図1は内ケースに土鍋をセットした状態を示す炊飯器の縦断面図であり、図2は内ケースに多層構造等の金属鍋をセットした状態を示す炊飯器の縦断面図である。
炊飯器は、炊飯器本体1と、この炊飯器本体1の上部開口を開閉する蓋体2とを備え、蓋体2はヒンジユニット3を介して炊飯器本体1に開閉自在に支持される。
炊飯器本体1は、合成樹脂製の一体成形品からなる外ケース5を有し、この外ケース5の内部には、陶磁器製の内鍋である土鍋6が着脱自在にセットされるとともに、この土鍋6の外側には当該土鍋6の形状に沿った保護枠である内ケース7が設けられる。この内ケース7は、例えばポリエチレンテレフタレート等の耐熱性の合成樹脂製のもので、その底部中央にはサーミスタからなる温度センサ9を臨ませるためのセンサ挿入孔7aが形成されている。
内ケース7の上端は外ケース5の上端と肩部材8を介して一体的に結合され、外ケース5、内ケース7、及び肩部材8に囲まれた内部に空間部10が形成される。なお、前記肩部材8は、土鍋6が金属鍋の場合には図2に示すように鍋の上端部分に形成したフランジ28aが掛止される掛止部材となる。
前記内ケース7の外側には、土鍋6を誘導加熱する底部誘導コイル11及び側部誘導コイル12が設けられる。これら底部誘導コイル11及び側部誘導コイル12は、内ケース7の底部、及び底部から周側部に至る湾曲部の各位置に、内ケース7の底部中央を中心として同心円状にそれぞれ設けられている。
これら底部誘導コイル11及び側部誘導コイル12の外側には合成樹脂製のコイル支持台13が設けられており、このコイル支持台13がネジ等で内ケース7に取り付けられることにより、底部誘導コイル11及び側部誘導コイル12は図示する所定位置に位置決め固定され、コイル支持台13の外側には、磁界閉込用のフェライトコア15が設けられる。また、内ケース7の上部の外周側部には、保温ヒータ14が設けられる。
前記土鍋6は、焼成セラミックスやガラスなどの陶磁器製のもので、この土鍋6の底部には、内ケース7の底部と当接するリング状の脚部6aが形成されている。なお、この脚部6aはリング状のものに限らず、局部的に形成したり、放射状に形成するものでも良い。
この脚部6aは、内ケース7の底部側の底部誘導コイル11と湾曲部側の側部誘導コイル12との間に設けられるとともに、内ケース7との間に一定の隙間S1が生じるように所定高さに形成される。また、この土鍋6には、底部誘導コイル11及び側部誘導コイル12のそれぞれに対向する箇所に金属被膜からなる底部発熱体11a及び側部発熱体12aが設けられる。
これら底部発熱体11a及び側部発熱体12aは、例えば銀ペーストなどを塗布、焼成するなどして形成される。土鍋6の脚部6aは、凹凸のある表面になっているので発熱体を形成することが難しいが、この脚部6aの形成箇所は、底部誘導コイル11及び側部誘導コイル12のいずれの対向位置から外れているため、炊飯性能への影響はない。なお、発熱体は、銅箔やステンレス製の網(ラス)などのような金属製のものを予め土鍋6の内部に一体的に埋め込んだ構成としても良い。
炊飯スイッチが入れられると底部誘導コイル11及び側部誘導コイル12により誘起される渦電流に起因したジュール熱により前記底部発熱体11a及び側部発熱体12aが加熱され、両発熱体の加熱により土鍋6が加熱される。
さらに、土鍋6の底部の温度センサ9が当接するドーム状の中央部6bは、他の部分よりも強度を損なわない程度に若干薄肉に形成されている。このように、土鍋6の中央部6bを薄肉にすることにより、底部発熱体11a及び側部発熱体12aからの熱が容易にこの薄肉の中央部6bまで伝導するので、温度センサ9の検出精度を高めることができ、底部誘導コイル11及び側部誘導コイル12への通電電力を適切に制御することができる。
符号18は操作部を構成する操作パネルであり、該操作パネル18には図3に示すように、各種スイッチ16、即ち、炊飯スイッチ16a、保温スイッチ16b、白米、早炊き、無洗米等の各種メニューを設定するメニュースイッチ16c、時間を設定するタイマースイッチ16d、設定を取り消す取消しスイッチ16e及び本実施例で用いられる土鍋・金属鍋切換スイッチ16f、並びに液晶表示部17が配設される。
