JP2007002174A - 潤滑剤および転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐フレッチング性を高めることができる転がり軸受を提供すること。
【解決手段】 外周面に内輪軌道を有する内輪12と、内周面に外輪軌道を有する外輪14と、内輪12の内輪軌道面12aと外輪14の外輪軌道面14aとの間に転動自在に配設された複数の転動体(玉)16と、各転動体16を保持する保持器18とを備え、潤滑剤が封入された転がり軸受において、前記潤滑剤は、イオン性液体を含有し、前記イオン性液体の40℃での動粘度が20〜200mm2/sである。
【選択図】 図1
【解決手段】 外周面に内輪軌道を有する内輪12と、内周面に外輪軌道を有する外輪14と、内輪12の内輪軌道面12aと外輪14の外輪軌道面14aとの間に転動自在に配設された複数の転動体(玉)16と、各転動体16を保持する保持器18とを備え、潤滑剤が封入された転がり軸受において、前記潤滑剤は、イオン性液体を含有し、前記イオン性液体の40℃での動粘度が20〜200mm2/sである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、音響特性、フレッチング防止機能に優れたグリース組成物及びそれを封入した転がり軸受に関し、特に、長時間回転し、かつ低騒音性が要求されるコンピュータ等のハードディスクドライブ(HDD)等のような情報機器や、レーザービームプリンタ(LBP)等の事務機器等に好適な転がり軸受用潤滑剤及び転がり軸受に関する。
従来、軸受の潤滑剤には、潤滑油またはグリースが多く使用されている。潤滑剤の主成分となる基油としては、鉱物油やポリαオレフィン油、エステル油、シリコーン油、フッ素油等の合成油が挙げられる。
ところで、情報機器には、転がり玉軸受、ころ軸受等の転動装置が用いられているが、情報機器を搬入したり搬出したりする際、あるいは情報機器を携帯する際に、5〜300Hz程度の低周波数の振動が生じることがある。このような振動が転動装置に作用すると、軸受内のボールまたはころと内外輪のレース面が損傷を受けて劣化するフレッチングという現象が生じることがある。フレッチング現象が生じると、転がり軸受又はころ軸受の音響特性が悪くなるだけでなく、情報機器自体にも悪影響を及ぼす恐れがある。この場合、フレッチング発生部位の温度を測定した報告例は非常に少ないが、表面損傷の凝着状態の観察結果からは、フレッチング発生部位はかなりの高温に達していることが予想され、軸受としては、より耐高温性のものが要求されている。
そのため、フレッチング磨耗の対策としてこれまで様々な対策が採られている。
例えば、グリース組成物を潤滑剤として使用し、グリース組成物中の基油動粘度を限定することによって耐フレッチング性を向上させるようにしたものが提案されている(特許文献1、2参照)。
一方、常温溶融塩であるイオン性液体は、様々な有機イオンの組合せによって低粘度であるため、潤滑剤などに使用したものが各種提案されている(特許文献3、非特許文献1、2、3、4、5参照)。
特開2004−352858号公報
特開2002−180077号公報
特開2004−183868号公報
社団法人 日本トライボロジー学会 予稿集 東京2004-5 p163-p164
社団法人 日本トライボロジー学会 予稿集 東京2004-5 p165-p167
機能材料 シーエムシー出版 2004年11月号 p63-68
社団法人 日本トライボロジー学会 予稿集 鳥取2004-11 p569-p570
社団法人 日本トライボロジー学会 予稿集 鳥取2004-11 p571-p572
一方、常温溶融塩であるイオン性液体は、様々な有機イオンの組合せによって低粘度であるため、潤滑剤などに使用したものが各種提案されている(特許文献3、非特許文献1、2、3、4、5参照)。
フレッチング現象は、軸受各部の接触面での凝着によって生じると考えられ、面の温度は相当高いことが予想される。また、グリース組成物の場合、高温になると、増ちょう剤の構造が不安定になり、油が分離しやすくなって、徐々に性能が低下していくと考えられ、油も少しずつであるが、接触面においては蒸発してしまうと考えられる。しかし、前記各従来技術では、耐フレッチング性を高めるには十分ではなく、さらなる改善が必要である。
そこで、本発明は、熱安定性の高い潤滑剤を提供するとともに、耐フレッチング性の高い転がり軸受を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、イオン性液体を含有し、前記イオン性液体の40℃での動粘度が20〜200mm2/sである潤滑剤を構成したものである。
