JP2007012423A - 燃料電池セル及び燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱膨張調整のための酸化物成分をインターコネクタ中に存在させることにより、固体電解質層とインターコネクタとの熱膨張差による不都合が有効に防止されているとともに、還元膨張に起因するインターコネクタの変形が有効に抑制されている固体電解質形燃料電池セルを提供する。
【解決手段】 固体電解質層33を間に挟んで互いに対面するように燃料極32と酸素極34とが設けられ、且つ燃料極32と電気的に接続するようにインターコネクタが配置されている燃料電池セルにおいて、インターコネクタ35は、導電性セラミックスから形成されており、且つ燃料極32側に位置する側に熱膨張調整用酸化物が外添により分布している熱膨張調整層35aと、熱膨張調整層35a上に形成された該熱膨張調整用酸化物が外添されていない還元膨張抑制層35bとからなる層状構造を有していることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、酸素含有ガスと水素含有ガスに接する緻密なインターコネクタを具備する固体電解質形の燃料電池セル及び燃料電池に関するものである。
次世代エネルギーとして、近年、燃料電池セルのスタックを収納容器内に収容した燃料電池が種々提案されている。
図4は、従来の固体電解質形燃料電池のセルスタックを示すもので、このセルスタックは、複数の燃料電池セル1を整列集合させ、隣り合う一方の燃料電池セル1aと他方の燃料電池セル1bとの間に金属フェルトからなる集電部材5を介在させ、一方の燃料電池セル1aの燃料極7と他方の燃料電池セル1bの酸素極(空気極)11とを電気的に接続して構成されている。
燃料電池セル1(1a、1b)は、円筒状のサーメットからなる燃料極7(内部が燃料ガス通路となる)の外周面に、固体電解質層9、導電性セラミックスからなる酸素極11を順次設けて構成されており、固体電解質層9や酸素極11によって覆われていない燃料極7の表面には、インターコネクタ12が設けられている。図4から明らかなように、このインターコネクタ12は、酸素極11に接続しないように燃料極7と電気的に接続されており、このインターコネクタ12を介して電流が取り出される。
インターコネクタ12は、燃料ガス及び空気等の酸素含有ガスで変質しにくい導電性セラミックスにより形成されているが、この導電性セラミックスは、燃料極7の内部を流れる燃料ガスと酸素極11の外側を流れる酸素含有ガスとを確実に遮断するために、緻密なものでなければならない。
また、互いに隣り合う燃料電池セル1a、1bの間に設けられる集電部材5は、インターコネクタ13を介して一方の燃料電池セル1aの燃料極7に電気的に接続され、且つ他方の燃料電池セル1bの酸素極11に接続されており、これにより、隣り合う燃料電池セル1a、1bは、直列に接続されている。
燃料電池は、上記の構造を有するセルスタックを収納容器内に収容して構成され、燃料極7の内部に燃料ガス(水素)を流し、酸素極11に空気(酸素)を流して750〜1000℃程度で発電される。
上述した燃料電池を構成する燃料電池セルにおいては、一般に、燃料極7が、Niと、安定化ジルコニア(YSZ)と呼ばれるY含有ZrOとから形成され、固体電解質層9がYSZから形成され、酸素極11はランタンマンガネート系のペロブスカイト型複合酸化物から構成されている。また、インターコネクタ12は、一般にランタンクロマイト系磁器から構成され、固体電解質層9を構成するYSZとの熱膨張係数差を調整するため、LaCrOにTi、Mg、Fe、Co、Ni及びZn等の元素が少なくとも一種が固溶されており、これらの熱膨張調整成分を存在させていた(例えば、特許文献1、2参照)。即ち、このような熱膨張調整成分を含有させることにより、インターコネクタの熱膨張係数を低減させ、インターコネクタ12と固体電解質層9との熱膨張係数を近似させ、熱膨張差に起因する不都合、例えば焼成時におけるインターコネクタの剥離などを回避するものである。また、このような熱膨張調整用酸化物成分として、MgOを外添することも知られている。
特開1999−3720号公報 特開2001−342056号公報
しかしながら、上記のような熱膨張調整成分を固溶させたり、或いは外添してインターコネクタ中に存在させると、還元時(即ち、水素ガスを流している発電時)に還元膨張が起こり、インターコネクタの変形が生じ、燃料電池セルの変形がもたらされるといった新たな問題が生じた。
従って、本発明の目的は、熱膨張調整のための酸化物成分をインターコネクタ中に存在させることにより、固体電解質層とインターコネクタとの熱膨張差による不都合が有効に防止されているとともに、還元膨張に起因するインターコネクタの変形が有効に抑制されている固体電解質形燃料電池を提供することにある。
