JP2007004918A - 光記録媒体およびその初期化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 多層の情報記録層が形成された光記録媒体において、安定して初期化できる光記録媒体およびその初期化方法を提供する。
【解決手段】 L0層2において、L0層2がL1層4に重ならない領域を有する。具体的には、L0層2は、光記録媒体の中心からの距離r0から形成される。L0層2の内周側は、半径r0の円環形状を形成する。L1層4は、光記録媒体の中心からの距離r1から形成される。L1層4の内周側は、半径r1の円環形状を形成する。L0層2とL1層4は、r0<r1の関係を満たすように構成される。
【選択図】 図2

Description

この発明は、光記録媒体およびその初期化方法に関し、例えば、相変化情報記録層を複数備え、レーザ光の照射により情報の記録および再生を行う多層光ディスクおよびその初期化方法に関する。
近年、光ディスクは、より多くの情報を記録可能とするために、記録密度の高密度化が進められている。光ディスクは、基板上に例えば記録層や誘電体層等が積層された積層膜が形成されてなる。情報の信号の読み出し又は書き込みは、積層膜からなる記録層にレーザ光を照射することによって、行われる。
記録密度の高密度化は、ディスクに集光される光スポット径を、小さくすることによって、行うことができる。光スポット径は、光源の波長(λ)と対物レンズの開口数(NA:Numerical Aperture)によって制限されており、λ/2NAに比例する。
高密度化を達成するためには、レーザ光の短波長化、および対物レンズの高NA化が必要とされる。波長に関しては、第1世代光ディスクにおける830nmから、現在のDVD(Digital Versatile Disc)では650nmまで短波長化されており、また、NAに関しても、第1世代光ディスクでは、およそ0.45、DVDでは0.60と高NA化が進んでいる。
さらに、最近では、波長405nmの青色レーザを光源として用い、NAを0.85まで高めた光ディスクシステム(Blu−rayディスク:登録商標)が実用化されている。
他の高密度化の手法としては、記録層を多層化することによって、記録密度を高めた光ディスクが、提案されている。多層光ディスクは、複数の記録層の間に光学的な分離層が形成されている。情報信号の記録再生は、レーザ光の焦点を各々の情報記録層に合わせることによって、行われる。
例えば、波長405nm、NA:0.85で構成されるBlu−rayディスクフォーマットにおいても、2層の記録膜を形成することによって、単層膜の記録容量25GBの2倍の記録容量50GBが達成可能となる。
例えば、書き換え型Blu−rayディスクやDVD等の光ディスクでは、記録膜に相変化材料が用いられる。相変化材料からなる記録膜では、レーザ光の照射によって、結晶相と非晶質相を可逆的に相変化することで、情報信号の記録および消去が行われる。
記録膜は、例えば、スパッタリング法等によって、形成される。形成直後の記録膜は、非晶質状態である。情報の記録に際しては、記録膜が結晶状態となっている必要があるため、相変化記録膜を非晶質状態から、結晶状態に相変化させるための初期化工程が必要となる。
初期化工程は、初期化装置によって行われる。初期化装置は、例えば、光ディスクドライブと同様な機構を備えた装置により行われる。具体的には、例えば、光ディスクを回転させながら、レーザ光を記録膜に照射し、光学ヘッド位置をディスクの半径方向にずらすことによって、光ディスクの全面を初期化する。
初期化の際、レーザ光は、対物レンズを通じて記録膜上に集光される。レーザには、例えば、赤外光のレーザが用いられる。このレーザから出射されるレーザ光のスポット径は、例えば光ディスクの半径方向に、50μm〜100μm、トラック方向に約1μmに調整される。
相変化記録膜は、レーザ光の照射によって、融点近傍まで温度を上昇させ、その後、ゆっくり冷却させることによって、結晶状態に相変化する。この際のレーザ光の焦点は、光学ピックアップを光ディスクの基板方向にスキャンさせ、相変化記録膜からのフォーカスエラー信号を検出することによって、合わされる。ここで、2層光ディスクとは、基板上に、2層の情報記録層が形成された光ディスクをいう。
また、2層光ディスクにおいて、レーザ光の入射側に近い方の情報記録層をL1層と、遠い情報記録層をL0層と規定した場合、L1層からL0層へのレーザ光のかけかえは、例えば、L0層およびL1層それぞれからのフォーカスエラー信号のS字カーブを検出することによって、行われる。
例えば、下記特許文献1には、2層光ディスクの初期化方法が記載されている。この初期化方法に用いられる2層光ディスクは、基板側からレーザ光を記録層に対して照射することで、信号の記録および再生を行う。
この2層光ディスクは、例えば、レーザ光の入射側に近い方の情報記録層(以下、L1層と適宜称する)がHigh to Low構成、レーザ光の入射側に遠い方の情報記録層(以下、L0層と適宜称する)がLow to High構成となるように構成され、L1層において、L1層がL0層に重ならない領域を有する。
例えば、この2層光ディスクのL1層は、非晶質状態における、初期化に用いるレーザ光の波長での透過率が約70%と高いものである。したがって、2層の情報記録層が重なる領域においては、L0層から行うことで、安定した初期化を実現している。
特開2001−23236号公報
