JP2006346980A - 射出成形回路部品とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 隣り合う回路間での短絡を生じにくい射出成形回路部品と、その製造方法とを提供する。
【解決手段】 射出成形回路部品は、強化繊維の体積比率Vが0.05〜0.5で、かつ、強化繊維の平均繊維長w(μm)と、上記体積比率Vと、隣り合う回路間の距離L(μm)とが、式(1):
【数1】
を満足する樹脂組成物によって形成した一次成形品の表面に、回路を設けた。製造方法は、上記樹脂組成物を、射出成形して形成した一次成形品の表面に、二次成形部分をインサート成形して二色成形品を得、その表面に触媒を担持させた後、二次成形部分を除去して、一次成形品の表面の、触媒を担持させた領域に、化学めっきによって、選択的に、回路となる金属層を形成する。
【選択図】 なし
【解決手段】 射出成形回路部品は、強化繊維の体積比率Vが0.05〜0.5で、かつ、強化繊維の平均繊維長w(μm)と、上記体積比率Vと、隣り合う回路間の距離L(μm)とが、式(1):
【数1】
を満足する樹脂組成物によって形成した一次成形品の表面に、回路を設けた。製造方法は、上記樹脂組成物を、射出成形して形成した一次成形品の表面に、二次成形部分をインサート成形して二色成形品を得、その表面に触媒を担持させた後、二次成形部分を除去して、一次成形品の表面の、触媒を担持させた領域に、化学めっきによって、選択的に、回路となる金属層を形成する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、射出成形回路部品とその製造方法とに関するものである。
電子機器の小型化、軽量化、高性能化に伴って、プリント配線板のファインパターン化、多層化、機器内の配置の合理化、省スペース化などが進められている。また、機器類の組み立ての自動化の観点からも、組立性の向上を目指した、配線を合理化する技術が求められている。そこで、近時、このような要求に応えるために、これまでの平板状のプリント配線板や、それを厚み方向に多数、積層した多層配線板に代えて、任意の立体形状を有する射出成形回路部品(Molded Interconnect Device、以下、「MID」と略記する場合がある)を、配線に使用することが提案されている。
MIDは、樹脂組成物を射出成形して所定の立体形状に形成した一次成形品の表面に、配線(回路)を立体的に形成した立体配線板であって、自由な三次元性を持ち、配線の合理化のみならず、電子デバイス部品などの小型化、表面実装化を可能とするものである。例えば、MIDを機器内の隙間に配置することによって、集積密度を向上させることができる。MIDは、発光ダイオード等の半導体素子のパッケージ、三次元プリント配線板、携帯電話のアンテナ部品等に応用される。
MIDの製造方法は、樹脂組成物の射出成形回数によって、1ショット法と2ショット法とに大別される。また、2ショット法にも種々あるが、その代表例としては、下記の方法が挙げられる。すなわち、樹脂組成物の射出成形によって所定の立体形状を有する一次成形品を形成し、次いで、必要に応じて、その表面を粗面化した後、インサート成形によって、この一次成形品の表面の、回路を形成する領域以外の領域(以下「回路外の領域」と記載することがある)を覆うように二次成形部分を形成して、いわゆる二色成形品を得る。
次いで、この二色成形品の表面の全面に、化学めっきのための触媒を担持させる処理を施した後、二次成形部分を除去することで、一次成形品の表面の、回路を形成する領域にのみ、触媒を担持させた状態とする。そして、化学めっきを行って、一次成形品の表面の、選択的に触媒を担持させた領域に、所定のパターン形状を有する、回路となる金属層を形成してMIDを得る(特許文献1、2)。
上記のうち、一次成形品を形成するための樹脂組成物としては、射出成形が可能で、なおかつ、耐熱性に優れる、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等の樹脂に、強化繊維を配合したものが、一般的に用いられる。強化繊維は、例えば、MID上に素子を実装したり、MIDを基板上に実装したりする際等の、高温のはんだリフロー時の一次成形品に、十分な強度を付与すると共に、特に、粗面化した際に、一次成形品の表面に微細な凹凸を形成して、回路となる金属層の密着性を向上するために配合される。
高温での一次成形品の強度は、強化繊維の含有量が同一である場合、その平均繊維長wと平均繊維径dとの比w/dで表されるアスペクト比に比例して向上することが知られている。一方、金属層の密着性を向上するには、粗面化した一次成形品の表面に、ミクロンオーダーの凹凸があることが望ましいとされる。そのため、これらの効果を満足するために、強化繊維としては、通常、その平均繊維長が数十μm程度、平均繊維径が数μm程度である無機繊維等が用いられる。
特開平11−145583号公報(請求項1、第0008欄、第0012欄、第0015欄〜第0017欄、図1(a)〜(f))