本発明によれば、固体電解質層を間に挟んで互いに対面するように燃料極と酸素極とが設けられ、且つ該燃料極または酸素極と電気的に接続するようにインターコネクタが配置されている燃料電池セルにおいて、
前記インターコネクタは、導電性セラミックスから形成され且つ熱膨張調整層と還元膨張抑制層とからなる層状構造を有しており、
前記熱膨張調整層は、熱膨張調整用酸化物が分布している層であり、前記燃料極または酸素極側に位置しており、前記還元膨張抑制層は、前記熱膨張調整用酸化物が分布していない層であり、前記熱膨張調整層上に位置していることを特徴とする燃料電池セルが提供される。
本発明によれば、また、上記燃料電池セルの複数を、電気的に直列に接続してなる少なくとも1個のセルスタックを収容容器に収容してなることを特徴とする燃料電池が提供される。
本発明においては、
(1)前記熱膨張調整層の厚みAと還元膨張抑制層の厚みBとの厚み比B/Aが0.4以上となるように設定されていること、
(2)前記厚み比B/Aが0.4乃至1.0の範囲にあること、
(3)前記熱膨張調整用酸化物がMgOであること、
(4)前記インターコネクタが、Mg、Al、Ti、Fe、Co及びCaから成る群より選択された少なくとも1種の元素が固溶したランタンクロマイト系ペロブスカイト型複合酸化物より形成されており、前記熱膨張調整層は、該複合酸化物の結晶粒界に熱膨張調整用酸化物が分布していること、
(5)前記燃料極が、内部に燃料ガス通路が形成されているガス透過性の導電性支持体の一方の面に形成されており、該導電性支持体の他方の面に前記インターコネクタが形成されていること、
が好適である。
本発明においては、インターコネクタが、集電する極(燃料極または酸素極)側に配置されている熱膨張調整層と該熱膨張調整層上に形成された還元膨張抑制層とからなる層状構造を有していることが顕著な特徴である。
即ち、インターコネクタは、導電性セラミックから形成されているが、かかるインターコネクタにおいて、燃料極或いは酸素極側に配置されている熱膨張調整層では、熱膨張調整用の酸化物(例えばMgO)が分布している。このような酸化物の分布により、インターコネクタの熱膨張係数は低下し、固体電解質層のそれに近似したものとなり、この結果、熱膨張差に起因する焼成時の剥離などの不都合を有効に回避することができる。尚、熱膨張調整層における熱膨張調整用の酸化物は、少なくとも導電性セラミックを形成するペロブスカイト型複合酸化物の主結晶相の粒界に分布している。即ち、一部が結晶相中に固溶することはあっても、必ず主結晶相の粒界に存在しているものである。
また、上記の熱膨張調整層の上に形成されている還元膨張抑制層では、MgO等の熱膨張調整用の酸化物が分布していない。即ち、熱膨張調整層では、熱膨張調整用の酸化物が発電時等に流される水素により還元され、この結果、熱膨張調整層が還元膨張し、インターコネクタ自体の変形が生じ、ひいては燃料電池セルの変形が引き起こされる。しかるに、上記の還元膨張抑制層では、還元膨張を引き起こす熱膨張調整用の酸化物が分布しておらず、しかも、この還元膨張抑制層は、熱膨張調整層とほぼ同様の組成を有しているため、熱膨張調整層に強固に接合される。従って、熱膨張調整層に生じる還元膨張は、還元膨張抑制層によって有効に抑制されるのである。このような還元膨張抑制機能を十分に発現させるためには、還元膨張抑制層をある程度の厚みで形成する必要があり、一般的には、熱膨張調整層の厚みAと還元膨張抑制層の厚みBとの厚み比B/Aが0.4以上となるように、還元膨張抑制層の厚みを設定するのがよい。
本発明においては、また、インターコネクタが、上記のような2層構造を有しているため、燃料ガスである水素ガスの利用効率を高めることもできる。即ち、熱膨張調整用の酸化物は、還元膨張を引き起こすことからも判るように、水素ガスに対しての反応性が高く、発電に際して、熱膨張調整層での吸着脱離を生じるが、本発明では、かかる熱膨張調整層の上に、熱膨張調整用酸化物を含有していない還元膨張抑制層が形成されているため、この還元膨張抑制層によって水素を完全にセパレートでき、燃料利用率を向上できることとなる。
また、本発明では、ガス透過性の導電性支持体の一方の面に燃料電極を設け、この導電性支持体の他方の面に前述した層状構造を有するインターコネクタを設けることにより、燃料電池セルの強度を保持することができる。
以下、本発明を添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の燃料電池セルの横断面を示す図であり、
図2は、図1の燃料電池セルの一部横断面斜視図であり、
図3は、図1の燃料電池セルを接続したセルスタックの構造を示す概略断面図である。
図1及び図2において、全体として30で示す燃料電池セルは、断面が扁平状で、全体的に見て細長基板状の導電性支持基板31を備えている。この支持基板31の内部には、適当な間隔で複数の燃料ガス通路31aが長さ方向に貫通して形成されており、燃料電池セル30は、この支持基板31上に各種の部材が設けられた構造を有している。このような燃料電池セル30の複数を、図3に示すように、集電部材40により互いに直列に接続することにより、燃料電池を構成するセルスタックを形成することができる。
