JP2006341679A - タイヤ、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 タイヤチューブ内に空気の替わりに弾性樹脂を充填したタイヤにおいて、軽量化、耐久性、及び乗り心地性の向上、製造コストの低下を図るタイヤ、及びその製造方法の提供。
【解決手段】タイヤチューブ12内にバルブVを介して溶液状樹脂Rを完全充填に必要な量よりも遥かに少ない割合で充填する弾性樹脂組成物充填工程と、前記弾性樹脂組成物充填工程の後に前記タイヤチューブ12内にバルブVを介して必要設定圧力(P0 )の圧縮空気Aを注入する圧縮空気注入工程と、前記圧縮空気注入工程後にタイヤチューブ12内の溶液状樹脂Rの逆流を防止した状態で、前記タイヤ11を略半回転させて充填された溶液状樹脂Rを周方向に沿って未充填の部分の全域に流動させる弾性樹脂組成物流動工程と、前記弾性樹脂組成物流動工程の後に前記タイヤ11を低速度で回転させながら内部の溶液状樹脂Rを中空ドーナツ状に成形するタイヤ回転工程とを含んで製造する。
【選択図】図4−A

Description

本発明は、タイヤチューブ内に空気の替わりに弾性樹脂を注入して、パンクの発生をなくすか、或いはパンクの発生が殆どない自転車、車椅子、一輪車、フォークリフト、ミニバイク、マウンテンバイク等のタイヤ、及びその製造方法に関するものである。
上記した種々の乗物のタイヤは、路面からの衝撃を吸収しながら荷重を支える機能が要求され、例えば特許文献1には、タイヤチューブ内にパンクの発生の恐れのある空気の替わりに弾性樹脂(発泡ポリウレタン樹脂)を充填してパンクの発生をなくしたタイヤが開示されている。また、特願2004-349298 として本出願人もタイヤのバルブから溶液状樹脂を注入して冷却ゲル化させることにより、上記目的のタイヤを製造する方法の出願を行った。
しかし、いずれのタイヤも、タイヤチューブ内の全ての部分に空気に替えて弾性樹脂が充填された構成、即ち充填された弾性樹脂が中実構造であるために、以下の不具合があった。
(1)空気の替わりに弾性樹脂を中実構造で充填するために、例えば24インチのタイヤでは1.2〜1.3kgの重量増加を余儀なくされ、重量増加の割合が大きかった。
(2)タイヤチューブ内の全ての部分に弾性樹脂が中実構造で充填されているために、反発性が高くなって、振動・衝撃吸収性が低下する。このように反発性が高まることと、重量増加とが相乗すると、車体、特に車輪のリム、スポーク等に及ぼす衝撃力が大きくなって、タイヤを含む車輪、ひいては車体の耐久性が低下する。
(3)タイヤの重量増加のために慣性が大きくなる。よって、例えば自転車においては、走行中では慣性の増加により軽快に走行するが、漕出し開始時、及び制動時の双方において、前記慣性がマイナスに作用して大きな漕出し力、及び制動力が必要となると共に、空気入りタイヤに比較して路面の凹凸に対して人体に伝達される振動が大きく、結果として「乗り心地性」が悪かった。
(4)タイヤ1本当たりの樹脂の充填量が多いために、材料である樹脂自体のコストも嵩む。
特開平8−142603号公報
本発明は、タイヤチューブ内に空気の替わりに弾性樹脂を充填したタイヤにおいて、軽量化、耐久性、及び乗り心地性の向上、製造コストの低下を図ることを課題としている。
上記課題を解決するための請求項1の発明は、自転車等のタイヤチューブ内にバルブを介して溶液状の弾性樹脂組成物が注入充填されたタイヤであって、前記タイヤチューブ内に注入充填されて冷却ゲル化された前記弾性樹脂組成物は圧縮空気の存在により中空ドーナツ状になっていることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、タイヤチューブ内に弾性樹脂組成物が圧縮空気の存在により中空ドーナツ状となって冷却ゲル化されているために、タイヤチューブに空気の替わりに弾性樹脂組成物を中実状態で充填する構造と比較すると、タイヤチューブの中空構造を維持できると共に、充填樹脂の重量が少なくなるため、タイヤの重量増加割合を少なくできる。その結果、圧縮空気が注入されて適度な反発性のために良好な乗り心地性を有し、しかもタイヤ重量が小さくて慣性が小さいために漕出し時、及び制動時に要する力が小さな空気入りのタイヤに近い状態を維持できる。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のタイヤの製造方法であって、前記タイヤチューブ内にバルブを介して溶液状の弾性樹脂組成物を完全充填に必要な量よりも遥かに少ない割合で充填する弾性樹脂組成物充填工程と、前記弾性樹脂組成物充填工程の後に前記タイヤチューブ内にバルブを介して必要設定圧力の圧縮空気を注入する圧縮空気注入工程と、前記圧縮空気注入工程後にタイヤチューブ内の溶液状の弾性樹脂組成物の逆流を防止した状態で、前記タイヤを略半回転させて充填された溶液状の弾性樹脂組成物を周方向に沿って未充填の部分の全域に流動させる弾性樹脂組成物流動工程と、前記弾性樹脂組成物流動工程の後に前記タイヤを低速度で回転させながら内部の弾性樹脂組成物を中空ドーナツ状に成形するタイヤ回転工程とを含むことを特徴としている。