特開2004−59829号公報(請求項6、第0004欄〜第0006欄、第0064欄、第0067欄〜第0069欄、第0071欄〜第0072欄、図1)
ところが、上記の無機繊維を含む樹脂組成物を用いて形成した一次成形品の表面に、先の製造方法によって、特に、隣り合う回路間の間隔が200μm以下といった微細な回路を形成すると、隣り合う回路間で短絡を生じやすいという問題がある。本発明の目的は、隣り合う回路間での短絡を生じにくい射出成形回路部品と、その製造方法とを提供することにある。
強化繊維と樹脂との界面には、通常、ごく微小な隙間が存在しているが、この隙間が、従来の樹脂組成物からなる一次成形品の場合、樹脂中に分散した、隣り合う強化繊維間で互いに繋がって、一次成形品の表面の、二次成形部分で覆われた回路外の領域を間に挟む、隣り合う2つの、二次成形部分で覆われていない、回路を形成するための領域間を繋ぐことがある。
そして、このような連続した隙間が生じると、二色成形品の表面に触媒を担持させる際に、触媒液が、二次成形部分で覆われている上記隙間内にも浸透して、隙間の内面にも触媒が担持され、二次成形部品を除去した後の化学めっきの工程で、担持された触媒を核として、隙間の内面に、隣り合う回路間を繋ぐ金属薄膜が形成されて、この金属薄膜を介して、隣り合う回路間が短絡する。
隣り合う回路間を、複数の強化繊維と樹脂との界面の隙間によって繋ぐために要する、強化繊維の最小の個数nは、隣り合う回路間の距離をL(μm)、強化繊維の平均繊維長をw(μm)とすると、式(2):
n=L/w (2)
で表すことができる。また、隣り合う回路間が、上記最小個数nの強化繊維と樹脂との界面によって繋がれる確率は、樹脂組成物の総体積を1としたときの、強化繊維の体積比率をVとすると、Vn×102(%)で表すことができ、この確率が小さいほど、隣り合う回路間が、複数の強化繊維と樹脂との界面の隙間によって繋がれる可能性が低くなると考えられる。
n=L/w (2)
で表すことができる。また、隣り合う回路間が、上記最小個数nの強化繊維と樹脂との界面によって繋がれる確率は、樹脂組成物の総体積を1としたときの、強化繊維の体積比率をVとすると、Vn×102(%)で表すことができ、この確率が小さいほど、隣り合う回路間が、複数の強化繊維と樹脂との界面の隙間によって繋がれる可能性が低くなると考えられる。
そこで、発明者は、上記の確率がどの程度小さければ、実質的に、隣り合う回路間で短絡を生じない射出成形回路部品を得ることができるかを検討した結果、確率Vn×102が0.1%以下、つまり、式(3):
Vn≦0.001 (3)
を満足する範囲内であればよいことを見出した。
Vn≦0.001 (3)
を満足する範囲内であればよいことを見出した。
ここで、個数nは、前記式(2)のように、射出成形回路部品を設計する際に設定される、隣り合う回路間の距離Lと、樹脂組成物に配合する強化繊維の強化繊維の平均繊維長wとの比L/wであるので、式(3)は、式(3'):
V(L/w)≦0.001 (3')
と書き換えることができ、この式(3')から、強化繊維の平均繊維長wと、体積比率Vとを、隣り合う回路間の距離Lに対して、式(1):
を満足する範囲に設定すれば、短絡を防止できることがわかる。
V(L/w)≦0.001 (3')
と書き換えることができ、この式(3')から、強化繊維の平均繊維長wと、体積比率Vとを、隣り合う回路間の距離Lに対して、式(1):
ただし、強化繊維の体積比率Vが大きすぎる場合には、たとえ、当該体積比率Vと、平均繊維長wとが、式(1)を満足する範囲内であっても、一次成形品の表面の、単位面積中に存在する強化繊維の数が多くなり、隣り合う強化繊維間の距離が小さくなるため、強化繊維と樹脂との界面に生じる隙間が連続しやすくなる。そして、この連続した隙間の内面に、触媒を担持させる工程と、化学めっきの工程とを経て、隣り合う回路間を繋ぐ金属薄膜が形成されて、短絡を生じやすくなる。
一方、強化繊維の体積比率Vが小さすぎる場合には、たとえ、当該体積比率Vと、平均繊維長wとが、式(1)を満足する範囲内であっても、強化繊維による、樹脂組成物を強化する効果が得られず、一次成形品の強度、特に曲げ強度が低下すると共に、寸法安定性が低下する。また、粗面化しても、一次成形品の表面に十分な凹凸が形成されないため、回路となる金属層の、一次成形品に対する密着性が低下する。そこで、発明者は、これらの問題を生じない強化繊維の体積比率の範囲についても検討した結果、樹脂組成物の総体積を1としたときの、強化繊維の体積比率を、0.05〜0.5とすればよいことを見出した。
したがって、本発明は、立体形状を有する一次成形品と、この一次成形品の表面に形成される回路とを有する射出成形回路部品であって、一次成形品が、強化繊維を含む樹脂組成物によって形成されると共に、樹脂組成物の総体積を1としたときの、強化繊維の体積比率Vが0.05〜0.5で、かつ、強化繊維の平均繊維長w(μm)と、上記体積比率Vと、隣り合う回路間の距離L(μm)とが、式(1):
を満足することを特徴とするものである。
