JP2007003411A - ヘモグロビンA1cの測定方法及びヘモグロビンA1c測定用キット - Google Patents

ヘモグロビンA1cの測定方法及びヘモグロビンA1c測定用キット Download PDF

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Abstract

【課題】 簡易かつ迅速に、ヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を高い精度で測定することが可能なヘモグロビンA1cの測定方法及びヘモグロビンA1c測定用キットを提供する。
【解決手段】 捕捉物質が固定化された固定相に、測定試料及び標識物質を有する検出試薬を含む移動相を展開させることにより、測定試料中のヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を測定するヘモグロビンA1cの測定方法であって、標識物質として磁性体含有粒子を用い、前記磁性体含有粒子の磁性量を測定することにより、ヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を算出するヘモグロビンA1cの測定方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、簡易かつ迅速に、ヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を高い精度で測定することが可能なヘモグロビンA1cの測定方法及びヘモグロビンA1c測定用キットに関する。
血中のヘモグロビンに糖が結合したグリコヘモグロビンは、その濃度が過去1〜2ケ月間の平均的な血中糖濃度を反映するために、糖尿病の診断や、糖尿病の経過観察等に適した指標として広く利用されている。
このようなグリコヘモグロビンは、全体のヘモグロビン量を対照とした際のグリコヘモグロビン量の比率で示される。ヘモグロビンの種類としては、ヘモグロビンA、S、C、Eがあるが、通常、臨床試験では、これらのなかでもヘモグロビンA(以下、HbAともいう)中の特定の糖化ヘモグロビンであるヘモグロビンA1c(以下、HbA1cともいう)の割合を指標として用いることが一般化されている。なお、HbA量に対するHbA1c量の比率は、通常約4〜6%がその目安とされている。
従来より、HbA1cを含む糖化ヘモグロビンの測定法としては、電気泳動法、ボロン酸アフィニティクロマトグラフィー法、イオン交換クロマトグラフィー法、免疫アッセイ法等が知られているが、現在では所要時間や分離性等の点からイオン交換クロマトグラフィー法が主流となっている。しかしながら、イオン交換クロマトグラフィー法は大型で高価な装置が必要であるため、最近では特異性の高い抗体を用いた免疫アッセイ法を用いた測定方法が行われている。
免疫アッセイ法としては、例えば、特許文献1〜3に開示されているように、別途調製したポリハプテンとヘモグロビンの糖化部位の競合反応を利用した免疫凝集を利用する方法や、ラテックス粒子に吸着した糖化ヘモグロビン分子に抗糖化ヘモグロビン抗体を反応させて生じるラテックス凝集反応を利用する方法等が行われている。このような免疫アッセイ法は、用いる抗体の特異性が高いため、イオン交換クロマトグラフィー法において問題とされる不安定型グリコヘモグロビン、カルバミル化ヘモグロビン、アセトアルデヒド化ヘモグロビン、アセチル化ヘモグロビン等の影響を受けず、迅速で、検体処理能力が高いという長所を有している。
しかしながら、これらの方法は何れも凝集反応を利用しているため、非特異的な凝集反応が生じる可能性があり、異常値が出現したり、抗原抗体反応による濁度増加が検出されにくくなったりすることがあり、特異性や測定精度の点で問題があった。
特開平6−66795号公報 特開平7−5178号公報 特表2002−303629号公報
本発明は、簡易かつ迅速に、ヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を高い精度で測定することが可能なヘモグロビンA1cの測定方法及びヘモグロビンA1c測定用キットを提供することを目的とする。
本発明は、捕捉物質が固定化された固定相に、測定試料及び標識物質を有する検出試薬を含む移動相を展開させることにより、測定試料中のヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を測定するヘモグロビンA1cの測定方法であって、標識物質として磁性体含有粒子を用い、前記磁性体含有粒子の磁性量を測定することにより、ヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を算出するヘモグロビンA1cの測定方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明のヘモグロビンA1cの測定方法では、検出試薬の標識物質として、磁性体含有粒子を用いることにより、測定試料中のヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を測定する。
上記磁性体含有粒子は、有機高分子物質と、前記有機高分子物質中に分散した磁性体とからものであることが好ましい。
