JP2004329488A - 誘導加熱調理器 - Google Patents

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Abstract

【課題】1台の調理器を使用し、炊飯と煮物にそれぞれ専用の内鍋を用いることにより、ご飯を炊くときに煮物臭いがなく、また、これら専用の内鍋を使用する際に制御部の制御パターンを自動的に切換えることのできる便利で使い勝手のよい誘導加熱調理器を提供する。
【解決手段】制御部8に誘導加熱コイル6を炊飯と煮物に応じてそれぞれ制御する炊飯用制御パターンと煮物用制御パターンとを設け、蓋体2が内鍋収納部5の開口部を閉じたときは炊飯用制御パターンにより、蓋体2が内鍋収納部の開口部を開放したときは煮物用制御パターンにより誘導加熱コイル6を制御する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱調理器に係り、さらに詳しくは、1台の調理器(炊飯器)で炊飯及び惣菜などの煮物を行うことのできる誘導加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種誘導加熱調理器に、電磁誘導加熱装置と炊飯器本体とを分離可能とし、炊飯器として使用する場合は、電磁誘導加熱装置の上に炊飯器本体を載置して加熱することにより炊飯し、他の調理の加熱装置として利用する場合は、電磁誘導加熱装置から炊飯器本体を取外して電気的接続を遮断し、電磁誘導加熱装置の上に別の調理を目的とする鍋等を載置して加熱し、調理を行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、誘導加熱により加熱を行う加熱装置と、この加熱装置に選択的に載置し得る複数の調理容器本体とからなり、調理容器本体のうち1つを炊飯用として、この炊飯用調理容器本体に対応した炊飯モードに使用する第1の操作部を加熱装置の側面に設けるとともに、その他の調理容器本体に対応した調理モードに使用する第2の操作部を加熱装置の上面に設け、炊飯用調理容器本体を載置したときに第2の操作部が隠れるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、本体と、本体に着脱自在に収納される内釜と、内釜に入れた米や水を加熱する加熱部と、加熱部を制御する制御部と、制御部へ入力操作するための操作部とを有し、操作部には生米から炊飯する時の炊飯モード用の炊飯スイッチと、その他の食材等を加熱調理するための通常加熱モード用の通常加熱スイッチ及び通常加熱時の出力調節手段を設けたジャー炊飯器がある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
実開昭63−108197号公報(第3−6頁、図1−図2)
【特許文献2】
特許第3108956号公報(第2−3頁、図1−図6)
【特許文献3】
特開2001−346684号公報(第2−3頁、図1−図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の炊飯器は、電磁誘導加熱装置に対応して設置されている鍋は炊飯用鍋のみであり、調理の種類としては炊飯が主であるため調理の範囲が狭く限られている。また、炊飯以外の他の食材の調理を行う場合は、その都度電磁誘導加熱装置から炊飯用鍋を取外すと共に電気的接続を遮断し、他の食材が入れられた汎用の鍋等を電磁誘導加熱装置上に載置しなければならないので、きわめて面倒である。
【0007】
特許文献2に記載の加熱調理器は、加熱装置に選択的に載置しうる複数の調理器本体(鍋)を必要とし、炊飯又は他の食材の調理を行う場合は、その都度加熱装置から調理器本体を取外して他の調理器本体と交換しなければならないので、矢張り面倒である。
【0008】
