JP2007320036A - タイヤチューブ内への溶液状樹脂の注入装置、及び注入方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
コンプレッサを使用することなく、タイヤチューブ内に充填圧力を調整可能にして溶液状樹脂を注入可能にすることである。
【解決手段】
樹脂タンクT1 と第1樹脂注入管B1 で連結されると共に、タイヤバルブV0 と第2樹脂注入管B2 を介して連結されて、注入途中の溶液状樹脂Rを内部の圧縮空気Aと一緒にして密閉状態で一時的に貯留させて内部の空気を圧縮させる中間蓄圧タンクT2 を備えていて、当該中間蓄圧タンクT2 内に一次的に貯留された溶液状樹脂Rを、当該中間蓄圧タンクT2 内の圧縮空気Aの圧力Pと等しい圧力により当該中間蓄圧タンクT2 外に吐出させることにより第2樹脂注入管B2 及びタイヤバルブV0 を介してタイヤチューブC内に溶液状樹脂Rを注入する構成とする。
【選択図】 図1
コンプレッサを使用することなく、タイヤチューブ内に充填圧力を調整可能にして溶液状樹脂を注入可能にすることである。
【解決手段】
樹脂タンクT1 と第1樹脂注入管B1 で連結されると共に、タイヤバルブV0 と第2樹脂注入管B2 を介して連結されて、注入途中の溶液状樹脂Rを内部の圧縮空気Aと一緒にして密閉状態で一時的に貯留させて内部の空気を圧縮させる中間蓄圧タンクT2 を備えていて、当該中間蓄圧タンクT2 内に一次的に貯留された溶液状樹脂Rを、当該中間蓄圧タンクT2 内の圧縮空気Aの圧力Pと等しい圧力により当該中間蓄圧タンクT2 外に吐出させることにより第2樹脂注入管B2 及びタイヤバルブV0 を介してタイヤチューブC内に溶液状樹脂Rを注入する構成とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自転車、車椅子、一輪車、マウンテンバイク等のタイヤチューブ内に、弾性樹脂組成物が加熱されて溶液状をなす樹脂をタイヤバルブを介して注入するための装置、及び注入方法に関するものである。
弾性樹脂組成物とは、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルを所定の割合で混合したものであって、この弾性樹脂組成物を加熱すると、タイヤチューブを熱損傷させることのない180°C以下で、10cpsないし300psの粘度を有する溶液状樹脂となって、タイヤバルブを構成する内径数mmの既存のタイヤバルブから注入可能となる。
図6は、上記した溶液状樹脂をタイヤ10のチューブC内にタイヤバルブV0 を利用して注入する従来の注入装置D’の全体図である。溶液状樹脂Rを保温して収容する樹脂タンクT1 とタイヤバルブV0 を接続する樹脂注入管B11の途中にポンプJを組み込んで、当該ポンプJをモータMにより駆動して、樹脂タンクT1 内の溶液状樹脂RをポンプJの吸引口から吸引して吐出口から吐出させることにより、タイヤバルブV0 からタイヤチューブC内に溶液状樹脂Rを注入できる。そして、タイヤチューブC内に注入された溶液状樹脂Rは、そのまま所定時間放置することによりゲル化して弾性樹脂となるため、パンクの恐れがない「パンクレスタイヤ」となって、空気入タイヤと遜色ない「乗心地性」を確保できる。この弾性樹脂の反発性は、自転車等の「乗心地性」と直接に関連し、前記反発弾性は、タイヤチューブC内に注入された溶液状樹脂Rの樹脂充填圧力により左右される。