JP2006520557A - 装置依存型の表示プロファイルを用いる色補正 - Google Patents

装置依存型の表示プロファイルを用いる色補正 Download PDF

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Abstract

装置依存表示プロファイルに基づいて、ディスプレイ装置の色度補正を得るステップを含む方法。本方法により、ソフト校正環境のディスプレイ装置上に現れる画像が、印刷媒体上に現れる画像と視覚的に同等であることが保障される。

Description

本出願は、2003年1月30日出願の米国仮出願第60/443,939号を優先権主張し、本明細書にその全文を引用している。
本発明は、色画像形成に関し、より具体的にはディスプレイ装置にカラー画像を表示する技術に関する。
カラー画像形成装置は、異なる装置依存座標の組み合せを用いて、紙やフィルム等の媒体上に表示または印刷すべくカラー画像を形成する。多くのハードコピー印刷装置が、シアン、マゼンタ、黄、および黒(CMYK)の組み合せを用いてカラー画像を形成する。これらC、M、YおよびKの装置依存座標を組み合わせて、装置が生成可能な測色値の色域を形成することができる。陰極線管(CRT)やフラットパネルモニタ等のディスプレイ装置は、赤、緑、青(RGB)の装置依存座標を用いる場合がある。いくつかの高性能カラー画像形成装置では、装置依存座標であるシアン、マゼンタ、黄、および黒を、オレンジや緑等の他の座標と組み合わせて用いてもよい。各種のカラー画像形成装置で使用すべく、これらおよび他の装置依存座標系が開発されてきた。
異なる装置間にまたがる色指定の標準化を企図して、多くの異なる装置独立座標系が開発されてきた。例えば、国際照明委員会(CIE)は、L色空間(以下、L色空間、L空間、または単にLと呼ぶ)等の装置独立色空間およびXYZ色空間(以下、XYZ色空間、XYZ空間、または単にXYZと呼ぶ)を開発した。さらに、他のいくつかの組織および個人により別の装置独立色空間が開発されてきた。
装置独立色空間内の位置は、どの特定の装置座標にも無関係な色値を理論的に定義する。L空間またはXYZ空間内の位置は、例えば、装置色域内のある位置にマッピングすることができる。装置色域内の当該位置は次いで、L空間またはXYZ空間内の位置により定義されたものと視覚的に同等な色を、理論的に装置に発生させる装置依存座標を定義する。
「ソフト校正(プルーフィング)」という用語は、印刷されたハードコピーではなく、ディスプレイ装置を使用する校正処理を指す。従来、色校正技術は、校正色が紙その他の印刷媒体を印刷し、その画像や色が視覚的に正しく見えることを保証すべく検査する「ハードコピー校正」に依存していた。例えば、色特性を調整して、連続したハードコピー印刷物をハードコピー校正処理において検査することができる。特定の校正色が合格と判定された後、合格した校正色の作成に用いた色特性を再利用して、合格した校正色と視覚的に同等に見える大量の印刷媒体を印刷機等により大量生産することができる。
ソフト校正は、さまざまな理由で極めて好ましい。例えば、ソフト校正は校正処理に際して媒体のコピーを印刷する必要が省ける。さらに、ソフト校正により、複数の校正専門家が、ハードコピーの配送を待つことなく単にディスプレイ装置を見るだけで遠隔地からカラー画像の校正を行なうことができる。ソフト校正は、ハード校正より早く、しかも便利である。さらに、ソフト校正は校正処理のコストを削減することができる。これらおよび他の理由でソフト校正は極めて好ましい。
しかし、ソフト校正の主な問題は、ソフト校正ディスプレイ装置に表示される色と、実際の印刷ハードコピーに現れる色とを視覚的に良好にマッチさせるのが困難な点である。上述のように、装置独立座標は、理論的に色指定を標準化する。従って、理論的には、ハードコピー印刷出力のCMYK装置座標を装置独立座標に転換し、次いで、RGB装置座標に転換することができる。また、理論的には、RGB装置座標を用いて表示される色は、ハードコピー印刷出力のものと視覚的に同等である。しかし、実際には、たとえソフトおよびハードコピー媒体により表示された画像が実質的に同一の装置独立な値を生じても、ディスプレイ上に現れる色は、ハードコピー印刷出力の色とは異なって見える場合がある。ソフト校正ディスプレイ装置内の色と、ハードコピー印刷出力の色とが満足な視覚的マッチを与えなければソフト校正は効果的に機能できず、産業界で広く採用され得ない。
一実施形態において、本方法は、少なくとも1個の区分的に線型な補正関数を用いて装置独立座標に選択的な色度補正を適用するステップを含む。
区分的に線型な補正関数は、出力装置に関連付けられた線型な装置依存座標に作用する。
本方法はさらに、各々が、出力装置に関連付けられた装置依存座標空間内における異なる色領域に対応する、区分的に線型な補正関数の群を提供するステップと、区分的に線型な補正の各関数群を対応する色領域の装置独立座標に適用して装置独立座標に色度補正を行なうステップとを含む。
別の実施形態において、本方法は、視覚的に不均一な色空間内の色を定義する装置独立座標に選択的な色度補正を適用するステップを含む。ここに、当該色度補正は線型な装置依存座標の線型な補正関数に基づいており、また、色度補正が色の境界間で区分的に装置独立座標に適用されて、色度補正された装置独立座標を生成する。
別の実施形態において、本方法は、線型な装置依存座標に基づいて、装置依存座標空間内の各色領域に対応する装置独立座標について色度補正を決定するステップと、対応する色領域内の装置独立座標に色度補正を適用して、補正された装置独立座標を得るステップとを含む。
色度補正の決定はさらに、対応する色領域内の区分的に線型な補正関数である、各色領域に対応する補正係数を計算するステップを含む。
別の実施形態において、本方法は、ディスプレイ装置に関連付けられた装置依存色空間内の有彩色における彩度、色相、および明度の望ましい変化に基づいて、補正レベルを決定するステップと、ディスプレイ装置に関連付けられた線型な補正関数に基づいて、補正係数を計算するステップと、当該補正係数および補正レベルを、印刷装置の有彩色を定義する装置独立座標に適用して、色度補正された装置独立座標を生成するステップとを含む。
別の実施形態において、本システムはディスプレイ装置と、当該ディスプレイに接続されたプロセッサとを備え、当該プロセッサが少なくとも1個の区分的に線型な補正関数を用いて装置独立座標に選択的な色度補正を適用する。
別の実施形態において、本システムは印刷装置と、ディスプレイ装置と、当該印刷装置および当該ディスプレイ装置に接続されたプロセッサを備え、当該プロセッサが印刷装置内の色を定義する装置依存座標を装置独立座標に転換し、当該印刷装置に関連付けられた装置依存座標の線型な補正関数に基づいて、当該装置独立座標に色度補正を適用して、補正された装置独立座標を生成し、補正された装置独立座標を装置依存表示プロファイルに関連付けられたディスプレイ装置内の色を定義する装置依存座標に転換する。
別の実施形態において、本発明はプロセッサに、ディスプレイ装置の白点補正を受信させ、線型な装置依存座標に基づいて、装置依存座標空間内の各色領域に対応する装置独立座標に対する色度補正を決定させ、装置独立座標に白点補正を適用させ、対応する色領域の装置独立座標に色度補正を適用させて、補正された装置独立座標を取得させる命令を含むコンピュータ可読媒体を備える。
別の実施形態において、本発明はプロセッサに、印刷装置内の色を定義する装置依存座標を装置独立座標に転換させ、印刷装置に関連付けられた装置依存座標の線型な補正関数に基づいて、装置独立座標に色度補正を適用させて、補正された装置独立座標を生成させ、補正された装置独立座標を装置依存表示プロファイルに関連付けられたディスプレイ装置内の色を定義する装置依存座標に転換させる命令を含むコンピュータ可読媒体を備える。
さらに別の実施形態において、本方法はディスプレイ装置の白点補正を得るステップと、色度補正行列を決定することによりディスプレイ装置の第一の色度補正を得るステップと、白点補正および第一の色度補正に基づいて、第一の補正された装置独立座標を生成するステップと、線型な補正関数に基づいて、第一の組の補正された装置独立座標に第二の色度補正を適用するステップと、第一の補正された装置独立座標に第二の色度補正を適用して第二の補正された装置独立座標を生成するステップとを含む。
これらおよび他の実施形態のさらなる詳細事項は、添付の図面および以下の記述により開示される。他の特徴、目的および利点は、記述と図面、および請求項から明らかになる。
実施形態の例において、本発明はソフト校正を容易にする方法、システム、およびプログラムコードを格納したコンピュータ可読媒体を備える。本発明は、ハードコピーとソフトコピー校正環境間で色座標を変換する一種以上の変換技術を実装することができる。当該変換技術により、ディスプレイ装置上に現れるカラー画像が印刷媒体上に現れるカラー画像と視覚的に満足にマッチすることを保証する。
