JP2007008797A - 合わせガラス用中間膜および合わせガラス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この合わせガラス用中間膜は、微粒子状の無機粉末を含有する不透明な遮音性ポリビニルアセタール樹脂層(A)と、透明ポリビニルアセタール樹脂層(B)とが、少なくとも積層されてなる。そして、合わせガラスは、少なくとも二枚の透明ガラス板の間に上記ガラス用中間膜が接着されている構成とした。
【選択図】なし
Description
すなわち、請求項1記載の発明に係る合わせガラス用中間膜は、微粒子状の無機粉末を含有する不透明な遮音性ポリビニルアセタール樹脂層(A)と、透明ポリビニルアセタール樹脂層(B)との少なくとも2種類の層が積層されてなることを特徴とするものである。
本発明において、不透明な遮音性ポリビニルアセタール樹脂層(A)に用いられるポリビニルアセタール樹脂としては、特に限定されず、従来より遮音性合わせガラスの中間膜として用いられている公知の遮音性ポリビニルアセタール樹脂膜に用いられるポリビニルアセタール樹脂が使用できるが、特に、上記特許第2703471号公報に記載されている遮音性ポリビニルアセタール樹脂層に用いられているポリビニルアセタール樹脂を使用するのが好ましい。
この透明ポリビニルアセタール樹脂層(B)の構成としては、特に限定されず、従来より合わせガラスの中間膜として用いられている公知のポリビニルアセタール樹脂に、可塑剤を適当量分散混合した樹脂組成物を用いて形成されたものが挙げられる。特に、ポリビニルアルコールを炭素数3〜4のアルデヒドでアセタール化して得られる、ビニルアセテート成分(残存アセチル基)が14モル%以下のポリビニルアセタール樹脂(b)と、可塑剤からなる透明ポリビニルアセタール樹脂層(B)を用いるのが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂層(B)を形成する樹脂組成物中には、必要に応じて熱線遮蔽微粒子、各種染料、顔料等がさらに添加されてもよい。
上記のようにして得られる合わせガラス用中間膜の両面に、透明ガラスを接着させた合わせガラスのヘイズ値としては20%以上であることが好ましい。特に好ましくは50%以上であり、更に好ましくは60%以上である。
上記ヘイズ値が20%を下回ると、可視光線の散乱が少なくなり、得られる合わせガラスの遮光性が損なわれる。
しかも、不透明な遮音性ポリビニルアセタール樹脂層(A)と透明ポリビニルアセタール樹脂層(B)との弾性的性質の相違によって、樹脂層間の内部摩擦効果により音エネルギーが熱エネルギーとして効果的に変換吸収され、特に、2000〜5000Hz付近の中高音域において、コインシデンス効果による遮音性の低下が防止される。
また、遮音性ポリビニルアセタール樹脂層が不透明であることから遮光性にも優れた合わせガラスを得ることができる。
(1)ポリビニルブチラール樹脂(a)および樹脂層A−1の作製
純水2890重量部に、平均重合度1700、鹸化度88.1モル%のポリビニルアルコール191重量部を加えて加熱溶解した。この反応系を12℃に温度調節し、35重量%の塩酸触媒201重量部とn−ブチルアルデヒド148重量部を加え、この温度を保持して反応物を析出させた。その後、反応系を45℃で3時間保持して反応を完了させ、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂(a)を得た。この樹脂(a)の平均ブチラール化度は63.8モル%、ビニルアセテート成分は11.9モル%であった。
純水2890重量部に、平均重合度1700、鹸化度98.9モル%のポリビニルアルコール191重量部を加えて加熱溶解した。この反応系を12℃に温度調節し、35重量%の塩酸触媒201重量部とn−ブチルアルデヒド152重量部を加え、この温度を保持して反応物を析出させた。その後、反応系を45℃で3時間保持して反応を完了させ、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂(b)を得た。この樹脂(b)の平均ブチラール化度は68.0モル%、ビニルアセテート成分は11.1モル%であった。
上記樹脂層A−1、Bを用い、これを樹脂層B/樹脂層A−1/樹脂層Bの順に重ね、両側から二枚の透明なフロートガラス板(縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)で挟み、これをゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したまま90℃のオーブンに移し、更に90℃で30分間保持しつつ真空プレスした。このようにして予備圧着された合わせガラスを、エアー式オートクレーブ中で135℃、圧力1.2MPaの条件で20分間圧着を行い、中間膜の製造と合わせガラスの製造とを同時に行って、合わせガラス用中間膜の作製と合わせガラスの作製とを同時に行った。
(1)樹脂層A−2の作製
上記樹脂(a)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)40重量部、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1重量部、酸化防止剤としてt−ブチルヒドロキシトルエン0.1重量部、微粒子状の無機粉末として平均粒径3μmの炭酸カルシウム10重量部を混合し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機を用いて150℃で30分間プレス成形し、平均膜厚0.20mmの樹脂層A−2を作製した。
上記樹脂層A−2およびBを用い、これを樹脂層B/樹脂層A−2/樹脂層Bの順に重ねたこと以外は、実施例1と同様の方法により中間膜の製造と合わせガラスの製造とを同時に行った。
(1)樹脂層A−3の作製
上記樹脂(a)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)55重量部、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1重量部、酸化防止剤としてt−ブチルヒドロキシトルエン0.1重量部を混合し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機を用いて150℃で30分間プレス成形し、平均膜厚0.20mmの微粒子状の無機粉末を含まない透明な樹脂層A−3を作製した。