また、本発明の射出成形回路部品の製造方法は、強化繊維を含む樹脂組成物を射出成形して一次成形品を形成する工程と、形成した一次成形品をインサート成形して、その表面の、回路を形成しない領域を、二次成形部分で被覆して二色成形品を形成する工程と、形成した二色成形品の表面の全面に、化学めっきのための触媒を担持させる工程と、二次成形部分を除去する工程と、一次成形品の表面の、二次成形部分を除去した領域以外の、触媒を担持させた領域に、化学めっきによって、選択的に、回路となる金属層を形成する工程とを含むことを特徴とするものである。
本発明の射出成形回路部品は、立体形状を有する一次成形品と、この一次成形品の表面に形成される回路とを有すると共に、一次成形品が、強化繊維を含む樹脂組成物によって形成されると共に、樹脂組成物の総体積を1としたときの、強化繊維の体積比率Vが0.05〜0.5で、かつ、強化繊維の平均繊維長w(μm)と、上記体積比率Vと、隣り合う回路間の距離L(μm)とが、式(1):
を満足することを特徴とするものである。
強化繊維の平均繊維長wと、体積比率Vとが、隣り合う回路間の距離Lに対して、式(1)を満足しない場合、つまり式(4):
である場合には、たとえ、強化繊維の体積比率Vが0.05〜0.5の範囲内であっても、隣り合う回路間が最小個数nの強化繊維と樹脂との界面によって繋がれる確率Vn×102(%)が、0.1%より高くなる。
そして、強化繊維と樹脂との界面の、ごく微小な隙間が、樹脂中に分散した、隣り合う強化繊維間で互いに繋がって、一次成形品の表面の、二次成形部分で覆われた回路外の領域を間に挟む、隣り合う2つの、回路を形成する領域間を繋ぐ連続した隙間を生じ、この連続した隙間の内面に、触媒を担持させる工程と、化学めっきの工程とを経て、隣り合う回路間を繋ぐ金属薄膜が形成されて、この金属薄膜を介して、隣り合う回路間が短絡する。
強化繊維の平均繊維長wの具体的な範囲は、特に限定されないものの、平均繊維長wが1μm未満では、当該強化繊維による、樹脂組成物を強化する効果が得られず、一次成形品の強度、特に曲げ強度が低下すると共に、寸法安定性が低下するおそれがある。そのため、強化繊維の平均繊維長wは、1μm以上であるのが好ましい。また、平均繊維長wの上限値は、隣り合う回路間での短絡を防止するために、当該回路間の距離L未満であればよいが、短絡を、より確実に防止するためには、回路間の距離Lの0.2倍以下であるのが好ましい。
強化繊維の、その他の特性は、特に限定されないが、強化繊維の、平均繊維長wと平均繊維径dとの比w/dで表されるアスペクト比は、10〜100であるのが好ましい。アスペクト比が10未満では、相対的に、強化繊維の繊維径が大きくなることから、強化繊維と樹脂との界面に生じる隙間が、隣り合う強化繊維間で連続しやすくなる。そして、この連続した隙間の内面に、隣り合う回路間を繋ぐ金属薄膜が形成されて、短絡を生じるおそれがある。また、アスペクト比が上記の範囲未満では、強化繊維による、樹脂組成物を強化する効果が不十分になるおそれもある。
一方、アスペクト比が100を超える場合には、繊維径が小さくなりすぎて、樹脂中に均一に分散させるのが難しくなり、凝集を生じて、樹脂組成物の物性が不均一になるおそれがある。なお、強化繊維のアスペクト比は、隣り合う回路間の短絡を確実に防止することや、樹脂組成物を十分に強化することと、強化繊維を樹脂中に均一に分散できるようにすることとの兼ね合いを考慮すると、上記の範囲内でも、特に、10〜50であるのが好ましく、10〜20であるのがさらに好ましい。
なお、強化繊維の平均繊維長w、および平均繊維径dは、強化繊維の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、写真に写された中から無作為に選んだ20本の強化繊維について長さと径を測定した結果の平均値でもって表すこととする。
強化繊維としては、上記の特性を満足する種々の強化繊維が、いずれも使用可能であるが、特に、上記のように、その繊維長や繊維径を小さくしても、一次成形品に、良好な寸法安定性と強度とを付与することを考慮すると、ホウ酸アルミニウム、六チタン酸カリウム、および酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の、樹脂組成物を強化する機能にすぐれると共に、自身の寸法安定性にすぐれた無機繊維を用いるのが好ましい。
強化繊維の体積比率Vが0.05〜0.5に限定されるのは、以下の理由による。すなわち、体積比率Vが0.05未満では、強化繊維による、樹脂組成物を強化する効果が得られず、一次成形品の強度、特に曲げ強度が低下すると共に、寸法安定性が低下する。また、粗面化しても、一次成形品の表面に十分な凹凸が形成されず、回路となる金属層の、一次成形品に対する密着性が低下する。一方、強化繊維の体積比率Vが0.5を超える場合には、たとえ、当該体積比率Vと、平均繊維長wとが、式(1)を満足したとしても、一次成形品の表面の、単位面積中に存在する強化繊維の数が多くなり、隣り合う強化繊維間の距離が小さくなるため、強化繊維と樹脂との界面に生じる隙間が連続しやすくなる。そして、この連続した隙間の内面に、隣り合う回路間を繋ぐ金属薄膜が形成されて、短絡を生じる。
