JP2012229334A - グリースおよび転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】転がり軸受に封入して使用された際に、定常状態でのトルクが低く、音響特性にも優れたグリースを提供する。
【解決手段】グリースの組成を、温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4以下である基油と、太さが0.1μm以下の繊維状脂肪族ジウレアからなる増ちょう剤とを含有するものとする。
【選択図】図1
【解決手段】グリースの組成を、温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4以下である基油と、太さが0.1μm以下の繊維状脂肪族ジウレアからなる増ちょう剤とを含有するものとする。
【選択図】図1
Description
この発明は、グリース(基油と、増ちょう剤と、必要に応じて添加される添加剤とからなる潤滑剤組成物)と、グリースが封入された転がり軸受に関する。
エアコンのファンモーター等に代表される家電用モーターの回転軸を支持する転がり軸受には、低トルク性と低騒音性が要求される。グリースが封入されて使用される転がり軸受のトルク特性には、軸受内部でのグリースの挙動が大きな影響を及ぼしている。
軸受内部でのグリースの挙動にはチャーニング型とチャネリング型がある。チャーニング型の場合、軸受の起動後も、グリースが軸受内部で絶えずかき混ぜられた状態になるため、粘性抵抗が大きく、定常状態でのトルクが高い。チャネリング型の場合、軸受の起動によりグリースが剪断力を受けて移動した後は、グリースに隙間が生じるため、粘性抵抗が小さくなる。すなわち、定常状態でのトルクが低い。
軸受内部でのグリースの挙動にはチャーニング型とチャネリング型がある。チャーニング型の場合、軸受の起動後も、グリースが軸受内部で絶えずかき混ぜられた状態になるため、粘性抵抗が大きく、定常状態でのトルクが高い。チャネリング型の場合、軸受の起動によりグリースが剪断力を受けて移動した後は、グリースに隙間が生じるため、粘性抵抗が小さくなる。すなわち、定常状態でのトルクが低い。
流動性が高いグリースはチャーニング型の挙動を示し易く、流動性が低いグリースはチャネリング型の挙動を示し易い。よって、定常状態でのトルクが低いチャネリング型のグリースを得るためには、グリースの流動性を低くする必要がある。しかし、増ちょう剤の含有率を高くしてグリースの流動性を低くすると、起動トルクが増大し、音響特性が悪化する等の問題点があるため、増ちょう剤の含有率を高くしないで流動性を低くする必要がある。
特許文献1には、静電現象によって軌道輪と転動体との間に生じる電食を防止することができる電食防止可能な転がり軸受を得るために、転がり軸受内に、誘電体セラミックスを0.1質量%以上20質量%含有し、比誘電率が3以上であるグリース組成物を封入することが記載されている。
特許文献2には、高温下で高速回転されてもグリース漏れが生じ難い転がり軸受を得るために、比誘電率が3以上100以下(25℃、1kHz)である基油を含有するグリースを封入することが記載されている。なお、グリースに含有される増ちょう剤としては、耐熱性の観点からウレア化合物を使用することが好ましいと記載されている。
特許文献3には、転がり軸受の回転時の剪断によるグリースの軟化を防止するために、リチウム石鹸からなる増ちょう剤として、繊維長が1μm以下の短繊維状リチウム石鹸を用いることが記載されている。
特許文献2には、高温下で高速回転されてもグリース漏れが生じ難い転がり軸受を得るために、比誘電率が3以上100以下(25℃、1kHz)である基油を含有するグリースを封入することが記載されている。なお、グリースに含有される増ちょう剤としては、耐熱性の観点からウレア化合物を使用することが好ましいと記載されている。
特許文献3には、転がり軸受の回転時の剪断によるグリースの軟化を防止するために、リチウム石鹸からなる増ちょう剤として、繊維長が1μm以下の短繊維状リチウム石鹸を用いることが記載されている。
この発明の課題は、転がり軸受に封入して使用された際に、軸受内部でチャネリング型の挙動を示し、定常状態でのトルクが低く、音響特性にも優れるグリースを提供することである。
上記課題を解決するために、この発明のグリースは、温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4以下である基油と、太さが0.1μm以下の繊維状脂肪族ジウレアからなる増ちょう剤と、を含有することを特徴とする。