この場合、上記有機高分子物質は、磁性体含有粒子のマトリックスとしての役割を有する。
上記有機高分子物質としては、スチレン系モノマーに由来するセグメントを有する共重合体であることが好ましい。スチレン系モノマーに由来するセグメントを有することにより、本発明の磁性体含有粒子の水系媒体中における分散性が向上する。
上記スチレン系モノマーとしては特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等、又は、二官能性のジビニルベンゼン等が挙げられる。これらのスチレン系モノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記スチレン系モノマーに由来するセグメントの含有量の好ましい下限は60重量%である。60重量%未満であると、得られる磁性体含有粒子の水系媒体中での分散性が劣ることがある。
上記有機高分子物質は、スチレン系モノマーに由来するセグメントのほかに、反応性官能基を含有するビニルモノマーに由来するセグメントを有していてもよい。反応性官能基を含有するビニルモノマーに由来するセグメントを有することにより、該反応性官能基を介して抗原や抗体を容易に結合することができる。
上記反応性官能基を含有するビニルモノマーの反応性官能基としては、抗原や抗体等を共有結合により結合可能なものであれば特に限定されず、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、トリエチルアンモニウム基、ジメチルアミノ基、スルホン酸基等が挙げられる。このような反応性官能基を含有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、グリシジル(メタ)アクリレート、トリエチルアンモニウム(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの反応性官能基を含有するビニルモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記共重合体は、その他のビニルモノマーに由来するセグメントを有していてもよい。
その他のビニルモノマーとしては特に限定されず、例えば、塩化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。これら単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記共重合体は、架橋性モノマーに由来するセグメントを有していてもよく、これらのセグメントにより架橋が施されていてもよい。
上記架橋性モノマーとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体等が挙げられる。これら架橋性単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記磁性体としては特に限定されないが、残留磁気がない超常磁性を有するものが好適である。残留磁気があると自己凝集しやすくなり、クロマト展開性が劣ることがある。
上記超常磁性を有する磁性体としては特に限定されず、例えば、四三酸化鉄(Fe)、γ−重三二酸化鉄(γ−Fe)等の各種フェライト類;鉄、マンガン、コバルト等の金属又はこれらの合金等が挙げられる。なかでもフェライト類が好適であり、なかでも四三酸化鉄(Fe)が好適である。
このような磁性体としては、Fe2+とFe3+を1:2の割合で含む混合液を塩基性の溶液に滴下することでFeが得られる共沈反応法により調製したもの等を用いることができる。また、フェリコロイドHC−50(タイホー工業社製)、HX―20(シグマハイケミカル社製)等の市販品も用いることができる。
上記有機高分子物質中における磁性体の分散径の好ましい下限は1nm、好ましい上限は30nmである。1nm未満であると、磁性体の製造自体が困難であることに加え、磁性体の磁性応答特性が減少し、標識として用いたときの感度が低下することがある。30nmを超えると、残留磁気を生じやすくなり、自己凝集しやすくなることに加え、磁性体が磁性体含有粒子の表面に露出しやすくなることがある。より好ましい下限は5nm、より好ましい上限は20nmである。
上記磁性体含有粒子中における磁性体の含有量の好ましい下限は50重量%、好ましい上限は80重量%である。50重量%未満であると、磁性量が低く、極微量の測定対象成分を分析する際に検出が困難となることがあり、80重量%を超えると、自己凝集しやすくなったり、磁性体含有粒子全体の重量が大きくなり過ぎたりしてクロマト展開性が劣ることがある。より好ましい下限は60重量%、より好ましい上限は70重量%である。
上記磁性体含有粒子は、平均粒子径の好ましい下限が50nm、好ましい上限が500nmである。50nm未満であると、媒体中に懸濁させたときの分散安定性が悪くなって自己凝集しやすくなることがあり、500nmを超えると、クロマト担体の孔を通過しにくくなり、クロマト展開性が劣ることがある。より好ましい下限は100nm、より好ましい上限は400nmである。
上記磁性体含有粒子は、粒子径のCV値が50%未満であることが好ましい。50%以上であると、粒子径の大きい粒子がクロマト担体の孔を通過しにくくなり、クロマト担体中に残存することがある。
