JP2006506941A - 3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノール、メタンスルホネートの調製方法 - Google Patents

3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノール、メタンスルホネートの調製方法 Download PDF

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Abstract

1,3−ブタジエンおよびケトエタナールを用いてラセミ混合物中間体を生成して、(S)−3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノールメタンスルホネートを生成する方法。このラセミ混合物を分割して、反応生成混合物から一方の異性体を除去する。分割の後、以下の工程を行う:この異性体をアルコールへと還元する、このアルコールを塩化トリフェニルメチルと反応させる、得られる反応生成物をオゾン化する、このオゾン化生成物を還元してジオールを得る、そして、このジオールをメタンスルホニル化合物と反応させて、(S)−3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノールメタンスルホネートを生成する。

Description

【0001】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノールメタンスルホネートの製造、より詳細には、中間生成物のラセミ混合物の分割に関わる生成物の単一の光学異性体の調製に関する。
【0002】
(2.先行技術)
特定の医薬品の製造は、3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノールメタンスルホネート(MTBS)の使用に関連する。MTBSに対する関連化合物は、PCT公開番号WO97/19080中に開示される。MTBSおよび関連化合物の調製は、伝統的に、比較的高価な出発物質の使用を伴ってきた。これらの方法のいくつかは、Journal of Organic Chemistry、63巻、6号、1961〜1973頁(1998)中に記載され、そして1つの合成経路は、以下の反応スキーム中に示される。この合成技術において、(R)−グリシドール(構造式A)は、トリフェニルメチル(Tr)で保護されてトリチルグリシドール(構造式B)を与え、そしてグリシドール環は、臭化ビニルマグネシウムを用いる処理によって開環されて構造式Cのエーテルを生成する。化合物Cのアリル化は、構造式Dのエーテルを生成する。化合物Dのオゾン分解に続く、水素化ホウ素ナトリウム還元は、構造式Eのジオールを与え、これは、メタンスルホニルクロライド(MsCl)を用いて処理され(S)−3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノールメタンスルホネート(構造式F)を生成する。
【0003】
【化2】
Figure 2006506941
MTBSを生成するこの方法は、商業的に経済的でない。従って、容易に入手可能でありかつ比較的安価な出発物質を使用する、3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノールメタンスルホネートの調製のための必要性が残っている。
【0004】
(発明の要旨)
この必要性は、(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールのS異性体またはR異性体が、中間反応生成物のラセミ混合物を生成するプロセスによって形成される、本発明の方法によって満たされる。ラセミ混合物は、アルコールの所望される異性体を選択的に単離するために分割される。次いで、アルコールの所望される異性体を、さらに反応させて3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノールメタンスルホネートを与える。
【0005】
本発明の方法は、以下の工程を包含する:
(a)1,3−ブタジエンをケトエタナールと反応させて、2−カルボニル−3,6−ジヒドロピラン化合物のラセミ混合物を形成する工程;および
(b)2−カルボニル−3,6−ジヒドロピラン化合物を(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールの1つの異性体に変換する工程。
【0006】