温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4以下である基油中で、脂肪族アミンとジイソシアネートを反応させると、前記基油中に、脂肪族ジウレアが太さ0.1μm以下のねじれた繊維として生成される。この工程を経ることで、温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4以下である基油と、太さが0.1μm以下の繊維状脂肪族ジウレアからなる増ちょう剤と、を含有するグリースが得られる。
温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4以下である基油中で、脂肪族アミンとジイソシアネートを反応させると、前記基油中に、脂肪族ジウレアが太さ0.1μm以下のねじれた繊維として生成される。この工程を経ることで、温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4以下である基油と、太さが0.1μm以下の繊維状脂肪族ジウレアからなる増ちょう剤と、を含有するグリースが得られる。
そして、このグリースは、増ちょう剤が細くて(太さ0.1μm以下)ねじれた繊維状であるため、基油を取り込み易いことから、増ちょう剤の網目構造が強固に形成される。グリースの降伏応力は増ちょう剤の網目構造の強さに比例するため、増ちょう剤が強固な網目構造を形成するグリースほど降伏応力が大きくなる。
よって、このグリースを転がり軸受内に封入して軸受を起動すると、降伏応力が大きいため、剪断力を受けて軌道面から排除されたグリースがその場にとどまる(チャネリング型の挙動を示す)ため、定常状態でのトルク(回転トルク)が低くなる。
よって、このグリースを転がり軸受内に封入して軸受を起動すると、降伏応力が大きいため、剪断力を受けて軌道面から排除されたグリースがその場にとどまる(チャネリング型の挙動を示す)ため、定常状態でのトルク(回転トルク)が低くなる。
また、この発明のグリースは、上述のように、増ちょう剤が強固な網目構造を形成するため、増ちょう剤の含有率が低くてもグリースを硬くすることができる。つまり、この発明のグリースは、同じちょう度の他のグリースよりも増ちょう剤の含有率を低くできるため、このことによるトルク低減効果と潤滑性能の向上も期待できる。また、増ちょう剤の網目構造が発達しているほど増ちょう剤の基油に対する分散性が良好になることに加え、増ちょう剤をなす繊維が細いことからも、音響特性に優れたものとなる。
この発明の転がり軸受は、内輪、外輪、および内輪の軌道面と外輪の軌道面との間に転動自在に配されている転動体を備え、前記軌道面と転動体との間の潤滑を行うグリースとして、温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4以下である基油と、太さが0.1μm以下の繊維状脂肪族ジウレアからなる増ちょう剤と、を含有するグリースが封入されていることを特徴とする。
この発明のグリースは、増ちょう剤をなす繊維が細く、増ちょう剤の網目構造が強固に形成され、転がり軸受の内部でチャネリング型の挙動を示すため、このグリースが封入された転がり軸受は、定常状態でのトルクが低く、音響特性にも優れる。
以下、この発明の実施形態について説明する。
この発明の転がり軸受の一実施形態として、図1に示す深溝玉軸受が挙げられる。この深溝玉軸受は、内輪1、外輪2、複数の玉(転動体)3、保持器4、および1対のシール(密封装置)5からなる。玉3は、内輪1の軌道溝(軌道面)1aと外輪2の軌道溝(軌道面)2aとの間に、転動自在に配されている。この軸受の内部に、軌道溝1a,2aと転動体3との間の潤滑を行うグリース6が封入されている。
この発明の転がり軸受の一実施形態として、図1に示す深溝玉軸受が挙げられる。この深溝玉軸受は、内輪1、外輪2、複数の玉(転動体)3、保持器4、および1対のシール(密封装置)5からなる。玉3は、内輪1の軌道溝(軌道面)1aと外輪2の軌道溝(軌道面)2aとの間に、転動自在に配されている。この軸受の内部に、軌道溝1a,2aと転動体3との間の潤滑を行うグリース6が封入されている。
このグリース6は、基油が、温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4以下であり、増ちょう剤が、太さが0.1μm以下の繊維状脂肪族ジウレアである。