ソフト校正技術の究極の目的は、ディスプレイ装置上のカラー画像を正確にレンダリングしやすくすることである。換言すれば、ソフト校正技術は、印刷媒体上のカラー画像と「視覚的に満足なマッチ」、「視覚的に同等」、または「視覚的に良好なマッチ」するカラー画像をディスプレイ装置上の表示することを追求する。二つの画像が「視覚的に同等」とは、それらの経験的デルタE誤差が1にほぼ等しいか下回る場合である。視覚的に良好なマッチとは、色管理の訓練を受けた人物が2個のカラー画像間の色値の違いを視覚的に識別できない場合である。視覚的に満足なマッチとは、ソフト校正環境内で満足なマッチである。
上述のように、2個の画像が「視覚的に同等」なのは、それらの経験的デルタE誤差がほぼ1に等しいか下回る場合である。例えば、経験的デルタEの値は、CRT上にRGBカラーを表示することにより単色について決定することができる。比較のために色のハードコピーをCRTに隣接して置くことができる。色管理の訓練を受けた数人のオペレータが、ハードコピー上の色をCRT上の色と比較し、CRT上の色のRGB値を調整してCRT上の色をハードコピーの色にマッチさせることができる。必要ならば、望遠鏡状の管を通して2つの色を見比べることにより、散乱光の影響を排除することができる。オペレータが測定した補正の平均がR、G、Bについてゼロ付近であったならば、CRTおよびハードコピーの色の経験的デルタEがゼロに近いと言える。平均的デルタが非ゼロであった場合、経験的デルタEは、元のRGBおよび平均調整済みRGBのディスプレイICCプロファイルを用いてRGBをLに転換することにより決定できる。次いで、デルタEをL値から計算することができる。
画像形成装置は、印刷装置およびディスプレイ装置を含む。印刷装置として、例えばレーザープリンタ、インクジェット式プリンタ、感熱性画像形成装置、ドット行列プリンタ、印刷機または紙またはフィルム等の有形媒体への印刷が可能なその他任意の装置が含まれていてよい。ディスプレイ装置として、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)その他の平面スクリーンディスプレイ、デジタル用紙、電子インクディスプレイ、および電子入力信号またはデータから画像のレンダリングが可能なその他任意の装置が含まれる。
通常、印刷装置およびディスプレイ装置の両方が、色を定義するために装置依存座標を利用する。例えば印刷装置は通常、色の定義にCMYKまたはCMYKOGを座標使用し、従って印刷装置は、印刷装置の色性能を定義する付随CMYK色域またはCMYKOG色域を有していてよい。多くのディスプレイ装置では現在、色の定義にRGB座標を使用しており、従って通常は、ディスプレイ装置の発色性能を定義するRGB色域が関連付けられている。例えば、CRTディスプレイ装置は、装置のRGB色域内で、色を表示できる赤、緑、緑の燐光体の異なる組み合せを利用している。
しかし、色の視覚的な見え方はまた、照明条件にも依存している。例えば、同じ印刷出力を異なる照明の下で見た場合に、異なって見える場合がある。このため、1個以上の色空間で定義された色を比較する場合、照明条件は一般に固定された変数である。照明条件は、ハードコピーおよびソフトの両校正環境において重要である。
実験的な研究により、CIE標準で定義された色彩科学に明らかな不備があることを見出した。特に、ディスプレイ装置と印刷装置は、測定されたXYZ座標が同じでありながら、画像が視覚的には異なって見えるカラー画像を生成できる。例えば、D50照明条件にカリブレーションされたCRTディスプレイは、D50照明条件の下で見る同一XYZ座標の印刷画像に比べて黄色く見える。
理論的には、測定されたXYZ座標が同一である画像は同一に見える筈である。残念ながら、これはハードコピーとソフト画像を視覚的に比較した場合は当てはまらないようである。従って、ディスプレイ装置上の画像上とハードコピー媒体に印刷された画像との間で校正品質レベルのカラーマッチを得る、すなわち視覚的に満足、視覚的に同等または良好なマッチを得るには、本発明に従うXYZ座標の変換が必要であろう。
第一の変換方法
ハードコピーとソフトコピー校正環境の間で色座標を変換する第一の変換方法についてここで述べる。この第一の変換方法はまた、同時係属出願で共同出願である2001年3月15日出願の米国特許出願第09/808875号に記述されており、本明細書においてその全文を引用している。第一の変換方法の技術を以下に記述する第二の変換方法の技術と組み合わせて用いて、ディスプレイ装置上に現れるカラー画像が印刷媒体上に現れるカラー画像と視覚的に満足にマッチすることを保証することができる。
図1は、本発明の一実施形態による第一の変換方法プロセスを示すフロー図である。図1に示すように、装置依存座標の第一の組が装置独立座標に転換される(11)。装置独立座標は次いで変換される(12)。変換された装置独立座標は次いで、装置依存座標の第二の組に転換される(13)。図1のプロセスは例えば、カラー画像の全ピクセルに対して実行されて、ディスプレイ等の第二の画像形成装置の出力が、プリンタ等の第一の画像計装装置の出力と視覚的に同等に見えるようにできる。
図2は、図1の第一の方法の変換プロセスの実装例を示すフロー図である。図に示すように、ハードコピーCMYK画像の画像データは、CMYK座標からXYZ座標に転換される(21)。XYZ座標は次いで、X’Y’Z’に変換される(22)。これらの変換されたX’Y’Z座標は次いで、ソフト校正のためにディスプレイ装置上の表示用RGB座標に転換することができる(23)。このように、RGB座標を用いたディスプレイ装置の出力は、CMYK座標を用いて印刷されたハードコピーと視覚的に同等であるようにできる。
図3は、装置独立座標を変換すべく実装可能な一般的なプロセスのフロー図である。図に示すように、白点が補正され(31)、次いで、有彩色が補正される(32)。変換プロセスをこのように二つに分岐させることで、結果的に正確なカラーマッチが得られる。
再び図1を参照するに、装置独立座標の第一の組は、第一の装置に関連付けられていてもよい。例えば、第一の装置は、CMYK色域に従いカラー画像を印刷するプリンタであってよい。カラー画像は、画像内の点の色を定義する一群の装置依存座標で構成されていてよい。
例えば、画像は大規模な一群のCMYK座標を含む画像データで構成されていてよい。これらの座標の各々を、装置独立座標に転換し(11)、次いで変換することができる(12)。各々の変換された座標は次いで、転換されて装置依存座標の第二の組を形成することができる(13)。
装置依存座標の第二の組は例えば、第二の画像形成装置に関連付けられていてよい。例えば、第二の画像形成装置がCRT等のディスプレイ装置である場合、装置依存座標の第二の組は一群のRGB座標であってよい。各RGB座標は、変換された座標から生成することができる。
変換操作(12)は、正確なカラーマッチを得るために重要である。変換(12)は装置独立座標を調整して、ディスプレイ装置への出力が例えばプリンタの印刷出力と実質的に同じに見えることを保証する。広く認められたCIE色方程式を前提にすれば、この変換は「理論的には」不要かも知れないが、上述の色彩科学全般の不備により、特にカラーマッチが必須であるソフト校正の分野でこの変換の利用が必須となっている。このように、本発明はハードコピーとソフトコピーのマッチの観点から従来のXYZ変換で生じる色合わせの欠陥を補償する。
再び図3を参照するに、装置独立座標の二つに分岐された変換を示す。例えば、ディスプレイ装置の白点は、D50等、既知の照明条件から開始して補正することができる(31)。例えば、D50照明を有する目視ブースに白い表面を置いて白点を定義することができる。白い表面の反射率は、L等の装置独立座標に関して測定することができる。この時点で、同じL値を有する白い領域を生成して、カリフォルニア州サンノゼのアドビシステムズ社から販売されているAdobe(登録商標)等の市販のソフトウェアを用いてディスプレイ装置に表示すれることができる。次に、ディスプレイ装置の白点のxおよびy色度は、ディスプレイ装置上の白い画像および目視ブースの白い画像が、視覚的に同等、視覚的良好なマッチ、あるいは視覚的に満足なマッチのいずれかになるまで調整することができる。白点のxおよびy色度の調整に注意されたい。調整が終了したならば、ディスプレイ装置を「視覚的D50」の白点調整中として分類すれることができる。この場合、ディスプレイおよびハードコピーにより表示される白点は僅かに異なるXYZ値を生成するが、視覚的にはマッチしているように見える。
白点を補正した後で(31)、有彩色を補正してよい(32)。有彩色に対する補正は、例えば、装置色域内の飽和色に対する補正として分類してよい。例えば、RGB色域により定義されるCRTに補正が適用されている場合、有彩色に対する補正はR、G、およびB色度の調整であってよい。
一例において、有彩色に対する補正は最初に補正値の決定が含まれる。これを行なうために、CMYK画像をデジタル形式に転換しなければならない。例えば、分光光度計で測定されたように正確なマッチプリントプロファイル、すなわちミネソタ州オークデールのイメーション社から販売されているImation Matchprint(商標)レーザープルーファの出力のプロファイルに準拠して、絶対レンダリングによりCMYK画像をAdobeRGB(D50)に転換することができる。最適には、比較に用いる画像は、C、M、Y、Rの100%中実体および重ね刷り(例:M+Y)、G(例:C+Y)、B(例:C+M)を含んでいなければならないが、本発明はその点に限定されない。この時点で、RGB作業空間をAdobeRGB(D50)に設定すべきである。デジタル画像は、目視機構内のCMYKマッチプリントハードコピーと比較して、AdobeRGB(D50)作業空間のR、G、B色度は、視覚的に満足なマッチまたは良好な視覚的マッチが得られるまで、あるいは二つの画像が視覚的に同等になるまで調整することができる。再び、ディスプレイ装置作業空間のR、G、B色度への調整に注意されたい。