請求項2の発明においては、タイヤチューブ内にバルブを介して溶液状の弾性樹脂組成物を完全充填に必要な量よりも遥かに少ない割合で充填すると、充填された溶液状の弾性樹脂組成物は、前記タイヤチューブを上下に二分した略下半部に充填されて、タイヤチューブの残りの部分には、タイヤチューブ内に当初から残存していた空気が収容されて、タイヤチューブ内は、周方向に沿って弾性樹脂組成物の充填部位と空気の収容部位とに二分される。上記の状態で、バルブを介して所定圧の圧縮空気を注入すると、該圧縮空気は、タイヤチューブの略下半部に充填されている溶液状の弾性樹脂組成物の間を通って、タイヤチューブ内の当初の空気が収容されている部位に達して、当初の空気と混合されて空気圧が高まり、タイヤチューブ内の空気の圧力が設定された圧力に達すると、圧縮空気の注入を停止させる。
圧縮空気の注入終了後において、バルブに逆流防止処理を施して、タイヤチューブ内の溶液状の弾性樹脂組成物がバルブから逆流するのを防止した状態で、前記タイヤを略半回転させると、タイヤチューブ内に充填されている溶液状の弾性樹脂組成物は、タイヤチューブの周方向に沿って流動されることにより、未充填の部分の全域に充填されると同時に、タイヤチューブ内の圧縮空気も周方向に分散される。その結果、タイヤチューブの内周面に接している溶液状の弾性樹脂組成物は、タイヤチューブにより冷却されて流動不能な半ゲル化状態となると共に、タイヤチューブのほぼ全周の横断面の中心部には、圧縮空気が存在した中空状態となって、中実状態の部分は殆どなくなる。但し、この状態では、タイヤチューブの周方向の特定部位の弾性樹脂組成物の充填厚は、他の部分に対して異なっていて、弾性樹脂組成物の充填厚は、タイヤチューブの周方向に沿って不均一である。
上記の状態でタイヤを回転させると、タイヤチューブ内に充填されて、その内周面に接している部分のみが冷却により半ゲル化された溶液状の弾性樹脂組成物には遠心力が作用して、タイヤチューブの横断面視においては、弾性樹脂組成物は、タイヤの外方である接地面側に流動させられると共に、タイヤチューブの周方向に沿った断面視では、前記タイヤチューブの内周面に付着状態となっている溶液状の弾性樹脂組成物の厚さが均一化させられる。即ち、厚さが厚い部分の弾性樹脂組成物に作用する遠心力は、その両側の厚さが薄い部分に作用する遠心力よりも大きいので、厚さが厚い部分の弾性樹脂組成物を周方向に沿った両側に流動させるように作用し、結果として弾性樹脂組成物の厚さが周方向に沿って均一化される。厚さが均一化された弾性樹脂組成物の流動性が低下した状態で、タイヤの回転を停止させてそのまま放置すると、タイヤチューブ内の弾性樹脂組成物は冷却ゲル化されて、全体形状が中空ドーナツ状となる。
また、請求項3の発明は、請求項1に記載のタイヤの製造方法であって、前記タイヤチューブ内にバルブを介して溶液状の弾性樹脂組成物を完全充填に必要な量よりも遥かに少ない割合で充填する弾性樹脂組成物充填工程と、前記弾性樹脂組成物充填工程の後に前記タイヤチューブ内にバルブを介して必要設定圧力よりも低い圧力の圧縮空気を注入する第1圧縮空気注入工程と、前記第1圧縮空気注入工程後にタイヤチューブ内の溶液状の弾性樹脂組成物の逆流を防止した状態で、前記タイヤを略半回転させて充填された溶液状の弾性樹脂組成物を周方向に沿って未充填の部分の全域に流動させる弾性樹脂組成物流動工程と、前記弾性樹脂組成物流動工程の後に前記タイヤを低速度で回転させながら内部の弾性樹脂組成物を中空ドーナツ状に成形するタイヤ回転工程と、前記タイヤ回転工程の後においてタイヤチューブ内の中空ドーナツ状の弾性樹脂組成物が冷却ゲル化した後において、前記タイヤの空気注入針を差し込んで、前記必要設定圧力まで圧縮空気を注入する第2圧縮空気注入工程とを含むことを特徴としている。
タイヤチューブが古かったり、低品質の場合には、引張強度等の力学的強度、或いは熱的強度が低く、弾性樹脂組成物の熱により加熱されたうえ、封入された圧縮空気の空気圧が作用すると、タイヤチューブの弱い部分が破損される恐れがある。特に、リムに対して段差状となってタイヤチューブが取付けられている部分は、応力集中が発生し易くて特に破損され易い部位である。請求項3の発明によれば、弾性樹脂組成物が冷却ゲル化されるまでの間は必要設定圧力よりも低い圧力の圧縮空気が注入されているために、当初より必要設定圧力の圧縮空気を注入する場合に比較すれば、タイヤチューブに作用する引張力等が小さくなって力学的ストレスが少なくなり、その結果タイヤチューブの破損の恐れが少なくなる。タイヤチューブに充填された弾性樹脂組成物が冷却ゲル化した後に、タイヤに差し込んだ空気注入針を介して必要設定圧力となるまで圧縮空気を注入することにより、古かったり、或いは低品質のタイヤチューブを破損させることなく、該タイヤチューブ内に弾性樹脂組成物と必要設定圧力の圧縮空気とを充填又は注入できる。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、前記タイヤチューブ内への弾性樹脂組成物の充填量は、タイヤチューブの全容積の(1/3〜2/3)であることを特徴としている。