上記磁性体含有粒子は、上記有機高分子物質を構成する炭素元素と上記磁性体を構成する金属元素との構成比率の絶対偏差の好ましい上限が0.3である。
なお、本明細書において絶対偏差とは、上記有機高分子物質を構成する炭素元素と、磁性体を構成する金属元素の同期発光を測定し、粒子毎の炭素元素と金属元素との混在比率のバラツキから算出したその測定データの分散状態を示す偏差値であって、磁性体含有粒子の磁性体含有量のバラツキを示すパラメータである。上記絶対偏差の数値が小さいほど磁性体含有量のバラツキが小さく、即ち磁性体含有粒子の均一性が高く、大きいほど磁性体含有量のバラツキが大きい、即ち磁性体含有粒子の均一性が低いことを示す。
上記絶対偏差が0.3を超えると、免疫測定法に利用した場合に、測定再現性や定量性が低くなり測定精度が悪化することがあり、得られる測定データの信頼性が低くなる。より好ましい上限は0.27、更に好ましい上限は0.25、特に好ましい上限は0.20である。
上記磁性体含有粒子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合法、マイクロサスペンジョン重合法、ミニエマルジョン重合法、分散重合法等を応用した方法が挙げられる。なかでも、粒子径の小さな粒子を容易に製造することができることから、ミニエマルジョン重合法を応用した方法が好適である。
本発明のヘモグロビンA1cの測定方法では、上記磁性体含有粒子を標識物質とし、捕捉物質が固定化された固定相を有する試験片等に、測定試料及び標識物質を有する検出試薬を含む移動相を展開させることにより、測定試料中のヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を測定する。なお、本発明のヘモグロビンA1cの測定方法では、測定試料と検出試薬を予め反応させた後、固定相に展開してもよく、検出試薬を試験片の試料導入材料付近に含浸させ、測定試料の適用により、測定試料と検出試薬を反応させ、展開するようにしてもよい。
本発明のヘモグロビンA1cの測定方法において、固定相の捕捉物質と移動相の検出試薬との組み合わせとしては、(1)捕捉物質としてHbA及びHbA1cと特異的に結合する抗HbA抗体、検出試薬としてHbA1cと特異的に結合する抗HbA1c抗体が結合又は吸着した磁性体含有粒子、(2)捕捉物質としてHbA1cと特異的に結合する抗HbA1c抗体、検出試薬としてHbA1cハプテンが結合又は吸着した磁性体含有粒子、(3)捕捉物質としてHbA1cハプテン、検出試薬としてHbA1cと特異的に結合する抗HbA1c抗体が結合又は吸着した磁性体含有粒子、(4)捕捉物質としてHbA1cと特異的に結合する抗HbA1c抗体、検出試薬として未感作の磁性体含有粒子を用いることが好ましい。
上述した捕捉物質と検出試薬との組み合わせのうち、(1)の組み合わせを用いる場合のヘモグロビンA1cの測定方法を示す概略図を図1に示す。なお、図1aは、測定試料及び検出試薬を反応させた後、これらを展開する場合の測定方法であり、図1bは、測定試料のみを先に展開した後、検出試薬を展開する場合の測定方法を表すものである。
まず、図1aの場合について説明する。なお、(I)は、HbAに対するHbA1cの比率が比較的低い場合であり、(II)は、HbAに対するHbA1cの比率が比較的高い場合である。
図1a(I)に示すように、HbA1cと特異的に結合する抗HbA1c抗体が結合又は吸着した磁性体含有粒子からなる検出試薬1と、HbA2及びHbA1c3を含有する測定試料とを反応させると、検出試薬1にHbA1c3のみが特異的に結合する。その後、検出試薬1及び測定試料を含む移動相を、捕捉物質としてHbA2及びHbA1c3と特異的に結合する抗HbA抗体が固定化された固定相4に展開すると、HbA2及び検出試薬1と結合したHbA1c3が捕捉物質に捕捉され、捕捉されなかった検出試薬1等は排出される。この際、固定相4に吸着したHbA2及びHbA1c3の比率は、測定試薬中のHbA2及びHbA1c3の割合を反映したものとなる。そして、固定相の磁性量を測定することにより、所定濃度での磁性量を求める。
次いで、図1a(II)に示すように、HbAに対するHbA1cの比率が比較的高い場合についても、同様の操作を行い、固定相の磁性量を測定する。そして、これらの測定結果に基づき、検量線を作成する。このようにして作成した検量線を用いることで、磁性量の測定値から測定試料中のHbAに対するHbA1cの比率を求めることが可能となる。
図1bに示す方法では、まず、HbA2及びHbA1c3を含有する測定試料のみを、捕捉物質としてHbA2及びHbA1c3と特異的に結合する抗HbA抗体が固定化された固定相4に展開することにより、HbA2及びHbA1c3が捕捉物質に捕捉される。この際、固定相4に吸着したHbA2及びHbA1c3の比率は、測定試薬中のHbA2及びHbA1c3の割合を反映したものとなる。
次いで、HbA1cと特異的に結合する抗HbA1c抗体が結合又は吸着した磁性体含有粒子からなる検出試薬1を展開すると、検出試薬1が固定相上に捕捉されたHbA1c3にのみ結合する。そして、固定相の磁性量を測定することにより、所定濃度での磁性量を求める。
