JP2007002339A - マグネシウム材の表面処理方法 - Google Patents

マグネシウム材の表面処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 マグネシウム材の表面に対して、耐食性に加え、金属光沢を付与するとともに、デザイン性の高い彩色を施すことを可能にするマグネシウム材の表面処理方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係るマグネシウム材の表面処理方法は、マグネシウム製またはマグネシウム合金製の基材の表面を陽極酸化処理することによって、前記基材の表面に陽極酸化膜を設ける陽極酸化工程(S3)と、前記陽極酸化膜の表面上にスパッタリング法または真空蒸着法を用いてアルミニウム層を形成するアルミニウム層形成工程(S6)と、前記陽極酸化膜の表面上に前記アルミニウム層を介して亜鉛層を形成する亜鉛層形成工程(S7〜S9)とを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ノートパソコン筐体などの構成材料として使用されているマグネシウムまたはマグネシウム合金(以下、必要に応じて、この両者を合わせて「マグネシウム材」と記載する)の表面処理方法に関する。
近年、ノートパソコンなどの電気・電子機器では、軽量化および薄型化の観点より、マグネシウム材製の筐体が多用されている。特にB5サイズ以下のモバイル型ノートパソコンで、その傾向が強い。マグネシウム材は、放熱性が高いため、ノートパソコンの筐体構成材料に採用される場合においては、製品の軽量化および薄型化に資するのみならず、CPUないしMPUの高速化に伴う発熱の問題に対処するうえでも優れた金属材料である。
マグネシウム材すなわちマグネシウムまたはマグネシウム合金は、大気中で容易に酸化されるという性質を有する。そのため、機器筐体として使用される場合などにあっては、実用的には、マグネシウム材の表面に対し、何らかの処理を施して耐食性を付与する必要がある。
そのような耐食性付与手段の一つとして、化成処理が知られている。化成処理では、所定の薬液にマグネシウム材を浸漬することによって、材料表面に皮膜が形成される。しかしながら、化成処理は、マグネシウムまたはマグネシウム合金表面で自発的に生じる化学反応を利用するものであり、膜厚制御が困難である。また、化成処理によると、皮膜は極めて薄く形成される傾向にある。そのため、このような化成処理皮膜のみによっては、マグネシウム材表面の耐食性を充分な程度にまで向上させることは困難である。
上述の化成処理によるよりも厚い皮膜を形成できる表面処理技術として、陽極酸化処理が知られている。マグネシウム材に対する従来の陽極酸化処理によると、一般に、マグネシウム材表面に黒色、緑色または褐色を呈した分厚い酸化膜が形成され、それらは濃色である。そのため、マグネシウム材表面において、マグネシウム材が本来的に有する金属の質感が失われてしまう場合が多い。一方、アルミン酸塩およびリン酸塩などを主成分とする電解液を用いてマグネシウム材の表面に白色系の陽極酸化膜を形成する陽極酸化技術も知られているが、濃色の酸化膜の場合と同様に、マグネシウム材表面において、マグネシウム材が本来的に有する金属の質感が失われてしまう。
そこで、陽極酸化膜上に無電解ニッケルめっきを施すことにより金属光沢を付与する技術が公知となっている(たとえば、特許文献1参照。)。
特開2002−235182号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている技術により表面処理が施されたマグネシウム材に対してデザイン性の高い彩色を施すためには、無電解めっき層上に有機塗装を施す必要がある。有機塗装が施されたマグネシウム材製品は、リサイクル過程においてそのまま高温加熱に付されると、塗膜が燃焼されることにより有機系の有害ガスを発生してしまう。このような不具合を回避するためには、製品のリサイクル過程において、溶剤処理或いはウエットブラスト処理により、有機塗膜を剥離する必要があり、作業環境の劣悪化や作業工程数の増加という問題を招来してしまう。