タイヤチューブ内に圧縮空気を入れた本来のタイヤの有する軽量性、低反発性の各利点を維持させる観点からは、タイヤチューブ内への弾性樹脂組成物の充填量は、請求項4の発明のように、タイヤチューブの全容積の(1/3〜2/3)であることが好ましい。
また、請求項5の発明は、請求項2ないし4のいずれかの発明において、前記弾性樹脂組成物は、スチレン系エラストマーと粘着付与樹脂とプロセスオイルとの組成物であって、これらは重量比で、(1:1〜5:2〜10)であることを特徴としている。
弾性樹脂組成物は、粘着付与樹脂が含まれていて、冷却ゲル化後においても所定の粘着性を有している。このため、使用時にタイヤチューブに釘類が刺さっても、ゲル化した弾性樹脂組成物に対して刺さっている部分においては、釘類と弾性樹脂組成物との間の隙間は、粘着性により弾性樹脂組成物が流動して閉塞される。また、刺さっている釘類をゲル化した弾性樹脂組成物から抜いた場合にも、釘類を抜くことにより発生する弾性樹脂組成物の貫通孔は、粘着性の高い弾性樹脂組成物の流動により短時間のうちに閉塞される。よって、請求項5の発明に係る弾性樹脂組成物を使用すれば、パンクの発生のないタイヤが得られる。
本発明に係るタイヤの製造方法によれば、タイヤチューブ内に圧縮空気の存在の下で中空ドーナツ状にして弾性樹脂組成物を冷却ゲル化できるため、タイヤチューブに空気の替わりに弾性樹脂組成物を中実状態で充填する構造と比較すると、タイヤチューブの中空構造を維持できると共に、充填樹脂の重量が少なくなって、タイヤの重量増加割合を抑えることができる。その結果、圧縮空気が注入されて適度な反発性のために良好な乗り心地性を有し、しかもタイヤ重量が小さくて慣性が小さいために漕出し時、及び制動時に要する力が小さな空気入りのタイヤと遜色のない状態となる。
以下図面を参照して本発明の最良の実施形態について詳細に説明する。
図1は、溶液状の弾性樹脂組成物(以下、「溶液状樹脂」という)R及び圧縮空気Aをポンプ10及びコンプレッサCの各圧力によりタイヤチューブ12内に注入する装置の全体を示す概略図であり、図2は、封止栓打込具を兼用した樹脂注入具Bの断面図であり、図3は、溶液状樹脂収容容器Dの断面図である。最初に、溶液状樹脂R及び圧縮空気Aの注入装置について簡単に説明し、その後に、前記注入装置を使用した本発明に係るタイヤの製造方法について詳細に説明する。
図1において、溶液状樹脂R及び圧縮空気Aの注入装置は、タイヤ11のバルブVに着脱可能に装着される封止栓打込具を兼用した樹脂注入具Bと、樹脂注入管1及び樹脂注入具Bを介してタイヤチューブ12内に注入するための溶液状樹脂Rを所定温度を保持し収容しておくための溶液状樹脂収容容器Dと、前記樹脂注入管1に組み込まれて、溶液状樹脂収容容器D内の溶液状樹脂Rを吸引して吐出させるためのポンプ10と、前記樹脂注入管1及び三方切換弁13を介して前記樹脂注入管1に接続された空気注入管2を介してタイヤチューブ12内に注入する圧縮空気を生成するコンプレッサCとを備えている。また、樹脂注入管1における樹脂注入具Bの直前には開閉弁14が組み込まれ、空気注入管2には開閉弁15が組み込まれている。なお、図1において、16は、空気注入管2に組み込まれた圧力計を示す。
次に、図2を参照して、封止栓打込具を兼用した樹脂注入具Bについて説明する。樹脂注入具Bは、バルブVのバルブ本体3の外側にホースバンド21を介して固定される鍔付スリーブ22と、該鍔付スリーブ22の鍔部22aにナット23を介して固定される三方チーズ24と、該三方チーズ24の対向する二つの連結口24a,24bの一方である連結口24aに密閉状態で挿入され、溶液状樹脂Rの充填後においては打込みロッド25により前記バルブ本体3内に打ち込まれる封止栓26とを備えている。また、三方チーズ24の残りの連結口24cには、前記樹脂注入管1の一端が連結ナット27を介して連結される。封止栓26は、挿入ガイド部26aと、封止本体部26bと、疑似螺子部26cとが軸方向に沿って前記順序で一体に形成された構成であって、疑似螺子部26cの外径は封止本体部26bの外径よりも僅かに小さく形成されて、両部分の接続部に段差部26dが形成されている。三方チーズ24の連結口24aにはナット28が螺合されて、前記ナット28の底板部28aの中央の貫通孔28bに封止栓26の疑似螺子部26cが挿通されて、封止栓26の前記段差部26dは、溶液状樹脂Rの注入時に作用する逆流圧により封止栓26が外部に抜け出るのを防止すべく、ナット28の貫通孔28bの内側周縁部に係止する構造になっている。なお、図2において、4はタイヤのリムを示す。
