JP2007016445A - 屋根構造 - Google Patents

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正浩 伊賀
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Abstract

【課題】耐飛び火性に富んだ屋根構造を提供する。
【解決手段】樹脂又はガラス表面材1と不燃性無孔材2とが、上下に重ねられて若しくは間隔を開けて上下に配置された構成の屋根構造とするか、或いは、樹脂又はガラス表面材1と不燃性無孔材2と樹脂又はガラス裏面材4とが、この順で上下に重ねられて若しくは間隔を開けて上下に配置された構成の屋根構造とするか、或いは、樹脂又はガラス表面材1と不燃性無孔材2とが上下に重ねられて配置されると共に、樹脂又はガラス裏面材4が不燃性無孔材2の下側に間隔を開けて配置された構成の屋根構造とする。飛び火の熱で表面材1が溶融又は破壊されても、溶融樹脂やガラス片が不燃性無孔材2で受け止められて、上下に貫通する開口が生じないため、耐飛び火性に優れた屋根構造になる。裏面材4が配置されたものは、更に耐飛び火性が向上する。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面材と不燃性無孔材とを、或は表面材と不燃性無孔材と裏面材とを上下に配置した屋根構造に関するものである。
合成樹脂製屋根材は、ポリ塩化ビニル樹脂やポリカーボネート樹脂などからなる波板や折版などの異形形状の屋根材、或は平板をそのまま又はこれを湾曲してなる屋根材、或はポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂などをドーム状にしてなるトップライト、その他種々の形状に成形してなるものが使用されている。そして、これらの屋根材を使用して、建築基準法に定める飛び火試験に合格する屋根構造を必要とする場合は、これらの下に耐火性を有するガラスを配置して、耐火性能を付与した屋根構造となされていた(特許文献1)。さらに、ブロック状ガラスパネルが割れても安全で取替えの手間がかからないように、下側に透光性樹脂板を配置することも知られている(特許文献2)。
特開平10−46760号公報 特開2003−56118号公報
しかしながら、上記のような合成樹脂製屋根材のみでは火災時に外部からの飛び火が飛来すると、当該屋根材が熱により溶融して穴が開き防火できないという問題があった。そして、これを解決し、飛び火が飛来しても防火できるような屋根構造とするために、特許文献1や特許文献2のように、ガラス材と組み合わせて施工することが行なわれている。しかし、当該ガラスは重たく、割れる恐れもあるうえ、一定寸法のものしかなくて継目のない長尺屋根構造とすることができないという問題があった。さらに、ガラスは火災時の熱により破損し、この破損ガラス片が落下するという恐れもあった。
このような従来の問題に鑑み、本発明は耐飛び火性に富んだ屋根構造を提供することを解決課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る第一の屋根構造は、樹脂又はガラス表面材と不燃性無孔材とが、上下に重ねられて若しくは間隔を開けて上下に配置されていることを特徴とし、
本発明に係る第二の屋根構造は、樹脂又はガラス表面材と不燃性無孔材と樹脂又はガラス裏面材とが、この順で上下に重ねられて若しくは間隔を開けて上下に配置されていることを特徴とし、
本発明に係る第三の屋根構造は、樹脂又はガラス表面材と不燃性無孔材とが上下に重ねられて配置されると共に、樹脂又はガラス裏面材が不燃性無孔材の下側に間隔を開けて配置されていることを特徴とするものである。
本発明において、樹脂表面材及び/又は樹脂裏面材は、上面材と下面材とこれらを連結する複数のリブとよりなる複層材、波板材、折版材、平板材のいずれかであることが好ましい。さらに、不燃性無孔材は金属板であるか、又は、開口率が5%未満の金属メッシュシート、ガラス繊維シート、カーボン繊維シート、不燃紙のいずれかであることことが好ましい。