上記樹脂層A−3およびBを用い、これを樹脂層B/樹脂層A−3/樹脂層Bの順に重ねたこと以外は、実施例1と同様の方法により中間膜の製造と合わせガラスの製造とを同時に行った。
(1)樹脂層A−4の作製
上記樹脂(a)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)60重量部、熱線遮蔽微粒子としてITO微粒子(三菱マテリアル社製)3重量部、微粒子状の無機粉末として平均粒径5μmのシリカ粉末8重量部、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1重量部、酸化防止剤としてt−ブチルヒドロキシトルエン0.1重量部を混合し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機を用いて150℃で30分間プレス成形し、平均膜厚0.2mmの樹脂層A−4を作製した。
(2)合わせガラス用中間膜および合わせガラスの作製
樹脂層A−1に代えて、上記樹脂層A−4を用いたこと以外、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製した。
(1)樹脂層B’の作製
上記実施例1の樹脂(b)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)40重量部、熱線遮蔽微粒子としてITO微粒子(三菱マテリアル社製)1重量部、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1重量部、酸化防止剤としてt−ブチルヒドロキシトルエン0.1重量部を混合し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機を用いて150℃で30分間プレス成形し、平均膜厚0.3mmの樹脂層B’を作製した。
(2)合わせガラス用中間膜および合わせガラスの作製
樹脂層Bに代えて上記樹脂層B’を用いたこと以外、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製した。
(1)樹脂層A−5の作製
上記実施例1の樹脂(a)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)60重量部、熱線遮蔽微粒子としてITO微粒子(三菱マテリアル社製)5重量部、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1重量部、酸化防止剤としてt−ブチルヒドロキシトルエン0.1重量部、微粒子状の無機粉末として平均粒径3μmの炭酸カルシウム10重量部を混合し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機を用いて150℃で30分間プレス成形し、平均膜厚0.20mmの樹脂層A−5を作製した。
(2)合わせガラス用中間膜および合わせガラスの作製
樹脂層A−2に代えて、上記樹脂層A−5を用いたこと以外、実施例2と同様にして合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製した。
樹脂層Bに代えて実施例4で作製した樹脂層B’を用いたこと以外、実施例2と同様にして合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製した。
上記実施例1、2および比較例1で得られた合わせガラスについて、下記の方法によりヘイズ値および損失係数の測定を行った。その結果を表1に示す。
また、上記実施例3〜6で得られた合わせガラスについても、下記の方法によりヘイズ値および損失係数の測定を行い、さらには、下記の方法により可視光透過率(Tv)、日射透過率(Te)および日射反射率(Re)の測定を行った。その結果を表2に示す。
JIS K 6714「航空機用メタクリル樹脂板」に準拠し、積分式濁度計(東京電色社製)を用いて、340〜1800nmの光線に対するヘイズ値を測定した。
(2)損失係数の測定
合わせガラスから試料(幅25mm×長さ300mm)を切り出し、この試料を20℃の恒温層の中でダンピング試験用の振動発生器(振研社製の加振機「G21−005D」)により加振し、そこから得られる振動特性を機械インピーダンスアンプ(リオン社製「XG−81」)で増幅し、振動スペクトルをFFTスペクトラムアナライザー(横河ヒューレットパッカード社製「FFTスペクトラムアナライザーHP 3582A」)により解析して、2000〜3000Hzの周波数範囲に有するピークの損失係数を求めた。この損失係数が高いほど遮音性が優れていることを示す。
(3)可視光透過率(Tv)、日射透過率(Te)および日射反射率(Re)の測定
直記分光光度計(島津製作所社製「UV3100」)を使用して、JIS Z 8722及びJIS R 3106に従って、380〜780nmの可視光透過率(Tv)、300〜2100nmの日射透過率(Te)および300〜2100nmの日射反射率(Re)を求めた。
Claims (3)
- 微粒子状の無機粉末を含有する不透明な遮音性ポリビニルアセタール樹脂層(A)と、透明ポリビニルアセタール樹脂層(B)との少なくとも2種類の層が積層されてなることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
- 不透明な遮音性ポリビニルアセタール樹脂層(A)および透明ポリビニルアセタール樹脂層(B)の少なくとも一方の層が、熱線遮蔽微粒子を含有していることを特徴とする請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
- 少なくとも二枚の透明ガラス板の間に、請求項1または2に記載の合わせガラス用中間膜が接着されていることを特徴とする合わせガラス。
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