次に、図3を参照して、溶液状樹脂収容容器Dについて説明する。溶液状樹脂収容容器Dは、自転車Jの約4本分のタイヤチューブ12の容積(約4リットル)に対応する溶液状樹脂Rの収容空間31aを有する円筒状をした容器本体31を備えている。容器本体31の底板部32には、内部の収容空間31aに収容された溶液状樹脂Rを常に注入可能な温度まで保温しておくためのヒーター33が埋め込まれており、容器本体31の上面開口は、Oリング34により気密が保持された状態で蓋体35により密閉されている。蓋体35の中央部には、前記コンプレッサCからの圧縮空気を流入させるための空気流入口36が形成され、前記容器本体31の底部には、該容器本体31の収容空間31aに収容された溶液状樹脂Rの表面に作用する空気圧力P1 及び前記ポンプ10の吸引力により外部に排出される溶液状樹脂Rの樹脂出口37が形成されている。なお、図3において、P10は、溶液状樹脂収容容器Dに収容された溶液状樹脂Rの表面に作用する圧縮空気Aの圧力を示す。
次に、空気の代わりにタイヤのチューブ内に充填されるべき弾性樹脂組成物について具体的に説明する。本実施形態では、チューブ内部に充填する弾性樹脂組成物として、株式会社型善の製造に係るエアフリーゲル(商品名)を使用する。弾性樹脂組成物は、スチレン系の熱可塑性エラストマー〔ポリスチレン−ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体)と、テルペン系粘着付与樹脂と、パラフィン系プロセスオイルとを重量比で(1:2:3)の割合で混合して、共に加熱することにより得られた組成物である。前記スチレン系の熱可塑性エラストマーを、テルペン系粘着付与樹脂、及びパラフィン系プロセスオイルの各媒体中に上記した割合で溶解させることにより、この樹脂組成物は、常温で粘着性及び弾性を有するゲル体をなす。ここで、テルペン系粘着付与樹脂を加えるのは、ゲル体の粘着性を高めるためであって、上記割合におけるゲル化した弾性樹脂組成物の粘着性は、後述の方法によりタイヤチューブ12内に弾性樹脂組成物を充填したタイヤ11に、外径3mm以下の釘を刺した後に抜いた場合に、直ちに釘の突刺孔が閉塞されて、空気漏れが全く生じない程度である。なお、粘着付与樹脂としては、ロジン系の樹脂を用いることもできる。
そして、上記した弾性樹脂組成物は、160℃程度の温度を維持した状態で、「100ps」以下の粘度を示す。「160℃」は、合成ゴム等の高分子よりなる既存のタイヤ及びタイヤチューブを熱劣化させない温度であって、これにより、前記注入済溶液状樹脂Rのゲル化空間を形成するゴム類の信頼性を確保できる。また、粘度が「100ps」以下の流体は、最小口径が約1mmの空気流入孔を有するバルブ本体3内を容易に流動でき、溶液状樹脂Rのタイヤチューブ12内への注入(圧入)作業の能率が高まる。なお、「熱劣化させない温度」としては、タイヤチューブ12及びこの接合に使用されている接着剤の劣化等の悪影響を防止するためには、180℃程度が上限とみなされている。また、前記した弾性樹脂組成物の粘度に関しては、内径の小さなバルブからの注入性を考慮すると「300ps」が上限であり、現存し得る弾性樹脂組成物の粘度の下限は「10cps」とされる。
次に、上記した溶液状樹脂Rの注入装置を使用して、自転車Jのタイヤチューブ12内に溶液状樹脂Rを中空ドーナツ状にして充填する方法について説明する。なお、タイヤ11は、24インチのものを使用した。溶液状樹脂Rは、スチレン系の熱可塑性エラストマー〔ポリスチレン−ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体)と、テルペン系粘着付与樹脂と、パラフィン系プロセスオイルとを重量比で(1:2:3)の割合で混合したものであって、溶液状樹脂収容容器D内において加熱されて約160°Cを保持している。タイヤ11のバルブVの空気注入筒(図示せず)を取り去って、バルブ本体3に前記した樹脂注入具Bを装着する。また、溶液状樹脂収容容器D内の溶液状樹脂Rが樹脂注入管1及び樹脂注入具Bを通ってタイヤチューブ12内に注入されるように、三方切換弁13を切り換え、コンプレッサCの圧縮空気Aが樹脂注入管1に流入しないように空気注入管2に組み込んだ開閉弁15を閉じておくと共に、樹脂注入管1に組み込んだ開閉弁14を開いておく。
図4−A(イ),(ロ)は、それぞれタイヤチューブ12内の略半分に溶液状樹脂Rが注入された状態、及び予め溶液状樹脂Rが注入されているタイヤチューブ12内に圧縮空気Aが注入された状態のタイヤチューブ12の周方向に沿った断面図である。図4−B(ハ),(ニ)は、それぞれ溶液状樹脂Rと圧縮空気Aが注入されたタイヤを上下反転させた状態、及び上下反転させた後にタイヤを回転させている状態のタイヤチューブ12の周方向に沿った断面図である。また、図5は、タイヤチューブ12内に注入された溶液状樹脂Rが冷却ゲル化して中空ドーナツ状になった状態のタイヤチューブ12の横断面図である。
