JP2005129192A - 光記録媒体 - Google Patents

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康児 三島
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弘康 井上
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壮 小巻
Kenji Yamaya
研二 山家
Hironori Kakiuchi
宏憲 柿内
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Abstract

【課題】複数の記録層を備え、所望のようにデータを記録し、記録したデータを再生することができる光記録媒体を提供する。
【解決手段】基板11と、基板11上に、第一の中間層12および第二の中間層13を介して、積層された第一の記録層20、第二の記録層30および第三の記録層40を備え、第二の記録層30および第三の記録層40が、いずれも、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素Mの単体と、記録用のレーザビームLが照射されることにより、金属元素Mの単体と結合して、金属元素Mとの化合物の結晶を生成する元素Xとを、含み、これら第二の記録層30および第三の記録層40が、レーザビームLの光入射面に近いほど、厚さが薄く形成されていることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数の記録層を有する追記型の光記録媒体に関するものであり、とくに、複数の記録層を備え、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層に、所望のように、データを記録し、記録されたデータを再生することができ、かつ、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層にも、所望のように、データを記録し、記録されたデータを再生することができる光記録媒体に関するものである。
従来より、デジタルデータを記録するための記録媒体として、CDやDVDに代表される光記録媒体が広く利用されている。このような光記録媒体に要求される記録容量は年々増大し、光記録媒体の記録容量を増大させるために、種々の提案がなされている。
その一つとして、二層の記録層を備えた光記録媒体が提案されており、再生専用の光記録媒体であるDVD−VideoやDVD−ROMにおいて、すでに実用化されている。
このように、二層の記録層を備えた再生専用の光記録媒体は、記録層を構成するプリピットが表面に形成された2枚の基板が、中間層を介して、積層された構造を有している。
また、近年、ユーザによるデータの記録が可能な書き換え型の光記録媒体についても、二層の記録層を備えた光記録媒体が提案されている(特開2001−243655号公報参照)。
二層の記録層を備えた書き換え型の光記録媒体においては、記録膜と、記録膜を挟んで形成された誘電体膜(保護膜)とによって記録層が形成され、かかる構造を有する記録層が、中間層を介して、積層されている。
このような二層の記録層を備えた書き換え型の光記録媒体にデータを記録する場合には、レーザビームのフォーカスをいずれか一方の記録層に合わせ、レーザビームのパワーを再生パワーPrよりも十分に高レベルの記録パワーPwに設定して、レーザビームを記録層に照射することによって、記録層に含まれている記録膜の相状態を変化させて、記録層の所定の部分に記録マークを形成する。
こうして形成された記録マークは、記録マークが形成されていないブランク領域とは異なる反射率を有するため、レーザビームのフォーカスをいずれか一方の記録層に合わせ、パワーが再生パワーPrに設定されたレーザビームを記録層に照射し、記録層からの反射光の光量を検出することによって、記録層に記録されたデータを再生することができる。
このように、二層の記録層が形成された書き換え型光記録媒体においては、レーザビームのフォーカスをいずれか一方の記録層に合わせて、レーザビームをその記録層に照射して、その記録層にデータを記録し、その記録層に記録されたデータが再生されるように構成されているため、光入射面から遠い側の記録層(以下、「第一の記録層」という)に、データを記録し、記録されたデータを再生するときに、光入射面から近い側の記録層(以下、「第二の記録層」という)を介して、第一の記録層に、レーザビームが照射されることになる。
したがって、所望のように、第一の記録層にデータを記録し、第一の記録層に記録されたデータを再生するためには、第二の記録層が、レーザビームに対して、十分に高い光透過率を有していることが必要である。
特開2001−243655号公報
その一方で、第二の記録層に記録されたデータを再生したときに、高いC/N比を有する再生信号を得るためには、第二の記録層は、記録マークが形成された領域と、ブランク領域との間の反射率差が十分に大きい材料によって形成されていることが要求される。
同様な問題は、二層の記録層を有する追記型記録媒体においても生じ、第二の記録層には同様の特性が要求されている。
しかしながら、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外のすべての記録層が、レーザビームに対して、十分に高い光透過率を有し、かつ、記録マークが形成された領域と、ブランク領域との間の反射率差が十分に大きい特性を有する三層以上の記録層を備えたユーザによるデータの記録が可能な光記録媒体は開発されていなかった。
したがって、本発明は、複数の記録層を備え、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層に、所望のように、データを記録し、記録されたデータを再生することができ、かつ、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層にも、所望のように、データを記録し、記録されたデータを再生することができる光記録媒体を提供することを目的とするものである。
本発明のかかる目的は、基板と、基板上に、少なくとも中間層を介して、積層された三層以上の記録層を備え、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層が、いずれも、、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属Mと、記録用のレーザビームが照射されることにより、前記金属Mと結合して、前記金属Mとの化合物の結晶を生成する元素Xとを、含み、これら記録層が、前記レーザビームの光入射面に近いほど、厚さが薄く形成されていることを特徴とする光記録媒体によって達成される。
レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層は、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層にデータを記録し、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層に記録されたデータを再生するときに、レーザビームが透過する層であるから、レーザビームに対して十分な光透過率を有していることが必要である。
その一方で、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層に記録されたデータを再生するときには、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層によって反射され、光入射面から出射したレーザビームのパワーが検出されて、再生信号が生成されるから、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層は、記録されたデータを再生したときに、高いレベルの再生信号を得ることができるのに十分な反射率を有していることが必要である。
本発明者の研究によれば、かかる組成および厚さを有するように、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層を形成した場合には、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層が、いずれも、レーザビームに対して、十分な光透過率を有することが見出されている。
したがって、本発明によれば、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層に、データを記録する場合に、レーザビームが、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層に到達するまでに、レーザビームのパワーが低下することを最小限に抑制することができるから、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層に、所望のように、データを記録することが可能となり、一方、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層に記録されたデータを再生する場合にも、レーザビームのパワーが低下することを最小限に抑制することができるから、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層に記録されたデータを、所望のように、再生することが可能となる。
また、本発明者の研究によれば、かかる組成および厚さを有するように、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層を形成した場合には、レーザビームの光入射面から遠い記録層であるほど、レーザビームに対する反射率を高くすることができることが見出されており、したがって、本発明によれば、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層だけでなく、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層からも、データを、所望のように、再生することが可能となる。
本発明の好ましい実施態様においては、前記元素Xが、S、O、CおよびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。
S、O、CおよびNは、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素Mの単体と高い反応性を有しているため、元素Xとして、好ましく用いることができる。なかでも、6B族であるO、Sは、適度な反応性を有し、FやClのような7B族の元素のように、反応性が高すぎて、記録用のレーザビームを照射せずとも、金属元素Mと反応してしまうといった不具合がなく、とくに好ましい。
本発明の好ましい実施態様においては、前記金属Mと前記元素Xを含む記録層が、さらに、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素を含んでいる。
本発明において、金属Mと元素Xを含む記録層が、Mgを含んでいるときは、Mgの含有量は、18.5原子%ないし33.7原子%であることが好ましく、20原子%ないし33.5原子%であることが、さらに好ましく、Alを含んでいるときは、Alの含有量は、11原子%ないし40原子%であることが好ましく、18原子%ないし32原子%であることが、さらに好ましく、また、Tiを含んでいるときは、Tiの含有量は、8原子%ないし34原子%であることが好ましく、10原子%ないし26原子%であることが、さらに好ましい。
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記基板上に、第一の記録層と、第二の記録層と、第三の記録層を、この順に備え、前記第二の記録層が、15nmないし50nmの厚さを有し、前記第三の記録層の厚さ(D3)と、前記第二の記録層の厚さ(D2)との比(D3/D2)が0.40ないし0.70の関係を満たすように形成されている。
第二の記録層および第三の記録層は、データを記録する記録層としての役割を果たす必要があるため、それぞれ、同等のパワーの記録用レーザビームを照射して、第二の記録層と第三の記録層に、同様にして、データを記録できるように、第二の記録層のレーザビームの光吸収量と、第三の記録層のレーザビームの光吸収量が等しくなることが好ましい。
さらに、第二の記録層に記録されたデータと、第三の記録層に記録されたデータを、同様にして、再生するためには、レーザビームを、第二の記録層にフォーカスして、レーザビームを第三の記録層を介して、第二の記録層に照射したときの第二の記録層のレーザビームに対する反射率と、レーザビームを第三の記録層にフォーカスして、レーザビームを第三の記録層に照射したときの第三の記録層のレーザビームに対する反射率が等しくなることが好ましい。
本発明者の研究によれば、かかる組成および厚さを有するように、第二の記録層および第三の記録層を形成した場合には、第二の記録層のレーザビームの光吸収量と、第三の記録層のレーザビームの光吸収量がほぼ等しく、かつ、光記録媒体に照射されるレーザビームのパワー(光強度)に対して、各記録層の光吸収率が、10%ないし30%の十分な光吸収率を有するように、第二の記録層および第三の記録層を形成し得ることが見出されており、したがって、本発明によれば、第二の記録層および第三の記録層のいずれの記録層にも、所望のように、データを記録することが可能となる。
さらに、本発明者の研究によれば、かかる組成および厚さを有するように、第二の記録層および第三の記録層を、形成した場合には、第二の記録層の反射率と、第三の記録層の反射率がほぼ等しく、かつ、それぞれが十分な反射率を有するように、第二の記録層および第三の記録層を形成し得ることが見出されており、したがって、本発明によれば、第二の記録層および第三の記録層のいずれの記録層からも、データを、所望のように、再生することが可能となる。
本発明において、第三の記録層の厚さ(D3)と第二の記録層の厚さ(D2)との比(D3/D2)は、0.46ないし0.69の関係を満たすことが好ましく、0.50ないし0.63の関係を満たすことが、より好ましい。
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記基板上に、第一の記録層と、第二の記録層と、第三の記録層と、第四の記録層とを、この順に備え、第二の記録層が、20nmないし50nmの厚さを有し、前記第三の記録層の厚さ(D3)と、前記第二の記録層の厚さ(D2)との比(D3/D2)が0.48ないし0.93の関係を満たすように形成され、前記第四の記録層の厚さ(D4)と、前記第二の記録層の厚さ(D2)との比(D4/D2)が0.39ないし0.70の関係を満たすように形成されている。
本発明者の研究によれば、かかる組成および厚さを有するように、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層を、形成した場合には、第二の記録層のレーザビームの光吸収量、第三の記録層のレーザビームの光吸収量、および第四の記録層のレーザビームの光吸収量がほぼ等しく、かつ、光記録媒体に照射されるレーザビームのパワー(光強度)に対して、各記録層の光吸収率が、10%ないし20%の十分な光吸収率を有するように、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層を形成し得ることが見出されており、したがって、本発明によれば、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層のいずれの記録層にも、所望のように、データを記録することが可能となる。
さらに、本発明者の研究によれば、かかる組成および厚さを有するように、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層を、形成した場合には、第二の記録層の反射率、第三の記録層の反射率、および第四の記録層の反射率がほぼ等しく、かつ、それぞれが十分な反射率を有するように、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層を形成し得ることが見出されており、したがって、本発明によれば、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層のいずれの記録層からも、記録したデータを、所望のように、再生することが可能となる。
本発明においては、前記第三の記録層の厚さ(D3)と、前記第二の記録層の厚さ(D2)との比(D3/D2)が、0.50ないし0.90の関係を満たし、かつ、前記第四の記録層の厚さ(D4)と、前記第二の記録層の厚さ(D2)との比(D4/D2)が、0.39ないし0.65の関係を満たすように構成されることが、好ましく、前記第三の記録層の厚さ(D3)と、前記第二の記録層の厚さ(D2)との比(D3/D2)が、0.57ないし0.80の関係を満たし、かつ、前記第四の記録層の厚さ(D4)と前記第二の記録層の厚さ(D2)との比(D4/D2)が、0.42ないし0.54の関係を満たすように構成されることが、より好ましい。
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の記録層のうち、前記レーザビームの光入射面から最も遠い記録層が、Cuを主成分として含む第一の記録膜と、Siを主成分として含む第二の記録膜とを備えている。