符号19はマイクロコンピュータが搭載されたマイコン基板、20は底部誘導コイル11及び側部誘導コイル12への通電制御を行うためのインバータ等を有する電源回路が搭載された電源基板、21は上記の各基板19、20を冷却する基板冷却用フアンである。また、24は蓋体2を構成するアルミ製の内蓋、25は内蓋24の上部に設けられた蓋ヒータ、26は蒸気排出口、27は把手である。
図示するように土鍋6の形状は、図2に示す従来の金属鍋28とほぼ同形状に形成されており、土鍋6を使用する場合は金属鍋28を取り外して使用することになる。土鍋6を使用する場合には、土鍋6はリング状の脚部6aにより内ケース7に支持されることになるが、金属鍋28の場合は、図2に示すように金属鍋28の上端部分に形成されるフランジ28aを内ケース7の上部開口端に設けた肩部材8に掛止することにより支持する。
土鍋6の場合、全体の仕上がり寸法が製品ごとに変動しても、底部に形成した脚部6aの高さの変化は極めて小さいので、土鍋6と底部誘導コイル11及び側部誘導コイル12との間の距離のばらつきが少なくなり、表面に設けた底部発熱体11a及び側部発熱体12aと底部誘導コイル11及び側部誘導コイル12とによる共振条件が安定して炊飯性能が向上する。また、土鍋6の底部に脚部6aを設けることで、土鍋6に形成した発熱体の部分と内ケース7との間に隙間S1が生じ両者6、7が直接に接触することがないので、発熱体の形成箇所が局部的に高温になった場合でも合成樹脂製の内ケース7が溶融するといった不都合は生じない。
さらに、土鍋6を使用する場合、従来の金属鍋28のように、その上端部分に内ケース7上部に掛止するためのフランジ28aを形成する必要がないので、フランジ部分が強度不足になって破損するといった恐れもなくなる。
次に、炊飯及び保温制御用のマイコン制御装置100を中心とする誘導コイル及び保温ヒータ、蓋ヒータ等の制御回路部の概略を図4に示す。図中、符号40が炊飯・保温制御用のマイコン制御ユニット(CPU)であり、該マイコン制御ユニット40はマイクロコンピュータを中心とし、例えば温度検知回路部、誘導コイル駆動制御回路部、発振回路部、リセット回路部、保温ヒータ及び蓋ヒータ等駆動制御回路部、電源回路部、液晶表示部、操作スイッチ等を各々備えて構成されている。
前記土鍋6或いは金属鍋28の底壁部に当接される温度センサ9に対応して設けらる温度検知回路48には、温度センサ9による鍋温度検知信号が入力される。また、前記誘導コイル駆動制御回路部は、例えばパルス幅変調回路46、同期トリガー回路53、IGBT駆動回路45、IGBT50、共振コンデンサ51によって形成されている。共振コンデンサ51は大容量の金属鍋用コンデンサ51a及び小容量の土鍋用コンデンサ51bからなり、リレー51cによりマイコン制御ユニット40により切換制御され、それぞれの鍋に適した共振状態での加熱制御が行われる。
前記リレー51cは、操作スイッチ16の土鍋・金属鍋切換スイッチ16fで土鍋6が選択されると小容量の土鍋用のコンデンサ51bに切り換えられ、金属鍋28が選択されると大容量の金属鍋用のコンデンサ51aに切り換えられるとともに、図3に示すように表示部17に使用している鍋が表示される。
そして、前記マイコン制御ユニット40により、炊飯及び保温の各工程に応じた土鍋6或いは金属鍋28に適した前記底部誘導コイル11及び側部誘導コイル12の出力値及び同出力値でのONデューティー比(例えばn秒/16秒)が選定され、前記パルス幅変調回路46等を制御することにより、土鍋6或いは金属鍋28に適した炊飯及び保温制御が行われ、均一な吸水作用と加熱ムラのない御飯の炊き上げ並びに良質な保温作用を実現するための適切な加熱出力制御が行われるようになっている。
なお、符号Dは前記IGBT45のフライホイールダイオード、符号55は、家庭用AC電源57との間に挿入された前記誘導コイル駆動用のダイオードブリッジを内蔵した整流回路、52はその平滑回路である。
一方、符号14は上述の保温ヒータ、25は蓋ヒータであり、保温ヒータ14は保温ヒータ駆動回路56により、蓋ヒータ25は蓋ヒータ駆動回路54により、それぞれ所望の出力とデューティー比でON,OFF駆動されるようになっている。さらに、符号17は液晶、LED等の表示部、43はブザー等の報知部、16は炊飯スイッチ16a、保温スイッチ16b、タイマースイッチ16d、或いは土鍋・金属鍋切換スイッチ16f等の各種操作スイッチ、47はクロック基準制御信号形成用の発振回路、44はリセット回路である。なお、鍋検知スイッチ30及び鍋検知回路30aは後記の図11〜図14に示す他の例で用いられるものである。