また、有機塗膜は、膜質の劣化により材料表面から剥離し易くなり、このような剥離は製品のデザイン上好ましくない。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、マグネシウム材の表面に対して、耐食性に加え、金属光沢を付与するとともに、デザイン性の高い彩色を施すことを可能にするマグネシウム材の表面処理方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の側面によるとマグネシウム材の表面処理方法が提供される。この方法は、マグネシウム製またはマグネシウム合金製の基材の表面を陽極酸化処理することによって、基材の表面に陽極酸化膜を設ける陽極酸化工程と、陽極酸化膜の表面上にスパッタリング法または真空蒸着法を用いてアルミニウム層を形成するアルミニウム層形成工程と、陽極酸化膜の表面上にアルミニウム層を介して亜鉛層を形成する亜鉛層形成工程とを含むことを特徴としている。
このような構成によると、耐食性に加え、亜鉛層による金属光沢をマグネシウム材の表面に付与することができる。また、最表層が亜鉛層であるため、たとえば当該亜鉛層に対してクロメート処理などを施すことにより、有機塗装を施すことなく、金属光沢を有するデザイン性の高い彩色を付与することが可能となる。したがって、本発明の方法により表面処理が施されたマグネシウム材は、デザイン性の高い彩色を付与しても、有機塗装により形成された有機塗膜が燃焼する際に発生するような有毒ガスを発生することがない。加えて、溶剤処理或いはウエットブラスト処理により、有機塗膜を剥離する必要がないため、作業環境の劣悪化や作業工程数の増加という問題も招かない。さらに、有機塗膜のように膜質の劣化により材料表面から剥離するといったことがなく、製品のデザイン上においても好ましい。
好ましくは、亜鉛層形成工程は、アルミニウム層の表面から当該アルミニウム層の一部を亜鉛で置換する亜鉛置換工程と、亜鉛置換工程で形成された亜鉛皮膜の表面に対して亜鉛めっきを施す亜鉛めっき工程とを含んでいる。このような構成によると、アルミニウム層上に均一で、かつ密着性に優れた亜鉛層を形成することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、アルミニウム層の膜厚は、5〜20μmである。たとえば亜鉛置換工程において使用される亜鉛置換液が強アルカリ性であるため、膜厚が5μm未満では、亜鉛皮膜の形成より早くアルミニウム層が溶解し、消滅してしまう可能性が高くなる。そのため、亜鉛皮膜の形成が不十分となり好ましくない。また、膜厚が20μmを超えても、必要以上の膜厚となるだけであり、作業効率やコストの観点から好ましくない。
好ましくは、亜鉛層の表面に対して、クロメート処理を施すことにより当該表面を着色するか、もしくは染色用下地クロメート処理を施した上で染色を行うことにより当該表面を着色する着色工程をさらに含んでいる。このような構成によると、有機塗装を施すことなく、マグネシウム材の表面に対して金属光沢を有するデザイン性の高い彩色を付与することができるとともに、耐食性をさらに向上させることができる。
好ましくは、亜鉛層上に透明コーティング層を形成するコーティング工程をさらに含んでいる。このような構成により亜鉛層上に透明コーティングが施されると、亜鉛層の保護が図られるとともに、亜鉛層が有する金属光沢も失われない。
好ましくは、陽極酸化膜の形成は、火花放電を用いて行われる。このような方法によりマグネシウム材に形成される陽極酸化膜は、白色系であるため、濃色の酸化膜に比べて、下地となる陽極酸化膜の色調が表面処理全体の色調に与える影響は小さくてすむ。したがって、金属光沢やデザイン性の高い彩色を得る上で好ましい。加えて、このような方法によりマグネシウム材に形成される陽極酸化膜は、微細な凹凸を有しているため、陽極酸化膜上に形成されるアルミニウム層との密着性が向上する。
本発明の好ましい実施の形態においては、陽極酸化処理は、当該陽極酸化処理に使用される電解液の温度を15〜30℃として行う。電解液の温度が15℃未満では、陽極酸化膜の形成速度が低下する傾向にあり、30℃を超えると、形成される陽極酸化膜の表面粗さが過大になる傾向がある。