支持基板31は、図1に示されている形状から理解されるように、平坦部Aと平坦部Aの両端の弧状部Bとからなっている。平坦部Aの両面は互いにほぼ平行に形成されており、平坦部Aの一方の面と両側の弧状部Bを覆うように燃料極層32が設けられており、さらに、この燃料極層32を覆うように、緻密質な固体電解質層33が積層されており、この固体電解質層33の上には、燃料極層32と対面するように、平坦部Aの一方の表面に酸素極層34が積層されている。
また、燃料極層32が積層されていない平坦部Aの他方の表面には、インターコネクタ35が形成されている。図1から明らかな通り、燃料極層32及び固体電解質層33は、インターコネクタ35の両サイドにまで延びており、支持基板31の表面が外部に露出しないように構成されている。
上記のような構造の燃料電池セル30では、燃料極層32の酸素極層34と対面している部分が燃料極として作動して発電する。即ち、酸素極層34の外側に空気等の酸素含有ガスを流し、且つ支持基板31内のガス通路31aに燃料ガス(水素)を流し、所定の作動温度まで加熱することにより、酸素極層34で下記式(1)の電極反応を生じ、また燃料極層32の燃料極となる部分では例えば下記式(2)の電極反応を生じることによって発電する。
酸素極: 1/2O+2e → O2− (固体電解質) …(1)
燃料極: O2− (固体電解質)+ H → HO+2e …(2)
かかる発電によって生成した電流は、支持基板31に取り付けられているインターコネクタ35を介して集電される。即ち、上記のような構造の燃料電池セル30の複数を、集電部材40により互いに直列に接続することによりセルスタックを形成し、このセルスタックを所定の収容容器に収容して、燃料ガス(水素)及び酸素含有ガスを所定の部位に流すことにより、燃料電池として機能させることができる。
(支持基板31)
上記のような構造を有する燃料電池セル30において、導電性支持基板31は、燃料ガスを燃料極層32まで透過させるためにガス透過性であることが必要であり、また、インターコネクタ35を介しての集電を行うために導電性であることや、後述する同時焼成により燃料電池セル30を作製する際に、熱膨張差によるクラックや剥離がないことが要求される。このような要求を満たす目的で、導電性支持基板31は、一般に、鉄属金属成分とY等の希土類元素酸化物とから構成される。
鉄族金属成分は、支持基板31に導電性を付与するためのものであり、鉄族金属単体であってもよいし、また鉄族金属酸化物、鉄族金属の合金もしくは合金酸化物であってもよい。鉄族金属には、鉄、ニッケル及びコバルトがあり、本発明では、何れをも使用することができるが、安価であること及び燃料ガス中で安定であることからNi及び/またはNiOを鉄族成分として含有していることが好ましい。
また希土類酸化物成分は、支持基板31の熱膨張係数を、固体電解質層33と近似させるために使用されるものであり、高い導電率を維持し且つ固体電解質層33等への拡散を防止するために、Y,Lu,Yb,Tm,Er,Ho,Dy,Gd,Sm,Prからなる群より選ばれた少なくとも1種の希土類元素を含む酸化物が、上記鉄族成分と組合せで使用される。このような希土類酸化物の具体例としては、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prを例示することができ、特に安価であるという点で、Y、Ybが好適である。
上記のような鉄族金属成分と希土類酸化物成分とは、良好な導電率を維持し且つ固体電解質層33を形成している固体電解質材料と近似した熱膨張係数を有するために、鉄族金属成分:希土類酸化物成分=35:65乃至65:35の体積比で存在することが好適である。勿論、この支持基板31中には、要求される特性が損なわれない限りの範囲で他の金属成分や酸化物成分を含有していてもよい。
また、支持基板31は、燃料ガス透過性を有していることが必要であるため、通常、開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲にあることが好適である。また、支持基板31の導電率は、300S/cm以上、特に440S/cm以上であることが好ましい。
さらに、支持基板31の平坦部Aの長さは、通常、15〜35mm、弧状部Bの長さ(弧の長さ)は、3〜8mm程度であり、支持基板31の厚みは(平坦部Aの両面の間隔)は2.5〜5mm程度であることが望ましい。
本発明においては、上記のような支持基板31を用い、この支持基板31に各種のセル構成部材を設けることにより、セルの機械的強度を高めることができる。
(燃料極層32)