樹脂又はガラス表面材と不燃性無孔材とが、上下に重ねられて若しくは間隔を開けて上下に配置されている第一の発明の屋根構造であると、樹脂表面材が飛び火により溶融したとしても、その溶融樹脂が不燃性無孔材により受け止められて下方に落下することがないし、ガラス表面材が飛び火などで過熱されて破損しても、そのガラス片が不燃性無孔材により受け止められて落下することがない。そして、これらの表面材と不燃性無孔材とが上下に重ねられて配置されていると、これら表面材と不燃性無孔材とが密接して上下幅の小さな屋根構造とすることができる。また、樹脂表面材と不燃性無孔材とが上下に間隔を開けて配置されていると、前記溶融樹脂が該間隔を落下する間に冷却されて不燃性無孔材に到達するので、不燃性無孔材上で確実に固化して受け止められ、不燃性無孔材に開口が生ずることもなくなり、飛び火に耐える屋根構造とすることができる。同様に、ガラス表面材を用いても、破損して落下するガラス片が冷却されて不燃性無孔材の上に落下するので、不燃性無孔材が破損したり開口が生じたりしなくなる。
樹脂又はガラス表面材と不燃性無孔材と樹脂又はガラス裏面材とが、この順で上下に重ねられて若しくは間隔を開けて上下に配置されている第二の発明の屋根構造であると、第一の発明の作用効果に加えて、万一、不燃性無孔材が破損して開口することがあっても、該開口を通って落下する表面材の溶融樹脂又は割れたガラス片が裏面材で受け止められて下方への落下を確実に防止できるし、上下に貫通する開口も生じることがなく、より一層飛び火に耐える屋根構造とすることができる。更に、間隔を開けて配置されていると、各間隔を溶融樹脂又はガラス片が落下する間に冷却されるので、裏面材に達するまでに十分冷却されて裏面材の表面で固化し、開口することが一層確実に防止できる。
樹脂又はガラス表面材と不燃性無孔材とが上下に重ねられて配置されると共に樹脂又はガラス裏面材が不燃性無孔材の下側に間隔を開けて配置されている第三の発明の屋根構造であると、第1及び第2の発明の作用効果が同時に発揮され、表面材と不燃性無孔材とは密接して上下幅を小さくできるし、万一、不燃性無孔材が破損して開口することがあっても、該開口を通って落下する表面材の溶融樹脂又は割れたガラス片は間隔を開けて配置されている裏面材に達するまでの間に冷却されて裏面材上で固化されるので、上下幅を小さくした飛び火に耐える屋根構造とすることができる。
樹脂表面材及び/又は樹脂裏面材が、上面材と下面材とこれらを連接する複数のリブとよりなる複層材であると、上面材と下面材とリブとにより囲まれる多数の中空部が断熱効果を発揮し、屋根構造の下方の室内などを、夏場は涼しく、冬場は暖かくすることができる。また、波板材や折版材であると、剛性が付与されるので頑丈な屋根構造とすることができ、平板材であると、上下幅の小さい屋根構造とすることができる。
不燃性無孔材が金属板であるか、又は、開口率が5%未満の金属メッシュシート、ガラス繊維シート、カーボン繊維シート、不燃紙のいずれかであると、溶融樹脂やガラス片を確実に受け止めることができ、しかも、これらは長尺体として容易に入手できるので、どのような形状の屋根構造の不燃性無孔材としても用いることができる。特に、不燃性無孔材が透光性のガラス繊維シートであると、透光性の樹脂又はガラス表面材、透光性の樹脂又はガラス裏面材と組合わせることにより、採光性屋根構造とすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
図1は本発明の第一の実施形態に係る屋根構造A1の部分断面図である。
この屋根構造A1は、透光性樹脂表面材1と不燃性無孔材2が間隔を開けて上下に配置されていて、その四周をアルミニウムやアルミニウム合金や鉄やステンレスなどの金属材からなる不燃性の枠材3に固定されてなるものである。図1においては、その右端の構造のみを示しているが、四周はこれと同じ構造になっている。
