JP2006507290A - セフチオフルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

高純度で且つ実質的に不純物を含まない式(I)のセフチオフルの調製方法を開示する。当該方法は、式(II)の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−syn−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルチオエステルと、式(III)の7−アミノ−3−(2−フラニルカルボニルチオメチル)−3−セフェム−4−カルボン酸とを、水非混和性不活性有機溶媒と水の混合物の存在下で且つ有機塩基の存在下で反応させ、そしてd)水を反応混合物に添加し、そして有機相中に不純物を、水相中に塩基との塩の形態のセフチオフル(I)を選択的に分配し、e)水混和性有機性溶媒及び水非混和性有機溶媒を含む混合物の存在下で且つアルカリ又はアルカリ土類含有塩の飽和水溶液の存在下で前記塩基との塩の形態のセフチオフル(I)を含む水相を酸性化し、有機相中にセフチオフル(I)を分配せしめ、そして
f)前記有機溶媒を蒸発させることにより又は補助溶媒の添加で沈殿させることにより高純度で且つ実質的に不純物を含まないセフチオフル(I)を単離すること、を含んで成る。

Description

本発明は、高純度のセフチオフルの改良された製造方法に関する。特に、本発明は、実質的に不純物を含まないセフチオフルの改良された製造方法に関する。
セフチオフルは、広域スペクトルの第三世代抗生物質であり、これは主に獣医学的な用途に使用されている。これは、化学的には(6R,7R)−7−[[(2Z)−(2−アミノ−4−チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]−3−[[(2−フラニルカルボニル)チオ]メチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクタ−2−エン−2−カルボン酸として知られており、そして式(I)により表される。
Figure 2006507290
セフチオフルはナトリウム塩として市販されており、そして、Naxcel(商標)及びExcenel(商標)のブランド名のもと、ウシ属の動物における非経口投与のために販売されている。
セフチオフルは以下の3つの方法のうちのいずれで合成されており、すなわち、
I.セフチオフル及びその塩、特にナトリウム塩は米国特許第4,464,367号(Labeeeuw et al)において説明されている。当該特許は、セフチオフル(I)の調製のための2つの方法を説明しており、これは
i)7−アミノ−3−チオメチルフロイル−3−セフェム−4−カルボン酸の7位の、適当に活性化された[(2Z)−(2−トリチルアミノ−4−チアゾリル)メトキシイミノ]酢酸誘導体、例えば混合無水物又は活性化エステルによるアミド化(amidification)であって、必要な脱保護の後にセフチオフル(I)を生成するもの。
ii)7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−syn−メトキシイミノ]アセトアミドセファロスポラン酸、すなわちセフォタキシム酸の3位のチオフロ酸による官能化であって、セフチオフル(I)を生成するもの、
を含んで成る。
米国特許第4,464,367号は、7−アミノ−3−チオメチルフロイル−3−セフェム−4−カルボン酸と、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールで活性化した(2−トリチルアミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシイミノ酢酸のSyn異性体との反応、続くトリチル保護基の除去によるセフチオフル(I)の生成、を含んで成る、方法(I)に従うセフチオフルの調製についての実施可能な記載を含んでいる。
しかしながら、方法(II)については、セフォタキシムからセフチオフル(I)への変換を記載しているカラム3第25〜35行に示された反応順序とは別として、当該変換がどのように実施されうるかについてなんら実施可能な記載がない。
式(I)のセフチオフルの2つの調製方法をスキーム(I)に要約する。
Figure 2006507290
更に、方法Iに従うセフチオフルの合成は、[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−synメトキシイミノ酢酸のアミノ基を塩化トリチルで保護し、続いて、ギ酸の存在下で脱保護して式(I)のセフチオフルを生成する追加の段階を包含する。このアミド化法は、[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−synメトキシイミノ酢酸と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとの活性化エステルを調製するために、毒性があり高価なジシクロヘキシルカルボジイミドを利用しており、その結果除去することが困難なジシクロヘキシルウレアを形成させる。
II.US特許第6,458,949号B1(Handa, et al)のクレームは、欧州特許第0,302,94号、米国特許第5,109,135号、及び米国特許第5,109,131号に記載の従来技術を超えていることは明らかなようであるが、前記特許は、スキームIIに要約するセフチオフル(I)の別の調製方法を開示している。
当該方法は、酸ハロゲン化物として活性化された4−ハロ−3−オキソ−2−メトキシイミノ酪酸とシリル化された7−アミノ−3−チオメチルフロイル−3−セフェム−4−カルボン酸とを反応せしめて相当の7−カルボキサミド誘導体を生成させ、これをチオウレアを用いたその後の処理で式(I)のセフチオフルを生成せしめることを含んで成る。ここで、チアゾール環はチオウレアによるアミド化段階の後に形成される。
Figure 2006507290
米国特許第6,458,949号B1に記載の方法は、4つの段階を必要とする4−ハロ−3−オキソ−2−メトキシイミノ酪酸の最初の調製、続く、7−アミノ−3−チオフロイルメチル−3−セファロスポラン酸によるその後のアミド化及びチオウレアによる環化を包含しているため、複雑且つ厄介である。(I)の全収率はそれ故に低く、これにより当該方法は商業的に全く魅力ないものとなっている。