次いで、図1b(II)に示すように、HbAに対するHbA1cの比率が比較的高い場合についても、同様の操作を行い、固定相4の磁性量を測定する。そして、これらの測定結果に基づき、検量線を作成する。このようにして作成した検量線を用いることで、磁性量の測定値から測定試料中のHbAに対するHbA1cの比率を求めることが可能となる。
図2に、上述した(2)の組み合わせを用いる場合のヘモグロビンA1cの測定方法を示す。なお、(I)は、HbAに対するHbA1cの比率が比較的低い場合であり、(II)は、HbAに対するHbA1cの比率が比較的高い場合である。
図2(I)に示すように、HbA1cハプテン15が結合又は吸着した磁性体含有粒子からなる検出試薬11と、HbA2及びHbA1c3を含有する測定試料とを含む移動相を、捕捉物質としてHbA1cと特異的に結合する抗HbA1c抗体が固定化された固定相14に展開すると、HbA1cハプテン15が結合又は吸着した検出試薬11及びHbA1c3が捕捉物質に捕捉され、捕捉されなかったHbA2等は排出される。この際、固定相に吸着した検出試薬11の比率は、測定試薬中のHbA2及びHbA1c3の比率を反映したものとなる。即ち、測定試薬のHbA2に対するHbA1c3の量が少ないほど、捕捉される検出試薬1が多くなる。そして、固定相の磁性量を測定することにより、所定濃度での磁性量を求める。
次いで、HbAに対するHbA1cの比率が比較的高い場合についても、同様の操作を行い(図2(II))、固定相の磁性量を測定する。そして、これらの測定結果に基づき、検量線を作成する。このようにして作成した検量線を用いることで、磁性量の測定値から測定試料中のHbAに対するHbA1cの比率を求めることが可能となる。
図3に、上述した(3)の組み合わせを用いる場合のヘモグロビンA1cの測定方法を示す。なお、(I)は、HbAに対するHbA1cの比率が比較的低い場合であり、(II)は、HbAに対するHbA1cの比率が比較的高い場合である。
図3(I)に示すように、HbA1cと特異的に結合する抗HbA1c抗体が結合又は吸着した磁性体含有粒子からなる検出試薬21と、HbA2及びHbA1c3を含有する測定試料とを反応させると、検出試薬21にHbA1c3のみが特異的に結合する。その後、検出試薬21及び測定試料を含む移動相を、捕捉物質としてHbA1cハプテン25が固定化された固定相24に展開すると、HbA1c3が結合していない検出試薬21のみが捕捉物質に捕捉され、HbA1c3が結合している検出試薬21、HbA2等は排出される。この際、固定相に吸着したHbA1c3が結合していない検出試薬21の比率は、測定試薬中のHbA2及びHbA1c3の比率を反映したものとなる。即ち、測定試薬のHbA2に対するHbA1c3の量が少ないほど、捕捉されるHbA1c3が結合していない検出試薬1が多くなる。そして、固定相の磁性量を測定し、所定濃度での磁性量を求める。
次いで、HbAに対するHbA1cの比率が比較的高い場合についても、同様の操作を行い(図3(II))、固定相の磁性量を測定する。そして、これらの測定結果に基づき、検量線を作成する。このようにして作成した検量線を用いることで、磁性量の測定値から測定試料中のHbAに対するHbA1cの比率を求めることが可能となる。
図4に、上述した(4)の組み合わせを用いる場合のヘモグロビンA1cの測定方法を示す。なお、(I)は、HbAに対するHbA1cの比率が比較的低い場合であり、(II)は、HbAに対するHbA1cの比率が比較的高い場合である。
図4(I)に示すように、未感作の磁性体含有粒子からなる検出試薬31と、HbA2及びHbA1c3を含有する測定試料とを反応させると、HbA2及びHbA1c3が結合した検出試薬と、HbA2のみが結合した検出試薬とが得られる。その後、検出試薬及び測定試料を含む移動相を、捕捉物質としてHbA1c3と特異的に結合する抗HbA1c抗体が固定化された固定相34に展開すると、HbA2及びHbA1c3が結合した検出試薬のみが捕捉物質に捕捉され、HbA2のみと結合した検出試薬等は排出される。この際、固定相に吸着したHbA2及びHbA1c3が結合した検出試薬の比率は、測定試薬中のHbA2及びHbA1c3の比率を反映したものとなる。即ち、測定試薬のHbA2に対するHbA1c3の量が少ないと、捕捉されるHbA2及びHbA1c3が結合した検出試薬も少なくなる。そして、固定相の磁性量を測定することにより、所定濃度での磁性量を求める。
次いで、図4(II)に示すように、HbAに対するHbA1cの比率が比較的高い場合についても、同様の操作を行い、固定相の磁性量を測定する。そして、これらの測定結果に基づき、検量線を作成する。
このようにして作成した検量線を用いることで、磁性量の測定値から測定試料中のHbAに対するHbA1cの比率を求めることが可能となる。
上記抗HbA抗体としては、HbA及びHbA1cと特異的に結合する抗体であれば、特に限定されず、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体いずれであってもよく、またそれらをフラグメント化したものであってもよい。
