電鋳によって形成される第一電鋳部と、前記第一電鋳部を覆うように電鋳により形成される第二電鋳部と、を備え、前記第二電鋳部の表面には、前記第一電鋳部側に凹状となり、かつ前記第一電鋳部の表面が露出される開口部が設けられていることを特徴とする。
このような発明では、電鋳により第一電鋳部が形成され、さらにその第一電鋳部を覆う第二電鋳部が形成されている。そして、第二電鋳部の表面から第一電鋳部側に凹状となり、第一電鋳部の表面が露出される開口部が形成されている。このような構成では、第二電鋳部に第一電鋳部の表面が露出する凹溝状が形成されるので、一部が掘り下がってより立体的な装飾部品が形成される。従って、開口部の形状により、より立体的な装飾部品が形成可能となり、多様なデザインに対応可能となる。
さらに、本発明では、第一電鋳部は、表面処理が施された表面処理層を有し、前記開口部からこの表面処理層が露出されることが好ましい。このような構成では、開口部から第一電鋳部の表面処理層が露出されるので、この表面処理層の色彩などを変えることで多様なデザインに対応可能となる。
また、この時、前記表面処理層は、めっきによって形成されることが好ましい。このように、第一電鋳部の表面にめっきによるめっき層を形成することで、容易に表面処理層を形成可能となる。また、めっきにより、開口部から露出されて視認される面に金属色を配色することも可能となり、デザインの多様化にも対応可能となる。
そして、本発明の装飾部品の製造方法は、電鋳によって形成される第一電鋳部と、前記第一電鋳部を覆うとともに電鋳により形成される第二電鋳部とを備え、前記第二電鋳部の表面には前記第一電鋳部側に凹状となり、かつ前記第一電鋳部の表面が露出される開口部が設けられている装飾部品を製造する製造方法であって、基板上に前記第一電鋳部用の第一レジストを形成する第一レジスト形成工程と、前記第一レジストを用いて前記基板上に前記第一電鋳部を形成する第一電鋳工程と、前記第一電鋳部上の前記開口部に対応する位置に第二レジストを形成する第二レジスト形成工程と、前記第二レジストを用いて前記第一電鋳部を覆う前記第二電鋳部を形成する第二電鋳工程と、前記第二レジストを除去して前記開口部を形成する開口部形成工程と、を備えたことを特徴とする。
このような製造方法では、第一レジストを用いて形成された第一電鋳部の開口部に対応する位置に第二レジストを形成し、この第二レジストを用いて第二レジストの周囲に第二電鋳部を形成した後、第二レジストを除去する。これにより、開口部を形成する位置に第二レジストを形成するだけで、より立体感のある外観を提供する開口部を容易に形成可能となる。また、第二電鋳部を削ったりして開口部を形成しないので、第二電鋳部の表面および開口部の表面、開口部から露出される第一電鋳部の表面に傷などができず、仕上がりが綺麗になる、と同時に微細な形状の開口部を形成できる。
また、前記第一レジスト形成工程は、前記基盤状に前記第一レジストを形成するとともに、この第一レジストを前記基板状に焼き付けて個着させるアフターベーク工程を備えることが好ましい。
このような方法では、第一レジストをアフターベーク工程により基板に固着させるので、第二レジストを形成する際に第一レジストが剥がれることがない。従って、第一レジストが基板から剥がれるなどして、装飾部品が基板から容易に剥離することがない。よって、装飾部品を基板上に固定することが可能となり、装飾部品の製造性が良好になる。
さらに、本発明では、前記第一電鋳工程および前記第二レジスト工程の間に、前記第一電鋳部の表面に表面処理を施す表面処理工程を備えることが好ましい。このような製造方法では、第一電鋳部の表面全体に表面処理層を施すことが可能となるので、開口部をどのような位置に設けても表面処理層が露出可能となる。このため、簡単な製造方法で容易に表面処理層を露出した開口部を形成可能となる。また、第一電鋳工程と第二レジスト工程との間に表面処理工程を入れるため、後で開口部の第一電鋳部の表面にめっきなどで装飾したり色彩を入れたりする必要がなく、作業性も良好になる。