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層が、Cuを主成分として含む第一の記録膜と、Siを主成分として含む第二の記録膜とを有しているから、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層に記録されたデータを再生したときの再生信号のノイズレベルを、より低く抑えることができ、また、記録前後の反射率差を大きくすることができ、さらに、光記録媒体を、長期間保存した場合にも、記録されたデータが劣化するのを防止することもでき、光記録媒体の信頼性を高めることが可能となる。
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記基板と、前記レーザビームの光入射面から最も遠い記録層との間に、反射膜が形成されている。
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層に記録されたデータを再生する場合に、光入射面側から入射されたレーザビームが、反射膜の表面によって反射され、反射膜によって反射されたレーザビームは、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層で反射されたレーザビームと相互干渉し、この結果、記録前と記録後の反射率差を大きくすることができ、したがって、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層に記録されたデータを、感度よく、再生することが可能となる。
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の記録層が、380nmないし450nmの波長を有するレーザビームを用いて、データの記録および再生が可能に構成されている。
金属Mと元素Xを含む記録層は、380nmないし450nmの波長を有するレーザビームに対して良好な光学特性を示すため、380nmないし450nmの波長を有するレーザビームを用いて、データが記録され、記録されたデータが再生されるのが好ましい。
本発明の前記目的はまた、基板と、基板上に、少なくとも中間層を介して、積層された三層以上の記録層を備え、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層が、いずれも、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属と、S、O、CおよびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素との混合物を主成分として含む誘電体材料に、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属が添加された材料を含み、これら記録層が、前記レーザビームの光入射面に近いほど、厚さが薄く形成されていることを特徴とする光記録媒体によって達成される。
本発明において、前記誘電体材料は、ZnS・SiOまたはLa・Si・O・Nを主成分として含んでいることが好ましい。
本発明によれば、複数の記録層を備え、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層に、所望のように、データを記録し、記録されたデータを再生することができ、かつ、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層にも、所望のように、データを記録し、記録されたデータを再生することができる光記録媒体を提供することができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略斜視図であり、図2は、図1のAで示された部分の略拡大断面図である。
図1に示されるように、本実施態様にかかる光記録媒体10は、約120mmの外径と、1.2mmの厚さを有する円板状に形成されており、図2に示されるように、支持基板11と、第一の記録層20と、第一の中間層12と、第二の記録層30と、第二の中間層13と、第三の記録層40と、光透過層15とを備えている。
第一の記録層20、第二の記録層30および第三の記録層40は、それぞれ、データを記録する記録層であり、本実施態様にかかる光記録媒体10は、三層の記録層を有している。
図2に示されるように、本実施態様にかかる光記録媒体10は、光透過層15にレーザビームLが照射されるように構成され、光透過層15の一方の表面によって、光入射面15aが構成されている。
図2に示されるように、第一の記録層20が、光入射面15aから最も遠い記録層を構成し、第三の記録層40が、光入射面15aに最も近い記録層を構成している。
第一の記録層20、第二の記録層30あるいは第三の記録層40にデータを記録し、第一の記録層20、第二の記録層30あるいは第三の記録層40に記録されたデータを再生する場合には、光入射面15a側から、380nmないし450nmの波長λを有する青色レーザビームLが照射され、その焦点が、第一の記録層20、第二の記録層30および第三の記録層40のいずれか1つに合わされる。
したがって、第一の記録層20にデータを記録し、第一の記録層20に記録されたデータを再生するときには、第二の記録層30および第三の記録層40を介して、第一の記録層20に、レーザビームLが照射され、第二の記録層30にデータを記録し、第二の記録層30に記録されたデータを再生するときには、第三の記録層40を介して、第二の記録層30に、レーザビームLが照射される。
支持基板11は、光記録媒体10に求められる機械的強度を確保するための支持体として、機能する。
支持基板11を形成するための材料は、光記録媒体10の支持体として機能することができれば、とくに限定されるものではない。支持基板11は、たとえば、ガラス、セラミックス、樹脂などによって、形成することができる。これらのうち、成形の容易性の観点から、樹脂が好ましく使用される。このような樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、加工性、表面粗度などの点から、ポリカーボネート樹脂がとくに好ましく、本実施態様においては、支持基板11は、ポリカーボネート樹脂によって形成されている。本実施態様においては、レーザビームLは、支持基板11とは反対側に位置する光入射面15aを介して、照射されるから、支持基板11が、光透過性を有していることは必要でない。
本実施態様においては、支持基板11は、約1.1mmの厚さを有している。
図2に示されるように、支持基板11の表面には、交互に、グルーブ11aおよびランド11bが形成されている。支持基板11の表面に形成されたグルーブ11aおよび/またはランド11bは、データを第一の記録層20に記録する場合およびデータを再生する場合において、レーザビームLのガイドトラックとして、機能する。
グルーブ11aの深さは、とくに限定されるものではないが、10nmないし40nmに設定することが好ましく、グルーブ11aのピッチは、とくに限定されるものではないが、0.2μmないし0.4μmに設定することが好ましい。
図2に示されるように、支持基板11の表面上には、第一の記録層20が形成されている。
図3は、第一の記録層20の構造を示す略拡大断面図である。
図3に示されるように、第一の記録層20は、支持基板11側から、反射膜21、第二の誘電体膜22、第一の記録膜23a、第二の記録膜23bおよび第一の誘電体膜24が積層されて、構成されている。
反射膜21は、光入射面15aから入射されるレーザビームLを反射し、再び、光入射面15aから出射させる役割を果たすとともに、レーザビームLの照射によって、第一の記録膜23aおよび第二の記録膜23bに生じた熱を効果的に放熱させる役割を果たす。
反射膜21を形成するための材料は、とくに限定されるものではないが、Mg、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ag、Pt、Auなどによって、形成することができる。これらのうちでは、Al、Au、Ag、Cuまたはこれらの合金が、高い反射率と高い熱伝導率を有しているため、反射膜21を形成するために、好ましく使用される。
反射膜21は、20nmないし200nmの厚さを有するように、形成されることが好ましい。反射膜21の厚さが20nm未満であると、反射膜21の反射率を十分に高くすることが困難になるとともに、第一の記録層20に生成された熱を放熱することが困難になり、その一方で、反射膜21の厚さが200nmを越えていると、反射膜21の成膜に長い時間を要するため、生産性を低下し、内部応力などによって、クラックが発生するおそれがある。
図3に示されるように、反射膜21の表面上には、第二の誘電体膜22が形成されている。
第二の誘電体膜22は、支持基板11の熱変形を防止する機能を有し、さらに、第一の誘電体膜24とともに、第一の記録膜23aおよび第二の記録膜23bを保護する保護膜として機能する。
第二の誘電体膜22を形成するための材料は、レーザビームLの波長領域において、透明な誘電体材料であれば、とくに限定されるものではなく、たとえば、酸化物、窒化物、硫化物、フッ化物、あるいは、これらの組み合わせを主成分とする誘電体材料によって、第二の誘電体膜22を形成することができ、第二の誘電体膜22は、好ましくは、Si、Ge、Zn、Al、Ta、Ti、Co、Zr、Pb、Ag、Sn、Ca、Ce、V、Cu、Fe、Mgよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含む酸化物、窒化物、硫化物、フッ化物、あるいは、これらの複合物によって形成される。第二の誘電体膜22を形成するための誘電体材料としては、ZnSとSiOの混合物がとくに好ましく、また、ZnSとSiOのモル比としては、50:50ないし85:15であることが好ましく、略80:20であることが、さらに好ましい。
図3に示されるように、第二の誘電体膜22の表面上には、第一の記録膜23aが形成され、さらに、その表面上には、第二の記録膜23bが形成されている。
第一の記録膜23aおよび第二の記録膜23bは、データを記録する膜である。
本実施態様においては、第一の記録膜23aはCuを主成分として含み、第二の記録膜23bはSiを主成分として含んでいる。
本明細書において、ある元素を主成分として含むとは、当該元素の含有量が50原子%ないし100原子%であることを意味する。
Cuを主成分として含む第一の記録膜23aには、Al、Zn、Sn、Mg、Auからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素が添加されていることが好ましい。これらの元素を、Cuを主成分として含む膜に添加した場合には、再生信号のノイズレベルを低下させることが可能になるとともに、長期間の保存に対する信頼性を向上させることが可能になる。
第一の記録膜23aおよび第二の記録膜23bは、その総厚が、2nmないし40nmとなるように形成されることが好ましい。
第一の記録膜23aおよび第二の記録膜23bの総厚が、2nm未満の場合には、レーザビームLを照射する前後の反射率の変化が少なくなり、高いC/N比の再生信号を得ることができなくなり、一方、第一の記録膜23aおよび第二の記録膜23bの総厚が、40nmを越えると、記録感度が悪化してしまう。
第一の記録膜23aおよび第二の記録膜23bのそれぞれの厚さは、とくに限定されるものではないが、第二の記録膜23bの厚さと、第一の記録膜23aの厚さとの比、すなわち、第二の記録膜23bの厚さ/第一の記録膜23aの厚さが、0.2ないし5.0であることが好ましい。
図3に示されるように、第二の記録膜23bの表面には、第一の誘電体膜24が形成されている。
第一の誘電体膜24は、第二の誘電体膜22と同様の材料によって形成することができる。
図2に示されるように、第一の記録層20の表面には、第一の中間層12が形成されている。
第一の中間層12は、第一の記録層20と第二の記録層30を物理的および光学的に十分な距離をもって離間させる機能を有している。
図2に示されるように、第一の中間層12の表面には、交互に、グルーブ12aおよびランド12bが形成されている。第一の中間層12の表面に形成されたグルーブ12aおよび/またはランド12bは、第二の記録層30にデータを記録する場合および第二の記録層30からデータを再生する場合において、レーザビームLのガイドトラックとして、機能する。
図2に示されるように、第一の中間層12の表面には、第二の記録層30が形成され、第二の記録層30の表面には、第二の中間層13が形成されている。
第二の中間層13は、第二の記録層30と第三の記録層40とを物理的および光学的に十分な距離をもって離間させる機能を有している。
図2に示されるように、第二の中間層13の表面には、交互に、グルーブ13aおよびランド13bが形成されている。第二の中間層13の表面に形成されたグルーブ13aおよび/またはランド13bは、第三の記録層40にデータを記録する場合および第三の記録層40からデータを再生する場合において、レーザビームLのガイドトラックとして、機能する。
グルーブ12a、13aの深さおよびピッチは、支持基板11の表面に設けられたグルーブ11aの深さおよびピッチと同程度に設定することができる。
第一の中間層12および第二の中間層13は、それぞれ、5μmないし50μmの厚さを有するように形成されることが好ましく、さらに好ましくは、10μmないし40μmの厚さを有するように、形成される。
第一の中間層12は、第一の記録層20にデータを記録し、第一の記録層20に記録されたデータを再生するときに、レーザビームLが通過し、第二の中間層13は、第一の記録層20にデータを記録し、第一の記録層20に記録されたデータを再生するとき、および、第二の記録層30にデータを記録し、第二の記録層30に記録されたデータを再生するときに、レーザビームLが通過するため、高い光透過率を有していることが必要である。
第一の中間層12および第二の中間層13を形成するための材料は、レーザビームに対する光透過性を有していれば、とくに限定されるものではないが、紫外線硬化性アクリル樹脂を用いることが好ましい。
図2に示されるように、第二の中間層13の表面には、第三の記録層40が形成されている。
第二の記録層30および第三の記録層40は、データを記録する層であり、それぞれ、単一の膜によって構成されている。
本実施態様において、第二の記録層30および第三の記録層40は、それぞれ、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属と、S、O、CおよびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素との混合物を主成分として含む誘電体材料に、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属が添加された材料を含んでおり、誘電体材料は、ZnS・SiOまたはLa・Si・O・Nを主成分として含むことが好ましい。ここに、本明細書において、ZnS・SiOは、ZnSおよびSiOの混合物を意味し、La・Si・O・Nは、La、Si、OおよびNの混合物を意味する。
具体的には、第二の記録層30および第三の記録層40が成膜されるに際して、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属が、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属と、S、O、CおよびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素との混合物を主成分として含む誘電体材料に対して、還元材として作用し、その結果、成膜後の第二の記録層30および第三の記録層40には、それぞれ、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属と、S、O、CおよびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素とが含まれることになる。
また、本実施態様においては、第二の記録層30および第三の記録層40は、略同一の組成を有している。本明細書において、略同一の組成を有するとは、ZnまたはLa金属の単体、およびSまたはOの元素について、第二の記録層30および第三の記録層40が同一の元素を含み、第二の記録層30と第三の記録層40との間におけるNi、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属と、S、O、CおよびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素との含有量の差が、±5原子%の範囲内であることを意味する。
本実施態様においては、第二の記録層30および第三の記録層40は、第二の記録層30および第三の記録層40の厚さを、それぞれ、D2およびD3とした場合に、D2>D3の関係が満たされるように、形成されている。
第二の記録層30は、第一の記録層20にデータを記録し、第一の記録層20に記録されたデータを再生するときに、レーザビームLが透過する層であるから、第一の記録層20にデータを記録し、第一の記録層20に記録されたデータを再生したときに、高いレベルの再生信号を得ることができるのに十分な光透過率を有していることが必要であり、第三の記録層40は、第一の記録層20または第二の記録層30にデータを記録し、第一の記録層20または第二の記録層30に記録されたデータを再生するときに、レーザビームLが透過する層であるから、第一の記録層20または第二の記録層30にデータを記録し、第一の記録層20または第二の記録層30に記録されたデータを再生したときに、高いレベルの再生信号を得ることができるのに十分な光透過率を有していることが必要である。