なお、強化繊維の体積比率Vは、樹脂組成物を十分に強化することや、回路となる金属層の、一次成形品に対する密着性を向上することと、隣り合う回路間の短絡を確実に防止することとの兼ね合いを考慮すると、上記の範囲内でも、特に、0.1〜0.4であるのが好ましく、0.15〜0.35であるのがさらに好ましい。
強化繊維と共に、樹脂組成物を構成する樹脂としては、射出成形が可能で、なおかつ、耐熱性に優れる、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミド9T等)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等が挙げられ、中でも、上記特性のバランスにすぐれると共に、後述するように、電離放射線の照射によって架橋される架橋性を付与することが容易な熱可塑性ポリエステル系樹脂が好ましい。
熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘキシレンテレフタレート(PCT)、シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールとテレフタル酸とのポリエステル(PCT−PET)、シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールとテレフタル酸とイソフタル酸とのポリエステル(PCTA)、シクロヘキサンジメタノールとシクロヘキサンジカルボン酸とのポリエステル、シクロヘキサンジメタノールとシクロヘキサンジカルボン酸とテレフタル酸とのポリエステル、シクロヘキサンジメタノールとシクロヘキサンジカルボン酸とテレフタル酸とフマル酸とのポリエステル、および液晶ポリエステル(LCP)等が挙げられる。
中でも、特に、PBT、シクロヘキサンジメタノールとシクロヘキサンジカルボン酸とのポリエステル、シクロヘキサンジメタノールとシクロヘキサンジカルボン酸とテレフタル酸とのポリエステル、シクロヘキサンジメタノールとシクロヘキサンジカルボン酸とテレフタル酸とフマル酸とのポリエステル、およびLCPからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
熱可塑性ポリエステル系樹脂は、射出成形後に、電離放射線の照射によって架橋させることで、一次成形品の強度や寸法安定性をさらに向上させることができる。熱可塑性ポリエステル系樹脂を、電子線等の電離放射線の照射によって架橋させるためには、使用する熱可塑性ポリエステル系樹脂の分子中に、架橋の起点となる多官能性モノマーからなる繰り返し単位や、重合性官能基等を導入して、架橋性を付与すればよい。熱可塑性ポリエステル系樹脂の架橋は、射出成形後の任意の時点で行うことができる。また、樹脂組成物には、一次成形品を難燃化するために、臭素系難燃剤等の難燃剤を含有させてもよい。
本発明のMIDは、上記の各成分を含む樹脂組成物を射出成形して一次成形品を形成する工程と、形成した一次成形品をインサート成形して、その表面の、回路を形成しない領域を、二次成形部分で被覆して二色成形品を形成する工程と、形成した二色成形品の表面の全面に、化学めっきのための触媒を担持させる工程と、二次成形部分を除去する工程と、一次成形品の表面の、二次成形部分を除去した領域以外の、触媒を担持させた領域に、化学めっきによって、選択的に、回路となる金属層を形成する工程とを含む本発明の製造方法によって製造することができる。
すなわち、一次成形品は、上記の各成分を含む樹脂組成物を、従来同様に、射出成形機を用いて加熱して溶融させた状態で、当該射出成形機に接続した金型の、一時成形品の外形に対応した型窩内に注入した後、冷却して固化させることで形成される。形成した一次成形品の表面に、上記の各工程を経て回路を形成するためには、まず、必要に応じて、当該一次成形品の表面から強化繊維の含有量の少ない表皮層を除去すると共に、回路となる金属層の密着性を向上するために粗面化する。粗面化の方法としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液を50〜90℃に加熱した中に、一次成形品を、およそ1〜60分間、浸漬する方法等が挙げられるが、その他の粗面化方法を採用することもできる。
次に、形成した一次成形品を用いて、インサート成形することにより、当該一次成形品の表面の、回路を形成する領域以外の領域を覆う二次成形部分を形成して、二色成形品を得る。詳しくは、二次成形部分の外形に対応する型窩と、この型窩内において、一次成形品を保持するための保持部とを備えた金型を用意し、この金型の保持部に、あらかじめ形成した一次成形品を保持した状態で、当該一次成形品と型窩との間の空間に、加熱して溶融させた樹脂を注入した後、冷却して固化させることで、所定の外形を有する二次成形部分を形成して二色成形品を製造する。