次に上述のマイコン制御ユニット40を使用して行われる炊飯及び保温制御について、図5のタイムチャートを参照して説明する。
炊飯工程では、誘導コイル11、12の出力を所定値に上げることにより、まずお米に水を吸水させるための吸水工程があり、お米に充分な吸水が行われると、出力を急激に上げ、お米を一気に炊き上げる昇温工程があり、この昇温工程での昇温時間に基づいて内鍋内の米飯量である合数が判定され、その米飯量の合数に基づいて以後の沸騰維持時間が決定される。その後、蒸らし工程で炊き上がったご飯を充分蒸らし、ご飯を最適な状態にして炊飯工程を終了する。なお、昇温工程から蒸らし工程にかけての温度変化は図に示すように土鍋の方が高くなる。温度が高いと黄ばみが生じるため、必要に応じて冷却ファン21で冷却する。
炊飯工程が終了すると保温工程に移行する。上記したように昇温工程から蒸らし工程にかけての温度変化は土鍋の方が高くなるため、炊飯直後の保温工程では保温ヒータ14がONするタイミングを金属鍋28に比べ土鍋6の方を遅くすることもできる。なお、保温工程では図10に示すように土鍋6と金属鍋28との制御はほぼ同様に行われる。
次いで、土鍋6或いは金属鍋28の切換制御及び炊飯制御等のフローチャートを図6〜図10に基づいて説明する。なお、本発明の土鍋加熱の特徴は以下の通りであり、金属鍋についてはほぼ従来通りである。
(1)土鍋は熱伝導が悪いため、誘導コイルからの熱が全体に伝わりにくい。そのため、保温ヒータ及び蓋ヒータの通電時間を長くすることにより側面からの加熱量を多くしている。(2)土鍋は良好な共振条件を得られる電力値の幅が狭い。そのため、弱い電力は使用せず、強い電力のままコイルへの通電時間を短くすることにより、所定の電力量を得るようにしている。そのため、炊飯工程の終了近傍での加熱源の加熱出力を金属鍋に比べ土鍋のほうを大きくすることもできる。
まず、図6で土鍋6或いは金属鍋28の切換制御のフローチャートについて説明する。各種スイッチ16の炊飯スイッチ16aが押されると炊飯工程がスタートするが、その前に内ケース7にセットされた鍋の種類が検知される。
本実施例では、図3に示す土鍋・金属鍋切換スイッチ16fでどの鍋が選択されたかで決定される。ステップS1で土鍋が選択されたかが判定される。土鍋・金属鍋切換スイッチ16fで土鍋6が選択されると、表示部17には土鍋の表示がなされるとともに、ステップS1で肯定判定がなされ、ステップS2に進み共振コンデンサ51を小容量のコンデンサ51bに切り換える。この切り換えはリレー51cがマイコン制御ユニット40により切り換えることにより行われる。土鍋6の場合小容量のコンデンサ51bを用いる理由は、上記(2)のように強い電力のままコイルへの通電時間を短くして所定の電力量を得るようにするためである。
次いで、ステップS3に進み、ステップS3で電力値並びにデューティー比からなる土鍋用の電力設定値が選定され、ステップS6の吸水工程に進む。
土鍋・金属鍋切換スイッチ16fで金属鍋28が選択されると、表示部17には金属鍋の表示がなされるとともに、ステップS1で否定判定がなされステップS4に進み、共振コンデンサ51を大容量のコンデンサ51aに切り換える。この切り換えはリレー51cがマイコン制御ユニット40により切り換えることにより行われる。
次いで、ステップS5に進み、ステップS5で電力値並びにデューティー比からなる金属鍋用の電力設定値が選定され、ステップS6の吸水工程に進む。そして、吸水工程へ進むと図7〜図10に示す炊飯工程等の制御が実行される。
図7に吸水工程を示す。吸水工程がスタートすると、ステップS1で内ケース7にセットされた鍋は土鍋6であるかが判定される。本実施例では図6のものと同様に土鍋・金属鍋切換スイッチ16fでどの鍋が選択されたかで決定される。ステップS1で肯定判定がなされるとステップS2に進み吸水工程時間を計測するためにタイマーをスタートさせる。次いでステップS3で鍋の温度が40℃以上かを判定する。この温度は温度センサ9により検出される。
ステップS3で肯定判定がなされるとステップS4、ステップS5、ステップS6に順次進み誘導コイル11、12をオフし、保温ヒータ14をデューティー比4/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25を同様にデューティー比4/16によるON制御で制御する。その後、ステップS10に進みステップS10で吸水時間が所定値を越えたかを判定し、所定時間経過してなければステップS3に戻り同様なステップを繰り返す。ステップS10で所定時間経過したと判定されるとステップS11の昇温工程に進む。