2層光ディスクの初期化では、情報記録層がレーザ光の照射方向に2層重なって形成されているため、L0層の初期化は、L1層を透過して行う必要がある。例えば、上記特許文献1に記載の光ディスクは、初期化に使用される波長での、L1層の透過率が、結晶化前で、例えば70%と高いものであり、2層重なっている領域でも、L0層の初期化を安定して行うことができる。
しかしながら、初期化に用いるレーザ光の波長でのL1層の透過率が、低いものである場合、2層の情報記録層が重なる領域においては、L0層から行うと、安定した初期化を実現できない。
例えば、L1層の透過率が50%である場合は、L0層からの反射率は、L0層単層の場合より、約1/4に減少する。L0層からの反射率が減少すると、L0層の初期化の際に、L0層からのフォーカスエラー信号が極端に小さくなるため、L0層にフォーカスを合わせることが困難となり、安定して初期化を行うことができない。
したがって、この発明の目的は、多層の情報記録層が形成された光記録媒体において、安定して初期化できる光記録媒体およびその初期化方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、この発明は、
基板と、基板に形成された2層の情報記録層とを備え、
情報記録層が非晶質相と結晶相間で可逆的に相変化することによって、情報信号の記録および消去が可能であり、
情報記録層のレーザ光の入射側に近い方をL1層と、遠い方をL0層とした場合に、
L0層において、L0層がL1層に重ならない領域を有することを特徴とする光記録媒体である。
この発明は、
基板と、基板に形成された2層の情報記録層とを備え、
情報記録層が非晶質相と結晶相間で可逆的に相変化することによって、情報信号の記録および消去が可能であり、
情報記録層のレーザ光の入射側に近い方をL1層と、遠い方をL0層とし、
L1層の内周側の半径をr1と、L0層の内周側の半径をr0とした場合に、
r0<r1を満たすことを特徴とする光記録媒体である。
この発明は、
基板と、基板に形成された2層の情報記録層とを備え、
情報記録層が非晶質相と結晶相間で可逆的に相変化することによって、情報信号の記録および消去が可能であり、
情報記録層のレーザ光の入射側に近い方をL1層と、遠い方をL0層とし、
L1層の外周側の半径をR1と、L0層の外周側の半径をR0とした場合に、
R1<R0を満たすことを特徴とする光記録媒体である。
この発明は、
基板と、基板に形成された少なくとも2以上の情報記録層とを備え、
情報記録層の非晶質相と結晶相間で可逆的に相変化することによって、情報信号の記録および消去が可能であり、
情報記録層をレーザ光の入射側に近い方からLn層(nは0以上の整数)とし、
Ln層の内周側の半径をrnとした場合に、
rn<rn+1を満たすことを特徴とする光記録媒体である。
この発明は、
基板と、基板に形成された2層の情報記録層とを備え、
情報記録層が非晶質相と結晶相間で可逆的に相変化することによって、情報信号の記録および消去が可能であり、
情報記録層のレーザ光の入射側に近い方をL1層、遠い方をL0層とし、
L1層の内周側の半径r1と、L0層の内周側の半径をr0とした場合に、
r0<r1を満たすことを特徴とする光記録媒体の初期化方法であって、
L1層の初期化後、L0層において、L0層がL1層に重ならない領域で、L0層のフォーカスの引き込みを行うことを特徴とする初期化方法である。
この発明によれば、多層の情報記録層からなる光ディスクにおいて、安定して初期化できる効果を奏する。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
この発明の一例として、樹脂材料がディスク状に成形されてなるディスク基板上に相変化記録膜からなる2層の情報記録層が形成され、さらに、その上に形成された光透過層を通して情報信号の記録再生が行われる光記録媒体について説明する。
図1は、この発明の一実施形態による光記録媒体の一例の構成を概略的に示す。この光記録媒体は、図1に示すように、基板1上に、第0情報記録層(以下、L0層と適宜称する)2、中間層3、第1情報記録層(以下、L1層と適宜称する)4、光透過層5を順次積層した構成を有する。
この光記録媒体は、樹脂材料がディスク状に成形されてなる基板1上に、相変化記録膜からなる2層の情報記録層が形成される。2層の情報記録層は、レーザ光6の入射側に近い方をL1層4、遠いほうをL0層2と規定される。レーザ光6は、基板1と反対側から光記録媒体に入射される。
この光記録媒体では、光透過層5側から情報記録層にレーザ光6を照射することで、情報信号の記録および/または再生が行われる。例えば、400nm〜410nmの波長を有するレーザ光6を、0.84〜0.86の開口数を有する対物レンズ7により、集光し、光透過層5側から、情報信号記録層に照射することで、情報信号の記録および/または再生が行われる。この光記録媒体は、例えば初期化に用いるレーザ光の波長でのL1層の透過率が40%〜60%である。L0層の光学設計は、例えばHigh to Low構成であり、L1層の光学設計は、例えばHigh to Low構成である。
図2は、この発明の一実施形態による光記録媒体の一例の構成を概略的に示す。なお、この光記録媒体の特徴を明確に示すため、中間層3および光透過層5を省略して示す。
図2に示すように、L0層2において、L0層2がL1層4に重ならない領域を有する。具体的には、L0層2は、光記録媒体の中心からの距離r0から形成される。L0層2の内周側は、半径r0の円環形状を形成する。L1層4は、光記録媒体の中心からの距離r1から形成される。L1層4の内周側は、半径r1の円環形状を形成する。L0層2とL1層4は、r0<r1の関係を満たすように構成される。