その一方で、第二の記録層30または第三の記録層40に記録されたデータを再生するときには、第二の記録層30または第三の記録層40によって反射され、光入射面15aから出射したレーザビームLの強度が検出されるから、第二の記録層30および第三の記録層40は、記録されたデータを再生したときに、高いレベルの再生信号を得ることができるのに十分な反射率を有していることが必要である。
本実施態様においては、第二の記録層30および第三の記録層40は、それぞれ、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属と、S、O、CおよびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素との混合物を主成分として含む誘電体材料に、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属が添加された材料を含むように形成されており、本発明者の研究によれば、こうした材料は、380nmないし450nmの波長λを有するレーザビームLに対する光透過率が高く、第一の記録層20の上層に形成される記録層を構成する材料として、非常に、好適であることが見出されている。
また、本実施態様においては、第二の記録層30および第三の記録層40の厚さが、D2>D3の関係を満たすように、第二の記録層30および第三の記録層40が形成されており、本発明者の研究によれば、かかる厚さを有するように、第二の記録層30および第三の記録層40を形成した場合には、第二の記録層30および第三の記録層40が、いずれも、レーザビームLに対して、より一層、高い光透過率を有することが見出されている。
したがって、本実施態様によれば、第一の記録層20に、データを記録する場合に、レーザビームLが、第一の記録層20に到達するまでに、レーザビームLのパワーが低下することを最小限に抑制することができるから、第一の記録層20に、所望のように、データを記録することが可能となり、一方、第一の記録層20に記録されたデータを再生する場合にも、レーザビームLのパワーが低下することを最小限に抑制することができるから、第一の記録層20に記録されたデータを、所望のように、再生することが可能となる。
また、本発明者の研究によれば、かかる組成および厚さを有するように、第二の記録層30および第三の記録層40を形成した場合には、光入射面15aから最も遠い記録層であるほど、レーザビームLに対する反射率を高くすることができることが見出されており、したがって、本実施態様によれば、第一の記録層20だけでなく、第二の記録層30および第三の記録層40からも、データを、所望のように、再生することが可能となる。
また、本実施態様においては、第二の記録層30は、15nmないし50nmの厚さを有するように形成されており、第三の記録層40は、第三の記録層40の厚さD3と、第二の記録層30の厚さD2との比D3/D2が、0.40ないし0.70の関係を満たすように形成されている。
第二の記録層30および第三の記録層40は、データを記録する記録層としての役割を果たす必要があるため、それぞれ、同等のパワーの記録用レーザビームを照射して、第二の記録層30および第三の記録層40に、同様にして、データが記録できるように、第二の記録層30のレーザビームLの光吸収量と、第三の記録層40のレーザビームLの光吸収量が等しくなることが好ましい。
さらに、第二の記録層30に記録されたデータと、第三の記録層40に記録されたデータを、同様にして、再生するためには、レーザビームLを第二の記録層30にフォーカスして、レーザビームLを第三の記録層40を介して、第二の記録層30に照射したときの第二の記録層30のレーザビームLに対する反射率と、レーザビームLを第三の記録層40にフォーカスして、レーザビームLを第三の記録層40に照射したときの第三の記録層40のレーザビームLに対する反射率が等しくなることが好ましい。
本発明者の研究によれば、第二の記録層30が、15nmないし50nmの厚さを有し、第三の記録層40の厚さD3と、第二の記録層30の厚さD2との比D3/D2が、0.40ないし0.70の関係を満たすように、第二の記録層30および第三の記録層40を形成した場合には、第二の記録層30のレーザビームの光吸収量、および第三の記録層40のレーザビームの光吸収量がほぼ等しく、かつ、光透過層15を介して、照射されるレーザビームのパワー(光強度)に対して、第二の記録層20および第三の記録層40の光吸収率が、10%ないし30%の十分な光吸収率を有するように、第二の記録層30および第三の記録層40を形成し得ることが見出されており、したがって、本実施態様によれば、第二の記録層30および第三の記録層40のいずれの記録層にも、所望のように、データを記録することが可能となる。
さらに、本発明者の研究によれば、かかる組成および厚さを有するように、第二の記録層30および第三の記録層40を形成した場合には、第二の記録層30の反射率および第三の記録層40の反射率がほぼ等しく、かつ、それぞれが十分な反射率を有するように、第二の記録層30および第三の記録層40を形成し得ることが見出されており、したがって、本実施態様によれば、第二の記録層30および第三の記録層40のいずれの記録層からも、データを、所望のように、再生することが可能となる。
図2に示されるように、第三の記録層40の表面には、光透過層15が形成されている。
光透過層15は、レーザビームを透過させる層であり、その一方の表面によって、光入射面15aが構成されている。
光透過層15は、30μmないし200μmの厚さを有するように形成されることが好ましい。
光透過層15を形成するための材料は、とくに限定されるものではないが、第一の中間層12および第二の中間層13と同様に、紫外線硬化性アクリル樹脂を用いることが好ましい。
光透過層15は、第一の記録層20、第二の記録層30あるいは第三の記録層40に、データを記録し、第一の記録層20、第二の記録層30あるいは第三の記録層40に記録されたデータを再生する場合に、レーザビームLが通過するため、十分に高い光透過性を有している必要がある。
以上のような構成を有する光記録媒体10は、次のようにして、製造される。
図4ないし図8は、光記録媒体10の製造方法を示す工程図である。
まず、図4に示されるように、スタンパ60を用いて、表面に、グルーブ11aおよびランド11bが形成された約1.1mmの厚さを有する支持基体11が、射出成形によって形成される。
次いで、図5に示されるように、グルーブ11aおよびランド11bが形成されている基板11の表面のほぼ全面に、スパッタリング法などの気相成長法によって、反射膜21、第二の誘電体膜22、第一の記録膜23a、第二の記録膜23bおよび第一の誘電体膜24が順次、形成されて、第一の記録層20が形成される。
次いで、図6に示されるように、第一の記録層20の表面上に、紫外線硬化性アクリル樹脂をスピンコーティング法によって、塗布して、塗膜を形成し、塗膜の表面に、スタンパ61を被せた状態で、スタンパ61を介して、紫外線を照射することによって、表面に、グルーブ12aおよびランド12bを有し、5μmないし50μmの厚さを有する第一の中間層12が形成される。
次いで、図7に示されるように、第一の中間層12の表面上に、第二の記録層30が形成される。
以下においては、説明の便宜上、一例として、第二の記録層30が、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属と、S、O、CおよびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素との混合物を主成分として含む誘電体材料のうち、ZnS・SiOまたはLa・Si・O・Nを主成分として含む誘電体材料に、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属が添加された材料を含むように形成される場合につき、説明を加える。
第一の中間層12の表面上に、ZnS・SiOまたはLa・Si・O・Nを主成分として含むターゲットと、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を主成分として含むターゲットとを用いて、スパッタリング法などの気相成長法により、15nmないし50nmの厚さを有する第二の記録層30が形成される。
こうして、ZnS・SiOまたはLa・Si・O・Nを主成分として含むターゲットと、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を主成分として含むターゲットとを用いて、スパッタリング法などの気相成長法により、第二の記録層30を形成したときには、第二の記録層30の成膜過程で、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属が、還元剤として作用し、この結果、第二の記録層30中に、ZnまたはLaの金属が、単体の形で存在することになる。
具体的には、たとえば、ターゲットとして、ZnS・SiOを主成分として含むターゲットと、Mgを主成分として含むターゲットを用いた場合には、Mgが、ZnS・SiOに含まれるZnSに対する還元剤として作用し、その結果として、第二の記録層30中に、Znが均等に分散される。したがって、Znが、単体の形で、第二の記録層30に含まれることになる。また、このとき、還元剤として用いられたMgは、ZnSから分離、あるいは、ZnSに含まれるSの一部と結合して、MgSを形成すると考えられる。
本実施態様において、第二の記録層30が、Mgを含んでいるときには、Mgの含有量は、18.5原子%ないし33.7原子%であることが好ましく、20原子%ないし33.5原子%であることが、さらに好ましく、Alを含んでいるときには、Alの含有量は、11原子%ないし40原子%であることが好ましく、18原子%ないし32原子%であることが、さらに好ましく、また、Tiを含んでいるときには、Tiの含有量は、8原子%ないし34原子%であることが好ましく、10原子%ないし26原子%であることが、さらに好ましい。
次いで、第二の記録層30の表面上に、紫外線硬化性アクリル樹脂をスピンコーティング法によって、塗布して、塗膜を形成し、塗膜の表面に、スタンパを被せた状態で、スタンパを介して、紫外線を照射することによって、表面に、グルーブ13aおよびランド13bが形成された第二の中間層13が形成される。
さらに、図8に示されるように、第二の中間層13の表面上に、第二の記録層30と同様にして、第三の記録層40の厚さD3と第二の記録層30の厚さD2との比D3/D2が、0.40ないし0.70を満たす厚さを有する第三の記録層40が形成される。
本実施態様においては、第二の記録層30と第三の記録層40は、略同じ組成を有しており、したがって、第三の記録層40を形成する際には、第二の記録層30を形成するのに用いたのと同じターゲットが用いられる。
さらに、図1に示されるように、第四の記録層50の表面上に、紫外線硬化性アクリル樹脂をスピンコーティング法によって、塗布して、塗膜を形成し、塗膜に、紫外線を照射して、紫外線硬化性アクリル樹脂を硬化させ、30μmないし200μmの厚さを有する光透過層15が形成される。
こうして、光記録媒体10が作製される。
以上のように構成された本実施態様にかかる光記録媒体10には、次のようにして、データが記録される。
本実施態様において、光記録媒体10にデータを記録するにあたっては、光透過層15の光入射面15aを介して、380nmないし450nmの波長λを有するレーザビームLが照射され、第一の記録層20、第二の記録層30および第三の記録層40のいずれかに、レーザビームLのフォーカスが合わせられる。
図9は、光記録媒体10の第一の記録層20、第二の記録層30あるいは第三の記録層40にデータを記録する際に、レーザビームLのパワーを制御するレーザパワー制御信号のパルス列パターンを示すダイアグラムである。
図9に示されるように、光記録媒体10の第一の記録層20、第二の記録層30あるいは第三の記録層40にデータを記録するのに用いるレーザパワー制御信号のパルス列パターンは、記録パワーPwに対応するレベル、中間パワーPmに対応するレベルおよび基底パワーPbに対応するレベルの3つのレベルの間で、レベルが変調されたパルスによって構成されている。記録パワーPw、中間パワーPmおよび基底パワーPbのパワーは、Pw>Pm≧Pbの関係を満たしており、これに対応して、パルス列パターンの3つのレベルも、決定されている。
第一の記録層20に、データを記録する場合には、図9に示されるパルス列パターンを有するレーザパワー制御信号にしたがって、レーザビームLのパワーが変調され、こうして、パワーが変調されたレーザビームLが、第一の記録層20にフォーカスされて、光透過層15、第三の記録層40および第二の記録層30を介して、第一の記録層20に照射される。
図10は、データが記録される前の第一の記録層20の略断面図であり、図11は、データが記録された後の第一の記録層20の略断面図である。
記録パワーPwに設定されたレーザビームLが、第一の記録層20に照射されると、第一の記録層20が加熱され、図11に示されるように、第一の記録膜23aに主成分として含まれる元素と、第二の記録膜23bに主成分として含まれる元素とが混合され、混合領域Mが形成される。この混合領域Mは、それ以外の領域と、レーザビームLに対する反射率が大きく異なるため、記録マークMとして、利用することができる。
本実施態様においては、略同一の組成を有し、それぞれが、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属と、S、O、CおよびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素との混合物を主成分として含む誘電体材料に、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属が添加された材料を含む第二の記録層30および第三の記録層40を備え、第二の記録層30が、15nmないし50nmの厚さを有し、第三の記録層40の厚さD3と、第二の記録層30の厚さD2との比D3/D2が、0.40ないし0.70の関係を満たすように、光記録媒体10が構成されているから、第二の記録層30および第三の記録層40が、レーザビームLに対して十分な光透過率を有しており、したがって、レーザビームLが、第三の記録層40および第二の記録層30を透過する際に、レーザビームLのパワーが低下することを最小限に抑制することができ、第一の記録層20に、所望のように、データを記録することが可能となる。
一方、第一の記録層20に記録されたデータを再生する場合にも、第三の記録層40および第二の記録層30を透過する際に、レーザビームLのパワーが低下することを最小限に抑制することができ、また、第一の記録層20で反射されたレーザビームLが、第二の記録層30および第三の記録層40を透過する際に、レーザビームLのパワーが低下することを最小限に抑制することが可能になるから、第一の記録層20に記録されたデータを、所望のように、再生することもできる。
さらに、本実施態様においては、第一の記録膜23aと支持基板11との間に、反射膜21が形成されているから、反射膜21によって反射されたレーザビームLと、第一の記録層20によって反射されたレーザビームLとが相互干渉し、その結果、記録前と記録後の反射率差を大きくすることができ、したがって、第一の記録層20に記録されたデータを、感度よく、再生することができる。
また、第二の記録層30に、データを記録する場合には、図9に示されるパルス列パターンを有するレーザパワー制御信号にしたがって、レーザビームLのパワーが変調され、こうして、パワーが変調されたレーザビームLが、第二の記録層30にフォーカスされ、光透過層15、第三の記録層40を介して、第二の記録層30に照射される。
こうして第二の記録層30に、レーザビームLが照射されると、第二の記録層30の相状態が変化して、第二の記録層30に、データが記録される。以下、具体的な記録のメカニズムについて、第二の記録層30が、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属と、S、O、CおよびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素との混合物を主成分として含む誘電体材料のうち、ZnS・SiOまたはLa・Si・O・Nを主成分として含む誘電体材料に、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属が添加された材料を含んでいる場合を例に挙げて説明する。
すなわち、パワーが記録パワーPwに設定されたレーザビームLが照射されると、第二の記録層30が加熱され、加熱された第二の記録層30の領域において、第二の記録層30に含まれる単体のZnまたはLaの金属が、SまたはOと反応して、結晶状態のZnSまたはLaとなり、さらに、結晶状態のZnSまたはLaの周辺に存在する非晶質状態のZnSまたはLaが、結晶状態のZnSまたはLaを核として、結晶成長する。こうして、結晶状態のZnSまたはLaが生成された領域は、それ以外の領域と、390nmないし450nmの波長λを有するレーザビームLに対する反射率が大きく異なるので、これを利用して、データを記録することが可能となる。
第三の記録層40に、データを記録する場合にも、第二の記録層30と同様にして、第三の記録層40に、レーザビームが照射され、データが記録される。
本実施態様においては、第二の記録層30が、15nmないし50nmの厚さを有し、第三の記録層40の厚さD3と、第二の記録層30の厚さD2との比D3/D2が、0.40ないし0.70の関係を満たすように、第二の記録層30および第三の記録層40を形成しているから、第二の記録層30のレーザビームの光吸収量および第三の記録層40のレーザビームの光吸収量がほぼ等しく、かつ、光透過層15を介して、照射されるレーザビームLのパワーに対して、第二の記録層30および第三の記録層40の光吸収率が、10%ないし30%の十分な光吸収率を有するように、第二の記録層30および第三の記録層40を形成することができ、したがって、第二の記録層30および第三の記録層40のいずれの記録層にも、データを、所望のように、記録することが可能となる。