このグリース6は、脂肪族アミンとジイソシアネートを、温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4以下である基油(炭化水素油、エーテル油)中で加熱して反応させて、基油中に、脂肪族ジウレアを太さ0.1μm以下のねじれた繊維として生成させた後、冷却工程を経て、半固形状にし、ミリング工程を経て得られたものである。増ちょう剤の含有率は、グリース全量に対して例えば5〜25質量%となるようにする。
このグリース6は、軸受内部でチャネリング型の挙動を示すため、この実施形態の転がり軸受は定常状態でのトルクが低くなる。また、グリース6に含まれている増ちょう剤の繊維が細いため、この実施形態の転がり軸受は音響特性にも優れている。
このグリース6は、脂肪族アミンとジイソシアネートを、温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4以下である基油(炭化水素油、エーテル油)中で加熱して反応させて、基油中に、脂肪族ジウレアを太さ0.1μm以下のねじれた繊維として生成させた後、冷却工程を経て、半固形状にし、ミリング工程を経て得られたものである。増ちょう剤の含有率は、グリース全量に対して例えば5〜25質量%となるようにする。
このグリース6は、軸受内部でチャネリング型の挙動を示すため、この実施形態の転がり軸受は定常状態でのトルクが低くなる。また、グリース6に含まれている増ちょう剤の繊維が細いため、この実施形態の転がり軸受は音響特性にも優れている。
以下に、この発明のグリースを構成する各成分について詳細に説明する。
〔基油について〕
この発明のグリースが含有する基油は、温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4以下の潤滑油であればよい。前記比誘電率が3.4以下の範囲にある潤滑油としては、炭化水素油、エーテル油等が挙げられる。
炭化水素油としては、ポリアルファオレフィン(PAO)が挙げられる。
エーテル油としては、モノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油等が挙げられる。
これらの基油は、一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を併用してもよい。
〔基油について〕
この発明のグリースが含有する基油は、温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4以下の潤滑油であればよい。前記比誘電率が3.4以下の範囲にある潤滑油としては、炭化水素油、エーテル油等が挙げられる。
炭化水素油としては、ポリアルファオレフィン(PAO)が挙げられる。
エーテル油としては、モノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油等が挙げられる。
これらの基油は、一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を併用してもよい。
〔添加剤について〕
この発明のグリースは、各種性能をさらに向上させるため、この発明の目的を損なわない含有量で、各種添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、防錆剤、極圧剤、油性向上剤、金属不活性化剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛が挙げられる。防錆剤としては、例えば、スルホン酸金属塩、エステル系防錆剤、アミン系防錆剤、ナフテン酸金属塩、コハク酸誘導体が挙げられる。極圧剤としては、例えば、リン系極圧剤、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブデンが挙げられる。油性向上剤としては、例えば、脂肪酸、動植物油が挙げられる。金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールが挙げられる。
この発明のグリースは、各種性能をさらに向上させるため、この発明の目的を損なわない含有量で、各種添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、防錆剤、極圧剤、油性向上剤、金属不活性化剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛が挙げられる。防錆剤としては、例えば、スルホン酸金属塩、エステル系防錆剤、アミン系防錆剤、ナフテン酸金属塩、コハク酸誘導体が挙げられる。極圧剤としては、例えば、リン系極圧剤、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブデンが挙げられる。油性向上剤としては、例えば、脂肪酸、動植物油が挙げられる。金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールが挙げられる。