この構成によって、L0層2において、単層でのフォーカスの引き込みが可能となり、安定して初期化を行うことができる。さらには、安定して初期化を行うことができることによって、光記録媒体の品質を保持することができ、製造時のタクトアップ、コストダウンに資する。
この光記録媒体は、光透過層5側から情報記録層にレーザ光6を照射することで、情報信号の記録および/または再生が行われるものであり、L1層4を透過して、L0層2の初期化を行う場合、L0層2からのフォーカスエラー信号が極端に小さくなってしまい、L0層2にフォーカスを合わせることが困難となってしまう。
したがって、L0層2単層でのフォーカスの引き込みを可能とするために、レーザ光の入射側から遠いL0層2において、L0層2がL1層4に重ならない領域を有する構成とする。具体的には、L0層2とL1層4は、r0<r1の関係を満たすように構成される。
図3は、図1に示す光記録媒体のX−Yの断面を示す。図3に示すように、この光記録媒体は、基板1、L0層2、中間層3、L1層4、光透過層5が順次積層された構成を有する。
L0層2は、反射層2a、第2の下層誘電体層2b、第1の下層誘電体層2c、記録層2d、第1の上層誘電体層2e、第2の上層誘電体層2fが順次積層された構成を有する。L1層4は、第1の下層誘電体層4a、反射層4b、第2の下層誘電体層4c、記録層4d、上層誘電体層4eが順次積層された構成を有する。
(基板)
基板1は、中央にセンターホールが形成された円環形状を有する。基板1の厚さは、例えば、1.1mmに選ばれる。基板1の一主面には、情報信号の記録および/または再生を行う際に光学スポットを導くための凹凸部が形成される。この凹凸部の形状としては、スパイラル状、同心円状、ピット列等、各種の形状が挙げられる。この凹凸部を案内として光学スポットを光記録媒体上の任意の位置へと移動できる。
基板1の材料としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂もしくはアクリル系樹脂等の樹脂材料またはガラスを使用できるが、コスト等の点を考慮すると、樹脂材料を使用することが好ましい。樹脂材料としては、例えばゼオネクス、ポリカーボネート(PC)を用いることができる。
基板1の成形方法は、所望の形状と光学的に十分な基板表面の平滑性が得られる方法であればよく、特に限定されるものではない。例えば、射出成形法(インジェクション法)、紫外線硬化樹脂を使うフォトポリマー(2P法)法を用いることができる。
(誘電体層)
誘電体層2b〜2c、誘電体層2e〜2fおよび誘電体層4a、誘電体層4c、誘電体層4eの厚さは、好ましくは3nm〜100nmの範囲であり、光学特性および熱特性を考慮して決定される。
誘電体層2b〜2c、誘電体層2e〜2fおよび誘電体層4a、誘電体層4c、誘電体層4eの材料としては、記録再生用レーザの波長に対して吸収能の低い材料が好ましく、具体的には、消衰係数Kの値が0.3以下である材料が好ましい。かかる材料としては、例えばZnS−SiO2混合体(好ましくは、モル比4:1)を挙げることができる。ZnS−SiO2混合体以外にも、従来から光記録媒体の誘電体層の材料として用いられている公知のものを用いることも可能である。
例えば、Al、Si、Ta、Ti、Zr、Nb、Mg、B、Zn、Pb、Ca、La、Ge等の金属および半金属等の元素の窒化物、酸化物、炭化物、フッ化物、硫化物、窒酸化物、窒炭化物、酸炭化物等およびこれらを主成分と材料を用いることができる。好ましくは、AlNX(0.5≦X≦1)、AlN、Al23-X(0≦X≦1)、Al23、Si34-X(0≦X≦1)、Si34-X、SiOX(1≦X≦2)、SiO2、SiO、MgO、Y23、MgAl24、TiOx(1≦X≦2)、TiO2、BaTiO3、StTiO4、Ta25-X(0≦X≦1)、Ta25、GeOx(1≦X≦2)、SiC、ZnS、PbS、Ge−N、Ge−N−O、Si−N−O、CaF2、LaF、MgF2、NaF、ThF4等を用いることができる。
(記録層)
記録層2d、4dの膜厚は、好ましくは5nm〜30nmの範囲であり、例えば15nm程度である。この記録層2d、4dの材料としては、レーザ光の照射を受けて可逆的な状態変化を生じる相変化材料、具体的には、非晶質状態と結晶状態の可逆的相変化を生じる相変化材料を使用できる。このような材料としては、例えば、カルコゲン化合物または単体のカルコゲン等を使用できる。カルコゲン化合物としては、例えば、Sb、Teの共晶系材料を使用でき、好ましくは、Geなどの添加元素が添加されたSb、Teの共晶系材料を使用できる。
例示するならば、Ge−Sb−Te、Sb−Te、In−Sb−Te、Ag−In−Sb−Te、Au−In−Sb−Te、Ge−Sb−Te−Pd、Ge−Sb−Te−Se、Ge−Sb−Te−Bi、Ge−Sb−Te−Co、Ge−Sb−Te−Auを含む系、またはこれらの系に窒素、酸素などのガス添加物を導入した系等を挙げることができる。
添加元素を記録層2d、4dに添加すると、信頼性などの特性を向上できる一方、信号特性の低下を招いてしまう。この点を考慮すると、記録層2d、4dにおける添加元素の量は10atm%以下にすることが好ましい。なお、記録層2d、4dを連続する2層以上の異なる層(材料、組成、複素屈折率のいずれかが異なる)で構成してもよい。
(反射層)
反射層2aの厚さは、好ましくは50nm以上であり、より好ましくは50nm〜250nmの範囲であり、例えば140nm程度である。反射層4bの厚さは、好ましくは3nm以上であり、より好ましくは5nm〜20nmの範囲であり、例えば10nm程度である。