特許文献3のジャー炊飯器は、煮物調理の際、蓋を透明にしているので鍋内が見えるが、調理によっては常時鍋内をかき混ぜたり、途中で鍋内に調味料を入れたりすることがあり、その都度蓋を開閉しなければならないので大変面倒である。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、1台の調理器を使用し、炊飯及び煮物にそれぞれ専用の内鍋を用いることにより、ご飯を炊くときに煮物の臭いがなく、また、これら専用の鍋を使用する際に制御部の制御パターンを自動的に切換えるようにした便利で使い勝手のよい誘導加熱調理器を提供することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る誘導加熱調理器は、上部が開口した内鍋収納部と、上部が開口し前記内鍋収納部に収納される内鍋と、該内鍋を発熱させる誘導加熱コイルと、該誘導加熱コイルを制御する制御部と、該制御部を外部から操作する操作部と、前記内鍋収納部の開口部を開閉自在に覆う蓋体とを有する本体ケースを備え、前記制御部に前記誘導加熱コイルを炊飯と煮物に応じてそれぞれ制御する炊飯用制御パターンと煮物用制御パターンとを設け、前記蓋体が前記内鍋収納部の開口部を閉じたときは前記炊飯用制御パターンにより、前記蓋体が前記内鍋収納部の開口部を開放したときは前記煮物用制御パターンにより前記誘導加熱コイルを制御するようにしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施の形態に係る誘導加熱調理器の内鍋収納部に炊飯用鍋を収納した状態を示す縦断面図、図2は図1の外観斜視図、図3は図1の内鍋収納部に蓋体を開放して煮物用鍋を収納した状態を示す斜視図である。
本発明に係る誘導加熱調理器は、上部が開口され内部に内鍋収納部5が形成された本体ケース1と、一端がヒンジ4を介して本体ケース1に取付けられ、本体ケース1の上部開口部を開閉する蓋体2と、上部が開口され内鍋収納部5に収納される炊飯用鍋40及び煮物用鍋45とからなっている。
【0012】
内鍋収納部5の底部外壁面には、炊飯用鍋40及び煮物用鍋45(以下、両者を合わせて内鍋ということがある)を電磁誘導作用により発熱させて調理するための誘導加熱コイル6が設けられており、また、底部のほぼ中心部には、内鍋の温度を検出する温度センサ7が設けられている。
【0013】
また、内鍋収納部5の下部には、後述の炊飯用制御パターンや煮物用制御パターン等を有し、電磁誘導コイル6の発熱量や通電時間等を制御する制御部8が設けられており、前面側(以下、図の左側を前面側、右側を後面側という)には、外部から制御部8を操作する操作部9が設けられている。この操作部9には、図4に示すように、炊飯スイッチ9a、予約スイッチ9b、保温スイッチ9c、煮物スイッチ9d、火力調整スイッチ9e、低温(保温)スイッチ9f及び表示部9g等が設けられている。10は本体ケース1の下部後面側に設けられたコードリールである。
【0014】
蓋体2は上蓋2a、下蓋2b及び下蓋2bに着脱可能に装着された内蓋2cから構成され、上蓋2aの上面には後述するうまみ還元器20を着脱可能に装着するための凹部3aが設けられており、この凹部3aの前面側には上蓋2a、下蓋2b、内蓋2cを貫通して、うまみ還元器20の連結部23が挿入される貫通穴3bが設けられ、貫通穴3bとうまみ還元器20の連結部23との間には、シール部材3cが介装されている。11は蓋体2の前面側に設けられ、蓋体2を閉じたときにケース本体1にロックするためのラッチである。
【0015】
うまみ還元器20は、図5に示すように、横長でほぼ皿状の下ケース21と、下ケース21の上部開口部を覆う上ケース22とから形成されており、下ケース21の底部の前面側には、蓋体2の貫通穴3bに挿入される有底円筒状の連結部23が突設されている。また、連結部23の前面側には、うまみ還元器20の内部と内鍋40とを連通し、うまみを含む蒸気をうまみ還元器20内に導く中空の案内筒24が立設されている。なお、下ケース21の底部は、連結部23に形成されたうまみの溜り凹部25に向って下降する傾斜面に形成されている。
【0016】