以下、この発明を具体的な実施例を示して説明する。
[グリースの調製]
ステアリルアミン(脂肪族アミン)と、ジフェニルメタンジイソシアネートと、下記の表1に示す性状の4種類の基油を用意し、以下の方法でNo.1〜No.4のグリースを調製した。
[グリースの調製]
ステアリルアミン(脂肪族アミン)と、ジフェニルメタンジイソシアネートと、下記の表1に示す性状の4種類の基油を用意し、以下の方法でNo.1〜No.4のグリースを調製した。
先ず、基油(No.1ではポリアルファオレフィン、No.2ではアルキルジフェニルエーテル、No.3ではポリオールエステル、No.4ではポリアルキレングリコール)85gの半量にステアリルアミン10.8gを溶解させ、残りの半量にジフェニルメタンジイソシアネート4.8g溶解させた。次に、これらの溶解液を反応容器内に入れて、攪拌しながら80℃で反応させて、基油中でジフェニルメタンジステアリルジウレア(脂肪族ジウレア)を生成させた。次に、この反応容器を150℃に加熱した後、室温環境に放置して冷却した。次に、この反応容器の内容物を3本ロールミルにかけてグリースを得た。
このようにして得られたNo.1〜4のグリースを走査型電子顕微鏡で観察し、増ちょう剤をなす繊維の状態を調べた。その結果(増ちょう剤の顕微鏡写真)を図2〜5に示す。
このようにして得られたNo.1〜4のグリースを走査型電子顕微鏡で観察し、増ちょう剤をなす繊維の状態を調べた。その結果(増ちょう剤の顕微鏡写真)を図2〜5に示す。
ステアリルアミン(分子量269.51)とジフェニルメタンジイソシアネート(250.26)は、ステアリルアミン:ジフェニルメタンジイソシアネート=2:1(モル比)で反応し、ジフェニルメタンジステアリルジウレア(分子量789.28)が得られる。ステアリルアミン10.8gは0.040モル、ジフェニルメタンジイソシアネート4.8gは0.019モルに相当するため、この実施例では、ジフェニルメタンジステアリルジウレアが0.019モル(15.0g)生成される。
よって、No.1〜4のグリースは、増ちょう剤(ジフェニルメタンジステアリルジウレア)の含有率が15質量%となる。
よって、No.1〜4のグリースは、増ちょう剤(ジフェニルメタンジステアリルジウレア)の含有率が15質量%となる。
[グリースの降伏応力測定]
No.1〜4のグリースの降伏応力を、レオメーターにより、温度:30℃、周波数:10Hz、剪断応力:10〜5000Paの条件で測定した。具体的には、オシレーションモードで、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”の比で定義される損失正接tanδ(=G”/G’)が1を超える時の剪断応力を、降伏応力値とした。その結果も下記の表1に併せて示す。
No.1〜4のグリースの降伏応力を、レオメーターにより、温度:30℃、周波数:10Hz、剪断応力:10〜5000Paの条件で測定した。具体的には、オシレーションモードで、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”の比で定義される損失正接tanδ(=G”/G’)が1を超える時の剪断応力を、降伏応力値とした。その結果も下記の表1に併せて示す。
[軸受のトルク試験]
No.1〜4のグリースを、それぞれ図1に示す構造で呼び番号6305の深溝玉軸受(内径:25mm、外径:62mm、幅:17mm)に3.4g封入してNo.1〜4の転がり軸受とした。そして、これらの転がり軸受を、ラジアル荷重(Fr)29.4N(3kgf)、アキシアル荷重(Fa)294N(30kgf)、回転速度1800min-1の条件で、室温で回転して、試験開始10分後のトルクを測定した。その結果も下記の表1に併せて示す。
No.1〜4のグリースを、それぞれ図1に示す構造で呼び番号6305の深溝玉軸受(内径:25mm、外径:62mm、幅:17mm)に3.4g封入してNo.1〜4の転がり軸受とした。そして、これらの転がり軸受を、ラジアル荷重(Fr)29.4N(3kgf)、アキシアル荷重(Fa)294N(30kgf)、回転速度1800min-1の条件で、室温で回転して、試験開始10分後のトルクを測定した。その結果も下記の表1に併せて示す。