そして、前記第二レジスト形成工程は、前記第一電鋳部の表面に前記第二レジストを形成するレジスト剤を塗布するレジスト塗布工程と、前記レジスト剤の前記開口部に対応する位置以外の部分を除去して第二レジストを形成する現像工程と、を備えることが好ましい。このような製造方法では、第二レジストを形成するレジスト剤を塗布して例えばプレベークする、すなわち比較的温度の低い状態で所定時間保持して、塗装されたレジスト剤を第一電鋳部上に保持させ、この後、第二レジストの開口部に対応する位置以外のレジスト剤を除去する。このようにすることで、開口部に対応する位置のみに第二レジストを保持させることができ、第二電鋳部が第二レジストの位置に形成されないので、この第二レジストを除去することで開口部を容易に形成することが可能となる。
また、この時、前記レジスト剤は、紫外線により劣化する紫外線劣化型であり、前記第二レジスト形成工程は、前記レジスト塗布工程の後に、前記レジスト剤の前記開口部に対応する位置以外に紫外線を露光する露光工程を備え、前記現像工程は、前記露光工程で露光されて劣化された前記レジスト剤を現像により除去することが好ましい。
この発明によれば、第一電鋳部上に塗布されたレジスト剤の開口部に対応する位置を例えばマスキングなどして紫外線が照射されないようにし、その多の部分に紫外線が照射されるようにする。そして、紫外線により劣化したレジスト剤を現像により除去することで、マスキングされた開口部に対応する位置のレジスト剤を保持して第二レジストを容易に形成可能となる。
さらに、前記第二電鋳工程は、前記第二電鋳部を前記第二レジスト上面にはみ出すように形成することが好ましい。この発明では、第二電鋳部は、例えば表面張力により盛り上がって第二レジストの上面側の一部を覆う状態に形成される。これにより、第二レジストを除去した際に、開口部の表面外観に凹凸ができず、滑らかな表面仕上がりにすることが可能となる。
そして、本発明の被装飾部品は、上述したような装飾部品または装飾部品の製造方法によって製造された装飾部品を備えたことを特徴とする。また、本発明の時計は、上述したような装飾部品または装飾部品の製造方法によって製造された装飾部品により装飾される文字板を備えたことを特徴とする。この発明によれば、時計または被装飾部品が前述の装飾部品または前述の装飾部品の製造方法により製造された装飾部品を備えているので、より立体的なデザインにより外観が良好となり、デザインの多様化にも柔軟に対応可能となる。
本発明の装飾部品、装飾部品の製造方法、装飾部品を備えた時計、および装飾部品を備えた被装飾部品によれば、デザインの多様化に柔軟に対応できる。
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。図1には本発明の一実施形態にかかる装飾部品としての目盛部品1が用いられた時計100が示されている。この図1において、目盛部品1は、被装飾部品としての時計100の文字板(基材)100Aに貼設されて時計100を装飾するものであり、文字板100A上の目盛の部分に複数個接着されている。
図2には、目盛部品1の斜視図が示されている。この図2において、目盛部品1は、中央のコアの部分とされる第一電鋳部2と、第一電鋳部2を覆うように形成される第二電鋳部3とを備えている。ただし、第二電鋳部3においては、第一電鋳部2の装飾面21が見えるように略円形状の開口部4が設けられている。
第一電鋳部2は、文字板100Aに接着剤などで貼設される貼設面22と、前記第二電鋳部3の開口部4により外部から表面を視認可能な装飾面21とを備えている。この第一電鋳部2は、形成後の残留応力が小さくなるように、例えばニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)などの任意の金属材料で構成されている。また、第一電鋳部2の表面である装飾面21には、例えばフラッシュめっき(約0.1〜0.5μm厚)により金めっき等が施されている。
第二電鋳部3は、第一電鋳部2に固定される固定面32と、固定面以外の外部から表面を視認可能な装飾面31とを備えている。また、第二電鋳部3の装飾面31にも、第一電鋳部2同様、金めっき等が施されている構成であってもよい。
以上のこのような目盛部品1は、次のように製造される。
