以下図面を参照して本発明の最良の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の方法により既存の自転車Jの後輪WRに溶液状の樹脂を注入している状態の全体概略図である。図2は、図1をX−X線で切断した部分断面図であって、自転車Jの後輪WRに装着された既存のバルブに、後述する改良を加えた逆流防止機能を有するバルブB1 によって、後述する組成の注入済みの溶液状の弾性樹脂〔以下、単に「注入済溶液状樹脂RS(a)」と記す〕の注入を終えて逆流が防止される状態を示している。図3は、既存のバルブを改良した逆流防止機能を有するバルブB1 の各構成部品の分解斜視図である。本発明では、既存の自転車Jの前輪WF及び後輪WRを形成する両タイヤ1に内接するチューブ2の内部に前記バルブB1 等を介して、前記溶液状の弾性樹脂(以下、単に「溶液状樹脂RS」と記す)を空気の代わりに充填した後に、これを自然冷却放置しながらゲル化(固化)してソリッド状のタイヤを製造する。原料樹脂(図示せず)をヒーターで加熱、融解して生成される溶液状樹脂RSは、気密を保持した状態で溶液状樹脂収容器50内に収容されている。また、該溶液状樹脂収容器50は、溶液状樹脂RSの注入をON,OFFする樹脂注入用バルブ57、主にこの樹脂注入経路を形成する樹脂注入管58、溶液状樹脂RSに所定量の空気を混入させる空気混入具60等を介して、後輪WRのチューブ2の内部空間2aと連通するバルブB1 に連結され、更にこれらとは別経路でコンプレッサーCと連結され、該コンプレッサーCの空気圧を溶液状樹脂RSの収容空間に作用させて加圧することによって、該溶液状樹脂RSをチューブ2の内部空間2aに圧入状態で注入可能となっている。また、コンプレッサーCは、前記溶液状樹脂収容器50に連結されると共に空気混入具60にも連結され、該空気混入具60を介して圧縮空気Aを溶液状樹脂RSに混入させる。なお、図1の71は、圧縮空気Aの吐出をON,OFFする空気吐出バルブである。
まず、既存のバルブを改良した逆流防止機能を有するバルブB1 について説明する。該バルブB1 によれば、チューブ2内の注入済溶液状樹脂RS(a)が規定のタイヤ圧で満タンに充填された直後に、これと樹脂注入経路との連結を解除する際に、チューブ2の内部空間2aから、前記注入済溶液状樹脂RS(a)が自身の逆流圧力Prで外部に噴出するのを防止できる。本実施形態では、バルブB1 は、前輪及び後輪WF,WRに装着された既存のバルブを利用して、これを形成する空気注入筒に機械加工を施して構成される。バルブB1 は、後輪WRのタイヤ1とこれを固定するリム3とによって形成された内部空間に収容されたチューブ2に対して気密に一体化され、タイヤ1の中心に向けてリム3から突出して取付けられており、外側面の相対向する2箇所に平面部21が形成された筒体形状のバルブ本体20と、バルブ本体20をリム3に対して固定する固定ナット15と、筒状の虫ゴム31と一体になってバルブ本体20の筒内に挿入される空気注入筒40と、略筒体形状のキャップナット16とを備えている。
バルブ本体20の前記平面部21を除く外側面には雄ねじ23が形成され、固定ナット15の内側面には、前記雄ねじ23と螺合する雌ねじ15aが形成されている。バルブ本体20は、これに固定ナット15を螺合し締付けることによってリム3に対して固定される。また、空気注入筒40は、既存のバルブの空気注入筒に後述の機械加工を施して改良したものであって、空気の圧入口を形成する大径筒状の入口側円筒部41と、空気の出口を形成すべく図示しない通気孔及び底部を有する内径1mm程度の小径筒状の出口側円筒部42と、両者を接続する中央のテーパー状円筒部43とが、軸線に沿って一体化された中空円筒体であって、入口側円筒部41の先端側の外側面には雄ねじ41aが形成されており、該雄ねじ41aは、キャップナット16の内側面に形成された雌ねじ16aと螺合可能である。虫ゴム31は、空気注入筒40の出口側円筒部42を覆うようにこの部分を挿入し、テーパー状円筒部43において自身の端部を引っ張って拡径されながら弾装される。虫ゴム31が装着された空気注入筒40は、バルブ本体20の筒内に挿入され、入口側円筒部41の先端部がキャップナット16から突出した状態で、虫ゴム31の前記弾装部を介してキャップナット16を締付けることによって、バルブ本体20に固定されている。なお、図3において44、22は、互いに嵌まり合って空気注入筒40のバルブ本体20への挿入配置を固定する突条、及び前記平面部21に形成されたスリットであって、180°相対向する位置にそれぞれ一対形成されている。また、バルブ本体20の内周面は、空気注入筒40の入口側円筒部41、出口側円筒部42、テーパー状円筒部43の各外形に対応したテーパー段差状に形成され、チューブ2の内部空間2aと直接に連通する樹脂出口24は、最小径の開口端部に形成されている。