よって、タイヤチューブC内に溶液状樹脂Rを注入して「パンクレスタイヤ」とする場合には、前記樹脂充填圧力を最適値に確保することが肝要となる。しかし、図6に示される従来の注入装置D’では、タイヤチューブC内の樹脂充填圧力は、人の手によりタイヤを直接に押圧する等して、人の感覚(直感)により判断する他はなかった。よって、樹脂充填圧力を正確に設定できなくて、そのバラツキが生ずるという問題があった。樹脂注入管B11におけるポンプJの下流側には、開閉バルブV11が組み込まれている。なお、図6において1は、樹脂タンクT1 内の溶液状樹脂Rを保温するためのヒータを示す。
図7は、上記した従来の注入装置D’を改良した別の注入装置D”の全体図であって、特許文献1の図10に記載されている。注入装置D”について、前記注入装置D’と異なる構成は、樹脂注入管B11におけるタイヤバルブV0 とポンプJとの間に中間タンクT2'が組み込まれ、当該中間タンクT2'の上流側の端部とコンプレッサKとが圧力空気管B12で接続されて、中間タンクT2'とポンプJとの樹脂注入管B11及び前記圧力空気管B12にそれぞれ開閉バルブV11,V12が組み込まれていることである。他の構成は、注入装置D’と同一である。
そして、圧力空気管B12の開閉バルブV12を閉じると共に、樹脂注入管B11のバルブV11を開いた状態で、ポンプJを駆動させてタイヤチューブC内に溶液状樹脂Rが完全に充満される「満タン」の直前まで溶液状樹脂Rを注入する(例えば、タイヤチューブCの全充填量の95%まで注入する)。その後に、樹脂注入管B11のバルブV11を閉じると共に、圧力空気管B12のバルブV12を開いて、中間タンクT2'の内部にコンプレッサKにより生成された圧縮空気A’を作用させる。圧縮空気A’の圧力は、タイヤチューブC内の樹脂充填圧が最適となるように予め定められており、中間タンクT2'の内部に圧縮空気A’が作用することにより、中間タンクT2'内の溶液状樹脂Rは、前記圧縮空気A’の圧力P’のみによって、中間タンクT2'内から押し出されることにより、タイヤチューブC内の樹脂充填圧力が前記圧縮空気A’の設定圧力P’から樹脂注入管B11の管路抵抗を減じた圧力まで、不完全充填のタイヤチューブC内に溶液状樹脂Rが注入されて、タイヤチューブC内の樹脂充填圧力と圧縮空気A’の設定圧力P’とが均衡した時点において、タイヤチューブC内への溶液状樹脂Rの注入は自然に停止される。これにより、タイヤチューブC内の樹脂充填圧力は、圧縮空気A’の設定圧力P’と等しくなって、予め設定することが可能となる。
しかし、タイヤチューブC内に溶液状樹脂Rが充填された直前のタイヤ10を取り外して、次のタイヤ10のチューブC内に溶液状樹脂Rを注入する際には、前記中間タンクT2'内に空気A’が残存していて、そのまま溶液状樹脂Rを注入すると、中間タンクT2'内の残存空気A’がそのままタイヤチューブC内に溶液状樹脂Rと一緒になって注入されてしまう。よって、タイヤ10を交換する際には、中間タンクT2'内の残存空気A’を排出させた後に、次のタイヤ10のチューブC内に溶液状樹脂Rを注入する必要がある。これを実現させるには、次のタイヤ10のチューブCに溶液状樹脂Rを注入する前に、開閉バルブV11を開いて、中間タンクT2'内の残存空気A’が中間タンクT2'、及び当該中間タンクT2'よりも下流側の樹脂注入管B11から完全に排出されるまで、ポンプJから溶液状樹脂Rを吐出させる必要がある。このため、残存空気A’の排出に供された溶液状樹脂Rは、タイヤチューブCの先端(タイヤバルブV0 と接続される部分)から排出され、そのまま廃棄するのは不経済であるので、再度樹脂タンクT1 内に戻して使用している。