ここに、レーザビームLの記録パワーPwのレベルは、データを記録する記録層ごとに設定される。
すなわち、第一の記録層20に、データを記録する場合には、レーザビームLを照射することによって、第一の記録膜23aに主成分として含まれる元素と、第二の記録膜23bに主成分として含まれる元素とが混合して、混合領域Mが確実に形成されるレベルに、レーザビームLの記録パワーPwが設定され、一方、第二の記録層30あるいは第三の記録層40に、データを記録する場合には、レーザビームLを照射することによって、第二の記録層30および第三の記録層40のそれぞれに含まれるZnまたはLaの金属と、SまたOの元素とが、結合して、確実に、ZnSあるいはLaが生成されるレベルに、レーザビームLの記録パワーPwが設定される。
また、中間パワーPmおよび基底パワーPbのレベルも、データを記録する記録層ごとに設定される。
すなわち、第一の記録層20に、データを記録する場合には、中間パワーPmあるいは基底パワーPbのレーザビームLが照射されても、第一の記録膜23aに主成分として含まれる元素と、第二の記録膜23bに主成分として含まれる元素とが混合することがないレベルに、中間パワーPmおよび基底パワーPbが設定され、第二の記録層30あるいは第三の記録層40に、データを記録する場合には、中間パワーPmあるいは基底パワーPbのレーザビームLが照射されても、第二の記録層30および第三の記録層40のそれぞれに含まれるZnまたはLaの金属と、SまたOの元素とが、結合することがないレベルに、中間パワーPmおよび基底パワーPbが設定される。
とくに、基底パワーPbのレベルは、記録パワーPwのレーザビームLが照射されて、加熱された領域が、レーザビームLのレベルが基底パワーPbに切り換えられることによって、速やかに冷却されるように、きわめて低いレベルに設定される。
図12は、本発明の別の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略斜視図であり、図13は、図12のBで示された部分の略拡大断面図である。
図13に示されるように、本実施態様にかかる光記録媒体100は、支持基板11と、支持基板11の表面上に形成された第一の記録層20と、第一の記録層20の表面上に形成された第一の中間層12と、第一の中間層12の表面上に形成された第二の記録層30と、第二の記録層30の表面上に形成された第二の中間層13と、第二の中間層13の表面上に形成された第三の記録層40と、第三の記録層40の表面上に形成された第三の中間層14と、第三の中間層14の表面上に形成された第四の記録層50と、第四の記録層50の表面上に形成された光透過層15とを備えており、第三の中間層14および第四の記録層50が形成され、記録層が四層構造を有している点を除き、図1および図2に示された光記録媒体10と同様の構成を有している。
第三の中間層14は、第三の記録層40と第四の記録層50とを物理的および光学的に十分な距離をもって離間させる役割を果たしている。
第三の中間層14の表面には、グルーブ14aおよびランド14bが形成されており、グルーブ14aおよびランド14bは、それぞれ、第四の記録層50に、データを記録し、第四の記録層50に記録されたデータを再生する場合に、レーザビームLのガイドトラックとして、機能する。
第三の中間層14を形成するための材料は、とくに限定されるものではないが、第二の中間層13および第一の中間層12と同様に、紫外線硬化性アクリル樹脂を用いることが好ましい。
第三の中間層14は、5μmないし50μmの厚さを有するように形成されることが好ましく、10μmないし40μmの厚さを有するように形成されることが、より好ましい。
第四の記録層50は、第二の記録層30および第三の記録層40と略同一の組成を有し、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属と、S、O、CおよびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素との混合物を主成分として含む誘電体材料に、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属が添加された材料を含むように形成されている。
第四の記録層50は、第二の記録層30および第三の記録層40と同様に、第三の中間層14の表面上に、ZnS・SiOまたはLa・Si・O・Nを主成分として含むターゲットと、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を主成分として含むターゲットとを用いて、スパッタリング法により、形成される。
また、本実施態様においては、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50の厚さは、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50の厚さを、それぞれ、D2、D3およびD4とした場合に、D2>D3>D4の関係が満たされるように、形成されている。
本発明者の研究によれば、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50の厚さが、かかる関係を満たすように、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50を形成した場合には、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50が、レーザビームLに対して十分な光透過率を有することが見出されており、したがって、本実施態様によれば、第一の記録層20に、データを記録する場合に、レーザビームLが、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50を透過する際に、レーザビームLのパワーが低下することを最小限に抑制することが可能になるから、第一の記録層20に、所望のように、データを記録することができ、一方、第一の記録層20に記録されたデータを再生する場合にも、レーザビームLが、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50を透過する際に、レーザビームLのパワーが低下することを最小限に抑制することができ、また、第一の記録層20によって反射されたレーザビームLが、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50を透過する際に、レーザビームLのパワーが低下することを最小限に抑制することが可能になるから、第一の記録層20に記録されたデータを、所望のように、再生することが可能となる。
また、本発明者の研究によれば、かかる組成および厚さを有するように、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50を形成した場合には、光入射面15aから遠い記録層であるほど、レーザビームLに対する反射率を高くすることができることが見出されており、したがって、本発明によれば、第一の記録層20だけでなく、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50からも、データを、所望のように、再生することが可能となる。
さらに、本実施態様においては、第二の記録層30が、20nmないし50nmの厚さを有し、第三の記録層40の厚さD3と、第二の記録層30の厚さD2との比D3/D2が、0.48ないし0.93の関係を満たし、さらに、第四の記録層50の厚さD4と、第二の記録層30の厚さD2との比D4/D2が、0.39ないし0.70の関係を満たすように、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50が形成されている。
本発明者の研究によれば、かかる組成および厚さを有するように、第二の記録層20、第三の記録層30および第四の記録層40を形成した場合には、第二の記録層30のレーザビームの光吸収量、第三の記録層40のレーザビームの光吸収量および第四の記録層50のレーザビームの光吸収量がほぼ等しく、かつ、光透過層15を介して、照射されるレーザビームLのパワーに対して、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50の光吸収率が、10%ないし20%の十分な光吸収率を有するように、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50を形成し得ることが見出されており、したがって、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50のいずれの記録層にも、データを、所望のように、記録することが可能となる。
さらに、本発明者の研究によれば、かかる組成および厚さを有するように、第二の記録層20、第三の記録層30および第四の記録層40を形成した場合には、第二の記録層30の反射率、第三の記録層40の反射率および第四の記録層50の反射率がほぼ等しく、かつ、それぞれが十分な反射率を有するように、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50を形成し得ることが見出されており、したがって、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50のいずれの記録層からも、記録したデータを、所望のように、再生することができる。
以下、本発明の効果をより明瞭なものとするため、実施例を掲げる。
実施例1
以下のようにして、光記録ディスクサンプル#1を作製した。
まず、射出成型法により、1.1mmの厚さと、120mmの直径を有し、その表面に、グルーブピッチが0.32μmとなるように、グルーブとランドが形成されたディスク状のポリカーボネート基板を作製した。
次いで、ポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、グルーブおよびランドが形成された表面上に、Ag、PdおよびCuの合金を主成分として含み、100nmを厚さを有する反射膜、ZnSとSiOの混合物を主成分として含み、39nmの厚さを有する第二の誘電体膜、Cuを主成分とし、23原子%のAlと13原子%のAuが添加された5nmの厚さを有する第一の記録膜、Siを主成分として含み、5nmの厚さを有する第二の記録膜および、ZnSとSiOの混合物を主成分として含み、20nmの厚さを有する第一の誘電体膜を、順次、スパッタリング法により形成し、第一の記録層を形成した。第一の誘電体膜および第二の誘電体膜に含まれたZnSとSiOの混合物中のZnSとSiOのモル比率は、80:20であった。
次いで、第一の記録層が形成されたポリカーボネート基板をスピンコート装置にセットし、ポリカーボネート基板を回転させながら、第一の記録層上に紫外線硬化性アクリル樹脂を、塗布して、塗膜を形成し、塗膜の表面に、グルーブおよびランドが形成されたスタンパを載置し、スタンパを介して、塗膜に、紫外線を照射して、紫外線硬化性アクリル樹脂を硬化させ、スタンパを剥離して、その表面に、グルーブピッチが0.32μmとなるように、グルーブとランドが形成された厚さ15μmの第一の中間層を形成した。
さらに、第一の中間層が形成された基板をスパッタリング装置にセットし、ZnSとSiOの混合物ターゲットおよびMgからなるターゲットを用いて、スパッタリング法により、35nmの厚さを有する第二の記録層を形成した。ここに、ZnSとSiOの混合物ターゲットは、ZnSとSiOのモル比が80:20の混合物を使用した。
第二の記録層中のZn、Si、Mg、OおよびSの含有量は、それぞれ、21.5原子%、10.1原子%、20.8原子%、20.1原子%および27.5原子%であった。
ここに、第二の記録層に含まれるZn、Si、Mg、OおよびSの含有量は、理学電気工業株式会社製の蛍光X線装置「RIX2000」(商品名)を用いて、Rh管の管電圧=50kV、管電流=50mAの条件で、X線を発生させ、FP法によって、測定した。ただし、Oはポリカーボネート基板中にも含まれているため、Oの含有量は、OがSiと結合して、SiOの状態にあると仮定して、Siの含有量の2倍の原子%とした。
次いで、第二の記録層の表面上に、第一の中間層を形成したのと同様にして、15μmの厚さを有する第二の中間層を形成し、さらに、第二の中間層の表面上に、第二の記録層の形成と同じ方法を用いて、第三の記録層を、スパッタリング法により、形成した。
第三の記録層の厚さは、16nmとし、第三の記録層の厚さD3と第二の記録層の厚さD2との比D3/D2を、0.46とした。
次いで、紫外線硬化性アクリル樹脂を、第三の記録層の表面上に、スピンコーティング法によって、塗布して、塗膜を形成し、塗膜に、紫外線を照射して、紫外線硬化性アクリル樹脂を硬化させ、70μmの厚さを有する光透過層を形成した。
こうして、光記録ディスクサンプル#1を作製した。
次いで、第三の記録層の厚さD3を、19nmとして、D3/D2を0.54とした点を除き、光記録ディスクサンプル#1と同様にして、光記録ディスクサンプル#2を作製した。
さらに、第三の記録層の厚さD3を、22nmとして、D3/D2を0.63とした点を除き、光記録ディスクサンプル#1と同様にして、光記録ディスクサンプル#3を作製した。
また、第三の記録層の厚さD3を、24nmとして、D3/D2を0.69とした点を除き、光記録ディスクサンプル#1と同様にして、光記録ディスクサンプル#4を作製した。
さらに、第三の記録層の厚さD3を、10nmとして、D3/D2を0.29とした点を除き、光記録ディスクサンプル#1と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#1を作製した。
また、第三の記録層の厚さD3を、13nmとして、D3/D2を0.37とした点を除き、光記録ディスクサンプル#1と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#2を作製した。
さらに、第三の記録層の厚さD3を、27nmとして、D3/D2を0.77とした点を除き、光記録ディスクサンプル#1と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#3を作製した。
次いで、光記録ディスクサンプル#1を、パルステック工業株式会社製の光記録媒体評価装置「DDU1000」(商品名)にセットして、第一の記録層、第二の記録層および第三の記録層に、それぞれ、405nmの波長を有するレーザビームを照射し、第一の記録層、第二の記録層および第三の記録層の反射率を測定した。
レーザビームのパワーは、1.0mWに設定し、開口数NAが0.85の対物レンズを用いて、第一の記録層、第二の記録層および第三の記録層に、それぞれ、レーザビームを照射した。
ここに、光記録ディスクサンプル#1が三層の記録層を有しており、第一の記録層に照射したレーザビームの反射成分中には、第一の記録層以外の第二の記録層および第三の記録層によって反射されたレーザビームも含まれているため、以下のようにして、第一の記録層以外の記録層からのレーザビームの反射成分を除去して、第一の記録層の反射率を算出した。
すなわち、まず、一つの記録層のみを有する光記録ディスクと、中間層を介して、積層された二層の記録層を有する光記録ディスクを準備し、中間層の厚みを変えて、各光記録ディスクにつき、下層側の記録層の反射率を測定し、測定した各光記録ディスクの反射率を比較した。
その結果、二層の記録層を有する光記録ディスクにつき、下層側の記録層の反射率を測定したところ、中間層の厚みが10μmの場合に、下層側の記録層の反射率のうちの8%が、上層側の記録層による反射成分であり、また、中間層の厚みが15μmの場合に、下層側の記録層の反射率のうちの2%が、上層側の記録層による反射成分であることが認められた。これらの結果をもとに、他の記録層によるレーザビームの反射成分を算出し、算出した反射成分を、第一の記録層に照射したレーザビームの反射成分中から除去することにより、第一の記録層の反射率を算出した。
さらに、第一の記録層の反射率、第二の記録層の反射率および第三の記録層の反射率のうち、反射率が最大であった反射率の値から、第一の記録層の反射率、第二の記録層の反射率および第三の記録層の反射率のうち、反射率が最小であった反射率の値を減じて、反射率差を算出した。
測定結果は、表1に示されている。
同様に、光記録ディスクサンプル#2ないし#4、および光記録ディスク比較サンプル#1ないし#3を、同じ光記録媒体評価装置に、順次、セットし、405nmの波長を有するレーザビームを照射して、各光記録ディスクサンプルにつき、第一の記録層の反射率R0、第二の記録層の反射率R1および第三の記録層の反射率R2を測定して、反射率差を算出した。
測定結果は、表1に示されている。
Figure 2005129192
表1に示されるように、D3/D2が、0.40ないし0.70の範囲内にある光記録ディスクサンプル#1ないし#4においては、第一の記録層、第二の記録層および第三の記録層の反射率R0、R1およびR2が、いずれも、3%を越え、十分な反射率を有しており、一方、反射率差も、それぞれ、2.6%、0.5%、1.3%および2.5%となり、いずれも、3.0%以下で、第一の記録層、第二の記録層および第三の記録層の反射率が、ほぼ等しくなることが判明した。