ステップS3で否定判定がなされるとステップS7、ステップS8、ステップS9に順次進み誘導コイル11、12を90%の出力で且つデューティー比4/16によるON制御で制御し、保温ヒータ14をデューティー比8/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25を同様にデューティー比8/16によるON制御で制御する。その後、ステップS10に進みステップS10で吸水時間が所定値を越えたかを判定し、所定時間経過してなければステップS3に戻り同様なステップを繰り返す。ステップS10で所定時間経過したと判定されるとステップS11の昇温工程に進む。
ステップS1で内ケース7にセットされた鍋が金属鍋28であると判定されるとステップS12に進み吸水工程時間を計測するためにタイマーをスタートさせる。次いでステップS13で鍋の温度が40℃以上かを判定する。この温度は温度センサ9により検出される。
ステップS13で肯定判定がなされるとステップS14、ステップS15、ステップS16に順次進み誘導コイル11、12をオフし、保温ヒータ14を土鍋の場合よりも小さいデューティー比2/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25を土鍋の場合よりも小さいデューティー比3/16によるON制御で制御する。その後、ステップS20に進む。
ステップS13で否定判定がなされるとステップS17、ステップS18、ステップS19に順次進み誘導コイル11、12を土鍋の場合よりも小さい60%の出力で、且つデューティー比6/16によるON制御で制御し、保温ヒータ14を土鍋の場合よりも小さいデューティー比4/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25を土鍋の場合よりも小さいデューティー比6/16によるON制御で制御する。その後、ステップS20に進みステップS20で吸水時間が所定値を越えたかを判定し、所定時間経過してなければステップS13に戻り同様なステップを繰り返す。ステップS20で所定時間経過したと判定されるとステップS11の昇温工程に進む。
図8に昇温工程を示す。まずステップS1で内ケース7にセットされた鍋は土鍋6であるかが判定される。ステップS1は図7のものと同様に土鍋・金属鍋切換スイッチ16fでどの鍋が選択されたかで決定される。ステップS1で肯定判定がなされるとステップS2に昇温工程をスタートさせる。
昇温工程がスタートするとステップS3、ステップS4、ステップS5に順次進み誘導コイル11、12を100%の出力で且つデューティー比16/16によるON制御で制御し、保温ヒータ14をデューティー比6/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25をオフする。その後、ステップS6に進み鍋の温度が100℃以上かを判定する。この温度は温度センサ9により検出される。
ステップS3で否定判定がなされるとステップS3に戻り、同様なステップを繰り返す。ステップS6で100℃以上であると判定されるとステップS7、ステップS8、ステップS9に順次進み誘導コイル11、12を80%の出力で且つデューティー比10/16によるON制御で制御し、保温ヒータ14をデューティー比8/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25をデューティー比6/16によるON制御で制御する。その後、ステップS10に進み鍋の温度が130℃以上かを判定する。この温度は温度センサ9により検出される。
ステップS10で否定判定がなされるとステップS7に戻り、同様なステップを繰り返す。ステップS10で130℃以上であると判定されると蒸らし工程に進む。
ステップS1で内ケース7にセットされた鍋が金属鍋28であると判定されるとステップS11に進み昇温工程をスタートさせる。昇温工程がスタートするとステップS12、ステップS13、ステップS14に順次進み誘導コイル11、12を土鍋と同様100%の出力で且つデューティー比16/16によるON制御で制御し、保温ヒータ14及び蓋ヒータ25をオフする。その後、ステップS15に進み鍋の温度が100℃以上かを判定する。この温度は温度センサ9により検出される。