上記抗HbA1c抗体としては、HbA1cと特異的に結合する抗体であれば、特に限定はなく、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体いずれであってもよく、またそれらをフラグメント化したものであってもよい。これらのなかでは、モノクローナル抗体を用いることが好ましい。
上記HbA1cハプテンは、上記の抗HbA1c抗体と特異的に結合するものであれば特に限定されず、例えば、ヒトヘモグロビンのβ−サブユニットのN末端ペプチド断片に、その末端のバリン部分へグルコース1個を結合させたものが挙げられる。また、上記グルコース結合断片をウシ血清アルブミン又はキーホールリンペットヘモシアニン等の担体物質に結合させたものを用いることもできる。
上記捕捉物質を固定化する方法としては特に限定されず、免疫クロマト法の試験片を作製する際に通常行われる方法が適用できる。
また、上記磁性体含有粒子に抗HbA1c抗体又はHbA1cハプテンを結合又は吸着させる方法としては特に限定されず、例えば、物理吸着法や上記磁性体含有粒子が官能基を有する場合には、該官能基を介して抗HbA1c抗体やHbA1cハプテンを共有結合する方法等が挙げられる。
本発明のヘモグロビンA1cの測定方法では、上記移動相の展開を補助するために展開液を用いてもよい。上記展開液としては、通常の免疫アッセイ法に使用されるような、少量の蛋白質、塩、界面活性剤等を含む緩衝液が望ましく、具体的には例えば、0.1%ウシ血清アルブミンと、0.01%トリトンX−100と、0.9%塩化ナトリウムとを含む0.1Mリン酸緩衝液等を用いることができる。
本発明のヘモグロビンA1cの測定方法では、測定試料として、血液検体を溶血処理及び変性処理したものを用いることにより、ヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を測定することができる。
上記溶血処理としては特に限定されず種々の方法を用いることができ、例えば、水等の低等張液や界面活性剤を用いる方法が挙げられる。
上記変性処理は、HbA1cを変性させてHbAと化学構造が異なる部位、即ち、糖結合部位を露出させ、抗HbA1c抗体との抗原抗体反応をしやすくすることや、不安定型HbA1cを除去することを目的として行われるものである。上記変性処理の方法としては特に限定されず種々の方法を用いることができ、例えば、KSCN塩を用いる方法や、弱酸性条件下で、脂肪族カルボン酸緩衝液又はホウ酸緩衝液等を用いる方法等が挙げられる。
上記試験片としては、例えば、多孔質の担体に捕捉物質が固定化された固定層に、試料導入材料や吸収材料等が組み合わされもの等を用いることができる。上記試験片の形態としては、例えば、ラテラルフロータイプ、フロースルータイプ等が挙げられる。
上記多孔質の担体としては、移動相を適度な速度で展開することができるものであれば特に限定されず、例えば、メンブランフィルターや、ニトロセルロース、ガラス濾紙等の多孔質体が挙げられる。本発明では移動相を展開した後に、磁性量を測定するため、非磁性材料からなる担体を用いることが好ましい。
上記試料導入材料は、移動相の展開速度や展開量等を制御することを目的として用いられるものであり、移動相を適度な速度で展開することができるものであれば特に限定されず、例えば、メンブランフィルターや、ニトロセルロース、ガラス濾紙等の多孔質体が挙げられる。
上記吸水材料は、過剰の試料を迅速に吸収することを目的として用いられるものであり、毛細管現象により、多孔質の担体を展開した測定試料液を吸収するものであれば特に限定されず、例えば、セルロースやコットン等の吸水性材料が挙げられる。
本発明において、上記磁性体含有粒子の磁性量の計測方法としては、特に限定されず、例えば、ホールセンサーやGMRセンサ等の磁気センサを用いる方法や磁気緩和測定を利用する方法等が挙げられる。このようにして測定した磁性量の計測結果を元に、予め作成した検量線からヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を求めることができる。
本発明のヘモグロビンA1cの測定方法を実施するために用いるヘモグロビンA1c測定用キットもまた、本発明の1つである。
このようなヘモグロビンA1c測定用キットを用いることで、簡易かつ迅速に、ヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を高い精度で測定することが可能となる。
本発明によれば、凝集反応を利用した方法等のように、非特異的な凝集反応や、異常値が出現することがなく、簡易かつ迅速に、ヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を高い精度で測定することが可能なヘモグロビンA1cの測定方法及びヘモグロビンA1c測定用キットを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)試験片の作製