二次成形部分を形成する樹脂としては、一次成形品を使用したインサート成形が可能である、つまり、一次成形品に影響を及ぼさない条件で、二次成形部分を射出成形することができると共に、一次成形品を溶解させたり変形させたりしない条件下で溶出させることができる種々の樹脂が挙げられる。そのような樹脂としては、例えば、ポリアミドとポリアミドアミンとを溶融混合して、アミド交換反応させて得た熱可塑性ポリアミドと、水酸化アルミニウムとを含む樹脂組成物が挙げられる。また、前記特許文献1に開示されたオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂等の、湯中に溶出可能な樹脂や、あるいは、特許文献2に開示された有機酸可溶型ポリアミド樹脂等も使用可能である。
次に、形成した二色成形品の表面の全面に、常法にしたがって、脱脂、親水化、触媒担持等の工程を経て、触媒を担持させた後、二次成形部分を除去することで、一次成形品の表面の、回路を形成する領域、すなわち、二次成形部分を形成しなかった領域にのみ、選択的に、触媒を担持させた状態とし、さらに活性化して化学めっきを行うと、一次成形品の表面の、選択的に触媒を担持させた領域に、回路の平面形状に対応する所定のパターン形状を有する、回路となる金属層が形成されて、MIDが完成する。
この際、本発明においては、前記のように、一次成形品が、強化繊維を所定の含有割合V×102(体積%)で含むと共に、強化繊維の平均繊維長wが、上記Vと、隣り合う回路間の距離Lとに対して、前記式(1)を満足する樹脂組成物によって形成されているため、強化繊維と樹脂との界面の、ごく微小な隙間が、樹脂中に分散した、隣り合う強化繊維間で互いに繋がって、一次成形品の表面の、二次成形部分で覆われた回路外の領域を間に挟む、隣り合う2つの、回路を形成する領域間を繋ぐ連続した隙間を生じることがない。
そのため、触媒を担持させる工程と、化学めっきの工程とを経ても、回路外の領域には、隣り合う回路間を直接に繋ぐような、連続した金属薄膜は形成されないため、実質的に、隣り合う回路間で短絡を生じないMIDを得ることができる。
なお、金属層は、化学めっきによって容易に膜形成できること、マイグレーションを生じにくいこと、導電性に優れることが望ましく、これらの点を考慮すると、化学めっきによって形成する金属層は、無電解銅めっき層であるのが好ましい。また、形成した金属層を陰極として使用して、その上に、電気めっき処理によって、さらに金属層を積層することもできる。その際、化学めっきによって形成する下地の金属層は、できるだけイオン化傾向が小さく、電気めっき液中に溶出しにくい金属によって形成するのが好ましく、やはり無電解銅めっき層が好ましい。また、上記無電解銅めっき層等の上に、電気めっきによって厚付けする金属層としては、単層の、または2層以上の積層構造を有する種々の金属層が挙げられる。
上記の工程を経て製造される本発明のMIDは、その自由な三次元性を利用して、例えば、発光ダイオード等の半導体素子のパッケージ、三次元プリント配線板、携帯電話のアンテナ部品等に応用することができる。その際、本発明の構成によれば、特に、隣り合う回路間の間隔を200μm以下としても、短絡が生じるのをより確実に防止することができる。そのため、本発明のMIDによれば、これまでよりも回路を微細化して、上記パッケージ等が組み込まれる機器類の集積密度をさらに向上することが可能となる。
なお、MIDの表面に形成する隣り合う回路間の距離Lは、回路の微細化による、機器類の集積密度の向上を考慮すると、上記のように200μm以下であるのが好ましく、10〜100μmであるのがさらに好ましい。
実施例1:
(一次成形品の成形および粗面化)
強化繊維としての、平均繊維長w=7.5μm、平均繊維径0.1μm、アスペクト比75のホウ酸アルミニウム〔四国化成工業(株)製の登録商標アルボレックスM20〕と、樹脂としての、電子線の照射によって架橋する架橋性を付与したPBTとを含む樹脂組成物を用いて、射出成形により、一次成形品を作製した後、加速電圧3MeVの電子線を、照射線量が250kGyとなるように照射して、PBTを架橋させた。樹脂組成物の総体積を1としたときの、ホウ酸アルミニウムの体積比率V=0.07であった。架橋後の一次成形品をエタノールで洗浄し、80℃に設定した45%水酸化ナトリウム水溶液中に5分間、浸漬した後、3%塩酸で中和する工程を経て、その表面を粗面化した。
(一次成形品の成形および粗面化)
強化繊維としての、平均繊維長w=7.5μm、平均繊維径0.1μm、アスペクト比75のホウ酸アルミニウム〔四国化成工業(株)製の登録商標アルボレックスM20〕と、樹脂としての、電子線の照射によって架橋する架橋性を付与したPBTとを含む樹脂組成物を用いて、射出成形により、一次成形品を作製した後、加速電圧3MeVの電子線を、照射線量が250kGyとなるように照射して、PBTを架橋させた。樹脂組成物の総体積を1としたときの、ホウ酸アルミニウムの体積比率V=0.07であった。架橋後の一次成形品をエタノールで洗浄し、80℃に設定した45%水酸化ナトリウム水溶液中に5分間、浸漬した後、3%塩酸で中和する工程を経て、その表面を粗面化した。
(二色成形品の形成)