III.米国特許第6,338,070号(Deshpande, et al)は、セフチオフル(I)、及び他のセファロスポリン化合物、例えばセフトリアキソン及びセフタジジム、セフィキシム、セフポドキシム酸、セフェタメト及びセフォタキシム酸、の合成方法を教示している。
ここで、[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−synメトキシイミノ酢酸は、ビス−(2−オキソ−オキサジジニル(oxazidinyl)ホスフィン酸クロリドの存在下での2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾールとの反応により、チオエステルとして活性化される。塩基の存在下での低温でのシリル化7−アミノ−3−置換−3−セフェム化合物との反応上の当該チオエステルは、以下の本明細書のスキームIIIに記した相当の7−アシルアミド−3−置換−3−セフェムセファロスポリンを生成する:
Figure 2006507290
2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾールによる [2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−synメトキシイミノ酢酸の活性化は極めて遅く、そして最大34時間の時間を要する。更に、当該方法は、ビス−(2−オキソ−オキサジジニル(oxazidinyl)ホスフィン酸クロリドのような非常に高価な試薬を利用している。
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール又は2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾールによる混合無水物又は活性化エステルあるいは酸塩化物の形成を介した[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−synメトキシイミノ酢酸又は4−ハロ−3−オキソ−2−メトキシイミノ酪酸のいずれかのカルボン酸部分の活性化を利用する上述の方法以外に、他の方法によるセフチオフル(I)の合成、特に前記カルボン酸化合物の他の反応性誘導体の利用を介したもの、についての報告はない。
[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−オキシイミノ酢酸化合物の種々の反応性誘導体は、7位に[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−オキシイミノアセトアミド付加物(addendum)を有する複数の3−置換セファロスポリン系抗生物質の合成に利用されている。これらは、幾つか例を挙げると、
a)米国特許第5,317,099号(Lee et al)に開示されているような、セフォタキシム及びセフトリアキソンの合成のためのアシルオキシホスホニウムハロゲン化物誘導体;
b)米国特許第5,037,988号(Meseguer et al)に開示されているような、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフメノキシム、セフチゾキシム、及びセフタジジムの合成のためのアセチルサルファイトジアルキルホルミミニウム(formiminium)ハライドハイドロハライド誘導体;
c)米国特許第5,567,813号(Sung et al)に開示されているような、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフェメノキシム(cefemenoxime)、セフチゾキシム、硫酸セフピロム及びセフェピムの合成のためのジアルキルクロロチオホスフェートエステル;
d)米国特許第5,739,346号(Datta et al)に開示されているような、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セファゾリン等の合成のためのジメチルホルミニウムクロリドクロロサルフェート誘導体、
を含む。
7位のアミド化を達成するための達成するためにセファロスポリン化学において広範に利用されている[(2)−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−syn−オキシイミノ酢酸化合物の反応性誘導体は2−ベンゾチアゾリルチオエステルであり、これは米国特許第4,767,852(Ascher et al)において最初に開示されており、この化学は以下に示す通りである。
Figure 2006507290
(ここで、基R1〜R3はその中で定義されている通りであり、そして基R4はアセトキシ、カルバモイルオキシ、又は式S−Yの基であり、ここでYはヘテロ環である)。
本願の基R4の定義に入るセファロスポリン化合物には、セフォタキシム、セフトリアキソン及びセフゾナムのような商業的且つ治療的に価値のあるセファロスポリン系抗生物質が含まれる。
米国特許第4,767,852号の基R4は、硫黄原子が直接ヘテロ環に付着している3−チオメチル化合物のみを網羅しており、カルボニル基が、Sとヘテロ環であるYとの間に挟まれている化合物を網羅していないので、セフチオフルを包含していない。セフチオフル(I)は、SとYとの間、すなわち3−チオメチル基とフラン環との間に挟まれているカルボニル基を有する。
米国特許第4,767,852号に開示されている方法は、当該特許の実施例に示されている記載から明らかなように、保護された7−アミノ−3−置換セファロスポラン酸誘導体、特に(N,O)−ビスシリル化7−アミノ−3−置換セファロスポラン酸誘導体と[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−syn−オキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルとの、不活性溶媒中での周囲温度での、0.5〜48.0時間にわたる反応であって、目的の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−syn−オキシイミノアセトアミド−3−置換−3−セフェム−4−カルボン酸化合物、例えばセフォタキシム、セフトリアキソン及びセフゾナム(「3α位に求核性の残基」を有することに注意すべきである)を生成する反応から本質的に成る。