そして、既存のバルブの空気注入筒の出口側円筒部の先端は閉塞されており、逆流防止機能を備えたバルブB1 を構成する空気注入筒40は、既存のバルブの空気注入筒の出口側円筒部の先端部を斜めに切断して開口させた構成であって、連結管17を介して入口側円筒部41と前記空気混入具60の樹脂出口61とを連結して使用される(図5参照)。既存のバルブの空気注入筒の出口側円筒部の先端部を斜めに切断して開口させると、その切断面には楕円環状のテーパー面42aに囲まれた樹脂出口42bが形成される。該樹脂出口42bは、溶液状樹脂RSの加圧注入時には、溶液状樹脂RSの注入圧力で、出口側円筒部42を覆った虫ゴム31の先端の樹脂出口31aが拡径方向に弾性変形することによって開口されて溶液状樹脂RSの注入が可能となると共に、注入作業後の加圧解放時には、注入済溶液状樹脂RS(a)の逆流圧力Prで、前記虫ゴム31の内周面が楕円環状のテーパー面42aに密着しながらゴム先端の樹脂出口31aを塞ぐように弾性変形することによって閉塞されるべき部分である。なお、虫ゴム31としては、比較的耐熱性に優れたシリコンゴムで既存のものと同一の形状に成形したものを使用することも可能である。
なお、図4は、上記した溶液状樹脂収容器50の構成例を示す断面図であって、51は、自転車Jの約4個分のチューブ2の内部空間2aの容積(約4リットル)に対応する溶液状樹脂RSの収容空間51aを有する有底略円筒状の収容器本体、52は、Oリング53を介して収容空間51aの気密を保持しながら、収容器本体51の上端にボルト止される略円板形状の蓋体、54は、加熱して溶液状樹脂RSの溶液状態を保持するヒーター、55、56は、空気入口、溶液状樹脂出口であって、それぞれ所定の経路を介して空気吐出バルブ71、樹脂注入用バルブ57に連結されている。また、溶液状樹脂収容器50とバルブB1 とを接続する樹脂注入管58、該樹脂注入管58内に組み込まれた樹脂注入用バルブ57及び空気混入具60には、これらの部分を通過する溶液状樹脂RSの温度が低下して注入性が低下するのを防止するために、ヒーター(図示せず)で覆われて保温してある。なお、図4においてP0 は収容器本体51の収容空間51aに収容された溶液状樹脂RSに作用する圧縮空気の圧力を示す。
また、図5は、使用状態の空気混入具60の断面を示す図である。略台形板片状の空気混入具60は、バルブB1 よりも僅かに短い長さの連結管17を介してバルブB1 と近接する位置に取付けて使用される。該空気混入具60の内部には、ほぼ水平方向に沿って溶液状樹脂RSの注入経路を形成する樹脂注入孔62と、これに鋭角( θ) で交わる斜辺方向に沿って空気Aの混入経路を形成する空気混入孔63とが形成され、溶液状樹脂RSと空気Aとの混入経路を形成する気泡混入孔64が、両孔62,63の交差部から前記樹脂注入孔62とほぼ直交する方向に沿って形成され、この開口部に前記樹脂出口61が形成されている。
次に、空気の代わりにタイヤのチューブ内に充填されるべき弾性樹脂組成物について具体的に説明する。本実施形態では、チューブ内部に充填する弾性樹脂組成物として、株式会社型善の製造に係るエアフリーゲル(商品名)を使用する。弾性樹脂組成物は、パラフィン系プロセスオイルと、スチレン系の熱可塑性エラストマー(ポリスチレン−ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体)とを重量比で約4:1の割合で混合して、共に加熱することにより得られた組成物である。前記スチレン系の熱可塑性エラストマーを、パラフィン系プロセスオイル媒体中に上記した割合で溶解させることにより、この樹脂組成物は、常温で粘性及び弾性を有するゲル体をなし、規定のタイヤ圧を有するようにチューブ内に圧入充填された状態において、従来のソリッドタイヤの充填材である発泡ポリウレタン樹脂よりも衝撃吸収の性能が向上し、パンクしない良好なソリッド状タイヤを得ることができる。
そして、上記した弾性樹脂組成物は、160℃程度の温度を維持した状態で、「100ps」以下の粘度を示す。「160℃」は、合成ゴム等の高分子よりなる既存のタイヤ及びタイヤチューブを熱劣化させない温度であって、これにより、前記注入済溶液状樹脂RS(a)のゲル化空間を形成するゴム類の信頼性を確保できる。また、粘度が「100ps」以下の流体は、既存のバルブに簡単な機械加工を施して改良したバルブB1 を構成する約1mmの最小口径を有する出口側円筒部42内を容易に流動でき、溶液状態の前記組成物RSのチュ−ブ内への圧入作業の能率が高まる。なお、「熱劣化させない温度」としては、チューブ2及びこの接合に使用されている接着剤の劣化等の悪影響を防止するためには、180℃程度が上限とみなされている。また、前記した弾性樹脂組成物の粘度に関しては、内径の小さなバルブからの注入性を考慮すると「300ps」が上限であり、現存し得る弾性樹脂組成物の粘度の下限は「10cps」とされる。