図3には、目盛部品1の製造方法のフロー図が示されている。また、図4から図11には、目盛部品1が完成するまでの各製造工程が示されている。目盛部品1の製造方法は、図3に示されるように、基板5上に第一電鋳部2用の第一レジストを形成する第一レジスト形成工程(ステップS1からステップS5)と、第一レジストを用いて第一電鋳部2を形成する第一電鋳工程(ステップS6)と、第一電鋳部2の表面をめっき処理する表面めっき工程(ステップS7)と、第一電鋳部2の表面に第二レジストを形成する第二レジスト形成工程(ステップS8からステップS11)と、第二レジストを用いて第二電鋳部3を形成する第二電鋳工程(ステップS12)と、第二レジスト62を除去するレジスト除去工程(ステップS13およびステップS14)と、を備えている。また、レジスト除去工程の後には、形成された目盛部品1を基板から転写シートに転写する転写工程(ステップS15ないしステップS17)と、目盛部品1の貼設面22に粘着剤を塗布する粘着剤塗布工程(ステップS18)と、目盛部品1を文字板100Aに貼設する貼設工程(ステップS19)とが設けられている。
第一レジスト形成工程では、まずステップS1において、図4(A)に示されるように基板5上にレジスト剤による第一レジスト6を形成する。ここで、基板5は、電鋳の厚さが均一になるように表面仕上げが均一な平板状部材である。基板5の材料は、導電性を有するものであればよく、例えば洋白(NS)、銅(Cu)、鋼材などが採用できる。あるいは、基板5は、非導電性の材料の表面に導電性皮膜処理を施したものでもよい。
また、レジスト剤は、非導電性材料で構成され、露光現像タイプ(ポジティブタイプ液状レジスト;紫外線劣化型)のものが採用されており、例えば東京応化製P-RM300PM等が採用できる。このレジスト剤は、印刷や、塗装、塗布、バーコーター、ロールコーター等の方法により基板5の表面に第一レジスト6として形成される。この第一レジスト6により、基板5の表面に耐酸性、耐アルカリ性、非導電性の層が形成される。なお、第一レジスト6の厚さは、第一電鋳部2の厚みなどを勘案して適宜決定される。
ステップS2では、第一レジスト6を基板5ごと加熱処理することにより第一レジスト6をプリベークする。プリベークは、90℃±5℃で40分加熱乾燥させることにより行う。このプリベーク工程により、第一レジスト6が安定して基板5との密着性が良好となり、第一レジスト6の基板5からの剥離が防止される。なお、第一レジスト6の厚みを10μm以上とする場合には、レジスト剤塗布およびプリベークを複数回繰り返すことにより、所定の厚みの第一レジスト6を形成すればよい。
次に、ステップS3において、図4(B)に示されるように、第一レジスト6をマスク10で覆い、紫外線で露光する。マスク10には、第一電鋳部2の貼設面22の形状とほぼ同様の形状の透明パターン101が形成されており、マスク10を通して光源90により紫外線露光することによって第一レジスト6にはパターン101の部分のみに紫外線が照射されるパターン露光が行われる。このパターン露光によって、第一レジスト6において紫外線が照射された部分にはパターン101の形状が転写され、当該部分が劣化する。なお、厚み10μmの第一電鋳部2を形成する場合には、700mm/j〜1,000mm/jの紫外線光量が必要となる。ここで、基板5上に第一電鋳部2が形成される場合、第一電鋳部2は第一レジスト6からはみ出して肉盛されるため、実際の寸法はパターン101の形状よりも大きくなる。したがって、パターン101の形状は、この寸法差を予め勘案して設定されている。
ステップS4では、露光が行われた基板5および第一レジスト6を一般的なアルカリ現像あるいは溶剤方式などの方法によって現像し、洗浄する。ここで、現像液は、例えばNaOH2%水溶液を使用する。現像液は、35℃±5℃の温度管理下で使用することが望ましく、また、ディベロッパーは、シャワー式、攪拌機などを使用できる。これにより、基板5上には、図5(A)に示されるように、パターン101に相当する部分の第一レジスト6が除去されて、パターン101の形状の第一電鋳形成部61が形成される。この第一電鋳形成部61内部の領域では、基板5が露出している。
そして、ステップS5において、第一レジスト6にアフターベーク処理を施す。このアフターベーク処理は、現像された第一レジスト6を約180℃で約215分間加熱して焼き固める事により、レジストを変質させ、ステップS8からステップS11までの第二レジスト形成工程での第一レジストの溶解を防ぎ基板5に第一レジスト6を残留密着させる処理である。