本発明の好ましい実施の形態においては、陽極酸化処理は、2〜8A/dm2の電流密度で行う。電流密度が2A/dm2未満では、火花放電が生じ難くなる傾向にあり、8A/dm2を超えると、形成される陽極酸化膜の表面粗さが過大になる傾向がある。
本発明の第2の側面によると、第1の側面に関して上述したいずれかの構成を備えるマグネシウム材の表面処理方法により表面処理が施されているマグネシウム材製筐体が提供される。このような本発明の第2の側面によっても、第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。
本発明のその他の利点および特徴については、以下に行う発明の実施形態の説明から、より明らかとなるであろう。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る表面処理方法によるマグネシウム材の表面処理のフローチャートを表す。この表面処理方法は、脱脂工程S1と、第1水洗工程S2と、陽極酸化工程S3と、第2水洗工程S4と、第1窒素ブロー工程S5と、アルミニウム層形成工程S6と、亜鉛置換工程S7と、第3水洗工程S8と、亜鉛めっき工程S9と、第4水洗工程S10と、第2窒素ブロー工程S11と、コーティング工程S12と、焼付け工程S13とを含む。
本発明で用いられる基材は、マグネシウム製またはマグネシウム合金製である。マグネシウム合金としては、例えば、Mg−Al合金、Mg−Al−Zn合金、Mg−Al−Mn合金、Mg−Zn−Zr合金、Mg−希土類元素合金、Mg−Zn−希土類元素合金などを用いることができる。より具体的には、AZ91D合金、AZ31合金、AZ61合金、AM60合金、AM120合金などを用いることができる。本実施形態では、これらのようなマグネシウム材から、例えばノートパソコン筐体や携帯電話筐体などの所定形状の成形体を作製した後、当該成形体を基材として、その表面を以下のように処理する。
表面処理対象である基材に対して、まず、脱脂工程S1において脱脂処理を施す。脱脂処理は、アセトンおよびこれに続いてアルカリ処理剤の溶液に基材を浸漬することによって行うことができる。アルカリ処理剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを用いることができる。これに代えて、脱脂処理は、基材表面に界面活性剤を作用させることによって行うこともできる。界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどを用いることができる。なお、脱脂工程S1において、脱脂と合わせて、エッチングや酸洗浄を行ってもよい。
次に、第1水洗工程S2において、上述の脱脂工程S1を経た基材を流水でよく洗浄し、脱脂処理で使用した薬剤を除去する。
次に、陽極酸化工程S3において、基材表面に対して陽極酸化処理を施す。陽極酸化処理に使用する電解液は、陽極酸化膜形成用の種々の試薬を含む。酸化膜形成試薬としては、たとえばメタケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムなど、白色陽極酸化膜の形成に好適な試薬、あるいはこれらの試薬にアルカリ金属の水酸化物を添加した混合試薬を用いる。但し、酸化膜形成試薬は、上述のものに限られない。
図2は、陽極酸化処理装置の模式図である。電源1の一方の端子には処理に付される基材2を電気的に接続し、他方の端子には、電解液に不溶な鉄電極、ステンレス電極、またはカーボン電極3を電気的に接続し、これらを一対の電極として、上述の組成の電解液4に浸漬した状態で当該電極間に電圧を印加する。印加電圧は、火花放電が生じるような範囲に制御するのが好ましく、そのような電圧範囲において電流密度は2〜8A/dm2であるのが望ましい。印加電圧については、直流電圧および交流電圧のいずれをも採用することができる。交流電圧を採用する場合、その波形についてはsin波であっても矩形波であってもよい。電解液温度については、15〜30℃の範囲とする。15℃以下では酸化膜形成速度が低下する傾向にあり、30℃以上では形成される酸化膜の表面粗さが過大になる傾向にある。