本発明において、燃料極層32は、前述した式(2)の電極反応を生じせしめるものであり、それ自体公知の多孔質の導電性サーメットから形成される。例えば、希土類元素が固溶しているZrOと、Ni及び/またはNiOとから形成される。この希土類元素が固溶しているZrO(安定化ジルコニア)としては、以下に述べる固体電解質層33の形成に使用されているものと同様のものを用いるのがよい。
燃料極層32中の安定化ジルコニア含量は、35〜65体積%の範囲にあるのが好ましく、またNi或いはNiO含量は、65〜35体積%であるのがよい。さらに、この燃料極層32の開気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのがよく、その厚みは、1〜30μmであることが望ましい。
また、図1及び図2の例では、この燃料極層32は、インターコネクタ35の両サイドにまで延びているが、酸素極層34に対面する位置に存在して燃料極が形成されていればよいため、例えば酸素極層34が設けられている側の支持基板1の平坦部Aにのみ燃料極層32が形成されていてもよい。さらには、支持基板31の全周にわたって燃料極層32を形成することも可能である。本発明においては、固体電解質層33と支持基板31との接合強度を高めるために、固体電解質層33の全体が燃料側電極32上に形成されていることが好適である。
(固体電解質層33)
この燃料側電極32上に設けられている固体電解質層33は、一般に3〜15モル%の希土類元素が固溶したZrO(通常、安定化ジルコニア)と呼ばれる緻密質なセラミックスから形成されている。希土類元素としては、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luを例示することができるが、高イオン伝導性を有するという点からY、Yb、Scが望ましい。
この固体電解質層33を形成する安定化ジルコニアセラミックスは、ガス透過を防止するという点から、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、特に95%以上の緻密質であることが望ましく、且つその厚みが10〜100μmであることが望ましい。固体電解質層33としては、安定化ジルコニア以外に、ランタンガレート系ペロブスカイト型酸化物から構成されていても良い。
(酸素極層34)
酸素極層34は、所謂ABO型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスから形成される。かかるペロブスカイト型酸化物としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物、特にAサイトにLaを有するLaMnO系酸化物、LaFeO系酸化物、LaCoO系酸化物の少なくとも1種が好適であり、600〜1000℃程度の作動温度での電気伝導性が高いという点からLaFeO系酸化物が特に好適である。尚、上記ペロブスカイト型酸化物においては、AサイトにLaと共にSrなどが存在していてもよいし、さらにBサイトには、FeとともにCoやMnが存在していてもよい。
また、酸素極層34は、ガス透過性を有していなければならず、従って、酸素極層34を形成する導電性セラミックス(ペロブスカイト型酸化物)は、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが望ましい。このような酸素極34の厚みは、集電性という点から30〜100μmであることが望ましい。
(インターコネクタ35)
上記の酸素極層34に対面するように、支持基板31上に設けられているインターコネクタ35は、導電性セラミックスからなるが、燃料ガス(水素)及び酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、かかる導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO)が使用される。また、適度な導電性を確保するために、このランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物は、Mg、Al、Ti、Fe、Co及びCaからなる群より選択された少なくとも1種の元素が固溶していることが好ましく、例えば(La,Sr)CrO、(La,Ca)CrO、La(Cr,Mg)OなどのAサイト或いはBサイトのLaやCrの一部がアルカリ土類金属で置換されているランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物が好適である。
また、このインターコネクタ35は、支持基板31の内部を通る燃料ガス及び支持基板31の外部を通る酸素含有ガスのリークを防止するため、上記の導電性セラミックスは緻密質でなければならず、例えば93%以上、特に95%以上の相対密度を有しているのがよい。