このように、注入装置D”によれば、タイヤチューブC内の充填樹脂圧力が設定圧力となるようにして充填することは可能となるが、コンプレッサKの使用が不可欠となって装置が大掛かりな構成となるのに加えて、中間タンクT2'内の残存空気A’を排出させる操作の間は、次のタイヤのチューブC内に溶液状樹脂Rを注入できないために、注入能率が低下するという問題があった。
特開2005−96471号公報
本発明は、コンプレッサを使用することなく、タイヤチューブ内に充填圧力を調整可能にして溶液状樹脂を注入可能にすることを課題としている。
上記課題を解決するための請求項1の発明は、弾性樹脂組成物が加熱されて溶液状となった樹脂を自転車等のタイヤチューブ内にバルブを介して注入するための装置であって、前記溶液状樹脂を保温して収容する樹脂タンクと、当該樹脂タンクと第1樹脂注入管で連結されると共に、前記バルブと第2樹脂注入管を介して連結されて、注入途中の溶液状樹脂を内部の空気と一緒にして密閉状態で一時的に貯留させて前記空気を圧縮させる中間蓄圧タンクと、前記第1樹脂注入管に組み込まれて、前記樹脂タンク内の溶液状樹脂を前記中間蓄圧タンクに送り込むためのポンプと、前記中間蓄圧タンク内の空気圧を測定する圧力計とを備えていることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、ポンプにより樹脂タンク内の溶液状樹脂を中間蓄圧タンク内に送り込むと、当該中間蓄圧タンク内に一時的に貯留される溶液状樹脂の貯留量によって、中間蓄圧タンク内に密閉収容された空気の圧力が変動する。即ち、中間蓄圧タンク内の溶液状樹脂の貯留量が増大すると、密閉空気の体積が小さくなって圧力が高まり、当該圧力が、第2樹脂注入管及びバルブを介してタイヤチューブ内に溶液状樹脂を注入可能な高さに達すると、中間蓄圧タンク内の圧縮空気の圧力と等しい圧力で溶液状樹脂はタイヤチューブ内に注入される。タイヤチューブ内に注入された溶液状樹脂の充填圧力は、中間蓄圧タンク内に密閉された圧縮空気の圧力から管路抵抗を減じた圧力となって、当該圧縮空気の圧力は、中間蓄圧タンクに取付けた圧力計により読み取ることができる。タイヤチューブが溶液状樹脂で「満タン」になる直前までは、タイヤチューブ内に充填された樹脂圧力は、ほぼ大気圧であるので、中間蓄圧タンク内の空気圧は、大気圧に管路抵抗による圧力を加えた大きさであるが、当該管路抵抗はほぼ無視できる。
タイヤチューブ内に溶液状樹脂がほぼ充満された状態で、更にポンプを駆動し続けて、タイヤチューブ内への溶液状樹脂の注入を継続すると、注入抵抗が増大することにより、中間蓄圧タンク内の溶液状樹脂の一次的な貯留量が増加して圧縮空気が更に圧縮されて、その圧力が高まって、タイヤチューブ内に溶液状樹脂が「満タン」状態で注入された時点では、タイヤチューブ内の樹脂充填圧力は、中間蓄圧タンク内の圧縮空気の圧力と等しくなって、この圧力値は、中間蓄圧タンクに取付けられた圧力計により読み取り可能である。そして、圧力計に表示された圧力値が設定値に達した時点において、ポンプの作動を停止させると共に、第2樹脂注入管に設けられたバルブを閉じて、内部の溶液状樹脂が漏れ出るのを防止した状態で、第2樹脂注入管とタイヤチューブのバルブとの接続を解く。