第一電鋳工程では、ステップS5において、電鋳を施すことにより、図5(B)に示されるように第一電鋳部2を形成する。この際、基板5の導電性を確保し、なおかつ電鋳によって形成された第一電鋳部2が基板5から剥離しやすくする必要がある。そこで、第一電鋳工程を行う前に、基板5に脱脂、アルカリ洗浄、酸中和の活性化処理、および硫化ナトリウム水溶液へ浸漬することにより絶縁被膜を形成する不動態化処理を予め行っておき、この後に、電鋳槽で基板5に第一電鋳部2の形成を行う。
電鋳は、一般的な電鋳の条件で行われる。電鋳液の材料としては、例えば硫酸ニッケル(粉末)300±20g/l、塩化ニッケル(粉末)50±5g/l、ホウ酸(粉末)45±5g/l、第一電鋳部2の表面張力を低減して第一電鋳部2の電鋳応力を低減するための光沢剤#61(液体)6±1ml/l、第一電鋳部2表面の光沢を出すための光沢剤#62(液体)適宜(第一電鋳部2の表面に曇り等が生じた場合に適宜添加すればよい)、および第一電鋳部2の表面張力を増加させて第一電鋳部2のきのこ状に盛り上げて形成するための光沢剤#63(液体)18±3ml/lを使用し、これらの材料を250lの純水に溶解して電鋳液を製造する。電鋳液は、55℃で管理されることが望ましい。ここで、例えば第一電鋳部2を180μmの厚みで形成する場合には、3Aの電流値で11時間電鋳を行う。したがって、40μmの厚みの第一電鋳部2を形成する場合には、5Aの電流値で88分の加工時間を要する。この第一電鋳工程により、基板5上の第一電鋳形成部61内部の領域には、電鋳液が充填され、さらに、第一電鋳形成部61外周の第一レジスト6上面にはみ出して、肉盛り状に形成される。この第一電鋳工程により、基板5に密着している部分によって貼設面22が、また基板5とは反対側の面に肉盛り状に形成された部分によって装飾面21が形成される。
表面めっき工程では、ステップS7において、第一電鋳部2の表面に、例えば、第一電鋳部2がニッケルにより形成され、装飾面21に金色が求められた時は、金によりフラッシュめっきを行い、図6(A)に示されるように装飾面21上にめっき層7を形成する。装飾面21にニッケル色が求められた時は、ステップS7工程は除外する。
第二レジスト形成工程では、ステップS8およびステップS9において、図6(B)に示されるようにめっき層7上に第一レジスト6と同様の方法で第二レジスト62を形成する。そしてステップS10において、図7(A)に示されるように、開口部4の形状に対応した部分が紫外線を通さない不透明部102が形成され、かつ、それ以外の部分が透明となるように形成されたマスク10Aで第二レジスト62を覆い、紫外線を露光する。ステップS11において、基板5を現像すると、紫外線露光により第二レジスト62の不透明部102に覆われる部分以外が除去され、図7(B)に示されるような第二電鋳形成部63が形成される。この時、第一レジスト6はステップS5において基板5に焼き付けられているため除去されない。
第二電鋳工程では、ステップS12において電鋳を施すことにより、図8(A)に示されるように第二電鋳部3を形成する。この際、第一電鋳部2と第二電鋳部3とは互いに固着する必要があるので、活性化処理のみを行い、第一電鋳工程で行ったような不動態化処理は不要となる。この第二電鋳工程では、第一電鋳工程の電鋳とは別材料の電鋳液が用いられてもよい。そして、この第二電鋳工程により、基板5上の第一電鋳形成部61を覆う領域に電鋳液が充填され、さらに、第二レジスト62の周縁から上面側にはみ出して、肉盛り状に形成される。この第二電鋳工程により、第一電鋳部2に密着している部分によって固定面32が、また固定面32の反対面に肉盛り状に形成された部分によって装飾面31が形成される。
レジスト除去工程は、第二レジスト62に紫外線を照射する露光工程と、露光工程で露光された部分の第二レジスト62を現像により除去する現像工程とを備える。まず、ステップS13において、基板5上の第二レジスト62に光源90により紫外線を全面露光する(露光工程)。これにより、第二レジスト62の露出している部分に光源90からの紫外線が照射され、当該部分のレジスト剤が劣化する。
その後、ステップS14において基板5を現像すると、図8(B)に示されるように照射された第二レジスト62が溶解して除去され、第一電鋳部2の装飾面21が露出する(現像工程)。
以上の製造工程により、基板5上に目盛部品1が形成製造される。