図4は、本発明の一実施形態による別のフロー図である。特に、図4はソフト校正設定における白点を補正すべく実装可能な方法を示す。図に示すように、RGB作業空間は最初、ハードコピー照明条件に設定される(41)。ここでも、照明条件は例えば、D50照明条件であってよい。
RGB作業空間作業内の照明条件を設定した後で(41)、白色のRGBソフトコピーを白色のCMYKハードコピーの隣に表示することができる(42)。例えば、白色のCMYKハードコピーと同じL値を有する白色領域をRGB作業空間内に生成して、CMYKハードコピーの隣に表しることができる。CMYKハードコピーを照らしている照明条件は依然としてD50の筈である。次いで白色のソフトコピーをハードコピーの白色と視覚的に比較することができる(43)。
ハードコピーの白をソフトコピーの白と比較したならば、ディスプレイ装置の最大燐光設定を、ハードコピーとソフトコピーの間で視覚的マッチが得られるように調整することができる(44)。例えば、ディスプレイ上に現れる白色がハードコピーの白色と同じに見えるようになるまで、燐光設定をユーザーが増加的に調整することができる。白の視覚的マッチが得られたならば、燐光設定の調整量を記録することができる(45)。
図5は、本発明の一実施形態による別のフロー図である。図に示すように、CMYK画像がRGB座標に転換される(51)。例えば、CMYK画像は、分光光度計で測定される正確なマッチプリントプロファイル、すなわちミネソタ州オークデールのイメーション社から販売されているImation Matchprint(商標)レーザー校正装置の出力用のプロファイルを意図する絶対レンダリングを用いてAdobeRGB(D50)に転換することができる。最適には、画像はC、M、Y、R、GおよびBの100%無地かつ重ね刷りを含んでいなければならないが、本発明はこれに限定されない。
CMYK画像をRGBに転換した後で、作業空間をハードコピー照明条件に従い設定することができる(52)。例えば、ハードコピー照明条件がD50である場合、RGB作業空間はAdobeRGB(D50)に設定すべきである。作業空間が設定されたならば(52)、ディスプレイの燐光設定は視覚的白点とマッチするように調整することができる(53)。例えば図4に、デシプレイの視覚的白点を決定する適切な方法を示す。
この時点で、画像のRGBソフトコピーを、画像のCMYKハードコピーの隣に表示することができる(54)。ここでもCMYKハードコピーは、依然としてD50照明で照らされている筈である。次いで画像のハードコピーを、画像のソフトコピーと視覚的に比較することができる(55)。例えば目視機構を実装して、ソフトコピーをハードコピーと比較する際にD50照明条件が満足されていることが保証できる。
AdobeRGB(D50)作業空間のR、GおよびB色度を調整して、画像のハードコピーとソフトコピー間の視覚的マッチを実現することができる(56)。例えば、ディスプレイ上に現れる色がハードコピー上の色と同じに見えるようになるまで、AdobeRGB(D50)作業空間の色度をユーザーが増加的に調整することができる。次いで、色度に対する調整を記録することができる(57)。
白点および色度に対する補正を決定および記録したならば、以下で概説するように、数学的枠組みに補正値を入力することにより変換を繰り返すことができる。さらに、以下で概説するようにXYZからX’Y’Z’への数学的変換を実行した後で、ICCプロファイル等の新規プロファイルを生成して、AdobeRGB色度の補正により視覚的に補正されたRGB画像と同じに見えるように、補正されたICCプロファイルを用いてCMYK画像のレンダリングを行なえるようにできる。ICCプロファイルは、装置特性の特性化すべく国際カラーコンソーシアム(ICC)が発表した既存の仕様に準拠している。
第一の変換方法の実装例は、行列代数を用いて非常に正確なマッチング結果を実現するものである。結果として得られるXYZからX’Y’Z’への補正変換全体は次式で表わされる。
Figure 2006520557
ここに、第一の行列M1は白点に関してXYZに補正を施し、Mは色度に補正を行なう。
1補正は、RGB(最大)でのディスプレイ装置の白点がxD50、yD50ではなく、xD50+ΔxD50、yD50+ΔyD50を測定するように、ディスプレイ装置の燐光体の最大R、G、B強度を効果的に再スケーリングする。変数ΔxD50およびΔyD50は、理論上のD50白点を補正して視覚的差異を吸収する。従って、xD50+ΔxD50、yD50+ΔyD50は視覚的白点を定義する。
補正は、ディスプレイ装置の飽和色が、xr2、yr2;xg2、yg2およびxb2、yb22ではなく、xr2+Δxr2、yr2+Δyr2;xg2+Δxg2、yg2+Δyg2およびxb2+Δxb2、yb2+Δyb2を測定するように、XYZ値を補正する。変数の組Δxr2、Δyr2;Δxg2、Δyg2およびΔxb2、Δyb2は、理論上のRGB色度を補正して視覚的差異を吸収する。
白点補正行列Mは次式で表わされる。
Figure 2006520557
行列Mは実際にはRGB色度と白点色度の関数であるが、表記法を簡素化して、変化している唯一のパラメータが白点に対する補正だけであることを示す。白点補正行列Mを計算する際に、RGB色度は一定であるとみなすことができる。
行列Mは、一組のRGB燐光体を有する線型RGB空間から、色度x、yの測定された白点に設定された特定のCRTディスプレイ用に測定されたXYへの転換を定義する。変数ΔxD50およびΔyD50は、目視機構内においてD50照明で照らされた中立の白い反射材にディスプレイ装置をマッチさせるのに必要なD50の色度に行なう必要がある視覚的補正を示す。
Mを色度だけの関数として定義すべく、当該式は行列Mを、R、GおよびB、について測定された三刺激値X、YおよびZの観点から記述することから始まる。XYZの値は、以下の方程式に従い色度値x、yに関係する。
Figure 2006520557
従って、以下が得られる。
Figure 2006520557
Figure 2006520557
Figure 2006520557
Figure 2006520557
ここに、Mは、次式で与えられる色度行列である。
Figure 2006520557
色度行列Mは、次式のように、R、GおよびBのx、y色度だけの関数にさらに簡約することができる。
Figure 2006520557
RGB色度が固定されている場合、色度行列Mは固定行列である。
色度行列Mおよび白点色度の関数として行列Mを得るために、上の方程式は次のように解くことができる。
Figure 2006520557
Figure 2006520557
Figure 2006520557
Figure 2006520557
この方程式は、以下のように白点色度の関数として表わすことができる。
Figure 2006520557
この結果得られるMの方程式はRGBおよび白点色度だけの関数である。RGB色度が固定されている仮定すれば、これは白点だけの関数となる。
Figure 2006520557
従って、白点補正行列Mを決定するために用いられる色は以下で表わされる。
Figure 2006520557
色度補正行列M、すなわち飽和色補正行列またはRGB色度補正行列は、上で白点補正行列Mを決定したのと同様の方法で決定することができる。しかし、Mの式を決定して簡約するために、白点色度は固定されていてRGB色度は可変であると仮定する。
白点補正行列Mを適用することにより、ディスプレイ装置の理論的白点および視覚的白点等の経験的白点の間の誤差を補正することができる。色度補正行列Mを適用することにより、飽和色における残余誤差を補正することができる。換言すれば、行列Mは、飽和色の理論値と、経験的または視覚的に測定された飽和色との間の誤差を補正することができる。行列Mは、物理モニタを調整するために適用したり、あるいはAdobeRGBまたはsRGB等の作業空間を調整したりするために適用することができる。
例えば、色度補正行列Mを作業空間の調整に適用する場合、次式で表わすことができる。
Figure 2006520557
ここに、xwp、ywpはxD50、yD50と仮定しており、xr2、yr2、xg2、yg2およびxb2、yb2はRGB作業空間の色度である。