これに対して、D3/D2が、0.40ないし0.70の範囲外にある光記録ディスク比較サンプル#1ないし#3においては、光記録ディスク比較サンプル#1の第三の記録層の反射率R2が3%未満であり、反射率差も、光記録ディスク比較サンプル#1ないし#3で、それぞれ、6.5%、4.5%および4.1%で、いずれも3%を越え、第一の記録層、第二の記録層および第三の記録層の反射率に、ばらつきが認められた。
実施例2
以下のようにして、光記録ディスクサンプル#5を作製した。
まず、射出成型法により、1.1mmの厚さと、120mmの直径を有し、その表面に、グルーブピッチが0.32μmとなるように、グルーブとランドが形成されたディスク状のポリカーボネート基板を作製した。
次いで、ポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、グルーブおよびランドが形成された表面上に、Ag、PdおよびCuの合金を主成分として含み、100nmを厚さを有する反射膜、ZnSとSiOの混合物を主成分として含み、39nmの厚さを有する第二の誘電体膜、Cuを主成分とし、23原子%のAlと13原子%のAuが添加された5nmの厚さを有する第一の記録膜、Siを主成分として含み、5nmの厚さを有する第二の記録膜および、ZnSとSiOの混合物を主成分として含み、20nmの厚さを有する第一の誘電体膜を、順次、スパッタリング法により形成し、第一の記録層を形成した。第一の誘電体膜および第二の誘電体膜に含まれたZnSとSiOの混合物中のZnSとSiOのモル比率は、80:20であった。
次いで、実施例1と同様にして、第一の記録層の表面上に、グルーブおよびランドが形成された10μmの厚さを有する第一の中間層を形成した。
さらに、第一の記録層および第一の中間層が形成されたポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、ZnSとSiOの混合物ターゲットおよびMgからなるターゲットを用いて、スパッタリング法により、第一の中間層の表面上に、32nmの厚さを有する第二の記録層を形成した。ここに、ZnSとSiOの混合物ターゲットは、ZnSとSiOのモル比が80:20の混合物を使用した。
第二の記録層中のZn、Si、Mg、OおよびSの含有量は、それぞれ、21.5原子%、10.1原子%、20.8原子%、20.1原子%および27.5原子%であった。
次いで、第二の記録層の表面上に、第一の中間層を形成したのと同様にして、10μmの厚さを有する第二の中間層を形成し、さらに、第二の中間層の表面上に、第二の記録層の形成と同じ方法を用いて、24nmの厚さを有する第三の記録層を、スパッタリング法により、形成した。
次いで、第三の記録層の表面上に、第一の中間層を形成したのと同様にして、10μmの厚さを有する第三の中間層を形成し、さらに、第三の中間層の表面上に、第二の記録層を形成したのと同様にして、18nmの厚さを有する第四の記録層を、スパッタリング法により、形成した。
次いで、紫外線硬化性アクリル樹脂を、第四の記録層の表面上に、スピンコーティング法によって、塗布して、塗膜を形成し、塗膜に、紫外線を照射して、紫外線硬化性アクリル樹脂を硬化させ、85μmの厚さを有する光透過層を形成した。
こうして、光記録ディスクサンプル#5を作製した。
次いで、光記録ディスクサンプル#5を、実施例1で用いた光記録媒体評価装置にセットし、以下の条件で、光記録ディスクサンプル#5に、データを記録した。
波長が405nmの青色レーザビームを、記録用レーザビームとして用い、開口数NAが0.85の対物レンズを用いて、レーザビームを、光透過層を介して、第一の記録層に集光し、下記の記録信号条件で、(1、7)RLL変調方式における2Tの長さの記録マークおよび8Tの長さの記録マークを、それぞれ、光記録ディスクサンプル#5の第一の記録層に、形成した。
さらに、レーザビームを、光透過層を介して、第一の記録層に集光し、2Tないし8Tの長さの記録マークを、ランダムに組み合わせて、データを記録した。
レーザビームのパワーを変調するレーザパワー制御信号は、図9に示されるパルス列パターンを用い、レーザビームの記録パワーPwは、5mWに設定し、中間パワーは、4mWに設定し、基底パワーPbは、3mWに設定した。
次いで、レーザビームの記録パワーPwを、5mWないし12mWの範囲で、5mWから少しずつ、上げていき、順次、第一の記録層にデータを記録した。
変調方式:(1,7)RLL
記録線速度:5.3m/秒
記録方式:オングルーブ記録
次いで、上述の光記録媒体評価装置を用いて、光記録ディスクサンプル#5の第一の記録層に、再生パワーに設定されたレーザビームを照射して、第一の記録層のデータが記録されている2本のトラックに挟まれたトラックに記録されたデータを再生し、記録マークが形成されていない部分の反射率と、2Tの長さの記録マークを形成して記録したデータを、再生したときの再生信号のC/N比と、8Tの長さの記録マークを形成して記録したデータを、再生したのときの再生信号のC/N比と、2Tないし8Tの長さの記録マークをランダムに組み合わせて、記録したデータを再生したときのクロックジッタとを、それぞれ、測定した。
第一の記録層の反射率を測定するにあたっては、実施例1と同様に、第一の記録層にレーザビームを照射して測定した反射率から、他の層による反射分を除去して、求めた。
また、再生信号のC/N比の測定は、アドバンテスト株式会社製のスペクトラムアナライザー「スペクトラムアナライザーXK180」(商品名)を用いて、測定した。
また、クロックジッタは、タイムインターバルアナライザによって、再生信号の「ゆらぎσ」を求め、σ/Tw(Tw:クロックの1周期)により、算出した。また、クロックジッタの測定に際しては、リミットイコライザを使用し、ジッタの測定は、4msの時間で測定した。
データの再生にあたっては、405nmの波長を有するレーザビームおよび開口数NAが0.85の対物レンズを用い、再生用レーザビームのパワーは0.7mWとした。
測定結果は、表2に示されている。
表2には、記録パワーPwを5mWないし12mWの範囲で変化させて、光記録ディスクサンプル#5の第一の記録層に記録したデータを、再生したときに、最小のC/N比を得られたときの記録パワーPw、その記録パワーPwで、光記録ディスクサンプル#5の第一の記録層に記録したデータを再生したときの再生信号のC/N比およびジッタが示されている。
次いで、上述の光記録媒体評価装置を用いて、レーザビームを、光透過層を介して、光記録ディスクサンプル#5の第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層のそれぞれに、順次、集光し、(1、7)RLL変調方式における2Tの長さの記録マークおよび8Tの長さの記録マークを形成した。
さらに、レーザビームを、光記録ディスクサンプル#5の第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層のそれぞれに、順次、集光し、8Tの長さの記録マークを、ランダムに組み合わせて、データを記録した。
レーザビームのパワーを変調するレーザパワー制御信号は、図9に示されるパルス列パターンを用い、レーザビームの記録パワーPwは、5mWに設定し、中間パワーPmおよび基底パワーPbは、それぞれ、4mWと3mWに設定した。
次いで、レーザビームの記録パワーPwを、第一の記録層にデータを記録したときと同様に、5mWないし12mWの範囲で、5mWから少しずつ、上げていき、順次、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層にデータを記録した。
次いで、同じ光記録媒体評価装置を用いて、光記録ディスクサンプル#5の第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層のそれぞれに、再生パワーに設定されたレーザビームを、順次、照射し、記録マークが形成されていない部分の反射率と、2Tの長さの記録マークを形成して、記録したデータを再生したときの再生信号のC/N比と、8Tの長さの記録マークを形成して、記録したデータを再生したのときの再生信号のC/N比と、2Tないし8Tの長さの記録マークをランダムに組み合わせて、記録したデータを再生したときのクロックジッタとを、それぞれ、測定した。
データの再生にあたっては、第一の記録層に記録されたデータを再生したときと同様に、データが記録されている2本のトラックに挟まれたトラックに記録されたデータを再生した。
また、光記録ディスクサンプル#5の第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率は、第一の記録層の反射率と同様にして、求めた。
測定結果は、表2に示されている。
表2には、記録パワーPwを5mWないし12mWの範囲で変化させて、光記録ディスクサンプル#5の第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層のそれぞれに記録したデータを、再生したときに、最小のC/N比を得られたときの記録パワーPw、その記録パワーPwで記録したデータを再生したときの再生信号のC/N比およびジッタが示されている。
Figure 2005129192
表2に示されるように、記録マークが形成されていない部分における第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率は、それぞれ、4.6%、3.7%、5.4%および4.7%であり、光記録ディスクサンプル#5においては、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層が、いずれも、3.7%以上の反射率を有し、十分に高い反射率を有していることが判明した。
また、表2に示されるように、2Tの長さの記録マークあるいは8Tの長さの記録マークを形成して、記録したデータを再生したときの再生信号のC/N比は、光記録ディスクサンプル#5の第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層のいずれも、それぞれ、39dB以上、49dB以上で、高いC/N比の再生信号が得られることが判明した。
さらに、表2に示されるように、2Tないし8Tの長さを組み合わせた記録マークを形成して、記録したデータを再生したときの再生信号のジッタは、光記録ディスクサンプル#5の第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層のいずれにおいても、11%以下で、ジッタの低い再生信号が得られることが判明した。
次いで、オージェ分光分析装置、光学式膜厚測定装置および透過型電子顕微鏡を用いて、光記録ディスクサンプル#5の第四の記録層の状態を確認した。この結果、記録用のパワーに設定されたレーザビームが照射された第四の記録層の領域で、金属Znの存在と、金属Znと元素Sとの化合物の結晶成長が認められた。
本実施例においては、以下の分析と判断により、金属Znの存在が認められた状態を、第四の記録層に、金属Znが単体の形で含まれるとした。また、以下の分析と判断により、金属Znと元素Sの化合物の結晶成長が認められた状態を、金属Znと結合して、金属Znとの化合物の結晶を生成する元素Sが、第四の記録層に含まれるものとした。
具体的には、光記録ディスクサンプル#5と同様の構成を有する光記録ディスクサンプルを三つ作成し、三つの光記録ディスクサンプルの第四の記録層の一部に、光記録ディスクサンプル#5にデータを記録したのと同じようにして、データを記録した。
次いで、データが記録された三つの光記録ディスクサンプルのうちの一つにつき、カッターで切り込みを入れて、光透過層を剥がし、第四の記録層を露出させ、露出した第四の記録層の表面に、20nmの厚さを有し、Alを主成分として含む誘電体膜と、100nmの厚さを有し、Alを主成分として含む金属膜とを、スパッタリング法により、順次、形成した。ここに、誘電体膜を形成するのに、Alを用いるとともに、金属膜を形成するのに、Alを用いたのは、分析に影響しないように、第四の記録層に含まれる金属以外の材料を、金属膜と誘電体膜に使用する必要があるからである。また、金属膜を形成したのは、オージェ分光分析装置を用いた測定の際に、光記録ディスクサンプルが帯電するのを防止するためである。
次いで、誘電体膜および金属膜を形成した光記録ディスクサンプルの金属膜表面を、局部的にスパッタリングし、第四の記録層の表面の一部が露出するように、約2mmの孔を形成した。
次いで、データが記録された光記録ディスクサンプルにおいて、第四の記録層のデータが記録された領域と、第四の記録層のデータ未記録の領域につき、オージェ分光分析装置を用いて、エネルギースペクトルを測定した。ここに、エネルギースペクトルの測定に際しては、アルバック・ファイ株式会社製のオージェ分光分析装置「SAM680」を用い、測定条件を、加速電圧5kV、Tilt30deg、試料電流10nA、Arイオンビームスパッタエッチング加速電圧2kVに設定して、測定した。
こうして、第四の記録層のデータが記録された領域と、第四の記録層のデータ未記録の領域につき、エネルギースペクトルを測定した結果、データが未記録の領域では、金属のエネルギースペクトルと、化合物のエネルギースペクトルが混在していると思われるスペクトルとが存在し、一方、データが記録された領域では、化合物のエネルギースペクトルのみが認められた。
次いで、先の三つの光記録ディスクサンプルのうちの他の一つの光記録ディスクサンプルにカッターで切れ込みを入れて、光透過層、第四の記録層および中間層を切り離し、切り離した光透過層、第四の記録層および中間層を、紫外線硬化樹脂を用いて、光透過層をスライドガラスに接するようにして、スライドガラス上に接着させた。
こうして形成した光記録ディスクサンプルにおいて、第四の記録層のデータが記録された領域と、第四の記録層のデータ未記録の領域につき、光学式膜厚測定装置を用いて、405nmの波長を有するレーザビームに対する光吸収率を測定した。ここに、光吸収率の測定に際しては、steag ETA−OPTIK株式会社製の光学式膜厚測定装置「ETA−RT」(商品名)を用いた。
こうして、第四の記録層のデータが記録された領域と、第四の記録層のデータ未記録の領域につき、405nmの波長を有するレーザビームに対する光吸収率を測定した結果、データが未記録の領域では、17%の光吸収率を有し、一方、データが記録された領域では、13%の光吸収率を有することが認められた。光吸収率の減少は、金属Znの自由電子が光を多く吸収し、元素Sと化合物を作ることで、金属Znの自由電子の数が少なくなり、光の吸収が減ったため、光吸収率が小さくなったと考えられる。
このように、オージェ分光分析装置によるエネルギースペクトルの測定によって、データが未記録の領域において、金属のエネルギースペクトルと、化合物のエネルギースペクトルとが混在し、一方、データが記録された領域において、化合物のエネルギースペクトルのみが確認できたという結果が得られ、また、光学式膜厚測定装置による光吸収率の測定によって、データが記録された領域において、データが未記録の領域に比べて、光吸収率が低下したという結果が得られたため、これらの結果から、第四の記録層に金属Znの存在と、記録用のレーザビームを照射した第四の記録層の領域では、金属Znが元素Sと結合して、化合物の結晶が生成されたと判断した。
次いで、データが記録された三つの光記録ディスクサンプルのうちの残りの1つの光記録ディスクサンプルにつき、透過電子顕微鏡装置を用いて、記録マークの電子回折パターンを測定した。このとき透過電子顕微鏡は、日本電子株式会社製の「JEM−3010」(商品名)を用い、加速電圧は300kVに設定した。
ここでは、光記録ディスクサンプルを、ミクロトームを用いて切削し、透過電子顕微鏡用のサンプルを作成した。切断された断面において、第四の記録層の電子回折パターンを測定した結果、データが未記録の領域では、ZnSのブロードな回折リングが認められ、一方、データが記録された領域では、ZnSの回折スポットが認められた。これらの結果から、記録用のレーザビームを照射した第四の記録層の領域では、ZnSの結晶が生成されたと判断した。
実施例3
射出成型法により作製された1.1mmの厚さと、120mmの直径を有するディスク状のポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、ZnSとSiOの混合物ターゲットおよびMgからなるターゲットを用いて、スパッタリング法により、18nmの厚さを有する記録層を形成して、光記録ディスクサンプル#6を作製した。
ZnSとSiOの混合物ターゲットとしては、ZnSとSiOのモル比が80:20の混合物を使用した。
光記録ディスクサンプル#6の記録層中のZn、Si、Mg、OおよびSの含有量は、それぞれ、21.5原子%、10.1原子%、20.8原子%、20.1原子%および27.5原子%であった。
次いで、射出成型法により作製された1.1mmの厚さと、120mmの直径を有するディスク状のポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、ZnSとSiOの混合物ターゲットおよびMgからなるターゲットを用いて、スパッタリング法により、24nmの厚さを有する記録層を形成して、光記録ディスクサンプル#7を作製した。
ZnSとSiOの混合物ターゲットとしては、ZnSとSiOのモル比が80:20の混合物を使用した。
光記録ディスクサンプル#7の記録層中のZn、Si、Mg、OおよびSの含有量は、それぞれ、21.5原子%、10.1原子%、20.8原子%、20.1原子%および27.5原子%であった。