27は案内筒23の底部に設けた戻し穴26を開閉する開閉弁である。28は下ケース21の溜り凹部25と後面側周壁とのほぼ中間部において、蒸気の流れ方向(前後方向)と直交して下ケース1に立設された下障壁で、幅方向の中央部が後方に突出したほぼく字状に形成されており、また、その両端部と周壁との間には開口部(図示せず)が形成されている。
【0017】
上ケース22の後面側には蒸気口29が設けられており、前面側の下面には前面側が案内筒24の上端部とほぼ等しく、後面側が案内筒24の上端部より下方に位置する円筒状の第1の上障壁30が設けられている。また、下障壁28の前面側には蒸気の流れ方向と直交して第2の上障壁31が設けられており、その上部には開口部32が形成されている。33は第2の上障壁31と蒸気口29との間に設けられた第3の上障壁である。
なお、図には、上ケース22をヒンジ34により下ケース21に開閉可能に取付けた場合を示したが、上ケース22を下ケース21に着脱可能に装着するようにしてもよく、このように構成することによりうまみ還元器20の清掃が容易である。
【0018】
上記のようなうまみ還元器20において、例えば、白米と水が入れられて内鍋収納部5に収納された炊飯用鍋40が誘導加熱コイル6により加熱されて水が沸騰すると、おねば(うまみ)を含んだ蒸気(以下、単に蒸気という)が発生する。このとき、炊飯用鍋40の内圧が上昇しているので、うまみ還元器20の開閉弁27は押し上げられて戻し穴26を塞いでおり、このため、蒸気は案内筒24を通ってうまみ還元器20内に導かれる。案内筒24を出て第1の上障壁30に衝突した蒸気は、矢印で示すように、うまみ還元器20内を蒸気口29に向って拡散していき、この間、第2の上障壁31、下降壁28、第3の上障壁33に衝突しておねばと蒸気が確実に分離し、蒸気は蒸気口29から外部に放出され、おねばは下ケース21の底面に沿って流下し、溜り凹部25に溜る。
【0019】
加熱が低下して炊飯用鍋40の内圧が下ると、開閉弁27は自重及びおねばの重量によって下降し、戻し穴26を開口する。これにより、溜り凹部25内に溜ったおねばは、戻し穴26から炊飯用鍋40内に落下する。おねばが炊飯用鍋40のご飯に戻ることにより、おねばに含まれるおいしさの成分がご飯に与えられて、つやや粘りのあるおいしいご飯を炊くことができる。
なお、上記の説明では、蓋体2に図5に示すうまみ還元器20を設けた場合を示したが、うまみ還元器20の構造はこれに限定するものではなく、他の構造のものであってもよい。
【0020】
再び図1において、40は磁性材料からなり、白米などを炊飯する炊飯用鍋で、上部が開口されて鍋収納部5内に収容される本体部41と、本体部1の上端部外周に形成され、鍋収納部5の上端部5aに載置されるフランジ42とからなっている。
45(図3)は、磁性材料からなり、米以外の惣菜等の煮物などを行う煮物用鍋で、その一例を図6に示す。
【0021】
図6(a)の煮物用鍋45は、炊飯用鍋40の本体部41と相似形状の本体部46と、本体部46の上端部において、炊飯用鍋40のフランジ42とほぼ同じ位置から外方に張り出され、上方かつ外方に向って階段状に形成されたフランジ47とからなっている。
50は例えば耐熱ガラスの如き透明な材料からなる鍋蓋で、中心部にはつまみ51が設けられている。
【0022】
図6(b)は煮物用鍋45の他の例を示すもので、炊飯用鍋40とほぼ等しい形状の内鍋のフランジ47に、例えば耐熱性樹脂からなるほぼS字状の取っ手48を取付けたものである。この取っ手48はフランジ47に着脱自在に取付けてもよく、あるいは固定してもよい。なお、図示してないが、フランジ47上には鍋蓋50が載置される。煮物用鍋45をこのように構成することにより、他の調理器、例えば誘導加熱コイルを有するプレート上に鍋を載置して加熱調理し、あるいは、ガスコンロにより直接煮込み調理を行うことができる。また、調理を行ったのち、取っ手48を持って内鍋収納部5に収納して保温のみを行うこともできる。そのときは、操作部9に保温温度制御スイッチ(図示せず)を設けて所定温度に設定すればよい。
