JP3395966B2 - 粒状又は粉状の乾燥こんにゃくの製造方法 - Google Patents

粒状又は粉状の乾燥こんにゃくの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、加工食品等に混
入する食品素材あるいは健康食品として用いられる粒状
又は粉状の乾燥こんにゃくの製造方法に関するものであ
る。 【0002】 【発明が解決しようとする課題】水分を除く主たる成分
がグルコマンナンで、石灰(水酸化カルシウム)との混
練によりカルシウムを含むこんにゃくは、難消化性でノ
ンカロリーの食品として知られているが、グルコマンナ
ンが食物繊維の一種であることと、食品としてカルシウ
ム含有が多いことから、健康食品としての見直しが行わ
れている。 【0003】特開平2−231045号公報に記載のこ
んにゃくチップと称されているものは、こんにゃく食品
をハンバーグ、ソーセージ等の加工食品中に、食物繊維
量の増大やカロリー低下を目的として混入できるよう
に、チップ状に加工したものであって、多分に水分を含
むものであった。このため常温では腐敗し易く、貯蔵に
冷蔵庫を要し、また他の食品材料と混ぜ合わせたとき
に、チップが含浸する水分の影響が生ずることがあり、
健康食品としても多分に湿潤しているために、そのまま
では採用し難いものであった。 【0004】このような湿潤性の課題は、本発明者によ
る特願平8−89184号公報に記載の乾燥したファイ
バー状こんにゃくにより解決されるが、この発明では製
法として破砕したこんにゃくの組織内の水分除去に、−
10℃以下の冷却と200℃以上の乾燥とを併用するの
で手間と時間とを要し、また冷凍装置と加熱装置の両方
が必要となるので設備コストも嵩む等のことから、他の
食品素材に混入するための素材としては廉価に製造し難
く、健康食品としもファイバー状こんにゃくを更に粉砕
して粒状又は粉状に整粒しなければならないので高価と
ならざるを得ない、という新たな課題を有する。 【0005】この発明は、上記チップ状及びファイバー
状こんにゃくの課題を解決するために考えられたもので
あって、その目的は、粉砕後のこんにゃくの乾燥が加熱
のみで製造工程も少なく済み、乾燥こんにゃくでありな
がら水に浸した際の吸水性も良好で戻し易く、他の食品
素材に混入した際の馴染みもよい粒状又は粉状の乾燥こ
んにゃくを、これまでよりも安価に製造し得る新たな製
造方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的によるこの発明
は、ゲル状のこんにゃくに石灰水等のアルカリ水を混練
し、その混練こんにゃくを太さ2〜4mm、60〜15本
の線状体に押出形成し、その線状体を養生したのち粉砕
機により細かく砕いて砕片となし、その砕片をボイルに
より再凝固して独立した粒状のこんにゃくとなしたの
ち、その粒状こんにゃくを洗浄脱水して40°〜65℃
の温度範囲の熱風により、含水率4〜10%になるまで
乾燥して、食品素材、健康食品として用いられる粒度の
粒状又は粉状の乾燥こんにゃくとしてなる、というもの
である。 【0007】上記構成において、線状体による成形こん
にゃくは、多数の成形孔を穿設した目皿を用いて、白滝
又は糸こんにゃく等を成形する場合と同様に、混練装置
の吐出口に設けた目皿から同時に15〜60本の線状体
として湯槽に押し出して成形され、養生により凝固して
から粉砕機にかけて細かく砕かれる。 【0008】この線状化した成形こんにゃくの粉砕で
は、板状又はブロック状の成形こんにゃくを回転砥石に
より擂り潰したり、プレス装置により破砕する場合より
も容易に細かく砕くことができるので、その後の取扱の
ために所定寸法にカットしてばらばらにほぐす必要がな
く、粉砕時における固形分からの水分の分離流出もしや