上記のように設定しておいて、ポンプ10の作動により溶液状樹脂収容容器D内の溶液状樹脂Rを120g/10秒の注入速度にて、総質量620gの溶液状樹脂Rをタイヤチューブ12内に注入して充填した〔図4−A(イ)参照〕。タイヤチューブ12内に注入された溶液状樹脂Rの総質量620gとは、タイヤチューブ12の全容積のほぼ半分に溶液状樹脂Rが充填される程度の質量であって、タイヤチューブ12の略下半部に溶液状樹脂Rが充填されて、残りの略上半部には空気が充満される。従って、溶液状樹脂Rの充填前にタイヤチューブ12内に残存していた空気A’は、約半分の体積まで圧縮されるため、その圧力(P1 )は大気圧の約2倍となる。
次に、空気注入管2に供給された圧縮空気Aが三方切換弁13及び該三方切換弁13よりも下流側の樹脂注入管1を通ってタイヤチューブ12 内に注入されるように、前記三方切換弁13を切り換える。なお、ポンプ10の作動は停止させてある。この状態で、空気注入管2に組み込まれた開閉弁15を開くと、三方切換弁13よりも下流側の樹脂注入管1に残存していた溶液状樹脂Rは、コンプレッサCにより生成された圧縮空気Aにより押し出されてタイヤチューブ12内に注入され、その後に、図4−A(ロ)に示されるように、上記経路を経て、既に全容積の約半分に溶液状樹脂Rが充填されているタイヤチューブ12内に圧縮空気Aが注入される。圧力計16の表示値が設定圧力(P0 )に達した時点で、各開閉弁14,15をそれぞれ閉じる。これにより、タイヤチューブ12内に設定圧力(P0 )の圧縮空気Aが注入されることにより、タイヤチューブ12内に既に充填されている溶液状樹脂Rの内部に周方向に連通した非環状の空気通路40’が形成されることにより、タイヤチューブ12内に充填されている溶液状樹脂Rの両端部はいずれも上昇して、圧縮空気Aのみの部分は、タイヤチューブ12の上端部のみとなって、その周長は短くなる。実施例では、圧縮空気Aの設定圧力(P0 )は、(294kPa)であった。
次に、図2で2点鎖線で示されるように、打込みロッド25により封止栓26をバルブ本体3の開口部に打ち込んで前記開口部を封止することにより、タイヤチューブ12内に注入された溶液状樹脂Rの逆流を防止する。即ち、封止栓26の挿入ガイド部26aと封止本体部26bとの接続部の外形は、バルブ本体3の開口部の内形に対応して、軸方向に沿って外径が変化した形状になっているために、打ち込まれた封止栓26は、バルブ本体3の開口部で停止して、該開口部を封止する。その後に、ホースバンド21を緩めて、バルブ本体3から樹脂注入具Bを取り外す。
上記のようにして、バルブVに逆流防止処理を施して、タイヤチューブ12内の溶液状樹脂RがバルブVから逆流するのを防止した状態で、回転架台(図示せず)に載せてある自転車のタイヤ11を矢印Q1 〔図4−B(ハ)参照〕で示されるように略半回転させると、タイヤチューブ12内に充填されている溶液状樹脂Rは、タイヤチューブ12の周方向に沿って矢印Sで示されるように下側に流動されることにより、タイヤチューブ12内の未充填の部分の全域に充填されると同時に、タイヤチューブ12内の圧縮空気Aも周方向に分散される〔図4−B(ハ)参照〕。上下反転させたタイヤ11の下端部にまで溶液状樹脂Rが達したことの確認は、前記下端部を手で触って熱くなっていることで簡単、かつ確実に行える。その結果、タイヤチューブ12の内周面に接している溶液状樹脂Rは、タイヤチューブ12により冷却されて流動不能な半ゲル化状態となると共に、タイヤチューブ12のほぼ全周の横断面の中心部には、圧縮空気が存在した中空状態となって、中実状態の部分は殆どなくなる。但し、この状態では、タイヤチューブ12の周方向の特定部位の溶液状樹脂Rの充填厚は、他の部位に比較して異なっていて、溶液状樹脂Rの充填厚はタイヤチューブ12の周方向に沿っては不均一となっている。なお、図4−B(ハ)において、40は、非環状の前記通路40’が環状となった中空部を示す。
次に、図4−B(ニ)に示されるように、上記の状態で(3秒/1回転)の速さでタイヤ11を矢印Q2 の方向に連続回転させると、タイヤチューブ12内に充填されて、その内周面に接している部分のみが冷却により半ゲル化された溶液状樹脂Rには遠心力が作用して、タイヤチューブ12の横断面視においては、溶液状樹脂Rは、図5で矢印Tで示されるように、タイヤチューブ12の内周面に沿ってタイヤ11の外方である接地面側に流動させられることにより、タイヤチューブ12の内周面に沿って流動配置される結果、圧縮空気Aは横断面視における中央部に集められると共に、タイヤチューブ12の周方向に沿った断面視では、前記タイヤチューブ12の内周面に付着状態となっている溶液状樹脂Rの厚さが均一化させられて、タイヤチューブ12内に充填された溶液状樹脂Rは、冷却されながら中空ドーナツ状に成形される(図5参照)。即ち、厚さが厚い部分の溶液状樹脂Rに作用する遠心力は、その両側の厚さが薄い部分に作用する遠心力よりも大きいので、厚さが厚い部分の溶液状樹脂Rを周方向に沿った両側に流動させるように作用し、結果として溶液状樹脂Rの厚さが周方向に沿って均一化される。