次に、第2水洗工程S4において、上述の陽極酸化工程S3を経た基材を流水でよく洗浄し、基材に付着している電解液を除去する。
次に、第1窒素ブロー工程S5において、基材に対して窒素ガスを噴きつけることによって、基材に付着している水分を飛散ないし蒸散させる。
次に、アルミニウム層形成工程S6において、上述の第1窒素ブロー工程S5を経た基材の表面、つまり陽極酸化膜上にスパッタリング法あるいは真空蒸着法を用いてアルミニウム層を形成する。形成されるアルミニウム層の膜厚は、5〜20μmであるのが好ましい。
次に、亜鉛置換工程S7において、アルミニウム層の表面に形成されている酸化皮膜を除去すると同時に、アルミニウム層の表面にアルミニウムとの置換により亜鉛皮膜を析出させる。具体的には、アルミニウム層形成工程S6を経た基材を、酸化亜鉛と水酸化ナトリウムとを含むジンケート浴に浸漬する。ここで、酸化亜鉛の濃度は、5〜100g/dm3であり、水酸化ナトリウムの濃度は、50〜500g/dm3である。また、ジンケート浴の浴温は、15〜25℃である。これにより、アルミニウムと亜鉛との標準電極電位の差に起因してアルミニウム層の表面に薄い亜鉛皮膜が形成される。
次に、第3水洗工程S8において、上述の亜鉛置換工程S7を経た基材を流水でよく洗浄し、亜鉛置換処理で使用した薬剤を除去する。
次に、亜鉛めっき工程S9において、上述の第3水洗工程S8を経た基材の表面、つまり亜鉛皮膜上に亜鉛めっきを施す。具体的には、第3水洗工程S8を経た基材を、酸化亜鉛と水酸化ナトリウムと光沢剤とを含むジンケート浴に浸漬し、定電流電解を行うことによって亜鉛めっきを施す。電解条件は、電流密度が2〜8A/dm2で、電解時間が5〜30分である。ここで、酸化亜鉛の濃度は、8〜15g/dm3であり、水酸化ナトリウムの濃度は、100〜180g/dm3である。また、ジンケート浴の浴温は、15〜40℃である。これにより、膜厚が10〜20μmの亜鉛層(亜鉛皮膜および亜鉛めっき膜からなる)が形成される。なお、亜鉛めっきを行う際の処理液としては、環境の観点からジンケート浴が好ましいが、シアン浴や塩化物浴などを用いてもよい。
次に、第4水洗工程S10において、上述の亜鉛めっき工程S9を経た基材を流水でよく洗浄し、亜鉛めっき処理で使用した薬剤を除去する。
次に、第2窒素ブロー工程S11において、基材に対して窒素ガスを噴きつけることによって、基材に付着している水分を飛散ないし蒸散させる。
次に、コーティング工程S12において、基材の亜鉛層上に透明コーティング層を設ける。具体的には、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、ドクターブレード法などの手段によって、液状のコーティング剤を基材の亜鉛層表面に塗布する。透明コーティング層を形成するための材料としては、市販の無機コーティング剤などを使用することができる。より具体的には、アルキルシロキサン系無機コーティング剤、または、アルコキシシラン系無機コーティング剤を使用することができる。リサイクル過程の燃焼において有機系有毒ガスをほとんど発生しないので、コーティング剤としては、有機系コーティング剤よりも上述のような無機コーティング剤の方が望ましい。
次に、焼付け工程S13において、上述の透明コーティング層を硬化させる。具体的には、上述のようにコーティング剤が塗布された基材を、室温で10分程度静置した後に、120〜150℃に加熱したオーブンに30〜60分間放置することによって、亜鉛層上の透明コーティング層を硬化させる。このようにして透明コーティング層を設けることによって、アルミニウム層や亜鉛層による金属光沢に加えて、さらに透明コーティング剤の光沢を付与して金属光沢感を引き立たせることができるとともに、マグネシウム材の耐食性向上も図ることができる。ただし、本発明では、透明コーティング層を形成する必要のない場合には、コーティング工程S12および焼付け工程S13は行われない。