ステップS15で否定判定がなされるとステップS12に戻り、同様なステップを繰り返す。ステップS15で100℃以上であると判定されるとステップS16、ステップS17、ステップS18に順次進み誘導コイル11、12を土鍋より大きい60%の出力で、且つデューティー比14/16によるON制御で制御し、保温ヒータ14を土鍋より小さいデューティー比4/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25を土鍋と同じデューティー比6/16によるON制御で制御する。その後、ステップS19に進み鍋の温度が120℃以上かを判定する。この温度は温度センサ9により検出される。
ステップS19で否定判定がなされるとステップS16に戻り、同様なステップを繰り返す。ステップS19で120℃以上であると判定されると蒸らし工程に進む。
図9に蒸らし工程を示す。蒸らし工程がスタートすると、ステップS1でタイマーをスタートさせ、ステップS2で内ケース7にセットされた鍋は土鍋6であるかが判定される。土鍋・金属鍋切換スイッチ16fでどの鍋が選択されたかで決定される。ステップS2で肯定判定がなされるとステップS3に進み鍋の温度が115℃以上かを判定する。この温度は温度センサ9により検出される。
ステップS3で肯定判定がなされるとステップS4、ステップS5、ステップS6に順次進み誘導コイル11、12をオフし、保温ヒータ14をデューティー比6/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25をデューティー比4/16によるON制御で制御する。その後、ステップS10に進む。
ステップS3で否定判定がなされるとステップS7、ステップS8、ステップS9に順次進み誘導コイル11、12を80%の出力で且つデューティー比6/16によるON制御で制御し、保温ヒータ14をデューティー比6/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25をデューティー比4/16によるON制御で制御する。その後、ステップS10に進みステップS10で蒸らし時間が所定値を越えたかを判定し、所定時間経過してなければステップS3に戻り同様なステップを繰り返す。ステップS10で所定時間経過したと判定されると炊飯が終了する。
ステップS2で内ケース7にセットされた鍋が金属鍋28であると判定されるとステップS11に進み鍋の温度が110℃以上かを判定する。この温度は温度センサ9により検出される。ステップS11で肯定判定がなされるとステップS12、ステップS13、ステップS14に順次進み誘導コイル11、12をオフし、保温ヒータ14を土鍋の場合よりも小さいデューティー比2/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25を土鍋と同じデューティー比4/16によるON制御で制御する。その後、ステップS18に進む。
ステップS11で否定判定がなされるとステップS15、ステップS16、ステップS17に順次進み誘導コイル11、12を土鍋の場合よりも小さい60%の出力で、且つデューティー比8/16によるON制御で制御し、保温ヒータ14を土鍋の場合よりも小さいデューティー比2/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25を土鍋と同じデューティー比4/16によるON制御で制御する。その後、ステップS18に進みステップS18で蒸らし時間が所定値を越えたかを判定し、所定時間経過してなければステップS11に戻り同様なステップを繰り返す。ステップS18で所定時間経過したと判定されると炊飯が終了する。
図10に保温工程を示す。保温工程がスタートすると、ステップS1で内ケース7にセットされた鍋は土鍋6であるかが判定される。土鍋・金属鍋切換スイッチ16fでどの鍋が選択されたかで決定される。ステップS1で肯定判定がなされるとステップS2に進み鍋の温度が72℃以上かを判定する。この温度は温度センサ9により検出される。
