JP2006353078A - アキシャルギャップ型回転電機 - Google Patents

アキシャルギャップ型回転電機 Download PDF

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Tadayuki Hatsuda
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Abstract

【課題】ロータに作用する軸力を低減して、ロータおよび軸受の負担を小さくすることができ、ロータの面振動を抑制可能なアキシャルギャップ型回転電機を提供する。
【解決手段】ステータ2に、エアギャップ3を挟んでロータ1を対向配置し、ロータ1の反対側にエアギャップ13を挟んで補助ヨーク12を対向配置する。磁束Φは、ロータ1から矢印のように循環し、磁束Φがロータ1のステータ側エアギャップ面1aを通過することで、ロータ1には軸力αが作用し、磁束Φがロータ1の補助ヨーク側エアギャップ面1bを通過することで、ロータ1には軸力βが作用する。軸力βは軸力αと逆向きで軸力αを減殺し、軸力αによりロータ1およびその軸受の負担が大きくなる問題を解消し得る。
【選択図】図3

Description

本発明は、ロータおよびステータをロータ回転軸線方向に相互に対向配置してケース内に収納した型式の回転電機、つまり、ロータおよびステータ間の空隙(エアギャップ)がロータおよびステータの軸線方向対向面間に存在した、所謂アキシャルギャップ型回転電機に関するものである。
一般にロータに永久磁石を使用した同期型の回転電機では、ステータへの通電により発生する回転磁界でロータ内の永久磁石を吸引反発してマグネットトルクを発生させ、このマグネットトルクによりロータを回転させて回転電機の作動を生起させるのが一般的である。
ところで回転電機においては、ステータへの通電により発生する磁束と、ロータ内の永久磁石により発生する磁束とが、トルクを発生させるための磁束として、ロータおよびステータの相互対向面(エアギャップ面)を通過するが、これら磁束がエアギャップ面を通過するとき、トルクに寄与しない方向の力もロータに作用する。
例えば特許文献1に記載されているような、ロータおよびステータをロータ回転軸線方向に相互に対向配置してケース内に収納したアキシャルギャップ型回転電機においては、エアギャップを形成するロータおよびステータの相互対向面がロータ回転軸線に直交する平面であるため、エアギャップとロータとの間において回転電機の出力トルクに寄与しない力として、ロータにはその回転軸線方向の力(軸力)が作用する。
特開2004−297902号公報
このようなアキシャルギャップ型回転電機において、トルクを発生させるための磁束が、ステータと対向するロータの面(ギャップ面)を通過する時に発生して、ロータに作用する回転軸線方向の力(軸力)は、ロータからステータに向かう方向のみの力となるため、ロータには常にロータからステータに向かう方向に軸力が作用することとなって、ロータおよび軸受の負担が大きくなると共にロータの面振動の原因にもなるという問題を生ずる。
なおこの現象は、弱め磁束制御を行わない領域において一層顕著になり、上記の問題を看過できなくなる虞がある。
本発明は、磁束がロータのギャップ面を通過する時に発生してロータに作用する前記の軸力を減殺または相殺し得るようなアキシャルギャップ型回転電機の改良構造を提案し、
もって上記した問題、つまり、ロータおよび軸受の負担が大きくなるという問題や、ロータの面振動が発生するという問題をことごとく解消することを目的とする。
この目的のため本発明のアキシャルギャップ型回転電機は、請求項1に記載のごとく、
ロータおよびステータをロータ回転軸線方向に相互に対向配置してケース内に収納したアキシャルギャップ型回転電機を要旨構成の基礎前提とし、
上記ステータが位置するとは反対の上記ロータの側に、磁性体により構成された補助ヨークを設け、
この補助ヨークをロータ回転軸線方向へ変位不能にして上記ケース内に収納したことを特徴とするものである。
