JP2007010773A - 撮影レンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】 最も物体側に開口絞りを配置したトリプレットレンズにおいて、従来よりも更に小型化を実現しながらもテレセントリック性が良好に補正された撮影レンズを提供すること。
【解決手段】物体側から開口絞り1、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3の順に配置された撮影レンズであって、第1レンズL1は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズであり、第2レンズL2は、像側に凸面を向けたメニスカスレンズであり、第3レンズL3は、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズであり、これら第1・第2・第3レンズL1,L2,L3を両面が非球面のプラスチックレンズで形成し、fを全系の焦点距離、f2を第2レンズの焦点距離、f3を第3レンズの焦点距離とした時、
−0.20<f/f2<0.15
−0.25<f/f3<0.20
の条件式を満足する。
【選択図】図1A

Description

本発明は、物体側から開口絞り、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズの順に配置された撮影レンズに関するものである。
デジタルカメラや携帯端末(携帯電話等)などの小型化に伴い、これらに使用される撮影光学系についても更なる小型化が要求されている。撮影光学系に使用される撮像素子としては、一般的にCCDが用いられており、その撮像素子の特性上、テレセントリック性を確保した撮影光学系の設計が要求されている。しかしながら一般的に、撮影光学系の小型化を実現するため、光学全長を短くすると、テレセントリック性が悪くなるという問題がある。
そこで、従来から上記テレセントリック性を改善した小型の撮影レンズとして、最も物体側に開口絞りを配置することで射出瞳位置を像面から遠ざけ、テレセントリック性を良好に確保したトリプレットレンズ(3枚構成のレンズ)が知られている。特に、プラスチック材料を用いて変曲点を有する非球面形状とすることで、光学性能とテレセントリック性を確保しつつ、光学全長の短縮化を図った従来技術として、下記特許文献1〜3に開示される撮影レンズが知られている。
特許文献1に係る撮影レンズは、物体側から順に開口絞り、正の屈折力を有する両凸形状の第1レンズ、負の屈折力を有し物体側に凹面を向けた第2レンズ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第3レンズにより構成されている。各レンズは、少なくとも一方の面が非球面形状に形成される。特許文献2に係る撮影レンズは、物体側に凸の正の第1レンズ、第1レンズの物体側又は像側に設けられる開口絞り、物体側に凹のメニスカス第2レンズ、物体側に凸のメニスカス第3レンズにより構成されている。第1・第2レンズは、少なくとも一方が非球面を含み、第3レンズは両面が非球面である。特許文献3に係る撮影レンズは、開口絞り、物体側と像側が凸の正の第1レンズ、物体側が凹で像側が凸の負の第2レンズ、像側の面が近軸近傍では像側に凹で、周辺に向かうに従い像側に凸になる非球面形状の正の第3レンズにより構成される。
特開2004−4566号公報 特開2004−226487号公報 特開2004−240063号公報
しかしながら、上記従来技術に係る撮影レンズは、次のような問題点を有している。すなわち、特許文献1では望遠比が1.3〜1.55と大きく、望遠比が1.3の実施例はFナンバーが4.15と暗くなっている。特許文献2では、望遠比が1.44〜1.88と大きくなっている。特許文献3も、望遠比が1.42〜1.56と大きくなっている。ちなみに、望遠比(T/f)とは、全系の焦点距離(f)に対する光学全長(T)の比であり、光学全長(T)は、第1レンズの物体側面から像面までの距離(ただし、平行平面ガラス部分は空気換算距離)を示している。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、最も物体側に開口絞りを配置したトリプレットレンズにおいて、従来よりも更に小型化を実現しながらもテレセントリック性が良好に補正された撮影レンズを提供することである。
上記課題を解決するため本発明に係る撮影レンズは、
物体側から開口絞り、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズの順に配置された撮影レンズであって、
第1レンズは、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズであり、
第2レンズは、像側に凸面を向けたメニスカスレンズであり、
第3レンズは、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズであり、
これら第1・第2・第3レンズを両面が非球面のプラスチックレンズで形成し、fを全系の焦点距離、f2を第2レンズの焦点距離、f3を第3レンズの焦点距離とした時、
−0.20<f/f2<0.15
−0.25<f/f3<0.20
の条件式を満足することを特徴とするものである。
かかる撮影レンズの作用・効果を説明する。この撮影レンズの撮影光学系は、第1・第2・第3レンズの3枚構成(トリプレットレンズ)である。3枚のレンズは、全てプラスチックで形成すると共に、すべて両面を非球面形状としている。また、f/f2とf/f3に関して、上記条件式を満足することで、後述の実施例からも分かるように、望遠比を抑制し小型化を実現すると共にテレセントリック性を良好に確保することができた。
