JP2006346958A - ウエットマスターバッチの製造方法、ならびに、この方法によって形成されたウエットマスターバッチ、ゴム組成物、および、タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】充填材を含有するスラリー溶液とゴム溶液とを連続的に混合・凝固したものから固水分離して抽出された固形分を圧搾して脱水するに際し、作業上のトラブルを発生させることなく脱水効率を大幅に向上させることのできるウエットマスターバッチの製造方法、この製造方法により形成されたウエットマスターバッチ、ゴム組成物、ならびに、タイヤを提供する。
【解決手段】外筒2内で軸心を相互に傾斜させて面対称に対向するよう配置された一対の円錐状ろ過盤6、7よりなる傘型連続脱水機1を用い、外筒2の内周面2aとそれらの円錐状ろ過盤6、7の錐面6c、7cとによって画成される空間Vに、前記凝固液から分離された固形分を連続的に供給し、前記円錐状ろ過盤をそれぞれの軸心周りに同じ速度で回転させることにより、二枚の円錐状ろ過盤6、で前記固形分を圧搾しながら前記空間の入り口13から出口14まで運んで固形分を脱水し、脱水7された水分を、円錐状ろ過盤6、7を通して排出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、充填材を含有するスラリー溶液とゴム溶液とを混合・凝固させあと、生成物を脱水してウエットマスターバッチを製造する方法、および、この方法によって形成されたマスターバッチ、ゴム組成物、ならびに、タイヤに関し、特に、脱水効率を上げることのできるものに関する。
従来から、充填材を含むゴム組成物を形成する際の加工性や分散性を向上させるため、ウエットマスターバッチを用いる方法が知られている。このウエットマスターバッチは、カーボンブラックやシリカ等の充填材を含有するスラリー溶液とゴム溶液とを混合して凝固させ、これらの凝固物を含有する凝固液から固形分だけを分離し、分離された固形分を脱水し乾燥させて生成される。
そして、前記固形分を脱水するには、合成ゴムの製造時と同様に、今まで、フレンチオイルミルとして知られるスクリュープレス型脱水機を用いることが広く行われており、これは、ろ過盤で構成された押出機バレル中に供給された固形分をスクリューで圧搾しながら押出して脱水するものであり、脱水された水分はバレルのろ過盤を通して排出される(例えば、特許文献1参照。)。
特開昭48−99282号公報
しかしながら、上記の方法において、特に、充填材の配合比が大きいウエットマスターバッチや、伸長結晶性を具えたポリマーを用いたマスターバッチの場合、固形分が、バレルの中で剪断力を受けることにより、バレル内で固形分が固化してしまい、内部に詰まったまま出口から出てこなくなったり、内部で固形分の温度が異常に上昇したりするトラブルを発生させる場合があり、そのため、十分な圧搾圧力を加えることができず、そのため脱水効率を上げることができなかった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、充填材を含有するスラリー溶液とゴム溶液とを連続的に混合・凝固したものから固水分離して抽出された固形分を圧搾して脱水するに際し、作業上のトラブルを発生させることなく脱水効率を大幅に向上させることのできるウエットマスターバッチの製造方法、この製造方法により形成されたウエットマスターバッチ、ゴム組成物、ならびに、タイヤを提供することを目的とする。
<1>は、充填材を含有するスラリー溶液とゴム溶液とを混合・凝固させ、凝固物を含有する凝固液から固形分を分離して脱水したあと、これを乾燥させてウエットマスターバッチを連続的に製造する方法において、
前記固形分を脱水する工程において、外筒内で軸心を相互に傾斜させて面対称に対向するよう配置された一対の円錐状ろ過盤よりなる傘型連続脱水機を用い、外筒の内周面とそれらの円錐状ろ過盤の錐面とによって画成される空間に、前記凝固液から分離された固形分を連続的に供給し、前記円錐状ろ過盤をそれぞれの軸心周りに同じ速度で回転させることにより、二枚の円錐状ろ過盤で前記固形分を圧搾しながら前記空間の入り口から出口まで運んで固形分を脱水し、脱水された水分を、円錐状ろ過盤を通して排出するウエットマスターバッチの製造方法である。
<2>は、<1>において、前記二枚の前記円錐状ろ過盤で固形分を圧搾する圧力を制御しながら、固形分を前記空間の入り口から出口まで運ぶウエットマスターバッチの製造方法である。