【0023】
図7は煮物用鍋45の鍋蓋50の他の例を示すものである。図6(a)の場合は、鍋蓋50を透明な材料で形成し、加熱調理中の煮物の状態を外部から見られるようにしたが、本例は、図7(a)に示すように、鍋蓋50を例えばアルミニウムやステンレスの如き不透明の金属材料で形成し、天板に窓穴52を設けてこの窓穴52に耐熱ガラスの如き透明な板材53を取付けたものである。これにより、加熱調理中の煮物の状態を窓穴52から見ることができる。
【0024】
また、図7(b)は、図6(a)のような透明な材料からなる鍋蓋50に、つまみを兼ねて、図5で説明したうまみ還元器20を取付けたものである。この場合、うまみ還元器20の連結部23をシール材(図示せず)を介して着脱可能に鍋蓋50に取付けてもよく、あるいは連結部23をシール部材を介して鍋蓋50に固定し、上ケース22を下ケース21に着脱可能に装着するようにしてもよい。
さらに、図7(c)は、図7(a)のように金属材料からなり、窓穴52に透明な板材53を取付けた鍋蓋50に、つまみ51に代えてうまみ還元器20を着脱可能に取付けたものである。
【0025】
以上、煮物用鍋45及び鍋蓋50の一例について説明したが、これに限定するものではなく、他の形状、構造のものを用いてもよい。また、図7(a),(b)に示したうまみ還元器20も他の構造のものであってもよい。
なお、煮物用鍋45の本体部46の外径を、炊飯用鍋40の本体部41の内径とほぼ等しいか又は若干小さく形成して、図8に示すように、煮物用鍋45の本体部46を炊飯用鍋40の本体部41内に収納できるようにすれば、コンパクトに梱包することができ、保管、輸送等に便利である。
【0026】
次に、蓋体2の閉止又は開放を検知する検知手段について説明する。図9は検知手段と制御系との関係の一例を示す説明図である。
電源60の一方の配線は本体ケース1内に設けた炊飯と煮物の切換手段である切換スイッチ61の共通接点62に接続され、他方の配線は誘導加熱コイル6に接続されており、切換スイッチ61には炊飯用端子63と煮物用端子64が設けられて、可動片65は常時は煮物用接点64に接続されている。そして、炊飯用接点63は操作部9の炊飯スイッチ9a、制御部8を経て誘導加熱コイル6に接続され、煮物用接点64は操作部9の煮物スイッチ9d、制御部8を経て誘導加熱コイル6に接続されている。
【0027】
また、切換スイッチ61の炊飯用接点63側に設けたコイル66は電源60に接続されており、その回路中には常時は開放している検知スイッチ71を備えた検知手段70が設けられている。
そして、誘導加熱調理器の蓋体2を閉じると、検知手段70の可動部72が検知スイッチ71の接片を押圧して回路を閉成し、コイル66に通電して切換スイッチ61の可動片65を吸引し、炊飯用接点63に接続して炊飯制御系を形成し、蓋体2を開放すると検知スイッチ71の回路が開放され、可動片65が煮物用接点64に接続されて煮物用制御系を形成するようになっている。
【0028】
図10、図11は検知手段の一例を示す説明図で、図10は鍋収納部5に炊飯用鍋40を収納し、蓋体2を閉じた状態を示す。
鍋収納部5の上端部5aの前面側の一段低い位置には平坦部5bが設けられており、その下面には検知手段70を構成する検知スイッチ71が取付けられ、これに設けた可動部72が平坦部5bに設けた孔5cから上面に突出している。73aは電源60の一方の配線と検知スイッチ71の一方の端子に、73bは検知スイッチ71の他方の端子と切換スイッチ61のコイル66にそれぞれ接続された配線である。
【0029】
いま、鍋収納部5内に炊飯用鍋40を収納して蓋体2を閉じて電源60を投入すると、蓋体2の前面側下端部が検出スイッチ71の可動部72を圧下して検知スイッチ71を閉成し、切換スイッチ61のコイル66に通電してその磁気作用により可動片65を吸引し、炊飯用接点63に接続する。