上文で言及した方法から、[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−オキシイミノアセトアミド−3−置換−3−セフェム−4−カルボン酸化合物の調製が有機性溶媒、従って水を含まない反応媒体を意味するものの中で、且つ出発材料としての保護された7−アミノ−3−置換セファロスポラン酸誘導体の利用を介して本質的に達成されることは明らかである。
更に、[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−オキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルチオエステルも、米国特許第6,313,289号に開示されているように、他の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−オキシイミノアセトアミド−3−置換−3−セフェム−4−カルボン酸化合物、例えばセフィキシムの合成に利用されている。ここで再び、当該方法は、保護された7−アミノ−3−置換セファロスポラン酸誘導体、特に保護された7−アミノ−3−ビニル−セフェム−4−カルボン酸、であって、アミノ基及びカルボキシル基がトリアルキルシリル基として保護されているものと、ジメチルアセトアミドと不活性有機溶媒との結晶性溶媒和物の水溶液の形態の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルチオエステルとを、室温で塩基の存在下で反応させ、前記保護基の除去後にセフィキシムを生成せしめることを含んで成る。
セフィキシムは、有機性塩基の塩として又は硫酸との酸付加塩として単離される。
米国特許第4,767,852号及び米国特許第6,313,289号に記載の方法をセフチオフルの合成のために広げるための試みにおいて、本発明者は、驚くべきことに、式(III1)の(N,O)−ビスシリル−7−アミノ−3−チオフロイルメチル−3−セファロスポラン酸
Figure 2006507290
が、式(II)の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルチオエステル(MAEM)
Figure 2006507290
と、不活性有機溶媒(ジクロロメタン)中で、有機性塩基(トリエチルアミン)の存在下、周囲温度(15〜30℃)で反応する場合、当該方法が以下の欠点を有しており、これらがあらゆる商業的な工程にとって望ましくないことに気が付いた。それらは、
i)当該反応が完了に至るまで20〜24時間超の期間を必要としたこと、
ii)HPLCによる当該反応のモニタリングにより示されるセフチオフルへの変換がわずかに約88〜90%であったこと、
iii)約9〜10%の不純物が当該反応において形成したこと、
iv)生成物、すなわちセフチオフルがゴム状の材料として単離されたこと、
v)単離された生成物、すなわちセフチオフルがわずかに約88%の純度を有しており、約10〜12%の不純物を含んでいたこと。このようにして得られた材料の生成がかなりの損失をもたらし、その結果セフチオフル(I)が低収率で生じたこと、
である。
セフトリアキソンの改良された合成方法であって、式(III)の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−synメトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾールチオエステルと、保護されていない7−アミノ−3−置換セファロスポラン酸誘導体、すなわち7−アミノ−3−(2,5−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−2−メチル−5−オキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)チオメチル−3−セフェム−4−カルボン酸との反応を含んで成る方法は米国特許第5,026,843号(Riccardo et al.)において開示されている。当該改良は、水混和性の有機溶媒と水の混合物を含んで成る単相系において且つ有機塩基の存在下で前記アミド化反応を実施することを含んで成る。単離することなくこうして得られたセフトリアキソンは、そのナトリウム塩に変換され、これは当該反応混合物から単離される。この化学を以下に要約する:
Figure 2006507290
上文で言及した合成を実施するのに有用であるとして米国特許第5,026,843号において列記されている水混和性の有機溶媒には、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジメトキシエタンが含まれる。これらの溶媒が水と混合される場合、均質で単一の相が生じ得る。このことは、結果として当該反応を通じてセフチアキソン(ceftiaxone)を溶液中で生成し続けるのに役立ち、それによりセフトリアキソンナトリウムの調製がワンポット反応で可能となる。
式(II)の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾールチオエステル(MAEM)と式(III)の7−アミノ−3−チオフロイルメチル−3−セファロスポラン酸
Figure 2006507290
との、水と、テトラヒドロフラン及びN,N−ジメチルアセトアミドのような前記特許で開示されているような水混和性有機溶媒から成る媒体中での反応を含んで成るセフチオフル又はセフチオフルナトリウムの合成についての米国特許第5,026,843号に開示されている方法を拡張する本発明者による試みは、しかしながら満足行くものではなく、そして生成物、すなわちセフチオフル(I)が、使用する水混和性有機溶媒に依存して5〜10%のレベルの不純物を伴って生成することが明らかとなった。得られた生成物は、反応容器の側面に付着する粘性の固体であり、これは固体としてのその単離を非常に困難なものにした。
更に、本明細書で先に引用している米国特許第4,464,367号及び米国特許第6,458,949号B1において実際に記載されている通りの当該方法の追試も、それぞれ約25〜28%、5〜10%という高レベルの不純物の形成を伴うことが明らかとなった。
本明細書で先に考察した4つの方法によるセフチオフルの合成で形成した不純物のレベルを表Iに要約する。
Figure 2006507290
*式(III1)の(N,O)−ビスシリル−7−アミノ−3−チオフロイルメチル−3−セファロスポラン酸と式(II)の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルチオエステルとの、ジクロロメタン中での周囲温度での反応。