ニトロセルロースメンブレン(SRHF P70、日本ミリポア社製)を幅20cm×長さ6cmに裁断し、その長さ方向上端より2cmの部位(反応部位)に、抗HbAモノクローナル抗体を2.0mg/mlの濃度となるようにトリス塩酸緩衝液(10mmol/l、pH7.4)に溶解した溶液を幅0.7mmの直線状に塗布した。その後、37℃で2時間乾燥した後、牛血清アルブミン(和光純薬社製)が1重量%の濃度になるように、リン酸緩衝液(100mmol/l、pH7.5)に溶解した溶液に1時間浸漬し、ブロッキング処理を行った。更に、その後、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.1重量%の濃度になるようにリン酸緩衝液(100mmol/l、pH7.5)に溶解した溶液にて洗浄後、シリカゲルデシケーター内で室温下にて乾燥し、抗HbAモノクローナル抗体を固定化した。
次いで、抗HbAモノクローナル抗体を固定化したメンブレンの長さ方向上端に幅5mm×長さ20mmの吸水パッド(AP22、日本ミリポア社製)を、下端に幅5mm×長さ15mmのコンジュゲートパッド(グラスファイバー、日本ミリポア社製)を重ね、透明なテープで固定した後、幅5mmに裁断し、試験片とした。
(2)抗HbA1cモノクローナル抗体結合磁性体含有粒子の作製
磁性体含有粒子(ポリスチレン系、磁性体量60%、平均粒子径0.3μm、積水化学社製)10mgに、20mMリン酸緩衝液(pH7.5)10mLを加え、15000RPMにて20分間遠心分離を行った。得られた沈渣に、20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に抗HbA1cモノクローナル抗体を0.2mg/mLの濃度になるように溶解した溶液を2mL加え、充分に混和して、室温にて1時間撹拌した。
その後、未反応の抗HbA1cモノクローナル抗体を除去するため、15000RPMにて20分間遠心分離を行い、沈渣を20mMリン酸緩衝液(pH7.5)3mLに懸濁させ、再度遠心分離を行った。その沈渣を20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に牛血清アルブミンを1%(w/v)の濃度になるように溶解した溶液3mLに懸濁させ、室温で1時間撹拌し、ブロッキング処理を行った。その後、15000RPMにて20分間遠心分離を行い、沈渣を20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に牛血清アルブミンを1%(w/v)の濃度になるように溶解し、更にアジ化ナトリウムを0.01%(w/v)の濃度になるように溶解した溶液2mLに懸濁させて抗HbA1cモノクローナル抗体結合磁性体含有粒子の懸濁液を調製し、使用までこれを冷蔵保存した。
(3)試験液の調製
検体として、グリコHbコントロールレベルI(HbA1c=5.4±0.3%)、又は、レベルII(HbA1c=10.6±0.5%)(国際試薬社製)を用い、牛血清アルブミン1%(w/v)、トリトン−100 0.03%(w/v)、及び、ヘモグロビン濃度が5μg/mLになるように100mMPBSを用いて調整することにより、レベルI試験液及びレベルII試験液を作製した。
(評価)
各試験液100μLと抗HbA1cモノクローナル抗体結合磁性体含有粒子懸濁液1μLを混合した後、試験片のコンジュゲートパッド部位にキャピラリーを用いて100μL滴下した。滴下20分後、試験片の検出部位の磁性量を、市販のGMRセンサ(差動磁界センサ、NVE社製)を用いて測定した。測定結果を表1に示した。
(実施例2)
実施例1で作製した試験片のコンジュゲートパッド部位に、実施例1で調製した試験液をキャピラリーを用いて50μL滴下した。滴下15分後、牛血清アルブミンを1%(w/v)、トリトン−Xを0.01%(w/v)の濃度の20mMリン酸緩衝液(pH7.5)50μLをコンジュゲートパッドに滴下した。更に滴下15分後、牛血清アルブミンを1%(w/v)、トリトン−Xを0.01%(w/v)の濃度の20mMリン酸緩衝液(pH7.5)50μLに抗HbA1cモノクローナル抗体結合磁性体含有粒子懸濁液2μLを混合した液をコンジュゲートパッドに滴下した。そして、滴下20分後、試験片の検出部位の磁性量を、市販のGMRセンサ(差動磁界センサ、NVE社製)を用いて測定した。測定結果を表1に示した。
Figure 2007003411
表1に示したように、実施例1、2では、HbA1cの比率の変化に伴い、磁性量についても大きく変化していることが確認された。これにより、測定結果に基づき検量線を作成し、作成した検量線を用いることで、磁性量の測定値から測定試料中のHbAに対するHbA1cの比率を求めることが可能となる。従って、実施例1、2のヘモグロビンA1cの測定方法は、簡便で、精度の高い有用な測定法であることが判る。
(実施例3)
(1)試験片の作製
ニトロセルロースメンブレン(SRHF P70、日本ミリポア社製)を幅20cm×長さ6cmに裁断し、その長さ方向上端より2cmの部位(反応部位)に、抗HbA1cモノクローナル抗体を1.0mg/mlの濃度となるようにトリス塩酸緩衝液(10mmol/l、pH7.4)に溶解した溶液を幅0.7mmの直線状に塗布した。その後、37℃で2時間乾燥した後、牛血清アルブミン(和光純薬社製)が1重量%の濃度になるように、リン酸緩衝液(100mmol/l、pH7.5)に溶解した溶液に1時間浸漬し、ブロッキング処理を行った。更に、その後、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.1重量%濃度になるようにリン酸緩衝液(100mmol/l、pH7.5)に溶解した溶液にて洗浄後、シリカゲルデシケーター内で室温下にて乾燥し、抗HbA1cモノクローナル抗体を固定化した。