透光性樹脂表面材1は、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂やポリエステル樹脂やポリ塩化ビニル樹脂、或はこれらの樹脂にガラス繊維を含有させた強化樹脂などの透光性樹脂で作製された透光性を有する表面材であり、20〜95%の全光線透過率を有している。これらの樹脂のなかでは、機械的強度が高く、耐候性が良好なポリカーボネート樹脂が最も好ましく用いられる。
そして、表面材1は、図1に示すように、上面材11と下面材12とこれらを連結する複数のリブ13とからなる複層材が用いられている。そのため、上面材11と下面材12とリブ13とで囲まれた多数の中空部14が形成されていて、表面材1に剛性を付与すると共に、前記中空部14により断熱作用が発揮されて、大面積の屋根構造の場合には特に有効に作用する。さらに、複層表面材1であるので、単層表面材に比べて少ない樹脂量で必要な剛性を得ることができ、飛び火が飛来して表面材1が溶融した時の溶融樹脂量を少なくできる利点もある。この複層表面材1がポリカーボネート樹脂で作製されている場合は、上面材11及び下面材12の厚さを夫々0.1mm以上、好ましくは0.1〜1.0mmに、リブ13の厚さを0.1mm以上、好ましくは0.1〜1.0mmにすると共に、リブ13の高さを2mm以上、好ましくは2〜50mm、さらに好ましくは10〜40mmに、そのリブ間隔を5mm以上、好ましくは5〜50mmにすることによって、剛性と断熱性と強度を兼ね備えた複層表面材1とすることができる。
この実施形態では、上記の複層材よりなる表面材1を使用しているが、表面材として、後述する樹脂製の波板材、折版材、平板材、平板の一部を円弧状に突出させた異形材などを用いてもよいし、ガラス材を用いてもよい。表面材1が波板材や折版材や異形材のように上又は下に突出した形状を有するものであると、これらの形状により剛性が付与されるので、平板材より強度が向上する。表面材1が平板材である場合は、板厚を厚くしたり、ガラス繊維で強化して強度を向上させることが好ましい。また、これらの波板材、折版材、平板材、異形材に顔料などを添加して不透明にしたものを使用してもよい。一方、透光性に優れるガラス材は、透光性屋根構造とする場合に好ましく使用され、しかも、ガラス材は樹脂に比べて耐熱温度が高いので、少しの飛び火が飛来しても、このガラス表面材1だけで防止できる利点がある。
不燃性無孔材2は不燃材料からなる完全無孔又は実質無孔性の平面体であり、その上側に配置される採光性樹脂表面材1が火災時の飛び火の熱で溶融して室内等に落下するのを防止するためのものである。かかる不燃性無孔材2としては、アルミニウム、ステンレス、スチールなどの薄い金属板、或いは、ステンレス、スチ−ルなどの金属細線を緻密に編織した開口率(網目の空隙が占める百分率)が5%未満の金属メッシュシート、或いは、ガラス繊維やカーボン繊維の単糸や合撚糸やテープなどを平織、綾織、朱子織などの組織で緻密に編織した開口率(編織組織の空隙が占める百分率)が5%未満のガラス繊維シートやカーボン繊維シート、或いは、上記の糸やテープなどをバインダーを用いて接合して解れないようにした開口率が5%未満のガラス繊維シートやカーボン繊維シート、或いは、上記のガラス繊維シートやカーボン繊維シートにアクリル樹脂やシリコーン樹脂やフッ素樹脂などを薄く塗布した樹脂付きガラス繊維シートや樹脂付きカーボン繊維シート、或いは、開口率が5%未満の不燃紙などが好ましく使用される。これらの中で、ガラス繊維シートや樹脂付きガラス繊維シートはそれ自体が透光性を有するので、採光屋根構造とする場合の不燃性無孔材2として適しており、特に、シリコーン樹脂を塗布した樹脂付きガラス繊維シートは、不燃性に優れる上に、ガスなどを発生することがなく、シートの解れもないため、極めて好ましく使用される。