かかる本発明のアキシャルギャップ型回転電機によれば、トルクを発生させるための磁束の一部または全部を、ステータが位置するとは反対のロータの側に位置する補助ヨークに向かわせることができ、これにより、ステータが位置するとは反対のロータの側におけるロータ面にも上記の磁束が通過することになる。
かようにステータが位置するとは反対のロータの側におけるロータ面に上記の磁束が通過して発生する軸力は、ステータと対向するロータ面に上記の磁束が通過して発生する前記の軸力と逆向きとなり、これら軸力はロータ上において減殺または相殺される。
よって、ステータと対向するロータ面に上記の磁束が通過して発生する前記の軸力が、ロータおよび軸受の負担を大きくするという前記の問題や、ロータの面振動を発生するという問題をことごとく解消することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明が解決しようとする問題を有して、本発明の着想を適用するのに有用なアキシャルギャップ型回転電機の概略断面図である。
図1において、1はロータ、2はステータをそれぞれ示し、これらロータ1およびステータ2は、両者間に空隙(エアギャップ)3を介在させてロータ回転軸線方向に相互に対向配置すると共に、ケース4内に収納する。
ロータ1は、磁性体よりなるディスク状のロータコア5に対し複数個の永久磁石6を円周方向等間隔に配設して構成し、これら永久磁石6はロータコア5の周方向に交互に極性が異なるよう所定の間隔をおいて配置する。
かかるロータ1は、ロータコア5の中心部5aをロータ回転軸7に固着して取り付け、この回転軸7を両端における軸受8により、軸線方向変位不能してケース4内に回転自在に支持する。
ステータ2は、電磁コイル9を巻装したステータコア10を複数個、バックコア11に対し円周方向等間隔に配置して支持してなる構成とする。
そして当該ステータ2は、ステータコア10がエアギャップ3を挟んでロータ1と対面する向きにしてロータ1に同心に配置し、更にバックコア11を介してケース4に取着する。
なおWは、回転電機の冷却を司る冷却水路を示し、Rは、ロータ1の回転位置を検出して電磁コイル9の順次駆動制御信号を提供するためのロータリエンコーダを示す。
図1に示すアキシャルギャップ型回転電機の作用を概略説明するに、電磁コイル9を図示しないインバータによる制御下で順次駆動して励磁することにより、ステータ2の周方向に回転磁界が形成され、ロータ1の周方向に交互に極性の異なるよう配置された複数の永久磁石6が当該回転磁界に吸引反発され、ロータ1がこの回転磁界と同期速度で回転駆動される。
図1に示すアキシャルギャップ型回転電機を、ロータ1およびステータ2のみについて両者の相関関係を示すと図2に示すごとくに表される。
なお図2では便宜上、ロータ1およびステータ2を図1とは左右逆位置にして図示した。
図2により、トルクを発生させるための磁束Φの経路を説明するに、この磁束Φは、ロータ1からエアギャップ3を通過してステータ2のステータコア10に入り込み、その後ステータ2のバックコア11を経由してステータコア10に戻るよう湾曲し、更にステータコア10からエアギャップ3を通過してロータ1に向かい、再びロータ1からエアギャップ3を通過してステータ2に入り込むように流れる。
この間、トルクを発生させるための磁束Φが、ステータ2と対向するロータ1の面1a(エアギャップ面)を通過することにより、ロータ1にはロータ回転軸線方向の軸力αが作用する。
この軸力αは、ロータ1からステータ2に向かう方向のみの力であるため、当該軸力αをロータ1の全周に亘って積分するとロータ1には常に当該一方向への力が作用し続けることとなり、ロータ1およびそれを回転自在に支持する軸受8(図1参照)の負担が大きくなるという問題や、ロータ1の面振動が発生するという問題を生ずる。
これらの問題を生じないようにするため本実施例においては、図3に示すごとく、図2の構成に対し、磁性体により後述するごとくに構成された補助ヨーク12を付加する。