本発明においては、上述した導電性セラミックスから形成されるインターコネクタ35が、支持体31との接合側(燃料極層32側)に位置する熱膨張調整層35aと、この熱膨張調整層35aの上に位置する還元膨張抑制層35bとからなる層状構造を有していることが重要である。即ち、熱膨張調整層35aは、上記の導電性セラミックスに熱膨張を調整するための酸化物が外添されて形成され、このような酸化物が、前述したペロブスカイト型酸化物の結晶相の粒界に分布している。一方、還元膨張抑制層35bは、このような酸化物が外添されず、上記の導電性セラミックスから形成されている。
かかるインターコネクタ35中の熱膨張調整層35aは、固体電解質層35を形成している安定化ジルコニア等の固体電解質材料に近似した熱膨張係数を有するものであり、このために、導電性セラミックスに熱膨張調整用の酸化物が外添されているものである。このような熱膨張調整用の酸化物としては、例えばTi、Mg、Fe、Co、Ni、Zn等の金属の酸化物を例示することができ、これらは、前述した固体電解質材料の熱膨張係数(通常、25乃至1000℃で10.2〜10.7×10−6/℃程度)に近似させるような量、例えば熱膨張係数が9.5〜10.5×10−6/℃(25乃至1000℃)程度となるような量で外添される。本発明において、これらの熱膨張係数調整用酸化物の中では、少量の外添により、導電性を損なうことなく、前記導電性セラミックスの熱膨張係数を低減させ、固体電解質材料の熱膨張係数に近似させることができるという点で、MgOが好適である。
即ち、上記のような熱膨張調整用酸化物が外添された熱膨張調整層35aの存在により、例えば同時焼成によりセルを作製する場合において、インターコネクタ35と固体電解質層33との熱膨張差による剥離等を有効に回避することができる。
ところで、上記のような熱膨張調整用酸化物が外添された熱膨張調整層35aでは、発電に際して流される燃料ガス(水素)により、MgOなどの熱膨張調整用酸化物が還元され、このため、熱膨張調整層35aが還元膨張し、インターコネクタ35或いはセルの変形を生じる。本発明においては、このような還元膨張を、還元膨張抑制層35bにより抑制し、インターコネクタ35或いはセル30の変形を防止するのである。即ち、還元膨張抑制層35bには、熱膨張調整用の酸化物が外添されておらず、従って、還元膨張は生じない。しかも、この還元膨張抑制層35bは、熱膨張調整用酸化物が外添されていないことを除けば、熱膨張調整層35aと実質上同一の組成を有しているため、熱膨張調整層35aに強固に接合した状態にある。従って、発電時等の高温還元雰囲気下で生じる熱膨張調整層35aの還元膨張は、この還元膨張抑制層35bによってしっかりと抑制されるのである。
本発明において、熱膨張調整層35aの還元膨張を有効に抑制するためには、上記の還元膨張抑制層35bは、熱膨張調整層35aに対して適度な厚みを有することが必要であり、あまり薄いと、還元膨張を抑制する効果が希薄となる。また、必要以上に厚くしたとしても、還元膨張を抑制する効果はそれ以上増大せず、むしろ、電気抵抗の増大による電位降下などにより集電効率が低下するおそれがある。このような観点から、かかる還元膨張抑制層35bの厚みは、還元膨張抑制層35bの厚みBと熱膨張抑制層35aの厚みAとの厚み比B/Aが、0.4以上、特に0.4乃至1.0の範囲にあることが好ましい。
また、上記のような熱膨張調整層35aと還元膨張抑制層35bとから構成されるインターコネクタ35の厚み(A+B)は、40乃至100μmの範囲にあることが、抵抗増大による集電効率の低下を回避する上で好適である。
尚、上記のようにインターコネクタ35を熱膨張調整層35aと還元膨張抑制層35bとの2層構造とした本発明においては、熱膨張調整用の酸化物が外添されていない還元膨張抑制層35bにおいて水素の脱離や吸着が生じないため、発電時における水素の漏洩を有効に抑制できる。即ち、還元膨張抑制層35bによって水素を完全にセパレートでき、この結果、燃料利用率を向上できる。
(他の部材)
図1及び図2から明らかな通り、上記の燃料電池セル30では、ガスのリークを防止するために、インターコネクタ35の両サイドには、緻密質の固体電解質層33が密着しているが、シール性を高めるために、例えば、Ni及び/又はNiとYSZからなる接合層(図示せず)をインターコネクタ35の両側面と固体電解質層33との間に設けることもできる。
また、本発明においては、インターコネクタ35の上面(還元膨張抑制層35bの上面)に、P型半導体層39を設けることが好ましい。即ち、この燃料電池セル30から組み立てられるセルスタック(図3参照)では、導電性の集電部材40がインターコネクタ35に接続されるが、集電部材40を直接インターコネクタ35に直接接続すると、非オーム接触により、電位降下が大きくなってしまい、集電性能が低下してしまう。しかるに、集電部材40を、P型半導体層39を介してインターコネクタ35(還元膨張抑制層35b)に接続させることにより、両者の接触がオーム接触となり、電位降下を少なくし、集電性能の低下を有効に回避することが可能となり、例えば、一方の燃料電池セル30の酸素極層34からの電流を、他方の燃料電池セル30の支持基板31に効率良く伝達できる。