次のタイヤのチューブ内に溶液状樹脂を注入するには、第2樹脂注入管の先端と、次のタイヤチューブのバルブとを連結して、この状態でポンプを駆動すると、第2樹脂注入管に残存していた溶液状樹脂、及び中間蓄圧タンク内に一時貯留された溶液状樹脂は、上記注入原理によって次のタイヤチューブ内に注入される。このように、直前のタイヤチューブの注入の際に第2樹脂注入管に残存していた溶液状樹脂は、内部に空気が混入されていないため、外部に排出することなく、そのまま次のタイヤチューブの樹脂の注入に利用できるので、従来装置において不可欠であった圧縮空気の発生源である「コンプレッサ」が不要になると共に、タイヤチューブ内への樹脂の注入を連続して行なうことが可能となる。
また、請求項2の発明は、請求項1の溶液状樹脂の注入装置を使用して、バルブを介して自転車等のタイヤチューブ内に溶液状樹脂を注入する方法であって、前記タンク内の溶液状樹脂を前記ポンプにより第1樹脂注入管を介して中間蓄圧タンク内に送り込んで一時的に貯留させて、その貯留量の変化により中間蓄圧タンク内の空気を圧縮させて圧力を上昇させ、当該圧縮空気の圧力により一時貯留された溶液状樹脂を吐出させ、前記タイヤチューブ内に溶液状樹脂が満タンに充填された状態で、タイヤチューブ内の樹脂充填圧力と等しくなった前記中間蓄圧タンク内の圧縮空気の圧力を前記圧力計で読み取ることにより、タイヤチューブ内の樹脂充填圧が設定圧となるまで、第2樹脂注入管及びバルブを介してタイヤチューブ内に注入することを特徴としている。
請求項2の発明は、請求項1の発明を「溶液状樹脂の注入方法」の観点から把握したものであって、実質的には、請求項1の発明と同一である。
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記タイヤチューブ内に注入される溶液状樹脂の充填圧力が設定圧に近づいた場合には、前記圧力計の表示値を目視しながら前記ポンプを寸動させることを特徴としている。
請求項3の発明によれば、タイヤチューブ内に注入された樹脂圧の微調整を手動により簡単に行なえる。
本発明に係る溶液状樹脂の注入装置は、樹脂タンクと第1樹脂注入管で連結されると共に、タイヤのバルブと第2樹脂注入管を介して連結されて、注入途中の溶液状樹脂を内部の空気と一緒にして密閉状態で一時的に貯留させて空気を圧縮させる中間蓄圧タンクを備えていて、当該中間蓄圧タンク内に一次的に貯留された溶液状樹脂を、当該中間蓄圧タンク内の圧縮空気と等しい圧力により当該中間蓄圧タンク外に吐出させることにより第2樹脂注入管及びタイヤバルブを介してタイヤチューブ内に溶液状樹脂を注入する構成である。よって、タイヤチューブ内に溶液状樹脂が「満タン」に近づくと、注入抵抗が増大することにより、中間蓄圧タンク内に一次貯留される溶液状樹脂の貯留量が増加して圧縮空気の圧力が高まるため、中間蓄圧タンク内の圧縮空気の圧力が最適な大きさに達した時点で、ポンプを駆動するモータを停止させると、タイヤチューブ内には定められた圧力でもって溶液状樹脂が充填される。
このため、「圧縮空気」の生成にコンプレッサが不要になって装置全体が小型化できるのに加えて、溶液状樹脂の注入経路内には圧縮空気は残存していないので、次のタイヤのチューブ内に溶液状樹脂を注入する際には、そのまま注入経路内に残存している溶液状樹脂をタイヤチューブに注入可能となって、溶液状樹脂の注入効率も高められる。