上記一次成形品をインサート成形して、その表面の、回路を形成しない領域を、二次成形部分で被覆して二色成形品を形成した。二次成形部分は、ポリアミドとポリアミドアミンとを重量比で8/2の割合で配合し、230℃で12時間、溶融混合することで、アミド交換反応させて得た熱可塑性ポリアミドと、水酸化アルミニウムとを含む樹脂組成物を用いて形成した。樹脂組成物における、水酸化アルミニウムの含有量は20体積%であった。また、二次成形部分は、一次成形品の表面に形成する、回路幅が50μmで、かつ、隣り合う回路間の距離L=50μmである回路に対応させて、上記回路間の、回路を形成しない領域を被覆するように形成した。
上記一次成形品をインサート成形して、その表面の、回路を形成しない領域を、二次成形部分で被覆して二色成形品を形成した。二次成形部分は、ポリアミドとポリアミドアミンとを重量比で8/2の割合で配合し、230℃で12時間、溶融混合することで、アミド交換反応させて得た熱可塑性ポリアミドと、水酸化アルミニウムとを含む樹脂組成物を用いて形成した。樹脂組成物における、水酸化アルミニウムの含有量は20体積%であった。また、二次成形部分は、一次成形品の表面に形成する、回路幅が50μmで、かつ、隣り合う回路間の距離L=50μmである回路に対応させて、上記回路間の、回路を形成しない領域を被覆するように形成した。
(脱脂処理)
脱脂処理剤〔奥野製薬工業(株)製の商品名エースクリーンA−220〕を純水に溶解して、濃度40g/リットルの処理液を調製した。そして、45℃に設定した上記処理液中に、先の工程で形成した二色成形品を15分間、浸漬し、次いで、45℃の温水中に5分間浸漬した後、イオン交換水で洗浄して脱脂処理した。
脱脂処理剤〔奥野製薬工業(株)製の商品名エースクリーンA−220〕を純水に溶解して、濃度40g/リットルの処理液を調製した。そして、45℃に設定した上記処理液中に、先の工程で形成した二色成形品を15分間、浸漬し、次いで、45℃の温水中に5分間浸漬した後、イオン交換水で洗浄して脱脂処理した。
(表面調整)
コンディショナー3320〔ローム・アンド・ハース社製の商品名〕を純水に溶解して、濃度100ml/リットルの処理液を調製した。そして、45℃に設定した上記処理液中に、脱脂処理した二色成形品を15分間、浸漬し、次いで、イオン交換水で洗浄して表面調整した。
コンディショナー3320〔ローム・アンド・ハース社製の商品名〕を純水に溶解して、濃度100ml/リットルの処理液を調製した。そして、45℃に設定した上記処理液中に、脱脂処理した二色成形品を15分間、浸漬し、次いで、イオン交換水で洗浄して表面調整した。
(プレディップ処理)
塩化ナトリウム水溶液(濃度180g/リットル)、36%塩酸の水溶液(濃度80ml/リットル)、およびOS−1505〔ローム・アンド・ハース社製の商品名〕の水溶液(濃度20ml/リットル)を、それぞれ同体積ずつ混合して処理液を調製した。そして、45℃に設定した上記処理液中に、表面調整した二色成形品を3分間、浸漬してプレディップ処理した。
塩化ナトリウム水溶液(濃度180g/リットル)、36%塩酸の水溶液(濃度80ml/リットル)、およびOS−1505〔ローム・アンド・ハース社製の商品名〕の水溶液(濃度20ml/リットル)を、それぞれ同体積ずつ混合して処理液を調製した。そして、45℃に設定した上記処理液中に、表面調整した二色成形品を3分間、浸漬してプレディップ処理した。
(触媒付与)
塩化ナトリウム水溶液(濃度180g/リットル)、36%塩酸の水溶液(濃度100ml/リットル)、OS−1505〔ローム・アンド・ハース社製の商品名〕の水溶液(濃度20ml/リットル)、およびOS−1558〔ローム・アンド・ハース社製の商品名〕の水溶液(濃度20ml/リットル)を、それぞれ同体積ずつ混合して処理液を調製した。そして、30℃に設定した上記処理液中に、プレディップ処理した二色成形品を8分間、浸漬し、次いで、イオン交換水で洗浄して、その表面に触媒を付与した。
塩化ナトリウム水溶液(濃度180g/リットル)、36%塩酸の水溶液(濃度100ml/リットル)、OS−1505〔ローム・アンド・ハース社製の商品名〕の水溶液(濃度20ml/リットル)、およびOS−1558〔ローム・アンド・ハース社製の商品名〕の水溶液(濃度20ml/リットル)を、それぞれ同体積ずつ混合して処理液を調製した。そして、30℃に設定した上記処理液中に、プレディップ処理した二色成形品を8分間、浸漬し、次いで、イオン交換水で洗浄して、その表面に触媒を付与した。
(二次成形部分の除去)
触媒付与した二色成形品を、80℃に設定した2−プロパノール中に30分間、浸漬して、二次成形部分を溶解させて除去した後、成形品の表面に残存する水酸化アルミニウムを除去するために、イオン交換水中に浸漬して5分間、超音波洗浄した。
触媒付与した二色成形品を、80℃に設定した2−プロパノール中に30分間、浸漬して、二次成形部分を溶解させて除去した後、成形品の表面に残存する水酸化アルミニウムを除去するために、イオン交換水中に浸漬して5分間、超音波洗浄した。
(酸活性化)
二次成形部分を溶解させて除去し、超音波した一次成形品を、45℃に設定した95%硫酸の水溶液(濃度50ml/リットル)中に2分間、浸漬し、次いで、イオン交換水で洗浄して触媒を活性化させた。