この方法は、さらに、工程(a)と工程(b)との間において、工程(a)において生成されるジヒドロピラン誘導体のラセミ混合物を酵素的に分割して、工程(a)のジヒドロピランの1つの異性体を単離する工程を包含する。あるいは、ラセミ混合物を、工程(b)のアルコールのラセミ混合物に変換し得、そして得られる2−カルボニル−3,6−ジヒドロピラン化合物のラセミ混合物を、化学的または酵素的に分割して、(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールの所望される異性体を単離する。
【0007】
工程(a)の2−カルボニル−3,6−ジヒドロピラン化合物の所望される異性体を単離する好ましい方法は、ラセミ混合物を加水分解酵素、好ましくは、プロテアーゼ、より好ましくは、Bacillus lentusプロテアーゼと反応させる工程を包含する。ジヒドロピラン誘導体の異性体は、加水分解酵素との反応によりカルボン酸へと選択的に加水分解されて、一方の異性体を含む水相およびもう一方の異性体を含む有機相を与える。有機相および水相は、相互に分離されて、所望の異性体を含有する鏡像異性的に純粋な混合物を与える。還元工程(b)は、好ましくは、ジヒドロピラン誘導体を水素化アルミニウムリチウムと反応させてアルコールを生成する工程を包含する。
【0008】
(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールのR−異性体またはS−異性体は、さらに、3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノールメタンスルホネートを生成するために、以下のさらなる工程によって処理され得る:
(c)アルコールをトリフェニルメチルクロライドと反応させて、トリフェニルメトキシ置換3,6−ジヒドロピランを形成する工程;
(d)トリフェニルメトキシ置換3,6−ジヒドロピランをオゾン分解して、反応生成物を形成する工程;
(e)反応生成物を還元して、ジオールを形成する工程;および
(f)ジオールをメタンスルホニル化合物と反応させて、3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノール,メタンスルホネートの異性体を形成する工程。
【0009】
工程(c)は、アルコールに触媒を加える工程を包含し得る。工程(d)において、オゾンを、好ましくは、トリフェニルメトキシ置換3,6−ジヒドロピランの溶液にバブリングして、オゾン化溶液を生成する。このオゾン化溶液は、工程(e)において、このオゾン化溶液へ水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤を加えることによって分離をせずに直ちに還元される。
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明の方法は、(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールの異性体を生成するための、反応A、続く反応Bまたは反応Cにおいて示される以下の工程、および必要に応じて、3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノール,メタンスルホネートの異性体を生成する反応Dの以下の工程を包含する。
【0011】
反応Aにおいて、構造式Iによって示される1,3−ブタジエンを、構造式IIにより示されるケトエタナールと反応させる。ここで、Rは、水酸基、直鎖C−C12のアルコキシ基もしくは分枝鎖C−C12のアルコキシ基、非置換フェノキシ基もしくはC−C12のアルキル置換フェノキシ基、または−NR基を示す。ここで、RおよびRは、同じかもしくは異なり、そしてRおよびRは、水素もしくはC−C12のアルキルであるか、またはRおよびRは一緒になって、環原子の1つ以上がヘテロ原子である2員環〜12員環を形成する。好ましいヘテロ原子は、スルホニル基の硫黄である。好ましくは、Rは、水酸基またはC−C12のアルコキシ基である。化合物Iおよび化合物IIは、安定剤(例えば、ヒドロキノン)とともに適切な溶媒(例えば、トルエン)中に溶解されて、そしてオートクレーブ内で加熱されて、構造式IIIの化合物のラセミ混合物を生成する。化合物IIIのラセミ混合物は、蒸留または同様な技術によって精製され得る。
【0012】
【化3】
Figure 2006506941
反応Bにおいて、Rが水酸基でない場合、構造式IIIの鏡像異性体は、酵素分割によって分離される。構造式IIIの化合物は、加水分解酵素(例えば、Bacillus lentusプロテアーゼの水溶液)で処理され、3,6−ジヒドロ−2−カルボン酸のR−異性体(図示せず)を含む水相、および構造式IVによって示される、所望されるS−異性体の有機相を与える。化合物IVは、水相から分離され、そして化合物IVは、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF))中で、還元剤(例えば、水素化アルミニウムリチウムまたはPMHS(ポリメチルヒドロシロキサン))を用いて還元され、構造式Vにより示される(S)−(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールを生成する。他の適切な還元剤としては、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなどが挙げられる。接触水素化もまた使用され得る。