上記の採光性樹脂表面材1と不燃性無孔材2とは、図1に示すように、アルミニウムやアルミニウム合金や鉄やステンレスなどの金属よりなる不燃性の枠材3にて、一定の上下間隔を保って配置されている。この枠材3は、四角筒部31の下側内端より内側に支持部32を突設すると共に、この下側内端より下方に延出した後に内側に突出するL型の固定部33を形成し、さらに四角筒部31の上側外端より上側に突片34を突設してなるものである。そして、この枠材3の支持部32に表面材1の端部下面を支持させる共に、表面材1の端部上面を前記突片34に当接した鋼材製帯板35で押さえ付けてビス37などで固定することにより、表面材1を枠材3に固定している。なお、パッキン(不図示)を介して表面材1を枠材3に固定してもよい。
そして、不燃性無孔材2の端部をL型固定部33の下面及び四角筒部31の下面に重ねた後に、その下面に階段状当て片36を重ねて不燃性無孔材2を挟持し、ビス37などで固定している。なお、不燃性無孔材2はL型固定部33の下面のみに重ねて帯板で挟持固定してもよい。このように表面材1と不燃性無孔材2とを枠材3に固定することで、これらは間隔を開けて配置させることができる。この上下間隔は、表面材1の厚みや不燃性無孔材2の種類により異なるが、好ましくは5〜150mm、より好ましくは10〜100mm程度に設定される。
上記のような屋根構造A1は、樹脂表面材1が飛来した飛び火の熱で部分的に溶融して溶融樹脂が落下しても、不燃性無孔材2で受け止められるため、下方の室内などに落下するのを防止することができる。そして、溶融樹脂は不燃性無孔材2まで落下する間に冷却されるので、溶融樹脂の熱で不燃性無孔材2に孔が開いて屋根を上下に貫通する開口が生じることもない。従って、この屋根構造A1は耐飛び火性能に優れ、延焼等を有効に防止することができる。また、不燃性無孔材2が透光性のガラス繊維シート等である場合は、採光性を有する屋根構造とすることができる。
なお、表面材1がガラスである場合には、飛び火などによりガラス表面材1が過熱されて破損し、このガラス片が落下しても、落下途中で冷却されて不燃性無孔材2の上に落ちるので、該不燃性無孔材2により受け止められて下方に落下することが防止されるし、屋根構造を貫通する開口を生じることも防止される。
この実施形態では、枠材3により表面材1と不燃性無孔材2とを間隔を開けて配置しているが、他の形状の枠材でも、或は直接構造材に固定して間隔を開けて配置してもよい。また、表面材1として、透光性を有する透光性樹脂表面材又はガラス表面材を用いているが、透光性は必ずしも必要ではなく、不透明の表面材であってもよい。その場合でも、同様に溶融樹脂やガラス片が不燃性無孔材2で受け止められて下方に落下することがないし、開口が開くこともない。
図2は本発明の第二の実施形態に係る屋根構造A2の部分断面図である。
この屋根構造A2は、採光性樹脂表面材1の下面に不燃性無孔材2が重ねられて枠材3の支持部32に支持されていること、及び枠材3にL型固定部33が設けられていないことを除いては、前記図1に示す屋根構造A1と同じであるので、同一符号を付して説明を省略する。
表面材1と不燃性無孔材2とを上下に重ねて配置するには、例えば、枠材3の支持部32の上面に、表面材1と不燃性無口材2の端部とを重ね合せた状態で配置した後にビス37などで固定すればよい。なお、採光性表面材1は複層材ではなく単層の樹脂板でもよいし、ガラス表面材でも、波板材や折版材などの異形材でもよい。また、採光性を有さない不透明表面材であってもよい。
この屋根構造A2においても、表面材1により断熱性が発揮されるし、この表面材1が溶融しても溶融樹脂が不燃性無孔材2により受け止められるので、上下に貫通する開口が生じない耐飛び火性に優れた屋根構造とすることができる。そして、不燃性無孔材2として採光性を有するガラス繊維シート等を使用すると、採光性の屋根構造とすることもできる。