以下、図1ないし図4を参照して、本発明の実施例について説明する。なお、「背景技術」の項目で説明した部分と同一部分には同一符号を付し、重複説明を避けて、本発明の特徴部分についてのみ説明する。図1は、本発明に係る溶液状樹脂Rの注入装置Dの全体図であり、図2(イ),(ロ)は、それぞれタイヤチューブCに溶液状樹脂Rを注入している状態、及び注入終了直前の状態の中間蓄圧タンクT2 の断面図であり、図3は、時間に対する中間蓄圧タンクT2 内の圧縮空気Aの圧力の変化を示すグラフであり、図4(イ),(ロ),(ハ)は、それぞれ中間蓄圧タンクT2 に対する第1及び第2の各樹脂注入管B1,B2 の異なる接続形態を示す断面図である。中間蓄圧タンクT2 は、樹脂タンクT1 とタイヤ10のバルブV0 とを結ぶ樹脂注入経路に組み込まれて、ポンプJにより吐出された溶液状樹脂Rを空気Aと一緒に密閉状態で一時的に貯留させ、樹脂貯留量が増大すると、密封された空気Aが圧縮されて体積が小さくなることにより、昇圧した圧縮空気Aの圧力Pと等しい圧力により中間蓄圧タンクT2 内の一時貯留樹脂Rを当該中間蓄圧タンクT2 内から吐出させる構成となっている。中間蓄圧タンクT2 の天壁13には、圧力計Gの導圧管3が貫通して差し込まれていて、中間蓄圧タンクT2 内に密閉された空気Aの圧力Pを測定可能となっている。なお、図1において2は、中間蓄圧タンクT2 内に一時貯留された溶液状樹脂Rを保温するためのヒータを示す。
また、樹脂タンクT1 と中間蓄圧タンクT2 とは、第1樹脂注入管B1 を介して連結されていると共に、中間蓄圧タンクT2 とタイヤバルブV0 とは、第2樹脂注入管B2 を介して連結されている。第1樹脂注入管B1 にはポンプJが組み込まれ、第2樹脂注入管B2 には開閉バルブV1 が組み込まれている。なお、第2樹脂注入管B2 に対する開閉バルブV1 の組込み位置は、どの部分であってもよく、通常は、頻繁に行なう開閉作業が最も行い易い部分に組み込まれる。
また、ポンプJにより中間蓄圧タンクT2 に送り込まれて一時貯留される溶液状樹脂Rは、当該中間蓄圧タンクT2 内に密封された空気Aの圧力Pによって吐出させる構成であるために、中間蓄圧タンクT2 と第2樹脂注入管B2 との接続開口22の位置は、中間蓄圧タンクT2 と第1樹脂注入管B1 との接続開口21の位置よりも低い方が好ましいが、必須の条件とはならない。その理由は、前記接続開口21が前記接続開口22よりも低い方が、同じ容積の中間蓄圧タンクの場合、空気部分の体積が大きくなって「バッファ効果」が働くために昇圧速度が緩やかになる。このため、タイヤチューブC内の注入圧力を設定圧に管理するのが容易となる。図4(イ)の接続例は、第1樹脂注入管B1 との接続開口21は、中間蓄圧タンクT2 の周壁11の内周面に臨んで配置され、第2樹脂注入管B2 との接続開口22は、同じく底壁12の内面に臨んで配置されることにより、好ましい形態となっている。図4(ロ)の接続例は、第1樹脂注入管B1 は、中間蓄圧タンクT2 の底壁12 に貫通されて、接続開口21は、底壁12の内面よりも高い位置に配置され、第2樹脂注入管B2 の接続開口22は、底壁12の内面に臨んで配置されることにより、好ましい形態となっている。更に、図4(ハ)の接続例は、第1及び第2の各樹脂注入管B1 ,B2 は、それぞれ中間蓄圧タンクT2 の底壁12 及び天壁13に貫通されて、第1樹脂注入管B1 の接続開口21が第2樹脂注入管B2 の接続開口22よりも高い位置に配置されることにより、好ましい形態となっている。但し、図4(イ),(ロ)の接続例の場合には、中間蓄圧タンクT2 内の溶液状樹脂Rの液面と第2樹脂注入管B2 との高低差H1 ,H2 は、いずれもタイヤチューブCに対する樹脂注入圧に対しては「プラス圧力」として作用するが、図4(ハ)の接続例の場合には、同様の高低差H3 は、樹脂注入圧に対して「マイナス圧力」として作用するので、接続形態としては、前者の方が有利であると言える。