次に、上記した弾性樹脂組成物(エアフリーゲル)を使用したソリッド状タイヤの製造方法について説明する。まず、既存の自転車J、溶液状樹脂収容器50、空気混入具60、コンプレッサーC、及び原料の樹脂等を準備する。前記溶液状樹脂収容器50は、前述したように簡易な構成のものであって、需要に応じて通常の自転車約2台分のタイヤの製造を想定すれば、10リットル程度の機器載置スペースを確保すれば充分であり、コンプレッサーCについても、通常のタイヤ圧を想定すれば、溶液状樹脂収容器50と同等のスペースを確保すればよい。従って、作業スペースとしては、例えば自転車小売店や大型スーパーの自転車売場を想定して、このような場所で容易にソリッド状のタイヤの製造を実施できる。まず、必要量の前記エアフリーゲルを溶液状樹脂収容器50内に収容し、ヒーター54をONしてこの弾性樹脂組成物が液状をなしながら一定温度を保持するように加熱する。目安とすべき温度は160℃である。そして、コンプレッサーC、溶液状樹脂収容器50、空気混入具60、自転車Jの前輪WF又は後輪WRのバルブB1 等を所定どおりに連結した後に該コンプレッサーCを稼動し、4〜5kg/cm2 の空気圧で溶液状樹脂収容器50の収容空間51aを加圧しながら、チューブ2内へ溶液状樹脂RSを注入する。なお、図1の73は、中空状の針であって、後輪WRの上部のタイヤ1及びチューブ2よりなる外皮を貫通させ、前記内部空間2aの元の空気を外部に逃がすために使用される。
この時、溶液状樹脂RSの注入経路とは別経路で、コンプレッサーCから空気吐出管72内に吐出される圧縮空気Aは、該空気吐出管72の途中に組み込まれたバルブ75を通って、空気混入具60において、溶液状樹脂RS中に気泡Fとなって混入しながら、該溶液状樹脂RSと共にチューブ2内に圧入される。この場合の溶液状樹脂RSへの空気混入割合は、大きくなる程タイヤの重量を軽くして自転車の軽量化(ゲル化後の空気混入がない樹脂組成物の比重を1とすると、例えば、空気混入量が10%、20%、30%の各ゲル体のそれぞれの比重は、0.88,0.82,0.71程度である)、及びタイヤ弾性の確保に寄与できるが、この空気混入量は、体積比で前記溶液状樹脂RSの5〜20%程度となるのが好ましい。また、空気混入量が30%を超えて多くなり過ぎると、ゲル体中の気泡が部分的に連続して独立気泡をなさず、自転車の使用中にタイヤの外皮に小孔が生じた時に、パンクに準ずる状態となる恐れがあるので好ましくなく、更に、放置冷却後の温度降下により予想外に気泡が収縮し、タイヤ圧不足を誘発する恐れも有る。本実施形態では、空気混入具60は、連結管17を介したバルブB1 の近接位置に取付けられており(図1参照)、気泡F入りの溶液状樹脂RSが外気温で冷却される注入経路を最短にして構成されているので、空気混入時における溶液状樹脂RSと、放置冷却してゲル化した後の弾性樹脂組成物との温度差が、前記注入経路が長い場合と比較して小さく、温度降下による気泡体積の減少割合が少ない。従って、規定の空気混入量から生成されるべき気泡Fの体積をより正確に換算でき、予想外の気泡収縮に起因するタイヤ圧不足に関する信頼性が確保される。なお、図2及び図5に示される注入済溶液状樹脂RS(a)又は溶液状樹脂RS中の気泡Fの体積は、実施形態の混入割合を無視して図示した。
上述したように空気Aが混入されて気泡Fが生成された溶液状樹脂RSは、溶液状樹脂RSの注入圧力で、出口側円筒部42を覆った虫ゴム31を拡径方向に弾性変形させ、ゴムの樹脂出口31a及び前記樹脂出口42bが開口されることによって、チューブ2の内部空間2aに圧入される。適正なタイヤ圧は、2〜2.5kg/cm2 であるが、樹脂充填の終了のタイミングは、コンプレッサーCが吐出する圧縮空気Aが前記収容空間51aに作用する圧力が、圧入開始時から徐々に増加した後に増加が停止するのを確認することにより図ることができる。また、後輪WRのタイヤ外皮に突き刺された前記針73から注入済溶液状樹脂RS(a)が僅かに流出することによっても推定できる。上述した160℃の溶液状樹脂RSをバルブB1 の空気注入筒40から注入する場合、充填終了までに要する時間は数分間程度であって、速やかに作業を終えることができる。