反射層2a、4bの材料としては、例えば金属または半金属を使用できる。反射層2a、4bの材料は、反射能および熱伝導率を考慮して選ぶことが好ましく、例えば、記録再生用レーザ光の波長に対して反射能を有し、熱伝導率が0.0004[J/(cm・K・s)]〜4.5[J/(cm・K・s)]の範囲にある金属元素、半金属元素およびそれらの化合物あるいは混合物である。
具体的に例示するならば、反射層2a、4bの材料としては、Al、Ag、Au、Ni、Cr、Ti、Pd、Co、Si、Ta、W、Mo、Ge等の単体、またはこれらを主成分とする合金を挙げることができる。これらのうち、特にAl系、Ag系、Au系、Si系、Ge系の材料が実用性の面から好ましい。合金としては、例えばAl−Ti、Al−Cr、Al−Cu、Al−Mg−Si、Ag−Pd−Cu、Ag−PdTi、Si−B等が好適に用いられる。
これらの材料のうちから、光学特性および熱特性を考慮して設定することが好ましい。例えば、単波長領域においても高反射率を有する点を考慮すると、Al系またはAg系材料を用いることが好ましい。一般には反射層2aの膜厚を光が透過しない程度の厚さ、例えば50nm以上に設定すると、反射率を高くすることができ、且つ、熱を逃げやすくできる。反射層4bの膜厚を適度な厚さ、例えば10nm程度に設定すると、透過率を上げつつ、熱の逃げを確保することができる。
また、反射層2a、4bは単層の構造に限られず、例えば金属または半金属よりなる層(反射層)を2層積層した積層構造とすることも可能であり、さらに、2層以上の多層構造とすることも可能である。これにより光学設計がし易くなり、且つ、熱特性とのバランスも取り易くなる。なお、誘電体層と反射層の間に、SiN膜などからなるバリア層を設けてもよい。
(光透過層)
光透過層5は、光記録媒体の保護を目的として、形成される。情報信号の記録再生は、例えば、レーザ光が光透過層5を通じて情報信号記録層に集光されることによって、行われる。光透過層5としては、例えば、紫外腺硬化樹脂、紫外線硬化樹脂とポリカーボネートシート、または接着層とポリカーボネートシート用いることができる。光透過層5は、例えば、75μm程度の厚さを有する。
(製造方法)
この発明の一実施形態による光ディスクの製造方法の一例について説明する。まず、基板1は、例えば射出成形によって成形し、基板1上にL0層2が例えば、スパッタリング法によって、形成する。
次に、紫外線硬化樹脂をスピンコートによって、基板1上に塗布した後、例えば、樹脂からなるスタンパを重ね、UVランプによって、紫外線を照射し、スタンパを重ねた状態で、塗布した紫外線硬化樹脂を硬化する。これにより、凹凸パターンが一主面に設けられた中間層が形成する。この凹凸パターン上に、例えばスパッタリング法にて、L1層4を形成する。
光透過層5は、例えば接着層とポリカーボネートシートからなり、L1層4上に形成する。光透過層5は、例えば基板1を貼り合わせ装置(図示省略)に搬入し、平面円環形状の光透過性シートを、このシートの一主面に予め均一に塗布された感圧性粘着材(PSA)を用いて、基板1上の各層が形成された側に貼り合わすことによって、形成する。
以上の工程により、この発明の一実施形態による光記録媒体が製造される。なお、以上のようにして光記録媒体を製造した後、初期化装置によって、情報記録層の状態を結晶状態にする。
ここで、上述した光記録媒体の製造に用いられるスパッタリング装置の一例およびこの装置を用いた情報記録層の成膜工程の一例について、より詳細に説明する。このスパッタリング装置は、基板自転可能な枚葉式の静止対向型スパッタリング装置である。
図4に、光記録媒体を製造するために用いられるスパッタリング装置を示す。図4に示すように、このスパッタリング装置は、成層室となる真空チャンバ21、この真空チャンバ21内の真空状態を制御する真空制御部22、プラズマ放電用DC高圧電源23、このプラズマ放電用DC高圧電源23と電源ライン24を通じて接続されているスパッタリングカソード部25、このスパッタリングカソード部25と所定の距離を持って対向配置されているパレット26、およびArなどの不活性ガスや反応ガスといったスパッタガスを真空チャンバ21内に供給するためのスパッタガス供給部27を有して構成されている。
スパッタリングカソード部25は、負電極として機能するターゲット28、このターゲット28を固着するように構成されたバッキングプレート29および、このバッキングプレート29のターゲット28が固着される面とは反対側の面に設けられた磁石系30を備える。
また、正電極として機能するパレット26と、負電極として機能するターゲット28とから、一対の電極が構成されている。パレット26上には、スパッタリングカソード部25と対向するように、被成層体である基板1がディスクベース33を間にはさんで取り付けられる。この際、内周マスク31および外周マスク32とにより、基板1の内周部および外周部が覆われる。
内周マスク31は、その大きさを変えることによって、L0層の内周側の半径r0と、L1層の内周側の半径r1の大きさを、規定できる。例えば、L0層を成膜する場合は、半径r0の内周マスクを使用し、L1層を成膜する場合は、半径r1の内周マスクを使用する。
また、パレット26のディスクベース33が取り付けられる面とは反対側の面に、パレット26を、基板1の面内方向に回転させ、これによって基板1を自転させるための基板自転駆動部34が連動可能に設けられている。
また、スパッタリング装置20においては、基板1と、ターゲット28とは、平面的な位置関係において、基板1の中心と、ターゲット28の中心とがほぼ一致するように配置される。また、基板1は、基板自転駆動部34により、その中心の周りで自転させることができるように構成されている。