また、図5(イ),(ロ)に中間蓄圧タンクT2 に対する第1及び第2の各樹脂注入管B1,B2 の別の接続形態が示されており、図4(イ)ないし(ハ)に示される各接続形態と異なる点は、第1及び第2の各樹脂注入管B1,B2 は、連結管4を介して中間蓄圧タンクT2 の底壁12に間接的に接続されていて、直接には接続されていない点である。図5(イ)は、第1及び第2の各樹脂注入管B1,B2 がT字継手管5を介して直交して接続されて、当該接続部に連通する連結管4が中間蓄圧タンクT2 の底壁12に接続された形態であり、同(ロ)は、第1及び第2の各樹脂注入管B1,B2 がT字継手管5を介して直線状に接続されて、当該接続部に連通する連結管4が中間蓄圧タンクT2 の底壁12に接続された形態である。いずれの形態においても、タイヤチューブC内への樹脂Rの注入圧力は、ポンプJの吐出圧により中間蓄圧タンクT2 内に溶液状樹脂Rが一時的に貯留されることにより、中間蓄圧タンクT2 内の空気Aが圧縮されて、当該圧縮空気Aの圧力により第2樹脂注入管B2 及びタイヤバルブV0 を介してタイヤチューブC内に溶液状樹脂Rが注入される点においては、図4(イ)ないし(ハ)に示される接続形態と、同一の注入原理である。
そして、図1ないし図3に示されるように、ポンプJを駆動させると、樹脂タンクT1 内の溶液状樹脂Rは、第1樹脂注入管B1 を介して中間蓄圧タンクT2 内に注入されて、中間蓄圧タンクT2 内においては、溶液状樹脂Rが注入された分だけ密閉された空気Aの体積は減少させられて圧縮され〔図2(イ)参照〕、圧縮空気Aの圧力が一時貯留された溶液状樹脂Rを吐出可能な圧力P1 に達すると、中間蓄圧タンクT2 内に一時的に貯留された溶液状樹脂Rは、当該中間蓄圧タンクT2 内から吐出されて、第2樹脂注入管B2 及びタイヤバルブV0 を介してタイヤチューブC内に注入される。タイヤチューブC内に溶液状樹脂Rがほぼ「満タン」となる直前までは、タイヤチューブC内の樹脂充填圧力P0 は、大気圧(約0.1MPa)にほぼ等しい。中間蓄圧タンクT2 内の圧縮空気Aの圧力P1 は、タイヤチューブCに至る部分においては、中間蓄圧タンクT2 とタイヤチューブCとの間の管路抵抗による減圧分P11だけ減圧されるので、(P1 =P0 +P11)の関係が成立している。
タイヤチューブC内に溶液状樹脂Rが「満タン」に近づくにつれて、タイヤチューブC内の樹脂充填圧力は、中間蓄圧タンクT2 の圧縮空気Aの圧力に近づいて、「満タン」となった後において、タイヤチューブC内の樹脂充填圧力と圧縮空気Aの圧力とは等しくなる。ポンプPを継続して作動させると、図2(ロ)に示されるように、注入抵抗が増大して中間蓄圧タンクT2 に一時的に貯留される溶液状樹脂Rの貯留量が増大して、圧縮空気Aが更に圧縮されることにより、その圧力Pは、「満タン」直前となるまでの圧縮空気Aの圧力P1 よりも遥かに高くなり(P>P1 )、「満タン」に至ると、タイヤチューブC内の樹脂充填圧力は、中間蓄圧タンクT2 の圧縮空気Aの圧力P2 と等しくなる。