充填作業を終えた後には、ナット18を緩めながら空気混入具60の樹脂出口61から前記連結管17を取外し、溶液状樹脂収容器50と自転車Jとの連結を解除する。チューブ2の内部空間2aに圧入された注入済溶液状樹脂RS(a)は、コンプレッサーCによる注入圧から解放されて外部に向けて逆流しようとするが、虫ゴム31のゴム周壁が、この逆流圧力Prによって空気注入筒40の出口側円筒部42のテーパー面42aに密着して該出口42bを覆うように弾性変形しながらこれを閉塞するので、注入済溶液状樹脂RS(a)が噴出するのを防止できる。この後に連結管17を取外して、既存のバルブのゴムキャップ(図示せず)を覆蓋する等し、注入済溶液状樹脂RS(a)がゲル化するまで放置冷却してソリッド状タイヤが製造される。なお、安全かつ速やかに溶液状樹脂RSの注入作業を終えた直後には、注入済溶液状樹脂RS(a)は、チューブ2内で常温よりもかなり高温を保持しながら、溶液状態のままゲル化には至っていないが、この状態での自転車の乗用も可能である。
また、一般的に溶液状の熱可塑性エラストマーがゲル化により発生する体積減少率は、発泡ポリウレタン樹脂の熱硬化発泡による膨張率に比較して著しく小さい(3%程度とされている)ので、チューブ2に対する注入済溶液状樹脂RS(a)の注入直後の状態と、これがゲル化した後の状態とは、殆ど同じであると見做して差し支えない。このため、チューブ2内への溶液状樹脂RSの注入量のコントロールは上記したもので十分であって、厳格なコントロールを必要としない利点がある。この樹脂充填量の厳格なコントロールを必要としない利点と、専用の設備を殆ど必要としないために、既存の自転車店等の専用の工場以外の幅広い作業現場にて実施できる利点とが相乗して、簡単に実施できる。
また、図6は、上述した実施形態のバルブB1 の虫ゴム31(既存のバルブに使用されているものと同一)とは形状のみが異なる別の虫ゴム32が装着された空気注入筒40の斜視図であって、これを溶液状樹脂RSの注入口として使用する例について説明する。空気注入筒40に装着された状態で、出口側円筒部42を覆う虫ゴム32のゴム周壁には、前記テーパー面42aの楕円の短径と交差する位置よりも少し基端側寄り付近から、長手方向に沿って、先端開口部を2分割する一対の切込み32bが形成されている。この結果、前記虫ゴム31と比較すると、ゴム周壁が切込み32bの基端を支点にしてより弾性変形し易く、虫ゴム32の樹脂出口32a及び出口側円筒部42の樹脂出口42bの開口及び閉塞の双方が確実になされるように構成されている。また図7は、上述した各虫ゴム31,32とは更に別の虫ゴム33が装着され、既存の空気注入筒の出口側円筒部を軸直角方向に切断して開口させた形状の空気注入筒45の斜視図である。テーパー状円筒部43への弾装部から延設される虫ゴム33のゴム周壁の長手方向中央部には、該延設長の3分の1程度の長さの一対の切込み33aが、長手方向に沿って対向して形成され、虫ゴム33の先端開口部には、該開口部を塞ぐ栓47が挿入されている。この構成により、虫ゴム33の内周面に注入圧力が作用する時には、切込み33aが開くように弾性変形して樹脂出口33bとなり、この樹脂出口33bからチューブ2内に溶液状樹脂RSが注入される。また、注入された溶液状樹脂RSによりチューブ2内が充満されて、虫ゴム33の外周面に逆流圧力が作用する時には、切込み33a付近を折線にして虫ゴム33の全体が押し潰されるように弾性変形してゴムの樹脂出口33bを塞ぎ、出口側円筒部46の樹脂出口46aを閉塞する。
また、図8の(イ)は、既存のバルブを利用するものの、キャップナット16、虫ゴム31が弾装された空気注入筒40を取外して、その代りにバルブ本体20の内部空間25を、溶液状樹脂RSの注入口として利用する別のバルブB2 の部分断面図であって、(ロ)は、(イ)のY−Y線断面図である。図示される11は、前記空気混入具60とバルブB2 とを連結する前記連結管17に準ずる連結管であって、バルブB2 と連結する側の開口部の内周面には、バルブ本体20の雄ねじ23と螺合する雌ねじ11aが形成され、この奥側に形成されたテーパー状の円錐弁座面11bの更に奥方には、前記空気混入具60の樹脂出口61と連通する前記開口部よりも小径の樹脂注入孔11cが形成されている。また、12は、前記樹脂注入孔11cの口径よりも大径に形成された球体弁であって、バルブ本体20の両スリット22の間に架設された弁止棒体13と前記樹脂注入孔11cとの間に配置され、溶液状樹脂RSの注入圧又は注入済溶液状樹脂RS(a)の逆流圧力によってこの間を移動可能に構成されている。