蓋体2が開放されると、可動部72が上昇して検知スイッチ71が開放されるので、切換スイッチ61の可動片65は再び煮物用接点64に接続される。なお、蓋体2を閉じても電源60が投入されていない状態では、切換スイッチ61の可動片62は煮物用接点64に接続されている。
【0030】
図11は蓋体2を開放したままの状態で鍋収納部5に煮物用鍋45を収納した状態を示すもので、蓋体2を開放した状態では、検知スイッチ71は前述のように開放状態であり、切換スイッチ61の可動片65は煮物用接点64に接続されている。この状態で鍋収納部5内に煮物用鍋45を収納すると、煮物用鍋45のフランジ47は上方に向って階段状に形成されているので、検知スイッチ71の可動部72より上方に位置し、これを圧下することはない。このため検知スイッチ71は引続き開放状態に維持され、切換スイッチ61の可動片65は煮物用接点24に接続されている。
【0031】
図12は蓋体2の閉止又は開放を検知する検知手段の他の例を示す説明図である。
本例においては、鍋収納部5の前面側に設け平坦部5bの下面に検出手段70を構成するリードスイッチ74を設けると共に、蓋体2の前面側下端部にリードスイッチ74と対向して永久磁石77を設けたもので、リードスイッチ74の一方の端子76aは電源60に接続され、他方の端子76bは切換スイッチ61のコイル66に接続されている。なお、リードスイッチ74に代えて近接スイッチを設けてもよい。
【0032】
いま、図12に示すように、蓋体2を閉じると、永久磁石77の磁気作用によりリードスイッチ74の可動接片75bが吸引され、固定接片75aに接続されて回路を閉成し、切換スイッチ61のコイル66に通電してその可動片65を炊飯用接点63に接続する。蓋体2を開放すると、リードスイッチ74の可動接片75bが固定接片75aから離れて回路を開放し、切換スイッチ61の可動片65は再び煮物用接点64に接続される。
【0033】
次に、蓋体2を開放したままの状態で、図13に示すように、鍋収納部5に煮物用鍋45を収納すると、煮物用鍋45のフランジ47には永久磁石が設けられていないので、リードスイッチ74は作動せず開放状態を継続する。このため、切換スイッチ61の可動片65は引続き煮物用接点65に接続されている。
このように、本発明においては、鍋収納部5に炊飯用鍋40又は煮物用鍋45を収納することにより、検知手段70の作用によって制御部8は炊飯用制御パターン又は煮物用制御パターンに自動的に切換えられる。なお、検知手段70によって検知した結果を操作部9に表示させるようにしてもよい。
【0034】
以上、蓋体2の閉止又は開放を検知する検知手段70及び検知手段70と制御系との関係について説明したが、これらはその一例を示すものでこれに限定するものではなく、他の構造、方式を用いてもよい。
【0035】
次に、上記のように構成した誘導加熱調理器により、炊飯及び惣菜等の煮物を行う場合の作用について説明する。
前述のように、制御部8には炊飯用制御パターンと煮物用制御パターンが設けられており、炊飯用制御パターンは、図14に示すように、誘導加熱コイル6に通電して炊飯用鍋40を発熱させて加熱し、炊飯用鍋40の温度が100℃近傍に達したとき(これは、底部に設けた温度センサ7によって検出される)は、連続的又は間欠的にその温度を維持し、時間Tを経過したときはその温度を下降させてほぼ70℃程度で保温する従来の炊飯制御とほぼ同様の制御パターンが用いられる。
【0036】
一方、煮物用制御パターンは、図15に示すように、誘導加熱コイル6に通電して煮物用鍋45を発熱させて煮物を加熱する。そして、煮物用鍋45の温度が100℃近傍(例えば、95℃)に達したときは、連続的又は断続的にこの温度(93℃〜95℃)を維持し、時間t(この時間はt<Tであり、通常5分〜10分程度)経過したときは煮込み工程が終了して、以後例えば80℃〜85℃の低温加熱工程に移行する制御パターンが用いられる。
【0037】