ここで、タイヤチューブC内に溶液状樹脂Rを注入すると、「満タン」となる直前においては、タイヤチューブC内に残存していた空気が圧縮されてタイヤチューブCの最も高い部分に集まるので、注入途中において、タイヤチューブCの最も高い部分に空気抜き針N(図1参照)を刺して、タイヤチューブC内の「空気抜き」を行なう。タイヤチューブC内の圧縮空気が大きな注入抵抗となるために、「空気抜き」の直前においては、タイヤチューブC内の樹脂充填圧は徐々に高まると共に、「空気抜き」を終えると、前記樹脂充填圧は急激に低下して元の大きさに戻る。なお、図3で実線で示される状態は、上記したように「満タン」となる直前において、タイヤチューブC内に残存している圧縮空気を抜く場合の中間蓄圧タンクT2 内の圧縮空気の圧力変化を示すものであるが、樹脂注入当初において、セットしたタイヤチューブCの最も高い部分に空気抜き孔を予めあけておく場合には、「満タン」に至るまでは、中間蓄圧タンクT2 内の圧縮空気の圧力変化は殆どなく一定している。この状態が図3で破線で示されている。
よって、タイヤチューブC内に溶液状樹脂Rが充満されて「満タン」となった後には、中間蓄圧タンクT2 に取付けられた圧縮空気Aの圧力Pを圧力計Gで読み取ることにより、溶液状樹脂Rの充填圧力が分かり、ポンプJの作動を続けると、溶液状樹脂Rの充填圧力は更に徐々に高まる。この状態が、図3に示されている。なお、図3において、「2点鎖線」は、容量が小さい中間蓄圧タンクを使用した場合における中間蓄圧タンク内の圧縮空気の昇圧直線を示し、十分な容量を備えた中間蓄圧タンクを使用した場合に比較して、昇圧速度が速くなって、タイヤチューブC内の充填圧力の管理が難しくなることが分かる。
よって、タイヤチューブC内に溶液状樹脂Rが充填されて「満タン」となる直前においては、中間蓄圧タンクT2 の圧力計Gの表示圧が大きくなるので、これを読み取って、ポンプJを駆動するモータMを寸動させることにより、タイヤチューブC内の樹脂充填圧力を正確に望みの値にすることができる。また、中間蓄圧タンクT2 内の圧縮空気Aの圧力Pをセンサで検出し、この検出値が設定値となった場合には、ポンプJのモータMの電源回路を遮断するように設計すると、タイヤチューブC内の樹脂の充填圧力を自動的に設定圧力にすることが可能となる。
そして、次のタイヤ10のチューブC内に溶液状樹脂Rを注入する場合には、第2樹脂注入管B2 に組み込まれた開閉バルブV1 を閉じて、タイヤチューブC内に注入・充填された樹脂Rの逆流防止処置を施した後に、タイヤチューブC内に樹脂Rを充填したタイヤ10のバルブV0 と第2樹脂注入管B2 との連結を解いて、次のタイヤ10のバルブV0 に第2樹脂注入管B2 を接続する。開閉バルブV1 が閉じられて、しかもポンプJが停止している(溶液状樹脂Rが充満された状態で停止していてポンプJは、閉じられた状態の開閉バルブとほぼ同様に機能している)ために、中間蓄圧タンクT2 内の密閉された圧縮空気Aは、開閉バルブV1 を閉じた時点の圧力P2 をほぼ維持する。よって、バルブV1 を開いてモータMによりポンプJを作動させると、開閉バルブV1 を開いた当初は、中間蓄圧タンクT2 内に一時貯留された溶液状樹脂Rは、大きな圧力P2 で吐出(流出)するが、その後は、樹脂充填途中のタイヤチューブCの圧力(大気圧)P0 と管路抵抗による減圧分P11との和とバランスする吐出可能な最小圧力P1 でもって、中間蓄圧タンクT2 内の溶液状樹脂Rは吐出(流出)されて、上記と同様にしてタイヤチューブC内に溶液状樹脂Rが注入される。