白点補正、色度補正、またはその両方は、色プロファイルに格納することができる。色プロファイルは、特定の装置の色特性を記述するデータ構造である。色プロファイルは通常、例えば装置の装置独立座標から装置依存座標にどのように転換されるかを記述する情報等の色情報を含む。補正変数を格納するか、あるいは上述の変換を含むように色プロファイルを再定義することにより、色プロファイルはソフト校正システムの強化および改良ができる。既存のシステムや標準との互換性を実現すべく、プロファイルは変換データを含んでいながらこれを隠蔽することができる。例えば、RGB燐光体の再スケーリングに付随する変換データを含むICCプロファイルを、プロファイル内の真のD50白点xD50、yD50により依然として特徴付けることができる。しかし現実には、白点は実際はxD50+ΔxD50、yD50+ΔyD50を測定し、RGBのXYZ値は実際に測定されたRGB色度から導いてもよい。システムがプロファイルを実装する際には、正確なカラーマッチが得られる。
幾分より広い観点から、第一の変換方法は、装置独立座標の多段階変換を含んでいてよい。実験結果は先に概説した二分岐変換技術が良好なカラーマッチング結果を与えることを示しているが、変換プロセスをさらに分割することができる。さらに、変換はXYZ色空間以外の装置独立色空間で実装することができる。しかし再びXYZの例を参照するに、より一般的な補正を以下の方程式で表わすことができる。
Figure 2006520557
行列M−Mは、異なる色度に補正を行なうことができる。例えば、Mは白点色度を、Mは赤色度を、Mは緑色度を、Mは青色度を各々補正することができ、以下同様である。
一般に、一群の行列M−Mに含まれる各行列は、以下のように記述することができる。MComponentTransform(MCT)が行列集合M−Mに含まれる任意の行列を表わす場合、MCT=(MExperimental)(MTheoretical−1である。行列MTheoreticalは色彩科学の理論に従い、装置依存空間から装置独立空間への転換を定義する。行列MExperimentalは視覚的比較等の実験結果に従い、装置依存空間から装置独立空間への転換を定義する。色彩科学の理論が経験的に裏付けられている場合、MTheoreticalはMExperimentalと等しく、(MExperimental)(MTheoretical−1は単位行列であるMCTを与える。しかし、色彩科学の理論に不備があって、MTheoreticalがMExperimentalに等しくない場合、MCTは単位行列でなく、むしろ、MCTは各々の色度に対するカラーマッチを与える変換行列である。
図6に、本発明の一実施形態によるソフト校正システムの例を示す。上述の第一の変換方法および/または以下に述べる第二の変換方法を用いるカラー変換技術の実装に適したソフト校正システムは、1個以上の校正ステーション62A〜62Dを含んでいてよい。各々の校正ステーション62A〜62Dは、例えば、プロセッサ、ユーザー入力装置、ディスプレイモニタ、メモリ、記憶装置、およびプリンタを含んでいてよい。校正ステーションは実質的に、電子表示または印刷複製用にテキストおよびグラフィック画像を創作するグラフィックアーティストその他のユーザーが用いる従来のコンピュータシステムに準拠している。メモリ/バスコントローラおよびシステムバスがプロセッサとメモリを結合する一方、1個以上の入出力コントローラおよびI/Oバスがプロセッサおよびメモリと、ユーザー入力装置、ディスプレイモニタ、記憶装置、およびプリンタを結合する。
プロセッサは、汎用マイクロプロセッサの形式であってよく、PC、マッキントッシュ、コンピュータワークステーション、携帯データ端末、パームコンピュータ、デジタル用紙等に一体化されていても、またはその一部をなしていてもよい。ユーザー入力装置は必要に応じて、従来のキーボードおよびマウス、ペンまたはトラックボール等の指示装置を含んでいてよい。モニタは、テキストおよび/またはグラフィック情報をユーザーに表示するCRT、フラットパネルディスプレイ等を含んでいてよい、メモリは、プロセッサが第一および第二の変換方法技術を実行すべくアクセスして起動するプログラムコードを格納するランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでいてよい。
プログラムコードは、システムに関連付けられた固定ハードディスクまたは媒体ドライブの形式であってよく、記憶装置からメモリにロードすることができる。例えば、プログラムコードは、磁気、光、光磁気、位相変化その他のディスクまたはテープ媒体等のコンピュータ可読媒体に最初は格納されていてよい。あるい、プログラムコードは、EEPROM等の電子的なコンピュータ可読媒体からメモリにロードされるか、またはネットワーク接続を介してダウンロードすることができる。ダウンロードされる場合、プログラムコードは最初は搬送波に埋め込まれていても、または電磁信号として送信されてもよい。プログラムコードは、広範な機能を提供するアプリケーションプログラムの特徴として実装されていてもよい。
ソフト校正システム60はまた、各々の校正ステーション62A〜62Dに結合されたソフト校正色管理制御部65を含んでいてよい。ソフト校正色管理制御部65は、例えば、各々の校正ステーション62A〜62Dに画像データを入力することができる。画像データは、例えば、校正ステーション62A〜62Dへ送られる前に、色管理制御部65により変換されていてよい。あるいは、画像データは、色管理制御部65から送られた後で各々の校正ステーション62A〜62Dにより変換されてもよい。
ソフト校正システム60は、また、印刷機等の少なくとも1個の印刷装置68に関連付けられていてよい。動作時において、ソフト校正システム60は各々のステーション62A〜62Dにおいてカラー画像を生成することができる。色の専門家は各々の校正ステーション62A〜62Dにおける画像を検査して、上述の第一の変換方法に従い画像の視覚的な外観を自分の好みに合わせることができる。また、画像は以下に述べる第二の変換方法を用いてさらに色度を補正することができる。一旦校正ステーション62A〜62Dで画像の外観が満足なレベルになれば、印刷装置68を用いて、校正ステーション62A〜62Dで表示される画像を視覚的に同等に見える大量の印刷媒体を大量印刷することができる。重要な点は、上述の第一の変換方法および以下に述べる第二の変換方法の技術および知見を実装することで、印刷装置68により印刷される画像が校正ステーション62A〜62Dに現れる画像と視覚的に同等に見えることを保証する手助けとなることである。
正確なソフト校正システムは、簡単な行列演算によるXYZへの補正が、CRTディスプレイと反映されたハードコピーとの間に良好な相関をもたらすという仮定に基づいて実現することができる。この補正は、以下のようにハードコピーXYZ値を対応するCRTXYZ値に補正するか、
Figure 2006520557
またはCRTXYZ値を、対応する以下のハードコピーXYZ値に補正することにより定式化される。
Figure 2006520557
以下の例は、第一の変換方法が利用可能な方法を示す。
例1
行列M−1 HC−>CRTは、ドライバソフトウェアまたはXYZ(または同等の)測定データを測定する装置のEPROMにおいて自動的に適用することができる。このように、CRTの全てのアナログおよびデジタル設定(最も特徴的なのは白点または色温度設定)は、反射画像を見るために選択された照明に良好に自己相関している。さらに、全ての測定されたXYZデータは自動的に補正される。測定装置を用いてCRT上にD50白点を設定する場合、ICCプロファイルを標準方式で生成することができる。CRTとハードコピーの間で良好な視覚的マッチが得られる。
コダック社のColorFlow(商標)およびグレタグマクベス社のProfileMaker(商標)等、数種の色測定ツールは100%のR、G、Bおよび黒から白まで変動する一連のグレーカラーを測定する。また、他のICCツールは、RGBカラー値のさらなる組み合せを測定することができる。最も一般的な結果は、XYZ測定データに直接基づく簡単な行列/TRCプロファイルである。CRTがD50白点に設定されていない場合、D50に合わせるために色彩の導入をデータに適用することができる。
しかし、これらの測定ツールは、CRTのXYZデータが他の媒体で測定されたXYZデータと視覚的に整合しないという事実により妨げを受ける。従って、装置と媒体の間で良好な視覚的マッチを実現するために、行列M−1 HC−>CRTを自動的にCRTXYZデータに適用することができる。この転換は、CRTの仕様およびCRTの制御を含めて、ハードコピーに相対的な測定を含むあらゆる状況に適用することができる。
オペレーティングシステムおよび/またはCRTハードウェアの提供業者は本発明を実装して、自身のCRTと各種のプリンタの間で良好な視覚的マッチを実現することができる。例えば、最初に、自動CRT設定条件(白点または色温度等)を定義するために用いる全てのXYZデータを、行列M−1 HC−>CRTを用いて補正することにより良好な視覚的マッチが実現できる。次いで、行列M−1 HC−>CRTを用いて、ICCプロファイルを生成するために用いられた全てのXYZデータを自動的に補正して、特定の設定条件にCRTを特徴付けることができる。
換言すれば、本発明を用いて、CRTに関するCIEの色仕様を再定義することができる。さらに、この再定義は、特にソフト校正アプリケーションを含む任意の色基準に利用することができる。
例2
CRTのXYZにおける対応するCRT白点値を導くために、行列MHC−>CRTをハードコピー用の照明(例えばD50)のXYZ値に適用することができる。
