JP2009089581A - アキシャルギャップ型回転電機 - Google Patents

アキシャルギャップ型回転電機 Download PDF

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Abstract

【課題】回転子の回転軸に沿った両側に固定子を設けてスラスト力を低減しつつも、交番磁界が発生するバックヨークの個数を増大させない。
【解決手段】アキシャルギャップ型回転電機は、回転子1と、電機子2と、固定子3とを備える。回転子1は、回転軸Qの周りで周方向に回転可能である。回転子は永久磁石10AN,10ASと、これを電機子2側から覆う磁性板101N,101Sを有する。電機子2は、回転軸に平行な回転軸方向の一方側から回転子と対向する電機子巻線22を有する。固定子3は、回転軸方向の他方側から回転子に対向する。
【選択図】図1

Description

この発明は、アキシャルギャップ型回転電機に関する。
アキシャルギャップ型回転電機(以下、単に「回転電機」と記載する)では、回転軸に沿ったギャップを隔てて、固定子と回転子とが配置される。このような構成は次の利点を有する。即ち、回転軸方向に薄型化しても界磁磁束を発生させるための永久磁石の磁極面を広くすることができること、巻線の高占積率化が容易であること、大きさに比してトルクないし出力を大きくできること、である。
回転電機では、回転軸に平行な方向(本願では「回転軸方向」と称す)に沿って固定子と回転子との間で吸引力が作用する(本願では「スラスト力と称す」)。この吸引力は、軸受損失の増大、軸受寿命の短縮という問題を招来する。
回転電機において、スラスト軸方向に作用する力を防止するためには下記の構成を採用してもよい。例えば、回転軸方向に沿って、1つの固定子の両側に回転子を2つ設ける。あるいは回転軸方向に沿って、1つの回転子の両側に2つの固定子を設ける。上述の二種の構成のいずれにおいても、相互に反対向きの一対のスラスト力が回転軸方向に沿って発生し、全体として回転軸方向に発生するスラスト力が低減される。
なお、本願に関連する文献を下記に示す。
特開2006−353078号公報 特開昭61−185040号公報
しかしながら、回転子を2つ設ける構成では軸受の構成が複雑化する。その上、回転軸が長くなるため、ねじり振動を生じ易いという問題もある。
また、二つの固定子は電機子を採用すると、固定子を二つ設けた構成では交番磁界が発生するバックヨークが2つ存在することになる。交番磁界がバックヨークに発生すると鉄損、特にヒステリシス損が発生するため、電機子のバックヨークの個数を増大させることは望ましくない。
そこで、本発明は、回転子の回転軸に沿った両側に固定子を設けてスラスト力を低減しつつも、交番磁界が発生するバックヨークの個数を増大させない技術を提供することを目的としている。また、界磁磁束を発生させる永久磁石に作用する減磁界の影響を緩和することも目的とする。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機は、回転軸(Q)の周りで周方向に回転可能であって界磁磁束を発生させる界磁子(1)と、前記回転軸に平行な回転軸方向の一方側から前記界磁子と対向し、前記界磁磁束と鎖交する電機子巻線(22)に電機子電流が流れる電機子(2)と、前記回転軸方向の他方側から前記界磁子と対向する磁性体の固定子(3)とを備える。
その第1の態様では、前記界磁子は、前記回転軸の周囲で配置されて第1の極性の前記界磁磁束を供給する第1磁性環(102N)と、前記第1磁性環よりも前記回転軸(Q)側に配置され、第2の極性の前記界磁磁束を供給する第2磁性環(102S)と、前記電機子(2)に対向して前記周方向に環状に配置され、前記第2磁性環と磁気的に分離され、前記第1磁性環と磁気的に連結される第1磁性板(101N)と、前記電機子に対向して前記周方向の位置を前記第1磁性板と交互にして環状に配置され、前記第1磁性環及び前記第1磁性板と磁気的に分離され、前記第2磁性環と磁気的に連結される第2磁性板(101S)とを有する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第2の態様は、その第1の態様であって、前記第1磁性板(101N)の前記回転軸と反対側は前記第1の磁性環(102N)に連結され、かつ前記第2の磁性環(102S)の前記電機子(2)側に至るまで径方向に延在し、前記第2磁性板(101S)の前記回転軸側は前記第2の磁性環に連結され、かつ前記第1の磁性環の前記電機子側に至るまで径方向に延在する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第3の態様は、その第1の態様又は第2の態様であって、前記第1磁性環(102N)に前記第1の極性の前記界磁磁束を供給する第1磁極面(10N)と、前記第2磁性環(102S)に前記第2の極性の前記界磁磁束を供給する第2磁極面(10S)と、前記第1磁極面及び前記第2磁極面に前記界磁磁束を供給する永久磁石(10A)とを有する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第4の態様は、その第3の態様であって、前記永久磁石(10A)は、前記第1磁極面(10N)及び前記第2磁極面(10S)の少なくともいずれか一方を呈する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第5の態様は、その第4の態様であって、前記永久磁石(10A)は、前記第1磁極面(10N)及び前記第2磁極面(10S)のいずれか一方のみを呈する。前記界磁子(1)は、前記永久磁石(10A)と磁気的に連結されて、前記第1磁極面(10N)及び前記第2磁極面(10S)の他方を呈するヨーク(10Y)を更に有する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第6の態様は、その第4の態様であって、前記永久磁石(10A)は、前記第1磁極面(10N)を呈して前記第1の極性の前記界磁磁束を発生する第1の環状永久磁石(10AN)と、前記第2磁極面(10S)を呈して前記第1の環状永久磁石よりも前記回転軸(Q)側に配置され、前記第2の極性の前記界磁磁束を発生する第2の環状永久磁石(10AS)とを有する。前記固定子(3)は、前記第1の環状永久磁石と前記第2の環状永久磁石との間に非接触で介挿する環状の突起(304)を有する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第7の態様は、その第4の態様であって、前記永久磁石(10A)は、前記第1磁極面(10N)を呈して前記第1の極性の前記界磁磁束を発生する第1の環状永久磁石(10AN)と、前記第2磁極面(10S)を呈して前記第1の環状永久磁石よりも前記回転軸(Q)側に配置され、前記第2の極性の前記界磁磁束を発生する第2の環状永久磁石(10AS)とを有する。前記界磁子(2)は、前記第1磁性環(102N)及び前記第2磁性環(102S)と反対側で前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石同士を磁気的に連結する第3磁性板(106)を更に有する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第8の態様では、前記界磁子は、前記回転軸の周囲で配置されて第1の極性の前記界磁磁束を供給する第1永久磁石(10DN)の複数と、前記回転軸の周囲で前記周方向に前記第1永久磁石と交互に配置されて、第2の極性の前記界磁磁束を供給する第2永久磁石(10DS)の複数と、前記電機子(2)に対向して前記周方向に環状に配置され、前記第1永久磁石と磁気的に連結される第1磁性板(105N)と、前記電機子に対向して前記周方向の位置を前記第1磁性板と交互にして環状に配置され、前記第1磁性板と磁気的に分離され、前記第2永久磁石と磁気的に連結される第2磁性板(105S)と、前記第1磁性板及び前記第2磁性板と反対側で、前記第1永久磁石の複数同士を連結する第1の磁性環(102N)と、前記第1磁性板及び前記第2磁性板と反対側で、前記第2永久磁石の複数同士を連結する第2の磁性環(102S)とを有する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第9の態様は、その第8の態様であって、前記第1磁性板(101N)の前記回転軸と反対側は前記第1の磁性環(102N)に連結され、かつ前記第2の磁性環(102S)の前記電機子(2)側に至るまで径方向に延在し、前記第2磁性板(101S)の前記回転軸側は前記第2の磁性環に連結され、かつ前記第1の磁性環の前記電機子側に至るまで径方向に延在する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第10の態様は、その第8の態様又は第9の態様であって、前記固定子(3)は、前記第1の磁性環(102N)と前記第2の磁性環(102S)との間に非接触で介挿する環状の突起(304)を有する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第11の態様は、その第8の態様又は第9の態様であって、前記界磁子(2)は、前記第1永久磁石(10DN)及び前記第2永久磁性(10DS)と反対側で前記第1の磁性環(102N)及び前記第2の磁性環(102S)同士を磁気的に連結する第3磁性板(106)を更に有する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第12の態様は、その第4の態様であって、前記界磁子(1)は、前記電機子に対向して前記周方向の位置を第1磁性板(100N;101N)及び第2磁性板(100S;101S)と交互にして環状に配置され、前記第1磁性環(102N)及び前記第2磁性環(102S)と磁気的に分離されつつ、相互に磁気的に連結される複数の磁性体(101Q)を更に有する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第13の態様は、その第12の態様であって、前記界磁子(1)は、前記複数の磁性体(101Q)同士を前記回転軸(Q)と反対側で周方向に連結する磁性環(101Qa)を更に有する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第14の態様は、その第12の態様であって、前記界磁子(1)は、前記複数の磁性体(101Q)同士を前記第1磁性環(102N)と前記第2磁性環(102S)との間で周方向に連結する磁性環(101Qc)を更に有する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第15の態様は、その第12の態様であって、前記界磁子(1)は、前記複数の磁性体(101Q)同士を前記回転軸(Q)と反対側で周方向に連結する磁性環(101Qb)を更に有する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第16の態様は、その第12の態様であって、前記界磁子(3)は、前記複数の磁性体(101Q)に近接する突起(30Q)を更に有する。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第17の態様は、その第1乃至第16の態様のいずれかであって、前記固定子(3)は、前記周方向に巻回され、前記界磁磁束を発生させるための界磁巻線(32)を有する。前記界磁巻線の径方向の位置は前記第1磁性環(102N)と前記第2磁性環(102S)との間にある。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第1の態様、第2の態様、第8の態様、第9の態様によれば、第1磁性板及び第2磁性板が存在するので、電機子から発生する磁界による減磁に強く、かつ回転軸方向に沿ったスラスト力が相殺される。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第3の態様、第4の態様によれば、界磁磁束の発生源を容易に得ることができる。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第5の態様によれば、磁石の個数を低減できる。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第6の態様によれば、スラスト力を弱める制御ができる。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第7の態様によれば、スラスト力を調整できる。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第10の態様によれば、スラスト力を弱める制御ができる。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第11の態様によれば、スラスト力を調整できる。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第12の態様乃至第16の態様によれば、いわゆるq軸方向のインダクタンスが増大し、リラクタンストルクを得やすい。
特にその第15の態様によれば、磁性体同士を連結する磁路が短い点で有利である。
またその第16の態様によれば、磁性体同士を連結する構成を回転子に設ける必要がなく、電機子との間で回転軸方向に働く吸引力が低減される。
この発明にかかるアキシャルギャップ型回転電機の第17の態様によれば、界磁巻線に流す電流を調整することで界磁磁束の調整が容易となる。モータとして用いるときには弱め界磁を行って高速運転を行うことや、低速時にトルクを高めるべく界磁磁束を高めることもできる。これは高速運転と、効率が高い低速運転を両立させることとなり、特に車載用モータに適している。また発電機として用いるときには回転数の変動に応じて界磁磁束を調整し、回転数によらずに必要な電圧を発電することができ、特に車載用オルタネータに適している。あるいは電車用モータとして用いるときには、比較的に長く運転される惰行運転において界磁磁束を弱めることができる。
第1の実施の形態.