【0013】
(反応B)
【0014】
【化4】
Figure 2006506941
(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールの異性体生成の代わりの経路が、反応Cに示される。反応Cにおいて、反応Aからの化合物IIIは、化合物Vaのアルコールのラセミ混合物を生成するために、還元剤(例えば、THFのような溶媒中の水素化アルミニウムリチウム)を用いて還元される。化合物Vaを、リパーゼの存在下で酢酸ビニルまたは構造式VI(ここで、Rは、水素もしくはC〜Cアルキルである)によって表される類似の化合物と反応させて、構造式VIIによって表される酢酸エステルおよび構造式Vのアルコールを生成する。このリパーゼ触媒反応は、さらにJournal of the American Chemical Society,Vol.110,No.21,pp.7200〜7205(1988)に記載される。化合物Vは、従来の技術(例えば、蒸留またはクロマトグラフィー)によって、化合物VIIから分離される。化合物Vaはまた、化合物Vによって表される(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールの異性体を生成するために、キラル酸のような化学分割剤を用いた処置によってそれらの1つの異性体を単離するため化学的に分離され得る。
【0015】
化合物IIIがエステルである場合、代わりの経路が用いられ得る。化合物IIIのエステルは、構造式VIIIによって表される3,6−ジヒドロピラン−2−カルボン酸のラセミ混合物を生成するために、塩基または酸によって加水分解される。化合物VIIIは、構造式IXによって表される光学的に純粋な酸を産生するために、キラルアミンのような化学分割剤を用いて処理される。化合物IXは、構造式Xによって表されるエステルを生成するために、アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール(RがC〜Cアルキルであり得るROH))と反応される。例えば、THF中の水素化アルミニウムリチウムを用いて、化合物Xは、構造式Vの光学的に純粋なアルコールに還元される。
【0016】
反応Bまたは反応Cのいずれかにおいて、生成物は、構造式Vによって表される(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールの異性体である。化合物Vは、好ましくは、反応Dにおけるさらなる反応について、それらのS−異性体である。しかし、(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールのR−異性体は、適切な加水分解酵素または化学分割剤を用いることによって生成され得る。
【0017】
(反応C)
【0018】
【化5】
Figure 2006506941
反応Dにおいて、構造式Vのアルコールを、構造式XIによって表される(S)−トリチル−(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メチルエーテルを産生するために、適切な溶媒(例えば、塩化メチレンおよびトリエチルアミン(TEA))中の塩化トリフェニルメチル(TrCl)と必要に応じて、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のような触媒を用いて反応させる。化合物XIは、溶媒(例えば、塩化メチレンおよびメタノール)中に溶解される。この溶液は、化合物XIのエーテルの二重結合のオゾン分解を引き起こすようにオゾン化され、そしてこの中間体は、この反応混合物を水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤に添加することによって直接還元され、構造式XIIによって表される(S)−3−(2−ヒドロキシエトキシ)−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノールのジオールを生成する。化合物XIIを、構造式XIIIによって表されるMTBSを生成するために、溶媒(例えば、メチルアミンのような塩基の存在下における塩化メチレン)中の塩化メタンスルホニル(MsCl)と反応させる。
【0019】
(反応D)
【0020】