この補助ヨーク12は、ステータ2が位置するとは反対のロータ1の側においてロータ1に対し同心に配置し、これら補助ヨーク12およびロータ1間に、好ましくはエアギャップ3と同様なエアギャップ13を介在させると共に、このエアギャップ13を保持するため補助ヨーク12をロータ回転軸線方向へ変位不能にしてケース4(図1参照)内に固定する。
なお補助ヨーク12の直径は、ロータ1の直径と同じか、それよりも大径にするのが良い。
本実施例においてロータ1は、そのA矢視図である図4に明示するごとく、磁性体よりなるディスク状のロータコア5に対し複数個の永久磁石6を円周方向等間隔に配設して構成する。
なお永久磁石6は、上記の通り円周方向等間隔に配設するためロータ回転軸線方向に見て扇形とし、ロータコア5に形成した同形の開口内に埋設するが、ロータコア5の周方向に交互に極性が異なるよう所定の間隔をおいて配置する。
かかるロータ1は、ロータコア5の中心部5aをロータ回転軸7に固着する。
またステータ2は、図3のB矢視図である図5に明示するごとく、ティース14に絶縁体15を介し電磁コイル9を巻装して構成したステータコア10を複数個、磁性体よりなるディスク状の共通なステータバックコア11に対し円周方向等間隔に配置して支持した構成とする。
ステータコア10は、上記の通り円周方向等間隔に配設するためロータ回転軸線方向に見て扇形とし、隣り合うステータコア10間に所定の隙間を設定する。
なおステータバックコア11には、その中心部に、ロータ回転軸7を遊嵌させるための中心孔11aを形成する。
更に補助ヨーク12は、図3のC矢視図である図6に明示するごとく、複数個(好ましくはステータコア10と同数)の補助ヨークコア16を磁性体よりなるディスク状の共通な補助ヨークバックコア17に対し円周方向等間隔に配列支持して構成する。
補助ヨークバックコア17には、その中心部に、ロータ回転軸7を遊嵌させるための中心孔17aを形成する。
なお補助ヨークバックコア17の軸線方向厚さは、図3に示すようにステータバックコア11の軸線方向厚さと同じか、それよりも厚くするのが良い。
上記した本実施例になるアキシャルギャップ型回転電機において、トルクを発生させるための磁束Φは図3に示すごとく、ロータ1からエアギャップ3を通過してステータ2のステータコア10に入り込み、その後ステータ2のバックコア11を経由してステータコア10に戻るよう湾曲し、更にステータコア10からエアギャップ3を通過してロータ1に向かい、その後ロータ1からエアギャップ13を通過して補助ヨーク12の補助ヨークコア16に入り込み、その後補助ヨークバックコア17を経由してロータ1に戻るよう湾曲し、再びロータ1からエアギャップ3を通過してステータ2に入り込むように流れる。
この間、トルクを発生させるための磁束Φが、ステータ2と対向するロータ1の面1a(エアギャップ面)を通過することにより、ロータ1にはステータ1に接近するロータ回転軸線方向の軸力αが作用し、
他方では磁束Φが、ステータ2が位置するとは反対の側におけるロータ1の面1b(エアギャップ面)を通過することにより、ロータ1にはステータ1から遠ざかるロータ回転軸線方向の軸力βが作用する。
この軸力βは、上記の軸力αと逆向きであり、軸力βをロータ1の全周に亘り積分して求めた力は、軸力αをロータ1の全周に亘り積分して求めた力を減殺、若しくは相殺し、軸力αがロータ1に作用して、ロータ1およびこれを回転自在に支持する軸受8(図1参照)の負担が大きくなるという問題や、ロータ1の面振動が発生するという問題をことごとく解消することができる。
上記の作用効果を図13により付言するに、図13(a)は、図1および図2に示すように補助ヨークを持たない従来のアキシャルギャップ型回転電機における前記軸力α(単位:N)の経時変化(単位:msec)を示し、図13(b)は、図3に示すように補助ヨーク12を具えた本実施例のアキシャルギャップ型回転電機における前記軸力(α+β)の経時変化を示す。
なお、図7(a),(b)中における軸力αまたは(α+β)のマイナスは、ロータ1がステータ2に引き寄せられる方向の軸力を示すものとする。