さらに、射出成型法により作製された1.1mmの厚さと、120mmの直径を有するディスク状のポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、ZnSとSiOの混合物ターゲットおよびMgからなるターゲットを用いて、スパッタリング法により、32nmの厚さを有する記録層を形成して、光記録ディスクサンプル#8を作製した。
ZnSとSiOの混合物ターゲットとしては、ZnSとSiOのモル比が80:20の混合物を使用した。
光記録ディスクサンプル#8の記録層中のZn、Si、Mg、OおよびSの含有量は、それぞれ、21.5原子%、10.1原子%、20.8原子%、20.1原子%および27.5原子%であった。
次いで、上述の光学式膜厚測定装置を用いて、光記録ディスクサンプル#6ないし#8に、レーザビームを照射し、光記録ディスクサンプル#6の記録層の光透過率T6、光記録ディスクサンプル#7の記録層の光透過率T7、および光記録ディスクサンプル#8の記録層の光透過率T8を、それぞれ、測定した。
測定結果は、表3に示されている。
Figure 2005129192
表3に示されるように、光記録ディスクサンプル#6の記録層の光透過率T6、光記録ディスクサンプル#7の記録層の光透過率T7、および光記録ディスクサンプル#8の記録層の光透過率T8は、それぞれ、80%、69%および63%であり、いずれも、60%を越える非常に高い光透過率を有していることが判明した。
実施例4
第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層を形成するに際し、ZnSとSiOの混合物を主成分として含むターゲットに代えて、モル比が20:30:50であるLa、SiOおよびSiの混合物を主成分として含むターゲットを用いた点、および、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の厚さを、それぞれ、28nm、18nmおよび15nmとした点を除き、光記録ディスクサンプル#5と同様にして、光記録ディスクサンプル#9を作製した。
ここに、光記録ディスクサンプル#9の第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層中のLa、Si、Mg、OおよびNの含有量は、それぞれ、6.2原子%、24.1原子%、23.1原子%、24.6原子%および22.0原子%であった。
ただし、Oはポリカーボネート基板中にも含まれているため、Oの含有量は、次のようにして求めた。
まず、光記録ディスクサンプル#9に含まれるNの含有量から、Si中のNと結合しているSiの含有量を求め、求めたSiの含有量を、光記録ディスクサンプル#9に含まれているSiの含有量から減算して、SiO中のSiの含有量を求め、これを2倍して、SiO中のOの含有量を求めた。
次いで、光記録ディスクサンプル#9に含まれるLaの含有量から、La中のLaと結合しているOの含有量を求め、これに、SiO中のSiと結合しているOの含有量を加算して、光記録ディスクサンプル#9に含まれるOの含有量を算出した。
次いで、同じ光記録媒体評価装置を用いて、光記録ディスクサンプル#9の第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層のそれぞれに、再生パワーに設定されたレーザビームを、順次、照射し、記録マークが形成されていない部分の反射率を測定した。ここに、レーザビームの再生パワーは、0.7mWに設定した。
測定結果は、表4に示されている。
光記録ディスクサンプル#9の第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率は、実施例1と同様にして、求めた。
Figure 2005129192
表4に示されるように、記録マークが形成されていない部分における第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率は、それぞれ、3.3%、4.3%、4.8%および3.6%であり、光記録ディスクサンプル#9においては、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層が、いずれも、3.0%以上の反射率を有し、十分に高い反射率を有していることが判明した。
次いで、オージェ分光分析装置、光学式膜厚測定装置および透過型電子顕微鏡を用い、実施例2と同様にして、光記録ディスクサンプル#9の第四の記録層の状態を確認した。この結果、記録用のパワーに設定されたレーザビームが照射された第四の記録層の領域で、金属Laの存在と、金属Laと元素Oとの化合物の結晶成長が認められた。
実施例5
まず、射出成型法により、1.1mmの厚さと、120mmの直径を有し、その表面に、グルーブピッチが0.32μmとなるように、グルーブとランドが形成されたディスク状のポリカーボネート基板を作製した。
次いで、ポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、グルーブおよびランドが形成された表面上に、Ag、PdおよびCuの合金を主成分として含み、100nmを厚さを有する反射膜、ZnSとSiOの混合物を主成分として含み、37nmの厚さを有する第二の誘電体膜、Cuを主成分として含み、5nmの厚さを有する第一の記録膜、Siを主成分として含み、5nmの厚さを有する第二の記録膜およびZnSとSiOの混合物を主成分として含み、20nmの厚さを有する第一の誘電体膜を、順次、スパッタ法により形成し、第一の記録層を形成した。第一の誘電体膜および第二の誘電体膜に含まれたZnSとSiOの混合物中のZnSとSiOのモル比率は、80:20であった。

次いで、第一の記録層が形成されたポリカーボネート基板をスピンコート装置にセットし、ポリカーボネート基板を回転させながら、第一の記録層上に紫外線硬化性アクリル樹脂を、塗布して、塗膜を形成し、塗膜の表面に、グルーブおよびランドが形成されたスタンパを載置し、スタンパを介して、塗膜に、紫外線を照射して、紫外線硬化性アクリル樹脂を硬化させ、スタンパを剥離して、その表面に、グルーブピッチが0.32μmとなるように、グルーブとランドが形成された厚さ15μmの第一の中間層を形成した。
次いで、第一の記録層および第一の中間層が形成されたポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、ZnSとSiOの混合物ターゲットおよびMgを主成分として含むターゲットを用いて、スパッタリング法により、第一の中間層上に、35nmの厚さを有する第二の記録層を形成した。
ここに、ZnSとSiOの混合物ターゲットは、ZnSとSiOのモル比が80:20の混合物を使用した。
また、第二の記録層中のZn、Si、Mg、OおよびSの含有量は、それぞれ、21.5原子%、10.1原子%、20.8原子%、20.1原子%および27.5原子%であった。
次いで、第二の記録層の表面上に、第一の中間層を形成したのと同様にして、15μmの厚さを有する第二の中間層を形成し、さらに、第二の中間層の表面上に、第二の記録層の形成と同じ方法を用いて、第三の記録層を形成した。
第三の記録層は、17nmの厚さを有するように形成し、第三の記録層の厚さD3と第二の記録層の厚さD2との比D3/D2を、0.49とした。
次いで、第三の記録層の表面上に、第一の中間層を形成したのと同様にして、15μmの厚さを有する第三の中間層を形成し、さらに、第三の中間層の表面上に、第二の記録層の形成と同じ方法を用いて、15nmの厚さを有する第四の記録層を形成した。
次いで、紫外線硬化性アクリル樹脂を、第四の記録層の表面上に、スピンコーティング法によって、塗布して、塗膜を形成し、塗膜に、紫外線を照射して、紫外線硬化性アクリル樹脂を硬化させ、70μmの厚さを有する光透過層を形成した。
こうして、光記録ディスクサンプル#10を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、20nmとして、D3/D2を0.57とした点を除き、光記録ディスクサンプル#10と同様にして、光記録ディスクサンプル#11を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、24nmとして、D3/D2を0.69とした点を除き、光記録ディスクサンプル#10と同様にして、光記録ディスクサンプル#12を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、28nmとして、D3/D2を0.80とした点を除き、光記録ディスクサンプル#10と同様にして、光記録ディスクサンプル#13を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、10nmとして、D3/D2を0.29とした点を除き、光記録ディスクサンプル#10と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#4を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、13nmとして、D3/D2を0.37とした点を除き、光記録ディスクサンプル#10と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#5を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、33nmとして、D3/D2を0.94とした点を除き、光記録ディスクサンプル#10と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#6を作製した。
次いで、光記録ディスクサンプル#10ないし#13ならびに光記録ディスク比較サンプル#4ないし#6を、実施例1と同じ光記録媒体評価装置に、順次、セットし、レーザビームを照射して、各光記録ディスクサンプルにつき、第一の記録層の反射率R0、第二の記録層の反射率R1、第三の記録層の反射率R2および第四の記録層の反射率R3を測定して、実施例1と同様にして、反射率差を算出した。
光記録ディスクサンプル#10ないし#13ならびに光記録ディスク比較サンプル#4ないし#6につき、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率は、実施例1と同様にして、他の層による反射分を除去して、求めた。
測定結果は、表5に示されている。
Figure 2005129192
表5に示されるように、ZnSとSiOの混合物ターゲットおよびMgを主成分として含むターゲットとを用いて、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層を形成した場合には、D3/D2が、0.49ないし0.80の範囲内にある光記録ディスクサンプル#10ないし#13においては、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率R0、R1、R2およびR3が、いずれも、3%を越え、十分に高い反射率を有しており、一方、反射率差も、それぞれ、1.2%、0.1%、1.6%および2.9%で、いずれも、3.0%以下であり、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率が、ほぼ、等しくなることが判明した。
これに対して、D3/D2が、0.49ないし0.80の範囲外にある光記録ディスク比較サンプル#4ないし#6においては、光記録ディスク比較サンプル#4および#5の第三の記録層の反射率R2が3%未満であり、反射率差も、光記録ディスク比較サンプル#4および#6においては、それぞれ、4.2%および3.7%で、いずれも3%を越え、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率に、ばらつきが認められた。
実施例6
第三の記録層の厚さD3を、20nmにするとともに、第四の記録層の厚さD4を、14nmとした点を除き、光記録ディスクサンプル#10と同様にして、光記録ディスクサンプル#14を作製した。ここに、第四の記録層の厚さD4と第二の記録層の厚さD2との比D4/D2は、0.40とした。
第四の記録層の厚さD4を、15nmとして、D4/D2を0.43とした点を除き、光記録ディスクサンプル#14と同様にして、光記録ディスクサンプル#15を作製した。
第四の記録層の厚さD4を、19nmとして、D4/D2を0.54とした点を除き、光記録ディスクサンプル#14と同様にして、光記録ディスクサンプル#16を作製した。
第四の記録層の厚さD4を、10nmとして、D4/D2を0.29とした点を除き、光記録ディスクサンプル#14と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#7を作製した。
第四の記録層の厚さD4を、25nmとして、D4/D2を0.71とした点を除き、光記録ディスクサンプル#14と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#8を作製した。
次いで、光記録ディスクサンプル#14ないし#16、ならびに光記録ディスク比較サンプル#7および#8を、実施例1と同じ光記録媒体評価装置に、順次、セットし、レーザビームを照射して、各光記録ディスクサンプルにつき、第一の記録層の反射率R0、第二の記録層の反射率R1、第三の記録層の反射率R2および第四の記録層の反射率R3を測定して、実施例1と同様にして、反射率差を算出した。
光記録ディスクサンプル#14ないし#16、ならびに光記録ディスク比較サンプル#7および#8につき、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率は、実施例1と同様にして、他の層による反射分を除去して、求めた。
測定結果は、表6に示されている。
Figure 2005129192
表6に示されるように、ZnSとSiOの混合物ターゲットと、Mgを主成分として含むターゲットとを用いて、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層を形成した場合には、D4/D2が、0.40ないし0.54の範囲内である光記録ディスクサンプル#14ないし#16においては、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率R0、R1、R2およびR3が、いずれも、3%を越えて、十分に高い反射率を有しており、一方、反射率差も、それぞれ、0.5%、0.3%および2.5%となり、いずれも、3.0%以下で、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率が、ほぼ、等しくなることが判明した。
これに対して、D4/D2が、0.40ないし0.54の範囲外である光記録ディスク比較サンプル#7および#8においては、光記録ディスク比較サンプル#7の第四の記録層の反射率R3が3%未満であり、反射率差も、光記録ディスク比較サンプル#8においては、5.6%となり、3%を越え、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率に、ばらつきが認められた。
実施例7
まず、光記録ディスクサンプル#10と同様の方法を用いて、基板、第一の記録層および第一の中間層を、順次、形成した。
次いで、第一の中間層が形成された基板をスパッタリング装置にセットし、ZnSとSiOの混合ターゲットと、Alを主成分として含むターゲットの両方を用いて、スパッタリング法により、28nmの厚さを有する第二の記録層を形成した。
ここに、ZnSとSiOの混合物ターゲットとしては、ZnSとSiOのモル比が80:20の混合物を使用した。
また、第二の記録層中のZn、Si、Al、OおよびSの含有量は、それぞれ、22.2原子%、9.8原子%、19.3原子%、19.6原子%および29.1原子%であった。
次いで、第二の記録層の表面上に、第一の中間層を形成したのと同様にして、15μmの厚さを有する第二の中間層を形成し、さらに、第二の中間層の表面上に、第二の記録層を形成したのと同様にして、スパッタリング法により、第三の記録層を形成した。
第三の記録層は、15nmの厚さを有するように形成し、第三の記録層の厚さD3と第二の記録層の厚さD2との比D3/D2を0.54とした。
次いで、第三の記録層の表面上に、第一の中間層を形成したのと同様にして、15μmの厚さを有する第三の中間層を形成し、さらに、第三の中間層の表面上に、第二の記録層を形成したのと同様にして、12nmの厚さを有する第四の記録層を、スパッタリング法により、形成した。
最後に、紫外線硬化性アクリル樹脂を、第四の記録層の表面上に、スピンコーティング法によって、塗布して、塗膜を形成し、塗膜に、紫外線を照射して、紫外線硬化性アクリル樹脂を硬化させ、70μmの厚さを有する光透過層を形成した。
こうして、光記録ディスクサンプル#17を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、18nmとして、D3/D2を0.64とした点を除き、光記録ディスクサンプル#17と同様にして、光記録ディスクサンプル#18を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、22nmとして、D3/D2を0.79とした点を除き、光記録ディスクサンプル#17と同様にして、光記録ディスクサンプル#19を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、10nmとして、D3/D2を0.36とした点を除き、光記録ディスクサンプル#17と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#9を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、27nmとして、D3/D2を0.96とした点を除き、光記録ディスクサンプル#17と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#10を作製した。