図3は本発明の第三の実施形態に係る屋根構造A3の部分断面図である。
この屋根構造A3は、採光性樹脂表面材1の下側に不燃性無孔材2を間隔を開けて上下に配置すると共に、この不燃性無孔材2の下方に更に採光性の樹脂裏面材4を間隔を開けて配置したものである。表面材1と不燃性無孔材2は、図1で説明した屋根構造A1のそれらと同じものであるので、同じ符号を付して説明を省略する。表面材1と不燃性無孔材2との上下間隔は、5〜150mm、好ましくは10〜100mm程度に設定される。
採光性の樹脂裏面材4は、火の勢いが強かったり大量の飛び火が飛来して、万一、溶融樹脂やガラス片が不燃性無孔材2を破損して通過するようなことがあった場合に、これを補助的に捕集して、上下に開口することをなくし、耐飛び火性を高めるためのものである。この裏面材4は表面材1と同じ構造を有するもので、上面材41と下面材42と複数のリブ43とからなる、多数の中空部44を備えた複層材が用いられている。この裏面材4は表面材1と同一寸法の同一複層材であってもよいし、異なる寸法の複層材であってもよい。
裏面材4と不燃性無孔材2との間隔は、表面材1の厚み、即ち溶融した時の溶融樹脂量、不燃性無孔材2の材質や厚みなどにより適宜変更されるが、好ましくは10mm以上、より好ましくは10〜200mm、最も好ましくは50〜150mm程度に設定される。10mm以下であると、多量の溶融樹脂が不燃性無孔材2を通過した場合に冷却しきれずに裏面材4に落下し、裏面材4が溶融して開口する恐れがある。一方、余り離れ過ぎると、屋根構造の厚みが厚くなり過ぎて実使用できなくなるので、200mm程度までにすべきである。
このような透光性樹脂表面材1と不燃性無孔材2と採光性樹脂裏面材4とは、図3に示すように、垂直部51と、この垂直部51の上端と上下中間と下端とからそれぞれ内方に水平に延出したコ字状上受部52と中受部53と下受部54とからなる金属製の枠材5にて一定の間隔を開けて配置されている。即ち、表面材1は、その端部を枠材5のコ字状上受部52に支持させる共に、その端部上面を鋼材製帯板55で押さえ付けてビス37などで固定することで、枠材5に固定されている。また、不燃性無孔材2は、その端部を中受部53の上面に重ねた後にビス37などで固定されている。さらに、裏面材4は、その端部を下受部54の上面に載置して枠材5に取付けられている。このようにして、表面材1と不燃性無孔材2と裏面材3が上下にそれぞれ間隔を開けて配置されている。なお、符号6はパッキンを示す。
この屋根構造A3では、表面材1が飛び火などで溶融して溶融樹脂が落下しても、不燃性無孔材2に達するまでに溶融樹脂が冷却されて該無孔材2で受け止められ、その下方への落下が防止される。そして、多量の溶融樹脂が不燃性無孔材2に落下し、万が一にも不燃性無孔材2に孔が開いたり破損したりして溶融樹脂が不燃性無孔材2を通過して下方に落下する事態になっても、裏面材4に達するまでにさらに冷却されて裏面材4の上に落下するので、裏面材4により確実に受け止められ、その下方の室内などへの落下が防止される。そのため、この屋根構造A3も、上下に貫通する開口が生じず、優れた耐飛び火性を発揮する。また、不燃性無孔材2として透光性のガラス繊維シート等を使用すると、採光性を有する屋根構造とすることもできる。さらに、裏面材4の中空部44による断熱効果と、表面材1と裏面材4とにより区画された空間による断熱効果とが、表面材1の断熱効果に加えられるので、屋根構造A3の全体の断熱効果は非常に優れたものとなる。
この実施形態の屋根構造A3においても、表面材1や裏面材4は複層材が用いられているが、それらは単層材でも、ガラス表面材でも、波板材や折版材などの異形材でもよいし、不透明表面材や不透明裏面材であってもよいし、或は、表面材1と裏面材4との形状を異ならせてもよい。また、枠材5により表面材1と不燃性無孔材2と裏面材4とを間隔を開けて配置しているが、他の形状の枠材でも、或は直接構造材に固定して間隔を開けて配置してもよい。