図1は、この発明の第1の実施の形態にかかる回転電機の構成を示す斜視図である。当該回転電機は界磁子たる回転子1、電機子2、固定子3を備えている。回転子1は回転軸Qの周りで周方向に回転可能である。図1は回転軸Qに対して傾斜して固定子3側から見た斜視図である。図1では構成を明確にするために、回転軸Qに沿っての回転子1、電機子2、固定子3の相互の間隔(「エアギャップ」と通称される)を強調して描いている。
電機子2は回転軸方向の一方側(図1では図面下側)から回転子1と対向する。回転子1は、回転子コア110と永久磁石10Aとを有している。永久磁石10Aは回転子コア110に対して電機子2とは反対側に設けられ、回転子コア110に界磁磁束を流す。
図2は回転軸Qに対して傾斜して電機子2側から見た斜視図である。但し、固定子3は図示を省略し、かつ回転子コア110と永久磁石10Aとを回転軸Qに沿って分離して指名した。なお、特に断りのない限り、回転子コア110は磁性体のみを図示しており、当該磁性体を保持するための構造部材の図示は省略している。
図2を参照して、永久磁石10Aは、第1の極性(例えばN極)の界磁磁束を回転子コア110に供給する磁極面10Nと、第2の極性(例えばS極)の界磁磁束を回転子コア110に供給する磁極面10Sとを有している。ここでは磁極面10Sが磁極面10Nよりも回転軸Q側に配置されている場合が例示されている。
また、ここでは永久磁石10Aは永久磁石10AN,10ASで構成された場合が例示されている。永久磁石10ANの回転子1側の磁極面が磁極面10Nを呈し、永久磁石10ASの回転子1側の磁極面が磁極面10Sを呈している。
電機子2はヨーク21、ティース23、電機子巻線22を有する。図3は図1の位置III−IIIでの、回転軸Qを含みこれに平行な、電機子2の断面を示す断面図である。また図4はティース23の径方向における中央付近での電機子2の断面を示す断面図である。当該断面は周方向に沿っている。図3および図4において、ティース23のエアギャップ側は幅広となっている。これは回転子の磁束をより多く電機子に渡すためである。本構成は、いずれも必須ではない。
ティース23は回転子1側でヨーク21に設けられ、回転軸Qの周囲で環状に配置される。電機子巻線22はティース23の周囲に巻回される。よって電機子巻線22も回転軸Qの周囲で環状に配置されることになる。ここでは、電機子巻線22はティース23の各々に巻回されたいわゆる集中巻を呈しているものの、電機子巻線22が分布巻によって巻回されていても良い。すなわち、電機子2は公知のモータの電機子(巻線型固定子)を適用できる。
なお本願で特に断らない限り、電機子巻線22は、これを構成する導線の一本一本を指すのではなく、導線が一纏まりに巻回された態様を指す。これは図面においても同様である。また、巻き始め及び巻き終わりの引き出し線、及びそれらの結線も図面においては省略した。
また本願で特に断らない限り、ヨーク、コアとはそれぞれ磁性ヨーク、磁性コアを指す。
電機子2は通常、ヨーク21が外部に固定されて固定子として機能する。ヨーク21は例えば、1枚の長い電磁鋼板を、フープ状に回転軸方向に平行に巻き重ねられた電磁鋼板(以下「巻コア」と称す)や、周方向に積層された電磁鋼板や、回転軸方向に積層された電磁鋼板や、圧粉磁芯で形成される。ヨーク21が回転軸方向に積層された電磁鋼板や、圧粉磁芯で形成される場合には、周方向で複数に分割されても良い。
あるいはヨーク21は、回転電機が適用される機構の一部と兼用されてもよい。例えば回転電機がモータとして圧縮機に適用される場合には、ヨーク21はその圧縮機のフレームの一部として機能してもよい。電機子2には回転子1に設けられる回転シャフト(図示省略)を貫挿させる貫通孔200が空いている。
固定子3は回転軸方向の他方側(図1では図面上側)から回転子1と対向する磁性体である。固定子3には回転子1に設けられる回転シャフト(図示省略)を貫挿させる穴300が空いている。
このように、回転子1の両側に電機子2(これも固定子として機能する)、固定子3を設けたので、回転軸方向に沿ったスラスト力が相殺される。しかも固定子3は磁性体であって交番磁束は流れない。よって二つの電機子を設ける場合と比較して、回転電機全体での鉄損が低減する。
図5は回転子1の構成を示す斜視図である。図6及び図7は、それぞれ図5の位置VI-VI及び位置VII-VIIにおける回転子1の断面を示す断面図である。図6及び図7のいずれも、回転軸Qを含みこれに平行な断面を示している。
回転子コア110は、磁性板101N,101S及び磁性環102N,102Sを有している。磁性環102Sは磁性環102Nよりも回転軸Q側に配置される。磁性環102N,102Sには、それぞれ磁極面30N,30Sから界磁磁束が供給される。磁性環102Sの内周面1020は、図示しない回転シャフトを貫通させ、固定するための穴を設けた非磁性体の保持部材により固定される。
磁性板101N,101Sは電機子2に対向して配置される。磁性板101Nと磁性板101Sとは周方向の位置を交互にして周方向に環状に配置される。磁性板101Nは磁性環102Sと磁気的に分離され、磁性環102Nと磁気的に連結される。磁性板101Sは磁性環102Nと磁気的に分離され、磁性環102Sと磁気的に連結される。
回転子1の磁極面を大きく採るため、磁性板101N,101Sは径方向においてほぼ同程度の位置を占める。具体的には、磁性板101Nの外周側は磁性環102Nに連結される。しかも磁性板101Nは、その内周側が磁性環102Sの電機子2側に至るまで径方向に延在する。同様に磁性板101Sの内周側は磁性環102Sに連結される。しかも磁性板101Sは、その外周側が磁性環102Nの電機子2側に至るまで径方向に延在する。
また界磁磁束のバランスを採るため、回転軸方向に沿っての磁性板101N,101Sと電機子2との間の距離は、等しく選定されることが望ましい。
界磁磁束が回転子1内で短絡的に流れて電機子2の電機子巻線22に鎖交しないという事態を防ぐためには次の寸法上の留意点がある。即ち磁性板101Sと磁性環102Nとの回転軸方向の間隔、及び磁性板101Nと磁性環102Sとの回転軸方向の間隔は、いずれも磁性板101N,101Sと電機子2との間の距離の2倍よりも大きい。換言すれば、図1及び図2で強調して描かれていた、磁性板101N,101Sと電機子2との間の距離は、実際には磁性板101Sと磁性環102Nとの回転軸方向の間隔、及び磁性板101Nと磁性環102Sとの回転軸方向の間隔の半分に満たないことになる。
回転子1を以上のように構成することで、界磁磁束の発生源を簡単な構成で得つつ、回転子1の磁極数を多くすることが容易となる。より具体的には回転子1の磁極数を多くするには磁性板101N,101Sを多くすればよいが、そのような変形のために磁性環102N,102Sの個数を増大させる必要はない。
また回転子1が回転しても、磁極面30N,30Sや磁性環102N,102Sでの磁束の変化は小さい。よって回転電機の鉄損を著しく増加させることもない。
永久磁石10Aを採用することにより、界磁磁束の発生源を簡単な構成、ここではリング状の永久磁石10AN,10ASで実現できる。回転子1の磁極数を多くすべく磁性板101N,101Sを多くしても、永久磁石30AN,30ASの各々は、周方向の位置によらずに同一極性で回転軸方向に着磁すれば足りる。よって着磁が容易である。また同じ永久磁石において隣接する異極性の磁極の間で漏れ磁束が発生することもなければ、磁極同士の境界近傍で着磁が不完全となることもない。
また永久磁石10AN,10ASの磁極面10N,10Sを大きく設計して界磁磁束を多くし易い。但し、界磁磁束のバランスの観点から、磁極面10N,10Sの面積を等しくすることが望ましい。具体的には例えば、磁極面10N,10Sがいずれも円環であるとして、径方向の幅を、外周に位置する側を、内周に位置する側より小とする。
なお、磁極面10N,10S同士の間隔は、回転子1と電機子2との間のエアギャップと回転子1と固定子3との間のエアギャップの和の二倍よりも大きいことが望ましい。磁極面10N,10Sの間で界磁磁束はこれらのエアギャップを一往復するので、固定子1の内部で磁極面10N,10S同士の間で界磁磁束が短絡的に流れないためである。