この構成により、溶液状樹脂RSの注入時には、その注入圧力によって球体弁12が弁止棒体13に当接し、樹脂注入孔11cとバルブ本体20の内部空間25とが連通されて、前記樹脂RSを前記樹脂出口24からチューブ2内に圧入する。また、注入作業後の加圧解放時には、注入済溶液状樹脂RS(a)の逆流圧力で、球体弁12が樹脂注入孔11cの側に移動して、その開口部を塞ぐので、樹脂注入孔11cと前記内部空間25との連通が遮断され、前記注入済溶液状樹脂RS(a)の逆流を防止できる。また、バルブ本体20の最小内径は、前述のバルブB1 の空気注入筒40の注入口径( 約1mm) の3倍の約3mm程度なので、溶液状樹脂RSの注入時間をより短縮し、注入開始から30秒以内で満タン充填可能である。
また、図9は、気泡が全く混入されていない溶液状樹脂RSをポンプ74の圧力によりチューブ2内に充填する場合の全体概略図である。溶液状樹脂RS内には気泡は全く混入させないので、空気混入具60の空気混入孔63は閉塞しておいて、樹脂注入管58における溶液状樹脂収容器50の直下流の部分にポンプ74を組み込んで、このポンプ74により溶液状樹脂収容器50内の溶液状樹脂RSを吸引してチューブ2の側に向けて吐出させ、ポンプ74の吐出圧によりチューブ2内に溶液状樹脂RSを注入する。これにより、チューブ内に、気泡が全く含まれない状態でゲル化した弾性樹脂組成物が充填されたタイヤが得られる。ここで、ポンプとしては、ギヤ式、スクリュー式、モーノ式のものが好ましい。特に、ギヤ式のポンプは、構造に起因する吐出圧力の安定性、及び耐久性に優れているのに加えて、購入価格も安価であるので、簡易的に実施するのに最適であると言える。また、溶液状樹脂RS内に気泡を混入させない場合には、樹脂注入管58の他端を直接にバルブB1 の空気注入筒40に接続することも可能である。なお、図9において76は、樹脂注入管58に組み込まれたバルブを示す。
また、上述した実施形態では、樹脂に対して空気を混入しながら、両者を同時にチューブ内に注入する方法について説明したが、例えば三方弁を使用して、これを所定時間毎に切換えながら、交互に個別に注入する方法でも構わない。この場合にも、チューブ2内で空気が乱雑に泡立ちながら溶液状樹脂RS内に混入することによって、ゲル化後には、空気を同時混入した場合よりも大きな独立気泡を得ることができ、タイヤをより軽量化できる。そして、空気と溶液状樹脂RSとを同時に注入させる手段としては、空気混入具60を使用する例を示したが、その他の手段としては、溶液状樹脂収容器内に泡立て器用の撹拌棒を設ける方法や、心棒を介して送風しながら撹拌する方法等がある。更に、発泡剤を使用したり、或いは予め発泡された発泡粒である「バルーン」を溶液状樹脂内に混入させておくことも可能である。
また、図10は、気泡が全く混入されていない溶液状樹脂RSをポンプ74及びコンプレッサーCの各圧力によりチューブ2内に注入する方法の全体概略図であり、図11は、この溶液状樹脂RSの注入方法における時間に対するチューブ2内への溶液状樹脂RSの充填量と充填圧力との関係を示すグラフである。この溶液状樹脂RSの注入方法は、作業者の有する技術とは殆ど無関係に、簡単な方法により設定された充填圧でもってチューブ2内に溶液状樹脂RSを注入可能にすることを目的としていて、その実施には、図10に示されるように、溶液状樹脂収容器50内に収容された溶液状樹脂RSをチューブ2内に注入するためのポンプ74と、溶液状樹脂収容器50とチューブ2とを連結する樹脂注入管58の途中に組み込まれて、前記溶液状樹脂収容器50から送り出された溶液状樹脂RSを所定量だけ一時的に貯留させるための圧力調整タンク59と、該圧力調整タンク59に一時的に貯留された溶液状樹脂RSに対して設定された空気圧を作用させるためのコンプレッサーCとを必要とする。コンプレッサーCと圧力調整タンク59とは、空気管路65を介して連結され、該空気管路65には三方切換バルブ66と圧力計67とが組み込まれている。圧力調整タンク59は、ポンプ74の吐出圧によりチューブ2内の大部分の溶液状樹脂RSを注入した後に、最後の少量の溶液状樹脂RSのみを注入することを目的として、該圧力調整タンク59内に貯留されている溶液状樹脂RSに対してコンプレッサーCの空気圧を作用させて、チューブ2内に溶液状樹脂RSを注入可能にするために設けられており、その容量は、上記目的からして0.2リットル程度で十分である。圧力計67は、空気の流れる方向を基準にして三方切換バルブ66よりも上流側に組み込まれていて、コンプレッサーCから吐出される圧縮空気の空気圧、即ち、チューブ2内における溶液状樹脂RSの充填圧を定めるものであって、予め前記充填圧に設定されている。また、ポンプ74と圧力調整タンク59との間には、バルブ68が組み込まれている。