潤滑剤として、イオン性液体を含有し、イオン性液体の40℃での動粘度が20〜200mm2/sであるものを用いると、熱安定性を高めることができる。
また、本発明は、外周面に内輪軌道を有する内輪と、内周面に外輪軌道を有する外輪と、前記内輪軌道と前記外輪軌道との間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記複数の転動体を保持する保持器とを備え、潤滑剤を封入してなる転がり軸受において、前記潤滑剤は、イオン性液体を含有し、前記イオン性液体の40℃での動粘度が20〜200mm2/sである転がり軸受を構成したものである。
潤滑剤として、イオン性液体を含有し、イオン性液体の40℃での動粘度が20〜200mm2/sであるものを転がり軸受に封入すると、熱安定性の高い潤滑剤の潤滑作用で、耐フレッチング性を高めることができる。
本発明によれば、熱安定性の高い潤滑剤を得ることができる。また、転がり軸受の耐フレッチング性を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るアンギュラ玉軸受の要部断面図である。
図1において、アンギュラ玉軸受10は、転がり軸受として、円環状に形成されて、外周面に内輪軌道を有する内輪12と、円環状に形成されて、内周面に外輪軌道を有する外輪14と、内輪12の内輪軌道面12aと外輪14の外輪軌道面14aとの間に転動自在に配設された複数の転動体(玉)16と、各転動体16を保持する保持器18とを備え、潤滑剤(図示せず)が封入されている。この潤滑剤は、イオン性液体を含んで構成されている。
潤滑剤の基油に用いるイオン性液体には、脂肪族アミン系、脂環式アミン系、イミダゾリウム系、ピリジン系等をカチオンに挙げることができ、これらを以下の式で示す(脂肪族アミン系…化1、脂環式アミン系…化2、イミダゾリウム系…化3、ピリジン系…化4)。
潤滑剤の基油に用いるイオン性液体には、脂肪族アミン系、脂環式アミン系、イミダゾリウム系、ピリジン系等をカチオンに挙げることができ、これらを以下の式で示す(脂肪族アミン系…化1、脂環式アミン系…化2、イミダゾリウム系…化3、ピリジン系…化4)。
アニオン(X-)には、BF4 -、PF6 -、[(CF3SO2)2N]-、Cl-、Br-等を挙げることができる。アルキル基の炭酸数が多く分子量が大きい程、動粘度が大きくなる。
40℃動粘度は、およそ12mm2/sから260mm2/s程度のものが知られ、イオン性液体を単独又は組合せることによって、適切な粘度の基油を得ることができる。また、融点が−45℃以下のものも実在し、潤滑油の使用範囲を十分満たしている。
動粘度は、炭化水素鎖(R)の炭素数及び/又は鎖長さによって定まってくる。また、潤滑剤に含有されるイオン性液体の40℃での動粘度は、20mm2/s未満では潤滑膜ができにくく、200mm2/s以上であると、回転時の初期トルクが高くなる。したがって、潤滑剤に含有されるイオン性液体の40℃での動粘度は、20mm2/s〜200mm2/sであることが好ましい。
(添加剤)
イオン性液体にはその性能を妨げるようなことがなければ、各種添加剤を添加しても構わない。例えば、往来から使用されている防錆剤や酸化防止剤、摩耗防止剤等の添加剤を混合することができる。本願のイオン性液体は、アルコール等には溶解するが、へキサンには不溶である。添加剤は、イオン性液体に可溶であるものが好ましい。具体的には亜鉛ジチオホスフェート(Zn−DTP)やリン酸トリクレジル(TCP)、ジベンジルサルファイドが挙げられる。
[実施例]
以下に、実施例1〜3及び比較例1〜4を挙げて本発明を更に説明するが、本発明は、これによって何ら制限されるものではない。
表1、2に示すように、6種類の潤滑剤をそれぞれ実施例1〜3と比較例1〜4の軸受に封入して、フレッチング試験およびトルク試験を行ったところ、表1、2に示すような結果が得られた。
(添加剤)
イオン性液体にはその性能を妨げるようなことがなければ、各種添加剤を添加しても構わない。例えば、往来から使用されている防錆剤や酸化防止剤、摩耗防止剤等の添加剤を混合することができる。本願のイオン性液体は、アルコール等には溶解するが、へキサンには不溶である。添加剤は、イオン性液体に可溶であるものが好ましい。具体的には亜鉛ジチオホスフェート(Zn−DTP)やリン酸トリクレジル(TCP)、ジベンジルサルファイドが挙げられる。
[実施例]
以下に、実施例1〜3及び比較例1〜4を挙げて本発明を更に説明するが、本発明は、これによって何ら制限されるものではない。
表1、2に示すように、6種類の潤滑剤をそれぞれ実施例1〜3と比較例1〜4の軸受に封入して、フレッチング試験およびトルク試験を行ったところ、表1、2に示すような結果が得られた。