上述のように固定子3において交番磁束は流れないので、鉄損は増大しない。また永久磁石10Aと電機子2との間には回転子コア110が介在する。よって界磁磁束の発生源に永久磁石10Aを採用しても、これらは電機子2が発生する磁界による影響を受けにくい。つまり上記の構成は構造上、減磁に強いという利点がある。
このような構造上の利点により、永久磁石10Aの材料を選定する自由度が拡がる。保磁力が高い材料から選定する要求がないからである。従って、かかる要求を考慮せずに残留磁束密度が高い材料を永久磁石10Aの材料として選定できる。あるいは安価なフェライト磁石や、自由に形状を設計できるボンド磁石を採用してもよい。
さて、図5を参照して、磁性環102Nは磁性板101Nと連結する部位が回転軸方向に延びる。よって磁性環102Nは、磁性板101Nが設けられた位置で厚く、磁性板101Sが設けられた位置で薄くなり、その結果段差109Nが生じる。磁性環102Sにおいても同様に段差109Sが生じる。界磁磁束の流れを円滑にするには、段差109N,109Sを緩和することが望ましい。また、磁性環102N,102Sは、飽和しやすいので、回転子の他の部分に比べ、径方向に長くして、飽和を緩和しても良い。
また、磁性板101Nのように内周側が磁性環102Sの電機子2側に至るまで径方向に延在したり、磁性板101Sのように外周側が磁性環102Nの電機子2側に至るまで径方向に延在することは必須の条件ではない。磁性環102N,102Sの厚さはほぼ等しいままで、周方向の選択的な位置で突起した部分を磁性板として機能させてもよい。
図8は図1に対応した斜視図であり、磁性板101N,101Sがそれぞれ磁性板100N,100Sに置換された構成が示されている。磁性板100N,100Sは、それぞれ径方向においてはそれぞれ磁性環102N,102Sと同じ位置を占めつつ、電機子2側へと突出して対向している。また磁性板100Nと磁性板100Sとは周方向の位置を交互にして環状に配置される。
図9は図5に対応し、回転子1の構成を示す斜視図である。図10及び図11は、それぞれ図9の位置X-X及び位置XI-XIにおける回転子1の断面を示す断面図である。図10及び図11のいずれも、回転軸Qを含みこれに平行な断面を示している。
以下の各実施の形態及び変形では、特に断らない限り、磁性板101N,101Sを用いた場合を例にとって説明する。但し、各実施の形態及び変形の構成が有する機能を阻害しない限り、磁性板101N,101Sを磁性板100N,100Sへ置換してもよい。
図12は回転子コア110の他の形状を示す斜視図である。図12に示された形状では上記の段差がテーパ102tの形状を呈しており、図5で示されたような階段形状と比較して界磁磁束の円滑な流れが期待できる。また、磁性環101N,101Sの境界は、回転中心を通る径方向の線にたいして傾斜しているため、いわゆるスキュー効果を有し、コギングトルクの低減等に期する。
回転子コア110において界磁磁束は、回転軸方向のみならず径方向や周方向にも成分を有する。また回転子コア110における鉄損は、ヒステリシス損が少なく渦電流損が大部分である。よって回転子コア110は圧粉磁芯で構成することが望ましい。
第2の実施の形態.
本実施の形態では、回転子コア110の望ましい変形を紹介する。磁性板101N,101S同士は磁気的に分離されつつも、両者を構造的に連結されることが望ましい。あるいは磁性環102N,102S同士を磁気的に分離しつつも、構造的に連結することが望ましい。
図13は回転子コア110の第1の変形を示す斜視図であり、図5に示された回転子コア110に対して、ブリッジBを追加して設けた構成を示している。ブリッジBは磁性環102N,102Sを磁性板101N,101Sと反対側(よって永久磁石10A側:図2参照)で連結する。かかる構成はブリッジBを、磁性環102N,102S及び磁性板101N,101Sと共に圧粉磁芯で形成すれば容易に得られる。
但し、ブリッジBが、実質的には磁性環102N,102Sを磁気的に短絡しないよう、容易に磁気飽和する程度に薄く形成する。磁気飽和したブリッジBは実質的には磁気障壁として機能するからである。
図14及び図15は回転子コア110の第2の変形を示す斜視図であり、磁性板101N,101Sと磁性環102N,102Sとを保持するホルダー5の構成を示す。図14は磁性板101N,101Sが保持される側から回転軸Qに対して傾斜して見た斜視図である。図15は磁性環102N,102Sが保持される側から回転軸Qに対して傾斜して見た斜視図である。ホルダー5は非磁性体である。
ホルダー5は外輪501、中輪504、内輪500を有しており、中輪504は径方向において外輪501と内輪500に挟まれている。内輪500には図示されない回転シャフトが貫挿される。
外輪501は内周側に内周面501a,501b,501cを呈し、磁性環102N,102Sが保持される側に底面501dを呈している。中輪504は外周側に外周面504a,504eを呈し、内周側に内周面504b,504cを呈し、底面504dを呈している。内輪500は外周側に外周面500a,500b,500cを呈し、底面500dを呈している。底面500d,501d,504dの回転軸方向における位置は等しい。
外輪501と中輪504の間には板502が周方向に間欠的に設けられる。内輪500と中輪504の間には板503が周方向に間欠的に設けられる。板502,503は周方向に交互に配置されている。回転軸方向において板502,503が占める位置は等しい。板502は底面504d側に底面502cを呈し、底面502cと反対側に頂面502aを呈している。板503は底面504d側に底面503cを呈し、底面503cと反対側に頂面503aを呈している。
内周面501bは周方向において板502が設けられない位置に現れる。内周面501cは周方向において板502が設けられる位置であって、回転軸方向における底面501d側に現れる。内周面501aは周方向において板502が設けられる位置であって、回転軸方向において底面501dと反対側に現れる。
外周面504aは周方向において板502が設けられない位置に現れる。外周面504eは周方向において板502が設けられる位置であって、回転軸方向における底面504d側に現れる。
内周面504bは周方向において板503が設けられない位置に現れる。内周面504cは周方向において板503が設けられる位置であって、回転軸方向における底面504d側に現れる。
外周面500bは周方向において板503が設けられない位置に現れる。外周面500cは周方向において板503が設けられる位置であって、回転軸方向における底面500d側に現れる。
回転軸方向において板502,503に対して底面501dとは反対側にはリブ505が設けられる。リブ505の周方向の端部は板502,503の周方向の端部と、回転軸方向において重なっている。板502の周方向の端部とリブ505とは段差502dを形成し、板503の周方向の端部とリブ505とは段差503dを形成する。
板502は磁性板101Sと磁性環102Nとの間に挟まれ、板503は磁性板101Nと磁性環102Sとの間に挟まれる。より具体的には、頂面502aが磁性板101Sの磁性環102N側の面と接触し、底面502cが磁性環102Nの磁性板101S側の面と接触し、頂面503aが磁性板101Nの磁性環102S側の面と接触し、底面503cが磁性環102Sの磁性板101N側の面と接触する。磁性環102Nの段差109Nは段差502dと嵌合し、磁性環102Sの段差109Sは段差503dと嵌合する。
このようなホルダー5で回転子コア110を保持するには、具体的には下記の手法を採用することが望ましい。即ち、ホルダー5を用いて磁性粉をプレスし、圧粉磁芯で回転子コア110を形成する。
図16は上記のプレスの様子を例示する斜視図である。金型51,52,53及びホルダー5を用いて磁性粉19をプレスする。
金型52は環状有底であってホルダー5の外周側に設けられる。金型53は円柱状であってホルダー5の内周側に設けられる。金型51は環状であり、金型53と適切なクリアランスを以てその内周側で接触する。金型52,53の厚さをホルダー5の厚さよりも厚く形成され、ホルダー5と共に凹部を形成する。当該凹部に金型51を押し込むことにより、磁性粉19をプレスする。