次いで、光記録ディスクサンプル#17ないし#19、ならびに光記録ディスク比較サンプル#9および#10を、実施例1と同じ光記録媒体評価装置に、順次、セットし、レーザビームを照射して、各光記録ディスクサンプルにつき、第一の記録層の反射率R0、第二の記録層の反射率R1、第三の記録層の反射率R2および第四の記録層の反射率R3を測定して、実施例1と同様にして、反射率差を算出した。
光記録ディスクサンプル#17ないし#19、ならびに光記録ディスク比較サンプル#9および#10につき、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率は、実施例1と同様にして、他の層による反射分を除去して、求めた。
測定結果は、表7に示されている。
Figure 2005129192
表7に示されるように、ZnSとSiOの混合物ターゲットと、Alを主成分として含むターゲットとを用いて、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層を形成した場合には、D3/D2が、0.54ないし0.79の範囲内である光記録ディスクサンプル#17ないし#19においては、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率R0、R1、R2およびR3が、いずれも、3%を越えて、十分に高い反射率を有しており、一方、反射率差も、それぞれ、0.7%、0.8%および2.4%で、いずれも、3.0%以下であり、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率が、ほぼ、等しくなることが判明した。
これに対して、D3/D2が、0.54ないし0.79の範囲外である光記録ディスク比較サンプル#9および#10においては、光記録ディスク比較サンプル#9の第三の記録層の反射率R2が3%未満であり、反射率差も、光記録ディスク比較サンプル#10で、4.2%となり、3%を越え、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率に、ばらつきが認められた。
実施例8
第三の記録層の厚さD3を、16.4nmにするとともに、第四の記録層の厚さD4を、11nmとした点を除き、光記録ディスクサンプル#17と同様にして、光記録ディスクサンプル#20を作製した。ここに、第四の記録層の厚さD4と第二の記録層の厚さD2との比D4/D2は、0.39とした。
第四の記録層の厚さD4を、13nmとして、D4/D2を0.46とした点を除き、光記録ディスクサンプル#20と同様にして、光記録ディスクサンプル#21を作製した。
第四の記録層の厚さD4を、16nmとして、D4/D2を0.57とした点を除き、光記録ディスクサンプル#20と同様にして、光記録ディスクサンプル#22を作製した。
第四の記録層の厚さD4を、10nmとして、D4/D2を0.36とした点を除き、光記録ディスクサンプル#20と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#11を作製した。
第四の記録層の厚さD4を、21nmとして、D4/D2を0.75とした点を除き、光記録ディスクサンプル#20と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#12を作製した。
第四の記録層の厚さD4を、25nmとして、D4/D2を0.89とした点を除き、光記録ディスクサンプル#20と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#13を作製した。
次いで、光記録ディスクサンプル#20ないし#22、ならびに光記録ディスク比較サンプル#11ないし#13を、実施例1と同じ光記録媒体評価装置に、順次、セットし、レーザビームを照射して、各光記録ディスクサンプルにつき、第一の記録層の反射率R0、第二の記録層の反射率R1、第三の記録層の反射率R2および第四の記録層の反射率R3を測定して、実施例1と同様にして、反射率差を算出した。
光記録ディスクサンプル#20ないし#22、ならびに光記録ディスク比較サンプル#11ないし#13につき、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率は、実施例1と同様にして、他の層による反射分を除去して、求めた。
測定結果は、表8に示されている。
Figure 2005129192
表8に示されるように、ZnSとSiOの混合物ターゲットと、Alを主成分として含むターゲットとを用いて、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層を形成した場合には、D4/D2が、0.39ないし0.57の範囲内である光記録ディスクサンプル#20ないし#22においては、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率R0、R1、R2およびR3が、いずれも、3%を越えて、十分に高い反射率を有しており、反射率差も、それぞれ、0.7%、0.6%および2.6%となり、いずれも、3.0%未満であり、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層のそれぞれの反射率が、ほぼ、等しくなることが判明した。
これに対して、D4/D2が、0.39ないし0.57の範囲外である光記録ディスク比較サンプル#11ないし#13においては、光記録ディスク比較サンプル#11の第四の記録層の反射率R3、光記録ディスク比較サンプル#12の第二の記録層、第三の記録層の反射率R1、R2、ならびに、光記録ディスク比較サンプル#13の第一の記録層、第二の記録層および第三の記録層の反射率R0、R1およびR2が、3%未満であり、反射率差についても、光記録ディスク比較サンプル#12および#13においては、それぞれ、5.6%および7.7%となり、いずれも3%を越えて、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率に、ばらつきが認められた。
実施例9
まず、光記録ディスクサンプル#10と同様の方法を用いて、ポリカーボネート基板、第一の記録層および第一の中間層を、順次、形成した。
次いで、第一の中間層が形成されたポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、ZnSとSiOの混合ターゲットと、Znを主成分として含むターゲットの両方を用いて、スパッタリング法により、21.2nmの厚さを有する第二の記録層を形成した。
ZnSとSiOの混合物ターゲットとしては、ZnSとSiOのモル比が80:20の混合物を使用した。
また、第二の記録層中のZn、Si、OおよびSの含有量は、それぞれ、42.1原子%、9.7原子%、18.4原子%および29.8原子%であった。
次いで、第二の記録層の表面上に、第一の中間層を形成したのと同様にして、15μmの厚さを有する第二の中間層を形成し、さらに、第二の中間層の表面上に、第二の記録層を形成したのと同様にして、スパッタリング法により、第三の記録層を形成した。
第三の記録層は、12nmの厚さを有するように形成し、第三の記録層の厚さD3と第二の記録層の厚さD2との比D3/D2を0.57とした。
次いで、第三の記録層の表面上に、第一の中間層を形成したのと同様にして、15μmの厚さを有する第三の中間層を形成し、さらに、第三の中間層の表面上に、第二の記録層を形成したのと同様にして、10.8nmの厚さを有する第四の記録層を、スパッタリング法により、形成した。
最後に、紫外線硬化性アクリル樹脂を、第四の記録層の表面上に、スピンコーティング法によって、塗布して、塗膜を形成し、塗膜に、紫外線を照射して、紫外線硬化性アクリル樹脂を硬化させ、70μmの厚さを有する光透過層を形成した。
こうして、光記録ディスクサンプル#23を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、14nmとして、D3/D2を0.66とした点を除き、光記録ディスクサンプル#23と同様にして、光記録ディスクサンプル#24を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、16nmとして、D3/D2を0.75とした点を除き、光記録ディスクサンプル#23と同様にして、光記録ディスクサンプル#25を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、19nmとして、D3/D2を0.90とした点を除き、光記録ディスクサンプル#23と同様にして、光記録ディスクサンプル#26を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、10nmとして、D3/D2を0.47とした点を除き、光記録ディスクサンプル#23と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#14を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、21nmとして、D3/D2を0.99とした点を除き、光記録ディスクサンプル#23と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#15を作製した。
次いで、光記録ディスクサンプル#23ないし#26、ならびに光記録ディスク比較サンプル#14および#15を、実施例1と同じ光記録媒体評価装置に、順次、セットし、レーザビームを照射して、各光記録ディスクサンプルにつき、第一の記録層の反射率R0、第二の記録層の反射率R1、第三の記録層の反射率R2および第四の記録層の反射率R3を測定して、実施例1と同様にして、反射率差を算出した。
光記録ディスクサンプル#23ないし#26、ならびに光記録ディスク比較サンプル#14および#15につき、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率は、実施例1と同様にして、他の層による反射分を除去して、求めた。
測定結果は、表9に示されている。
Figure 2005129192
表9に示されるように、ZnSとSiOの混合物ターゲットと、Znを主成分として含むターゲットとを用いて、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層を形成した場合には、D3/D2が、0.57ないし0.90の範囲内である光記録ディスクサンプル#23ないし#26においては、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率R0、R1、R2およびR3が、いずれも、3%を越えて、十分に高い反射率を有しており、反射率差も、それぞれ、1.2%、0.0%および1.1%となり、いずれも、3.0%未満であり、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率が、ほぼ、等しくなることが判明した。
これに対して、D3/D2が、0.57ないし0.90の範囲外である光記録ディスク比較サンプル#14および#15においては、光記録ディスク比較サンプル#14の第三の記録層の反射率R2が3%未満であり、反射率差についても、光記録ディスク比較サンプル#15で、3.8%となり、3%を越えて、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率に、ばらつきが認められた。
実施例10
第三の記録層の厚さD3を、14nmにするとともに、第四の記録層の厚さD4を、9nmとした点を除き、光記録ディスクサンプル#23と同様にして、光記録ディスクサンプル#27を作製した。ここに、第四の記録層の厚さD4と第二の記録層の厚さD2との比D4/D2は、0.42とした。
第四の記録層の厚さD4を、11nmとして、D4/D2を0.52とした点を除き、光記録ディスクサンプル#27と同様にして、光記録ディスクサンプル#28を作製した。
第四の記録層の厚さD4を、14.5nmとして、D4/D2を0.68とした点を除き、光記録ディスクサンプル#27と同様にして、光記録ディスクサンプル#29を作製した。
第四の記録層の厚さD4を、8nmとして、D4/D2を0.38とした点を除き、光記録ディスクサンプル#27と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#16を作製した。
第四の記録層の厚さD4を、16nmとして、D4/D2を0.75とした点を除き、光記録ディスクサンプル#27と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#17を作製した。
次いで、光記録ディスクサンプル#27ないし#29、ならびに光記録ディスク比較サンプル#16および#17を、実施例1と同じ光記録媒体評価装置に、順次、セットし、レーザビームを照射して、各光記録ディスクサンプルにつき、第一の記録層の反射率R0、第二の記録層の反射率R1、第三の記録層の反射率R2および第四の記録層の反射率R3を測定して、実施例1と同様にして、反射率差を算出した。
光記録ディスクサンプル#27ないし#29、ならびに光記録ディスク比較サンプル#16および#17につき、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率は、実施例1と同様にして、他の層による反射分を除去して、求めた。
測定結果は、表10に示されている。
Figure 2005129192
表10に示されるように、ZnSとSiOの混合物ターゲットと、Znを主成分として含むターゲットとを用いて、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層を形成した場合には、D4/D2が、0.42ないし0.68の範囲内である光記録ディスクサンプル#27ないし#29においては、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率R0、R1、R2およびR3が、いずれも、3%を越えて、十分に高い反射率を有しており、反射率差も、それぞれ、1.3%、0.3%および2.9%となり、いずれも、3.0%未満であり、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層のそれぞれの反射率が、ほぼ、等しくなることが判明した。
これに対して、D4/D2が、0.42ないし0.68の範囲外である光記録ディスク比較サンプル#16および#17においては、光記録ディスク比較サンプル#16の第四の記録層の反射率R3が3%未満であり、反射率差についても、光記録ディスク比較サンプル#17で、4.3%となり、3%を越えて、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率に、ばらつきが認められた。
実施例11
まず、光記録ディスクサンプル#10と同様の方法を用いて、ポリカーボネート基板、第一の記録層および第一の中間層を、順次、形成した。
次いで、第一の中間層が形成されたポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、SiO、SiおよびLaの混合物ターゲットと、Mgを主成分として含むターゲットの両方を用いて、スパッタリング法により、40nmの厚さを有する第二の記録層を形成した。
ここに、SiO、SiおよびLaの混合物ターゲットとしては、モル比が30:50:20の混合物を使用した。
また、第二の記録層中のLa、Si、Mg、OおよびNの含有量は、それぞれ、6.2原子%、24.1原子%、23.1原子%、24.6原子%および22.0原子%であった。
次いで、第二の記録層の表面上に、第一の中間層を形成したのと同様にして、15μmの厚さを有する第二の中間層を形成し、さらに、第二の中間層の表面上に、第二の記録層を形成したのと同様にして、スパッタリング法により、第三の記録層を形成した。
第三の記録層は、20nmの厚さを有するように形成し、第三の記録層の厚さD3と第二の記録層の厚さD2との比D3/D2を0.50とした。
次いで、第三の記録層の表面上に、第一の中間層を形成したのと同様にして、15μmの厚さを有する第三の中間層を形成し、さらに、第三の中間層の表面上に、第三の記録層を形成したのと同様にして、19nmの厚さを有する第四の記録層を、スパッタリング法により、形成した。
最後に、紫外線硬化性アクリル樹脂を、第四の記録層の表面上に、スピンコーティング法によって、塗布して、塗膜を形成し、塗膜に、紫外線を照射して、紫外線硬化性アクリル樹脂を硬化させ、70μmの厚さを有する光透過層を形成した。
こうして、光記録ディスクサンプル#30を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、25nmとして、D3/D2を0.63とした点を除き、光記録ディスクサンプル#30と同様にして、光記録ディスクサンプル#31を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、30nmとして、D3/D2を0.75とした点を除き、光記録ディスクサンプル#30と同様にして、光記録ディスクサンプル#32を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、37nmとして、D3/D2を0.93とした点を除き、光記録ディスクサンプル#30と同様にして、光記録ディスクサンプル#33を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、13nmとして、D3/D2を0.33とした点を除き、光記録ディスクサンプル#30と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#18を作製した。