ここで、第一電鋳部2の貼設面22と基板5との間には、活性化処理および不動態化処理が施されているので、両者の間は剥離しやすくなっている。また、第一レジスト6と第一電鋳部2とが互いに密着することにより、目盛部品1は基板5上に固定保持される。
転写工程では、ステップS15において、図9(A)に示されるように、目盛部品1および基板5に転写シート8を貼付する。転写シート8には、目盛部品1と密着する側の面に図示しない接着剤が塗布されており、適度な接着力で目盛部品1に接着される。なお、転写シート8の材料としては、目盛部品1に対して剥離が容易でかつ密着しやすい材料であればよく、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどの軟質のフィルムなどが採用でき、例えば(株)日東電工製 SPVフィルム J-300などが採用できる。このような転写シート8によれば、基板5から目盛部品1を剥離する際に、適当な粘着力で目盛部品1をホールドする。また例えば複数の目盛部品1を1つの転写シート8で転写する場合には、目盛部品1の剥離後に複数の目盛部品1同士のレイアウトをそのまま維持できる。また、転写シート8の材料としては、転写シート8を通して目盛部品1が視認可能となるように、透明フィルム状の材料を用いてもよいし、転写シート8の接着剤の乾燥を防ぐために非通気性の材料を用いてもよい。
転写シート8を目盛部品1および基板5に貼付後、ステップS16においてローラーテンションを行うことにより転写シート8と目盛部品1および基板5とを密着させる。そして、ステップS17において、図9(B)に示されるように、基板5を目盛部品1から剥離させ、目盛部品1を転写シート8に転写する。この時、第一レジスト6は基板5に焼き付けられ固着されているので、基板5とともに第一レジスト6も目盛部品1から剥離する。また、基板5と目盛部品1との固着力は、目盛部品1と転写シート8との接着力より弱くなるように設定されていることが望ましい。このような設定によれば、目盛部品1は、転写シート8を剥離するにしたがって、基板5から転写シート8に転写される。なお、この転写シート8は、目盛部品1を基板5から剥離させる役割の他、目盛部品1の装飾面21,31を保護する役割も果たす。
粘着剤塗布工程では、ステップS18において、図10(A)に示されるように、第一電鋳部2の貼設面22、および転写シート8の第一電鋳部2が配置されない部分に粘着剤811が塗布されて接着層が形成される。この場合において、粘着剤81は、例えば水性感圧接着剤(例えば(株)テスク製 F-1040B アクリルエラストマー樹脂、消泡剤、イオン交換水、メタノール、およびポリビニルメチルエーテル(増粘剤)を所定配合比で配合)が使用でき、スクリーン印刷機で塗布するなどすればよく、厚み約10μmで形成されることが望ましい。
なお、目盛部品1をすぐに文字板100Aに貼設しない場合には、粘着剤81が塗布された面に剥離シートを貼り付けてシート状シールを構成し、このシート状シールの状態で保存してもよい。ここで、剥離シートの材料は、非通気性で粘着剤81との剥離性が良好な、例えばフッ素系樹脂を表面に処理した紙や、樹脂製のフィルムなどで構成されていることが望ましく、例えば(株)リンテック製 SP−8Eアイボリー 厚みt=0.11が採用できる。この剥離シートにより、粘着剤81が保護され、粘着剤81へのゴミの付着や粘着剤81の溶剤や水分の蒸発が防止される。なお、剥離シートは、剥離能力が弱いと剥離シートに目盛部品1が貼り付いてしまうため、適度の剥離性能が要求される。
貼設工程では、ステップS19において、目盛部品1を文字板100Aの所定の位置に貼設する。まず、文字板100Aと目盛部品1との密着性をよくするために、文字板100Aの汚れを予め洗浄(超音波洗浄や酸洗浄等)などによって除去する。次に、文字板100Aと目盛部品1との位置決めを行う。これらの位置決めは、例えば文字板100Aを固定する治具と、目盛部品1側に形成された位置決め用の電鋳部によって行えばよい。つまり、まず適宜な治具に文字板100Aを固定しておく。この治具には、文字板100Aに対して目盛部品1を位置決めする位置決めピンが設けられている。一方、目盛部品1側には、目盛部品1の形成工程と同時に目盛部品1の周囲に位置決め用の電鋳部を形成しておき、この位置決め用の電鋳部を目盛部品1とともに転写シート8に転写しておく。文字板(基材)100Aが固定された治具の位置決めピンに、位置決め用の電鋳部を係合させることにより、目盛部品1を文字板100Aに対して位置決めする。目盛部品1を文字板100A上の所定位置に配置した後、図10(B)に示されるように、目盛部品1を文字板100Aに貼付する。そして、目盛部品1を文字板100Aに確実に密着させるために転写シート8の上からローラ等によって加圧する。