図17はホルダー5に保持された状態の回転子コア110を示す斜視図である。当該状態において、磁性板101N,101Sが、リブ505、外輪501、及び内輪500に挟まれて露出している。
上述のようなプレスにより、図5に示された構成の回転子コア110を得ることができ、かつ回転子コア110にホルダー5を介して回転シャフトを保持させることができる。
図18及び図19は回転子コア110の第3の変形を示す斜視図であり、非磁性のホルダー5や回転子コア110の他の構成を示す。図18は磁性板101N,101Sが保持される側から回転軸Qに対して傾斜して見た斜視図である。図19は磁性環102N,102Sが保持される側から回転軸Qに対して傾斜して見た斜視図である。これらの斜視図では、磁性板101N,101Sと、非磁性のホルダー5と、磁性環102N,102Sとが回転軸方向に沿って分解された状態が示されているが、実際には後述の貫挿が実現されて相互に接触する。
磁性環102Nは磁性板101Nと連結される突起108Nを有している。磁性環102Sは磁性板101Sと連結される突起108Sを有している。突起108N,108Sは回転軸方向に突出している。
なお、突起108N,108Sは図8乃至図11を用いて説明した磁性板100N,100Sと同形状を採用することができる。
図18及び図19では、磁性板101N,101Sはいずれも、二つの長方形が径方向に連結された形状を呈しているが、台形や扇型、弧状であってもよい。
ホルダー5は図14に示された構成でリブ505を除去し、回転軸方向におけるリブ505の高さだけ内輪500及び外輪501の高さを短くした構成を呈している。これにより頂面502a,503aと、内輪500、中輪504及び外輪501の頂面とは、回転軸方向における位置が一致する。
周方向において隣接する一対の板502の間であって外輪501と中輪504との間には孔508が開口する。周方向において隣接する一対の板503の間であって内輪500と中輪504との間には孔509が開口する。突起108N,108Sはそれぞれ孔508,509を貫挿し、磁性板101N,101Sと連結する。よって板502,503の厚さは突起108S,108Nの高さ以下であることが望ましい。
当該連結には望ましくは磁性を有する接着剤を用いてもよいし、溶接してもよい。あるいは上述のように金型を用いて、非磁性ホルダー5ごと磁性粉を圧縮してもよい。
図20は回転子コア110の第4の変形を示す斜視図である。第4の変形は第3の変形に対して磁性板101N,101Sをいずれも弧状に変形している。そして磁性板101N,101Sの外周側及び内周側は周方向において相互に薄肉部101Bで連結されている。図20では、磁性板101N,101Sと、非磁性のホルダー5と、磁性環102N,102Sとが回転軸方向に沿って分解された状態が示されているが、実際には第3の変形と同様の貫挿が実現されて相互に接触する。
薄肉部101Bを磁性板101N,101Sと共に一体化して形成することにより、これらの位置決めを容易にできる。例えば薄肉部101Bと磁性板101N,101Sとは、電磁鋼板を積層して構成することができる。薄肉部101Bは磁気飽和しやすいので、実質的には磁気障壁として機能し、磁性板101N,101S同士が周方向に磁気的に短絡することを回避できる。
図21は回転子コア110の第5の変形を示す斜視図である。第5の変形は第3の変形に対して突起108N,108Sを凹部107N,107Sにそれぞれ置換した構成を有している。凹部107N,107Sは磁性板101N,101S側に開口しており、回転軸方向において貫通していてもよい。図21では、磁性板101N,101Sと、非磁性のホルダー5と、磁性環102N,102Sとが回転軸方向に沿って分解された状態が示されているが、実際には後述の貫挿が実現されて相互に接触する。
磁性板101Nには突起106Nが磁性環102N側に設けられている。磁性板101Sには突起106Sが磁性環102S側に設けられている。突起106N,106Sはそれぞれ孔508,509を貫挿し、凹部107N,107Sに嵌合する。これにより、磁性板101N,101Sは磁性環102N,102Sと連結する。よって板502,503の厚さは突起107N,107Sの高さから凹部107N,107Sの深さを差し引いた厚さ以下であることが望ましい。なお孔508,509は、突起106N,106Sを貫挿させるので、第3の変形とは形状が異なっている。
図22は第5の変形において上記の貫挿が実現された状態を示す斜視図である。また図23は第5の変形において上記の貫挿が実現された状態でホルダー5を除去して描いた斜視図である。
第5の変形では突起106N,106Sをそれぞれ凹部107N,107Sに嵌合させることで、磁性板101N,101Sを磁性環102N,102Sに固定することができ、回転子コア110を形成しやすくなる。但し、上述の形状を得るためには、磁性板101N,101S及び磁性環102N,102Sは圧粉磁芯で形成されることが望ましい。
図24は回転子コア110の第6の変形を示す斜視図である。第6の変形は第5の変形から凹部107N,107Sを省略している。この場合、磁性環102N,102Sとしては巻コアを採用することができる。磁性環102N,102Sは、周方向に拡がる磁性板101N,101Sに対して、固定子3からの界磁磁束を回転軸方向に沿って流す機能を果たすからである。
突起106Nが設けられた磁性板101N、突起106Sが設けられた磁性板101Sは、それぞれ周方向に積層した電磁鋼板を採用することができる。磁性環102N,102Sを形成する巻コアは、その巻解き防止のため、溶接する事が望ましい。但し、その溶接の位置は、突起106N,106Sと当接する位置を避けることが望ましい。
同様に、突起106Nが設けられた磁性板101N、突起106Sが設けられた磁性板101Sを形成する電磁鋼板は、積層が外れにくくなるように、溶接を施すことが望ましい。但し、その溶接の位置は、磁性環102N,102Sと当接する位置や、電機子2側を避けることが望ましい。例えば外周側や内周側で溶接することが望ましい。
突起106N,106Sは、接着あるいは溶接で磁性環102N,102Sに固定することが望ましい。
図25は回転子コア110の第7の変形を示す斜視図である。第7の変形は第5の変形に対して磁性体101Qを追加した構成を有している。磁性体101Qは周方向において磁性板101N,101Sと交互に、かつ磁気的に分離されて配置される。ここでは、突起106Nが設けられた磁性板101N、突起106Sが設けられた磁性板101Sは、それぞれ周方向に積層した電磁鋼板を採用した場合を想定している。よってこれらを回転軸方向から見た形状は長方形となっている。かかる形状が採用されることにより、磁性板101N,101Sの間には外周側に開く三角形の空きができる。この空きに、磁性体101Qが設けられている。
つまり、磁性体101Qは電機子2に対向して周方向の位置を磁性板101N,101Sと交互にして環状に配置される。磁性体101Qは磁性板101N,101Sと磁気的に分離される。
磁性体101Q同士はその外周側に設けられた磁性環101Qaにより、相互に周方向に連結される。ホルダー5には、磁性体101Q及び磁性環101Qaを位置決めするために、これらが嵌合する凹部510が設けられている。
図25では、磁性板101N,101S及び磁性体101Qと、非磁性のホルダー5と、磁性環102N,102Sとが回転軸方向に沿って分解された状態が示されているが、実際には上述の貫挿が実現されて相互に接触する。図26は当該貫挿が実現された状態を示す斜視図であり、部分的に断面を示している。突起106N,106Sがそれぞれ凹部107N,107Sに嵌合し、磁性体101Q及び磁性環101Qaが凹部510に勘合している。
磁性体101Q及び磁性環101Qaはいわゆるq軸方向のインダクタンスを増大させる機能を果たす。これはd軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの差を大きくし、リラクタンストルクを得やすいという観点で望ましい。
図27は回転子コア110の第8の変形を示す斜視図である。第8の変形は図5に示された回転子コア110の構成から、段差109N,109Sを除去し、磁性体101Qを追加した構成を有している。磁性体101Qは周方向において磁性板101N,101Sと交互に、かつ磁気的に分離されて配置される。磁性板101N,101Sが弧状であるので、磁性体101Q同士はその内周側に設けられた磁性環101Qbによって相互に周方向に連結される。このように内周側で磁性体101Q同士を連結することは磁路が短い点で有利である。