<3>は、<1>もしくは<2>において、前記固形分を脱水する工程のあと、この固形分を乾燥させるに際し、固形分にせん断力を加えながら乾燥を行うウエットマスターバッチの製造方法である。
<4>は、<3>において、前記固形分を乾燥させるに際し、バレルとその中で回転する複数のスクリューとよりなる多軸混練押出機を用い、昇温されたバレル中に供給された固形分を、回転するスクリューでせん断力を加えながら押し出すことにより、固形分中の水分を加熱蒸発させて乾燥させるウエットマスターバッチの製造方法である。
<5>は、<1>〜<4>ののいずれかの製造方法によって形成されたウエットマスターバッチである。
<6>は、<5>のウエットマスターバッチを用いて形成されたゴム組成物である。
<7>は、<6>のゴム組成物を用いて形成されたタイヤである。
<1>によれば、前記固形分を脱水する工程において、外筒内で軸心を相互に傾斜させて面対称に対向するよう配置された一対の円錐状ろ過盤よりなる傘型連続脱水機を用い、外筒の内周面とそれらの円錐状ろ過盤の錐面とによって画成される空間に、前記凝固液から分離された固形分を連続的に供給し、前記円錐状ろ過盤をそれぞれの軸心周りに同じ速度で回転させることにより、二枚の円錐状ろ過盤で前記固形分を圧搾しながら前記空間の入り口から出口まで運んで固形分を脱水し、脱水された水分を、円錐状ろ過盤を通して排出することにより、ウエットマスターバッチを製造するので、詳細を後述するように、ゴムを含有する固形分に大きな剪断力を加えることなく脱水することができ、作業上のトラブルを発生させることなく脱水効率を大幅に向上させることができる。
法である
<2>によれば、前記二枚の前記円錐状ろ過盤で固形分を圧搾する圧力を制御しながら、固形分を前記空間の入り口から出口まで運ぶので、脱水後の水分率のばらつきを抑えることができる。
<3>によれば、前記凝固液から抽出した固形分を脱水したあと乾燥させるに際し、固形分にせん断力を加えながら行うので、加工性、補強性、低燃費性に優れたゴムを得ることができる。
<4>によれば、せん断力を加えながら前記固形分を乾燥させるに際し、バレルとその中で回転する複数のスクリューとよりなる多軸混練押出機を用い、昇温されたバレル中に供給された固形分を、回転するスクリューでせん断力を加えながら押し出すので、特に優れた加工性、補強性、および、低燃費性能を得ることができる。
<5>のウエットマスターバッチは、<1>〜<4>のいずれかの製造方法によって形成されるものなので、<1>〜<4>について説明したとおりの効果をもたらすことができる。
<6>のゴム組成物は、<5>のウエットマスターバッチを用いて形成されたものであり、したがって、同様に、<5>について説明したとおりの効果をもたらすことができる。
<7>のタイヤは、<6>のゴム組成物を用いて形成されたものであり、前述のとおりの効果をもたらすことができる。
本発明に係る実施形態について、図を参照して説明する。図1は、ウエットマスターバッチの製造方法の工程を例示する工程図であり、全体工程20は、カーボンやシリカ等の充填材を分散させたスラリー溶液を調合して準備する充填材スラリー溶液調合工程21と、天然ゴムや合成ゴムのラテックス等と界面活性剤等とを水等の溶媒中で攪拌してゴム溶液を調合準備するゴム溶液調合工程22と、これらの工程で調合されたスラリー溶液とゴム溶液とを連続的に混合・凝固させ凝固物を含有する凝固液を形成する混合・凝固工程23と、形成された凝固液から固形分だけを分離して取り出す固液分離工程24と、分離された固形分からこれに付着されもしくは含有された凝固剤等の不純物を洗浄して除去する洗浄工程25と、その後固形分を脱水する脱水工程26と、これを乾燥する乾燥工程27と、乾燥された固形分を粒状、ベール状等の所望の形状に成型して製品としてのウエットマスターバッチを形成する成型工程28とよりなる。
ここで、図1に示した工程は、代表例を示したものであり、例えば、これらの工程の処理のうち、複数の工程の処理を同時に進行させてこれらを一つの工程とすることもできる。また、上記の工程20において、それぞれの工程を同期させて、全工程を連続処理工程とするのが生産効率の点、安定的な品質の確保の点において好ましい。
上記のような全体工程において、本発明は、脱水工程26において、傘型連続脱水機を用いて、固液分離され洗浄された固形分を脱水することを特徴とするものであり、このような脱水機としては、例えば、特公昭45−23468号公報に記載されたものをあげることができる。