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る表面処理方法によるマグネシウム材の表面処理のフローチャートを表す。この表面処理は、脱脂工程S1と、第1水洗工程S2と、陽極酸化工程S3と、第2水洗工程S4と、第1乾燥工程S5と、アルミニウム層形成工程S6と、亜鉛置換工程S7と、第3水洗工程S8と、亜鉛めっき工程S9と、第4水洗工程S10と、着色工程S20と、第5水洗工程S21とを含む。
本実施の形態では、マグネシウム製またはマグネシウム合金製の基材に対して、まず、脱脂工程S1から第4水洗工程S10までを行う。具体的な手法および使用する試薬などについては、第1の実施形態において述べたものと同様である。
次に、着色工程S20において、第4水洗工程S10を経た基材の表面に対してクロメート処理を施すことにより、当該表面に着色皮膜を形成する。具体的には、まず、第4水洗工程S10を経た基材を3〜7%硝酸水溶液に常温で10〜20秒間浸漬する。次に、硝酸水溶液への浸漬を行った基材を水洗する。水洗後、基材を、重クロム酸ナトリウム、硫酸や硝酸などの無機酸、酢酸などの有機酸などを必要に応じて混合して得られるクロメート浴に5〜30秒間浸漬する。このときのクロメート浴の浴温は、15〜30℃である。クロメート浴への浸漬後、大気中で5〜15秒間放置する。これにより、基材の表面に着色皮膜(たとえば、青色や干渉性のある赤黄色)が形成される。
着色工程S20において、第4水洗工程S10を経た基材の表面に対して染色用下地クロメート処理を施した後、当該染色用下地クロメート処理により得られたクロメート皮膜を染料で染色することにより、当該表面に着色皮膜を形成してもよい。具体的には、まず、第4水洗工程S10を経た基材を3〜7%硝酸水溶液に常温で10〜20秒間浸漬する。次に、硝酸水溶液への浸漬を行った基材を水洗する。水洗後、基材を、染色用下地クロメート液に5〜30秒間浸漬する。このときの染色用下地クロメート液の液温は、15〜30℃である。染色用下地クロメート液への浸漬後、直ちに水洗する。水洗後、乾燥させずに50〜70℃に加温した染料に1〜5分間浸漬する。これにより、基材の表面に着色皮膜が形成される。
次に、第5水洗工程S21において、上述の着色工程S20を経た基材を流水でよく洗浄し、着色処理で使用した薬剤を除去する。
なお、第5水洗工程S21を経た基材に対して、コーティング工程S12および焼付け工程S13を行ってもよい。その場合、具体的な手法および使用する試薬などについては、第1の実施形態において述べたものと同様である。
次に、本発明の実施例について、記載する。実施例1は第1の実施の形態に係る実施例であり、実施例2〜3は第2の実施の形態に係る実施例である。
〔実施例1〕
<電解液の調整>
メタケイ酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を200g/dm3、水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を50g/dm3の濃度で含み、pH14の電解液を調製した。
<陽極酸化処理>
基材としてのMg合金板(AZ31合金板、東洋マーク製、50mm×20mm×1.5mm)を、脱脂処理およびこれに続いて水洗した後、上述の電解液に浸漬し、図2の装置構成において、当該基材を陽極として且つステンレス(SUS−304)板を陰極として、4A/dm2の電流密度で火花放電を生じさせつつ1分間の定電流電解を行った。このときの電解液の温度は25℃に維持した。その結果、基材において電解液と接する表面に、白色の陽極酸化膜が形成された。
<アルミニウム層の形成>
上述のようにして陽極酸化膜が形成された基材を、電解液から引き上げて、流水により30秒間洗浄し、続いて、基材に付着している水分を窒素ブローにより除去した後、150℃のオーブンで30分間乾燥させた。乾燥後、基材に対して真空蒸着法によりアルミニウム層を、膜厚が10μmとなるように形成した。
<亜鉛置換処理>
上述のようにしてアルミニウム層が形成された基材を、亜鉛置換液に浸漬し、亜鉛皮膜を形成した。本実施例で使用した亜鉛置換液は、酸化亜鉛を5g/dm3、水酸化ナトリウムを50g/dm3の濃度で含む水溶液である。本亜鉛置換工程では、亜鉛置換液の温度を30℃とし、浸漬時間を30秒間とした。