磁性環101Qbには界磁磁束は流れない。よって、磁性環101Qbの内周側で磁性体の回転シャフト(図示省略)を保持しても、界磁磁束が回転子コア110内部において当該回転シャフトを介して短絡的に流れることはない。
図28は回転子コア110の第9の変形の構成を部分的に切り取って示す斜視図である。図29は当該構成の磁性体101Q近傍を回転軸方向から見た平面図である。図30乃至図33は、それぞれ図29の位置XXX-XXX,XXXI-XXXI,XXXII-XXXII,XXXIII-XXXIIIにおける周方向の断面を示す断面図である。当該変形では磁性体101Q同士が、磁性環101Qcによって磁性環102N,102Sの間で周方向に連結される。
なお、磁性体101Q同士を相互に磁気的に連結する機能を、固定子3に担わせてもよい。図34はかかる機能を担う固定子3の構成を例示する斜視図である。当該固定子3は磁極面30N,30Sの間で周方向に延在する突起30Qを更に備えている。当該突起30Qは、回転子コア110が有する磁性体101Qを相互に周方向に磁気的に連結する。
このようにして突起30Qを採用することにより、磁性体101Qを相互に磁気的に連結する構成を回転子1に設ける必要がない。よって磁性体101Qを相互に磁気的に連結する構成と電機子との間で働く吸引力を低減することができる。
このような固定子3を採用する場合、磁性体101Qと突起30Qとの間の磁気抵抗を小さくするために、磁性体101Qは固定子3側へと突出する突起を有することが望ましい。図35は突起101Qdを有する回転子コア110を、磁性体101Q近傍で回転軸方向から見た平面図である。図36は図35の位置XXXVI-XXXVIにおける周方向の断面を示す断面図である。突起30Q,101Qdは、磁性体101Qと固定子3との間の磁気抵抗を実質的に低下させる。
なお、図13に示されたブリッジBを用いて磁性環101Qbを磁性環102Sと連結すれば、実質的に両者を磁気的に分離しつつ連結することができる。あるいは磁性体101Qと磁性板101N,101Sとを薄肉の磁性体で周方向に連結してもよい。あるいは磁性環101Qbと磁性板101N,101Sとを薄肉の磁性体で径方向に連結してもよい。また、磁性体101Qと磁性板101N,101S、磁性環102N,102S,101Qb、永久磁石10Aを、仮固定した状態で一体モールドしてもよい。
第3の実施の形態.
図37はこの発明の第3の実施の形態にかかる回転電機の構成を示す斜視図である。図37は、第1の実施の形態で用いた図1と同様に、回転軸Qに対して傾斜して固定子3側から見た斜視図である。図37でも図1と同様に、回転子1、電機子2、固定子3の相互間のエアギャップを強調して描いている。
本実施の形態では、第1の実施の形態で示された構成の回転子1において、永久磁石10ASをコア10Yで置換した構成が示される。コア10Yは固定子3を介して永久磁石10ASによって磁極が誘導される。
第1の実施の形態で説明された構成の回転子1では、永久磁石10Aが、磁極面10N,10Sの両方を呈していた(図2参照)。これに対し本実施の形態では、磁極面10Nが永久磁石10ANによって呈され、磁極面10Sはコア10Yの回転子コア110側の面として呈されることになる。コア10Yは電機子2と反対側で磁性環102Sに設けられる。
あるいは逆に、第1の実施の形態で示された構成の回転子1において、永久磁石10ANをコアで置換してもよい。
上記の構成を採ることにより、回転子1に用いる永久磁石の個数を低減できる。また、モータとして組んだ後に空芯コイルにて着磁が可能であるため、製造工程を容易にすることができる。
第4の実施の形態.
図38は本実施の形態にかかる回転電機のうち、回転子1の構造を示す斜視図である。当該構造を見やすくするために、図38では永久磁石10Aと回転子コア110とを回転軸Qに沿って分離して示している。但し、実際には両者は回転子1を構成するときには十分に磁束が流入出する程度に、例えば密着して配置される。
当該構造では永久磁石10Aとして、磁極面10N,10Sを呈する永久磁石10AN,10ASに分離して設ける(図2参照)替わりに、回転子1コア110側に磁極面10N,10Sのいずれも呈示する永久磁石10Aを設けている。磁極面10Nと磁極面10Sとの境界は点線で示した。
永久磁石10Aは、1枚の円盤状の磁石の内側と外側を異なる磁極になるよう着磁されてもよい。かかる形態は、例えばフェライト磁石や、ボンド磁石で永久磁石10Aを形成する場合に、容易に実現される。
永久磁石10Aは、その製造の便宜上、複数に分割してもよい。分割数は特に制限されない。分割された永久磁石10Aの各々は扇形や台形となる。特に、高性能の希土類焼結磁石では、台形形状の方が形成が容易となる場合がある。図38では永久磁石10Aが台形状に6個に分割された場合が例示されている。
回転子コア110の、中でも磁性環102N,102Sに渦電流を発生させないためには、分割された永久磁石10Aの各々が隣接する位置で生じる空隙は小さいことが望ましい。
図39は本実施の形態の変形にかかる固定子1の構造を示す斜視図である。当該変形は、図38に示された構造に対して補助コア33N,33Sを追加した構成を有している。補助コア33N,33Sはいずれも永久磁石10Aの回転子コア110とは反対側(即ち永久磁石10Aの固定子3側)の面に配される。補助コア33Nの外周は永久磁石10Aの外周よりも回転軸Qから遠く、補助コア33Sの内周は永久磁石10Aの内周よりも回転軸Qに近い。補助コア33N,33Sの境界は、磁極面10Nと磁極面10Sとの境界に対向する。
よって、永久磁石10Aの外形によらず、例えばその外形が固定子3から径方向にはみ出しても、固定子3には回転子1の回転及び界磁磁束に起因する渦電流が発生しにくい。
第5の実施の形態.
図40及び図41は、この発明の第5の実施の形態にかかるモータの回転子1の構成を示す斜視図である。図40は回転軸Qに対して傾斜して電機子2側から見た斜視図である。図41は回転軸Qに対して傾斜して固定子3側から見た斜視図である。
回転子1は、複数の永久磁石10DN,DSと、磁性板105N,105Sと、磁性環102N,102Sを有している。但し、図40及び図41では回転子1の構成を見やすくするため、永久磁石10DN,DSと、磁性板105N,105Sと、磁性環102N,102S及び磁性板101N,101Sとを回転軸方向に沿って分離して示している。図42は回転子1を部分的に示す断面斜視図であり、磁性板105N,105Sと、永久磁石10DN,DSと、磁性板101N,101Sと、磁性環102N,102Sとが回転軸方向に沿って積み重ねられた構造を示している。
永久磁石10DN,10DSは、回転軸Qの周囲で周方向に交互に配置される。電機子2(図1,2参照)に対向して、磁性板105N,105Sは回転軸Qの周囲で周方向に交互に配置される。磁性板105N,105Sは相互に磁気的に分離されつつ、それぞれ永久磁石10DN,10DSと磁気的に連結される。具体的には永久磁石10DN,10DSの電機子2側に固定される。
本実施の形態では磁性板101Nは磁性環102Nと共に、磁性板105Nと反対側で永久磁石10DNの複数同士を連結し、磁性板101Sは磁性環102Sと共に、磁性板105Sと反対側で永久磁石10DSの複数同士を連結する。
このような構成を採用することにより、永久磁石10DN,DSと電機子2との間には磁性板105N,105Sが介在する。よって界磁磁束の発生源に永久磁石10DN,10DSを採用しても、これらは電機子2が発生する磁界による影響を受けにくい。つまり上記の構成は構造上、減磁に強いという利点がある。
本実施の形態においても磁性板101N,101Sに置換して、磁性板100N,100Sを採用することができる。図43はかかる置換を行った場合の回転子1を部分的に示す断面斜視図であり、図42に対応している。この構成では、磁性板100N,100Sの大きさに呼応して、磁性板105N,105Sや永久磁石10DN,10DSの面積も小さくなる。
第6の実施の形態.