**式(II)の7−アミノ−3−チオフロイルメチル−3−セファロスポラン酸と式(III)の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルチオエステルとの、水及び水混和性有機溶媒を含む媒体中での塩基の存在下での反応。
本明細書では、セフチオフルの3−チオフロイルメチル置換基が、硫黄原子とフラン環系との間に挟まれているカルボニル基を含むことにより、天然において非常に不安定であり、且つ硫黄−カルボニル結合の分裂を非常に受けやすく、同様に二量体化して溶液中での二量体化合物の形成に至るという傾向が高いことが言及されうる。このことは、上文で言及した不安定さがほとんど言明されていないか、又は関心が寄せられておらず、それによりそれらの合成があらゆる既知の方法を通じて可能となっている米国特許第4,767,852号に記載のような他の3−ヘテロ環系チオメチルセファロスポリン誘導体から、セフチオフル(I)を分離させている。
硫黄−カルボニル結合の分裂及び二量体化から生じる不純物の構造は、それぞれ化合物(IV)及び(V)として以下に記す。
Figure 2006507290
従って、要約すると、
i)セフチオフル(I)の合成は、従来技術において、(適当に保護された)7−アミノ−3−チオフロイルメチル−3−セファロスポラン酸の7−アミノ位での、混合無水物の形成を介して活性化された[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−メトキシイミノ酢酸によるアミド化を通じて、又は、米国特許第4,464,367号及び米国特許第6,388,070号B1にそれぞれ記載され、スキームI及びスキームIIIに要約されている1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、若しくは2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾールによる活性化エステルの形成を通じて、あるいは米国特許第6,458,949号B1に記載され、そしてスキームIIに要約されている、酸ハロゲン化物で活性化された(適当に保護された)4−ハロ−2−メトキシイミノ−3−オキソ酪酸の7−アミノ位でアミド化、続く、結果としてチオウレアで形成される中間体化合物の形成を通じて達成されており;
ii)スキームIに要約されているような、チオフロ酸との反応によるセフォタキシムの3位での官能基化は、それらの変換については、米国特許第4,464,367号において何ら実施可能な記載がなく;
iii)上文で言及したあらゆる方法の追試は、5〜28%の範囲で不純物を伴ってセフチオフルを生成することが明らかとなっており;
iv)セフチオフル(I)の合成のための米国特許第4,767,852号及び米国特許第5,026,843号の拡張は、約18〜24時間かかって単に冗長なだけでなく、高レベルの不純物をもたらしてゴム状の材料を生成させ;
v)上文で言及した方法は反応性官能基の保護及び脱保護を包含しており、これは製造の費用及び時間を増大させ;
vi)上文で言及した方法により得られる生成物、すなわちセフチオフルは、高レベルの不純物が原因で、その結果適当な剤形への調剤に適しておらず;そして
vii)精製による前記不純物の除去が前記生成物のかなりの損失をもたらし、これは製造費用を増大させ、且つ当該方法を商業的に魅力的でないものとしている。
更に、世界中の監督機関は、薬剤物質/薬物製品中の不純物レベルについて非常に関心を持っており、そしてヒト及び動物の消費について規定されている制限を超すレベルの不純物を含む製品を承認することに段々と厳しくなっており、薬剤物質/薬物製品のあらゆる製造方法が、商業的に実施可能なこととは別に、規定された限度内の量の不純物を含み、又は実質的にそのような不純物を含まない薬局方の規格に適合する製品を提供すべきであると義務付けられている。
前述の理由を考慮すると、技術的且つ商業的観点、すなわち費用有効性、操作の容易さ等を満足させるだけでなく、不純物を含まず且つ適当な剤形への調剤に適した特性を保持する高純度の製品を提供する、セフチオフル(I)の大幅に改善された製造方法についての必要性が存在している。
本発明者は、驚くべきことに、高収率で且つ高純度のセフチオフルの改善された製造方法について存在している必要性が:
i)式(III)の7−アミノ−3−チオフロイルメチル−3−セファロスポラン酸の7−アミノ位での、式(II)のその−2−ベンゾチアゾリルエステルとして活性化される[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−メトキシイミノ酢酸によるアミド化を実施し、反応性官能基の保護及び脱保護の必要性を未然に防ぐこと、
ii)前記アミド化反応が、水非混和性不活性有機溶媒と水の混合物を含んで成る系、すなわち二相系で且つ塩基の存在下で、注目すべきほど短い時間(1.5〜3.0時間)で実施され、実質的により低レベルの不純物を含む製品を生成すること、
iii)不活性有機溶媒によるセフチオフル(I)のアルキルアンモニウム塩の水性混合物の抽出による高純度で且つ実質的に不純物を含まないセフチオフル(I)を提供するための選択的抽出法を介して、上記ii)の上記反応の間に形成された不純物の大部分を除去すること、
iv)鉱酸を用いて、水混和性溶媒と水非混和性溶媒の混合物の存在下で且つ塩を含むアルカリ又はアルカリ土類含有塩の飽和水溶液の存在下で、水相で抽出された付随の不純物を含んだ不純物を実質的に含まない有機相中にセフチオフル(I)を選択的に分配することにより、セフチオフル(I)のアルキルアンモニウム塩の酸性化の間に形成した不純物を更に除去すること、
を介して達成されうる。
本発明の目的は、高純度で且つ不純物を実質的に含まない式(I)のセフチオフルの製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、式(I)のセフチオフルの製造方法であって、式(III)の7−アミノ−3−チオフロイルメチル−3−セファロスポラン酸と、式(II)のその−2−ベンゾチアゾリルエステルとして活性化される[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−メトキシイミノ酢酸との、水非混和性不活性有機溶媒と水の混合物を含んで成る二相系での且つ塩基の存在下での反応を含んで成る製造方法を提供することであり、ここで、不純物の形成は、同時に起こる所望の生成物へのより高度な変換により実質的に最少化されている。