Figure 2006520557
CRTの未補正ICCプロファイルを、CRTの色度と白点値の組み合せから構築することができる。
Figure 2006520557
補正された行列は次いで、単にCRTXYZからハードコピーXYZへ転換すべく変換を適用し、次いで上式の色度値を再計算することにより計算できる。あるいは、補正を白点補正と色度補正に分けてもよい。
CRTが補正された視覚白点(例えばMHC−>CRT(XYZD50)に物理的に設定されている場合、定義によりCRT白点色度xwp、ywpのCRTからハードコピーへの補正値は、xD50、yD50となる。その理由は、XYZの(CRTからHCへ戻る)補正値がCRT白点の場合D50となるからである。
Figure 2006520557
従って、CRTからハードコピーへの補正がなされたCRT行列は、所望の白点色度の値、すなわちD50等のハードコピー照明と同一の白点を自動的に有する。これは、CRTプロファイルが基準とするCRTXYZデータに白点補正行列M −1を適用することに等しい。
残りの色度補正は、RGB用の未補正色度を、および補正された白点色度値(例えばD50)を用いて、先に構築したCRT行列に単に色度補正行列M −1を適用して行なうことができる。この方式の利点は、標準的なICC生成ツールを採用して、所望の白点(例えばD50)が仮定されているCRTに対して未補正ICCプロファイルを構築することができることである。その結果得られるプロファイルは、色度補正行列M −1を行列/TRCプロファイルの行列部分に適用することにより簡単に補正することができる。この簡単な補正と、CRTの白点を視覚的に正確なD50白点に設定することを組み合わせて、結果的にCRTとハードコピーの間で良好な視覚的マッチが得られる。
例3
ハードコピー用のXYZ値に行列MHC−>CRTを適用して、CRT用の対応するXYZ値を導く。
Figure 2006520557
CRT用の行列は、CRT用の色度と白点値の組み合せから構築できることを想起されたい。
Figure 2006520557
この行列の上に挙げた値が一定であると仮定すれば、新規行列は定数および定数に対する補正に基づいて定義することができる。
Figure 2006520557
次いで、行列MHC−>CRTを視覚的補正技術に基づいて生成することができる。
Figure 2006520557
上の最後の式は、白点および色度に対する視覚的補正の関数である単一の行列を定義する。この単一行列を用いて、ハードコピーのXYZ値をCRT用のXYZ値に相関させることができる。
第二の変換方法
これまで、CMYKハードコピー画像(D50光ブース等の制御された目視環境で見られる)とCRTまたはLCDディスプレイ用にRGB画素データ形式でレンダリングされた対応する画像との間で視覚的マッチを実現すべく、第一の方法による変換技術について述べてきた。図1〜5を参照しながら上述の第一の変換方法は、装置独立データ、すなわち色がレンダリングされているか否か、ハードコピー出力または放射式ディスプレイのいずれを見るかにかかわらず一意な色を定義するデータを導くための標準計算として現在用いられているXYZオブザーバ関数における誤差を最小化すべく、単一の行列を用いてXYZ−>X’Y’Z’転換を実行した。
上述の第一の変換方法はハードコピー画像とディスプレイの間で知覚される色誤差の大部分を除去するが、知覚可能な誤差は依然として残っている。従って、色変換をさらに洗練する第二の追加的な方法を以下に述べる。この第二の変換方法は単独で、または上述の第一の変換方法と組み合わせて、ディスプレイ装置でシミューレトされるハードコピー画像の全体的には正確な外観を損なうことなくこれらの齟齬を減らす。
一般に、上述の第一の変換方法は、色を表示する装置座標から独立しているが、第二の変換方法は、各XYZカラーに関連付けられた装置依存表示プロファイル(例えばRGB)だけでなく装置独立XYZカラー座標を用いて、補正された出力X”Y”Z”を生成する。第二の変換方法から得られた色度補正された装置独立座標データは次いで、装置依存表示プロファイルの適当な参照テーブル位置に格納されても、またはXYZ−>X”Y”Z”抽象プロファイルにロードされてもよい。
第二の変換方法は、既存の正確なグレーバランスを維持して、第一の変換方法を介してXYZ−>X’Y’Z’転換を行なう補正行列と同様の仕方で、すべての調整が線型RGB空間と共に線型に変動することを保証する。
第二の変換方法を用いて、例えばディスプレイ等の出力装置の色を色度的に補正することにより、出力装置に生成された画像が例えばプリンタ等の画像形成装置の出力に視覚的に同等に見えるようにできる。例えば、図7Aは第二の変換方法を含む別の実施形態による色変換プロセスを示すフロー図である。図7Aに示すように、装置依存座標の第一の組が装置独立座標に転換される(102)。装置独立座標は次いで、出力装置の装置依存表示プロファイルを用いて転換される(103)。これらの変換された装置独立座標は次いで、装置依存座標の第二の組に変換される(104)。図7Aのプロセスは、カラー画像のピクセル全てに対して行なうことができるため、ディスプレイ等の第二の画像形成装置の出力がプリンタ等の第一の画像形成装置の出力に視覚的に同等に見える。
図7Bは、図7Aのプロセスの実装例を示すフロー図である。同図に示すように、ハードコピー装置依存CMYK画像の画像データがCMYK座標から装置独立XYZ座標に転換される(106)。XYZ座標は装置依存表示プロファイルを用いて変換されてX”Y”Z”が生成される(107)。X”Y”Z”座標は次いで、ディスプレイ装置に表示すべくRGB座標に転換される(108)。このように、RGB座標を用いるディスプレイ装置の出力を、CMYK座標により印刷されたハードコピーと視覚的に同等にできる。
第二の変換方法はまた、上述の第一の変換方法と組み合わせて用いてもよい。例えば、図8Aは第一の変換方法および第二の変換方法の両方を含む本発明の別の実施形態による色変換プロセスを示すフロー図である。図8Aに示すように、装置依存座標で第一の組が装置独立座標に転換される(110)。装置独立座標は次いで、第一の変換方法を介して変換される(111)。この時点まで、図8Aは図1に関して上で述べた方法と同一である。しかし、図8Aの方法における次のステップは、第二の変換方法に従い装置依存表示プロファイルを用いて装置独立座標を再び変換することである(112)。これらの二回変換された座標は次いで、装置依存座標の第二の組に転換される(113)。再び、図8Aのプロセスをカラー画像の全てのピクセルに実行して例えばディスプレイ等の第二の画像形成装置の出力が、例えばプリンタ等の第一の画像形成装置の出力と視覚的に同等に見えるようにすることができる。
図8Bは、図8Aのプロセスの実装例を示すフロー図である。同図に示すように、ハードコピー装置依存CMYK画像の画像データがCMYK座標から装置独立XYZ座標に転換される(114)。XYZ座標は次いで、X’Y’Z’に変換される(115)。次に、X’Y’Z’座標は装置依存表示プロファイルを用いて変換されてX”Y”Z”が生成される(116)。X”Y”Z”座標は次いで、ディスプレイ装置に表示すべくRGB座標に転換される(117)。このように、RGB座標を用いるディスプレイ装置の出力を、CMYK座標により印刷されたハードコピーと視覚的に同等にできる。
図9は、第一の変換方法の白点補正だけを用いて装置独立座標を変換し、第二の変換方法だけを用いて色の色度を補正するために実装可能な一般的プロセスのフロー図である。同図に示すように、白点が補正され(120)、次いで図11〜15に関して後述する第二の変換方法を用いて有彩色が補正される(122)。
図10は、本明細書に記述している第一の変換方法および第二の変換方法の両方を用いて装置独立座標を変換すべく実装可能な別の一般的プロセスのフロー図である。同図に示すように、白点が補正され(124)、次いで図1〜5に関して上で述べた第一の変換方法を用いて有彩色が補正される(126)。有彩色は次いで、図11〜15に関して後述する第二の変換方法を用いて第二の補正を受ける(128)。
図9および10の白点補正(120,126)は、図3および4に関して上で述べた方法を用いて実現することができる。同様に、第一の有彩色補正(122)は、図3および図5に関して上で述べた第一の変換方法を用いて実現することができる。
再び図8を参照するに、第二の変換方法(112)は特定の状況下で、第一の変換方法だけ(111)を用いる場合よりも正確なカラーマッチングを得る可能性がある。第一の変換方法と組み合わせて用いた場合(111)、第二の変換方法(112)は装置独立座標をよりきめ細かく調整して、例えばディスプレイ装置上のカラー出力が、プリンタに印刷した色と実質的に同等に見えることを保証する。