【化6】
Figure 2006506941
本発明の重要な利点は、(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールの異性体を生成し、さらにこのアルコールをMTBSに変換するために、比較的安価なかつ容易に利用可能な出発物質(すなわち、1,3−ブタジエンおよびケトエタナール)を使用する能力である。
【0021】
本発明は、概して上記されているが、以下の実施例は、本発明を代表するプロセス工程のさらなる説明を与える。
【0022】
(実施例)
(工程1)
949.9gの固体を有する、トルエンの50%溶液中のエチルグリオキシレートを反応容器に加え、そして500回転/分で撹拌した。その反応器を、窒素でパージして脱気し、そして5psigの窒素パッドを反応器上で維持した。1,3−ブタジエン(439.3g)を反応器に加え、そしてその反応混合物を160℃まで加熱した。その反応を、ガスクロマトグラフィーによって検出されるように、少なくとも95%のエチルグリオキシレートが反応するまで、数時間進めた。その反応容器を40℃まで冷却し、低圧を解放した。その反応生成物を回収し、減圧蒸留して、15〜16torrにおいて80℃〜90℃の沸点を有する反応生成物を、30〜35%の収率で得た。その反応生成物は、2−エトキシカルボニル−3,6−ジヒドロピランのラセミ混合物であると決定された。
【0023】
(工程2)
工程1の2−エトキシカルボニル−3,6−ジヒドロピランのラセミ混合物(2.5g)を反応フラスコに加え、続けて、7mlの0.2M リン酸緩衝液(pH7.5)および2mlのBacillus lentusプロテアーゼ溶液(約50mg/mlのタンパク質)を加えた。その反応混合物を室温(23℃)で撹拌し、水酸化ナトリウムの液滴を加えることによってpHを7.5に維持した。5時間後、未反応のエステルの鏡像異性の純度は、99%であり、10mlのメチル t−ブチルエステル(MTBE)を添加することによって、反応を停止させ、水相および有機相を得た。水相のpHを8.5に調整し、混合物を分離漏斗に移した。その水相を20mlのMTBEで2度抽出し、分離された有機層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10ml)で1度抽出し、そして飽和塩化ナトリウム溶液(10ml)で1度抽出した。その有機層を、2gの無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その溶媒を、ロータリーエバポレーターを使用して、ウォーターアスピレーターを介して、減圧下で除去し、48%の収率で、1.2gの芳香性の澄んだ黄色の液体を得た。ガスクロマトグラフィー分析および核磁気共鳴(NMR)は、その生成物が、(S)−2−エトキシカルボニル−3,6−ジヒドロピランと一致する構造を有することを示した。
【0024】
(工程3)
THF(9.88g)中の水素化アルミニウムリチウム(10.45g)の溶液(260ml)を、窒素下で、1リットルの反応器に加え、−2℃まで冷却した。75mlのTHF中で、工程2に記載したように生成した、78gの(S)−2−エトキシカルボニル−3,6−ジヒドロピランの溶液を、撹拌しながら、0〜6℃で、1.25時間にわたって反応フラスコに滴下した。異性体の添加が完了した後、その混合物を約12℃まで温めながら、約2時間撹拌した。水(10ml)を滴下し、続いて、10gの水酸化ナトリウム15%溶液を滴下した。その混合物を厚いゲル相に通し、最終的に個々に分離した。水を、再び10分間にわたって加えた(30g)。その混合物を1時間撹拌し、濾過した。得られた固体を約50mlのTHFで4回洗浄した。最後のTHF溶液を、一定重量まで、減圧下でストリッピング(strip)し、52.0gの黄色がかった液体を得た。その反応生成物の組成は、(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールと一致する構造を有することが決定された。
【0025】
(工程4)
工程3由来の(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノール(46.06g)を、117.23gの塩化トリメチル、250mlの塩化メチレンおよび54mlのTEAの混合物を含む反応フラスコに加え、撹拌した。その開始温度は約18℃であり、5分間で44℃まで上昇した。その混合物を室温まで冷却し、窒素下で、2日間撹拌した。その混合物を200mlの水で2度抽出し、そしてその水相は、処分した。その有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒をストリッピングして溶媒(塩化メチレン)を除去した。ヘプタン(200ml)を加え、ほとんどの塩化メチレンを除去しながら、その混合物を減圧下で撹拌した。そのヘプタン混合物を濾過し、ヘプタンで洗浄して、76gの結晶を得た。この結晶は、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を通して、90%の純度であると決定された。