本発明の更に別の目的は、式(I)のセフチオフルの単離のための選択的方法を提供することであり、それにより高収率且つ高純度で、そして不純物を実質的に含まない生成物を提供する。
1つの態様において、本発明は、式(I)
Figure 2006507290
のセフチオフルの単純で費用有効性のある製造方法であって、
式(II)
Figure 2006507290
の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルチオエステルと、
式(III)
Figure 2006507290
の7−アミノ−3−チオフロイルメチル−3−セファロスポラン酸との、水非混和性不活性有機溶媒、及び水を含んで成る混合物の存在下での且つ塩基の存在下での反応、及び高純度で且つ実質的に含まない式(I)のセフチオフルを生成するための単離、を含んで成る方法、を提供する。
別の態様において、本発明は、高純度で且つ実質的に不純物を含まない式(I)のセフチオフルの単離方法であって、
i)反応混合物に対して水を添加し、そして有機相中に不純物を、水相中に塩基との塩の形態のセフチオフル(I)を選択的に分配し、
ii)水混和性有機性溶媒及び水非混和性有機溶媒を含む混合物の存在下で且つアルカリ又はアルカリ土類含有塩の飽和水溶液の存在下で前記塩基との塩の形態のセフチオフル(I)を含む水相を酸性化し、有機相中にセフチオフル(I)を分配せしめ、
iii)前記有機溶媒を蒸発させることにより又は補助溶媒の添加で沈殿させることにより高純度で且つ実質的に不純物を含まないセフチオフル(I)を単離すること、
を含んで成る方法を提供する。
本発明のセフチオフル(I)の調製方法を、すぐ参照できるようにスキームVに要約する。
Figure 2006507290
本発明の詳細な説明
必要とされる出発材料は、既知の方法で調製される。式(III)の7−アミノ−3−チオメチルフロイル−3−セフェム−4−カルボン酸は、米国特許第4,937,330号に開示されている方法であって;式(VI)のチオフロ酸と、式(VII)の7−アミノセファロスポラン酸との、pH6.4で且つ65℃の温度での、水と不活性溶媒、例えば酢酸エチルとの混合物中での反応を含んで成る方法によって調製されうる。
Figure 2006507290
[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−Syn−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルチオエステル(MAEM)(II)は、欧州特許第0,037,380号に記載の方法であって、[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−syn−メトキシイミノ]酢酸(IX)とビス[ベンズチアゾリル−(2)]ジスルフィド(X)との、トリフェニルホスフィン及び溶媒としてのジクロロメタンの存在下での0℃での反応を含んで成る方法によって調製されうる。分離される生成物(II)は濾過され、ジクロロメタンで洗浄され、続いて酢酸エチルと一緒に0℃で攪拌され、そして濾過されて式(II)の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−Syn−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルチオエステルを生成する。
Figure 2006507290
式(I)のセフチオフルの典型的な調製方法において、式(III)の7−アミノ−3−チオフロイルメチル−3−セファロスポラン酸は、水非混和性不活性有機溶媒と水の混合物に添加され、続いて塩基が添加される。この混合物に対し、式(II)の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルエステルが添加され、そして反応混合物を、反応が完了して式(I)のセフチオフルを生成するまで攪拌する。
定義すると、不活性水非混和性有機溶媒とは、反応には参加しないが、反応物を最終生成物、すなわちセフチオフルへの円滑な変換を容易にする補助を行うものである。
利用されうるそのような水非混和性有機溶媒の典型的なものは、塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等から選択される。
一方、任意の極性溶媒とは、水非混和性有機溶媒との混合物中で反応を実施して均質な相を生成せしめるために水の代わりに使用されうるC1-4アルカノールを言い、しかしながら、そのような極性溶媒は、不純物の形成を減少させるのに寄与しない。他方、水は、水非混和性不活性有機溶媒との混合物中で利用する場合、不純物の最少化を実質的に助ける均質な二相系を保証する。
水の添加は、反応物の塊の攪拌が容易になる結果として、反応物の部分的な溶解を助ける。反応媒体中に水が無いことは、反応物の塊の攪拌を非常に困難にする。
不純物の最少化に影響を及ぼすことにおいてC1-4アルカノールよりも高い水の選択性は、表IIから理解することができる。
表II:式(III)の7−アミノ−3−チオフロイルメチル−3−セファロスポラン酸と式(II)の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルエステルとの反応によるセフチオフル(I)の調製方法において形成した不純物のレベルにおける水非混和性有機溶媒との混合物中での水及びC1-4アルカノール(メタノール)の作用
Figure 2006507290
水非混和性不活性有機溶媒と水との比率は、90:10(前者対後者)から98:2.0(同様)に変化することがあり、最良の結果は、当該比率が95:5.0〜97.5:2.5(水非混和性不活性有機溶媒対水)である場合に得られる。
例えば、最良の結果は、水非混和性不活性有機溶媒対水の比率が97.5:2.5である場合に得られる。
水の添加によりもたらされる劇的な作用は、以下のように合理的に考えられる:
式(III)の7−アミノ−3−チオフロイルメチル−3−セファロスポラン酸は、有機塩基の添加で、水相で可溶な、そのアルキルアンモニウム塩(III2)に変換される。当該アルキルアンモニウム塩(III2)は、不活性水非混和性溶媒中で可溶な式(II)の化合物と、外見上水相と有機相との間の界面で反応し、それにより、明確には理解されていない機構で副反応を最少化/排除し、そしてより少ない不純物の形成と共により高度な変換を容易にする。