[軸受のグリースノイズ測定]
No.1〜4のグリースを、それぞれ図1に示す構造で呼び番号608の深溝玉軸受(内径:8mm、外径:22mm、幅:7mm)に0.16g封入してNo.1〜4の転がり軸受とした。そして、これらの転がり軸受を、アキシアル荷重(Fa)29.4N(3kgf)、回転速度1800min-1、M&H20、ディレータイム0.6s、カウントレベル10の条件で、室温で回転して、試験開始30秒間のグリースノイズをグリースノイズテスタでカウントした。その結果も下記の表1に併せて示す。
No.1〜4のグリースを、それぞれ図1に示す構造で呼び番号608の深溝玉軸受(内径:8mm、外径:22mm、幅:7mm)に0.16g封入してNo.1〜4の転がり軸受とした。そして、これらの転がり軸受を、アキシアル荷重(Fa)29.4N(3kgf)、回転速度1800min-1、M&H20、ディレータイム0.6s、カウントレベル10の条件で、室温で回転して、試験開始30秒間のグリースノイズをグリースノイズテスタでカウントした。その結果も下記の表1に併せて示す。
表1および図2〜5の写真から分かるように、No.1および2のグリースは増ちょう剤をなす繊維の太さの最大値が0.10μmであったのに対して、No.4のグリースは0.35μmであり、No.5のグリースは0.25μmと太かった。
また、表1から分かるように、温度25℃で周波数1MHzにおける基油の比誘電率が3.0および3.4であるNo.1および2のグリースは、4.5および5.7であるNo.4と5のグリースと比較して、降伏応力が著しく高くなっている。すなわち、No.1および2のグリースは増ちょう剤の網目構造が強固に形成されていることが分かる。
また、表1から分かるように、温度25℃で周波数1MHzにおける基油の比誘電率が3.0および3.4であるNo.1および2のグリースは、4.5および5.7であるNo.4と5のグリースと比較して、降伏応力が著しく高くなっている。すなわち、No.1および2のグリースは増ちょう剤の網目構造が強固に形成されていることが分かる。
また、No.1と2の転がり軸受のトルクは0.81Nmと0.98Nmであり、No.4と5の転がり軸受のトルクは0.154Nmと0.120Nmであり、No.1および2の転がり軸受のトルクがNo.4と5の転がり軸受よりも低かった。
さらに、グリースノイズはNo.1と2の転がり軸受で0と25カウントで少なかったのに対して、No.4と5の転がり軸受で164と58で多かった。
以上のことから、同じ脂肪族ジウレアからなる増ちょう剤を同じ含有率で含むグリースでも、温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4を超える基油ではなく、3.4以下の基油を含むグリースは、増ちょう剤の繊維太さが0.1μm以下であり、このグリースを用いることで、転がり軸受の定常状態でのトルクを低くでき、音響特性も良好になることが分かる。
さらに、グリースノイズはNo.1と2の転がり軸受で0と25カウントで少なかったのに対して、No.4と5の転がり軸受で164と58で多かった。
以上のことから、同じ脂肪族ジウレアからなる増ちょう剤を同じ含有率で含むグリースでも、温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4を超える基油ではなく、3.4以下の基油を含むグリースは、増ちょう剤の繊維太さが0.1μm以下であり、このグリースを用いることで、転がり軸受の定常状態でのトルクを低くでき、音響特性も良好になることが分かる。
1 内輪
1a 内輪の軌道溝(軌道面)
2 外輪
2a 外輪の軌道溝(軌道面)
3 玉(転動体)
4 保持器
5 シール(密封装置)
6 グリース
1a 内輪の軌道溝(軌道面)
2 外輪
2a 外輪の軌道溝(軌道面)
3 玉(転動体)
4 保持器
5 シール(密封装置)
6 グリース
Claims (2)
- 温度25℃で周波数1MHzにおける比誘電率が3.4以下である基油と、太さが0.1μm以下の繊維状脂肪族ジウレアからなる増ちょう剤と、を含有することを特徴とするグリース。
- 内輪、外輪、および内輪の軌道面と外輪の軌道面との間に転動自在に配されている転動体を備え、前記軌道面と転動体との間の潤滑を行うグリースとして、請求項1記載のグリースが封入されていることを特徴とする転がり軸受。
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