【0026】
その母液を黄色のシロップを得るまで濃縮した。イソプロパノール(150ml)を加え、その混合物を撹拌し、半時間静置した。その混合物を濾過し、イソプロパノールで洗浄し、乾燥させて、約15gの固体を得た。2ロットのたくさんの固体を合わせ、約500mlのイソプロパノール中で煮沸した。その溶液を室温で静置し、次いで、約15℃まで冷却して、結晶を沈殿させた。その混合物を濾過し、低温のイソプロパノールで洗浄し、乾燥させて78.6gの固体を得た。その残りの母液を合わせ、減圧下でストリッピングした。50mlのイソプロピルアルコールにTEAを加え(5ml)、その混合物を室温で一晩静置した。その沈殿物を濾過し、洗浄、そして乾燥して9.5gの生成物を得た。その生成物を約5ml/gのイソプロパノールから2度再結晶化させ、7gの生成物を得た。さらなる生成物を、主要なロットの結晶と混合した。全収率は、(S)−トリチル−(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メチルエーテルと一致する構造を有する、85.6gの固体であった。
【0027】
(工程5)
工程4由来の、(S)−トリチル−(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メチルエーテル(71.5g)を、350mlの塩化メチレン、および250mlのメタノールの混合物に溶解した。その溶液を、ガスフィルター入口、熱伝対、およびドライアイスコンデンサーを備える、1リットルのジャケット付き反応器に加えた。そのシステムを、フッ化液体およびドライアイスを使用して、循環バスで−40℃まで冷却した。オゾン化した空気を、溶液が青色に変化する(反応の終了を示す)まで、約85分間、溶液に気泡で通した。オゾン化の間の温度の範囲は、−40℃〜−25℃であった。HPLCは、その反応が完了したことを示した。
【0028】
(工程6)
工程5の反応混合物を、400mlの0.02N 水酸化ナトリウム中に17.5gのホウ化水素ナトリウムの溶液を含む、反応フラスコ内に、撹拌しながら、直接加えた。その混合物を室温で一晩撹拌した。その混合物を、さらに約20時間、室温で撹拌した。HPLCは、その反応が完了したことを示した。有機相を分離し、そして水相を、50mlの塩化メチレンで再抽出した。その有機相を合わせ、減圧下でストリッピングし、81.8gの粘性のあるシロップを得た。HPLCは、このシロップが、(S)−3−(2−ヒドロキシエトキシ)−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノールと一致する構造を有する96%の生成物を含むことを示した。
【0029】
(工程7)
工程6で得られた、81.9グラムの(S)−3−(2−ヒドロキシエトキシ)−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノールの、800mlの塩化メチレン中の溶液を、機械スターラー、熱電対、および、窒素掃引を有する添加用漏斗を備える、2リットルの丸底フラスコに移した。この混合物を攪拌し、そして87mlのTEAを添加して無色透明の溶液を生成した。この溶液の温度は21℃から23℃に上昇した。そしてこの溶液を、氷浴で0〜5℃にまで冷却した。0〜5℃の、43.5mlの塩化メタンスルホニルと50mlの塩化メチレンとの混合物を、80分間にわたって反応フラスコに添加した。添加を完了した後、この反応混合物を、0〜5℃で1時間攪拌した。この反応混合物を500mlの塩化メチレンで希釈し、315mlの水で2回抽出し、そして315mlの炭酸水素ナトリウムで1回抽出した。有機相を、約100グラムの硫酸ナトリウムで30分間乾燥させ、そして濾過した。この固形物を、室温で15mbarで、乾燥するまでエバポレートし、そして10℃で2mbarで終夜乾燥させ、111.1グラムの粗製生成物を得た。この粗製生成物を、35〜40℃で、345mlの酢酸エチル中に溶解した。得られた溶液を、フィルター円板上でブフナー漏斗(150ml、60M)を介して濾過した。この濾液を、機械スターラー、熱電対、および、窒素掃引を有する添加用漏斗を備える、2リットルの丸底フラスコに移し、23℃で3.5時間にわたって690mlのヘプタンを添加した。ヘプタン添加を完了した後、この混合物を、室温で90分間攪拌した。この固形物を、1リットルの加圧漏斗での約5分間の濾過によって分離し、透明の濾液を得た。