このようなP型半導体としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物を例示することができる。具体的には、インターコネクタを構成するLaCrO系酸化物よりも電子伝導性が大きいもの、例えば、BサイトにMn、Fe、Coなどが存在するLaMnO系酸化物、LaFeO系酸化物、LaCoO系酸化物などの少なくとも一種からなるP型半導体セラミックスを使用することができる。このようなP型半導体層39の厚みは、一般に、30〜100μmの範囲にあることが好ましい。
上述した本発明の燃料電池セル30においては、種々の設計変更が可能である。例えば、図1及び図2の例では、インターコネクタ35は、固体電解質層33が設けられていない側の支持基板31の平坦部分A上に直接設けることもできるが、この部分にも燃料極層32を設け、このような燃料極層32上にインターコネクタ35を設けることもできる。即ち、先にも述べたが、燃料極層32を支持基板31の全周にわたって設け、この燃料極層32上にインターコネクタを設けることができる。このような態様は、支持基板31とインターコネクタ35との間の界面での電位降下を抑制することができる上で有利である。
また、本発明では、導電性支持体31を省略することも可能である。即ち、ガス通路31aを有する支持体31自体を燃料極とし、図1及び図2に従って、ガス通路を有する燃料極の一方の面に固体電解質層33及び酸素極層34を形成し、この燃料極の他方の面に、前述した2層構造のインターコネクタ35を設けることができる。かかる態様の燃料電池セルは、強度の点では、導電性支持体31を用いた燃料電池セル30に劣るが、電位降下による集電効率の低下を回避できるという利点がある。
(燃料電池セルの製造)
本発明の燃料電池セルは、図1及び2に示す構造のものを例にとると、以下のようにして製造される。
先ず、支持基板31用の粉末、即ち、Ni等の鉄族金属或いはその酸化物粉末と、Y等の希土類元素酸化物の粉末とを用意し、これらの粉末を前述した量比で、有機バインダー及び溶媒とを混合してスラリーを調製し、このスラリーを用いての押出成形により、成形体(支持基板成形体)を作製し、これを乾燥する。
次に、燃料極層32用の粉末、即ち、Ni或いはNiO粉末と安定化ジルコニア粉末とを用意する。これらの粉末を、所定量比で、有機バインダー及び溶媒を混合してスラリーを調製し、このスラリーを用いて燃料極層32用のシート(燃料極層用シート)を作製する。この場合、燃料極層用シートを作製する代りに、燃料極形成用粉末を溶媒中に分散したペーストを、上記で形成された支持基板成形体の所定位置に塗布し乾燥して、燃料極層用のコーティング層を形成してもよい。
さらに、固定電解質材料である安定化ジルコニア粉末を用意し、これを、有機バインダーと、溶媒とを混合してスラリーを調製し、このスラリーを用いて固体電解質層用シートを作製する。
上記のようにして形成された支持基板成形体、燃料極層用シート(或いは燃料極層のコーティング層が形成された支持基板成形体)、及び固体電解質層用シートを、例えば図1に示すような層構造となるように積層し、乾燥し、必要により1000℃程度の温度で仮焼する。この場合、支持基板成形体の表面に燃料極層用のコーティング層が形成されている場合には、固体電解質層用シートのみを支持基板成形体に積層し、乾燥すればよい。
この後、インターコネクタ35用のシート状成形体を作製する。先ず、Mg、Al、Ti、Fe、Co及びCaのうち少なくとも一種が固溶した市販のLaCrO粉末を準備し、これに有機バインダー及び溶媒を混合しスラリーを調製して、還元膨張抑制層35b用のシートを作製し、一方、上記Mg等が固溶した市販のLaCrO粉末に、前述した固体電解質材料に近似した熱膨張係数が得られる程度の熱膨張調整用の酸化物粉末、有機バインダー及び溶媒を混合し、スラリーを調製して、熱膨張調整層35a用のシートを作製し、これらのシートを積層し、インターコネクタ35用のシート状成形体を作製する。
尚、還元膨張抑制層35bや熱膨張調整層35a用のシートの形成に用いる市販のLaCrO粉末には、不可避不純物として、Fe、Ca等を含有する可能性もあるが、これらの不可避不純物は、焼成時にLaCrO中に固溶し、LaCrOの粒界には殆ど存在しない。また、LaCrO粉末に添加されたMgO等の熱膨張調整用酸化物は、後述する焼成によって一部は、LaCrOに固溶するが、殆どが粒界に酸化物として存在する。
このインターコネクタ用シート状成形体を、熱膨張調整層用シートが、先に調製された積層体の所定位置に当接するように積層し、焼成用積層体を作製する。
次いで、上記の焼成用積層体を脱バインダー処理し、酸素含有雰囲気中、1300〜1600℃で同時焼成し、得られた焼結体の所定の位置に、酸素極層形成用材料(例えば、LaFeO系酸化物粉末)と溶媒を含有するペーストを塗布し、及び必要により、P型半導体層形成用材料(例えば、LaFeO系酸化物粉末)と溶媒を含むペーストを、ディッピング等により塗布し、1000〜1300℃で焼き付けることにより、図1及び図2に示す構造の本発明の燃料電池セル30を製造することができる。