そして、図11(A)に示されるように、転写シート8を剥がす。この際、目盛部品1は加圧されて文字板100Aに密着しているので、目盛部品1を押さえながら転写シート8を剥がすと、目盛部品1は文字板100Aに接着されて残る。一方、目盛部品1のない部分の粘着剤81は転写シート8に接着して一緒に剥がれる。つまり、この際には、転写シート8と粘着剤81との接着力は、粘着剤81と文字板100Aとの接着力よりも強く設定されることが望ましい。また、粘着剤81と文字板100Aとの接着力は、目盛部品1と転写シート8との接着力よりも強く設定されることが望ましい。このような条件下では、目盛部品1が配置されていない部分の粘着剤81が転写シート8とともに良好に剥がれる。なお、このような条件を満たすことが難しい場合でも、目盛部品1を押さえながら転写シート8を剥がすことにより、目盛部品1を文字板100Aに残し、他の粘着剤81を転写シート8とともに容易に剥がすことができる。
以上のような工程により、目盛部品1は、図11(B)に示されるように、文字板100A上の所定の位置に貼設される。
このような実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)目盛部品1では、第一電鋳部2の装飾面21を覆うように第二電鋳部3が形成され、この第二電鋳部3に第一電鋳部2の装飾面21が露出される開口部4が形成されている。このため、目盛部品1の厚み寸法を大きくでき、さらに、開口部4により第二電鋳部3から掘り下がった形状を形成でき、より立体感ある外観にすることができる。従って、目盛部品1のデザインの多様化を促進でき、文字板100Aおよび時計100のデザインの多様化を促進できる。
(2)第一電鋳部2の表面である装飾面21には、めっき層7が形成されている。このため、開口部4からこのめっき層7が露出され、めっき層7の種類の変更などすることでめっき層7の色彩などを多様に変更することができる。したがって、目盛部品1のデザインの多様化を図ることができる。
(3)めっき層7は、フラッシュめっきなどにより金メッキなどが施されている。このようなめっきによりめっき層7を形成することで、容易に表面処理が可能となり、また、金メッキのように金属色を配色することができる。したがって、目盛部品1や時計100の色彩やデザインの多様化の促進を図ることができる。
(4)目盛部品1の製造では、第一レジスト6を用いて盛り上がって形成された第一電鋳部2の開口部4に対応する位置に第二レジスト62を形成し、この第二レジスト62の周囲に第一電鋳部2を覆う第二電鋳部3を形成し、この後、第二レジスト62を除去する。このため、開口部4を形成する位置に第二レジスト62を形成し、第二電鋳部3の形成後に第二レジスト62を除去するだけで、立体感がある外観の目盛部品1を容易に製造することができる。また、開口部4を製造する際に、第二電鋳部3を削ったり切欠いたりする必要がないため、第二電鋳部3の装飾面31に傷がついたり破損したりすることがない。従って、目盛部品1の仕上がりが綺麗になり、デザイン性も良好にできる。
(5)ステップS5の第一レジスト形成工程のアフターベーク処理では、ステップにおいて現像した第一レジスト6を基板5に焼き付けて固着させる。このため、ステップS10の第二レジスト形成工程におけるパターン露光工程において、紫外線を照射した際に第一レジスト6が劣化せず、ステップS11における第二レジスト62の現像工程においても第一レジスト6の剥離を防止できる。従って、ステップS10の開口部4形成工程で使用されるマスク10Aの第一電鋳部外形形状に合致した不透明形状部は不要で、開口形状部のみの不透明形状部だけで良く、マスク10Aの製作が容易に成ると同時にマスク10Aと第一電鋳部の位置合わせ作業も容易に成る。また、目盛部品1を基板5上に固定することができるので、製造途中で目盛部品1が基板5から剥離することがなく、目盛部品1の製造性を良好にできる。