図2は、この傘型連続脱水機を示す部分断面図であり、図3は、その側面図、図4は、図2に矢視A−Aに対応する断面図である。傘型連続脱水機1は、外側連結部11aを介してベース部材15に固定され、固形分を収容する外筒2と、外筒2の内面から内側連結部11bを介して取り付けられた内筒3と、内筒3内に固定された支持ピン12に揺動可能に支持された一対の揺動軸4、5と、これらの揺動軸4、5に回転可能に支持されたそれぞれの円錐状ろ過盤6、7とを具えて構成される。
外筒2の内周面2aは、ろ過盤6、7の外周面6a、7aと接するように、球面状をなし、一方、内筒3の外周面3aも、ろ過盤6、7の半径方向中心部に形成された凹部の内周面6b、7bと接するように、球面状をなしている。揺動軸4と、5とは相互に傾斜するとともに、円錐状ろ過盤6、7は面対称に対向するよう配置されていて、このような配置構成になる、外筒2の内周面2a、内筒3の外周面3a、および、対向する円錐状ろ過盤6、7の錐面6c、7cとで、周方向θに沿ってV字の開き角度φが変化する断面V字となる密閉空間Vが形成され、この密閉空間Vの開き角度φは、図4に示すように、θ=θ1の周方向位置で最大となり、θ=-θ2で最小となるよう設定されている。
そして、このような空間Vの周方向1箇所に仕切り板8を設けるとともに、V字の角度φが広い側の周方向位置に固形分供給口13を、V字の角度φが狭い側の周方向位置に固形分排出口14を設ける。
円錐状ろ過盤6、7の錐面6c、7cには、多数のろ過孔9が形成されていて、空間V内で圧搾された固形分から搾り出された水が、ろ過孔9を通過して排出されるよう構成されている。また、円錐状ろ過盤6、7は、スプロケット16と、チェーンもしくはタイミングベルト17を介して図示しないモータにより回転駆動される。
揺動軸4、5の、支持ピン12の反対側の端は、ベース部材15に取り付けられたガイド部材18の軸貫通長穴18aによって、揺動の方向が、方向θ1(もしくはθ2)となるよう規制されるとともに、スプリング19の一端に固定され、スプリング19によって、周方向角度θ1における開き角度φが大きくなる(言い換えれば、周方向角度θ2における開き角度φが小さくなる)向きに揺動される。
このように構成された、傘型連続脱水機1の固形分供給口13から、例えば小片状の固形分を供給すると、固形分は空間Vに投入され、回転する円錐状ろ過盤6、7の錐面6c、7cに挟まれて固形分排出口14へと運ばれるが、このとき、空間VのV字の開き角度φは、固形分供給口13から固形分排出口14へ向かうにつれて狭くなってゆき、周方向角度θ=θ2で最狭となった後増加に転じるので、固形分は、角度φが最小となるまでの過程においては圧搾されるとともに、角度φが最小となった後は、圧搾から解放され固形分排出口14から排出される。
そして、このようにして円錐状ろ過盤6、7の錐面6c、7cに挟まれて圧搾されてゆく固形分から搾り出された水分は、錐面6c、7cに形成されたろ過孔9から、外筒の幅方向外側に向かって排出される(矢印W)。
ここで、固形分が、円錐状ろ過盤6、7の錐面6c、7cに挟まれて圧搾されてゆく過程において、固形分は、互いに同一回転速度で回転する一対の円錐状ろ過盤6、7の錐面6c、7cの挟持力によって支持されていて、したがって、固形分は、この過程において、錐面6c、7cに対して相対変位を発生させることはなく、また、外筒2の内周面2aに対しては、相対変位はするものの、内周面2aとはほとんど接することはなく、このことにより、固形分を固形分供給口13から固形分排出口14まで移動させる過程において、固形分に剪断力を加えることなくこれを圧搾することができ、ゴムが空間V内で剪断力を受けて固化したり、異常発熱を起こしたりすることはない。
なお、ろ過盤6、7の錐面6c、7cに形成するろ過孔9は、種々の形状のものを用いることができ、例えば、スリット状のもの、メッシュ状のもの、丸孔等をパンチして形成したもの等を用いることができる。
次に、充填材スラリー調合工程21とゴム溶液調合工程22とについて説明する。スラリー溶液を調合する方法としては公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、コロイドミルに所定量の充填剤と水を入れ、高速で一定時間攪拌することで、当該スラリー溶液を調製することができる。
ここで、前記スラリー溶液としては、カーボンブラック、シリカ、もしくは、一般式(I)で表される充填材の少なくとも1種を予め水中に分散させたものを用いるのがよい。
Figure 2006346958

〔式中、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である〕