第6乃至第8の形態では、回転子1と固定子3との間のスラスト力を低減する構成を紹介する。第6の実施の形態で紹介する構成を概して言えば、固定子3と回転子1との間の磁気抵抗が高められる。
図44乃至図46はいずれも回転子1及び固定子3を部分的に示す断面図であり、回転軸方向及び径方向に平行な断面を示す。これらの図において、回転軸方向は矢印Aに平行であって縦方向に採られ、径方向は横方向に採られている。
図44に示された構成は、第1の実施の形態で示された構成を採用した場合の変形として把握できる。具体的には永久磁石10AN,10ASを採用し、これらの固定子3側にそれぞれコア107N,107Sを採用した場合を例示している。コア107N,107Sは、それぞれ永久磁石10AN,10ASから離れるに従って、回転軸方向に対する断面積を小さくなるテーパを有している。よって回転子1と固定子3との間のエアギャップの大きさが同じであれば、コア107N,107Sを設けることにより、固定子3と回転子1との間の磁気抵抗が高められる。
図45に示された構成は、第5の実施の形態で示された構成を採用した場合の変形として把握できる。磁性環102N,102Sはそれぞれ永久磁石10DN,10DS(図40乃至図42参照)から離れるに従って、回転軸方向に対する断面積を小さくなるテーパを有している。よって回転子1と固定子3との間のエアギャップの大きさが同じであれば、固定子3と回転子1との間の磁気抵抗が高められる。
図46に示された構成では、固定子3の回転子1側の面のうち、磁性環102N,102Sに対向する部分の一部を残して、その余が回転子1とは反対側へと退いている。このようにしても固定子3と回転子1との間の磁気抵抗が高められる。
第7の実施の形態.
本実施の形態では、固定子3と回転子1との間を流れる磁束の量を低減する。図47は回転子1及び固定子3を部分的に示す断面図であり、回転軸方向及び径方向に平行な断面を示す。回転軸方向は矢印Aに平行であって縦方向に採られ、径方向は横方向に採られている。図48は当該固定子3と回転子1とを採用したモータの構成を示す斜視図である。第1の実施の形態で用いた図1と同様に、回転軸Qに対して傾斜して固定子3側から見た斜視図である。図48でも図1と同様に、回転子1、電機子2、固定子3の相互間のエアギャップを強調して描いている。
図48に示された構成は、第1の実施の形態で示された構成において、回転子1が磁性板106を更に有する構成となっている。磁性板106は、磁性環102N,102Sと反対側で永久磁石10AN,10AS同士を磁気的に連結する。
かかる構成を採用することにより、固定子3と回転子1との間を流れる界磁磁束を低減でき、両者の間に働くスラスト力を弱めることができる。
図49は回転子1及び固定子3を部分的に示す断面図であり、回転軸方向及び径方向に平行な断面を示す。図49では磁性板106に代替して、磁性板106N,106Sが設けられている。磁性板106N,106Sは磁性板106を径方向において周方向に沿って分割した構成を有している。
磁性板106N,106S間の径方向の間隔δを狭くするほど両者間に流れる界磁磁束が多くなり、固定子3と回転子1との間を流れる界磁磁束が低減し、以て両者の間に働くスラスト力が弱まる。
図50は、第5の実施の形態で示された構成において磁性板106を設けた構成の回転子1及び固定子3を部分的に示す断面図である。当該構成においては永久磁石10DN,10DS(図41乃至図42参照)と反対側で磁性環102N,102S同士を磁気的に連結する。当該構成において磁性板106を図49で示した磁性板106N,106Sに代替してもよい。
第8の実施の形態.
本実施の形態では、固定子3と回転子1との間に流れる界磁磁束の径方向成分が高められ、従ってその回転軸方向成分が低められる。
界磁磁束の回転軸方向成分が低められることにより、スラスト力は小さくなる。界磁磁束の径方向成分が高められるものの、極性が異なる界磁磁束が径方向に平行に流れるため、径方向において回転子1と固定子3に働く吸引力は互いに逆向きに二種存在し、両者は相殺する。
図51乃至図56、図59乃至図63はいずれも回転子1及び固定子3を部分的に示す断面図であり、回転軸方向及び径方向に平行な断面を示す。これらの図において、回転軸方向は矢印Aに平行であって縦方向に採られ、径方向は横方向に採られている。
図51は第1の実施の形態で示された構成を採用した場合の変形として把握できる。具体的には永久磁石10AN,10ASを採用し、これらの固定子3側にそれぞれコア107N,107Sを採用した場合を例示している。コア107N,107Sはその固定子3側の面が互いに向き合う方向に傾斜している。そして固定子3は回転子1側へと突起し、相互に背き合う方向に傾斜した面301N,301Sを呈している。コア107N,107Sはそれぞれ面301,301とほぼ正対する。
固定子3と永久磁石10ANとが回転軸方向に垂直な場合と比較すると、上記の様に傾斜した面301Nとコア107Nとの間に流れる界磁磁束は、その回転軸方向成分が小さくなる。よって固定子3とコア107Nとの間に働く吸引力は、その回転軸に平行な成分が小さくなる。同様にして固定子3とコア107Sとの間に働く吸引力についても、その回転軸に平行な成分が小さくなる。よって回転子1と固定子3との間に働くスラスト力は小さくなる。
また面301Nとコア107Nとの間に働く吸引力の径方向成分は、面301Sとコア107Sとの間に働く吸引力の径方向成分と相殺するので、回転子1と固定子3との間で径方向に働く力は無視できる。
以上のようにして、径方向への不要な力を増大させることなく、回転子1と固定子3との間に働くスラスト力を小さくできる。
図52は図51に示された構成において、コア107N,107S及び面301N,301Sの傾斜方向を全て逆にした構成を示す。即ち、面301N,301Sが互いに向き合う方向に傾斜しており、固定子3は回転子1側に対して凹んでいる。コア107N,107Sの固定子3側の面は互いに背き合うように傾斜している。よって、コア107N,107Sはそれぞれ面301,301とほぼ正対し、図51に示された構成と同様にしてスラスト力が低減される。
なお、永久磁石10AN,10ASの形状の加工が困難でなければ、コア107N,107Sを省略できる。図53及び図54はそれぞれ図51及び図52に対応した構成であって、コア107N,107Sが固定子3側に傾斜して呈していた面を、それぞれ永久磁石10AN,10ASによって形成した構成を示している。このような構成においても、上述の効果が得られることは当然である。
図55及び図56はそれぞれ図51及び図56に対応しており、第5の実施の形態で示された構成を採用した場合の変形として把握できる。図51及び図52に示された構成においてコア107N,107Sが固定子3側に傾斜して呈していた面を、それぞれ磁性環102N,102Sによって形成した構成が示されている。このような構成においても、上述の効果が得られることは当然である。
固定子3の回転子1側の面を傾斜させず階段状に形成しても、界磁磁束の回転軸方向成分が小さくなる。この場合には、永久磁石10AN,10ASや磁性環102N,102Sの固定子3側の面を傾斜させる必要が無く、またコア107N,107Sも不要となる。
図57は回転子1及び固定子3を部分的に示す断面図であり、回転軸方向及び径方向に平行な断面を示す。回転軸方向は矢印Aに平行であって縦方向に採られ、径方向は横方向に採られている。図58は当該固定子3と回転子1とを採用したモータの構成を示す斜視図である。第1の実施の形態で用いた図2と同様に、回転軸Qに対して傾斜して電機子2側から見た斜視図である。図58でも図1と同様に、回転子1、電機子2、固定子3の相互間のエアギャップを強調して描いている。
固定子3は、永久磁石10AN,10ASの間に非接触で介挿する環状の突起304を有している(図58では突起304が永久磁石10AN,10ASの間には貫挿されていないが、これは固定子3と回転子1との間を空けて描かれているからである)。
このような構成においては、回転子1と固定子3との間に働く力は、突起304と永久磁石10ANとの間に働く吸引力と、突起304と永久磁石10ASとの間に働く吸引力を含むことになる。よって界磁磁束は、その回転軸方向成分が小さくなる。しかもこれらの二つの吸引力同士は、その径方向成分が相殺する。従って、径方向への不要な力を増大させることなく、回転子1と固定子3との間に働くスラスト力を小さくできる。
図59は固定子3を回転子1側へと回転軸方向に沿って突出させた構成を示す。固定子3は永久磁石10ANよりも外周側で、永久磁石10ASよりも内周側で、それぞれ突出部31N,31Sを有している。
このような構成においては、回転子1と固定子3との間に働く力は、突出部31Nと永久磁石10ANとの間に働く吸引力と、突出部31Sと永久磁石10ASとの間に働く吸引力を含むことになる。よって界磁磁束は、その回転軸方向成分が小さくなる。しかもこれらの二つの吸引力同士は、その径方向成分が相殺する。従って、径方向への不要な力を増大させることなく、回転子1と固定子3との間に働くスラスト力を小さくできる。
図60及び図61は、図57及び図58に示された構成に対し、永久磁石10AN.10ASのそれぞれ固定子3側にコア107N,107Sを設けた構成を示している。このような構成においても、上述の効果が得られることは当然である。
図62及び図63はそれぞれ図57及び図58に対応しており、第5の実施の形態で示された構成を採用した場合の変形として把握できる。
図62に示された構成では、突起304が磁性環102N,102Sの間に非接触で介挿する。図63に示された構成では、固定子3は磁性環102Nよりも外周側で、磁性環102Sよりも内周側で、それぞれ突出部31N,31Sを有している。
突起304を、図34乃至図36を用いて説明した突起30Qと兼用してもよい。
第9の実施の形態.