(6)ステップS7において、第一電鋳部2を形成した後に装飾面21にめっき層7を形成する。このため、第一電鋳部2の装飾面21の全体にめっき層7を形成することができる。従って、開口部4がどの位置に形成されても、この開口部4からめっき層7を露出させることができる。また、第二電鋳部3および開口部4が形成された後に第一電鋳部2の開口部4から露出される装飾面21にめっきなどの処理を実施する場合は、例えば開口部4が小さい場合などでは、作業性が低下する。これに対して、本実施形態のようにステップS6の第一電鋳部2の電鋳工程と、第二レジスト形成工程との間にステップS7の表面めっき工程を入れることで、作業性をより良好にすることができる。
(7)第二レジスト形成工程は、ステップS8のレジスト塗布工程の後に、ステップS9のプリベーク工程でレジスト剤を固着させ、ステップS10のパターン露光工程で開口部4に対応する位置にマスキングして紫外線を露光し、ステップS11の現像工程において、露光工程で露光されて劣化されたレジスト剤を除去する。このため、紫外線により劣化したレジスト剤を除去することで、マスキングされた開口部に対応する位置のみに第二レジストを容易に形成できる。これにより、上記のような開口部4を容易に形成できる。
(8)ステップS12の第二電鋳工程において、第二電鋳部3は、第二レジスト62の周縁から上面側にはみ出して、肉盛り状に形成される。このため、第二レジスト62を除去した際に、第二電鋳部3から開口部に亘る表面は肉盛り状に湾曲して形成され、凹凸ができずに滑らかな表面仕上がりにできる。よって、目盛部品1および時計100としての外観も良好にできる。
なお、本発明は、上述した一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
すなわち、上記実施の形態では、時計100の文字板100Aに本発明の装飾部品としての目盛部品1を固定する例を示したがこれに限られない。例えば、アクセサリーや工芸品、インテリアなどの被装飾部品に取り付けられる装飾部品として利用してもよい。
また、第二レジスト62はレジスト剤を第一電鋳部2の表面に塗布し、開口部4に対応する位置をマスキングして紫外線照射し、劣化した部分を除去して形成する例を示したが、これに限定されない。例えば、開口部4の位置に対応する第一電鋳部2の表面に第二レジストを直接印刷するなどして形成してもよい。
さらに、ステップS6において第一電鋳部2を形成した後、第二レジスト62を形成する前に第一電鋳部2にめっき層7を形成する工程を例示したが、これに限定されない。例えば、ステップS14にて開口部4の内部の第二レジスト62を除去した後、開口部4から露出する第一電鋳部2の表面にめっき処理や電着塗装など施してもよい。
また、第一電鋳部2の開口部4の表面処理は、めっき処理に限られず、例えば電着塗装により表面処理層を形成するものであってもよく、通常のインクを塗装したり、或いは、印刷等により表面処理層を形成するものであってもよい。開口部4に電着塗装を施す場合は、図7で示すマスク10Aの透明部は開口部4と合致する形状となり、露光、現像工程を経ることにより開口部4のレジストが溶解除去され、ここに電着塗装を施すことにより電着塗装被膜が形成される。また、インクにより印刷される場合は図3に示すステップS8からステップS11までの工程は除外され、代わりにスクリーン印刷、タコ印刷などの印刷工程が入る。
さらに、開口部は、第二電鋳部3の周縁から内側に入った位置に設けられるとしたが、第二電鋳部3の周縁に沿って形成されていてもよい。つまり、目盛部品1のデザインにより様々な位置に開口部を設けてもよく、このような構成にすることでさらに多様なデザインに対応することができる。
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明の一実施形態にかかる時計を示す図。 本実施形態にかかる目盛部品を示す斜視図。 目盛部品の製造方法を示すフロー図。 目盛部品の第一レジスト形成工程を示す図。 目盛部品の第一電鋳工程を示す図。 (A)目盛部品の表面めっき工程を示す図。(B)第二レジスト形成工程のレジスト剤塗布工程を示す図。 (A)第二レジスト形成工程の露光パターン工程を示す図。(B)第二レジスト形成高低の現像工程を示す図。 (A)目盛部品の第二電鋳工程を示す図。(B)目盛部品の全面露光および現像工程を示す図。 目盛部品の転写工程を示す図。 目盛部品の粘着剤塗布工程を示す図。 目盛部品の貼設工程を示す図。