ステップS2で肯定判定がなされるとステップS3、ステップS4、ステップS5に順次進み誘導コイル11、12をオフし、保温ヒータ14をデューティー比1/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25をデューティー比4/16によるON制御で制御し、その後、ステップS2に戻り保温工程が終了されない限り同様なステップを繰り返す。
ステップS2で否定判定がなされるとステップS6、ステップS7、ステップS8に順次進み誘導コイル11、12を80%の出力で且つデューティー比0.75/16によるON制御で制御し、保温ヒータ14をデューティー比3/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25をデューティー比4/16によるON制御で制御し、その後、ステップS2に戻り保温工程が終了されない限り同様なステップを繰り返す。
ステップS1で内ケース7にセットされた鍋が金属鍋28であると判定されるとステップS9に進み鍋の温度が72℃以上かを判定する。この温度は温度センサ9により検出される。ステップS9で肯定判定がなされるとステップS10、ステップS11、ステップS12に順次進み土鍋の場合と同様に誘導コイル11、12をオフし、保温ヒータ14をデューティー比1/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25をデューティー比4/16によるON制御で制御し、その後、ステップS9に戻り保温工程が終了されない限り同様なステップを繰り返す。
ステップS9で否定判定がなされるとステップS13、ステップS14、ステップS15に順次進み誘導コイル11、12を土鍋の場合よりも小さい60%の出力で、且つデューティー比1/16によるON制御で制御し、保温ヒータ14を土鍋の場合よりも小さいデューティー比2/16によるON制御で制御し、蓋ヒータ25を土鍋と同じデューティー比4/16によるON制御で制御し、その後、ステップS9に戻り保温工程が終了されない限り同様なステップを繰り返す。
次に、土鍋6或いは金属鍋28を内ケース7にセットした時、自動的に鍋の種類を検出する自動検知機構について説明する。このような自動検知機構を設けることによりいずれの鍋を用いたとしてもユーザーが設定をスイッチにより切換える必要がなくなるため利便性がより向上する。
図11及び図12はその第1例を示す。上述したように金属鍋28はそのフランジ28aを肩部材8に載置する形態でセットされ、その底部と内ケース7の内面との距離hはできるだけ短くされている。また、土鍋6は上述したように内ケース7の内面にリング状の脚部6aで載置され、発熱体11a、12aと内ケース7の内面との距離Hは脚部6aの高さにより変えることができるところ、実験によると土鍋6は、発熱体11a、12aと内ケース7の内面との距離をむしろ離して設けるほうが共振条件が安定することが分かった。
そのため、予め発熱体11a、12aと内ケース7の内面との距離Hを金属鍋28の距離hに比べて土鍋6のほうを長くしておき、内ケース7に鍋がセットされた時に温度センサ9の移動距離により鍋の種類を自動的に検出するものである。
図15に鍋検知スイッチ30の概略を示す。この鍋検知スイッチ30は温度センサ9内に設けることを特徴とするもので、予め発熱体11a、12aと内ケース7の内面との距離を金属鍋28の距離hに比べて土鍋6の距離Hのほうを長くしておく。すると内ケース7に鍋がセットされた時、 セットされた鍋が 金属鍋28のほうが温度センサ9の縮み量は大きくなる。そこで、土鍋6がセットされた場合には図15(A)に示すように鍋検知スイッチ30をオフ状態になるようにし、金属鍋28がセットされた場合には図15(B)に示すように鍋検知スイッチ30をオン状態になるようにする。そして、土鍋6がセットされた場合にはリレー51cを小容量のコンデンサ51b側に切り換え、金属鍋28セットされた場合には大容量のコンデンサ51a側に切り換える。この第1例の場合には図4の鍋検知スイッチ30及び鍋検知回路30aが用いられる。
図13及び図14はその第2例を示す。第2例は、鍋検知スイッチ30を第1例の温度センサ9内に配置するものに換えて、肩部材8の上端部に設けることを特徴とするもので、金属鍋28はそのフランジ28aを肩部材8に載置する形態でセットされるのに対し、土鍋6は肩部材8に載置されないことを利用するものである。