Figure 2006507290
興味深いことに、式(I)のセフチオフルの十分な合成は、均質な二相系を利用してこれまで達成されていない。
前記反応は、低温から周囲温度に及ぶ温度、すなわち、0℃〜30℃で、しかし、好ましくは0℃〜15℃に及ぶ温度で実施されうる。
任意の塩基が使用されうるが、有機塩基が好ましい。利用されうるそのような塩基の典型的なものには、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、2,3−ジメチルアミノピリジン、N−メチルピロリドン等が含まれる。
前記塩基全ての中でも、第三級アミンが好ましく、これらはトリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミンから選択される。トリエチルアミンは、不純物の形成が最少化されるので、第三級アミンの中でも好ましい。
より大きな炭素原子数を有する有機塩基を用いることによる不純物形成の増大は、恐らくは、トリアルキルアミンの炭素原子数の増大によるトリアルキルアンモニウム塩(III2)の疎水性の増大に起因するものであろう。この疎水性の増大は、アシル化が疎水性溶媒中で起こり、そして水相と疎水性相と界面で起こらず、その結果不純物レベルが上昇することに起因して、疎水性溶媒中でのトリアルキルアンモニウム塩(III2)の可溶性の増大をもたらす。
塩基は、式(III)の化合物1モル当たり1.0モル〜3.0モルのモル比で利用されうる。好ましくは、塩基は、式(III)の化合物1モル当たり1.0モル〜2.0モルのモル比で利用される。
式(II)の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−syn−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルチオエステルは、式(III)の化合物1モル当たり1.0モル〜2.0モルのモル比で、しかしながら好ましくは1.0〜1.5モルのモル比で利用される。
反応の進行は、TLC又はHPLCでモニタリングすることができ、そして、典型的には利用する温度に依存して、反応は、前記モニタリング系がセフチオフルへの95%超の変換を示すところによると、1.0〜3.0時間に及ぶ期間で終了する。
反応終了時に、水が添加され、水層が分離され、そして更に、塩素化溶媒、例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム又は酢酸C1-6アルキル、例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n−ブチルから選択される水非混和性有機溶媒ですぐに洗浄される。
水層に対し、水混和性溶媒と水非混和性溶媒の混合物が有機層の分離後に添加される。
水混和性有機溶媒は、ニトリル、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル又はケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又は極性非プロトン性溶媒、例えばジメチルスルホキシド、スルホランから選択される。好ましい水混和性溶媒はニトリル、好ましくはアセトニトリルである。
水非混和性溶媒は、塩素化溶媒、例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム又は酢酸C1-6アルキル、例えば酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソプロピルから選択されるが、好ましいのは酢酸エチルである。
酢酸アルキル、好ましくは酢酸エチルとニトリル、好ましくはアセトニトリルの混合物は、セフチオフル(I)のアルキルアンモニウム塩を含む水層に添加される。
水混和性溶媒と水非混和性溶媒の混合物の比率は(1:1)〜(5:1)の間であるが、好ましくは酢酸アルキルと極性非プロトン溶媒の比率は(2:1ないし3:1)である。
前記混合物のpHは、オルトリン酸の添加で3.0±0.1に調節され、そして当該混合物は、セフチオフル(I)の遊離酸を有機塩基とのその層当の塩から完全に遊離させ、そしてそれを有機相に導入するために更に攪拌される。
塩酸、硫酸、オルトリン酸から選択される鉱酸、しかしながら好ましくはオルトリン酸が二相の混合物に添加される。
アルカリ又はアルカリ土類金属含有塩(15〜30%)の飽和溶液がこの二相系に添加され、そして周囲温度で攪拌される。有機層は分離され、そして水層は任意に、再び水混和性溶媒と水非混和性溶媒の混合物で抽出される。
アルカリ又はアルカリ土類金属含有塩は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、塩化カルシウムから選択されるが、好ましくは塩化ナトリウムである。
式(I)のセフチオフルは、有機溶媒の蒸発又は補助溶媒の添加で有機層から単離される。
有機層から周囲温度でセフチオフル(I)を沈殿させるために添加される補助溶媒は、非極性芳香族溶媒、例えばトルエン、キシレン又は脂肪族溶媒、例えばシクロヘキサン、n−ヘキサン、ヘプタンであってもよい。
前記混合物は、純粋なセフチオフル(I)の完全な結晶化のために45〜90分間、しかし好ましくは60分間攪拌される。純粋な化合物(I)は濾過され、シクロヘキサンで洗浄され、そして35〜40℃で乾燥される。この結果得られるセフチオフル(I)の純度は、約97%超の純度を有しており、そして不純物、例えば二量体化号物(IV)及びチオール化合物(V)を実質的に含まない。
このようにして調製した式(I)のセフチオフル酸は、40±2℃で且つ75%±5℃という厳しい温度及び湿度の条件下で、3ヶ月保存した後でも顕著な安定性を示す。
特定の態様において、式(III)の7−アミノ−3−チオメチルフロイル−3−セフェム−4−カルボン酸(1.0モル)をジクロロメタンに添加し、そして混合物を0〜5℃の間で冷却する。トリエチルアミン(1.8モル)を当該混合物に添加し、続いて式(II)の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−synメトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾールチオエステル(1.2モル)を前記混合物に対し攪拌しながら添加する。水[式(III)の化合物のグラム当たり0.4倍量]を反応混合物に添加し、そして反応が完了するまで1.5〜3.0時間攪拌する。反応混合物を水で反応停止させ、そして有機層を分離する。セフチオフル(I)の塩を含む水層は、ジクロロメタンで少なくとも2回抽出し、続いて酢酸エチルで少なくとも1回抽出する。