また、タイヤ11の回転数を大きくすると、前記遠心力が大きくなって、タイヤ11の接地面側に集められる溶液状樹脂Rの割合が多くなり、溶液状樹脂Rが冷却ゲル化された弾性樹脂組成物R’の厚さが厚くなって、パンクしにくい構造となる。即ち、溶液状樹脂Rが冷却ゲル化される前に行うタイヤ11の連続回転の回転数の調整によって、タイヤチューブ12の横断面の周方向における冷却ゲル化された弾性樹脂組成物R’の厚さを調整できる。そして、厚さが均一化された溶液状樹脂Rの流動性が低下した状態で、タイヤ11の回転を停止させてそのまま放置すると、タイヤチューブ12内の弾性樹脂組成物は冷却ゲル化されて、全体形状が中空ドーナツ状となって、中空ドーナツ状をした弾性樹脂層41の内側に環状をした圧縮空気Aの空気層42を有するタイヤ11が製造される(図5参照)。なお、図4−B(ハ),(ニ)においては、圧縮空気Aの圧力は図示されていないが、設定圧力(P0 )である。
実施例1の方法により製造されたタイヤは、図5に示されるように、中空ドーナツ状をした弾性樹脂層41の内側に環状をした圧縮空気Aの空気層42を有しているために、空気層42を形成している圧縮空気Aの空気弾力性によって適度な反発性が発生して、通常の通気入りのタイヤと遜色のない「乗り心地性」が得られると共に、空気弾力性により、タイヤのリム、スポーク、ひいては自転車の車体に及ぼす衝撃力が大幅に緩和されるため、タイヤ、或いは自転車としての耐久性も高められる。また、タイヤチューブ12の中空部には、その略半分の部分のみに弾性樹脂組成物R’が中空ドーナツ状に充填されて、残りの部分は圧縮空気Aであるために、タイヤチューブ12内に弾性樹脂組成物を中実状態で充填されたタイヤに比較して、大幅に軽量化される。このタイヤの軽量化により、走行中における慣性が小さくなって、漕出し開始時、及び制動時における操作がスムーズとなり、この点も「乗り心地性」の向上に寄与する。自転車のタイヤのみならず、軽量化が特に望まれている車椅子、ミニバイクのタイヤへの応用も可能となる。1本のタイヤに対する弾性樹脂組成物の使用量の減少により、タイヤチューブ内に弾性樹脂を充填したタイヤの製造コストが低減される。
また、タイヤチューブ12の内側に所定厚の弾性樹脂層41が被覆されて、前記弾性樹脂層41の内側に空気層42が存在しているために、空気漏れが殆どなくなると共に、前記弾性樹脂層41を貫通して、内部の空気層42の部分まで釘類が達しないとパンクが発生しないために、パンクしにくい構造となる。特に、実施例1の弾性樹脂組成物のように、粘着付与樹脂が含まれている場合には、タイヤに刺さった釘類と弾性樹脂層41との隙間は、粘性を有する弾性樹脂層41を構成する樹脂が即座に流動して閉塞されたり、或いは刺さった釘類を抜いた場合に発生する弾性樹脂層41及び/又はタイヤ11の貫通孔は、粘性を有する弾性樹脂層41を構成する樹脂が即座に流動して閉塞されるために、一層パンクしにくい構造となる。
比較例
弾性樹脂組成物としては、スチレン系の熱可塑性エラストマー〔ポリスチレン−ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体)と、パラフィン系プロセスオイルとを重量比で(1:4)の割合で混合したものを使用し、上記と同一の注入装置とを使用して、実施例1と同一の24インチのタイヤ11のタイヤチューブ12内の空気の全てを排出させて、160°Cの溶液状の前記弾性樹脂組成物を充填した。即ち、タイヤ11にタイヤチューブ12内に達するまで中空状の針を刺して、タイヤチューブ12内の空気が外部に排出され得る状態にして、ポンプ10によりタイヤチューブ12内に溶液状をした前記弾性樹脂組成物を満タンとなるまで充填した後に、三方切換弁13を切り換えて、タイヤチューブ12内に充填された溶液状樹脂、及び樹脂注入管1内の溶液状樹脂に、実施例1で使用した圧縮空気Aと同一圧力である(294kPa)の圧縮空気を作用させて、タイヤチューブ12内に前記弾性樹脂組成物が中実状態で充填されたタイヤを製造した。比較例において使用した弾性樹脂組成物の総質量は、実施例1で使用した弾性樹脂組成物の約2倍の(1,220g)であった。
比較例の方法により製造されたタイヤは、タイヤチューブ12内に弾性樹脂組成物が中実状態で充填されているために、実施例1の方法により製造されたタイヤに比較して、走行時における路面からの振動の伝達が大きくて、「乗り心地性」が悪いと共に、タイヤの重量増加の割合が大きいために、慣性が大きくて、漕出し開始時、及び制動時において大きな力を必要として、この点においても「乗り心地性」が悪かった。
通常の空気入りタイヤと実施例1及び比較例の各タイヤとの耐久性に関する走行テストの結果からは、空気入りタイヤを(100)とした場合には、実施例1のタイヤはほぼ(90)であり、比較例のタイヤはほぼ(75)であった。
第2実施例は、タイヤチューブが古かったり、低品質の場合には、引張強度等の力学的強度、熱的強度が低く、注入される溶液状樹脂Rの熱により加熱されたうえ、封入された圧縮空気の空気圧が作用すると、タイヤチューブが破損される恐れがあり、このようなタイヤチューブを有するタイヤの製造に適用されるものである。