f/f2が−0.20以下の場合、収差を改善するために第3レンズの正のパワーを強くしなければならなくなり、バックフォーカスが長くなってしまう。f/f2が0.15以上の場合、第1レンズのパワーが弱くなるため、光学全長が長くなる。f/f3が−0.25以下の場合、テレセントリック性が悪くなり、バックフォーカスも短くなるため、IRカットフィルターやカバーガラスを配置するスペースを確保できなくなる。f/f3が0.20以上の場合、バックフォーカスが必要以上に長くなってしまう。以上のような条件式を採用することで、従来よりも更に小型化を実現しながらもテレセントリック性が良好に補正された撮影レンズを提供することができる。
本発明において、R31を第3レンズの物体側曲率半径、R32を第3レンズの像側曲率半径とした時、
0.5<R31/R32<3.0
の条件式を満足することが好ましい。
31/R32が0.5以下では、第3レンズの正のパワーが強くなるため、第1レンズの正のパワーが弱くなり光学全長が長くなる。また、バックフォーカスも長くなる。R31/R32が3.0以上では、テレセントリック性が悪くなり、これを改善するためには第3レンズの像側非球面の周辺部分の傾斜角(面の法線と光軸が交わる角度)を大きくするしかなく、レンズ金型の加工が困難になる。
本発明において、d1を第1レンズの厚み、d3を第3レンズの厚みとした時、
1.5<d3/d1<2.1
の条件式を満足することが好ましい。
3/d1が1.5以下では、第1レンズが厚くなりすぎ、光学全長が長くなる。d3/d1が2.1以上では、第1レンズが薄くなりすぎ、レンズを成型するのに必要なコバ厚を確保するために、Fナンバーを大きくしなければならず、暗いレンズになってしまう。
本発明に係る撮影レンズの好適な実施例を図面を用いて説明する。図1〜図10に、実施例1から実施例10までのレンズ構成図(図1A〜図10A)と、光学系特性データ及び収差図(図1B〜図10B)を示す。図11〜図14は、各実施例の非球面データを示す図である。本発明に係る3枚構成の撮影レンズは、デジタルカメラあるいは携帯機器(例えば、携帯電話)に内蔵される光学系として特に好適な構成を備えているものである。
<レンズ構成図について>
図1A〜図10Aは、各実施例における光学系の配置を示す。各実施例において、撮影レンズ系は、光軸に沿って物体側から順に、開口絞り1、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3,平行平面ガラス2、結像面3が配置されている。
第1レンズL1は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズであり、第2レンズL2は、像側に凸面を向けたメニスカスレンズであり、第3レンズL3は、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである。すなわち、3枚構成の光学系であり、いずれのレンズもメニスカスレンズである。なお、第2レンズL2は、正又は負のメニスカスレンズであり、第3レンズL3も正又は負のメニスカスレンズである。第2レンズL2、第3レンズL3共に、非常にパワーの弱いメニスカスレンズで構成されている。第3レンズL3の面には変曲点が形成されるが、近軸での形状とパワーに基づいて、正もしくは負のメニスカスレンズの範疇に属するものと定められる。平行平面ガラス2は、IR(赤外)カットフィルターとしての機能を有し、結像面3には、CCD等の固体撮像素子が配置される。
第1レンズL1は、両凸の正レンズではなく、正メニスカスレンズであり、同じパワーのレンズを両凸レンズで構成する場合に比較して、鏡筒も含めた全長の短縮化に寄与することができる。
各レンズL1〜L3は、プラスチック材料により成型されるため、ガラスレンズを使用する場合に比べて、材料コストを削減でき、材料の管理コストも低減できる。また、プラスチックを使用することで、各レンズのすべての面は、非球面により形成することができ、3枚という少ないレンズ枚数で所望の光学性能を達成することができる。なお、プラスチック材料については、特定の材料に限定されるものではない。
<レンズ諸元・収差図について>
図1B〜図10Bについて説明する。図の一番上にレンズ諸元として、焦点距離f・FナンバーF・画角2ωが示されている。焦点距離fは、全系の焦点距離(mm)である。その下に、1,2・・・8とあるのは、物体側から順に面の番号を示している。面番号1,2は第1レンズL1、面番号3,4は第2レンズL2,面番号5,6は第3レンズL3に相当する。面番号7,8は、平行平面ガラス2なので曲率半径rは∞となっている。なお、曲率半径rは近軸上における曲率半径(mm)を示している。dは、面間隔(mm)を示す数値である。
また収差図として、球面収差、非点収差、歪曲収差が夫々示されている。いずれの図もd線についてのデータであり、非点収差についてはサジタル像面(S)に関するデータと、メリジオナル像面(M)に関するデータの両方を示している。これらの収差図からも分かるとおり。実用的に問題ないレベルまで収差が補正されていることがわかる。
各レンズはいずれも両面が非球面形状を有している。非球面形状は、A,B,C,D,Eを非球面係数として、光軸からの高さHの位置での光軸方向の変位Xを、面頂点を基準として表わすと
X=(1/R)H2/[1+{1−(1+K)(H/R)21/2]+AH4+BH6+CH8+DH10+EH12