<亜鉛めっき処理>
上述のようにして亜鉛皮膜が形成された基材を、亜鉛置換液から引き上げて、流水により30秒間洗浄した後、ジンケート浴に浸漬し、鉄板を陽極として且つ当該基材を陰極として、4A/dm2の電流密度で15分間の亜鉛めっきを行った。当該亜鉛めっき処理で使用したジンケート浴は、酸化亜鉛を14.9g/dm3、水酸化ナトリウムを140g/dm3の濃度で含む水溶液であって、さらに光沢剤として、建浴用光沢剤(商品名:NZ−98S、ディップソール株式会社製)を10cm3/dm3、および、光沢剤用調整剤(商品名:NZコンディショナー、ディップソール株式会社製)を20cm3/dm3添加して調整したものである。このときのジンケート浴の浴温は30℃に維持した。その結果、亜鉛皮膜上に銀色の金属光沢を有する亜鉛めっき膜が形成された。亜鉛皮膜および亜鉛めっき膜からなる亜鉛層の膜厚は、20μmとなった。
<コーティング>
上述のようにして亜鉛層が形成された基材を、ジンケート浴から引き上げて、流水により30秒間洗浄し、続いて、基材に付着している水分を窒素ブローにより除去した後、無機コーティング剤としてのヒートレスグラス(商品名:GS-600-1 type BC、大橋化学工業株式会社製)に浸漬し、3mm/秒の速度で引き上げた。これを室温で15分間放置した後、150℃に加熱したオーブンで60分間乾燥することによって、亜鉛層に対して透明コーティング層を焼付けた。その結果、金属の質感を呈しつつ、亜鉛層がコーティングされている基材(Mg合金板)を得ることができた。
〔実施例2〕
実施例1と同一の亜鉛層が形成された基材に対して、以下に述べるように、着色工程としてクロメート処理を施した。
<クロメート処理>
まず、上述のようにして亜鉛層が形成された基材を、ジンケート浴から引き上げて、流水により30秒間洗浄した後、5%硝酸水溶液に15秒間浸漬した。当該浸漬後、流水により30秒間洗浄し、続いて、クロメート浴に浸漬した。当該クロメート浴は、重クロム酸ナトリウム溶液(関東化学株式会社製)を10cm3/dm3、硫酸(和光純薬工業株式会社製)を0.7cm3/dm3、硝酸(和光純薬工業株式会社製)を4cm3/dm3、酢酸(和光純薬工業株式会社製)を2cm3/dm3の濃度で含む水溶液である。本着色工程では、ジンケート浴の浴温を30℃とし、浸漬時間を10秒間とした。10秒間の浸漬の後、大気中で10秒間放置し、その後流水により30秒間洗浄した。その結果、干渉性のある赤黄色のクロメート皮膜が亜鉛層上に形成された。
〔実施例3〕
実施例1と同一の亜鉛層が形成された基材に対して、以下に述べたように、染色用下地クロメート処理を施し、クロメート皮膜を形成した上で、当該クロメート皮膜に対して染料による染色を行った。
<染色用下地クロメート処理および染色>
まず、上述のようにして亜鉛層が形成された基材を、ジンケート浴から引き上げて、流水により30秒間洗浄した後、5%硝酸水溶液に15秒間浸漬した。当該浸漬後、流水により30秒間洗浄し、続いて、染色用下地クロメート液(商品名:Z−480、ディップソール株式会社製)に浸漬した。本着色工程では、染色用下地クロメート液の液温を30℃とし、浸漬時間を10秒間とした。10秒間の浸漬の後、直ちに流水により30秒間洗浄した。洗浄後、乾燥させずに、60℃に加温した染料(商品名:ディップカラー♯5[スカーレット(あか)]、ディップソール株式会社製)に3分間浸漬し、その後流水により30秒間洗浄した。その結果、赤色のクロメート皮膜が亜鉛層上に形成された。
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
(付記1)マグネシウム製またはマグネシウム合金製の基材の表面を陽極酸化処理することによって、前記基材の表面に陽極酸化膜を設ける陽極酸化工程と、
前記陽極酸化膜の表面上にスパッタリング法または真空蒸着法を用いてアルミニウム層を形成するアルミニウム層形成工程と、
前記陽極酸化膜の表面上に前記アルミニウム層を介して亜鉛層を形成する亜鉛層形成工程とを含むことを特徴とする、マグネシウム材の表面処理方法。