反応フラスコ中の残渣固形物を、濾液および母液での2回の洗浄で洗い流した。この固形物を、もはや濾液が収集されなくなるまで数回固めて、そして濾過ケーキとともに、300mlのヘプタンで、反応フラスコへと移した。加圧濾過によってヘプタンを除去し、そして濾過ケーキを、スパチュラで数回圧縮した。この固形物を700mlのペンタンで洗浄し、濾過し、そして窒素下で1時間乾燥させて、210グラムの湿潤固体を得た。母液と、洗液からのヘプタンとを合わせて、室温で15mbarで、乾燥するまでエバポレートさせて、さらなる10.8グラムの黄色半固体を得た。この固体を合わせて、10℃で2mbarで、一定重量が得られるまで22時間乾燥させ、(S)−3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノール、メタンスルホネートと一致すると決定される構造を有する、96.7グラムの生成物を得た。
【0030】
改変が、上記の説明に開示された概念から逸脱することなく、本発明になされ得ることは、当業者によって容易に理解される。このような改変は、特許請求の範囲が、それらの文言によって他のことを明確に述べない限り、上記の特許請求の範囲内に含まれると考えられるべきである。したがって、本明細書中に詳細に記載される特定の実施形態は、単なる例示であり、そして、添付された特許請求の範囲の全幅、ならびにそれらの任意および全ての均等物が付与される、本発明の範囲を限定しない。

Claims (24)

  1. (S)−3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノールメタンスルホネートを生成する方法であって、該方法は以下の工程:
    a)1,3−ブタジエンをケトエタナール化合物と反応させて、2−カルボニル−3,6−ジヒドロピラン化合物のラセミ混合物を生成する工程;
    b)該2−カルボニル−3,6−ジヒドロピラン化合物を、(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールへと変換する工程;
    c)該アルコールをトリフェニルメチルクロライドと反応させて、2−トリフェニルメトキシ−3,6−ジヒドロピランを含有する溶液を生成する工程;
    d)該2−トリフェニルメトキシ−3,6−ジヒドロピランをオゾンと反応させて、反応生成物を生成する工程;
    e)該反応生成物を還元して、3−(2−ヒドロキシエトキシ)−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノールを含有するジオールを生成する工程;および、
    f)該ジオールをメタンスルホニル化合物と反応させて、3−[2−{(メチルスルホニル)オキシ}エトキシ]−4−(トリフェニルメトキシ)−1−ブタノールメタンスルホネートを生成する工程、
    を含み、工程a)で生成される該ジヒドロピランまたは工程b)で生成される該アルコールが、それらのラセミ混合物を含有し、そして該方法が、工程c)で反応する該アルコールがそれらの一方の異性体からなるように、該ラセミ混合物を分割する工程をさらに含む、方法。
  2. 前記分割する工程が、工程a)と工程b)との間に行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記分割する工程が、工程b)と工程c)との間に行われる、請求項1に記載の方法。
  4. 請求項2に記載の方法であって、前記分割する工程が、前記2−カルボニル−3,6−ジヒドロピラン化合物の前記ラセミ混合物を加水分解酵素と反応させて、水相および有機相を有する分割された生成組成物を生成する工程を含む、方法。
  5. 請求項4に記載の方法であって、前記ラセミ混合物のR−異性体が前記水相中に存在し、そしてS−異性体が前記有機相中に存在する、方法。
  6. 請求項5に記載の方法であって、前記水相を前記有機相から分離し、それによって、前記分割された生成組成物から前記R−異性体を除去する工程をさらに含む、方法。
  7. 前記加水分解酵素がプロテアーゼを含む、請求項4に記載の方法。
  8. 前記プロテアーゼがBacillus lentusプロテアーゼを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 請求項4に記載の方法であって、工程b)が、前記2−カルボニル−3,6−ジヒドロピラン化合物を水素化リチウムアルミニウムと反応させる工程を含む、方法。
  10. 工程c)が、前記アルコールに触媒を添加する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  11. 請求項1に記載の方法であって、工程d)が、前記ピランを溶液中に溶解する工程、および、該溶液にオゾンを通気してオゾン化溶液を生成する工程を含む、方法。