酢酸エチルとアセトニトリルの(2:1)混合物を水層に添加し、そして周囲温度で攪拌する。当該混合物のpHを3.0±0.1にオルトリン酸(30%)で周囲温度で調節する。塩化ナトリウムの20%水溶液を二相の混合物に添加し、そして攪拌する。有機層を分離し、そして活性炭による任意の処理、続くセライトベッドを介した濾過の後、式(I)のセフチオフルを単離するために濃縮する。あるいは、シクロヘキサンを有機層に添加し、そして式(I)のセフチオフルは完全に沈殿するまで周囲温度で放置される。混合物を濾過し、そして湿潤したケークをシクロヘキサンで洗浄し、続いて35〜40℃で乾燥させ、実質的に不純物を含まず且つ97%超の純度を有するセフチオフル(I)を生成させる。
セフチオフル(I)の調製についての本方法と従来技術の方法との比較を表IIIに示す。
Figure 2006507290
Figure 2006507290
セフチオフルナトリウムは、従来技術で開示されている方法でセフチオフル酸(I)から調製されうる。本発明の方法により調製されるセフチオフル酸(I)は、2002年10月29日付けの同時継続出願番号938/MUM/2002において開示されている方法によりそのナトリウム塩に変換されている。
本発明の方法により生成されるセフチオフル酸(I)から調製したセフチオフルナトリウムは、セフチオフル酸(I)の調製の間に生成するより低レベルの不純物に起因してより高い安定性を有しており、そして更に剤形として調製しやすい。
本発明は更に以下の実施例により例示されるが、しかしながら、これは本発明の範囲を限定するものと解されるべきではない。
(6R,7R)−[[(2Z)−(2−アミノ−4−チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]−3−[[(2−フラニルカルボニル)チオ]メチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクタ−2−エン−2−カルボン酸(I)の調製(水非混和性溶媒と水の混合物、塩基としてのトリエチルアミンの存在下)
7−アミノ−3−(2−フラニルカルボニルチオメチル)−3−セフェム−4−カルボン酸(III)(100g;0.294モル)をジクロロメタン(1000ml)に添加した。反応混合物を0℃に冷却し、そしてトリエチルアミン(53.57g;0.529モル)を0〜5℃で60分の間に添加した。[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−syn−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルチオエステル(II)(123.5g;0.353モル)を添加し、そして15分間攪拌した。水(25.0ml)を混合物に添加し、そして5〜7℃で攪拌した。反応をHPLCでモニタリングし、そして当該混合物を化合物(III)がHPLC上で1.0%未満となるまで攪拌した。反応混合物は、水(700ml)を添加することによりワークアップし、そして15分間10〜15℃で攪拌した。水層を分離し、そしてジクロロメタン(300ml)で2回洗浄した。水層を続いて再び酢酸エチル(300ml)で洗浄した。水層を分離し、そして酢酸エチル(2000ml)とアセトニトリル(1000ml)の混合物を水層に添加した。pHは25%オルトリン酸を30分15〜20℃で添加することにより調節した。塩化ナトリウムの濃縮溶液(25%)を二相の混合物に添加し、そして生じた二相の混合物を30分間攪拌した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルとアセトニトリルの(2:1)混合物(750ml)で抽出した。有機層を一緒にし、そして5%塩溶液で洗浄した。有機層を分離し、そして任意の炭素処理、続く濾過の後、硫酸ナトリウム上で脱水させた。有機層を蒸発させ、そして酢酸エチル(300ml)とシクロヘキサン(1500ml)の混合物を残渣に添加し、そして20〜25℃で60分間攪拌した。生成物(I)を濾過し、そしてシクロヘキサン(200ml)で2回洗浄した。当該生成物を35〜40℃、減圧下で乾燥させ、100.3gのセフチオフル(I)を生成せしめた。収率%:66.95;純度:98.5%。合計の不純物:1.50%
(6R,7R)−[[(2Z)−(2−アミノ−4−チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]−3−[[(2−フラニルカルボニル)チオ]メチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクタ−2−エン−2−カルボン酸(I)の調製(水を含まない水非混和性溶媒と水混和性溶媒)
7−アミノ−3−(2−フラニルカルボニルチオメチル)−3−セフェム−4−カルボン酸(III)(5.0g;0.0147モル)をジクロロメタン(50ml)に添加した。反応混合物を0℃に冷却し、そして [2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−syn−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルチオエステル(II)(5.4g;0.0154モル)を攪拌しながら当該混合物に添加した。トリエチルアミン(2.67g;0.0264モル)を当該混合物に添加し、続いてメタノール(2.5ml)を添加した。反応混合物をHPLCでモニタリングし、そして3.0時間5±2℃で攪拌した;当該反応は完了することはなく、更に2.0時間攪拌した後も2.5%が反応しないままであった。反応混合物を水で反応停止させた。水層をジクロロメタン(45ml)で少なくとも1回、続いて酢酸エチル(45ml)で洗浄した。酢酸エチル(15ml)を水層に添加し、そしてpHを30%オルトリン酸でpH3に調節した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で脱水し、そして25〜30℃、減圧下で乾燥させた。酢酸エチル(300ml)とシクロヘキサン(1500ml)の混合物を残渣に添加し、そして20〜25℃で60分間攪拌した。生成物(I)を濾過し、そしてシクロヘキサン(200ml)で2回洗浄した。生成物を35〜40℃、減圧下で乾燥させ、4.66gが生成した。収率%:64.5%;純度:96.1%。合計の不純物:3.9%