すくなる。 【0009】また上記粉砕こんにゃくの乾燥時間は乾燥
温度が高温になるに従って短縮されてゆくが、65℃を
超える温度での乾燥では、含水率が設定範囲であって
も、製品を水に浸した際の吸水による戻り(軟化)に時
間を要するようになり、70℃を超える温度での乾燥で
は、長く浸けて置いても一般に言う芯が残って、ざら付
き気味となり、そのざら付きは湯がいても残るので、他
の食品素材との馴染みにも難点が生ずるようになる。 【0010】この芯の残りは60℃以下の乾燥温度では
殆ど生じることはないが、乾燥温度が低温になるに従っ
て乾燥時間は長く要することになるので、乾燥時間を考
慮するならば40〜65℃の温度範囲となり、最も好ま
しくは60℃前後の温度となる。 【0011】 【発明の実施の形態】こんにゃく精粉35〜36kg
を、温度3〜30℃の水840〜1600リットルに溶
解し、攪拌混合によりゲル状のこんにゃくとなす。この
ゲル状こんにゃくを45〜250分ほど放置する。 【0012】放置後のゲル状こんにゃくを、吐出口に成
形用の目皿を取付けた通常構成の混練装置により、水1
リットル当たり11〜36gの消石灰(水酸化カルシウ
ム)を溶解した石灰水と混練する。この混練は石灰水を
混練筒内のゲル状こんにゃくに注水しながら行い、混練
後にゲル状こんにゃくを上記目皿を通して55〜80℃
に温度を維持した湯槽に吐出する。 【0013】上記目皿には孔径2〜4mmの成形孔が60
〜15個ほど穿設されており、それらの成形孔によりゲ
ル状こんにゃくは、同時に60〜15本の線状体に押出
形成されて湯槽に吐出されることになる。 【0014】上記線状体に成形されたこんにゃくを、1
〜5分後に湯槽から養生水を満たした貯蔵タンクに移し
て半日ほど養生する。養生後に貯蔵タンクから取り出し
て粉砕機により細かく砕く。この粉砕機としては、多孔
板によるスクリーンリングと粉砕輪とを組み合わせて構
成したロータリー式の粉砕機が好ましく、線状体は粉砕
輪の内面に形成された無数の凹凸と外周ピンとにより細
かく砕かれて、スクリーンリングの孔より所定粒度の砕
片となって排出される。また細かく砕かれることによっ
て固形分と水分との分離も行われるようになり、その分
離水と一緒に排出が行われる。 【0015】この粉砕後のこんにゃくは、小さな砕片と
分離水とが混ざり合った状態にあって、中には細く残っ
た部分により多数の砕片が繋がったようなものもあるな
ど、状態が一様ではないので、これを直ちに乾燥しても
粒度が整った製品は得られないので、粉砕したものを水
切りを行って70〜95℃の湯により約20分間ボイル
する。 【0016】このボイルによりこんにゃくの砕片は再凝
固するとともに、各砕片の繋ぎが切れて砕片の殆どがそ
れぞれ独立した粒状のものとなる。またボイルによって
こんにゃくに含まれた余剰の石灰分や石灰に混じってい
た不純物が煮出される。さらにまたボイルによりこんに
ゃくのPH値が低下する。ボイル時間が20分ではPH
9.0であったが、40分のボイルではPH7.5程に
低下する。これによりこんにゃく独特の臭も取り除かれ
るようになる。 【0017】ボイル後の粒状こんにゃくは、常温の水槽
に入れて洗浄してから脱水して乾燥するする。この洗浄
と脱水により煮出された不純物が除去され、こんにゃく
臭もなくなる。粒状こんにゃくの乾燥は、3分ほど遠心
分離機に脱水してから行う。乾燥は40〜65℃の熱風
により含水率が4〜10%になるまで行う。乾燥機とし
ては通常構成の流動層乾燥方式によるものでもよいが、
最も好ましくは、それにマイクロ波を採用して、熱風に
より吹き上げた流動床上の粒状こんにゃくを、さらにマ
イクロ波により加熱する方式のものがよい。 【0018】また乾燥時間は、乾燥温度が高いほど短時
間です済むようになるが、熱風の設定温度が80℃あた