前記式(I)で表される充填材としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al・HO)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)]、炭酸アルミニウム[Al(CO]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO・9HO)、チタン白(TiO)、チタン黒(TiO2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al)、クレー(Al・2SiO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、パイロフィライト(Al・4SiO・HO)、ベントナイト(Al・4SiO・2HO)、ケイ酸アルミニウム(AlSiO 、Al・3SiO・5HO等)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO、MgSiO等)、ケイ酸カルシウム(Ca・SiO等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al・CaO・2SiO等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)・nHO]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。また、前記一般式(I)中のMがアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一つである場合が好ましい。
なお、上記カーボンブラック、シリカ、前記一般式(I)で表される充填材の少なくとも一種を含む充填材のスラリー濃度は、スラリー溶液に対して0.5重量%〜60重量%が好ましく、特に好ましい範囲は1重量%〜30重量%である。
また、前記充填材は、ウエットゴムマスターバッチのゴム成分100重量部に対して、5〜100重量部添加されるのが好ましく、特には10〜70重量部の範囲であることが好ましい。充填材の量が5重量部より少ないと充分な補強性が得られない場合があり、また100重量部を超えると加工性が悪化する場合があるからである。さらに、上記カーボンブラック、シリカ、及び前記一般式(I)で表される充填材は単独でまたは二種以上のものを混合して用いることもできる。
前記スラリー溶液中の充填材として、体積平均粒径(mv)が25μm以下であり90体積%粒径(D90)が30μm以下である粒度分布を有しすることが好ましく、さらに好ましくは、体積平均粒子径(mv)が20μm以下、かつ90体積%粒径(D90)が25μm以下とするのがよい。
粒度が大きすぎるとゴム中の充填材の分散が悪化し、補強性、耐摩耗性が悪化することがあるからである。
また、スラリー溶液から回収した充填材の24M4DBP吸油量がスラリー溶液中に分散される前の24M4DBP吸油量の93%以上を保持する特性を有するものを用いるのが好ましく、さらに好ましくは、96%以上を保持する特性を有するものを用いるのがよい。ここで、24M4DBP吸油量は、ISO6894に準拠して測定される値である。
スラリー溶液への充填材の、分散前後の24M4DBP吸油量の差が大きいことは、充填材の粒度を小さいことを意味し、24M4DBP吸油量の変化を上記のように規定するのは、粒度を小さくするためにスラリーに過度のせん断力をかけると、充填材のストラクチャーが破壊され、補強性の低下を引き起こしてしまうからである。
また、ゴム溶液調合工程22において調合されるゴム溶液として、天然ゴムラテックスもしくは合成ゴムラテックスを用いるのが好ましい。
脱水した固形分を乾燥させる乾燥工程27においては、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー、バンドドライヤー等の通常の乾燥機を用いることができるが、さらに充填材の分散性を向上させるためには、機械的せん断力をかけながら乾燥を行なうことが好ましい。これにより、加工性、補強性、低燃費性に優れたゴムを得ることができる。この乾燥は、一般的な混練機を用いて行うことができるが、工業的生産性の観点から、連続混練機を用いることが好ましい。さらには、同方向回転、あるいは異方向回転の2軸混練押出機を用いることがより好ましい。
また、上記のせん断力をかけながら乾燥を行う工程においては、乾燥工程前のウエットマスターバッチ中の水分は10%以上であることが好ましい。この水分が10%未満であると、乾燥工程での充填材分散の改良幅が小さくなってしまうことがある。