以上のようにして、この一実施形態における光記録媒体の製造に用いられるスパッタリング装置20が構成されている。次に、スパッタリング装置20を用いた情報記録層の成膜工程について、説明する。なお、以下の製造プロセスにおいて、各層の成層にそれぞれ用いられるスパッタリング装置は同一の構成を有するため、上述したDCスパッタリング装置20におけると同様の符号を用いる。
(第0情報記録層)
まず、基板1を、例えばAgM(M:添加物)からなるターゲット28が設置された第1のスパッタリング装置20に対して搬入し、パレット26に固定する。次に、真空チャンバ21内が所定の圧力になるまで真空引きする。次に、例えばArガスを真空チャンバ21内に導入し、スパッタリングを行うことにより、例えばAg系合金からなる反射層2aを基板1の一主面に形成する。
このスパッタリングプロセスにおける成膜条件の一例を以下に示す。
真空到達度:1.0×10-5Pa
雰囲気:0.1〜3.0×100Pa
投入電力:1〜3kWh
次に、基板1を、例えばSiターゲットが設置された第2のスパッタリング装置20に搬入し、パレット26に固定する。そして、真空チャンバ21内が所定の圧力になるまで真空引きする。次に、例えばArガスおよび窒素を真空チャンバ21内に導入し、スパッタリングを行うことにより、例えばSiNからなる第2の下層誘電体層2bを反射層2a上に形成する。
このスパッタリングプロセスにおける成膜条件の一例を以下に示す。
真空到達度:1.0×10-5Pa
雰囲気:0.1〜3.0×100Pa
投入電力:1〜3kWh
窒素ガス量:30sccm
次に、基板1を、例えばZnS−SiO2混合体からなるターゲット28が設置された第3のスパッタリング装置20に搬入し、パレット26に固定する。次に、真空チャンバ21内の所定の圧力になるまで真空引きする。その後、真空チャンバ21内に、例えばArガスなどの不活性ガスを導入し、スパッタリングを行うことにより、例えばZnS−SiO2混合体からなる第1の下層誘電体層2cを第2の下層誘電体層2b上に形成する。
このスパッタリングプロセスにおける成膜条件の一例を以下に示す。
真空到達度:1.0×10-5Pa
雰囲気:0.1〜3.0×100Pa
投入電力:1〜3kWh
次に、基板1を、例えばGeSbTe合金からなるターゲット28が設置された第4のスパッタリング装置20に搬入し、パレット26に固定する。次に、真空チャンバ21内を所定の圧力になるまで真空引きする。その後、例えばArガスなどの不活性ガスを真空チャンバ21内に導入し、スパッタリングを行うことにより、例えばGeSbTe系合金からなる記録層2dを第1の下層誘電体層2c上に形成する。
このスパッタリングプロセスにおける成膜条件の一例を以下に示す。
真空到達度:1.0×10-5Pa
雰囲気:0.1〜3.0×100Pa
投入電力:1〜3kWh
次に、基板1を、例えばZnS−SiO2混合体からなるターゲット28が設置された第5のスパッタリング装置20に搬入し、パレット26に固定する。次に、真空チャンバ21内の所定の圧力になるまで真空引きする。その後、例えばArガスなどの不活性ガスを真空チャンバ21内に導入し、スパッタリングを行うことにより、例えばZnS−SiO2混合体からなる第1の上層誘電体層2eを記録層2d上に形成する。
このスパッタリングプロセスにおける成膜条件の一例を以下に示す。
真空到達度:1.0×10-5Pa
雰囲気:0.1〜3.0×100Pa
投入電力:1〜3kWh
次に、第1の上層誘電体層2eが形成された基板1を、例えばSiからなるターゲットが設置された第6のスパッタリング装置に搬入し、パレット26に固定する。そして、真空チャンバ21内が所定の圧力になるまで真空引きする。次に、例えばArガスおよび窒素を真空チャンバ21内に導入し、スパッタリングを行うことにより、基板1の一主面上に、例えばSiNからなる第2の上層誘電体層2fを第1の上層誘電体層2d上に形成する。
このスパッタリングプロセスにおける成膜条件の一例を以下に示す。
真空到達度:1.0×10-5Pa
雰囲気:0.1〜3.0×100Pa
投入電力:1〜3kWh
窒素ガス量:30sccm
(第1情報記録層)
基板1の中間層3上にL1層4を形成する。これ以外は、L0層2の形成方法と同様であるので、詳しい説明を省略する。
(初期化処理)
次に、この発明の一実施形態による光ディスクの初期化方法を説明する。図5は、初期化処理に用いられる初期化処理装置の一構成例を示す。図5に示すように、この初期化装置は、高出力、大口径のレーザヘッド42と、光記録媒体10を回転させるためのスピンドルモータ45と、レーザヘッド42を光記録媒体10の径方向に移動させるためのキャリッジ(図示せず)とを備える。
レーザヘッド42は、半導体レーザ43と、この半導体レーザ43から出射されるレーザ光を調整して光記録媒体10上に適切なスポットを形成するための光学レンズ44a、44bとを備える。
上述の構成を有する初期化処理装置を用いた初期化処理の概要について説明する。まず、光記録媒体10の全面にレーザ光を照射してL0層およびL1層を結晶化させる。例えば、光記録媒体10を一定の線速度で回転させながら、光透過層5側の面に対して出力パワー約4Wの大口径レーザからレーザ光を出射して約240×1μmのレーザスポット光束を形成するとともに、このレーザスポット光束を半径方向に送り速度200μm/feedの条件で移動させる。
これにより、レーザ光は、光記録媒体10の円周方向および半径方向のいずれの領域にも照射される。また、線速度および出力パワーPwは、初期化装置の能力ならびに光記録媒体10の膜構造および信号特性から最適値が選ばれる。また、送り速度は、レーザスポット径と処理時間との関係から最適な速度が選ばれる。