次いで、抗HbA1cモノクローナル抗体を固定化したメンブレンの長さ方向上端に幅5mm×長さ20mmの吸水パッド(AP22、日本ミリポア社製)を、下端に幅5mm×長さ15mmのコンジュゲートパッド(グラスファイバー、日本ミリポア社製)を重ね、透明なテープで固定した後、幅5mmに裁断し、試験片とした。
(2)HbA1cハプテン結合磁性体含有粒子の作製
磁性体含有粒子(ポリスチレン系、磁性体量60%、平均粒子径0.3μm、積水化学社製)10mgに、20mMリン酸緩衝液(pH7.5)10mLを加え、15000RPMにて20分間遠心分離を行った。得られた沈渣に、20mMリン酸緩衝液(pH7.5)にHbA1cポリハプテンを0.4mg/mLの濃度になるように溶解した溶液を2mL加え、充分に混和して、室温にて1時間撹拌した。
その後、未反応のHbA1cハプテンを除去するため、15000RPMにて20分間遠心分離を行い、沈渣を20mMリン酸緩衝液(pH7.5)3mLに懸濁させ、再度遠心分離を行った。その沈渣を20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に牛血清アルブミンを1%(w/v)の濃度になるように溶解した溶液3mLに懸濁させ、室温で1時間撹拌し、ブロッキング処理を行った。その後、15000RPMにて20分間遠心分離を行い、沈渣を20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に牛血清アルブミンを1%(w/v)の濃度になるように溶解し、更にアジ化ナトリウムを0.01%(w/v)の濃度になるように溶解した溶液2mLに懸濁させてHbA1cハプテン結合磁性体含有粒子の懸濁液を調製し、使用までこれを冷蔵保存した。
(3)試験液の調製
検体として、グリコHbコントロールレベルI(HbA1c=5.4±0.3%)、又は、レベルII(HbA1c=10.6±0.5%)(国際試薬社製)を用い、牛血清アルブミン1%(w/v)、トリトン−100 0.03%(w/v)、及び、ヘモグロビン濃度が5μg/mLになるように100mMPBSを用いて調整することにより、レベルI試験液及びレベルII試験液を作製した。
(評価)
各試験液100μLとHbA1cハプテン結合磁性体含有粒子懸濁液5μLを混合した後、試験片のコンジュゲートパッド部位にキャピラリーを用いて100μL滴下した。滴下20分後、試験片の検出部位の磁性量を、市販のGMRセンサ(差動磁界センサ、NVE社製)を用いて測定した。測定結果を表2に示した。
(実施例4)
(1)試験片の作製
ニトロセルロースメンブレン(SRHF P70、日本ミリポア社製)を幅20cm×長さ6cmに裁断し、その長さ方向上端より2cmの部位(反応部位)に、HbA1cハプテンを0.2mg/mlの濃度となるようにトリス塩酸緩衝液(10mmol/l、pH7.4)に溶解した溶液を幅0.7mmの直線状に塗布した。その後、37℃で2時間乾燥した後、牛血清アルブミン(和光純薬社製)が1重量%の濃度になるように、リン酸緩衝液(100mmol/l、pH7.5)に溶解した溶液に1時間浸漬し、ブロッキング処理を行った。更に、その後、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.1重量%濃度になるようにリン酸緩衝液(100mmol/l、pH7.5)に溶解した溶液にて洗浄後、シリカゲルデシケーター内で室温下にて乾燥し、HbA1cハプテンを固定化した。
次いで、HbA1cハプテンを固定化したメンブレンの長さ方向上端に幅5mm×長さ20mmの吸水パッド(AP22、日本ミリポア社製)を、下端に幅5mm×長さ15mmのコンジュゲートパッド(グラスファイバー、日本ミリポア社製)を重ね、透明なテープで固定した後、幅5mmに裁断し、試験片とした。
(2)試験液の調製
検体として、グリコHbコントロールレベルI(HbA1c=5.4±0.3%)、又は、レベルII(HbA1c=10.6±0.5%)(国際試薬社製)を用い、牛血清アルブミン1%(w/v)、トリトン−100 0.03%(w/v)、及び、ヘモグロビン濃度が5μg/mLになるように100mMPBSを用いて調整することにより、レベルI試験液及びレベルII試験液を作製した。
(評価)
各試験液100μLと実施例1で作製した抗HbA1cモノクローナル抗体結合磁性体含有粒子懸濁液5μLを混合した後、試験片のコンジュゲートパッド部位にキャピラリーを用いて100μL滴下した。滴下20分後、試験片の検出部位の磁性量を、市販のGMRセンサ(差動磁界センサ、NVE社製)を用いて測定した。測定結果を表2に示した。
Figure 2007003411
表2に示したように、実施例3、4では、HbA1cの比率の変化に伴い、競合反応の元原理に基づいた磁性量の変化が確認された。これにより、測定結果に基づき検量線を作成し、作成した検量線を用いることで、磁性量の測定値から測定試料中のHbAに対するHbA1cの比率を求めることが可能となる。従って、実施例3、4のヘモグロビンA1cの測定方法は、簡便で、精度の高い有用な測定法であることが判る。