図4は本発明の第四の実施形態に係る屋根構造A4の部分断面図である。
この屋根構造A4は、採光性樹脂表面材1の下面に不燃性無孔材2が重ねられて枠材5のコ字状上受部52に支持されていることと、枠材5に中受部53が設けられていないこと以外は、図3に示す屋根構造A3と同じであるので、同一符号を付して説明を省略する。
表面材1の下面に不燃性無孔材2を重ねて配置するには、例えば、枠材5の上受部52に表面材1の端部と無孔材2の端部とを重ね合せた状態で差し込み、鋼材製帯板55をビス37などで押さえ付けて固定するのがよい。なお、不燃性無孔材2は上受部52の下側からビスで固定してもよいし、或は両面テープなどで固定してもよいし、周囲を熱溶着してもよいし、他の公知の方法を使用して固定してもよい。
この屋根構造A4においても、表面材1と裏面材4とこれらの間の空間により優れた断熱性が発揮される。そして、飛び火の熱で表面材1が溶融して生じた溶融樹脂は不燃性無孔材2により受け止められ、万一、不燃性無孔材2を通過する不慮の事態が生じても裏面材4によって受け止められるので、上下に貫通する開口が生じない耐飛び火性に優れた屋根構造とすることができる。また、不燃性無孔材2として透光性のガラス繊維シート等を使用すると、採光性を有する屋根構造とすることもできる。
図5は本発明の第五の実施形態に係る屋根構造A5の部分断面図である。
この屋根構造A5は、裏面材4が透明なポリカーボネートなどの単層の樹脂板であること以外は、図4に示す屋根構造と同じであるので、同一符号を付して説明を省略する。
この単層裏面材4の厚みは2〜10mmであり、下受部54に載置して取り付けられる。裏面材4が単層の樹脂板であると、万一、不慮の事態が生じて不燃性無孔材2を通して溶融樹脂が落下しても、単層の樹脂板の方が前記の複層材より溶融しにくく、受け止める作用が強いので好ましい。
この屋根構造A5も、上記の屋根構造A4と同様な作用効果が発揮され、上下に貫通する開口を生じない耐飛び火性に優れた屋根構造とすることができる。そして、不燃性無孔材2として透光性のガラス繊維シート等を使用すれば、採光性を有する屋根構造とすることができる。
図6は本発明の屋根構造同士の接続状態を示す断面図である。
この図6は図4の屋根構造A4の接続状態を示したものであり、透光性樹脂表面材1、不燃性無孔材2、透光性樹脂裏面材4、及びこれらの配置状態は、屋根構造A4のそれらと同じであるので、同一符号を付して説明を省略する。
接続に用いられる接続枠材7は、2本の垂直部71と、該垂直部71の両上端に跨って凸部721を有し且つ左右に延出した上載置部72と、該垂直部71の両下端に跨って左右に延出した下載置部73とを有したアルミニウム合金などの金属材よりなるものである。図6に示す屋根構造A4の接続は、上記の接続枠材7を用いて、接続すべき一方の裏面材4を下載置部73の一方に載置すると共に、他方の裏面材4も下載置部73の他方に載置し、更に、接続すべき一方の表面材1及び無孔材2を上下に重ねた状態で上載置部72の一方に載置すると共に、他方の表面材1及び無孔材2を上下に重ねた状態で上載置部72の他方に載置した後、鋼材製帯板74で両表面材1、1の端部表面を押さえつつ、ビス37で凸部721に固定することによって、左右の表面材1、1同士、無孔材2、2同士、裏面材4、4同士をそれぞれ接続枠材7を介して接続し、大面積の耐飛び火性に優れた合格屋根構造としたものである。
図7は本発明の第六の実施形態を示す屋根構造A6の部分断面図である。
この屋根構造A6は、採光性樹脂表面材1が単層材(平板)であること、表面材1と不燃性無孔材2との間隔が母屋材8で開けられていること、枠材3を使用していないこと以外は、図1に示す屋根構造A1と同じであるので、同一符号を付して説明を省略する。