次に、図2を参照しながら、より具体的に初期化の方法の一例について説明する。まず、L1層4の初期化を行う。その後、L0層2の初期化を、L0層2において、r0からr1間の領域でフォーカスの引き込みを行うことで、L0層2にフォーカスをかけ、L0層2全面の初期化が行われる。L0層2のr0からr1の範囲は、L0層2において、L0層2がL1層4に重ならない領域である。
一旦、L0層2にフォーカスを合わせることができれば、L0層2において、L0層2がL1層4に重なる領域にフォーカスをかける場合も、L0層2のフォーカスが外れることなく、L0層2全面を安定して初期化できる。
次に、初期化の経路の一例について具体的に説明する。まず、L1層4を外周から内周に初期化し、その後、L0層2の初期化を、L1層4が重ならないr0からr1の領域で、フォーカスの引き込みを行い、L0層2全面を内周から外周にわたって初期化する。
この工程によって、初期化に用いられるレーザ光の経路が最短となり、初期化処理にかかる時間を短縮化できる。
他の例としては、まず、L1層4を内周から外周に初期化し、その後、L0層2において、L0層2がL1層4に重ならないr0からr1の領域で、フォーカスの引き込みを行い、L0層2全面を内周から外周にわたり初期化する。
次に、この発明の他の実施形態による光記録媒体の構成を説明する。図6は、この発明の一実施形態に係る光記録媒体の構成を概略的に示す。
この光記録媒体では、基板61側から、情報記録層にレーザ光66を照射することによって、情報信号の記録および/再生が行われる。例えば、650nm〜665nmの波長を有するレーザ光66を、0.64〜0.66の開口数を有する対物レンズ67によって、集光し、基板61側から情報記録層に照射することにより、情報信号の記録および/または再生が行われる。
図6に示すように、この光記録媒体は、レーザ光の入射側から、第1の基板61、L1層62、中間層63、L0層64、第2の基板65と順次積層された構成である。この光ディスクは、L0層64において、L0層64がL1層62に重ならない領域を有する。
具体的には、L0層64は、光記録媒体の中心からの距離r0から形成される。L0層64の内周側は、半径r0の円環形状を形成する。L1層62は、光記録媒体の中心からの距離r1から形成される。L1層62の内周側は、半径r1の円環形状を形成する。L0層64とL1層62は、r0<r1の関係を満たすように構成される。
このような構成を有する光記録媒体は、L0層64において、L0層64がL1層62に重ならない領域で、フォーカスの引き込みを行うことによって、安定して初期化を行うことができる。さらには、安定して初期化を行うことができることによって、光記録媒体の品質を保持することができ、製造時のタクトアップ、コストダウンに資する。
上述の一実施形態および他の実施形態では、L0層の内側の半径をr0、L1層の内側の半径をr1とした場合に、L0層とL1層がr0<r1を満たす光記録媒体を説明したが、この発明は、この例に限定されるものではない。例えば、図7に示すように、L1層の外周側の半径をR1とし、L0層の外周側の半径をR0とした場合に、R1<R0を満たすように、情報記録層を構成してもよい。
また、例えば、この光記録媒体を初期化する際には、まず、L1層から初期化を行い、次に、R1<R0の領域で、フォーカスの引き込みを行い、その後、L0層全面の初期化を行う。
一旦、L0層にフォーカスを合わせることができれば、L0層において、L0層がL1層に重なる領域にフォーカスをかける場合も、L0層のフォーカスが外れることなく、L0層全面を安定して初期化できる。
以下に、実施例に基づいてこの発明をさらに具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例>
まず、射出成形によって、基板1を成形した。その一主面には、スタンパによりランドおよびグルーブを転写した。基板1は、円形基板とし、直径が120mm、厚さが1.1mmとした。
L0層2として、反射層2a、第2の下層誘電体層2b、第1の下層誘電体層2c、記録層2d、第1の上層誘電体層2e、第2の上層誘電体層2fを、図4に示すスパッタリング装置を用いたマグネトロンスパッタリング方式によって、基板1上に、順次積層した。この際、内周マスク31は、半径20mmのものを用いて、L0層2の内周側の半径がr0=20mmとなるように、L0層2を形成した。
反射層2aとしては、Ag合金を100nmの厚さで成膜した。第2の下層誘電体層2bとしては、SiNを5nmの厚さで成膜した。第1の下層誘電体層2cとしては、ZnS−SiO2を5nmの厚さで成膜した。記録層2dとしては、GeSbTeを12nmの厚さで成膜した。第1の上層誘電体層2eとしては、ZnS−SiO2を10nmの厚さで成膜した。第2の上層誘電体層2fとしては、SiNを40nmの厚さで成膜した。
反射層2a、第1の下層誘電体層2c、記録層2d、第1の上層誘電体層2eは、以下の成膜条件でおこなった。
真空到達度:1.0×10-5Pa
雰囲気:3.0×10-1Pa
投入電力:3kWh
ガス種:Arガス
第2の下層誘電体層2bおよび第2の上層誘電体層2fは、以下の成膜条件で行った。
真空到達度:1.0×10-5Pa
雰囲気:3.0×10-1Pa
投入電力:3kWh
ガス種:Arガスおよび窒素ガス
窒素ガス量:30sccm
次に、紫外線硬化樹脂を、スピンコートによって、L0層2上に塗布し、その後、樹脂からなるスタンパを重ね、紫外線ランプ(UVランプ)によって、紫外線を樹脂からなるスタンパ側から、約1秒間照射することで硬化し、厚さ25μmの中間層3を形成した。