(実施例5)
(1)試料の調整
試料として、グリコHbコントロールレベルI(HbA1c=5.4±0.3%)、レベルII(HbA1c=10.6±0.5%)(国際試薬社製)をそれぞれ125μLに精製水を5mL加えて調整した。
(評価)
磁性体含有粒子(ポリスチレン系、磁性体量60%、平均粒子径0.3μm、積水化学社製)を20mMリン酸緩衝液(pH7.4)に0.1%濃度となるように分散した懸濁液200μLに、試料5μLを添加し、37℃で30分間撹拌して、磁性体含有粒子表面にヘモグロビンを吸着させた。
次いで、上記磁性体含有粒子懸濁液に、牛血清アルブミンを1%(w/v)の濃度になるように溶解した20mMリン酸緩衝液(pH7.4)を200μL添加した。
上記の反応液を実施例1で作製した試験片のコンジュゲートパッド部位に、キャピラリーを用いて100μL滴下した。滴下20分後、試験片の検出部位の磁性量を、市販のGMRセンサ(差動磁界センサ、NVE社製)を用いて測定した。測定結果を表3に示した。
Figure 2007003411
表3より、実施例5は、HbA1cの比率の変化に伴い、磁性量についても大きく変化していることが確認された。これにより、測定結果に基づき検量線を作成し、作成した検量線を用いることで、磁性量の測定値から測定試料中のHbAに対するHbA1cの比率を求めることが可能となる。従って、実施例5のヘモグロビンA1cの測定方法は、簡便で、精度の高い有用な測定法であることが判る。
本発明によれば、簡易かつ迅速に、ヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を高い精度で測定することが可能なヘモグロビンA1cの測定方法及びヘモグロビンA1c測定用キットを提供することができる。
本発明のヘモグロビンA1cの測定方法の一例を示す模式図である 本発明のヘモグロビンA1cの測定方法の一例を示す模式図である 本発明のヘモグロビンA1cの測定方法の一例を示す模式図である 本発明のヘモグロビンA1cの測定方法の一例を示す模式図である 本発明のヘモグロビンA1cの測定方法の一例を示す模式図である
符号の説明
1 検出試薬
2 ヘモグロビンA1c
3 ヘモグロビンA
4 固定相

Claims (9)

  1. 捕捉物質が固定化された固定相に、測定試料及び標識物質を有する検出試薬を含む移動相を展開させることにより、測定試料中のヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を測定するヘモグロビンA1cの測定方法であって、
    標識物質として磁性体含有粒子を用い、前記磁性体含有粒子の磁性量を測定することにより、ヘモグロビンAに対するヘモグロビンA1cの比率を算出する
    ことを特徴とするヘモグロビンA1cの測定方法。
  2. 捕捉物質として、ヘモグロビンA及びヘモグロビンA1cと特異的に結合する抗ヘモグロビンA抗体、検出試薬として、ヘモグロビンA1cと特異的に結合する抗ヘモグロビンA1c抗体が結合又は吸着した磁性体含有粒子を用いることを特徴とする請求項1記載のヘモグロビンA1cの測定方法。
  3. 捕捉物質として、ヘモグロビンA1cと特異的に結合する抗ヘモグロビンA1c抗体、検出試薬として、ヘモグロビンA1cハプテンが結合又は吸着した磁性体含有粒子を用いることを特徴とする請求項1記載のヘモグロビンA1cの測定方法。
  4. 捕捉物質として、ヘモグロビンA1cハプテン、検出試薬として、ヘモグロビンA1cと特異的に結合する抗ヘモグロビンA1c抗体が結合又は吸着した磁性体含有粒子を用いることを特徴とする請求項1記載のヘモグロビンA1cの測定方法。
  5. 捕捉物質として、ヘモグロビンA1cと特異的に結合する抗ヘモグロビンA1c抗体、検出試薬として、未感作の磁性体含有粒子を用いることを特徴とする請求項1記載のヘモグロビンA1cの測定方法。
  6. 磁性体含有粒子は、有機高分子物質と、前記有機高分子物質中に分散した磁性体とからなり、前記磁性体を50〜80重量%含有し、かつ、平均粒子径が0.03〜0.5μm、有機高分子物質中における磁性体の分散径が1〜30nmであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のヘモグロビンA1cの測定方法。
  7. 磁性体は、酸化鉄であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のヘモグロビンA1cの測定方法。
  8. 有機高分子物質は、スチレン系モノマーに由来するセグメントを60重量%以上含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のヘモグロビンA1cの測定方法。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のヘモグロビンA1cの測定方法を実施するために用いることを特徴とするヘモグロビンA1c測定用キット。
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