上記を実現すべく、第二の変換方法は、特定の出力装置に関連付けられた装置依存表示プロファイルを用いて装置独立座標を変換する。例えば、出力装置がCRTディスプレイである場合、当該装置に関連付けられたRGB表示プロファイルを用いて装置独立座標を変換する。第一の変換方法(図5)に関して上で述べたように、第二の変換方法は広く認められたCIE色方程式があるため、「理論的」には不必要である。しかし、上で議論したように色彩科学に全般に不備があるため、特に正確なカラーマッチングが要求されるが、媒体間すなわちD50光源下で見たディスプレイとハードコピーの間のスペクトル特性に著しい相違があるソフト校正の分野において第一および第二の変換方法の一方または両方の利用が必須である。従って第二の変換方法は、単独で用いるにせよ、上述の第一の変換方法と組み合わるにせよ、ハードコピーからソフトコピーへの意味での従来のXYZ変換において生じるカラーマッチングの不具合を補償する。
有彩色を補正(122,128)する第二の変換方法について以下に記述する。ここでも、第二の変換方法を用いる際に、有彩色に対して実行されている第一の変換方法を利用しても、しなくてもよい。有彩色に対して第一の方法と共に用いる場合、第二の方法は有彩色に対する二次補正を含む。しかし、白点を調整するために第一の方法を単独で用いた後で有彩色に対する補正として用いた場合、第二の方法は有彩色に対する一次補正を含む。以下に詳述するように、本技術のパラメータは、本技術が有彩色に対する一次補正か二次補正のいずれに用いられるかに応じて選択することができる。
一般に、第二の変換方法は、特定の出力装置に関連付けられた装置依存表示プロファイルを用いる装置独立座標の変換である。図9に示す実施形態において、有彩色に対する第二の変換方法(122)は入力として、例えばハードコピーCMYKから転換された変換済み装置独立座標XYZを受け取り、装置依存表示プロファイルを用いて変換済み装置独立座標X”Y”Z”を出力する。出力装置が例えばCRTディスプレイである場合、当該装置用のRGB表示プロファイルが用いられる。図10の示す実施形態の場合、有彩色に対する第二の変換方法による補正(128)は入力として、第一の変換方法からの変換済み装置独立座標X’Y’Z’(126)を受け取り、装置依存表示プロファイルを用いて二回変換された装置独立座標X”Y”Z”を出力する。
第二の変換方法は、第一の変換方法と同様に、好適には目視者の網膜を刺激する光の強度に線型に拡大縮小する装置独立座標系に作用する。光の強度に線型に拡大縮小する装置独立座標系の例として、三刺激空間(XYZ)、色度空間(Yxy)またはu’v’等の他の座標系が含まれる。簡便のため、この一般的な補正のカテゴリは、「色度補正」と呼ぶ。これらの座標系は、視覚的には余り均一ではなく、CIELABやCIECAM97等の「カラー外観モデルすなわちCAM」であると考えられる系とは非常に異なる。これら後者の系は通常、D50光等の白点基準に正常化されているXYZ(またはXYZの線型変換)の値に極めて非線型な整形を適用する。例えば、CIELAB色空間は、光度(Y)の値に立方根関数を適用して、X、YおよびZの立方根関数の間の差を計算する。
本発明において、色度補正は区分的に実行される。すなわち、視覚的に不均一な色空間の各色領域は、補正色座標を得るために当該色領域の境界内だけに適用される対応色度補正群を有する。例えば、赤、緑、青等の各原色には、当該原色領域に固有の基本色度補正群が関連付けられている。また、シアン、マゼンタ、および黄色等の各二次色には、当該二次領域に固有の第二の色度補正の群が関連付けられている。
色度補正の各群は、当該群の対応する色領域を定義する境界内だけに適用される。この意味で、色度補正は色空間において区分的に適用されて、より正確なカラーマッチング結果が得られる。このように、特定の1個の色領域においてカラーマッチが満足な場合、当該色領域における色度補正はゼロで有り得る。第二の変換方法は従って、各色領域に適用される色度補正の量を選択可能にする意味で柔軟である。
色度補正の群は、有彩色に対していくつかの異なる可変的な調整を含んでいてよい。適用できる色度補正の一種に「補正レベル」がある。補正レベルは、非視覚的に均一な色空間内で区分的に適用される。すなわち、非視覚的に均一な色空間の各色領域は、当該色領域の境界内だけで適用される一組の対応する補正レベルを有する。各色領域の補正レベルの組は、ハードコピー画像と結果的に得られるディスプレイ出力の間で所望のマッチを実現するために必要な当該色領域における色相、彩度、および明度への補正の量に対応する。補正レベルは、第一の変換方法および図4、5に関して上述したような反復的最適化プロセスを用いて決定することができる。補正レベルを決定する方法について、より詳細な説明を以下で与える。
補正された色座標を得るために適用可能な別の種類の色度補正は、「補正係数」である。補正係数は、各色領域内で区分的に線型な補正関数として定義される。すなわち、非視覚的均一色空間の各色領域は、当該色領域の境界内だけに適用される対応補正係数を有する。各色領域の補正係数は、画像を表示する特定の装置に関連付けられた線型な装置依存座標に基づいている。例えば、装置がCRTディスプレイである場合、各色領域において線型な装置独立座標(すなわち視覚的に不均一な座標)に適用される補正係数は、線型な装置依存座標Rの区分的に線型な補正関数に基づいている。補正係数をどのように決定するかについて、より詳細な説明を以下に与える。
図11は、第二の変換方法を示すフロー図である。第二の変換方法を実行するには、最初に色度補正を決定する(130)。次いで、色度補正を装置独立座標に適用して、X”Y”Z”の補正値に到達する(132)。
図12は、第二の変換方法を描いた別のフロー図を示す。最初に、色度補正の精度を改善するのに必要な補正レベルが決定される(134)。補正レベルは、第一の変換方法および図4、5に関して上で述べたたように、反復的な最適化プロセスを用いて決定することができる。例えば、第一の変換方法の後で第二の変換方法が実行されている場合(図9参照)、第一の変換方法の後に残ったデルタE誤差は5〜10デルタEのオーダーであってもよい。その場合、補正レベルは、ハードコピー画像と表示された画像の間に知覚されるあらゆる相違をさらに減らすように、第二の変換方法の後に残っている誤差が1〜2デルタEのオーダーであってよい。第二の変換方法が単独で実行されている場合、白点の補正の後(図10参照)、補正レベルは3〜5デルタEのオーダーであってよい。
有彩色を補正するために第二の変換方法を単独で用いている場合、図4に示す方法を最初に用いて白点を補正する。次いで、図5に示すものと同様の方法を用いて、例えばCRTディスプレイ装置の場合に赤、青、緑、シアン、マゼンタおよび黄色を含む各々の表示カラーの補正レベルを決定する。
第二の変換方法を第一の変換方法と組み合わせて用いる場合(図8Aおよび8B)、補正レベルは図5に示すものと同様の方法を用いて、上述のように決定される。しかし、この場合、第一の変換方法の後で視覚的に適切にマッチしなかった種類の画像に特別の注意が払われる。この反復的なプロセスを通じて、表示画像と印刷画像の間に良好な視覚的マッチを提供するために必要な所望の補正レベルが決定される。
次に、ディスプレイ装置の有彩色の補正係数が装置依存表示プロファイルを用いて計算される(136)。補正係数は、ディスプレイ装置の有彩色を構成する加法原色(R、G、B等)並びに二次色(C、M、Y等)の選択的な調整を可能にする。補正レベルおよび補正係数は次いで、ディスプレイ装置の有彩色に適用されて色度が補正された色が得られる(138)。
図13は、第二の変換方法のより詳細なフロー図を示す。最初に、色度補正の精度向上に必要な補正レベルが決定される(144)。補正レベルは、局所的な色領域の色相(Δθ)、彩度(ΔS)、および明度/光度(ΔL)に対する局所的な調整を可能にする。このように、ディスプレイ装置の有彩色を構成する赤、緑、青の各原色およびシアン、マゼンタ、黄色の各二次色に対して3種の補正レベルΔθ、ΔS、およびΔLの組が決定される。補正レベルの各々の組は「区分的に」、すなわち、対応する色領域内だけに適用される。
ここで図14を参照するに、YxyRGB色空間の例202における3種の補正レベルΔθ、ΔS、およびΔLを示す。Δθは、色空間のある位置から色空間の別の位置まである角度方向に動いている色相における変化を表わす。ΔSは、白点(W)からの距離が変化している彩度の変化を表わし、白点の近くに飽和が少ない色が位置し、白点からの距離が遠ざかるにつれて色が次第に飽和していく。ΔLは、Y方向(紙面から離れる方)に移動している明度または光度の変化を表わす。
再び図13を参照するに、3種の補正レベルΔθ、ΔS、ΔLの組は、各種の方法、すなわち直交座標、極座標、または円柱座標のいずれでも決定することができる(144)。本明細書に図示および記述する実施形態では円柱座標を用いる。しかし、本発明はどの特定の座標系にも限定されず、色彩科学で公知の任意の座標系を用いても同様の結果が得られることを理解されたい。ここでも、3種の可能な調整として、Δθ(x、yの角度補正)、ΔS(白点のx、y値に相対的なx、y座標の彩度補正)、およびΔL(Yに対する光度調整)を含む。Yxyに対する調整の規模は、x、yの値が(x、y)wp、すなわち白点に近づくにつれて線型にゼロまで縮小し、Yに対する調整はYの値が0に近づくにつれて線型に縮小しなければならない。このように、装置の色空間の各色領域においてYxy、Δθ、ΔS、およびΔLに対する3種の補正レベルの一意な組、すなわちR、G、B、C、M、およびYに対して色度空間で実行される3種の補正の組が存在する。