尚、燃料電池セル30は、酸素含有雰囲気での焼成により、支持基板31や燃料極層32中のNi成分が、NiOとなっているため、その後、ガス流路31aから還元性の燃料ガスを流し、NiOを800〜1000℃で還元処理する。また、この還元処理は発電時に行ってもよい。
(セルスタック及び燃料電池)
セルスタックは、図3に示すように、上述した燃料電池セル30が複数集合して、上下に隣接する一方の燃料電池セル30と他方の燃料電池セル30との間に、金属フェルト及び/又は金属板からなる集電部材40を介在させ、両者を互いに直列に接続することにより構成されている。即ち、一方の燃料電池セル30の支持基板31は、インターコネクタ35(熱膨張調整層35a、還元膨張抑制層35b)、P型半導体層39、集電部材40を介して、他方の燃料電池セル30の酸素極34に電気的に接続されている。尚、図3では、熱膨張調整層35a、還元膨張抑制層35b及びP型半導体層39は省略されている。
このようなセルスタックは、図3に示すように、サイドバイサイドに配置されており、隣接するセルスタック同士は、導電部材42によって直列に接続されている。
本発明の燃料電池は、図3のセルスタックを、収納容器内に収容して構成される。この収納容器には、外部から水素等の燃料ガスを燃料電池セル30に導入する導入管、及び空気等の酸素含有ガスを燃料電池セル30の外部空間に導入するための導入管が設けられており、燃料電池セルが所定温度(例えば、600〜900℃)に加熱されることにより発電し、余剰の燃料ガス、酸素含有ガスは燃焼して、収納容器外に排出される。
尚、本発明は上記形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、支持体31の形状を円筒状とすることも可能であるし、酸素極層34と固体電解質層33との間に、適当な導電性を有する反応防止層を形成することも可能である。この反応防止層は、焼成時にLa等の元素拡散が生じ、固体電解質層33と酸素極層34との間に電気絶縁層が形成されることを防止するためのものであり、例えばSmやCeの酸化物から形成される。また、燃料極自体を支持体とすることも可能であり、この場合には、燃料極自体にインターコネクタが設けられる。また、燃料極が外側に形成されている燃料電池セル(外側に燃料ガスが供給される構造の燃料電池セル)にも、本発明を適用できる。何れの場合においても、インターコネクタの熱膨張調整層は、支持体側(或いは支持体である燃料極側)に位置し、還元膨張抑制層は、この熱膨張調整層の上に形成されることとなる。
本発明の優れた効果を、次の実験例で説明する。
(実験例1)
先ず、平均粒径0.5μmのNiO粉末と、平均粒径0.6〜0.9μmのY粉末を、焼成後におけるNiOがNi換算で48体積%、Yが52体積%になるようにして混合し、有機バインダー(アクリル樹脂バインダー)と溶媒(イソプロピルアルコール)にて作製したスラリーを押出成型法にて成形を行い、これを乾燥、脱脂して支持体成形体を作製した。
次に平均粒径0.5μmのNi粉末と、Yが8モル%固溶したZrO粉末と有機バインダーと溶媒を混合した燃料極層用のスラリーを作製し、前記支持体成形体に、スクリーン印刷法にて塗布、乾燥し、燃料極コーティング層を支持成形上に形成した。
次に8mol%のイットリアが固溶したZrO粉末と有機バインダーと溶媒とを混合して得られたスラリーをドクターブレード法にて30μmの固体電解質用シートを作製し、支持体成形体の燃料極コーティング層上に密着液にて貼り付け、乾燥を行い、積層成形体を作製した。
次に、上記の積層成形体を1000℃にて仮焼処理した。得られた仮焼体の固体電解質側には拡散防止層として、Ce、Smを含む複合酸化物と有機バインダーを混合して作製したスラリーをスクリーン印刷法にて、焼き上げ時の厚みが10μmになるように塗布し、乾燥した。
次いで、熱膨張調整層用材料及び還元膨張抑制層用材料として、以下の組成を有する市販のランタンクロマイト系酸化物を用意した。
熱膨張調整層用材料:La(Cr0.3Mg0.70.96
還元膨張抑制層用材料:La(Cr0.1Mg0.90.97
上記の還元膨張抑制材料を、有機バインダー(アクリル樹脂バインダー)及び溶媒(イソプロピルアルコール)混合しスラリーを調製して、ドクターブレード法にて、種々の厚みの還元膨張抑制層用シートを作製した。
また、上記の熱膨張層調整用材料100質量部に、MgOを10質量部添加し、有機バインダー及び溶媒を混合しスラリーを調製して、ドクターブレード法にて種々の厚みの熱膨張調整層用シートを作製した。
上記の還元膨張層抑制層用シートと熱膨張調整層用シートを積層し、インターコネクタ用のシート状成形体を作製した。
このインターコネクタ用のシート状成形体を、熱膨張調整層シートが支持基板成形体に対面するように、先に調製された積層成形体積層した後、乾燥後、酸素含有雰囲気中、1470℃で同時焼成した。