(付記2)前記亜鉛層形成工程は、前記アルミニウム層の表面から当該アルミニウム層の一部を亜鉛で置換する亜鉛置換工程と、
前記亜鉛置換工程で形成された亜鉛皮膜の表面に対して亜鉛めっきを施す亜鉛めっき工程とを含んでいる、付記1に記載のマグネシウム材の表面処理方法。
(付記3)前記アルミニウム層の膜厚は、5〜20μmである、付記1または2に記載のマグネシウム材の表面処理方法。
(付記4)前記亜鉛層の表面に対して、クロメート処理を施すことにより当該表面を着色するか、もしくは染色用下地クロメート処理を施した上で染色を行うことにより当該表面を着色する着色工程をさらに含む、付記1〜3のいずれか1つに記載のマグネシウム材の表面処理方法。
(付記5)前記亜鉛層上に透明コーティング層を形成するコーティング工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1つに記載のマグネシウム材の表面処理方法。
(付記6)前記陽極酸化膜の形成は、火花放電を用いて行われる、請求項1〜5のいずれか1つに記載のマグネシウム材の表面処理方法。
(付記7)前記陽極酸化処理は、当該陽極酸化処理に使用される電解液の温度を15〜30℃として行う、付記1〜6のいずれか1つに記載のマグネシウム材の表面処理方法。
(付記8)前記陽極酸化処理は、2〜8A/dm2の電流密度で行う、付記1〜7のいずれか1つに記載のマグネシウム材の表面処理方法。
(付記9)付記1〜8のいずれか1つに記載のマグネシウム材の表面処理法によって表面処理が施されているマグネシウム材により構成されていることを特徴とする、電子機器筐体。
本発明によると、耐食性に加え、金属光沢を有し、かつデザイン性の高い彩色をマグネシウム材の表面に付与することができる。また、当該彩色は、有機塗装によるものではないため、有機塗装により形成された有機塗膜が燃焼する際に発生するような有毒ガスを発生することがない。加えて、溶剤処理或いはウエットブラスト処理により、有機塗膜を剥離する必要がないため、作業環境の劣悪化や作業工程数の増加という問題も招かない。さらに、有機塗膜のように膜質の劣化により材料表面から剥離するといったことがなく、製品のデザイン上においても優れている。
本発明に係る表面処理方法によるマグネシウム材の表面処理のフローチャートである。 本発明に係る表面処理方法の一部を構成する陽極酸化処理を行うための陽極酸化処理システムの模式図である。 本発明に係る表面処理方法によるマグネシウム材の表面処理のフローチャートである。
符号の説明
1 電源
2 基材
3 対電極
4 電解液
5 ヒータ付スターラー

Claims (5)

  1. マグネシウム製またはマグネシウム合金製の基材の表面を陽極酸化処理することによって、前記基材の表面に陽極酸化膜を設ける陽極酸化工程と、
    前記陽極酸化膜の表面上にスパッタリング法または真空蒸着法を用いてアルミニウム層を形成するアルミニウム層形成工程と、
    前記陽極酸化膜の表面上に前記アルミニウム層を介して亜鉛層を形成する亜鉛層形成工程とを含むことを特徴とする、マグネシウム材の表面処理方法。
  2. 前記亜鉛層形成工程は、前記アルミニウム層の表面から当該アルミニウム層の一部を亜鉛で置換する亜鉛置換工程と、
    前記亜鉛置換工程で形成された亜鉛皮膜の表面に対して亜鉛めっきを施す亜鉛めっき工程とを含んでいる、請求項1に記載のマグネシウム材の表面処理方法。
  3. 前記亜鉛層の表面に対して、クロメート処理を施すことにより当該表面を着色するか、もしくは染色用下地クロメート処理を施した上で染色を行うことにより当該表面を着色する着色工程をさらに含む、請求項1または2に記載のマグネシウム材の表面処理方法。
  4. 前記亜鉛層上に透明コーティング層を形成するコーティング工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1つに記載のマグネシウム材の表面処理方法。
  5. 前記陽極酸化膜の形成は、火花放電を用いて行われる、請求項1〜4のいずれか1つに記載のマグネシウム材の表面処理方法。
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