上記した装置を使用してチューブ2内に溶液状樹脂RSを注入して充填するには、以下の順序により行う。(1)三方切換バルブ66を閉じると共に、バルブ68を開いた状態において、上記した方法によってポンプ74により溶液状樹脂収容器50内の溶液状樹脂RSを吸引して、その吐出力によりチューブ2内に溶液状樹脂RSを注入する。溶液状樹脂収容器50から流出して樹脂注入管58を通る溶液状樹脂RSは、圧力調整タンク59に流入して一時的に貯留された後に、排出されてチューブ2内に注入される。(2)目視又は経験によりチューブ2内に溶液状樹脂RSがほぼ満タンに注入されたと判断された時点で、ポンプ74を停止させるとほぼ同時にバルブ68を閉じる。(3)三方切換バルブ66を開いて、圧力調整タンク59に貯留されている溶液状樹脂RSにコンプレッサーCによる設定空気圧を作用させて、溶液状樹脂RSの流れが停止するまで、この状態を持続させる。(4)溶液状樹脂RSの流れが停止した後に、バルブ76を閉じた後に、三方切換バルブ66を開いて、圧力調整タンク59に貯留されている溶液状樹脂RSにコンプレッサーCによる空気圧が作用するのを停止させる。
このため、図11に示されるように、チューブ2内に注入される溶液状樹脂RSの大部分は、ポンプ74の作用によって注入され、最後の残りの僅かの溶液状樹脂RSのみがコンプレッサーCの作用(空気圧)によって注入されるので、チューブ2内に充填された溶液状樹脂RSの充填圧力は、コンプレッサーCの作用により最後の残りの僅かの溶液状樹脂RSの注入時において急激に上昇して、圧力計67により設定された圧力に達すると、溶液状樹脂RSの注入が自動的に停止される。この結果、チューブ2内に充填される溶液状樹脂RSの充填圧を自在かつ正確に調整できると共に、作業者の技術とは殆ど無関係にチューブ2内に溶液状樹脂RSを充填できる。即ち、未経験の者であっても、装置を構成する各機器の操作のみを知れば、常に一定の品質でチューブ2内に溶液状樹脂RSを充填できる。また、注入効率の高いポンプ74によりタイヤチューブ2内の大部分に溶液状樹脂RSを注入した後に、残りの僅かな部分についてのみ充填圧力の制御が可能なコンプレッサーCによる空気圧により溶液状樹脂RSを注入しているために、1本のタイヤチューブ2に要する注入時間も短くなって、注入効率も高められる。また、チューブ2内に溶液状樹脂RSが充填されてゲル化したソリッド車輪(タイヤ)の観点から見ると、例えば、車椅子のように一対の車輪が左右に配置されて使用されるものにおいては、左右一対の車輪の樹脂充填圧がばらついている場合には、左右の車輪圧がアンバランスとなって乗り心地が悪いが、上記した本発明に係る溶液状樹脂の注入方法によれば、左右一対の車輪の樹脂充填圧が同一となるので、上記不具合が解消されて乗り心地が良好となる。
また、上述した実施形態では、スチレン系の熱可塑性エラストマーより組成される弾性樹脂組成物エアフリーゲルを使用した例を示したが、該弾性樹脂組成物を組成し得る他のスチレン系の熱可塑性エラストマーの使用例としては、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBC(スチレン−エチレン−ブタジエン−高結晶エチレン共重合体)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレンースチレン共重合体)、SIS(スチレン−イソブチレンースチレン共重合体)等が挙げられる。これらのスチレン系熱可塑性エラストマーは、いずれかより選ばれる1種以上での使用が可能である。これらのスチレン系熱可塑性エラストマーは、自転車の走行条件に応じて、最適なゲル硬度を有する弾性樹脂組成物をチューブ内に充填すべく選択でき、またゲル硬度は、プロセスオイルとの混合比率を調整することによっても行える。
一般的に、「ゲル体」は、制振材料として幅広く利用されている。この制振性能は、外部からの振動エネルギーを熱エネルギーに変換することによって発揮され、この性能を示す指標としては、動的粘弾性測定における「貯蔵弾性率」、「動的損失:tanδ」が使用される。図12に、本実施形態の弾性樹脂組成物エアフリーゲル(実施例1)と他の弾性体との「動的損失(tanδ)」の測定値を参考例として示す。この結果より、タイヤ用途の一般的なゴム(比較例1)だけでソリッドタイヤを形成したり、発泡ポリウレタン(比較例2)を充填してソリッドタイヤを形成したものと比較すると、前記エアフリーゲルでソリッド状タイヤを形成した場合の制振性能、即ち本実施形態のソリッド状タイヤを装着した自転車で走行した時の振動吸収性の優位性が認められる。なお、この測定は、25℃の環境下で、片側の自由端部に電子加振器にて110Hzの振動を加え、他方側のクランプ部近傍の伝達振動を電磁式検出器で測定する片持ち梁法で測定した。