図64は第9の実施の形態にかかる回転電機の構成を示す斜視図である。固定子3は、周方向に巻回された界磁巻線32を有している。界磁巻線32の径方向の位置は、磁性環102N,102Sの間にある。
界磁巻線32の端部32aは磁極面30N,30Sと反対側でヨーク31から引き出される。そして当該端部32aを介して界磁巻線32に電流を流し、当該電流を調整することで、界磁磁束の調整が容易となる。
例えば、回転電機をモータとして採用し、モータにトルクが必要なときは、界磁磁束と同極性の磁束を発生させる電流を流して界磁磁束を強める。モータを高速回転する場合には、界磁磁束と逆極性の磁束を発生させる電流を流し、界磁磁束を弱めること(いわゆる「弱め界磁」)で誘起電圧を小さくすることができる。逆にモータを低速回転する場合には、界磁磁束と同極性の磁束を発生させる電流を流し、界磁磁束を強めることトルクを高めることができる。
これは高速運転と、効率が高い低速運転を両立させることとなり、特に車載用モータに適している。また発電機として用いるときには回転数の変動に応じて界磁磁束を調整し、回転数によらずに必要な電圧を発電することができ、特に車載用オルタネータに適している。あるいは電車用モータとして用いるときには、比較的に長く運転される惰行運転において界磁磁束を弱めることができる。
また永久磁石10AN,10ASの材料となる磁性体を設けた後に、界磁巻線32を用いて着磁してもよい。当該着磁においては、もちろん、電機子2を併用してもよい。
図65は、磁性体101Q及び磁性環101Qc(図29乃至図33を参照)を採用した場合の構成を示す断面図であり、図29の位置XXXII-XXXIIに相当する位置での断面を示す。界磁巻線32は磁性環101Qcに対向する位置に設けられるので、磁性環101Qcの回転軸方向の厚みは、図32に示された場合と比較して、小さいことが望ましい。
変形の組み合わせ.
上記の各実施の形態で紹介された種々の変形は、相互に機能を阻害しない限り、組み合わせることができる。例えば回転子1の変形と独立して固定子3の種々の変形を採用することができる。また例えば第9の実施の形態で示された界磁巻線32を他の実施の形態にかかる回転電機の固定子3で設けてもよい。
圧縮機への適用.
図66は、上記の回転電機がモータとして適用される圧縮機の縦断面図である。図66に示された圧縮機は高圧ドーム型のロータリ圧縮機であって、その冷媒には例えば二酸化炭素が採用される。
この圧縮機は、密閉容器K1と、圧縮機構部K2と、モータK3とを備えている。圧縮機構部K2は密閉容器K1内に配置されている。モータK3は密閉容器K1内かつ圧縮機構部K2の上側に配置される。ここで、上側とは密閉容器K1の中心軸が水平面に対して傾斜しているか否かに関わらず、密閉容器K1の中心軸に沿った上側をいう。
モータK3は圧縮機構部K2を回転軸シャフトK4を介して駆動する。モータK3は上記の実施の形態で説明された構成を備えている。
密閉容器K1の下側側方には吸入管K11が接続され、密閉容器K1の上側には吐出管K12が接続される。冷媒ガス(図示省略)が吸入管K11から密閉容器K1へと供給され、圧縮機構部K2の吸込側に導かれる。このロータリ圧縮機は縦型であって、少なくともモータK3の下部に油溜めを有する。
密閉容器K1内は、圧縮機構部K2を挟んで高圧領域Hと低圧領域Lとに区画される。高圧領域Hには圧縮機構部K2から吐出された高圧の冷媒ガスが満たされる。モータK3は高圧領域Hに配置されている。
ヨーク21及び固定子3は、回転シャフトK4に対して回転子1(図中では回転子コア110と永久磁石10AS,10ANに分けて示されている)よりも外周側に配置され、密閉容器K1に固定されている。
圧縮機構部K2は、シリンダ状の本体部K20と、上端板K8および下端板K9を備える。上端板K8および下端板K9はそれぞれ本体部K20の上下の開口端に取り付けられる。回転シャフトK4は、上端板K8および下端板K9を貫通し、本体部K20の内部に挿入されている。回転軸シャフトK4は上端板K8に設けられた軸受K21と、下端板9に設けられた軸受K22により回転自在に支持されている。
回転軸K4には本体部K20内でクランクピンK5が設けられる。ピストンK6はクランクピンK5に嵌合されて駆動される。ピストンK6と、これに対応するシリンダとの間には圧縮室K7が形成される。ピストンK6は偏芯した状態で回転し、または、公転運動を行い、圧縮室K7の容積を変化させる。
次に、上記ロータリ圧縮機の動作を説明する。吸入管K11から圧縮室K7に冷媒ガスが供給される。モータK3により圧縮機構部K2が駆動されて、冷媒ガスが圧縮される。圧縮された冷媒ガスは冷凍機油(図示省略)と共に、吐出孔K23を経由して圧縮機構部K2から圧縮機構部K2の上側へ運ばれ、更にモータK3を経由して吐出管K12から密閉容器K1の外部に吐出される。
冷媒ガスは冷凍機油と共にモータK3の内部を上側へと移動する。冷媒ガスはモータK3よりも上側に導かれるが、冷凍機油は回転子1の遠心力で密閉容器K1の内壁へと向かう。冷凍機油は密閉容器K1の内壁に微粒子の状態で付着することで液化した後、重力の作用によって、モータK3の冷媒ガスの流れの上流側に戻る。
図67は、上記の実施の形態のモータが適用される圧縮機の縦断面図である。図67に示された圧縮機は低圧ドーム型のスクロール圧縮機であって、その冷媒には例えば二酸化炭素が採用される。
この圧縮機でも、モータK3が密閉容器K1内に配置され、圧縮機構部K2を回転軸シャフトK4を介して駆動する。圧縮機構部K2はスクロール機構を有している。
密閉容器K1内は圧縮機構部K2を挟んで高圧領域Hと低圧領域Lとに区画される。但しモータK3は低圧領域Lに配置されている。つまり圧縮機構部K2がモータK3よりも上側に配置されている。
この発明の第1の実施の形態にかかる回転電機の構成を示す斜視図である。 この発明の第1の実施の形態にかかる回転電機の構成を示す斜視図である。 図1の位置III−IIIでの電機子の断面を示す断面図である。 電機子の周方向に沿った断面を示す断面図である。 回転子の構成を示す斜視図である。 図5の位置VI-VIにおける回転子の断面を示す断面図である。 図5の位置VII-VIIにおける回転子の断面を示す断面図である。 この発明の第1の実施の形態にかかる回転電機の構成を示す斜視図である。 回転子の構成を示す斜視図である。 図9の位置X-Xにおける回転子の断面を示す断面図である。 図9の位置XI-XIにおける回転子の断面を示す断面図である。 回転子の他の形状を示す斜視図である。 回転子の第1の変形を示す斜視図である。 回転子の第2の変形を示す斜視図である。 回転子の第2の変形を示す斜視図である。 磁性粉をプレスして回転子を形成する様子を例示する斜視図である。 ホルダーに保持された状態の回転子を示す斜視図である。 回転子の第3の変形を示す斜視図である。 回転子の第3の変形を示す斜視図である。 回転子の第4の変形を示す斜視図である。 回転子の第5の変形を示す斜視図である。 回転子の第5の変形を示す斜視図である。 回転子の第5の変形を示す斜視図である。 回転子の第6の変形を示す斜視図である。 回転子の第7の変形を示す斜視図である。 回転子の第7の変形を示す斜視図である。 回転子の第8の変形を示す斜視図である。 回転子の第9の変形を示す斜視図である。 磁性体近傍を回転軸方向から見た平面図である。 図29の位置XXX-XXXにおける断面を示す断面図である。 図29の位置XXXI-XXXIにおける断面を示す断面図である。 図29の位置XXXII-XXXIIにおける断面を示す断面図である。 図29の位置XXXIII-XXXIIIにおける断面を示す断面図である。 固定子の構成を例示する斜視図である。 回転子を磁性体近傍で回転軸方向から見た平面図である。 図35の位置XXXVI-XXXVIにおける断面を示す断面図である。 この発明の第3の実施の形態にかかる回転電機の構成を示す斜視図である。 この発明の第4の実施の形態にかかる回転電機の回転子の構成を示す斜視図である。 この発明の第4の実施の形態にかかる回転電機の回転子の構成を示す斜視図である。 この発明の第5の実施の形態にかかる回転電機の回転子の構成を示す斜視図である。 この発明の第5の実施の形態にかかる回転電機の回転子の構成を示す斜視図である。 この発明の第5の実施の形態にかかる回転電機の回転子の構成を示す断面斜視図である。 この発明の第5の実施の形態にかかる回転電機の回転子の構成を示す断面斜視図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 この発明の第7の実施の形態にかかる回転電機の構成を示す斜視図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 この発明の第8の実施の形態にかかる回転電機の構成を示す斜視図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 回転子及び固定子を部分的に示す断面図である。 この発明の第9の実施の形態にかかる回転電機の構成を示す斜視図である。 この発明の第9の実施の形態にかかる回転電機の断面を示す断面図である。 上記の回転電機が適用される圧縮機の縦断面図である。 上記の回転電機が適用される圧縮機の縦断面図である。