次に、平均粒径0.7μmのLa0.6Sr0.4Co0.6Fe0.4粉末とイソプロピルアルコールとを混合し、前記積層体の固体電解質の表面に、この混合液を噴霧塗布し、酸素極層用コーティング層を形成し、1150℃で焼き付け、酸素極層を形成し、試料No.1〜18の燃料電池セルを作製した。(尚、試料No.1では還元膨張抑制層を形成せず、熱膨張調整層のみでインターコネクタとし、試料No.18は還元膨張抑制層を形成せず、還元膨張抑制層のみでインターコネクタとした。)
尚、各試料の燃料電池セルにおける熱膨張調整シートの厚みA及び還元膨張抑制層の厚みB、並びに厚み比B/Aは、表1に示すとおりである。
また、何れの試料の燃料電池セルにおいても、その寸法は25mm×150mmで、導電性支持体の厚さは3mm、燃料極層の厚さは10μm、酸素極層の厚さは50μm、面積は25cmとし、インターコネクタの長さは150mmとした。
次に、この燃料電池セルの内部に、水素ガスを流し、850℃で、導電性支持体および燃料極層の還元処理を施した。
得られた燃料電池セルの燃料ガス流路に燃料ガスを流通させ、セルの外側に酸素含有ガスを流通させ、燃料電池セルを管状炉を用いて750℃まで加熱し、0.44A/cmの電流密度にて16時間発電を行い、以下の方法でセルの変形量及びガスセパレート性を判定し、その結果を表1に示す。
セル変形量:
発電終了後、セルを室温まで冷却した後、表面粗さ計を用い、インターコネクタの幅方向中央を長さ方向に走査して最大高さRmax
(JIS B 0601)を求め、変形量(μm)とした。
ガスセパレート性:
0.44A/cmの電流密度にて発電を行いながら、供給水素量を減らしていき、急激な電圧低下が起こる寸前の水素量より、限界燃料利用率を算出し、90%以上のものをセパレート性良好と判定した。
Figure 2007012423
表1から、熱膨張調整層だけ有する比較例の試料No.1では、セルの変形量が著しく大きく、試料No.1〜17では、還元膨張抑制層の形成により、セルの変形が抑制されていることが判る。また、試料No.18では、熱膨張調整層を形成せず、還元膨張抑制層のみでインターコネクタを形成したため、焼成時にインターコネクタの剥がれを生じた。また、試料No.7や13のように、還元膨張抑制層の厚みが熱膨張調整層に比して厚すぎる場合には、変形は抑制されるものの、16時間後の発電量が、発電当初と比較して20〜30%低下した。
本発明の燃料電池セルの横断面を示す図。 図1の燃料電池セルの一部横断面斜視図。 図1の燃料電池セルを接続したセルスタックの構造を示す概略断面図。 従来公知の燃料電池セル及びセルスタックの構造を示す図。
符号の説明
31:導電性支持基板
31a:燃料ガス通路
32:燃料極層
33:固体電解質層
34:酸素極層
35:インターコネクタ
35a:熱膨張調整層
35b:還元膨張抑制層

Claims (7)

  1. 固体電解質層を間に挟んで互いに対面するように燃料極と酸素極とが設けられ、且つ該燃料極または酸素極と電気的に接続するようにインターコネクタが配置されている燃料電池セルにおいて、
    前記インターコネクタは、導電性セラミックスから形成され且つ熱膨張調整層と還元膨張抑制層とからなる層状構造を有しており、
    前記熱膨張調整層は、熱膨張調整用酸化物が分布している層であり、前記燃料極または酸素極側に位置しており、前記還元膨張抑制層は、前記熱膨張調整用酸化物が分布していない層であり、前記熱膨張調整層上に位置していることを特徴とする燃料電池セル。
  2. 前記熱膨張調整層の厚みAと還元膨張抑制層の厚みBとの厚み比B/Aが0.4以上となるように設定されている請求項1に記載の燃料電池セル。
  3. 前記厚み比B/Aが0.4乃至1.0の範囲にある請求項2に記載の燃料電池セル。
  4. 前記熱膨張調整用酸化物がMgOである請求項1乃至3の何れかに記載の燃料電池セル。
  5. 前記インターコネクタが、Mg、Al、Ti、Fe、Co及びCaから成る群より選択された少なくとも1種の元素が固溶したランタンクロマイト系ペロブスカイト型複合酸化物より形成されており、前記熱膨張調整層は、該複合酸化物の結晶粒界に熱膨張調整用酸化物が分布している請求項1乃至4の何れかに記載の燃料電池セル。
  6. 前記燃料極が、内部に燃料ガス通路が形成されているガス透過性の導電性支持体の一方の面に形成されており、該導電性支持体の他方の面に前記インターコネクタが形成されている請求項1乃至5の何れかに記載の燃料電池セル。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池セルの複数を、電気的に直列に接続してなる少なくとも1個のセルスタックを収容容器に収容してなることを特徴とする燃料電池。
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