二次成形部分を溶解させて除去し、超音波した一次成形品を、45℃に設定した95%硫酸の水溶液(濃度50ml/リットル)中に2分間、浸漬し、次いで、イオン交換水で洗浄して触媒を活性化させた。
(無電解銅めっき)
下記の各水溶液を、それぞれ同体積ずつ混合して無電解銅めっき液を調製した。
OS−1598Mの水溶液(濃度48ml/リットル)
OS−1598Aの水溶液(濃度10ml/リットル)
OS−1598Rの水溶液(濃度2ml/リットル)
OS−1120SRの水溶液(濃度2.1ml/リットル)
CupZの水溶液(濃度23ml/リットル)
CupYの水溶液(濃度12ml/リットル)
〔いずれもローム・アンド・ハース社製の商品名〕
下記の各水溶液を、それぞれ同体積ずつ混合して無電解銅めっき液を調製した。
OS−1598Mの水溶液(濃度48ml/リットル)
OS−1598Aの水溶液(濃度10ml/リットル)
OS−1598Rの水溶液(濃度2ml/リットル)
OS−1120SRの水溶液(濃度2.1ml/リットル)
CupZの水溶液(濃度23ml/リットル)
CupYの水溶液(濃度12ml/リットル)
〔いずれもローム・アンド・ハース社製の商品名〕
そして、45℃に設定した上記無電解銅めっき液中に、触媒を活性化させた一次成形品を15分間、浸漬して無電解銅めっき処理し、次いで、イオン交換水で洗浄して、一次成形品の表面の、前記二次成形部分によって覆われていなかった領域に、回路幅が50μm、隣り合う回路間の間隔が50μmの、無電解銅めっき層からなる回路を形成してMIDを製造した。
実施例2、比較例1、2:
樹脂組成物の総体積を1としたときの、ホウ酸アルミニウムの体積比率Vを、0.04(比較例1)、0.2(実施例2)、0.5(比較例2)としたこと以外は実施例1と同様にして、MIDを製造した。
樹脂組成物の総体積を1としたときの、ホウ酸アルミニウムの体積比率Vを、0.04(比較例1)、0.2(実施例2)、0.5(比較例2)としたこと以外は実施例1と同様にして、MIDを製造した。
実施例3、4:
比較例2で使用したのと同じ、ホウ酸アルミニウムの体積比率V=0.5である樹脂組成物を使用すると共に、隣り合う回路間の距離Lを、75μm(実施例3)、100μm(実施例4)としたこと以外は実施例1と同様にして、MIDを製造した。
比較例2で使用したのと同じ、ホウ酸アルミニウムの体積比率V=0.5である樹脂組成物を使用すると共に、隣り合う回路間の距離Lを、75μm(実施例3)、100μm(実施例4)としたこと以外は実施例1と同様にして、MIDを製造した。
実施例5:
樹脂としてLCPを使用し、かつ、強化繊維としてのホウ酸アルミニウムの体積比率V=0.2とすると共に、作製した一次成形品に電子線を照射して架橋させる工程を省略したこと以外は実施例1と同様にして、MIDを製造した。
樹脂としてLCPを使用し、かつ、強化繊維としてのホウ酸アルミニウムの体積比率V=0.2とすると共に、作製した一次成形品に電子線を照射して架橋させる工程を省略したこと以外は実施例1と同様にして、MIDを製造した。
実施例6:
樹脂として、電子線の照射によって架橋する架橋性を付与した、シクロヘキサンジメタノールとシクロヘキサンジカルボン酸とテレフタル酸とのポリエステルを使用し、かつ、強化繊維としてのホウ酸アルミニウムの体積比率V=0.2としたこと以外は実施例1と同様にして、MIDを製造した。
樹脂として、電子線の照射によって架橋する架橋性を付与した、シクロヘキサンジメタノールとシクロヘキサンジカルボン酸とテレフタル酸とのポリエステルを使用し、かつ、強化繊維としてのホウ酸アルミニウムの体積比率V=0.2としたこと以外は実施例1と同様にして、MIDを製造した。
実施例7:
強化繊維として、平均繊維長w=15μm、平均繊維径0.4μm、アスペクト比38の六チタン酸カリウム〔大塚化学(株)製の商品名ティスモ−N〕を使用し、その体積比率V=0.2とすると共に、隣り合う回路間の距離L=75μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、MIDを製造した。
強化繊維として、平均繊維長w=15μm、平均繊維径0.4μm、アスペクト比38の六チタン酸カリウム〔大塚化学(株)製の商品名ティスモ−N〕を使用し、その体積比率V=0.2とすると共に、隣り合う回路間の距離L=75μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、MIDを製造した。
実施例8:
強化繊維として、平均繊維長w=1.7μm、平均繊維径0.1μm、アスペクト比17の酸化チタン〔石原産業(株)製の商品名FTL−100〕を使用し、その体積比率V=0.45としたこと以外は実施例1と同様にして、MIDを製造した。
強化繊維として、平均繊維長w=1.7μm、平均繊維径0.1μm、アスペクト比17の酸化チタン〔石原産業(株)製の商品名FTL−100〕を使用し、その体積比率V=0.45としたこと以外は実施例1と同様にして、MIDを製造した。