実施例1と異なる点は、タイヤチューブ12内に溶液状樹脂Rを注入した後に注入する圧縮空気Aの圧力が最終的に必要とされる設定圧力(P0 )よりも小さい点、及び溶液状樹脂Rの冷却ゲル化の後に、空気注入針51をタイヤに刺して、タイヤチューブ12内の圧縮空気Aの圧力を設定圧力(P0 )まで高める点である。即ち、タイヤチューブ12内に注入される圧縮空気Aの最終的に必要とされる設定圧力(P0 )が(294kPa)とすると、タイヤチューブ12内に溶液状樹脂Rを注入した後に注入する圧縮空気A’の圧力(P2 )を、例えば(150kPa)に設定しておいて、溶液状樹脂Rが冷却ゲル化した後に、図6(イ)に示されるように、タイヤ11、タイヤチューブ12及び弾性樹脂層41’に空気注入針51を貫通させて、設定圧力(P0 )である(294kPa)となるまで圧縮空気Aを注入し、その後に図6(ロ)に示されるように、空気注入針51を抜くと、タイヤ11が膨張されると共に、タイヤ11の内周に固着している弾性樹脂層41’が僅かに圧縮されて、その厚さが僅かに薄くなる。空気注入針51を抜いた後においても、弾性樹脂組成物として実施例1のように粘着付与樹脂が含まれている場合には、弾性樹脂層41’に対する空気注入針51の貫通跡である中空部には、空気注入針51を抜いた直後に周辺からの樹脂が入り込んで閉塞されるために、空気漏れの恐れは全くない。ここで、タイヤ11における空気注入針51を刺す部分は、タイヤ11の接地面側の外周面に設けられた周溝11a又は横溝(図示せず)にすると、接地面側の弾性樹脂層41’の厚さが反対側の部分に比較して厚くなっていると共に、タイヤ11に対して空気注入針51を刺す長さも短くなるため、空気注入針51を抜き去った後における空気漏れを確実になくすことができて好ましい。また、図7に示されるように、タイヤ11の周溝11a又は横溝の部分において、空気注入針51をタイヤ11の半径方向(スポーク5の方向)に対して大きく傾斜させて刺し込むと、弾性樹脂層41’に対する空気注入針51の刺込み長が長くなって、実質的には前記刺込み長と同一の厚さを有する弾性樹脂層41’に空気注入針51を刺し込んだのと同等となって、空気漏れ防止の効果が高められる。なお、図6(イ)において、42’は、設定圧力(P0 )の圧縮空気Aが注入される前の空気層を示す。
このため、溶液状樹脂Rが冷却ゲル化されるまでの間は設定圧力(P0 )よりも低い圧力(P2 )の圧縮空気Aが注入されているために、当初より設定圧力(P0 )の圧縮空気を注入する場合に比較すれば、タイヤチューブ12に作用する引張力等が小さくなって力学的ストレスが少なくなり、その結果タイヤチューブ12の破損の恐れが少なくなる。タイヤチューブ12に充填された溶液状樹脂Rが冷却ゲル化した後に、タイヤ11に差し込んだ空気注入針51を介して設定圧力(P0 )となるまで圧縮空気Aを注入することにより、古かったり、或いは低品質のタイヤチューブ12を破損させることなく、該タイヤチューブ12内に溶液状樹脂Rと設定圧力の圧縮空気Aとを充填又は注入できる。
また、上記実施例1,2では、タイヤチューブ12内に注入する溶液状樹脂Rは、タイヤチューブ12の全容積の略半分であったが、タイヤチューブ12の全容積の(1/3〜2/3)の範囲であるならば、本発明の課題を達成し得る。溶液状樹脂Rの量がタイヤチューブ12の全容積の(1/3)以下であると、溶液状樹脂Rの量が少な過ぎて、タイヤチューブ12の内周の全部位に流動しない恐れがあって、本発明の課題が達成できない。逆に、溶液状樹脂Rの量がタイヤチューブ12の全容積の(2/3)以上であると、溶液状樹脂Rの量が多過ぎて、良好な「乗り心地性」を得るために最も重要な空気弾性の特定が失われてしまう。
実施例2に使用する弾性樹脂組成物としては、空気注入針51を抜いた後の弾性樹脂層41からの空気漏れを防止するために、粘着付与樹脂を含んでいることが必要であるが、実施例1に使用する弾性樹脂組成物としては、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルとの組成のみのものであっても実施可能であり、粘着付与樹脂を含んでいなくても実施可能である。弾性樹脂組成物として粘着付与樹脂を含んでいる場合には、熱可塑性エラストマーと粘着付与樹脂とプロセスオイルとの混合割合は、重量比で(1:1〜5:2〜10)の割合である必要がある。熱可塑性エラストマーと粘着付与樹脂との混合割合が上記であることは、(1:1)よりも粘着付与樹脂が少ない場合には、弾性樹脂組成物としての粘着が少な過ぎてパンクの発生を有効に防止でず、(1:5)よりも粘着付与樹脂が多い場合には、弾性樹脂組成物の粘性が高過ぎて常温においても流動性を有してしまう。また、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルとの混合割合が上記であることは、混合割合が(1:2)よりもプロセスオイルが少ない場合には、弾性樹脂組成物としての流動性が低過ぎてタイヤチューブ12内への圧力注入が難しいと共に、流動状態となる温度(融点)も高過ぎて、注入時においてタイヤチューブ12を熱劣化(熱損傷)させる恐れがあり、混合割合が(1:10)よりもプロセスオイルが多い場合には、弾性樹脂組成物が冷却ゲル化した場合においても、形状が定まりにくくなる。