次に、L1層4として、第1の下層誘電体層4a、反射層4b、第2の下層誘電体層4c、記録層4d、上層誘電体層4eを、図4に示すスパッタリング装置を用いたマグネトロンスパッタリング方式によって、中間層3上に、順次積層した。この際、内周マスク31は、半径21mmのものを用いて、L1層4の内周側の半径がr1=21mmとなるように、L1層4を形成した。
最下部誘電体層である第1の下層誘電体層4aとしては、ZnS−SiO2を20nmの厚さで成膜した。反射層4bとしては、Ag合金を10nmの厚さで成膜した。第2の下層誘電体層4cとしては、SiNを10nmの厚さで成膜した。記録層4dとしては、GeSbTeを8nmの厚さで成膜した。上層誘電体層4eとしては、SiNを30nmの厚さで成膜した。
最下部誘電体層である第1の下層誘電体層4a、反射層4b、記録層4dは、以下の成膜条件でおこなった。
真空到達度:1.0×10-5Pa
雰囲気:3.0×10-1Pa
投入電力:3kWh
ガス種:Arガス
第2の下層誘電体層4cおよび上層誘電体層4eは、以下の成膜条件で行った。
真空到達度:1.0×10-5Pa
雰囲気:3.0×10-1Pa
投入電力:3kWh
ガス種:Arガスおよび窒素ガス
窒素ガス量:30sccm
光透過層5は、厚さを75μmとし、L1層4形成後、L1層4上に、接着層と、ポリカーボネートシートによって、形成した。
以上の工程によって、実施例のサンプルを作製した。実施例のサンプルにおいては、L0層2を光記録媒体の中心からの距離20mmから59mmの範囲で形成し、L1層4を中心からの距離が21mmから59mmの範囲で形成することで、実施例1のサンプルがr0<r1を満たすようにL0層2、L1層4を形成した。
<比較例>
L0層2およびL1層4を、半径20mmから59mmの領域で形成したことを除いては、実施例と同様とし、光ディスクを作製した。
<初期化方法の検討>
作製したサンプルを、図6に示す初期化装置でフォーカスをかけた。この際に、初期化前のL0層2と、初期化後のL1層4のフォーカスエラー信号を、観察し、安定した初期化方法を得るべく、初期化方法の検討を行った。なお、初期化処理は、以下の条件で、初期化装置(パルステック社製、商品名:ODI-1000)を用いて、行った。
線速度:5m/s
初期化レーザパワーPW:1000mW
送り量:200μm/回転
作製した比較例のサンプルに対して、初期化前にレーザ光を照射し、フォーカシングを行うためのフォーカスエラー信号を、オシロスコープにて観察した。この際、フォーカスエラー信号を、ゲインコントロールし、大きな方のフォーカスエラー信号が一定電圧となるように調整した。
フォーカスエラー信号の測定は、L1層4が結晶の場合と、L1層4が非晶質の場合とで、L0層2からのフォーカスエラー信号振幅と、L1層4からのフォーカスエラー信号振幅を測定し、V0とV1との比をフォーカスエラー信号振幅比として求めた。
L0層2またはL1層4のフォーカスエラー信号が極端に小さくなる場合は、フォーカスをかけることが困難である。したがって、フォーカスエラー信号振幅比に基づいて、L0層2またはL1層4の安定したフォーカシングの可否が判定できる。
まず、L1層4が非晶質の場合のフォーカスエラー信号振幅比(V_L0/V_L1)を測定した。L1層4が非晶質の場合は、フォーカスエラー信号振幅比(V_L0/V_L1)が0.37であり、安定して、L0層2にフォーカスをかけることができなかった。
次に、L1層4が結晶の場合のフォーカスエラー信号振幅比(V_L0/V_L1)を測定した。L1層4が結晶の場合は、フォーカスエラー信号振幅比(V_L0/V_L1)が0.07であり、安定して、L0層2にフォーカスをかけることができなかった。
L1層4が非晶質の場合のフォーカスエラー信号振幅比(V_L0/V_L1)の測定結果と、L1層4が結晶の場合のフォーカスエラー信号振幅比(V_L0/V_L1)の測定結果を下記表1にまとめた。
Figure 2007004918
以上の結果より、比較例のサンプルにおいては、L1層4を先に初期化した後、L0層2を初期化した場合に、安定してL0層2を初期化できないことがわかった。さらにL0層2を先に初期化し、その後L1層4を初期化する場合も、安定してL0層2を初期化できないことがわかった。したがって、比較例のサンプルにおいては、L1層4を透過して、L0層2を安定して初期化できないことがわかった。
実施例のサンプルにおいては、L0層2が非晶質の場合のフォーカスエラー信号振幅比(V_L1/V_L0)と、L0層2が結晶の場合のフォーカスエラー信号振幅比(V_L1/V_L0)を、比較例と同様にして、測定した。
まず、L0層2が非晶質の場合のフォーカスエラー信号振幅比(V_L1/V_L0)を測定した。L0層2が非晶質の場合は、フォーカスエラー信号振幅比(V_L1/V_L0)が2.7であり、安定して、L1層4にフォーカスをかけることができた。
次に、L0層2が結晶の場合のフォーカスエラー信号振幅比(V_L1/V_L0)を測定した。L0層2が結晶の場合は、フォーカスエラー信号振幅比(V_L1/V_L0)が0.15であり、安定して、L1層4にフォーカスをかけることができなかった。
L0層2が非晶質の場合のフォーカスエラー信号振幅比(V_L1/V_L0)の測定結果と、L0層2が結晶の場合のフォーカスエラー信号振幅比(V_L1/V_L0)の測定結果を、下記表2にまとめた。
Figure 2007004918
以上より、実施例のサンプルにおいては、L0層2は、L1層4が重ならない領域で、フォーカスをかけることにより、安定して、L0層2全面を初期化できる。さらに、フォーカスエラー信号振幅比の測定結果より、L0層2が結晶の場合は、安定して、L1層4にフォーカスをかけることができないことがわかる。