次に、チューブ2内に溶液状樹脂RSを注入後に、封止栓打込み具Dを使用して英式のバルブB3 のバルブ本体80に封止栓T1 を打ち込んで、注入済溶液状樹脂RS(a)の逆流を防止する方法について説明する。図13は、封止栓打込み具DをバルブB3 のバルブ本体80にセットして封止栓T1 を打ち込んでいる途中の状態の断面図であり、図14は、封止栓打込み具Dの分解斜視図であり、図15は、バルブ本体80に封止栓T1 が打ち込まれた状態の一部を破断した斜視図であり、図16は、封止栓T1 が打ち込まれたバルブ本体80の疑似ねじ部91をキャップ79で覆った状態の断面図である。図13ないし図15において、封止栓打込み具Dは、樹脂注入具を兼用していて、バルブ本体80の外側にホースバンド81を介して固定される鍔付スリーブ82と、該鍔付スリーブ82の鍔部82aの部分にナット83を介して固定される三方チーズ84と、該三方チーズ84の対向する二つの連結口84a,84bの一方84bから挿入された封止栓T1 を内部に押し込んでバルブ本体80内に打ち込むための押しロッド85とで構成され、全体が一体に組み付けられた状態でバルブ本体80にセットされる。三方チーズ84の残りの連結口84cには、連結ナット86を介して樹脂注入管87が連結される。なお、バルブ本体80とは、前記バルブB1 において空気注入筒40を取り外して残ったバルブ本体20に相当するものである。
また、バルブ本体80の中空部80aの長手方向の略中央部には、他の部分よりも小径に形成された内方突起部80bが形成されている。バルブ本体80の中空部80aに打ち込まれる封止栓T1 は、樹脂製であって、前記中空部80aの内周面形状にほぼ対応させてあって、前記内方突起部80bに対応する凹部の形成により小径部88aを有する本体部88と、該本体部88の長手方向の一端部に連設された二股状の挿入ガイド部89と、前記本体部88よりも小径であって、その長手方向の他端部に連設された疑似ねじ部91とで構成される。よって、本体部88と疑似ねじ部91との間には段差部92が形成されている。このため、チューブ2に溶液状樹脂RSを注入する際には、図13に示されるように、三方チーズ84の連結口84bに封止栓T1 を差し込んで前記連結口84bの外側にナット93を螺合させて、封止栓T1 の前記段差部92がナット93の裏面における押しロッド挿通孔93aの周縁部に当接することにより、溶液状樹脂RSの注入時の際に、封止栓T1 の挿入ガイド部89の側に溶液状樹脂RSの逆流圧が作用しても、封止栓T1 が三方チーズ84の外部に飛び出ることなく、三方チーズ84の連結口84cを確実に封止した状態で溶液状樹脂RSを注入できる構成になっている。
そして、前記ポンプP等の圧力によって樹脂注入管87から溶液状樹脂RSを4〜4.5kg/cm2 の圧力で注入すると、三方チーズ84の内部において注入方向が略90°変換された後に、バルブ本体80の内部の通路を通ってチューブ2の内部空間2a内に溶液状樹脂RSが徐々に注入される。そして、溶液状樹脂RSの適所に設けられた圧力計(図示せず)が、適正なタイヤ圧とされている2〜2.5kg/cm2 に達した時点で溶液状樹脂RSの注入を停止させる。次に、押しロッド85のロッド部85aを封止栓T1 の疑似ねじ部91の上端面に当接させて、前記ロッド部85aを三方チーズ84の内部通過孔84dに押し入れることにより、封止栓T1 を三方チーズ84の内部通過孔84dを通過させて、バルブ本体80の部分まで圧入させて(図15参照)、チューブ2の内部空間2a内に注入・充填された注入済溶液状樹脂RS(a)が冷却してゲル化するまで、この状態を維持させておく。これにより、バルブ本体80の部分が封止栓T1 により確実に封止され、チューブ2の内部空間2a内に注入済溶液状樹脂RS(a)が満タン充填された後において、前記注入済溶液状樹脂RS(a)の逆流を防止できる。チューブ2の内部空間2a内に注入済溶液状樹脂RS(a)が満タン充填された後において、ホースバンド81を解除して、バルブ本体80から樹脂注入具を兼用した封止栓打込み具Dを取り外して、そのまま所定時間放置しておくと、チューブ2の内部空間2a内に注入された注入済溶液状樹脂RS(a)は、冷却ゲル化される。そして、バルブ本体80の上端から封止栓T1 の疑似ねじ部91が突出した状態で、バルブ本体80の上端部に内鍔付ナット78を螺合させた後に、前記疑似ねじ部91をキャップ79で覆っておくと、この疑似ねじ部91が本来のバルブB3 の空気注入筒のねじ部のように認識されて違和感がなくなる。なお、図15において、85bは、押しロッド85のハンドル部を示す。