図1および図2に示すように補助ヨークを持たない従来のアキシャルギャップ型回転電機においては、軸力αが図13(a)に示すように大きなものになるのに対し、図3に示すように補助ヨーク12を具えた本実施例のアキシャルギャップ型回転電機においては、軸力α+βを図13(b)に示すように従来のほぼ1/10に低減することができる。
なお、図3に示すように補助ヨーク12を具えた本実施例のアキシャルギャップ型回転電機において、軸力α+βが図13(b)に示すようにプラス方向となっているのは、ロータ1と補助ヨーク12との間の磁束によりロータ1に作用する軸力β(図3参照)を周方向に積分した値が、ロータ1とステータ2との間の磁束によりロータ1に作用する軸力α(図3参照)を周方向に積分した値よりも僅かに大きくなることに起因する。
更に本実施例においては、補助ヨーク12が図6に示すごとく、複数個の補助ヨークコア16を磁性体よりなるディスク状の共通な補助ヨークバックコア17に対し円周方向等間隔に配列支持して構成されているから、以下の作用効果をも奏し得る。
図7(a)は、補助ヨーク12が図3および図6に示す補助ヨークコア16を持たない場合の構成を示し、この場合、ステータ2からロータ1を経由し補助ヨーク12に至る磁束経路において、ステータ2の磁束出口面積(ステータコア10の軸直角断面積)よりも、補助ヨーク12の磁束入り口面積の方が大きくなり、ロータ1およびステータ2間のエアギャップ3における磁束分布γと、ロータ1および補助ヨーク12間のエアギャップ13における磁束分布δとが対称にならず、補助ヨーク12の側で磁束がδで示すように拡がって漏れ、軸力βの低下で前記の作用効果を十分なものにし得なくなる。
これに対し本実施例では補助ヨーク12が図6に示すごとく、複数個の補助ヨークコア16を補助ヨークバックコア17に対し円周方向等間隔に配列支持した構成になるから、
図7(b)に示すように、ステータ2からロータ1を経由し補助ヨーク12に至る磁束経路において、ステータ2の磁束出口面積(ステータコア10の軸直角断面積)と、補助ヨーク12の磁束入り口面積(補助ヨークコア16の軸直角断面積)とが同じになって、ロータ1およびステータ2間のエアギャップ3における磁束分布γと、ロータ1および補助ヨーク12間のエアギャップ13における磁束分布εとが対称になり、磁束が補助ヨーク12を通る際に拡がって漏れることがなく、軸力βを予定通りのものとなして前記の作用効果を確実なものにすることができる。
また本実施例では補助ヨークバックコア17の軸線方向厚さを、図3に示すようにステータバックコア11の軸線方向厚さと同じか、それよりも厚くしたから、以下の作用効果が得られる。
つまり、回転電機の出力を決定する磁束線の本数は磁束経路の最小断面積に依存し、回転電機(ロータ1およびステータ2)における磁束経路の最小断面積はステータバックコア11の磁束経路方向の断面積で決まる。
よって、本実施例のように補助ヨークバックコア17の軸線方向厚さをステータバックコア11の軸線方向厚さ以上とする場合、補助ヨークバックコア17の磁束経路方向の断面積がステータバックコア11の磁束経路方向の断面積以上となり、本実施例においては前記した作用効果のために磁束が補助ヨーク12を通過するようにしたといえども、磁束線の本数が低下することがなくて回転電機の出力低下を回避しつつ前記した作用効果を達成することができる。
また本実施では前記したごとく、補助ヨーク12の直径をロータ1の直径以上としたことにより、ロータ1から補助ヨーク12に向かう磁束が漏れるのを回避することができ、これにより、本発明の目的を達成するための前記軸力β(図3参照)を予定通りのものとなして前記の作用効果を確実なものにすることができる。
補助ヨーク12は前記したごとく、何れにしてもケース4に対しロータ回転軸線方向へ変位しないよう取り付けるが、この取り付けに際しては、図8、または図9、或いは図10に示す取り付け構造を採用することができる。
先ず図8に示す補助ヨーク12の取り付け構造を説明するに、これは、ロータ1およびステータ2を包套する円筒状の補助ヨーク支持フレーム18を具え、その基端をケース4に取着し、遊端に補助ヨーク12の外周を嵌着する。