Claims (20)

  1. 高純度で且つ実質的に不純物を含まない式(I)
    Figure 2006507290
    のセフチオフルの調製方法であって、
    式(II)の[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)]−2−syn−メトキシイミノ酢酸−2−ベンゾチアゾリルチオエステル
    Figure 2006507290
    と、式(III)の7−アミノ−3−(2−フラニルカルボニルチオメチル)−3−セフェム−4−カルボン酸
    Figure 2006507290
    とを、水非混和性不活性有機溶媒と水の混合物の存在下で且つ有機塩基の存在下で反応させ、そして
    a)水を反応混合物に添加し、そして有機相中に不純物を、そして水相中に塩基との塩の形態のセフチオフル(I)を選択的に分配し、
    b)水混和性有機性溶媒及び水非混和性有機溶媒を含む混合物の存在下で且つアルカリ又はアルカリ土類含有塩の飽和水溶液の存在下で前記塩基との塩の形態のセフチオフル(I)を含む水相を酸性化し、有機相中にセフチオフル(I)を分配せしめ、そして
    f)前記有機溶媒を蒸発させることにより又は補助溶媒の添加で沈殿させることにより高純度で且つ実質的に不純物を含まないセフチオフル(I)を単離すること、
    により実質的に不純物を含まない式(I)のセフチオフルを単離することを含んで成る方法。
  2. 水非混和性不活性有機溶媒が塩素化溶媒を含んで成る、請求項1に記載の方法。
  3. 前記塩素化溶媒が、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、及びクロロホルムから選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 有機塩基がトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、tert−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N−メチルピロリジノン及び2,3−ジメチルアミノピリジンから選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 塩基が式(III)の化合物1モル当たり1.0モル〜3.0モルのモル比で利用される、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 式(III)の化合物が式(III)の化合物1モル当たり1.0モル〜2.0モルのモル比で利用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 水非混和性不活性有機溶媒と水との比率が90:10〜98:2.0である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 水非混和性不活性有機溶媒と水との比率が95:5.0〜97.5:2.5である、請求項7に記載の方法。
  9. 反応を実施する温度が0〜30℃である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 水非混和性溶媒が塩素化溶媒又は酢酸C1-6アルキルである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 塩素化不活性有機溶媒が、ジクロロメタン、ジクロロエタン及びクロロホルムから選択され、且つ酢酸C1-6アルキルが酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル及び酢酸tert−ブチルから選択される、請求項10に記載の方法。
  12. pHを調節するために利用する酸が、オルトリン酸、塩酸及び硫酸から選択される鉱酸である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 段階(b)の反応のpHが3.0±0.1である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 水混和性有機溶媒がケトン性(ketonic)溶媒及びニトリルから選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 水混和性有機溶媒が、アセトニトリル、プロピオニトリル及びブチロニトリルから選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 水非混和性溶媒が、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムのような塩素化溶媒又は酢酸エチル、酢酸n−ブチル、及び酢酸イソプロピルのような酢酸C1-6アルキルから選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. アルカリ又はアルカリ土類金属含有塩が塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化カルシウムから選択される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 補助溶媒が芳香族炭化水素及び脂肪族炭化水素から選択される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 芳香族炭化水素がトルエン及びキシレンから選択され、且つ脂肪族炭化水素がシクロヘキサン、n−ヘキサン及びヘプタンから選択される、請求項18に記載の方法。
  20. 高純度で安定な、且つ実質的に不純物を含まない式(XI)のセフチオフルナトリウムの生成方法であって、
    Figure 2006507290
    式(I)のセフチオフル
    Figure 2006507290
    と、ナトリウム−2−エチルヘキサノエートとを、水混和性有機溶媒の水性混合物中で且つ有機塩基の存在下で反応させることを含んで成る方法。
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