第二の変換方法を第一の変換方法と組み合わせて用いる実施形態の場合(図8A、8B)、XYZ−>X’Y’Z’の補正を行なう第一の変換方法のカラーマッチング結果が十分であるならばΔθ、ΔS、およびΔLのデフォルト値は0である。しかし、第一の変換方法がもたらす結果が十分でない場合には第二の変換方法がより小さい二次補正(X’Y’Z’−>X”Y”Z”)を許し、従ってより正確なカラーマッチングが実現される。
Δθ、ΔS、およびΔLの最適補正レベルを決定するために、補正の規模と方向を、図5に記述されているものと同様の方法を用いて推定することができる。例えば、表示プロファイルA−>表示プロファイルA’を向上させたい方向で補正し、次いで補正された表示プロファイルA’−>表示プロファイルAからの色を転換することで行なえる。例えば、ユーザーが黄色の色相を赤色の方へ移すことを望む場合、黄色付近でΔθの値として−0.03を用いてよい。所望の結果が得られたことをユーザーが確認したならば、表示のRGBプロファイルを逆向きに補正して、画面にレンダリングされた画像で黄色が所望の赤方偏移を有することが保証できる。これは、表示プロファイルAを黄色におけるΔθ値+0.1を以って調整することにより、適切な逆補正が実現できる。
再び図13を参照するに、線型な装置依存座標は、未処理の装置依存座標から計算される(146)。出力装置がCRTである場合、装置依存表示プロファイルの線型な装置依存座標が以下のように計算される。
Figure 2006520557
これらの線型な装置依存座標は次いで、後述のように補正係数の計算に用いられる。未処理RGB値から線型R値を計算するために、線型Rデータは、第一の変換方法に関して上述したように適切なRGB−>XYZ行列を乗じた際にXYZの正確な予測を実現するRGBの補正値として計算される。CRTの場合、線型R値は通常、ガンマ曲線すなわちRγの形式で計算され、ここにγはほぼ2に等しい。以下のようにより複雑の関数ではより高い精度、またはLCDシステムの結果が得られる。
Figure 2006520557
ここに、fはガンマ関数、R、G、Bは関連するRGB値、αは特定のチャネルR、G、Bの強度関数を記述するために用いるパラメータである。
一実施形態において、装置独立座標に対する色度補正は、区分的な仕方で適用される。補正レベル各々の一意な組および各々の一意な補正係数が、対応する特定の色領域において区分的に適用される。換言すれば、特定の色領域に対する色度補正群が適用されるのは、特定の境界条件が満たされる場合だけである(148)。例えば、ここで図15を参照するに、赤の原色に関連付けられた領域204を線206、208で示す。この領域は以下の境界条件を満たす。
Figure 2006520557
ここでも、赤(R)の領域に対応する色度補正群が装置独立座標に適用されるのは当該領域の境界条件が満たされる場合だけである。
同様に、その他の各原色すなわち緑と青、並びに各二次色シアン、マゼンタ、および黄は、以下のように定義できる境界条件の各々の組を有する。
Figure 2006520557
別の例として、二次色シアン(C=G+B)の境界条件により定義される領域210もまた図15に示す。
再び図13を参照するに、各々の原色および各々の二次色の補正係数が、装置依存表示プロファイルを用いて計算される(150)。各々の補正係数は、線型な装置依存座の関数の区分的に線型な補正関数として計算される。このように、各色領域は、区分的に線型な補正関数に基づいて自身の対応する補正係数を有する。例えば、赤色領域におけるYxy値の補正係数βは次式で定義することができる。
Figure 2006520557
同様に、緑および青の原色領域の補正係数を次式で定義することができる。
Figure 2006520557
また、各々の二次色シアン、マゼンタ、および黄色の二次補正係数は次式で定義できる。
Figure 2006520557
Figure 2006520557
次に、装置独立XYZ座標が円柱Yxy座標に転換される(152)。次いで、色空間内の各位置x、yの実際の調整(Δxy)が計算される(154)。Δ(xy)の値は、以下で定義される白点(xy)、pに相対的に計算される。
Figure 2006520557
次いで、補正レベル、補正係数、およびΔ(xy)が、対応する色領域において適用されて、補正されたY’x’y’座標が得られる(156)。例えば、Δ(xy)Δx’とΔy’、および赤色領域で再計算されたY’x’y’は次式で定義される。
Figure 2006520557
上記の方程式はまた、他の各原色領域である緑および青、並びに各二次色領域であるシアン、マゼンタ、および黄色に対しても、それらの各々の補正角度Δθ、彩度補正ΔS、輝度補正ΔL、および補正係数βを置換することにより適用される。
最後に、補正されたY’x’y’座標は元に転換されて、色度補正された装置独立座標X”Y”Z”が得られる(158)。
第二の変換方法は、スキャナおよびデジタルカメラのプロファイリングに用いることができる。通常、スキャナおよびデジタルカメラICCプロファイルの自然な外観およびグレーバランスと、例えば自動車や洗剤の箱等、画像内の特定の対象を正確にRGB−>XYZまたはL転換できる性能との間には多くのトレードオフがある。飽和した赤または青色のオブジェクトは、20ΔE以上の誤差で色を不正確に予測する恐れがある。第二の変換方法は、画像内の強烈な色を有する特定オブジェクトに対してRGB−>XYZまたはLの予測的転換性能を向上させながら、グレーバランスおよび画像全体の良好な完全性を維持すべく、スキャナまたはデジタルカメラ用の一般的なRGBプロファイルに十分な補正を適用可能にすることができる。
例4
以下に掲げるC++コードの抜粋は、装置依存表示プロファイルに基づいて補正係数を決定する方法の実施形態の例を示す。
Figure 2006520557
Figure 2006520557
Figure 2006520557
例5
以下に掲げるC++コードの抜粋は、装置依存表示プロファイルに基づいて計算した補正係数、例えば例4に記述する実施形態を用いて得られた補正係数を用いて補正されたX”Y”Z”を計算する実施形態の例を示す。
Figure 2006520557
Figure 2006520557
例4および例5に示すC++コードの断片は単に説明用のものであって、本発明がそこに記述されている特定の実装例に限定されない点を理解されたい。
本発明の各種の実装例について述べてきた。例えば、カラーマッチングを容易にすべく装置依存表示プロファイルに基づいて、装置独立座標を変換する色変換技術について述べてきた。ソフト校正を実現するために他のカラー画像形成技術の有無にかかわらず1通り以上の実装を行なうことができる。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく各種の変更を行なえる点を理解されたい。例えば、変換技術は、任意の2個の画像形成装置間のカラーマッチングを向上させるべく実装することができる。変換技術はまた、2台のプリンタ間または2台のディスプレイ間のカラーマッチングを向上させるべく実装可能である。
また、RGBCMYの角度、彩度および光度の最適補正レベルを決定するために手動かつ反復的に最適化を行なうのではなく、これらの値を誤差最小化ルーチンにより自動計算してもよい。
上記に対し、これらおよび他の変更を行なうことができる。従って、他の実装例および実施形態は添付の請求項の範囲に含まれる。
本発明の実施形態によるフロー図である。 本発明の実施形態によるフロー図である。 本発明の実施形態によるフロー図である。 本発明の実施形態によるフロー図である。 本発明の実施形態によるフロー図である。 本発明の一実施形態によるソフト校正システムの例である。 本発明の実施形態によるフロー図である。 本発明の実施形態によるフロー図である。 本発明の実施形態によるフロー図である。 本発明の実施形態によるフロー図である。 本発明の実施形態によるフロー図である。 本発明の実施形態によるフロー図である。 本発明の実施形態によるフロー図である。 本発明の実施形態によるフロー図である。 本発明の実施形態によるフロー図である。 RGB色空間を表わす図である。 RGB色空間を表わす図である。

Claims (39)

  1. 少なくとも1個の区分的に線型な補正関数を用いて、装置独立座標に選択的な色度補正を適用するステップを含む方法。
  2. 前記区分的に線型な補正関数が、出力装置に関連付けられた線型な装置依存座標に作用する、請求項1に記載の方法。
  3. 各々が、出力装置に関連付けられた装置依存座標空間内の異なる色領域に対応する、区分的に線型な補正関数の群を提供するステップと、
    前記区分的に線型な補正関数の各群を対応する色領域内の装置独立座標に適用して、前記装置独立座標に色度補正を行なうステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  4. 視覚的に不均一な色空間内の色を定義する装置独立座標に選択的な色度補正を適用するステップを含む方法であって、前記色度補正が線型な装置依存座標の線型な補正関数に基づいており、前記色度補正が装置独立座標に色境界間で区分的に適用されて、色度補正された装置独立座標を生成する方法。