ロータ1の回転軸7は、ステータ2および補助ヨーク12の双方を貫通して、軸方向両端をそれぞれ軸受4により軸線方向変位不能にしてケース4に回転自在に支持する。
かかる補助ヨーク12の取り付け構造によれば、補助ヨーク12を簡易な構成で取り付けることができると共に、補助ヨーク12自体が回転しないため、その耐久性を向上させることができる。
次いで図9に示す補助ヨーク12の取り付け構造を説明するに、これも、ロータ1およびステータ2を包套する円筒状の補助ヨーク支持フレーム18を具え、その基端をケース4に取着する。
ロータ1の回転軸7は、ステータ2および補助ヨーク12の双方を貫通して、軸方向両端をそれぞれ軸受4により軸線方向変位不能にしてケース4に回転自在に支持するが、
かかるロータ回転軸7上にスプライン17bを介して補助ヨーク12の中心部をスプライン嵌合することにより、補助ヨーク12をロータ1と共に回転するようケース4内に収納する。
そして、補助ヨーク支持フレーム18の遊端内周に、補助ヨーク12の外周部を軸線方向両側から挟むように配した一対の非磁性体よりなる円環状の挟持板19を嵌着し、これら円環状挟持板19と補助ヨーク12との間にそれぞれスラストベアリング20を介在させて、補助ヨーク12をロータ回転軸7上で軸線方向へ変位することのないようにする。
かかる補助ヨーク12の取り付け構造によれば、補助ヨーク12をロータ1と共に、従ってロータ1に同期して回転させることから、以下の作用効果が奏し得られ得る。
つまり、ステータ2が発生する回転磁界と、ロータ1の永久磁石6(図4参照)が発生する磁束を含めた、トルク発生磁束を補助ヨーク12に通過させるに当たり、図8の場合のように補助ヨーク12を静止させておく構成では、トルク発生磁束の変化に伴い、回転磁界に同期して補助ヨーク12を回転させるように補助ヨーク12内に渦電流が発生するところながら、図9に示すように補助ヨーク12をロータ1に同期して回転させる構成にあっては、トルク発生磁束の変動自体を抑止して上記渦電流および渦電流損失の発生を抑制することができる。
なお、補助ヨーク12を回転軸線方向に拘束するに際し、図9に示すごとく補助ヨーク12の外周部をスラストベアリング20を介して挟持板19により軸線方向に拘束する場合、補助ヨーク12とロータ1との軸方向隙間を、全周に亘っておよび径方向全体に亘って均一なものとすることができ、本発明の目的を達成するための前記軸力β(図3参照)を安定させることができる。
次いで図10に示す補助ヨーク12の取り付け構造を説明するに、これも、ロータ1およびステータ2を包套する円筒状の補助ヨーク支持フレーム18を具え、その基端をケース4に取着する。
ロータ1の回転軸7は、ステータ2および補助ヨーク12の双方を貫通して、軸方向両端をそれぞれ軸受4により軸線方向変位不能にしてケース4に回転自在に支持するが、
かかるロータ回転軸7上にスプライン17bを介して補助ヨーク12の中心部をスプライン嵌合することにより、補助ヨーク12をロータ1と共に回転するようケース4内に収納する。
そして、補助ヨーク支持フレーム18の遊端内周に、補助ヨーク12のほぼ全体を軸線方向両側から挟むように配した一対の非磁性体よりなる円環状の挟持板21を嵌着し、これら円環状挟持板21と補助ヨーク12の内周部との間にそれぞれスラストベアリング22を介在させて、補助ヨーク12をロータ回転軸7上で軸線方向へ変位することのないようにする。
かかる補助ヨーク12の取り付け構造においても、図9の補助ヨーク取り付け構造と同じく、補助ヨーク12をロータ1に同期して回転させることから、
図9におけると同様な作用効果、つまり、トルク発生磁束の変動自体を抑止して、補助ヨーク12内に渦電流が発生するのを抑制するという作用効果、および、渦電流損失の発生を抑制するという作用効果を達成することができる。
なお、補助ヨーク12を回転軸線方向に拘束するに際し、図10に示すごとく補助ヨーク12の内周部をスラストベアリング22を介して挟持板21により軸線方向に拘束する場合、スラストベアリング22の周速が小さくなってその耐久性を向上させ得ると共に、スラストベアリング22が小型なものでよくなり、コスト上および重量の点で大いに有利である。