符号の説明
1 回転子
2 電機子
22 電機子巻線
3 固定子
10A,10AN,10AS 永久磁石
10N,10S 磁極面
100N,100S,101N,101S,105N,105S 磁性板
100Q 磁性体
100Qa,100Qb,100Qc,102N,102S 磁性環
100Qc,30Q,304 突起
107N,107S コア
Q 回転軸

Claims (17)

  1. 回転軸(Q)の周りで周方向に回転可能であって界磁磁束を発生させる界磁子(1)と、
    前記回転軸に平行な回転軸方向の一方側から前記界磁子と対向し、前記界磁磁束と鎖交する電機子巻線(22)に電機子電流が流れる電機子(2)と、
    前記回転軸方向の他方側から前記界磁子と対向する磁性体の固定子(3)と
    を備え、
    前記界磁子は、
    前記回転軸の周囲で配置されて第1の極性の前記界磁磁束を供給する第1磁性環(102N)と、
    前記第1磁性環よりも前記回転軸(Q)側に配置され、第2の極性の前記界磁磁束を供給する第2磁性環(102S)と、
    前記電機子(2)に対向して前記周方向に環状に配置され、前記第2磁性環と磁気的に分離され、前記第1磁性環と磁気的に連結される第1磁性板(101N)と、
    前記電機子に対向して前記周方向の位置を前記第1磁性板と交互にして環状に配置され、前記第1磁性環及び前記第1磁性板と磁気的に分離され、前記第2磁性環と磁気的に連結される第2磁性板(101S)と
    を有する、アキシャルギャップ型回転電機。
  2. 前記第1磁性板(101N)の前記回転軸と反対側は前記第1の磁性環(102N)に連結され、かつ前記第2の磁性環(102S)の前記電機子(2)側に至るまで径方向に延在し、
    前記第2磁性板(101S)の前記回転軸側は前記第2の磁性環に連結され、かつ前記第1の磁性環の前記電機子側に至るまで径方向に延在する、請求項1記載のアキシャルギャップ形回転電機。
  3. 前記第1磁性環(102N)に前記第1の極性の前記界磁磁束を供給する第1磁極面(10N)と、
    前記第2磁性環(102S)に前記第2の極性の前記界磁磁束を供給する第2磁極面(10S)と、
    前記第1磁極面及び前記第2磁極面に前記界磁磁束を供給する永久磁石(10A)と
    を有する、請求項1又は請求項2記載のアキシャルギャップ型回転電機。
  4. 前記永久磁石(10A)は、
    前記第1磁極面(10N)及び前記第2磁極面(10S)の少なくともいずれか一方を呈する、請求項3記載のアキシャルギャップ型回転電機。
  5. 前記永久磁石(10A)は、前記第1磁極面(10N)及び前記第2磁極面(10S)のいずれか一方のみを呈し、
    前記界磁子(1)は、
    前記永久磁石(10A)と磁気的に連結されて、前記第1磁極面(10N)及び前記第2磁極面(10S)の他方を呈するヨーク(10Y)
    を更に有する、請求項4記載のアキシャルギャップ型回転電機。
  6. 前記永久磁石(10A)は、
    前記第1磁極面(10N)を呈して前記第1の極性の前記界磁磁束を発生する第1の環状永久磁石(10AN)と、
    前記第2磁極面(10S)を呈して前記第1の環状永久磁石よりも前記回転軸(Q)側に配置され、前記第2の極性の前記界磁磁束を発生する第2の環状永久磁石(10AS)と
    を有し、
    前記固定子(3)は、
    前記第1の環状永久磁石と前記第2の環状永久磁石との間に非接触で介挿する環状の突起(304)
    を有する、請求項4記載のアキシャルギャップ型回転電機。
  7. 前記永久磁石(10A)は、
    前記第1磁極面(10N)を呈して前記第1の極性の前記界磁磁束を発生する第1の環状永久磁石(10AN)と、
    前記第2磁極面(10S)を呈して前記第1の環状永久磁石よりも前記回転軸(Q)側に配置され、前記第2の極性の前記界磁磁束を発生する第2の環状永久磁石(10AS)と
    を有し、
    前記界磁子(2)は、
    前記第1磁性環(102N)及び前記第2磁性環(102S)と反対側で前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石同士を磁気的に連結する第3磁性板(106)
    を更に有する、請求項4記載のアキシャルギャップ型回転電機。
  8. 回転軸(Q)の周りで周方向に回転可能であって界磁磁束を発生させる界磁子(1)と、
    前記回転軸に平行な回転軸方向の一方側から前記界磁子と対向し、前記界磁磁束と鎖交する電機子巻線に電機子電流が流れる電機子(2)と、
    前記回転軸方向の他方側から前記界磁子と対向する磁性体の固定子(3)と
    を備え、
    前記界磁子は、
    前記回転軸の周囲で配置されて第1の極性の前記界磁磁束を供給する第1永久磁石(10DN)の複数と、
    前記回転軸の周囲で前記周方向に前記第1永久磁石と交互に配置されて、第2の極性の前記界磁磁束を供給する第2永久磁石(10DS)の複数と、
    前記電機子(2)に対向して前記周方向に環状に配置され、前記第1永久磁石と磁気的に連結される第1磁性板(105N)と、
    前記電機子に対向して前記周方向の位置を前記第1磁性板と交互にして環状に配置され、前記第1磁性板と磁気的に分離され、前記第2永久磁石と磁気的に連結される第2磁性板(105S)と、
    前記第1磁性板及び前記第2磁性板と反対側で、前記第1永久磁石の複数同士を連結する第1の磁性環(102N)と、
    前記第1磁性板及び前記第2磁性板と反対側で、前記第2永久磁石の複数同士を連結する第2の磁性環(102S)と
    を有するアキシャルギャップ型回転電機。
  9. 前記第1磁性板(101N)の前記回転軸と反対側は前記第1の磁性環(102N)に連結され、かつ前記第2の磁性環(102S)の前記電機子(2)側に至るまで径方向に延在し、
    前記第2磁性板(101S)の前記回転軸側は前記第2の磁性環に連結され、かつ前記第1の磁性環の前記電機子側に至るまで径方向に延在する、請求項7記載のアキシャルギャップ形回転電機。
  10. 前記固定子(3)は、
    前記第1の磁性環(102N)と前記第2の磁性環(102S)との間に非接触で介挿する環状の突起(304)
    を有する、請求項8又は請求項9記載のアキシャルギャップ型回転電機。
  11. 前記界磁子(2)は、
    前記第1永久磁石(10DN)及び前記第2永久磁性(10DS)と反対側で前記第1の磁性環(102N)及び前記第2の磁性環(102S)同士を磁気的に連結する第3磁性板(106)
    を更に有する、請求項8又は請求項9記載のアキシャルギャップ型回転電機。
  12. 前記界磁子(1)は、
    前記電機子に対向して前記周方向の位置を第1磁性板(100N;101N)及び第2磁性板(100S;101S)と交互にして環状に配置され、前記第1磁性環(102N)及び前記第2磁性環(102S)と磁気的に分離されつつ、相互に磁気的に連結される複数の磁性体(101Q)
    を更に有する、請求項4に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
  13. 前記界磁子(1)は、
    前記複数の磁性体(101Q)同士を前記回転軸(Q)と反対側で周方向に連結する磁性環(101Qa)を更に有する、請求項12に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
  14. 前記界磁子(1)は、
    前記複数の磁性体(101Q)同士を前記第1磁性環(102N)と前記第2磁性環(102S)との間で周方向に連結する磁性環(101Qc)を更に有する、請求項12に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
  15. 前記界磁子(1)は、
    前記複数の磁性体(101Q)同士を前記回転軸(Q)と反対側で周方向に連結する磁性環(101Qb)を更に有する、請求項12に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
  16. 前記界磁子(3)は、
    前記複数の磁性体(101Q)に近接する突起(30Q)
    を更に有する、請求項12に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
  17. 前記固定子(3)は、
    前記周方向に巻回され、前記界磁磁束を発生させるための界磁巻線(32)
    を有し、
    前記界磁巻線の径方向の位置は前記第1磁性環(102N)と前記第2磁性環(102S)との間にある請求項1乃至請求項16のいずれか一つに記載のアキシャルギャップ型回転電機。
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