表面材1として用いられている単層材(平板)は、前記複層材と同様の樹脂で製されていて、特にポリカーボネート樹脂が最も好ましく用いられ、その厚さを2〜10mmとすることが好ましい。そして、採光性を有する屋根構造A6とするためには、全光線透過率を20〜95%とすることが好ましい。このような単層表面材1を使用すると、屋根構造の外観が平坦なものにすることができるし、さらに単層表面材1を湾曲させることが容易であるので、湾曲した母屋材8を使用することで湾曲屋根構造とすることもでき、外観をニーズに合わせたものとすることが可能となる。
また、母屋材8はアルミニウムやアルミニウム合金や鉄などの不燃性の金属材で製された四角筒体であり、一定間隔でもって配置されてなるものである。そして、その下側にビス37などの固定具で不燃性無孔材2が固定されている。この母屋材8の高さは、5〜150mm、より好ましくは10〜100mm程度にすることで、この間隔をもって不燃性開孔材2を表面材1の下方に配置することができる。この母屋材8の形状は他の形状であってもよいことはいうまでもない。
この屋根構造A6も、前記の屋根構造A1と同様な作用効果が発揮され、上下に貫通する開口が生じない耐飛び火性に優れた屋根構造とすることができる。そして、不燃性無孔材2として透光性のガラス繊維シート等を使用すると、採光性を有する屋根構造とすることもできる。
なお、不燃性無孔材2を単層表面材1と重ね合せて配置する場合は、母屋材8と単層表面材1との間に不燃性無孔材2を配置すればよい。
図8は本発明の第七の実施形態を示す屋根構造A7の部分斜視図である。
この屋根構造A7は、採光性樹脂表面材1が波板材であること、母屋材8が左右方向を向くように、一定間隔をもって配置されていること以外は、図7に示す屋根構造A6と同じであるので、同一符号を付して説明を省略する。
表面材1として用いられている波板材は、前記複層材と同様の樹脂で製されていて、特にポリカーボネート樹脂が最も好ましく用いられ、その厚さが1〜5mmとされている。そして、採光性の表面材1とするには、全光線透過率を20〜95%とすることが好ましい。このような波板材よりなる表面材1(以下、波板表面材1と記す)は、その波形状により剛性が向上するので、丈夫な屋根構造とすることができる利点がある。
また、母屋材8は波板表面材1の波方向に平行に配置されていて、波板表面材1の谷部が母屋材8の上面に接するように配置され、波板表面材1が山部からビス37やボルトなどの固定具により該母屋材8に固定されている。そして、母屋材8の下面には、不燃性無孔材2がビス37などの固定具で固定されている。
この屋根構造A7も、前記の屋根構造A1と同様な作用効果が発揮され、上下に貫通する開口が生じない耐飛び火性に優れた屋根構造とすることができる。そして、不燃性無孔材2として透光性のガラス繊維シート等を使用することにより、採光性の屋根構造とすることもできる。
なお、表面材1の形状は、図示された波板の形状に限らず、角波形状や三角波形状などでもよい。また、表面材1として、頂部の平らな山部と底部の平らな谷部を交互に連成した折版材を使用してもよい。一方、不燃性無孔材2を波板表面材1の下側に重ねて配置する場合は、母屋材8の上に不燃性無孔材2を載置して固定すればよい。
図9は本発明の第八の実施形態に係る屋根構造A8の部分斜視図である。
この屋根構造A8は、既設の屋根構造A80の上を、図8に示す本発明の屋根構造A7で覆った二重構造の屋根構造である。屋根構造A7は、不燃性無孔材2が母屋材8の上に配置されたこと以外は図8に示した構造と同じであるので、同一符号を付して説明を省略する。
既設の屋根構造A80は、既設屋根材11が既設母屋材80にフックボルト38などの固定具で固定されてなるものである。このような既設の屋根構造A80は、既設屋根材11が長年の使用により破損などが生じて取替えが必要になったものであり、波板形状に限らず、スレート屋根材や瓦葺き材や瓦棒材や馳葺き材や一文字葺きなどの種々の屋根材よりなるものである。