比較例3:
強化繊維として、平均繊維長35μm、平均繊維径3.3μm、アスペクト比11のワラストナイト〔川鉄鉱業(株)製の商品名PH−450〕を使用すると共に、その体積比率V=0.03としたこと以外は実施例1と同様にして、MIDを製造した。
強化繊維として、平均繊維長35μm、平均繊維径3.3μm、アスペクト比11のワラストナイト〔川鉄鉱業(株)製の商品名PH−450〕を使用すると共に、その体積比率V=0.03としたこと以外は実施例1と同様にして、MIDを製造した。
曲げ強度試験:
実施例1〜4、6、比較例1〜3は成形し、架橋した後、粗面化する前の、実施例5は成形した後、粗面化する前の一次成形品の曲げ強度を、ISO 178:2001 "Plastics-Determination of flexural properties"に則って測定し、曲げ強度が110MPa以上のものを良好(○)、上記範囲未満のものを不良(×)として評価した。
実施例1〜4、6、比較例1〜3は成形し、架橋した後、粗面化する前の、実施例5は成形した後、粗面化する前の一次成形品の曲げ強度を、ISO 178:2001 "Plastics-Determination of flexural properties"に則って測定し、曲げ強度が110MPa以上のものを良好(○)、上記範囲未満のものを不良(×)として評価した。
短絡不良試験:
実施例、比較例で製造したMIDの、隣り合う各回路間の短絡の有無を検査し、短絡が全くなかったものを良好(○)、1つでも短絡があったものを不良(×)として評価した。
以上の結果を表1〜3に示す。
実施例、比較例で製造したMIDの、隣り合う各回路間の短絡の有無を検査し、短絡が全くなかったものを良好(○)、1つでも短絡があったものを不良(×)として評価した。
以上の結果を表1〜3に示す。
表の、比較例1の結果から、強化繊維の体積比率Vが0.05未満では、一次成形品の曲げ強度が低下することがわかった。また、比較例2、3の結果から、強化繊維の繊維長wと、体積比率Vとが、隣り合う回路間の間隔L(μm)に対して式(1)を満足しない場合には、隣り合う回路間で短絡が発生することがわかった。
これに対し、各実施例の結果から、強化繊維の体積比率Vが0.05〜0.5の範囲内で、かつ、繊維長wと体積比率Vとが、隣り合う回路間の間隔L(μm)に対して式(1)を満足する場合には、一次成形品の曲げ強度を向上しながら、隣り合う回路間で短絡が発生するのを確実に防止できることがわかった。
Claims (7)
- 強化繊維が、ホウ酸アルミニウム、六チタン酸カリウム、および酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機繊維である請求項1記載の射出成形回路部品。
- 樹脂組成物を構成する樹脂が、熱可塑性ポリエステル系樹脂である請求項1記載の射出成形回路部品。
- 熱可塑性ポリエステル系樹脂が、電離放射線の照射によって架橋される架橋性を有し、射出成形後に、電離放射線の照射によって架橋される請求項3記載の射出成形回路部品。
- 熱可塑性ポリエステル系樹脂が、ポリブチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノールとシクロヘキサンジカルボン酸とのポリエステル、シクロヘキサンジメタノールとシクロヘキサンジカルボン酸とテレフタル酸とのポリエステル、シクロヘキサンジメタノールとシクロヘキサンジカルボン酸とテレフタル酸とフマル酸とのポリエステル、および液晶ポリエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の射出成形回路部品。
- 請求項1記載の射出成形回路部品を製造するための製造方法であって、強化繊維を含む樹脂組成物を射出成形して一次成形品を形成する工程と、形成した一次成形品をインサート成形して、その表面の、回路を形成しない領域を、二次成形部分で被覆して二色成形品を形成する工程と、形成した二色成形品の表面の全面に、化学めっきのための触媒を担持させる工程と、二次成形部分を除去する工程と、一次成形品の表面の、二次成形部分を除去した領域以外の、触媒を担持させた領域に、化学めっきによって、選択的に、回路となる金属層を形成する工程とを含むことを特徴とする射出成形回路部品の製造方法。
- 樹脂組成物を構成する樹脂が、電離放射線の照射によって架橋される架橋性を有する熱可塑性ポリエステル系樹脂であり、インサート成形前の一次成形品に電離放射線を照射して、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂を架橋させる工程を含む請求項6記載の射出成形回路部品の製造方法。
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- 2005-06-15 JP JP2005175487A patent/JP2006346980A/ja active Pending
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