なお上記した実施例においては何れも、補助ヨーク12が図6に示すごとく、複数個の補助ヨークコア16を磁性体よりなるディスク状の共通な補助ヨークバックコア17に対し円周方向等間隔に配列支持して構成されている場合について説明したが、補助ヨーク12はそれ以外に、
図11に示すごとく、電磁鋼板23を中心部から連続渦巻き状に積層した電磁鋼板の渦巻き積層体で構成したり、図12に示すごとき圧粉コア24で構成しても、前記した諸々の作用効果を全て奏することができる。
補助ヨーク12を、図11に示す電磁鋼板23の渦巻き積層体で構成したり、図12に示す圧粉コア24で構成すると、以下の作用効果が得られる。
補助ヨーク12が図8のように固定支持されている場合、静止した補助ヨーク12を通過する磁束の変動により補助ヨーク12内に渦電流が発生しようとするが、図11のように電磁鋼板23の積層体で構成した補助ヨーク12にあっては、当該積層の方向に電流が流れにくくなる(抵抗を高める)ことにより補助ヨーク12内に渦電流が発生し難くなり、また、図12のように圧粉コア24で構成した補助ヨーク12にあっては、全方向に電流が流れにくくなる(抵抗を高める)ことにより補助ヨーク12内に渦電流が発生し難くなり、これらにより、補助ヨーク12内の渦電流損失を低減することができる。
なお、補助ヨーク12が図9および図10に示すように回転支持されている場合も、ステータ2の励磁により発生する回転磁界に起因して補助ヨーク12内に渦電流が発生する傾向にあるため、補助ヨーク12を図11のように電磁鋼板23の積層体で構成したり、図12のように圧粉コア24で構成して、補助ヨーク12内に渦電流が発生し難くすることにより、補助ヨーク12内の渦電流損失を低減することが肝要である。
補助ヨーク12を図11のように電磁鋼板23の積層体で構成したり、図12のように圧粉コア24で構成する場合においては、補助ヨーク12の軸線方向厚さをステータバックコア11の軸線方向厚さと同じか、それよりも厚くして、以下の作用効果が得られるようにするのが良い。
つまり、回転電機の出力を決定する磁束線の本数は磁束経路の最小断面積に依存し、回転電機(ロータ1およびステータ2)における磁束経路の最小断面積はステータバックコア11の磁束経路方向の断面積で決まる。
よって、補助ヨーク12を図11のように電磁鋼板23の積層体で構成したり、図12のように圧粉コア24で構成する際、上記のごとく補助ヨーク12の軸線方向厚さをステータバックコア11の軸線方向厚さ以上とする場合、
補助ヨーク12の磁束経路方向の断面積がステータバックコア11の磁束経路方向の断面積以上となり、これにより磁束線の本数が低下することがなくて回転電機の出力低下を回避しつつ前記した作用効果を達成することができる。
本発明が解決しようとする課題を有する従来のアキシャルギャップ型回転電機の一構成例を示す概略縦断側面図である。 図1に示したアキシャルギャップ型回転電機からステータおよびロータのみを取り出して磁束の流れと共に示す概略側面図である。 本発明の一実施例になるアキシャルギャップ型回転電機から、その要部のみを取り出して磁束の流れと共に示す概略側面図である。 同実施例のアキシャルギャップ型回転電機におけるロータを図3の矢印A方向に見て示す正面図である。 同実施例のアキシャルギャップ型回転電機におけるステータを図3の矢印B方向に見て示す正面図である。 同実施例のアキシャルギャップ型回転電機における補助ヨークを図3の矢印C方向に見て示す正面図である。 同実施例のアキシャルギャップ型回転電機における磁束分布を示し、 (a)は、補助ヨークが図6におけるような補助ヨークコアを持たないものである場合の磁束分布図、 (b)は、補助ヨークが図6におけるように補助ヨークコアを有したものである場合の磁束分布図である。 図3における補助ヨークに関した取り付け構造の一例を示す、アキシャルギャップ型回転電機の要部概略側面図である。 図3における補助ヨークに関した取り付け構造の他の例を示す、アキシャルギャップ型回転電機の要部概略側面図である。 図3における補助ヨークに関した取り付け構造の更に他の例を示す、アキシャルギャップ型回転電機の要部概略側面図である。 