図9の屋根構造A8は、上記のような既設屋根材11の上に、新設の屋根材である波板表面材1を葺いた屋根構造であって、既設屋根材11を固定しているフックボルト38の先端を利用し、新設の母屋材8を既設屋根材11の表面に配置してナットなどで固定している。そして、この新設母屋材8の上に不燃性無孔材2を配して、必要ならビスなどで新設母屋材8に固定した後に、新設の波板表面材1を配置し、その山部からビス37などで新設母屋材8に固定している。このようにすることで、既設屋根材11の上に新設の本発明の屋根構造A7が葺かれた二重構造の屋根構造A8を構築することができるのである。
上記のような二重構造の屋根構造A8であると、新設の本発明の屋根構造A7が屋根構造として必要な耐飛び火性などの性能を全て有しているので、既設屋根構造がどのような状態であっても、これを取り壊すことなく改修することができる。
なお、新設の屋根構造は、本発明の他のA1〜A6までの屋根構造であってもよい。また、新設の母屋材がどのようなものであってもよく、場合によっては、スペーサなどで既設の屋根材11と新設の屋根材1との間隔を保つなどの手段を採用してもよい。
以上、いくつかの実施形態を挙げて本発明の屋根構造を説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではなく、例えば、不燃性無孔材を2枚以上重ねたり、上下に間隔を開けて配置するとなど、種々の変更態様を許容し得るものである。
本発明の一実施形態に係る屋根構造の部分断面図である。 本発明の他の実施形態に係る屋根構造の部分断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る屋根構造の部分断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る屋根構造の部分断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る屋根構造の部分断面図である。 本発明の屋根構造の接続状態を示す断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る屋根構造の部分断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る屋根構造の部分斜視図である。 本発明の更に他の実施形態に係る屋根構造の部分斜視図である。
符号の説明
1 表面材
11 上面材
12 下面材
13 リブ
2 不燃性無孔材
3 枠材
4 裏面材
5 枠材
7 接続枠材
A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8 屋根構造

Claims (5)

  1. 樹脂又はガラス表面材と不燃性無孔材とが、上下に重ねられて若しくは間隔を開けて上下に配置されていることを特徴とする屋根構造。
  2. 樹脂又はガラス表面材と、不燃性無孔材と、樹脂又はガラス裏面材とが、この順で上下に重ねられて若しくは間隔を開けて上下に配置されていることを特徴とする屋根構造。
  3. 樹脂又はガラス表面材と不燃性無孔材とが上下に重ねられて配置されると共に、樹脂又はガラス裏面材が不燃性無孔材の下側に間隔を開けて配置されていることを特徴とする屋根構造。
  4. 樹脂表面材及び/又は樹脂裏面材が、上面材と下面材とこれらを連結する複数のリブとよりなる複層材、波板材、折版材、平板材のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の屋根構造。
  5. 不燃性無孔材が金属板であるか、又は、開口率が5%未満の金属メッシュシート、ガラス繊維シート、カーボン繊維シート、不燃紙のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の屋根構造。
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