となる。Rは近軸曲率半径、Kはコニカル係数である。非球面係数のE−03などの表記は10-3を意味する。
本発明において、f(全系の焦点距離),f2(第2レンズL2の焦点距離),f3(第3レンズL3の焦点距離)について、次のような条件を満足することが好ましい。
(1)−0.20<f/f2<0.15
(2)−0.25<f/f3<0.20
f/f2が−0.20以下の場合、収差を改善するために第3レンズL3の正のパワーを強くしなければならなくなり、バックフォーカスが長くなってしまう。f/f2が0.15以上の場合、第1レンズL1のパワーが弱くなるため、光学全長が長くなる。f/f3が−0.25以下の場合、テレセントリック性が悪くなり、バックフォーカスも短くなるため、平行平面ガラス2を配置するスペースを確保できなくなる。f/f3が0.20以上の場合、バックフォーカスが必要以上に長くなってしまう。
また、R31を第3レンズの物体側曲率半径、R32を第3レンズの像側曲率半径とした時、
(3)0.5<R31/R32<3.0
の条件式を満足することが好ましい。
31/R32が0.5以下では、第3レンズL3の正のパワーが強くなるため、第1レンズL1の正のパワーが弱くなり光学全長が長くなる。また、バックフォーカスも長くなる。R31/R32が3.0以上では、テレセントリック性が悪くなり、これを改善するためには第3レンズL3の像側非球面の周辺部分の傾斜角(面の法線と光軸が交わる角度)を大きくするしかなく、レンズ金型の加工が困難になる。
また、d1を第1レンズの厚み、d3を第3レンズの厚みとした時、
(4)1.5<d3/d1<2.1
の条件式を満足することが好ましい。
3/d1が1.5以下では、第1レンズL1が厚くなりすぎ、光学全長が長くなる。d3/d1が2.1以上では、第1レンズL1が薄くなりすぎ、レンズを成型するのに必要なコバ厚を確保するために、Fナンバーを大きくしなければならず、暗いレンズになってしまう。
本発明に係る撮影レンズ系によれば、望遠比T/f(Tは、第1レンズL1の物体側面(面番号1)から結像面までの長さ)を1.20以下にすることができ、従来技術に比べて小型化を図ることができた。また、テレセントリック性についても、α(撮像素子への最大入射角)を24.5゜以下にすることができ、良好に確保することができた。以上の点を、各実施例について、条件式にかかるパラメータと共に表1に示す。
Figure 2007010773
ちなみに、テレセントリシティの面では、従来の小型CCDでは、主光線傾角が15゜以内でレンズ系を射出させて撮像素子に入射させる必要があったが、現在では撮像素子分野での技術的な進歩(マイクロレンズの形状変更)に伴い、25゜以下であれば許容されるようになってきている。
以上のように、本発明によれば望遠比を小さくすることができ、デジタルカメラや携帯機器に搭載するのに好適な大きさになっていることが理解される。
実施例1のレンズ構成を示す図 実施例1の収差図・光学系特性データを示す図 実施例2のレンズ構成を示す図 実施例2の収差図・光学系特性データを示す図 実施例3のレンズ構成を示す図 実施例3の収差図・光学系特性データを示す図 実施例4のレンズ構成を示す図 実施例4の収差図・光学系特性データを示す図 実施例5のレンズ構成を示す図 実施例5の収差図・光学系特性データを示す図 実施例6のレンズ構成を示す図 実施例6の収差図・光学系特性データを示す図 実施例7のレンズ構成を示す図 実施例7の収差図・光学系特性データを示す図 実施例8のレンズ構成を示す図 実施例8の収差図・光学系特性データを示す図 実施例9のレンズ構成を示す図 実施例9の収差図・光学系特性データを示す図 実施例10のレンズ構成を示す図 実施例10の収差図・光学系特性データを示す図 実施例1〜実施例3の非球面係数を示す図 実施例4〜実施例6の非球面係数を示す図 実施例7〜実施例9の非球面係数を示す図 実施例10の非球面係数を示す図
符号の説明
1 開口絞り
2 平行平面ガラス
3 結像面
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ

Claims (3)

  1. 物体側から開口絞り、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズの順に配置された撮影レンズであって、
    第1レンズは、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズであり、
    第2レンズは、像側に凸面を向けたメニスカスレンズであり、
    第3レンズは、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズであり、
    これら第1・第2・第3レンズを両面が非球面のプラスチックレンズで形成し、fを全系の焦点距離、f2を第2レンズの焦点距離、f3を第3レンズの焦点距離とした時、
    −0.20<f/f2<0.15
    −0.25<f/f3<0.20
    の条件式を満足する撮影レンズ。
  2. 31を第3レンズの物体側曲率半径、R32を第3レンズの像側曲率半径とした時、
    0.5<R31/R32<3.0
    の条件式を満足する請求項1に記載の撮影レンズ。
  3. 1を第1レンズの厚み、d3を第3レンズの厚みとした時、
    1.5<d3/d1<2.1
    の条件式を満足する請求項1又は2に記載の撮影レンズ。
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