符号の説明
1…装飾部品としての目盛部品、2…第一電鋳部、3…第二電鋳部、4…開口部、6…第一レジスト、7…表面処理層としての表面めっき層、62…第二レジスト、100…時計。

Claims (10)

  1. 電鋳によって形成される第一電鋳部と、
    前記第一電鋳部を覆うように電鋳により形成される第二電鋳部と、を備え、
    前記第二電鋳部の表面には、前記第一電鋳部側に凹状となり、かつ前記第一電鋳部の表面が露出される開口部が設けられている
    ことを特徴とした装飾部品。
  2. 請求項1に記載の装飾部品であって、
    前記第一電鋳部は、表面処理が施された表面処理層を有し、前記開口部からこの表面処理層が露出される
    ことを特徴とした装飾部品。
  3. 請求項2に記載の装飾部品であって、
    前記表面処理層は、めっきまたは電着塗装によって形成される
    ことを特徴とした装飾部品。
  4. 電鋳によって形成される第一電鋳部と、前記第一電鋳部を覆うとともに電鋳により形成される第二電鋳部とを備え、前記第二電鋳部の表面には前記第一電鋳部側に凹状となり、かつ前記第一電鋳部の表面が露出される開口部が設けられている装飾部品を製造する製造方法であって、
    基板上に前記第一電鋳部用の第一レジストを形成する第一レジスト形成工程と、
    前記第一レジストを用いて前記基板上に前記第一電鋳部を形成する第一電鋳工程と、
    前記第一電鋳部上の前記開口部に対応する位置に第二レジストを形成する第二レジスト形成工程と、
    前記第二レジストを用いて前記第一電鋳部を覆う前記第二電鋳部を形成する第二電鋳工程と、
    前記第二レジストを除去して前記開口部を形成する開口部形成工程と、
    を備えたことを特徴とする装飾部品の製造方法。
  5. 請求項4に記載の装飾部品の製造方法において、
    前記第一レジスト形成工程は、前記基盤状に前記第一レジストを形成するとともに、この第一レジストを前記基板状に焼き付けて個着させるアフターベーク工程を備えた
    ことを特徴とする装飾部品の製造方法。
  6. 請求項4または請求項5に記載の装飾部品の製造方法であって
    前記第一電鋳工程および前記第二レジスト工程の間に、前記第一電鋳部の表面に表面処理を施す表面処理工程を備えた
    ことを特徴とする装飾部品の製造方法。
  7. 請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の装飾部品の製造方法であって、
    前記第二レジスト形成工程は、前記第一電鋳部の表面に前記第二レジストを形成するレジスト剤を塗布するレジスト塗布工程と、前記レジスト剤の前記開口部に対応する位置以外の部分を除去して第二レジストを形成する現像工程と、を備えた
    ことを特徴とする装飾部品の製造方法。
  8. 請求項7に記載の装飾部品の製造方法であって、
    前記レジスト剤は、紫外線により劣化する紫外線劣化型であり、
    前記第二レジスト形成工程は、前記レジスト塗布工程の後に、前記レジスト剤の前記開口部に対応する位置以外に紫外線を露光する露光工程を備え、
    前記現像工程は、前記露光工程で露光されて劣化された前記レジスト剤を現像により除去する
    ことを特徴とした装飾部品の製造方法。
  9. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の装飾部品または請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の装飾部品の製造方法によって製造された装飾部品を備えた
    ことを特徴とした被装飾部品。
  10. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の装飾部品または請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の装飾部品の製造方法によって製造された装飾部品により装飾される文字板を備えた
    ことを特徴とした時計。
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