図6に代わる補助ヨークの他の構成例を示す、図6と同様な正面図である。 図6に代わる補助ヨークの更に他の構成例を示す、図6と同様な正面図である。 アキシャルギャップ型回転電機のロータに作用する軸力の経時変化を示し、 (a)は、図1,2に示すごとく補助ヨークを持たないアキシャルギャップ型回転電機のロータに作用する軸力の経時変化を示すタイムチャート、 (b)は、図3,8〜10に示すごとく補助ヨークを具えたアキシャルギャップ型回転電機のロータに作用する軸力の経時変化を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 ロータ
2 ステータ
3 エアギャップ
4 ケース
5 ロータコア
6 永久磁石
7 ロータ回転軸
8 軸受
9 電磁コイル
10 ステータコア
11 ステータバックコア
12 補助ヨーク
13 エアギャップ
14 ティース
15 絶縁体
16 補助ヨークコア
17 補助ヨークバックコア
18 補助ヨーク支持フレーム
19 挟持板
20 スラストベアリング
21 挟持板
22 スラストベアリング
23 電磁鋼板の渦巻き積層体
24 圧粉コア

Claims (8)

  1. ロータおよびステータをロータ回転軸線方向に相互に対向配置してケース内に収納したアキシャルギャップ型回転電機において、
    前記ステータが位置するとは反対の前記ロータの側に、磁性体により構成された補助ヨークを設け、
    この補助ヨークをロータ回転軸線方向へ変位不能にして前記ケース内に収納したことを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機。
  2. 請求項1に記載のアキシャルギャップ型回転電機において、
    前記補助ヨークを回転不能にして前記ケース内に収納したことを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機。
  3. 請求項1に記載のアキシャルギャップ型回転電機において、
    前記補助ヨークを前記ロータと共に回転するよう前記ケース内に収納したことを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアキシャルギャップ型回転電機において、
    前記補助ヨークは、複数個の補助ヨークコアを共通な補助ヨークバックコアに対し円周方向へ配列して支持したものであることを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機。
  5. 請求項4に記載のアキシャルギャップ型回転電機において、
    前記ステータは、コイルを巻装してなる複数個のステータコアを共通なステータバックコアに対し円周方向へ配列して支持したものであり、
    前記補助ヨークバックコアの軸線方向厚さを前記ステータバックコアの軸線方向厚さ以上にしたことを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアキシャルギャップ型回転電機において、
    前記補助ヨークを電磁鋼板の渦巻き積層体あるいは圧粉コアにより構成したことを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機。
  7. 請求項6に記載のアキシャルギャップ型回転電機において、
    前記ステータは、コイルを巻装してなる複数個のステータコアを共通なステータバックコアに対し円周方向へ配列して支持したものであり、
    前記補助ヨークの軸線方向厚さを前記ステータバックコアの軸線方向厚さ以上にしたことを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のアキシャルギャップ型回転電機において、
    前記補助ヨークの直径を前記ロータの直径以上にしたことを特徴とするアキシャルギャップ型回転電機。
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