このため、次のタイヤ10のチューブC内に溶液状樹脂Rを注入する際には、第2樹脂注入管B2 内は、全て溶液状樹脂Rが充満されて、従来の注入装置D”のように空気の混入がないので、第2樹脂注入管B2 に充満されている溶液状樹脂Rは、その全てが次のタイヤ10のチューブC内に注入される。よって、従来の注入装置D”のように、第2樹脂注入管B2 に空気と一緒に充満されている溶液状樹脂Rを第2樹脂注入管B2 から外部に一旦排出させた後に、空気の混入されていない溶液状樹脂Rを注入するという面倒がなくなって、タイヤチューブCに対する溶液状樹脂Rの注入作業を連続して行なえる。よって、溶液状樹脂Rの注入作業の能率が高められる。なお、ポンプJの停止状態において、第2樹脂注入管B2 を含めて、注入装置Dにおける溶液状樹脂Rの流通路の全ては、注入装置Dの停止時に溶液状樹脂Rの温度の低下により流動性が低下して、次の注入の際にそのまま連続注入ができなくなる事態を回避するために、ヒーターが被覆されて保温されている。
A:中間蓄圧タンク内の圧縮空気
B1 :第1樹脂注入管
B2 :第2樹脂注入管
C:タイヤチューブ
D:溶液状樹脂の注入装置
G:圧力計
J:ポンプ
M:モータ
P,P1,P2 :中間蓄圧タンク内の圧縮空気の圧力
R:溶液状樹脂
T1 :樹脂タンク
T2 :中間蓄圧タンク
V1 :開閉バルブ
10:タイヤ
B1 :第1樹脂注入管
B2 :第2樹脂注入管
C:タイヤチューブ
D:溶液状樹脂の注入装置
G:圧力計
J:ポンプ
M:モータ
P,P1,P2 :中間蓄圧タンク内の圧縮空気の圧力
R:溶液状樹脂
T1 :樹脂タンク
T2 :中間蓄圧タンク
V1 :開閉バルブ
10:タイヤ
Claims (3)
- 弾性樹脂組成物が加熱されて溶液状となった樹脂を自転車等のタイヤチューブ内にバルブを介して注入するための装置であって、
前記溶液状樹脂を保温して収容する樹脂タンクと、
当該樹脂タンクと第1樹脂注入管で連結されると共に、前記バルブと第2樹脂注入管を介して連結されて、注入途中の溶液状樹脂を内部の空気と一緒にして密閉状態で一時的に貯留させて前記空気を圧縮させる中間蓄圧タンクと、
前記第1樹脂注入管に組み込まれて、前記樹脂タンク内の溶液状樹脂を前記中間蓄圧タンクに送り込むためのポンプと、
前記中間蓄圧タンク内の空気圧を測定する圧力計と、
を備えていることを特徴とするタイヤチューブ内への溶液状樹脂の注入装置。 - 請求項1の溶液状樹脂の注入装置を使用して、バルブを介して自転車等のタイヤチューブ内に溶液状樹脂を注入する方法であって、
前記タンク内の溶液状樹脂を前記ポンプにより第1樹脂注入管を介して中間蓄圧タンク内に送り込んで一時的に貯留させて、その貯留量の変化により中間蓄圧タンク内の空気を圧縮させて圧力を上昇させ、当該圧縮空気の圧力により一時貯留された溶液状樹脂を吐出させ、
前記タイヤチューブ内に溶液状樹脂が満タンに充填された状態で、タイヤチューブ内の樹脂充填圧力と等しくなった前記中間蓄圧タンク内の圧縮空気の圧力を前記圧力計で読み取ることにより、タイヤチューブ内の樹脂充填圧が設定圧となるまで、第2樹脂注入管及びバルブを介してタイヤチューブ内に注入することを特徴とするタイヤチューブ内への溶液状樹脂の注入方法。 - 前記タイヤチューブ内に注入される溶液状樹脂の圧力が設定圧に近づいた場合には、前記圧力計の表示値を目視しながら前記ポンプを寸動させることを特徴とする請求項2に記載のタイヤチューブ内への溶液状樹脂の注入方法。
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