フレッチング試験は、695VV軸受(外径13mm、内径5mm、幅4mm)に各潤滑剤を5μl封入し、アキシアル荷重14.7N、周波数75Hz、内輪と玉の揺動全振幅40μm、揺動回数27万回で行った。フレッチング試験で得られた内輪フレッチング磨耗痕の短径の幅をそれぞれ算出し、各算出値のうち比較例1の値を1とし、その他の値をその比で示した。更に、フレッチング試験前後の軸受音響(アンデロンハイバンド値)を測定し、上昇値が0以上1未満を◎、1以上2未満を○、2以上3未満を△、3以上を×とした。
(トルク試験)
軸受トルクは608ZZ玉軸受(外径22mm、内径8mm、幅7mm、金属シールド付)に潤滑剤を空間容積の20%封入し、室温、アキシアル荷重27.4N、1000min-1で試験し、3分後の動トルクを測定した。基油動粘度がほぼ同様である実施例3と比較例2の測定を行い、比較例1の値を基準として、基準よりもトルクが低い場合を合格とした。
表1、2に示す試験結果から、本発明に係るイオン性液体を含有する潤滑剤は、既知の潤滑油と同等または同等以上のトルク性能を示し、耐フレッチング性能に優れていることが分かる。したがって、本発明に係るイオン性液体を潤滑剤として転がり軸受に封入することで、低騒音特性が特に要求されている情報機器や各種事務機器等の軸受として好適に機能することが分かる。
10 アンギュラ玉軸受
12 内輪
14 外輪
16 転動体
18 保持器
12 内輪
14 外輪
16 転動体
18 保持器
Claims (2)
- イオン性液体を含有し、前記イオン性液体の40℃での動粘度が20〜200mm2/sである潤滑剤。
- 外周面に内輪軌道を有する内輪と、内周面に外輪軌道を有する外輪と、前記内輪軌道と前記外輪軌道との間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記複数の転動体を保持する保持器とを備え、潤滑剤を封入してなる転がり軸受において、前記潤滑剤は、イオン性液体を含有し、前記イオン性液体の40℃での動粘度が20〜200mm2/sであることを特徴とする転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005186562A JP2007002174A (ja) | 2005-06-27 | 2005-06-27 | 潤滑剤および転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005186562A JP2007002174A (ja) | 2005-06-27 | 2005-06-27 | 潤滑剤および転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007002174A true JP2007002174A (ja) | 2007-01-11 |
Family
ID=37688066
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005186562A Pending JP2007002174A (ja) | 2005-06-27 | 2005-06-27 | 潤滑剤および転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007002174A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102008046543A1 (de) * | 2008-09-10 | 2010-03-18 | Siemens Aktiengesellschaft | Gleitlager |
DE102010050702A1 (de) | 2010-11-06 | 2012-05-10 | Schaeffler Technologies Gmbh & Co. Kg | Lager sowie Verfahren zum reibungsreduzierten Betreiben eines Lagers |
-
2005
- 2005-06-27 JP JP2005186562A patent/JP2007002174A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE102010050702A1 (de) | 2010-11-06 | 2012-05-10 | Schaeffler Technologies Gmbh & Co. Kg | Lager sowie Verfahren zum reibungsreduzierten Betreiben eines Lagers |
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