  12. 工程e)が、前記オゾン化溶液に還元剤を添加する工程を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記還元剤が水素化ホウ素ナトリウムを含む、請求項12に記載の方法。
  14. 請求項1に記載の方法であって、前記ケトエタナール化合物が以下の構造式で表され得、
    Figure 2006506941
    ここでRが、ヒドロキシル基、直鎖状または分枝C〜C12アルコキシ基、無置換フェノキシ基またはC〜C12アルキル置換フェノキシ基、あるいは、−NR(ここでRおよびRは同一であるかもしくは異なり、そして各々が水素またはC〜C12アルキルであるか、または、RとRとが互いに結合されて2員環〜12員環を形成する)を表す、方法。
  15. がヒドロキシル基である、請求項14に記載の方法。
  16. 請求項14に記載の方法であって、Rが、RとRとが互いに結合されて、1個以上の環原子がヘテロ原子である2員環〜12員環を形成する−NRである、方法。
  17. 前記ケトエタナール化合物がエチルグリオキシレートを含む、請求項14に記載の方法。
  18. (3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールの異性体を生成する方法であって、該方法が、以下の工程:
    a)1,3−ブタジエンをケトエタナール化合物と反応させて、2−カルボニル−3,6−ジヒドロピラン化合物のラセミ混合物を生成する工程;および、
    b)該2−カルボニル−3,6−ジヒドロピラン化合物を、(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールへと変換する工程、
    を含み、工程a)で生成される該ジヒドロピラン化合物または工程b)で生成される該アルコールが、それらのラセミ混合物を含有し、そして該方法が、工程b)で生成される該アルコールがそれらの一方の異性体からなるように、該ラセミ混合物を分割する工程をさらに含む、方法。
  19. 請求項18に記載の方法であって、前記分割する工程が、工程a)と工程b)との間に行われ、該分割する工程が、前記2−カルボニル−3,6−ジヒドロピラン化合物の前記ラセミ混合物を加水分解酵素で処理して、(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールの一方の異性体を含有する水相、および、(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールの他方の異性体を含有する有機相を有する、分割された生成組成物を生成する工程を含む、方法。
  20. 請求項18に記載の方法であって、前記分割する工程が、前記(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールのラセミ混合物の前記異性体のうちの一方を、酵素の存在下で反応化合物と反応させて、反応生成物および前記他方の異性体を含有する混合物を生成することを含み、該他方の異性体が未反応である、方法。
  21. 前記反応化合物が酢酸ビニルを含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記酵素がリパーゼを含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記未反応の異性体を前記混合物から分離する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。
  24. 請求項18に記載の方法であって、前記2−カルボニル−3,6−ジヒドロピラン化合物が、2−アルコキシカルボニル−3,6−ジヒドロピランを含むエステルのラセミ混合物を含み、そして前記分割する工程が以下:
    (i)該エステルを加水分解して、3,6−ジヒドロピラン−2−カルボン酸のラセミ混合物を生成する工程;
    (ii)該3,6−ジヒドロピラン−2−カルボン酸のラセミ混合物を分割剤で処理して、3,6−ジヒドロピラン−2−カルボン酸の一方の異性体、および他方の異性体の反応生成物を含む混合物を得る工程;
    (iii)該3,6−ジヒドロピラン−2−カルボン酸の異性体をアルコールと反応させて、エステルの異性体を生成する工程;ならびに
    (iv)工程(iii)のエステルを還元して、(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−メタノールの一方の異性体を生成する工程、
    を含む、方法。
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