白米を炊飯する場合は、白米と水が入れられた炊飯用鍋40を鍋収納部5内に収納し、蓋体2を閉じて電源60を投入する。これにより、検知手段70が蓋体2が閉じられたことを検知し、前述のように切換スイッチ61の可動片65が炊飯用接点63に接続される。ついで、操作部9の炊飯スイッチ9aをONして誘導加熱コイル6に通電すれば、誘導加熱コイル6は制御部8に設けた炊飯用制御パターンにしたがって制御され、炊飯を行う。
【0038】
このとき、うまみ還元器の溜め凹部25には前述のようにうまみであるおねばが溜り、炊飯工程から保温工程に移行したときは、開閉弁27が開いて溜め凹部25内のおねばをご飯に戻し、つやや粘りのあるおいしいご飯を炊くことができる。この場合、おかゆや炊き込みご飯などを炊く場合は、操作部9に設けたこれらに対応するボタンを操作することにより、炊飯制御パターンの一部が変更される。
【0039】
次に、惣菜等の煮物を行う場合は、食材、水、調味料等が入れられた煮物用鍋45を鍋収納部5内に収納し、蓋体2を開放したままの状態で煮物用鍋45に鍋蓋50をし、電源60を投入する。このとき、蓋体2は開放されたままなので、切換スイッチ61の可動片65は煮物用接点64に接続されている。
ついで、操作部9の煮物スイッチ9dをONして誘導加熱コイル6に通電すれば、誘導加熱コイル6は制御部8に設けた煮物用制御パターンによって制御され、煮物用鍋45内の食材を加熱し調理する。なお、食材の種類によっては、操作部9に設けた食材の種類に対応したスイッチ(図示せず)を操作することにより、煮物用制御パターンの一部が変更される。例えば、煮込時間や低温加熱の温度等を調理物に応じて自在に変化させる。
【0040】
煮物の調理にあたり、図7(b),(c)に示すようなうまみ還元器20が取付けられた鍋蓋50を使用した場合は、加熱によって煮汁(うまみ)を含んだ蒸気が発生し、この蒸気は前述のようにうまみ還元器20内に導かれ、煮汁と蒸気が分離して蒸気は蒸気口29から外部に放出され、煮汁は溜り凹部25に溜る。そして、煮込み工程から低加熱工程に移行すると煮汁のおいしい成分が煮物内に戻り、味のよいおいしい煮物を調理することができる。
【0041】
煮物の調理中には、透明な鍋蓋50又は鍋蓋50に設けた窓穴52から調理状態を見ることができるので、必要に応じて鍋蓋50を取って調理物をかき混ぜたり、調味料を加えたりすることができる。また、なんらかの理由で開放した蓋体2が倒れても、蓋体2は鍋蓋50に設けたつまみ51やうまみ還元器20あるいは煮物用鍋45に設けた取っ手48などに当ってそれ以上閉まらないので、検知手段70を作動せて切換スイッチ61を切換えるようなことはない。
【0042】
また、煮物を行う際は煮物専用の煮物用鍋45を使用し、かつ蓋体2を開放した状態で煮物を行うので、炊飯用鍋40や蓋体2(特に、内蓋3c)に煮物の臭いがつくことがなく、おいしてご飯を炊くことができる。
【0043】
以上の説明から明らかなように、本発明は、制御部8に炊飯用制御パターンと煮物用制御パターンとを設け、鍋収納部5に炊飯用鍋40を収納し、蓋体2を閉じて電源を投入したときは炊飯用制御パターンに、蓋体2を開放した状態で鍋収納部5に煮物用鍋45を収納したときは煮物用制御パターンに自動的に切換えるようにすることで、調理内容に応じて使い勝手の向上が図られる。また、内鍋を専用の炊飯用鍋と煮物用鍋とによって構成することにより、ご飯を炊くときに煮物の臭いがすることがなく、便利で使い勝手のよい誘導加熱調理器を得ることができる。
なお、上記の説明では、蓋体2をヒンジ4により本体ケース1に開閉自在に取付けた場合を示したが、ヒンジ4を省略し、蓋体2を本体ケース1に着脱自在に設けてもよい。このように構成することにより蓋体2の清掃がより容易になる。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、1台の調理器の制御部に誘導加熱コイルを炊飯と煮物に応じてそれぞれ制御する炊飯制御用パターンと煮物制御用パターンとを設け、蓋体が内鍋収納部の開口部を閉じたときは炊飯制御用パターンにより、蓋体が内鍋収納部の開口部を開放したときは煮物制御パターンに自動的に切換えるようにすることで、調理内容に応じて使い勝手の向上が図られる。また、内鍋をそれぞれ専用の炊飯用鍋と煮物用鍋とに構成することにより、ご飯を炊くときに煮物の臭がすることがなく、便利で使い勝手のよい誘導加熱コイルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る誘導加熱調理器の内鍋収納部に炊飯用鍋を収納した状態を示す縦断面図である。