即ち、図に示すように肩部材8の上端部に鍋検知スイッチ30を設けておく。すると内ケース7に土鍋6がセットされた場合には土鍋6のフランジは肩部材8の上端部に当接しないため、鍋検知スイッチ30はオフ状態のままである。しかしながら、金属鍋28がセットされた時にはそのフランジ28aは鍋検知スイッチ30を押圧してオン状態になる。そして、土鍋6がセットされた場合にはリレー51cを小容量のコンデンサ51b側に切り換え、金属鍋28セットされた場合には大容量のコンデンサ51a側に切り換える。この第2例の場合にも図4の鍋検知スイッチ30及び鍋検知回路30aが用いられる。
図16はその第3例を示し、図16(A)は土鍋使用時の共振波形を、図16(B)は金属鍋使用時の共振波形をそれぞれ示す。第3例は、それぞれの鍋の共振電圧の差により自動的にマイコン制御ユニット40で鍋の種類を検出させるようにするものである。
即ち、土鍋6と金属鍋28とでは電力の出方が異なることが確認されている。例えば、内ケース7の内面と土鍋6との距離Hを3.5mmとし、内ケース7の内面と金属鍋28との距離hを2mmとし、更に入力電圧を1000Wにしてそれぞれの鍋で共振波形を取ると、土鍋6使用時には図16(A)に示すように共振電圧は528Vになり、金属鍋28使用時には図16(B)に示すように共振電圧は576Vと土鍋6に比べ高い値になる。この第3例のものは、この共振電圧をマイコン制御ユニット40で検出し、共振電圧が低く検出された場合には、土鍋6がセットされたと自動的に判定し、リレー51cを小容量のコンデンサ51b側に切り換え土鍋6に適した制御を自動的に行わせ、また、共振電圧が高く検出された場合には、金属鍋28がセットされたと自動的に判定し、リレー51cを大容量のコンデンサ51a側に切り換え金属鍋28に適した制御を自動的に行わしめるものである。
図17はその第4例を示し、図17(A)は土鍋使用時の共振波形を、図17(B)は金属鍋使用時の共振波形をそれぞれ示す。第4例は、それぞれの鍋の所定電力でのIGBTのON時間の差により自動的にマイコン制御ユニット40で鍋の種類を検出させるようにするものである。
即ち、土鍋6と金属鍋28とでは電力の出方が異なることが確認されている。例えば、上記第3例と同様に内ケース7の内面と土鍋6との距離Hを3.5mmとし、内ケース7の内面と金属鍋28との距離hを2mmとし、更に入力電圧を1000Wにしてそれぞれの鍋で共振波形を取る。IGBTのON時間は電流が最大になる時間とほぼ一致するため、電流が最大になる時間を比較すると、土鍋6使用時のほうが金属鍋28使用時に比べ短くなる。この第4例のものは、このIGBTのON時間である電流が最大になる時間をマイコン制御ユニット40で検出し、時間が短く検出された場合には、土鍋6がセットされたと自動的に判定し、リレー51cを小容量のコンデンサ51b側に切り換え土鍋6に適した制御を自動的に行わせ、また、時間が長く検出された場合には、金属鍋28がセットされたと自動的に判定し、大容量のコンデンサ51a側に切り換え金属鍋28に適した制御を自動的に行わしめるものである。
図18はその第5例を示し、図18(A)は土鍋使用時の共振波形を、図18(B)は金属鍋使用時の共振波形をそれぞれ示す。第5例は、それぞれの鍋の所定電力での周波数の差により自動的にマイコン制御ユニット40で鍋の種類を検出させるようにするものである。
即ち、土鍋6と金属鍋28とでは電力の出方が異なることが確認されている。例えば、上記第3、4例と同様に内ケース7の内面と土鍋6との距離Hを3.5mmとし、内ケース7の内面と金属鍋28との距離hを2mmとし、更に入力電圧を1000Wにしてそれぞれの鍋で共振波形を取り両鍋での周波数を調べると、土鍋6使用時には35.84KHzになり、金属鍋28使用時には30.58KHzとなり、土鍋6のほうが周波数は高い値になる。この第5例のものは、周波数をマイコン制御ユニット40で検出し、周波数が高く検出された場合には、土鍋6がセットされたと自動的に判定し、リレー51cを小容量のコンデンサ51b側に切り換え土鍋6に適した制御を自動的に行わせ、また、周波数が低く検出された場合には、金属鍋28がセットされたと自動的に判定し、大容量のコンデンサ51a側に切り換え金属鍋28に適した制御を自動的に行わしめる。このように各種自動検知機構により自動的に鍋の種類を検出し鍋に応じた加熱制御を自動的に行うことができるものである。