混合・凝固工程23において、カーボンブラックN234を、英国シルバーソン社製ハイシアーミキサーを用い、水に微分散させて得られた5%濃度のスラリー溶液51と、天然ゴムラテックスを20%濃度で含有するゴム溶液52とを攪拌しながら混合し、蟻酸でpH4.5になるように調整してこれらを凝固させ、得られた凝固物を含有する凝固液53から、固水分離工程23、洗浄工程25を経て、天然ゴム100質量部、カーボンブラック50質量部の脱水前粒状固形分を得た。そして、この粒状固形分を、4種類の異なる方法で連続的に脱水し、これらを、それぞれ、実施例1、比較例1、および、比較例2として、それぞれの例について、脱水開始から所定時間経過した時点での水分率、および、脱水機の作動状態について評価した。このとき、脱水機へは乾燥重量として約20kg/hの割合で固形分を投入した。
各例に対し、脱水に用いた装置の仕様、脱水時の装置運転条件、ならびに、評価結果を表1に示す。表1から明らかなように、実施例のものは、作業上で問題もなく、また、水分率は、比較例のものに対比して、脱水開始からの経過時間に拘わらず、どの時点においても低く、脱水効率に優れていることがわかる。
なお、水分率の測定は、(株)エー・アンド・ディ社製の加熱乾燥式水分計MX-50によって測定した。
Figure 2006346958
本発明は、充填材を含有するスラリー溶液とゴム溶液とを混合・凝固させるウエットマスターバッチの製造に適用することができる。
ウエットマスターバッチの製造方法の工程を例示する工程図である。 傘型連続脱水機を示す部分断面図である。 傘型連続脱水機を示す側面図である。 図2の矢視A−Aに対応する断面図である。
符号の説明
1 傘型脱水機
2 外筒
2 外筒の内周面
3 内筒
3a 内筒の外周面
4、5 揺動軸
6、7 円錐状ろ過盤
6a、7a 円錐状ろ過盤の外周面
6b、7b 円錐状ろ過盤の凹部の内周面
6c、7c 円錐状ろ過盤の錐面
8 仕切り板
9 ろ過孔
11a 外側連結部
11b 内側連結部
12 支持ピン
13 固形分供給口
14 固形分排出口
15 ベース部材
16 スプロケット
17 チェーンもしくはタイミングベルト
18 ガイド部材
18a 軸貫通長穴
19 スプリング
20 全体工程
21 充填材スラリー溶液調合工程
22 ゴム溶液調合工程
23 混合・凝固工程
24 固液分離工程
25 洗浄工程
26 脱水工程
27 乾燥工程
28 成型工程
31 固形分

Claims (7)

  1. 充填材を含有するスラリー溶液とゴム溶液とを混合・凝固させ、凝固物を含有する凝固液から固形分を分離して脱水したあと、これを乾燥させてウエットマスターバッチを連続的に製造する方法において、
    前記固形分を脱水する工程において、外筒内で軸心を相互に傾斜させて面対称に対向するよう配置された一対の円錐状ろ過盤よりなる傘型連続脱水機を用い、外筒の内周面とそれらの円錐状ろ過盤の錐面とによって画成される空間に、前記凝固液から分離された固形分を連続的に供給し、前記円錐状ろ過盤をそれぞれの軸心周りに同じ速度で回転させることにより、二枚の円錐状ろ過盤で前記固形分を圧搾しながら前記空間の入り口から出口まで運んで固形分を脱水し、脱水された水分を、円錐状ろ過盤を通して排出するウエットマスターバッチの製造方法。
  2. 前記二枚の前記円錐状ろ過盤で固形分を圧搾する圧力を制御しながら、固形分を前記空間の入り口から出口まで運ぶ請求項1に記載のウエットマスターバッチの製造方法。
  3. 前記固形分を脱水する工程のあと、この固形分を乾燥させるに際し、固形分にせん断力を加えながら乾燥を行う請求項1もしくは2に記載のウエットマスターバッチの製造方法。
  4. 前記固形分を乾燥させるに際し、バレルとその中で回転する複数のスクリューとよりなる多軸混練押出機を用い、昇温されたバレル中に供給された固形分を、回転するスクリューでせん断力を加えながら押し出すことにより、固形分中の水分を加熱蒸発させて乾燥させる請求項3に記載のウエットマスターバッチの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかの製造方法によって形成されたウエットマスターバッチ。
  6. 請求項5に記載のウエットマスターバッチを用いて形成されたゴム組成物。
  7. 請求項6に記載のゴム組成物を用いて形成されたタイヤ。
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