また、上記実施例1,2は、本発明を自転車のタイヤに実施した例であるが、空気入りのタイヤであれば、他に車椅子、一輪車、ミニバイク、マウンテンバイク等のタイヤに対しても同様に実施可能である。
溶液状樹脂R及び圧縮空気Aをポンプ10及びコンプレッサCの各圧力によりタイヤチューブ12内に注入する装置の全体を示す概略図である。 封止栓打込具を兼用した樹脂注入具Bの断面図である。 溶液状樹脂収容容器Dの断面図である。 (イ),(ロ)は、それぞれタイヤチューブ12内の略半分に溶液状樹脂Rが注入された状態、及び予め溶液状樹脂Rが注入されているタイヤチューブ12内に圧縮空気Aが注入された状態のタイヤチューブ12の周方向に沿った断面図である。 (ハ),(ニ)は、それぞれ溶液状樹脂Rと圧縮空気Aが注入されたタイヤを上下反転させた状態、及び上下反転させた後にタイヤを回転させている状態のタイヤチューブ12の周方向に沿った断面図である。 タイヤチューブ12内に注入された溶液状樹脂Rが冷却ゲル化して中空ドーナツ状になった状態のタイヤチューブ12の横断面図である。 (イ),(ロ)は、それぞれ溶液状樹脂Rの冷却ゲル化後に、空気注入針51により再度圧縮空気Aを注入する前後のタイヤチューブ12の横断面図である。 タイヤ11の半径方向に対して大きく傾斜した方向に空気注入針51を刺し込んだ状態の周方向に沿った部分断面図である。
符号の説明
A:圧縮空気
B:樹脂注入具
C:コンプレッサー
D:溶液状樹脂収容容器
J:自転車
0 :圧縮空気の設定圧力
R:溶液状の弾性樹脂組成物
R’:冷却ゲル化した弾性樹脂組成物
V:バルブ
10:ポンプ
11:タイヤ
12:タイヤチューブ
13:三方切換弁
26:封止栓
41:弾性樹脂層
42:空気層
51:空気注入針

Claims (5)

  1. 自転車等のタイヤチューブ内にバルブを介して溶液状の弾性樹脂組成物が注入充填されたタイヤであって、
    前記タイヤチューブ内に注入充填されて冷却ゲル化された前記弾性樹脂組成物は圧縮空気の存在により中空ドーナツ状になっていることを特徴とするタイヤ。
  2. 請求項1に記載のタイヤの製造方法であって、
    前記タイヤチューブ内にバルブを介して溶液状の弾性樹脂組成物を完全充填に必要な量よりも遥かに少ない割合で充填する弾性樹脂組成物充填工程と、
    前記弾性樹脂組成物充填工程の後に前記タイヤチューブ内にバルブを介して必要設定圧力の圧縮空気を注入する圧縮空気注入工程と、
    前記圧縮空気注入工程後にタイヤチューブ内の溶液状の弾性樹脂組成物の逆流を防止した状態で、前記タイヤを略半回転させて充填された溶液状の弾性樹脂組成物を周方向に沿って未充填の部分の全域に流動させる弾性樹脂組成物流動工程と、
    前記弾性樹脂組成物流動工程の後に前記タイヤを低速度で回転させながら内部の弾性樹脂組成物を中空ドーナツ状に成形するタイヤ回転工程と、
    を含むことを特徴とするタイヤの製造方法。
  3. 請求項1に記載のタイヤの製造方法であって、
    前記タイヤチューブ内にバルブを介して溶液状の弾性樹脂組成物を完全充填に必要な量よりも遥かに少ない割合で充填する弾性樹脂組成物充填工程と、
    前記弾性樹脂組成物充填工程の後に前記タイヤチューブ内にバルブを介して必要設定圧力よりも低い圧力の圧縮空気を注入する第1圧縮空気注入工程と、
    前記第1圧縮空気注入工程後にタイヤチューブ内の溶液状の弾性樹脂組成物の逆流を防止した状態で、前記タイヤを略半回転させて充填された溶液状の弾性樹脂組成物を周方向に沿って未充填の部分の全域に流動させる弾性樹脂組成物流動工程と、
    前記弾性樹脂組成物流動工程の後に前記タイヤを低速度で回転させながら内部の弾性樹脂組成物を中空ドーナツ状に成形するタイヤ回転工程と、
    前記タイヤ回転工程の後においてタイヤチューブ内の中空ドーナツ状の弾性樹脂組成物が冷却ゲル化した後において、前記タイヤの空気注入針を差し込んで、前記必要設定圧力まで圧縮空気を注入する第2圧縮空気注入工程と、
    を含むことを特徴とするタイヤの製造方法。
  4. 前記タイヤチューブ内への弾性樹脂組成物の充填量は、タイヤチューブの全容積の(1/3〜2/3)であることを特徴とする請求項2又は3に記載のタイヤの製造方法。
  5. 前記弾性樹脂組成物は、スチレン系エラストマーと粘着付与樹脂とプロセスオイルとの組成物であって、これらは重量比で、(1:1〜5:2〜10)であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のタイヤの製造方法。
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