また、図17は、マウンテンバイクに使用される米式のバルブB4 のバルブ本体94に溶液状樹脂RSを注入した後に、封止栓T2 によりバルブ本体94を封止した状態の断面図である。バルブ本体94の開口に近い部分の中空内周面には、逆流防止具(図示せず)を螺じ込むための雌ねじ部94aが形成されている。この封止栓T2 に関しても、バルブ本体94の内部空間の形状に対応した形状になっていて、その使用方法は、前記封止栓T1 と同様に、バルブ本体94に封止栓打込み具Dをセットした状態で、チューブ2の内部空間2aに溶液状樹脂RSが満タン充填された後に、押しロッド85のロッド部85aによりバルブ本体94の内部に封止栓T2 を打ち込む。この封止栓T2 は、中実円筒状の本体部95の一端部に二股状の挿入ガイド部96が一体に設けられ、前記本体部95の一部には、バルブ本体94の内周面の雌ねじ部94aに対応する雄ねじ部95aが形成された構成であって、前記封止栓T1 に対しては、疑似ねじ部を備えておらず、封止栓T2 の全体がバルブ本体94の中空部に打ち込まれる構成であって、打ち込まれた状態では、封止栓T2 の本体部95の雄ねじ部95aがバルブ本体94の雌ねじ部94aに螺合係止することにより、抜け止めが確実となる点で異なる。なお、図17において、97は、タイヤのリムを示す。
上記したように、バルブB1 〜B4 を介してチューブ2の内部空間2a内に溶液状樹脂を加圧して注入する際に、タイヤチューブ内に溶液状樹脂が完全に充填された後に、溶液状樹脂のゲル化が開始すれば問題はないが、溶液状樹脂がチューブ内に完全に充填される前にゲル化が開始されると、チューブの内周面との間に、溶液状樹脂が充填されていないか、或いは充填が不十分なことが原因で空隙部が発生することがある。この空隙部の発生は、チューブ内に注入される溶液状樹脂の注入圧力及び/又は温度が低い場合、或いはその粘性が高い場合に、溶液状樹脂の流動性が低下して発生し易い。この空隙部の存在は、タイヤとして使用する場合において1回転毎に僅かな「ガタツキ」となって現れて、乗り心地を悪くすると共に、タイヤの寿命を短くする一因となる。また、前記空隙部は、充填された溶液状樹脂のゲル化後において、人手によりタイヤチューブを握る等することで容易に検出できる。
そこで、図18−1及び同18−2に示されるように、注射器の注射針Nを用いた樹脂注入具Eを使用して、チューブ2の内部空間2aに注入してゲル化された注入済溶液状樹脂RS(a)内に発生した空隙部98に溶液状樹脂RSの補充注入を行う。まず、(1)チューブ2の内部空間2aの注入済溶液状樹脂RS(a)内に発生した空隙部98を探し出した〔図18−1(イ)〕後に、(2)タイヤ1を貫通せて前記空隙部98内に樹脂注入具Eの注射針Nを差し込み〔図18−1(ロ)〕、(3)注射針Nを介して前記空隙部98内に溶液状樹脂RSを補充注入した後に、ニッパ99等を使用して前記注射針Nにおけるタイヤ1に近い部分を潰して、ゲル化途中の溶液状樹脂RSの逆流を防止した〔図18−1(ハ)〕後に、(4)前記潰し部Naよりも外側の部分において注射針Nを切断して〔図18−2(ニ)〕、補充注入された溶液状樹脂RSがゲル化するまでそのまま放置し〔図18−2(ホ)〕、補充注入された溶液状樹脂RSがゲル化した後に、途中切断された注射針N’を抜き取る〔図18−2(ヘ)〕。
このように、空隙部98は、チューブ2のどの部分で発生するか分からず、バルブの部分から溶液状樹脂RSを注入することを予定している樹脂注入具をセットできないことが多いが、上記した注射針Nを備えた樹脂注入具Eを使用すると、チューブ2のどの部分において空隙部98が発生しても、溶液状樹脂の補充注入が可能となる。また、空隙部98に溶液状樹脂RSが補充注入されて、該空隙部98が解消されることにより、自転車等のソリッドタイヤとして使用する場合において、乗り心地の悪さが解消されて、これが良好となる。なお、針73によりタイヤ1に貫通された空気抜孔が存在しない部分に前記空隙部98が発生した場合には、この空隙部98に針を差して内部の空気が抜け得る状態で溶液状樹脂の補充注入を行う必要がある。
また、上記実施形態では、自転車のタイヤに対して本発明を実施して、そのチューブ内に溶液状樹脂を注入した後に冷却してゲル化させることにより、空気入りのタイヤをパンクの発生のないソリッド状のタイヤに変えた例であるが、本発明は空気入りのタイヤであれば、他に車椅子、一輪車、ミニバイク、フォークリフト、マウンテンバイク等のタイヤに対しても同様に実施可能である。