  5. 線型な装置依存座標に基づいて、装置依存座標空間内の各色領域に対応する装置独立座標に色度補正を決定するステップと、前記対応する色領域の装置独立座標に前記色度補正を適用して、補正された装置独立座標を得るステップとを含む方法。
  6. 前記色度補正を決定するステップが、前記対応する色領域内の区分的に線型な補正関数である、各色領域に対応する補正係数を計算するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
  7. 各々の区分的に線型な補正関数が、前記対応する色領域内の線型な装置依存座標に作用する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記線型な装置依存座標が、線型RGB座標を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記装置独立座標が、線形名装置独立座標を含む、請求項5に記載の方法。
  10. 前記装置独立座標が、三刺激空間内の座標を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記装置独立座標が、色度空間内の座標を含む、請求項9に記載の方法。
  12. 前記装置依存座標空間内の色領域が、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、および黄色を含む、請求項5に記載の方法。
  13. ディスプレイ装置に関連付けられた装置依存色空間の有彩色の彩度、色相、および明度の所望の変化に基づいて、補正レベルを決定するステップと、
    前記ディスプレイ装置に関連付けられた線型な補正関数に基づいて、補正係数を計算するステップと、
    前記補正係数および補正レベルを、印刷装置の有彩色を定義する装置独立座標に適用して色度補正された装置独立座標を生成するステップとを含む方法。
  14. 前記色度補正された装置独立座標を用いて、前記有彩色を前記ディスプレイ装置上に表示するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記補正係数を計算するステップが、線型な装置依存座標の区分的に線型な補正関数を計算するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  16. 前記線型な装置依存座標が線型RGB座標である、請求項15に記載の方法。
  17. 各々が、異なる色領域に対応する、区分的に線型な補正関数群を計算するステップと、
    各々の区分的に線型な補正関数の群を、対応する色領域内の装置独立座標に適用するステップとをさらに含む、請求項15に記載の方法。
  18. 印刷装置内の色を定義する装置依存座標を装置独立座標に転換するステップと、
    前記印刷装置に関連付けられた装置依存座標の線型な補正関数に基づいて、装置独立座標に色度補正を適用して、補正された装置独立座標を生成するステップと、
    前記補正された装置独立座標を、装置依存表示プロファイルに関連付けられたディスプレイ装置内の色を定義する装置依存座標に転換するステップとを含む方法。
  19. 前記補正された装置依存座標を用いて、前記ディスプレイ装置に前記色を表示するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記表示された色が、印刷装置により印刷されたハードコピー上の色と視覚的に同等である、請求項19に記載の方法。
  21. 前記ディスプレイ装置の白点を補正するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
  22. 前記装置独立座標に色度補正を適用するステップが、
    装置依存座標の線型な補正関数に基づいて、前記ディスプレイ装置の各々の一次色領域に対応する一次補正係数を計算するステップと、
    前記装置依存座標の線型な補正関数に基づいて、前記ディスプレイ装置の各々の二次色領域に対応する二次補正係数を計算するステップと、
    各々の一次補正係数を、前記対応する一次色領域内の装置独立座標に適用するステップと、
    各々の二次補正係数を、前記装置独立座標の対応する二次色領域内の前記装置独立座標に適用するステップとを含む、請求項18に記載の方法。
  23. 各々の一次色領域に対応する一次補正レベルを決定するステップと、
    各々の二次色領域に対応する二次補正レベルを決定するステップと、
    各々の一次補正レベルを、対応する一次色領域内の装置独立座標に適用するステップと、
    各々の二次補正レベルを、前記対応する二次色領域内の前記装置独立座標に適用するステップとをさらに含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記一次補正レベルおよび前記二次補正レベルが各々、前記装置独立座標の対応する一次および二次色領域の色相、彩度、および明度の調整を含む、請求項23に記載の方法。
  25. ディスプレイ装置と、
    前記ディスプレイ装置に接続されたプロセッサとを含み、前記プロセッサが、少なくとも1個の区分的に線型な補正関数を用いて、前記装置独立座標に選択的な色度補正を適用するシステム。
  26. 前記区分的に線型な補正関数が、出力装置に関連付けられた線型な装置依存座標に作用する、請求項25に記載の方法。
  27. 各々が、出力装置に関連付けられた装置依存座標空間内の異なる色領域に対応する、区分的に線型な補正関数群を提供するステップと、
    各々の区分的に線型な補正関数の群を、対応する色領域内の装置独立座標に適用して、当該装置独立座標に色度補正を行なうステップとをさらに含む、請求項25に記載の方法。
  28. 印刷装置と、
    ディスプレイ装置と、
    前記印刷装置および前記ディスプレイ装置に接続されたプロセッサとを含み、前記プロセッサが、前記印刷装置内の色を定義する変換装置依存座標を装置独立座標に転換し、前記印刷装置に関連付けられた装置依存座標の線型な補正関数に基づいて、前記装置独立座標に色度補正を適用して、補正された装置独立座標を生成し、前記補正された装置独立座標を、前記装置依存表示プロファイルに関連付けられたディスプレイ装置内の色を定義する装置依存座標に転換するシステム。
  29. ディスプレイ装置と、
    メモリ装置と、
    前記ディスプレイ装置および前記メモリ装置に接続されたプロセッサをと含み、前記プロセッサが、
    ハードコピー上の画像の第一の視覚的表現を定義する画像データの第一の組を前記メモリ装置から受信し、
    線型な補正関数に基づいて、前記ディスプレイ装置上に表示すべく前記画像の第二の視覚的表現を定義する画像データの第二の組を生成し、
    前記ディスプレイ装置上に前記画像を表示するシステム。
  30. プロセッサに、ディスプレイ装置の白点補正を受信させ、
    線型な装置依存座標に基づいて、装置依存座標空間内の各色領域に対応する装置独立座標に対する色度補正を決定させ、
    装置独立座標に白点補正を適用させ、
    対応する色領域の装置独立座標に色度補正を適用させて、補正された装置独立座標を取得させる命令を含むコンピュータ可読媒体。
  31. プロセッサに、印刷装置内の色を定義する装置依存座標を装置独立座標に転換させ、
    前記印刷装置に関連付けられた装置依存座標の線型な補正関数に基づいて、装置独立座標に色度補正を適用させて、補正された装置独立座標を生成させ、
    前記補正された装置独立座標を装置依存表示プロファイルに関連付けられたディスプレイ装置内の色を定義する装置依存座標に転換させる命令を含むコンピュータ可読媒体。
  32. プロセッサに、対応する色領域内の区分的に線型な補正関数である、各色領域に対応する補正係数を計算させる命令をさらに含む、請求項31に記載のコンピュータ可読媒体。
  33. 前記各々の区分的に線型な補正関数が、対応する色領域内で線型な装置依存座標に作用する、請求項32に記載のコンピュータ可読媒体。
  34. 前記線型な装置依存座標が線型RGB座標を含む、請求項33に記載のコンピュータ可読媒体。
  35. 前記装置独立座標が線形な装置独立座標を含む、請求項31に記載のコンピュータ可読媒体。
  36. 前記装置独立座標が、三刺激空間内の座標を含む、請求項35に記載のコンピュータ可読媒体。
  37. 前記装置独立座標が、色度空間内の座標を含む、請求項35に記載のコンピュータ可読媒体。
  38. 前記装置依存座標空間内の色領域が赤、緑、青、シアン、マゼンタおよび黄色を含む、請求項31に記載のコンピュータ可読媒体。
  39. ディスプレイ装置の白点補正を得るステップと、
    色度補正行列を決定することによりディスプレイ装置の第一の色度補正を得るステップと、
    白点補正および第一の色度補正に基づいて、第一の補正された装置独立座標を生成するステップと、
    線型な補正関数に基づいて、第一の組の補正された装置独立座標に第二の色度補正を適用するステップと、
    第一の補正された装置独立座標に第二の色度補正を適用して第二の補正された装置独立座標を生成するステップとを含む方法。
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