りになると、粒状こんにゃくに変色が生じ、場合によっ
ては焦げが生ずるので、そのような高温での乾燥は不良
品の発生要因となる。 【0019】また70℃より高くなると、含水率が同じ
であっても製品を水に浸した際の吸水による軟化(戻
り)状態がわるく、長く浸けて置いても一般に言う芯が
残って、ざら付き気味となる。このざら付きは湯がいて
も残るので、他の食品素材に混入する素材あるいは健康
食品としても好ましいものではないので、熱風乾燥は6
5℃の温度までとする必要がある。30℃以下では含水
率10%以下に乾燥することが極めて困難となる。 【0020】乾燥後の粒状こんにゃくの形態は、図1の
電子顕微鏡写真により拡大された粒子の様子から、その
殆どが粉砕により生じた砕片の形態のままと思われ、ま
た粒度も粉砕時の多孔板のメッシュにより決められて、
粒状又は粉状こんにゃくとして取り扱われるが、工程の
途中での崩れや割れなどによって、形態や粒度に或る程
度の不揃が生ずる。しかし、各粒子の組成までが変わる
ことはないので、或る程度不揃であっても他の食品素材
へ混入した際に分量的な不都合が生ずることはない。必
要ならば、篩により整粒して付加価値を高めることもで
きる。 【0021】またこの発明による粒状こんにゃくは、水
や湯に浸けた際の吸水性がよく、短時間で5倍ほどに膨
潤して軟化し、適度の弾性を有するようになり、そのま
ま口に含んでもざら付きやぼさ付きがない。歯触りとし
ての感触もよいので食品素材として、ハンバーグ、麺
類、さらにはソフトクリームの素材と混ぜても馴染み易
いものとなる。これは、図2の電子顕微鏡写真により拡
大された粒子の表面状態からすると、表面が凹凸面で剥
離し易い状態に乾燥(40°〜65℃)したことによる
ものと思われる。 【0022】またファイバー状の乾燥こんにゃくとの比
較においても、線状に形成した成形こんにゃくを粉砕す
るという手段に採用により工程数も少なく済むので、安
価に製造でき、食品の増量用の素材、さらには健康食品
としての乾燥こんにゃく製品として、その効果は従来の
ものに比べて極めて著しいものとなる。 【0023】 【実施例】 こんにゃく精粉 35g 水(20℃) 1000リットル 攪拌混合後の放置時間 90分 石灰水(消石灰) 22g/リットル 目皿(成形孔) φ2.5mm×39個 湯槽 60℃ 養生時間 半日 ボイル温度及び時間 80℃、 20分 乾燥温度(熱風) 60℃ 製品の粒度及び含水率 100メッシュ、 9% 使用機械 混練装置 SN102 有限会社園工作所製 粉砕機 自動粉砕機 (株)奈良機械製作所製 乾燥機 流動層乾燥機 (株)クメタ製作所製
【図面の簡単な説明】 【図1】 この発明の製造方法により製造した粒状こん
にゃくの粒子を200倍に拡大した電子顕微鏡写真であ
る。 【図2】 同上の粒子を2000倍に拡大した電子顕微
鏡写真である。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ゲル状のこんにゃくに石灰水等のアルカ
    リ水を混練し、その混練こんにゃくを太さ2〜4mm、6
    0〜15本の線状体に押出形成し、その線状体を養生し
    たのち粉砕機により細かく砕いて砕片となし、その砕片
    をボイルにより再凝固して独立した粒状のこんにゃくと
    なしたのち、その粒状こんにゃくを洗浄脱水して40°
    〜65℃の温度範囲の熱風により、含水率4〜10%に
    なるまで乾燥して、食品素材、健康食品として用いられ
    る粒度の粒状又は粉状の乾燥こんにゃくとしてなること
    を特徴とする粒状又は粉状の乾燥こんにゃくの製造方
    法。
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