したがって、実施例のサンプルにおいては、まず、L1層4にフォーカスをかけてL1層4全面の初期化を行い、その後、L0層2において、L0層2がL1層4に重ならない領域であるr0からr1の領域内で、フォーカスの引き込みを行い、L0層2全面の初期化を行うことによって、安定して、初期化できることがわかった。
実際に、まず、L1層4にフォーカスをかけて、外周から内周にわたって、L1層4全面を初期化し、その後、L0層2において、中心からの距離20.5mmのL1層4が重ならない領域で、L0層2にフォーカスをかけて、L0層2全面の初期化を、内周から外周にかけて、行ったところ、安定して、実施例のサンプルのL0層2およびL1層4の初期化を行うことができた。
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、L1層上に、さらに、何層かの中間層と情報記録層を形成してもよい。
この際、レーザ光の遠い方の情報記録層において、レーザ光に近い方の情報記録層が重ならない領域を有するように構成する。例えば、情報記録層をレーザ光の入射側に近い方からLn層とし、Ln層の内周側の半径をrnと規定した場合に、情報記録層をrn<rn+1の式を満たすような構成としてもよい。
情報記録層をrn<rn+1の構成とする場合は、Ln層を形成する際に、rnに対応する大きさの内周マスクを用いることで、形成可能である。
この発明の一実施形態による光記録媒体の構成を示す概略図である。 この発明の一実施形態による光記録媒体の構成を示す概略図である。 この発明の一実施形態による図1の光記録媒体のX−Y線の断面図である。 スパッタリング装置の構成を示す模式図である。 初期化装置の構成を示す模式図である。 この発明の他の実施形態による光記録媒体の構成を示す概略図である。 この発明の実施形態による光記録媒体の構成例を示す概略図である。
符号の説明
1・・・基板
2・・・第0情報記録層(L0層)
2a・・・反射層
2b・・・下層誘電体層
2c・・・下層誘電体層
2d・・・記録層
2e・・・上層誘電体層
2f・・・上層誘電体層
3・・・中間層
4・・・第1情報記録層(L1層)
4a・・・下層誘電体層
4b・・・反射層
4c・・・下層誘電体層
4d・・・記録層
4e・・・上層誘電体層
5・・・光透過層
6・・・レーザ光
7・・・対物レンズ
10・・・光記録媒体
61・・・第1の基板
62・・・第1情報記録層(L1層)
63・・・中間層
64・・・第0情報記録層(L0層)
65・・・第2の基板
66・・・レーザ光
67・・・対物レンズ

Claims (7)

  1. 基板と、上記基板に形成された2層の情報記録層とを備え、
    上記情報記録層が非晶質相と結晶相間で可逆的に相変化することによって、情報信号の記録および消去が可能であり、
    上記情報記録層のレーザ光の入射側に近い方をL1層と、遠い方をL0層とした場合に、
    上記L0層において、L0層がL1層に重ならない領域を有することを特徴とする光記録媒体。
  2. 基板と、上記基板に形成された2層の情報記録層とを備え、
    上記情報記録層が非晶質相と結晶相間で可逆的に相変化することによって、情報信号の記録および消去が可能であり、
    上記情報記録層のレーザ光の入射側に近い方をL1層と、遠い方をL0層とし、
    上記L1層の内周側の半径をr1と、上記L0層の内周側の半径をr0とした場合に、
    r0<r1を満たすことを特徴とする光記録媒体。
  3. 基板と、上記基板に形成された2層の情報記録層とを備え、
    上記情報記録層が非晶質相と結晶相間で可逆的に相変化することによって、情報信号の記録および消去が可能であり、
    上記情報記録層のレーザ光の入射側に近い方をL1層と、遠い方をL0層とし、
    上記L1層の外周側の半径をR1と、上記L0層の外周側の半径をR0とした場合に、
    R1<R0を満たすことを特徴とする光記録媒体。
  4. 基板と、上記基板に形成された少なくとも2以上の情報記録層とを備え、
    上記情報記録層の非晶質相と結晶相間で可逆的に相変化することによって、情報信号の記録および消去が可能であり、
    上記情報記録層をレーザ光の入射側に近い方からLn層(nは0以上の整数)とし、
    上記Ln層の内周側の半径をrnとした場合に、
    rn<rn+1を満たすことを特徴とする光記録媒体。
  5. 基板と、上記基板に形成された2層の情報記録層とを備え、
    上記情報記録層が非晶質相と結晶相間で可逆的に相変化することによって、情報信号の記録および消去が可能であり、
    上記情報記録層のレーザ光の入射側に近い方をL1層、遠い方をL0層とし、
    上記L1層の内周側の半径r1と、上記L0層の内周側の半径をr0とした場合に、
    r0<r1を満たすことを特徴とする光記録媒体の初期化方法であって、
    L1層の初期化後、L0層において、L0層がL1層に重ならない領域で、フォーカスの引き込みを行うことを特徴とする初期化方法。
  6. 請求項5において、
    上記L1層は、内周から外周方向に初期化を行い、
    上記L0層は、内周から外周方向に初期化を行うことを特徴とする初期化方法。
  7. 請求項5において、
    上記L1層は、外周から内周方向に初期化を行い、
    上記L0層は、内周から外周方向に初期化を行うことを特徴とする初期化方法。
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