【図2】図1の外観斜視図である。
【図3】図1の内鍋収納部に蓋体を開放して煮物用鍋を収納した状態を示す斜視図である。
【図4】図1の操作部の正面図である。
【図5】図1のうまみ還元器の縦断面図である。
【図6】煮物用鍋の一例を示す縦断面図である。
【図7】煮物用鍋の鍋蓋の一例を示す断面図である。
【図8】煮物用鍋を炊飯用鍋内に収納した状態を示す模式図である。
【図9】蓋体の検知手段と制御系との関係を示す説明図である。
【図10】蓋体の検知手段の一例の説明図である。
【図11】蓋体の検知手段の一例の説明図である。
【図12】蓋体の検知手段の他の例の説明図である。
【図13】蓋体の検知手段の他の例の説明図である。
【図14】炊飯用制御パターンの説明図である。
【図15】煮物用制御パターンの説明図である。
【符号の説明】
1 本体ケース、2 蓋体、4 ヒンジ、5 内鍋収納部、6 誘導加熱コイル、8 制御部、9 操作部、9a 炊飯用スイッチ、9d 煮物用スイッチ、20 うまみ還元器、40 炊飯用鍋、41 本体部、45 煮物用鍋、46 本体部、50 鍋蓋、52 窓穴、60 電源、61 切換手段、70 蓋体の検出手段。

Claims (8)

  1. 上部が開口した内鍋収納部と、上部が開口し前記内鍋収納部に収納される内鍋と、該内鍋を発熱させる誘導加熱コイルと、該誘導加熱コイルを制御する制御部と、該制御部を外部から操作する操作部と、前記内鍋収納部の開口部を開閉自在に覆う蓋体とを有する本体ケースを備え、
    前記制御部に前記誘導加熱コイルを炊飯と煮物に応じてそれぞれ制御する炊飯用制御パターンと煮物用制御パターンとを設け、前記蓋体が前記内鍋収納部の開口部を閉じたときは前記炊飯用制御パターンにより、前記蓋体が前記内鍋収納部の開口部を開放したときは前記煮物用制御パターンにより前記誘導加熱コイルを制御することを特徴とする誘導加熱調理器。
  2. 前記内鍋を炊飯用鍋と煮物用鍋とによって構成し、内鍋収納部に前記煮物用鍋を収納したときは前記蓋体が内鍋収納部の開口部を閉じられないように構成したことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
  3. 前記煮物用鍋に取っ手を設けたことを特徴とする請求項2記載の誘導加熱調理器。
  4. 前記炊飯用鍋の本体部と煮物用鍋の本体部とを相似形に形成し、かつ前記煮物用鍋の本体部の外径を炊飯用鍋の本体部の内径とほぼ等しいか又は若干小さく形成したことを特徴とする請求項2又は3記載の誘導加熱調理器。
  5. 前記煮物用鍋の開口部に、全部又は一部が透明な鍋蓋を着脱自在に載置したことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
  6. 前記煮物用鍋の鍋蓋に、内外を連通する案内筒、複数の障壁、蒸気口、うまみ溜り凹部及びうまみ溜り凹部を開閉する開閉弁を有するうまみ還元器を設けたことを特徴とする請求項5記載の誘導加熱調理器。
  7. 前記内鍋収納部と蓋体との間に、該蓋体が前記内鍋収納部の開口部を閉じたかどうかを検知する検知手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の誘導加熱調理器。
  8. 前記操作部と電源との間に、前記検知手段の検知結果に基いて、制御部を炊飯用又は煮物用に切換える切換手段を設けたことを特徴とする請求項7記載の誘導加熱調理器。
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