第三の記録層の厚さD3を、42nmとして、D3/D2を1.05とした点を除き、光記録ディスクサンプル#30と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#19を作製した。
次いで、光記録ディスクサンプル#30ないし#33、ならびに光記録ディスク比較サンプル#18および#19を、実施例1と同じ光記録媒体評価装置に、順次、セットし、レーザビームを照射して、各光記録ディスクサンプルにつき、第一の記録層の反射率R0、第二の記録層の反射率R1、第三の記録層の反射率R2および第四の記録層の反射率R3を測定して、実施例1と同様にして、反射率差を算出した。
光記録ディスクサンプル#30ないし#33、ならびに光記録ディスク比較サンプル#18および#19につき、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率は、実施例1と同様にして、他の層による反射分を除去して、求めた。
測定結果は、表11に示されている。
Figure 2005129192
表11に示されるように、SiO、SiおよびLaの混合物ターゲットと、Mgを主成分として含むターゲットとを用いて、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層を形成した場合には、D3/D2が、0.50ないし0.95の範囲内である光記録ディスクサンプル#30ないし#33においては、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率R0、R1、R2およびR3が、いずれも、3%を越えて、十分に高い反射率を有しており、反射率差も、それぞれ、1.2%、0.3%、1.6%および2.9%で、いずれも、3.0%未満であり、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層のそれぞれの反射率が、ほぼ、等しくなることが判明した。
これに対して、D3/D2が、0.50ないし0.95の範囲外である光記録ディスク比較サンプル#18および#19においては、光記録ディスク比較サンプル#18の第三の記録層の反射率R2が3%未満であり、反射率差についても、光記録ディスク比較サンプル#18および#19で、それぞれ、3.5%および3.4%となり、3%を越えて、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率に、ばらつきが認められた。
実施例12
第三の記録層の厚さD3を、24nmにするとともに、第四の記録層の厚さD4を、16nmとした点を除き、光記録ディスクサンプル#30と同様にして、光記録ディスクサンプル#34を作製した。ここに、第四の記録層の厚さD4と第二の記録層の厚さD2との比D4/D2は、0.40とした。
第四の記録層の厚さD4を、19nmとして、D4/D2を0.48とした点を除き、光記録ディスクサンプル#34と同様にして、光記録ディスクサンプル#35を作製した。
第四の記録層の厚さD4を、22nmとして、D4/D2を0.55とした点を除き、光記録ディスクサンプル#34と同様にして、光記録ディスクサンプル#36を作製した。
第四の記録層の厚さD4を、26nmとして、D4/D2を0.65とした点を除き、光記録ディスクサンプル#34と同様にして、光記録ディスクサンプル#37を作製した。
第四の記録層の厚さD4を、13nmとして、D4/D2を0.33とした点を除き、光記録ディスクサンプル#34と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#20を作製した。
第四の記録層の厚さD4を、30nmとして、D4/D2を0.75とした点を除き、光記録ディスクサンプル#34と同様にして、光記録ディスク比較サンプル#21を作製した。
次いで、光記録ディスクサンプル#34ないし#37、ならびに光記録ディスク比較サンプル#20および#21を、実施例1と同じ光記録媒体評価装置に、順次、セットし、レーザビームを照射して、各光記録ディスクサンプルにつき、第一の記録層の反射率R0、第二の記録層の反射率R1、第三の記録層の反射率R2および第四の記録層の反射率R3を測定して、実施例1と同様にして、反射率差を算出した。
光記録ディスクサンプル#34ないし#37、ならびに光記録ディスク比較サンプル#20および#21につき、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率は、実施例1と同様にして、他の層による反射分を除去して、求めた。
測定結果は、表12に示されている。
Figure 2005129192
表12に示されるように、SiO、SiおよびLaの混合物ターゲットと、Mgを主成分として含むターゲットとを用いて、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層を形成した場合には、D4/D2が、0.40ないし0.65の範囲内である光記録ディスクサンプル#34ないし#37においては、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率R0、R1、R2およびR3が、いずれも、3%を越えて、十分に高い反射率を有しており、反射率差も、それぞれ、1.2%、0.1%、1.3%および2.9%となり、いずれも、3.0%未満であり、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率が、ほぼ、等しくなることが判明した。
これに対して、D4/D2が、0.40ないし0.65の範囲外である光記録ディスク比較サンプル#20および#21においては、光記録ディスク比較サンプル#20の第四の記録層の反射率R3が3%未満であり、反射率差についても、光記録ディスク比較サンプル#21においては、4.2%となり、3%を越えて、第一の記録層、第二の記録層、第三の記録層および第四の記録層の反射率に、ばらつきが認められた。
本発明は、以上の実施態様および実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
たとえば、図1および図2に示された実施態様においては、光記録媒体10は、基板11と、光透過層15と、基板11および光透過層15の間に形成された三つの記録層第一の記録層20、第二の記録層30および第三の記録層40を備え、図12および図13に示された実施態様においては、光記録媒体100は、基板11と、光透過層15と、基板11および光透過層15の間に形成された四つの記録層第一の記録層20、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50を備えているが、本発明は、三層の記録層を有する光記録媒体および四層の記録層を有する光記録媒体に限定されるものではなく、広く、三層以上の記録層を有する光記録媒体に適用するすることができる。
また、図1および図2、図12および図13に示される実施態様においては、第二の記録層30および第三の記録層40、あるいは第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50に、ZnまたはLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属の単体を含ませるために、還元剤として、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を主成分として含むターゲットを用い、第二の記録層30および第三の記録層40、あるいは第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50を形成しているが、これに限られるものではなく、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を主成分として含むターゲットに代えて、ZnまたはLa主成分として含むターゲットを用いたスパッタリング法により、第二の記録層30および第三の記録層40、あるいは第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50を形成して、第二の記録層30および第三の記録層40、あるいは第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50に、ZnまたはLaの金属の単体を含ませるようにしてもよい。
また、図1および図2、図12および図13に示される実施態様においては、第一の記録層20が、Cuを主成分として含む第一の記録膜23aと、Siを主成分として含む第二の記録膜23bとを有するように形成されているが、第一の記録層20を、Cuを主成分として含む第一の記録膜23aと、Siを主成分として含む第二の記録膜23bとを有するように形成することは必ずしも必要でなく、第一の記録層20を、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属と、S、O、CおよびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素との混合物を主成分として含む誘電体材料に、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属が添加された材料を含むように形成することもできる。
また、図1および図2、図12および図13に示される実施態様においては、第一の記録層20が、Cuを主成分として含む第一の記録膜23aと、Siを主成分として含む第二の記録膜23bとを有するように構成され、第一の記録膜23aに主成分として含まれる元素と、第二の記録膜23bに主成分として含まれる元素と、を混合させて、データが記録される追記型の記録層より構成されているが、第一の記録層20は、たとえば、再生専用の記録層であってもよい。この場合には、第一の記録層としての記録層はとくに設けられず、支持基板11、あるいは、第一の中間層12が、最下層の記録層として機能し、支持基板11、あるいは、第一の中間層12の表面上に、ピットが形成され、かかるピットによって、データが記録される。
また、図1および図2、図12および図13に示される実施態様においては、光記録媒体10、100が、光透過層15を備えているが、光透過層15に代えて、または、光透過層15の表面上に、ハードコート組成物を主成分として含むハードコート層を設けてもよいし、さらに、潤滑性や防汚性の機能を付与するために、ハードコート層に潤滑剤を含ませてもよいし、ハードコート層の表面上に、潤滑剤を主成分として含む潤滑層を、別途、設けるようにしてもよい。
さらに、図1および図2、図12および図13に示される実施態様においては、レーザビームLは、光透過層15を介して、第一の記録層20、第二の記録層30および第三の記録層40、あるいは第一の記録層20、第二の記録層30、第三の記録層40および第四の記録層50に照射されるように構成されているが、本発明は、約0.6mmの厚さを有する光透過性基板と、約0.6mmの厚さを有するダミー基板と、光透過性基板とダミー基板との間に、三層以上の記録層を備えたDVD型の光記録媒体に適用することもできる。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略斜視図である。 図2は、図1のAで示された部分の略拡大断面図である。 図3は、第一の記録層の構成を示す略拡大断面図である。。 図4は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の製造方法を示す工程図である。 図5は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の製造方法を示す工程図である。 図6は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の製造方法を示す工程図である。 図7は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の製造方法を示す工程図である。 図8は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の製造方法を示す工程図である。 図9は、光記録媒体にデータを記録する際に、レーザビームの強度を制御するレーザパワー制御信号のパルス列パターンを示すダイアグラムである。 図10は、データが記録される前の第一の記録層の略断面図である。 図11は、データが記録された後の第一の記録層の略断面図である。 図12は、本発明の別の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略斜視図である。 図13は、図12のBで示された部分の略拡大断面図である。
符号の説明
10 光記録媒体
11 基板
11a グルーブ
11b ランド
12 第一の中間層
12a グルーブ
12b ランド
13 第二の中間層
13a グルーブ
13b ランド
14 第三の中間層
14a グルーブ
14b ランド
15 光透過層
20 第一の記録層
21 反射膜
22 第二の誘電体膜
23a 第一の記録膜
23b 第二の記録膜
24 第一の誘電体膜
30 第二の記録層
40 第三の記録層
50 第四の記録層
61 スタンパ
100 光記録媒体

Claims (9)

  1. 基板と、基板上に、少なくとも中間層を介して、積層された三層以上の記録層を備え、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層が、いずれも、、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属Mと、記録用のレーザビームが照射されることにより、前記金属Mと結合して、前記金属Mとの化合物の結晶を生成する元素Xとを、含み、これら記録層が、前記レーザビームの光入射面に近いほど、厚さが薄く形成されていることを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記元素Xが、S、O、CおよびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 前記レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層が、いずれも、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を、さらに含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の光記録媒体。
  4. 基板と、基板上に、少なくとも中間層を介して、積層された三層以上の記録層を備え、レーザビームの光入射面から最も遠い記録層以外の記録層が、いずれも、Ni、Cu、Si、Ti、Ge、Zr、Nb、Mo、In、Sn、W、Pb、Bi、ZnおよびLaからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属と、S、O、CおよびNからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素との混合物を主成分として含む誘電体材料に、Mg、AlおよびTiからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属が添加された材料を含み、これら記録層が、前記レーザビームの光入射面に近いほど、厚さが薄く形成されていることを特徴とする光記録媒体。
  5. 前記誘電体材料が、ZnS・SiOまたはLa・Si・O・Nを主成分として含んでいることを特徴とする請求項4に記載の光記録媒体。
  6. 前記基板上に、第一の記録層と、第二の記録層と、第三の記録層を、この順に備え、前記第二の記録層が、15nmないし50nmの厚さを有し、前記第三の記録層の厚さ(D3)と、前記第二の記録層の厚さ(D2)との比(D3/D2)が0.40ないし0.70の関係を満たすように形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  7. 前記基板上に、第一の記録層と、第二の記録層と、第三の記録層と、第四の記録層とを、この順に備え、前記第二の記録層が、20nmないし50nmの厚さを有し、前記第三の記録層の厚さ(D3)と、前記第二の記録層の厚さ(D2)との比(D3/D2)が0.48ないし0.93の関係を満たすように形成され、前記第四の記録層の厚さ(D4)と、前記第二の記録層の厚さ(D2)との比(D4/D2)が0.39ないし0.70の関係を満たすように形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  8. 前記複数の記録層のうち、前記レーザビームの光入射面から最も遠い記録層が、Cuを主成分として含む第一の記録膜と、Siを主成分として含む第二の記録膜とを備えていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  9. 前記複数の記録層が、380nmないし450nmの波長を有するレーザビームを用いて、データの記録および再生が可能に構成されたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の光記録媒体。
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